JP2625000B2 - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

蛍光体の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばX線用シンチレータとして優れた特
性を示す、透明度の高い希土類オキシサルファイドセラ
ミックスを得るために好適な大粒径の希土類オキシサル
ファイド系の螢光体の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
希土類オキシサルファイド系の螢光体については、米
国特許第3418246号に付活剤で活性化した該螢光体が開
示されている。また、米国特許第3502590号に、該螢光
体の実用的な製造方法についての記載がある。後者の製
造方法は、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化ランタン
(La2O3)および酸化イットリウム(Y2O3)の中から選
ばれる少なくとも1種の酸化物と、付活剤としての希土
類酸化物および加熱によって硫化アルカリおよびポリ硫
化アルカリを生ずる組成物とからなる混合物を700〜125
0℃で加熱する工程と、次いでその加熱生成物を冷却す
る工程とからなる方法で、上記工程を経て得られた試料
を水洗して水溶性物質(硫化アルカリ)を除去すること
によって、平均粒径1〜8μmの希土類オキシサルファ
イド螢光体が得られている。
また、上記製造方法の改良として、希土類酸化物の一
部を希土類リン酸塩で置換する方法が特開昭第55−1576
78号に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
X線用シンチレータとして優れた特性を示す希土類オ
キシサルファイドセラミックスについて、透明度の高い
高効率の該セラミックスを得るためには、その原材料と
なる希土類オキシサルファイド螢光体ができるだけ大粒
径であることが望ましいが、上記従来技術の方法によっ
て得られる蛍光体は平均粒径が高々10μmに止まってい
た。
本発明の目的は、平均粒径が少なくとも20μm以上の
希土類オキシサルファイド螢光体を得ることのできる製
造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、一般式(Ln1-xMx)2O3(但し、LnはY、L
a、Gdの中から選ばれる少なくとも1種の元素、MはP
r、Eu、Tbの中から選ばれる少なくとも1種の元素、x
は0.00001〜0.1の範囲の値)で表わされる酸化物、Lnの
リン酸塩化合物、加熱分解によってCe2O3を生ずるCe化
合物、加熱により硫化アルカリおよびポリ硫化アルカリ
を生ずる組成物、ホウ素化合物およびフッ素化合物から
なる混合物を900〜1400℃の温度で加熱焼成する工程
と、次いで、該焼成生成物を冷却した後水洗する工程と
からなる製造方法を適用することによって達成すること
ができる。
〔作用〕
本発明方法のもっとも特徴とするところは、希土類オ
キシサルファイド螢光体の製造方法において、従来技術
における材料組成に加えて、さらに、ホウ素化合物を用
いたことにある。ここで、該ホウ素化合物としては、H3
BO3、B2O3、Li2B4O7、Na2B4O7、K2B4O7、K2B2O4、NaBO2
およびLiBO2の中から選ばれる少なくとも1種のホウ素
化合物を用いることが望ましく、平均粒径20μm以上の
希土類オキシサルファイド螢光体を得るための該ホウ素
化合物の量は、ホウ素原子に換算して、希土類元素1グ
ラム原子当り0.02〜0.4グラム原子の範囲が適当であ
る。0.4グラム原子よりも多量に添加した場合には得ら
れる螢光体粒子径はさらに大きくなるが、螢光体中に非
発光物質が混入してくるので好ましくない。なお、ホウ
素化合物としては、上記した化合物以外に、加熱によっ
てホウ素化合物を生ずるような混合組成分を用いてもよ
い。
フッ素化合物あるいは塩素化合物およびCe化合物を添
加した理由は特公昭第60−4856号に開示されているので
割愛する。
また、付活剤としての希土類酸化物としては、酸化プ
ラセオジム、酸化テルビウムおよび酸化ユーロピウムの
中から選ばれる少なくとも1種の酸化物を用いることが
望ましいが、他の希土類酸化物を用いてもよい。
上述の製造方法を用いて作成した平均粒径38μmのGd
2O2S:Pr螢光体を用いてX線CT用固体検出器を作成し
て、その特性を調べた。すなわち、まず、上記Gd2O2S:P
r螢光体に焼結助剤として0.1重量パーセントのLi2GeF6
