JP2625003B2 - ギャングヘッド交換装置を有する工作機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、駆動ユニットの先端に装着するギャングヘ
ッドを複数個備え、これを自動的に交換して使用する工
作機械に関する。

〔従来の技術〕

この種の工作機械において、使用するギャングヘッド
の数を増加したものとしては、特開昭62−188607号公報
や特開昭62−224509号公報に示す技術がある。此等の技
術は何れもインデックス装置に設けた旋回体の外側部に
複数個のギャングヘッドを係脱可能に支持して上方位置
と下方位置に割り出し、下方位置に割り出したギャング
ヘッドは駆動ユニットに装着して加工を行い、上方位置
に割り出したギャングヘッドをストッカ又はマガジン内
のものと交換するようにしたものであり、後者の技術の
方が前者に比してコンパクトであり、また交換動作も簡
単である。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら後者の技術においては、工作機械の後側
上部に設けたマガジン内のギャングヘッドを旋回体の上
方位置のものと交換するのに、片持ちで水平軸線回りに
揺動する回動台の先端にギャングヘッドをクランプして
行っているので、マガジンの位置が回動台の半径の分だ
け前記上方位置よりも高くなり、またマガジン内のギャ
ングヘッドを旋回体の上方位置に係合支持させる交換動
作も４動作（マガジン割り出し、回動台へのクランプ、
回動台の回動、旋回体への係合）を必要とする。本発明
は上部にストックされるギャングヘッドの位置を下げて
装置を一層コンパクトにし、また交換動作を減少させる
ことを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

このために、本発明によるギャングヘッド交換装置を
有する工作機械は、添付図面に例示する如く、ベッド10
の上方に支持されたインデックス装置20と、このインデ
ックス装置に前後方向水平軸線回りに回転駆動されかつ
半径方向外側部にギャングヘッドＨを前後方向移動によ
り係脱可能に支持し同ギャングヘッドを上方位置Ａと下
方位置Ｂに割り出す旋回体25と、前記インデックス装置
20の下方において前記ベッド10上に前後方向に往復動可
能に案内支持され前記旋回体25によって下方位置Ｂに割
り出されたキャングヘッドＨを前端に装着して工作物Ｗ
を加工する駆動ユニット12を備えてなるギャングヘッド
交換装置を有する工作機械において、前記インデックス
装置20の上側に設けられて前記ベッド10に固定された支
持枠16と、この支持枠に水平に取り付けられた無端状の
支持レール30と、この支持レールに移動自在に吊下支持
されると共にそれぞれ一つのギャングヘッドＨを同支持
レールと直交する水平方向移動により係脱可能に支持す
る複数の搬送用パレット40と、この各搬送用パレットに
支持された各ギャングヘッドＨと対をなして設けられ、
各ギャングヘッドの前記駆動ユニット12との係合部に係
脱可能に係合されたガイドブロック45と、前記各搬送用
パレット40を前記支持レール30に沿って移動させて同搬
送用パレットに支持された各ギャングヘッドＨを前記旋
回体25の上方位置Ａ眞後ろの交換位置Ｃに割出す駆動装
置50と、前記交換位置Ｃの後側に設けられ同交換位置へ
の前記ギャングヘッドＨの割出し移動により前記ガイド
ブロック45に係合する進退部材62を前端部に有し同進退
部材の前進により同ギャングヘッドを前記搬送用パレッ
ト40から離脱させて前記旋回体25に係合させる移載装置
60よりなることを特徴とするものである。

〔作用〕

上方位置Ａにおいて旋回体25に支持されたギャングヘ
ッドが無い状態において駆動装置50を作動させて支持レ
ール30に支持された搬送用パレット40を移動させ、所望
のギャングヘッドＨを交換位置Ｃに割り出す。この割り
出し移動により、そのギャングヘッドＨに係合されたガ
イドブロック45は、移載移動60前端部の進退部材62に係
合される。次いで移載装置60が作動して進退部材62が前
進し、これによりそのギャングヘッドＨは交換位置Ｃか
らその眞前の上方位置Ａに移動し、搬送用パレット40か
ら離脱されて旋回体25に係合支持される。このギャング
ヘッドＨは旋回体25の回動のみによりガイドブロック45
から離脱されて下方位置Ｂに割り出され、駆動ユニット
12の前端に装着されて工作物Ｗを加工する。旋回体25の
上方位置Ａに係合支持されたギャングヘッドＨを支持レ
ール30に支持されたストック状態に戻すには、上記と逆
の順序で移載装置60と駆動装置50を作動させる。

