JP2780104B2 - 強靭鋼の高能率製造方法 - Google Patents
強靭鋼の高能率製造方法Info
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- JP2780104B2 JP2780104B2 JP1089983A JP8998389A JP2780104B2 JP 2780104 B2 JP2780104 B2 JP 2780104B2 JP 1089983 A JP1089983 A JP 1089983A JP 8998389 A JP8998389 A JP 8998389A JP 2780104 B2 JP2780104 B2 JP 2780104B2
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- Japan
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- steel
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、オーステナイトを微細化する過程を必要と
することなく、強靭鋼を高能率に製造する方法に関する
ものである。
することなく、強靭鋼を高能率に製造する方法に関する
ものである。
(従来の技術) 60〜80キロHTや低温用鋼は、通常、焼入れ焼戻しプロ
セスによって製造される。このプロセスにおいては、オ
ーステナイト組織を可及的に微細化するためにAc1点直
上の温度に加熱して焼入れを行っていた。このようなプ
ロセスは、たとえば特公昭46−3851号公報、特公昭47−
7981号公報、特公昭53−23241号公報および特公昭56−2
0335号公報等に開示されている。これらはいずれもオー
ステナイトの粗大化を狙ったものではなく、また焼戻し
も高温の炉に材料を装入し、短時間に行うものではな
い。
セスによって製造される。このプロセスにおいては、オ
ーステナイト組織を可及的に微細化するためにAc1点直
上の温度に加熱して焼入れを行っていた。このようなプ
ロセスは、たとえば特公昭46−3851号公報、特公昭47−
7981号公報、特公昭53−23241号公報および特公昭56−2
0335号公報等に開示されている。これらはいずれもオー
ステナイトの粗大化を狙ったものではなく、また焼戻し
も高温の炉に材料を装入し、短時間に行うものではな
い。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、焼入れ焼戻しによって鋼を製造するに際
し、敢えてオーステナイトを微細化する必要はなく、ま
た焼戻し過程において、目的とする焼戻し温度よりもは
るかに高い温度に保たれた炉に材料を装入し、短時間に
能率良く焼戻し処理を行うことができる強靭鋼の製造方
法を提供する。
し、敢えてオーステナイトを微細化する必要はなく、ま
た焼戻し過程において、目的とする焼戻し温度よりもは
るかに高い温度に保たれた炉に材料を装入し、短時間に
能率良く焼戻し処理を行うことができる強靭鋼の製造方
法を提供する。
(課題を解決するための手段) 本発明は、重量で、 C :0.03〜0.2%、 Si:0.03〜0.5%、 Mn:0.3〜1.8%、 Al:0.019〜0.064%、 Cu、Ni、Cr、Mo:合計量で0.3%超2.7%以下、 B :0.0003〜0.003% を含有し、さらに、必要に応じて V :0.1%以下、 Nb:0.1%以下、 Ti:0.1%以下 の1種以上を合計で0.2%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなる鋼を、900℃以上で圧延を終了す
るよう熱間圧延し、冷却速度(℃/s)>23−0.25×板厚
(mm)を満足する冷却速度で400℃以下の温度まで水冷
し、次いで850℃以上の温度に保たれた炉に装入し、鋼
の表面温度が400℃以上700℃以下の温度になった時点で
炉から抽出する焼戻し処理を行うことを特徴とする強靭
鋼の高能率製造方法である。
可避的不純物からなる鋼を、900℃以上で圧延を終了す
るよう熱間圧延し、冷却速度(℃/s)>23−0.25×板厚
(mm)を満足する冷却速度で400℃以下の温度まで水冷
し、次いで850℃以上の温度に保たれた炉に装入し、鋼
の表面温度が400℃以上700℃以下の温度になった時点で
炉から抽出する焼戻し処理を行うことを特徴とする強靭
鋼の高能率製造方法である。
(作用) 本発明にあっては、所定の成分の鋼を鋳造まま直ちに
または温度調整のための加熱後もしくは一旦冷片となっ
たものを再加熱後圧延し、900℃以上の高温で圧延を終
了する。これにより、オーステナイトが過度に微細化さ
れず、焼入れ性が劣化することなく焼入れされる。
または温度調整のための加熱後もしくは一旦冷片となっ
たものを再加熱後圧延し、900℃以上の高温で圧延を終
了する。これにより、オーステナイトが過度に微細化さ
れず、焼入れ性が劣化することなく焼入れされる。
また、焼戻しも、従来技術にあっては目的とする温度
に保たれた炉の中に鋼を装入し、極めて長時間をかけて
昇温し、さらにその温度に30分〜1時間保定することに
より行っていたが、本発明においては、極めて短時間の
うちに目的の温度に加熱し、さらにその温度に保持する
ことなく直ちに炉から抽出することによって、微細な焼
入れ焼戻し組織を得るとともに、セメンタイトの凝集、
析出物の粗大化を防ぎ、優れた機械的性質を有する鋼を
得る。
に保たれた炉の中に鋼を装入し、極めて長時間をかけて
昇温し、さらにその温度に30分〜1時間保定することに
より行っていたが、本発明においては、極めて短時間の
うちに目的の温度に加熱し、さらにその温度に保持する
ことなく直ちに炉から抽出することによって、微細な焼
入れ焼戻し組織を得るとともに、セメンタイトの凝集、
析出物の粗大化を防ぎ、優れた機械的性質を有する鋼を
得る。
Cは鋼の焼入れ性および強度を高めるために添加す
る。0.03%未満では効果が十分に発揮されない。また0.