を加えて混合し、これを鉄製のカプセルに詰め、真空封
止した後、1300℃、1000気圧、3時間の条件で熱間静水
圧加圧成形(Hot Isostatic Pressing,HIP)を行った。
次いで、鉄容器を除去して焼結成形体を取り出し、厚さ
1.2mmに加工した後、シリコンホトダイオードと組合わ
せて固体検出器を作製した。この検出器にX線(管電圧
120kV、電流200mA)を照射した場合の発光出力は、従来
の製造方法で作成した平均粒径5μmの同一組成の螢光
体を用いて上記と同様の方法で作製した固体検出器の発
光出力と比べ、約1.7倍の値を示した。ここで、平均粒
径38μmの蛍光体を用いて製作した固体検出器の方が発
光出力が高い値を示すのは、焼結体における粒界が少な
く、光の散乱や吸収が少なくなるためと思われる。この
焼結体シンチレータはX線CT用として極めて有用であ
る。
〔実施例〕
以下、本発明の蛍光体の製造方法について、実施例に
よって具体的に説明する。
実施例1〜8 まず、下記材料をビーカーに秤量採取し、これに水を
加えて十分混合した後乾燥する。
Gd2O3 0.9191モル GdPo4 0.1598モル Pr6O11 0.00033モル Ce(NO3)3・6H2O 0.000012モル 次いで、上記混合物をアクリル製のびんに入れ、さらに
下記材料を加え、びんを回転して内容物を良く混合させ
る。
S 3.29モル Na2CO3 0.452モル Li2CO3 0.452モル K3PO4 0.121モル NH4PF6 0.030モル ホウ素化合物 (第1表第2欄)希土類元素1グラム原子当り0.12グラ
ム原子のホウ素を含む量 この混合材料をアルミナるつぼに詰め、アルミナのふた
をした後、空気中1250℃で6時間焼成する。焼成物をる
つぼから取り出し、純水を加えてスターラーで攪拌す
る。このとき、Na2Sxが純水に溶出するため溶液が黄色
となるが、これが無色となるまで水洗を繰り返す。次い
で、0.15規定のHClで処理した後、再び水洗し、得られ
た螢光体を140℃で乾燥する。
このようにして得られた螢光体はいずれも(Gd0 999Pr
0 001Ce6 10 -6)2O2S:(F)の組成からなるものであ
り、その平均粒径(顕微鏡写真から求めた)を、添加し
たホウ素化合物の種類とともに、第1表に示した。な
お、表中で、Lnは配合したすべての希土類元素を示すも
のである。
表の結果からわかるように、螢光体製造の材料成分と
してホウ素化合物を加えることによって、添加しないも
のに比べて、非常に大きな平均粒径を有する螢光体を得
ることができる。
実施例9 下記材料をビーカーに秤量採取し、これに水を加えて
十分混合した後乾燥する。
La2O3 0.9191モル LaPO4 0.1598モル Pr6O11 0.00033モル Ce(NO3)3・6H2O 0.000012モル 次いで、上記混合物をアクリル製のびんに入れ、さらに
下記材料を加え、びんを回転して内容物を良く混合させ
る。
S 3.29モル Na2CO3 0.452モル Li2CO3 0.452モル K3PO4 0.121モル NH4PF6 0.030モル Li2B4O7 0.060モル この後の工程は実施例1〜8の場合と同様にして焼成、
水洗、酸洗処理等を行った。
得られた螢光体は(La0.999Pr0.001Ce6×10 -6)2O2S:
(F)の組成を有するものであり、その平均粒径は38μ
mであった。
実施例10 実施例9におけるLa2O3およびLaPO4の代りにそれぞれY2
O3およびYPO4を用い、他は実施例9の場合と同様にして
螢光体を製造した。
得られた螢光体は(Y0.999Pr0.001Ce6×10 -6)2O2S:
(F)の組成を有するものであり、その平均粒径は36μ
mであった。
実施例11 実施例3におけるホウ素化合物Li2B4O7の量を0.01モ
ル(希土類元素1グラム原子に対して0.02グラム原子の
ホウ素を含む)とし、他は実施例1〜8の場合と同様条
件で処理して螢光体を製造した。
得られた螢光体は(Gd0.999Pr0.001Ce6×10 -6)2O2S:
(F)の組成を有するものであり、その平均粒径は25μ
mであった。
実施例12 実施例3におけるホウ素化合物Li2B4O7の量を0.2モル
(希土類元素1グラム原子に対して0.4グラム原子のホ
ウ素を含む)とし、他は実施例1〜8の場合と同様条件
で処理して蛍光体を製造した。
得られた螢光体は(Gd0.999Pr0.001Ce6×10 -6)2O2S:
(F)の組成を有するものであり、その平均粒径は45μ
mであった。