〔発明の効果〕

上記構成の本発明によれば、支持レールに支持されて
ストックされる各ギャングヘッドの位置は旋回体に係合
支持されたギャングヘッドの上方位置と同一高さとなる
ので、従来技術に比して装置全体の高さが低くなり、装
置がコンパクトになる。また、各ギャングヘッドに係合
されたガイドブロックは交換位置への割出しにより移載
装置前端部の進退部材に係合されるので、搬送用パレッ
トを介して支持レールに支持されたギャングヘッドを旋
回体の上方位置に係合支持させる交換動作は、駆動装置
による割り出しと、移載装置による前進の２動作のみと
なり、動作数が従来の４動作に比して少なくなり、しか
も上方位置のギャングヘッドは旋回体の回動のみにより
ガイドブロックから離脱され下方位置に割り出されて駆
動ユニットに装着されるのでギャングヘッドの交換時間
を短縮させて生産性を向上させることができる。

〔実施例〕

以下に、添付図面に示す実施例により、本発明の説明
をする。

第１図および第２図に示す如く、ベッド10上には案内
レール11aを備えた送りユニット11を介して駆動ユニッ
ト12が支持されて前後方向（第１図において左右方向）
送りが与えられ、駆動ユニット12の眞上にはインデック
ス装置20が門型支柱13を介してベッド10により支持され
ている。正面形状が正方形の旋回体25は、前後方向の水
平軸21を介してインデックス装置20に軸承されてサーボ
モータ22により割出し回動が与えられ、その半径方向外
側部に係脱可能に支持した４個のギャングヘッドＨを、
それぞれ上方位置Ａ及び駆動ユニット12の正面である下
方位置Ｂに割り出すようになっている。旋回体25による
ギャングヘッドＨの支持数は４個に限らず、２個以上任
意である。

主として第２図に示す如く、旋回体25の各半径方向外
側部には軸線方向に延びるＴ形断面形状の係合溝26aを
形成する各一対の係合案内体26が固定され、一方各ギャ
ングヘッドＨの一側面には係合溝26aと係合可能なＴ形
断面形状の係合部材Haが固定されている。この係合部材
Haと係合溝26aの係合により各ギャングヘッドＨは旋回
体25の半径方向外側部に前後方向の移動により係脱可能
に支持される。また係合部材Haと同様のＴ形断面形状の
係止部材Hbが、ギャングヘッドＨの他側面に固定されて
いる。

第１図及び第２図に示す如く、インデックス装置25の
上側から後方にかけて、支柱17を介してベッド10に固定
された支持枠16が設けられている。支持枠16の天井梁16
aの下側には、平行に配置した両側部の前後端を円弧状
の端部で連続して無端状の小判形とした支持レール30が
水平に取り付けられ、床梁16bの上側には同じく小判形
の棚板31が水平に取り付けられ、棚板31の前部はインデ
ックス装置20上に支持されている。支持レール30には、
下部内周に沿って、次に述べる複数の搬送用パレット40
を案内支持する突縁30a（第４図参照）が一体形成され
ている。

第１図、第２図及び第４図に示す如く、各搬送用パレ
ット40は上下２部分を一体係合してなり、上部の外向突
起40bの下側には前記突縁30aの上面に当接し支持レール
30に沿って移動自在に搬送用パレット40を吊下支持する
２個のローラ41が設けられ、下部の下側には支持レール
30と直交方向に延びるＴ形断面形状の係合溝40aが形成
されている。各ギャングヘッドＨはその係止部材Hbが係
合溝40aと係合して、支持レール30と直交方向の移動に
より係脱可能に搬送用パレット40に支持され、下側の係
合部材Haの下面には、小判形の棚板31の外周に沿って起
立形成した突縁31aと挟持係合してギャングヘッドＨの
下部の揺れを防止する一対のローラHdが設けられてい
る。