2%超では靭性および溶接性を劣化させる。
る。0.03%未満では効果が十分に発揮されない。また0.
2%超では靭性および溶接性を劣化させる。
SiはCと同様の効果をもたらすが、Cより効果が小さ
く、そのために下限を0.03%に、上限を0.5%にした。
く、そのために下限を0.03%に、上限を0.5%にした。
MnもCと同様に鋼の焼入れ性および強度を高める効果
があるが、Cとは異なりその量を増しても靭性をあまり
劣化させない。このため0.3〜1.8%添加する。
があるが、Cとは異なりその量を増しても靭性をあまり
劣化させない。このため0.3〜1.8%添加する。
そのほかCu、Ni、Cr、Moを添加するが、いずれも鋼の
靭性を損なわず、地鉄の強化、焼入れ性の増大に効果が
ある。これらの元素は合計量で下限を0.3%超、上限を
2.7%にした。0.3%以下では効果が小さく、2.7%超で
は溶接性および靭性が劣化する。
靭性を損なわず、地鉄の強化、焼入れ性の増大に効果が
ある。これらの元素は合計量で下限を0.3%超、上限を
2.7%にした。0.3%以下では効果が小さく、2.7%超で
は溶接性および靭性が劣化する。
Bは鋼の焼入れ性を高めるために添加し、微量で効果
があるが、0.0003%未満では効果がなく、0.003%超で
は靭性を劣化させる。
があるが、0.0003%未満では効果がなく、0.003%超で
は靭性を劣化させる。
V、Nb、Tiは微量で析出硬化作用を持ち、強度を高め
るために必要に応じ添加するが、それぞれ0.1%以下、
合計で0.2%以下の量で添加してもかまわない。Nは特
に限定しないが、0.005%以下が望ましい。
るために必要に応じ添加するが、それぞれ0.1%以下、
合計で0.2%以下の量で添加してもかまわない。Nは特
に限定しないが、0.005%以下が望ましい。
上記成分の鋼を鋳造後圧延を行うが、直接圧延、再加
熱圧延のいずれでもかまわない。圧延によりオーステナ
イトが細粒化して焼入れ性を劣化させるのを防ぐため、
900℃以上で圧延を終了しなければならない。
熱圧延のいずれでもかまわない。圧延によりオーステナ
イトが細粒化して焼入れ性を劣化させるのを防ぐため、
900℃以上で圧延を終了しなければならない。
さらに、圧延の終了後水冷により焼入れを行うが、冷
却速度が遅いと焼きが入らない。冷却速度は板厚によっ
て異なるために、冷却速度(℃/s)>23−0.25×板厚
(mm)を満足しなければならない。また、冷却の終了温
度は400℃以下でないと焼入れ組織が得られない。
却速度が遅いと焼きが入らない。冷却速度は板厚によっ
て異なるために、冷却速度(℃/s)>23−0.25×板厚
(mm)を満足しなければならない。また、冷却の終了温
度は400℃以下でないと焼入れ組織が得られない。
焼戻しは通常の方法とは異なり急速に焼戻しを行うた
め、目的とする焼戻し温度(通常600〜650℃)より高い
850℃以上に予め加熱された炉中に挿入する。850℃未満
では急速加熱が不十分で、効果が少ない。400℃以上700
℃以下の焼戻し温度になった時点で炉から抽出する。こ
の温度で保定を行うとセメンタイトが凝集し、その他の
析出物も粗大化するので、保定は行わない。
め、目的とする焼戻し温度(通常600〜650℃)より高い
850℃以上に予め加熱された炉中に挿入する。850℃未満
では急速加熱が不十分で、効果が少ない。400℃以上700
℃以下の焼戻し温度になった時点で炉から抽出する。こ
の温度で保定を行うとセメンタイトが凝集し、その他の
析出物も粗大化するので、保定は行わない。
(実施例) 表1に鋼の化学成分、表2に製造条件と材質を示す。
H、Sの符号を付けたものは比較例で、Hの符号が付い
たものはそれぞれHの符号が付かない1〜4の鋼と同じ
化学成分で、鋼の成分要件は満たすが、他の製造条件が
要件を見たさないものであり、Sの符号が付いたものは
鋼の化学成分が要件を満たさないものである。これよ
り、本発明の有効性が明らかである。
H、Sの符号を付けたものは比較例で、Hの符号が付い
たものはそれぞれHの符号が付かない1〜4の鋼と同じ
化学成分で、鋼の成分要件は満たすが、他の製造条件が
要件を見たさないものであり、Sの符号が付いたものは
鋼の化学成分が要件を満たさないものである。これよ
り、本発明の有効性が明らかである。
(発明の効果) 本発明により、粗大なオーステナイトからでも微細な
焼入れ焼戻し組織が得られ、優れた靭性を有する高張力
鋼が高能率で得られる。
焼入れ焼戻し組織が得られ、優れた靭性を有する高張力
鋼が高能率で得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾上 泰光 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式会社第三技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−163210(JP,A) 特開 昭61−48517(JP,A) 特開 昭58−104120(JP,A) 特開 昭58−96817(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/02