実施例13 下記材料をビーカーに秤量採取し、これに水を加えて
十分混合した後乾燥する。
Gd2O3 0.4196モル La2O3 0.4995モル GdPO4 0.1598モル Pr6O11 0.00033モル Ce(NO3)3・6H2O 0.000012モル 次いで、上記混合物をアクリル製のびんに入れ、さらに
下記材料を加え、びんを回転して内容物を良く混合させ
る。
S 3.29モル Na2CO3 0.452モル Li2CO3 0.452モル K3PO4 0.121モル NH4PF6 0.030モル Li2B4O7 0.060モル この混合材料をアルミナるつぼに詰め、アルミナのふた
をした後、空気中1250℃で6時間の焼成を行った。その
後の工程は実施例1〜8の場合と同様の条件で処理して
螢光体の作製を行った。
得られた螢光体は(Gd0.4995La0.4995Pr0.001Ce6×10
-6)2O2S:(F)の組成を有するものであり、その平均
粒径は36μmであった。
実施例14 実施例13におけるLa2O30.4995モルの代りにY2O30.499
5モルを用い、他は実施例13の場合と同様条件で螢光体
を製造した。
得られた螢光体は(Gd0.4995La0.4995Pr0.001Ce6×10
-6)2O2S:(F)の組成を有するものであり、その平均
粒径は35μmであった。
上記の諸実施例においては材料成分の一つとしてフッ
素化合物NH4PF6を用いた場合について説明してきたが、
この代りにKCl等の塩素化合物を用いても同様の結果が
得られている。
また、ホウ素化合物の混合形態として上記諸実施例に
おいてはH2BO3、B2O3、Li2B4O7、K2B4O7、K2B2O4、NaBO
2およびLiBO2の中から選ばれる少なくとも1種の化合物
を用いた場合について説明したが、混合形態としてはこ
れに限定するものではなく、例えばLi2B4O7の代りにLi2
CO3とB2O3との混合物、Na2B4O7の代りにNa2CO3とB2O3
の混合物など反応によって容易に上記化合物を生ずるよ
うな原材料を用いても同様の結果が得られることは言う
までもない。
〔発明の効果〕
以上述べてきたように、シンチレータ用希土類オキシ
サルファイドセラミックス製造用材料としての希土類オ
キシサルファイド螢光体の製造において、本発明の製造
方法、特に焼成材料成分の一つとしてホウ素化合物を希
土類元素1グラム原子当り0.02〜0.4グラム原子の範囲
の量で用いること、によって、従来技術の有していた課
題を解決して、平均粒径の大きな希土類オキシサルファ
イド螢光体を得ることができた。
また、この螢光体を用いて熱間静水圧加圧法でセラミ
ックシンチレータを作製することによって、極めて発光
効率の高いX線CT用検出器を得ることができた。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)、(B)、(C)、(D)、
    (E)、(F)の成分からなる混合物を加熱焼成する工
    程と、次いで、該焼成物を冷却後水洗する工程を含むこ
    とを特徴とする蛍光体の製造方法。 (A)一般式(Ln1-xMx)2O3で表わされる酸化物。ただ
    し、LnはY、La、Gdの中から選ばれる少なくとも1種の
    元素、MはPr、Eu、Tbの中から選ばれる少なくとも1種
    の元素、xは0.00003〜0.1の範囲の値。 (B)元素Ln_のリン酸塩化合物。量はLnとMとの総原
    子数の3〜30原子パーセントの範囲。 (C)加熱分解によってCe2O3を生ずるCe化合物。 (D)加熱により硫化アルカリおよびポリ硫化アルカリ
    を生ずる組成物。 (E)ホウ素化合物。 (F)フッ素化合物あるいは塩素化合物。
  2. 【請求項2】上記ホウ素化合物がH3BO3、B2O3、Li2B
    4O7、Na2B4O7、K2B4O7、K2B2O4、NaBO2およびLiBO2の中
    から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の蛍光体の製造
    方法。
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WO2006049284A1 (ja) * 2004-11-08 2006-05-11 Tohoku Techno Arch Co., Ltd. Prを含むシンチレータ用単結晶及びその製造方法並びに放射線検出器及び検査装置

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