次に、搬送用パレット40を支持レール30に沿って移動
させる駆動装置50の説明をする。第１図及び第２図に示
す如く、棚板31の前部上に固定した支持ブロック33と天
井梁16aの間には駆動ハウジング51が設けられ、この駆
動ハウジング51の前部に軸支された鉛直な駆動軸53の上
端部には駆動スプロケット56が固定されて、傘歯車54,5
5を介してサーボモータ52により回転駆動される。一
方、棚板31の後部上には、天井梁16aとの間に後部ブロ
ック34が固定され、その後部上面には鉛直な支持軸59を
介して従動スプロケット57が回転自在に設けられてい
る。この両スプロケット56,57の間には、支持レール30
上部の内側に沿って一定の隙間をおいてチェーン58が張
設され、このチェーン58は一定の間隔毎に搬送用パレッ
ト40の上面に取り付けられている。サーボモータ52は傘
歯車54,55、駆動軸53、スプロケット56、57及びチェー
ン58を介して各搬送用パレット40を支持レール30に沿っ
て移動させ、搬送用パレット40に支持された所定のギャ
ングヘッドＨを前記上方位置Ａ眞後ろの交換位置Ｃに割
り出すようになっている。

また、第１図及び第２図に示す如く、各ギャングヘッ
ドＨの背面上下部には対向して突出する一対の係合板Hc
が固定され、一方、ガイドブロック45の正面上下部の係
合突起46には各係合板Hcの対向端と係脱可能に係合する
係合溝46aが形成されている。この係合板Hcと係合溝46a
の係合部は上側が凸となる湾曲形状であり、此等の係合
によりガイドブロック45はギャングヘッドＨの背面に係
合され、この係合は、交換位置Ｃに割り出されたギャン
グヘッドＨが後述する移載装置60により上方位置Ａに押
し出された状態において、ギャングヘッドＨが旋回体25
と共に回動することによって離脱される。ガイドブロッ
ク45背面に形成した水平な案内溝47には、両ブロック3
3,34に固定されたガイドレール32が係合して、支持レー
ル30に沿った移動中にガイドブロック45がギャングヘッ
ドＨに対し回動することがないようにしている。

主として第４図に示す如く、搬送用パレット40の背部
には鉛直なロッド42がその軸線方向に移動自在に案内支
持され、その下端部には係合部材Hb上面の小孔Heと係合
可能となっている。ロッド42上端に固定した部材42aの
横向き溝内には、支持レール30に沿って支持枠16に固定
した案内板43が係合している。この係合板43は交換位置
Ｃ以外においては実線の位置にあって図示の如くロッド
42を下降させ、その下端を小孔Heと係合させて搬送用パ
レット40に対するギャングヘッドＨの移動を拘束し、ま
た交換位置Ｃにおいては二点鎖線の位置にあってロッド
42を上昇させてロッド42の下端を小孔Heから抜き出し、
係合溝40a方向の移動による搬送用パレット40からのギ
ャングヘッドＨの離脱を可能としている。

次に、交換位置Ｃの後側に設けられる移載装置60の説
明をする。第１図〜第３図に示す如く、前記支持ブロッ
ク33の後面に固定された移載用シリンダ61のピストンロ
ッド61aは支持ブロック33を通り抜けて前方に延び、そ
の前端には進退部材62が固定されている。第１図によく
示される如く、進退部材62の側断面形状は横向きＴ字状
をなし、その先端の係合部62aの平面形状は、第３図に
示す如く、ピストンロッド61aが後退した状態（第１図
の二点鎖線に示す状態）において駆動軸53を中心とする
円弧状をなしている。一方、ガイドブロック45には案内
溝47の上下に連続して、係合部62aと係合可能な円弧状
の係合溝48が形成されている。移載用シリンダ61のピス
トンロッド61aが後退した状態においては、駆動装置50
により移動されて交換位置Ｃに割りだされるギャングヘ
ッドＨの後面に係合されたガイドブロック45は、その移
動により係合溝48が駆動部材62の係合部62aに係合され
るようになっている。

次に、上方位置Ａに支持されたギャングヘッドＨを、
搬送用パレット40を介して支持レール30に支持されたス
トック状態のギャングヘッドＨと交換する場合の作動の
説明をする。

先ず、移載装置60が作動して進退部材62を後退させ、
上方位置ＡのギャングヘッドＨを眞後ろの交換位置Ｃに
後退させる。これによりそのギャングヘッドＨは旋回体
25から離脱されて搬送用パレット40に係合支持される。
なお、この後退の際にギャングヘッドＨ下側に設けたロ
ーラHdの通過を許すために、棚板31周囲の突縁31aの前
部には切欠き31bが設けられている。次いで駆動装置50
が作動して各搬送用パレット40と共に各ギャングヘッド
Ｈを支持レール30に沿って移動させ、交換位置Ｃにあっ
たギャングヘッドＨを移動させると共に、次に旋回体25
に支持させるギャングヘッドＨを交換位置Ｃに割り出
し、その背面に係合されたガイドブロック45を進退部材
62に係合させる。次いで移載装置60が作動して進退部材
62を前進させ、これにより交換位置Ｃに割り出されたギ
ャングヘッドＨはその眞前の上方位置Ａに移動し、搬送
用パレット40から離脱されて旋回体25に係合支持され
る。このように、上方位置ＡのギャングヘッドＨをスト
ック状態に戻し、あるいはストック状態のギャングヘッ
ドＨを上方位置Ａに支持させるにはそれぞれ２動作（こ
の両方を連続して行う場合は合計３動作）で足り、この
ような交換に要する動作数は従来に比して少なくなるの
で、交換時間が短縮して生産性が向上する。