Claims (2)
- 【請求項1】重量で、 C :0.03〜0.2%、 Si:0.03〜0.5%、 Mn:0.3〜1.8%、 Al:0.019〜0.064%、 さらにCu、Ni、Cr、Mo:合計量で0.3%超2.7%以下、 B :0.0003〜0.003% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、
900℃以上で圧延を終了するよう熱間圧延し、冷却速度
(℃/s)>23−0.25×板厚(mm)を満足する冷却速度で
400℃以下の温度まで水冷し、次いで850℃以上の温度に
保たれた炉に装入し、鋼の表面温度が400℃以上700℃以
下の温度になった時点で炉から抽出する焼戻し処理を行
うことを特徴とする強靭鋼の高能率製造方法。 - 【請求項2】重量で、 C :0.03〜0.2%、 Si:0.03〜0.5%、 Mn:0.3〜1.8%、 Al:0.019〜0.064%、 Cu、Ni、Cr、Mo:合計量で0.3%超2.7%以下、 B :0.0003〜0.003% を含有し、さらに、 V :0.1%以下、 Nb:0.1%以下、 Ti:0.1%以下 の1種以上を合計で0.2%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなる鋼を、900℃以上で圧延を終了す
るよう熱間圧延し、冷却速度(℃/s)>23−0.25×板厚
(mm)を満足する冷却速度で400℃以下の温度まで水冷
し、次いで850℃以上の温度に保たれた炉に装入し、鋼
の表面温度が400℃以上700℃以下の温度になった時点で
炉から抽出する焼戻し処理を行うことを特徴とする強靭
鋼の高能率製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1089983A JP2780104B2 (ja) | 1989-04-10 | 1989-04-10 | 強靭鋼の高能率製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1089983A JP2780104B2 (ja) | 1989-04-10 | 1989-04-10 | 強靭鋼の高能率製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02270914A JPH02270914A (ja) | 1990-11-06 |
JP2780104B2 true JP2780104B2 (ja) | 1998-07-30 |
Family
ID=13985895
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1089983A Expired - Lifetime JP2780104B2 (ja) | 1989-04-10 | 1989-04-10 | 強靭鋼の高能率製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2780104B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05255743A (ja) * | 1992-03-09 | 1993-10-05 | Nippon Steel Corp | 急速焼戻しによる高張力鋼板の製造方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5896817A (ja) * | 1981-12-07 | 1983-06-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高靭性を有する高張力熱間圧延鋼材の製造法 |
JPS58104120A (ja) * | 1981-12-17 | 1983-06-21 | Kawasaki Steel Corp | 細粒組織を有する高張力鋼材の製造方法 |
JPS6148517A (ja) * | 1984-08-10 | 1986-03-10 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 抗張力60Kg/mm↑2以上の高張力鋼の製造方法 |
JPS61163210A (ja) * | 1985-01-09 | 1986-07-23 | Nippon Steel Corp | 強度と靭性のすぐれたボロン含有低合金鋼の製造法 |
-
1989
- 1989-04-10 JP JP1089983A patent/JP2780104B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02270914A (ja) | 1990-11-06 |
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Legal Events
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