上方位置Ａに支持されたギャングヘッドＨは、インデ
ックス装置20の旋回体25の回動のみによりガイドブロッ
ク45から離脱されて下方位置Ｂに割り出され、係合板Hc
が駆動ユニット12前端部のクランププレート12aに係合
され、その後退によりクランプされると同時に回転駆動
され、駆動ユニット12と共に前進して支持台15上に固定
された工作物Ｗを加工する。なお、旋回体25の両側方位
置におけるギャングヘッドＨの前後方向の移動は、係合
板Hcの一方がインデックス装置20に固定した円弧状のガ
イド14（第２図参照）と摺動可能に係合することにより
拘束されている。

また、本実施例によればストックされるギャングヘッ
ドＨの位置は上方位置Ａと同じ高さとなるので、ストッ
ク位置が上方位置Ａよりも高くなる従来技術に比して装
置の高さが低くなる。

上記実施例においては支持レール30の形状を小判形と
したが、支持レールの形状は円形あるいは種々の屈曲し
た形状とすることができ、その形状や大きさを選ぶこと
によりギャングヘッドＨのストック数を任意に増大させ
ることができる。また、上記実施例のようなチェーン装
置を利用した駆動装置50は種々の形状の支持レール30に
広く適用できるので極めて有効であるが円形の支持レー
ルの場合は放射状のアームを用いた駆動装置も可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、本発明によるギャングヘッド交換装置を有
する工作機械の一実施例を示し、第１図は部分的に破断
した全体側面図、第２図は部分的に破断した要部の斜視
図、第３図は第１図のIII−III断面図、第４図は支持レ
ールによる支持部の拡大断面図である。 符号の説明 10……ベッド、12……駆動ユニット、16……支持枠、20
……インデックス装置、25……旋回体、30……支持レー
ル、40……搬送用パレット、45……ガイドブロック、50
……駆動装置、60……移載装置、62……進退部材、Ａ…
…上方位置、Ｂ……下方位置、Ｃ……交換位置、Ｈ……
ギャングヘッド、Ｗ……工作物。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ベッドの上方に支持されたインデックス装
   置と、このインデックス装置に前後方向水平軸線回りに
   回転駆動されかつ半径方向外側部にギャングヘッドを前
   後方向移動により係脱可能に支持し同ギャングヘッドを
   上方位置と下方位置に割り出す旋回体と、前記インデッ
   クス装置の下方において前記ベッド上に前後方向に往復
   動可能に案内支持され前記旋回体によって下方位置に割
   り出されたギャングヘッドを前端に装着して工作物を加
   工する駆動ユニットを備えてなるギャングヘッド交換装
   置を有する工作機械において、前記インデックス装置の
   上側に設けられて前記ベッドに固定された支持枠と、こ
   の支持枠に水平に取り付けられた無端状の支持レール
   と、この支持レールに移動自在に吊下支持されると共に
   それぞれ一つのギャングヘッドを同支持レールと直交す
   る水平方向移動により係脱可能に支持する複数の搬送用
   パレットと、この各搬送用パレットに支持された各ギャ
   ングヘッドと対をなして設けられ、各ギャングヘッドの
   前記駆動ユニットとの係合部に係脱可能に係合されたガ
   イドブロックと、前記各搬送用パレットを前記支持レー
   ルに沿って移動させて同搬送用パレットに支持された各
   ギャングヘッドを前記旋回体の上方位置真後ろの交換位
   置に割出す駆動装置と、前記交換位置の後側に設けられ
   同交換位置への前記ギャングヘッドの割出し移動により
   前記ガイドブロックに係合する進退部材を前端部に有し
   同進退部材の前進により同ギャングヘッドを前記搬送用
   パレットから離脱させて前記旋回体に係合させる移載装
   置よりなることを特徴とするギャングヘッド交換装置を
   有する工作機械。