JP2623313B2 - 放射性溶液注射筒及びその包装体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は放射性溶液の注射筒及びその包装体に関す
る。

〔従来の技術〕

放射性医薬品としては、例えば心臓疾患の診断に用い
られている塩化タリウム（²⁰¹T1）注射液や悪性腫瘍、
炎症性病変等の診断に使用されるクエン酸ガリウム（⁶⁷
Ga）注射液等が広く知られている。

而して、これら放射性注射液は、その投与時において
投与者（医師）ができるだけ放射線被曝を受けずに、し
かも患者に対しても安全確実に投与が行なわれる必要が
ある。

然るところ、従来斯かる放射性注射液は、一般に通常
のガラス製注射筒に封入された状態で放射線遮蔽容器に
収納保管せられ、用時に於て当該放射線遮蔽容器から該
ガラス製注射筒を取り出し、次いでその周壁に単なる放
射線遮蔽用鉛管を装着せしめて投与に供せられていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

そのため、従来に於ては上記注射筒取り出し乃至鉛管
装着操作の際、ガラス製注射筒に封入された放射性注射
液による放射線被曝を避け得ないのが実状であり、その
改善は投与者の等しく切望するところであった。

そこで、本発明者は斯かる実状に於て、当該要望に応
えるべき鋭意研究を重ねた結果、常に放射線を遮蔽した
状態で輸送・保管乃至投与をなし得ると共に、極めて利
便性、安全性に優れた本発明を完成したものである。

〔課題を解決するための手段〕

すなわち、本発明はプランジャーロッドの取り付け可
能なガスケットを有し、かつ放射性溶液を封入した注射
用シリンジ体を、鉛ガラス製透視窓部を側壁に有し、か
つ防錆処理を施したタングステン合金製の放射線シール
ド筒体に嵌入すると共に、該放射線シールド筒体の基部
側外周に、突出鍔部を有し、かつフランジキャップを備
えたフランジ筒部を被冠せしめたことを特徴とする放射
性溶液注射筒；並びに当該放射性溶液注射筒の外形に対
応した収納凹所を有する緩衝材を内部に備え、かつ鉛製
内層と合成樹脂製外層を有する二重器体製の放射線シー
ルド容器体に、当該放射性溶液注射筒を収納し、かつ該
放射線シールド容器体開口部に、合成樹脂製蓋部の天板
内面に鉛板を有する放射線シールド蓋体を着脱自在に蓋
合せしめたことを特徴とする放射性溶液注射筒包装体で
ある。

〔実施例〕

以下一実施例を示す図面と共に本発明を更に説明す
る。

１は注射用シリンジ体で、内部に放射性溶液11が、ガ
スケット12及びパッキン13により封止充填せられている
ものである。該注射用シリンジ体１の材質はガラス、合
成樹脂等その如何を問わない。

上記ガスケット12は、使用時に於てプランジャーロッ
ド２の前端部が螺合等の手段により取り付け可能となっ
ている。このプランジャーロッド２は、その前端部をタ
ングステン合金製とし、当該プランジャーロッド２の後
背面への放射線漏れを防ぐ構成とするのが、投与時の放
射線遮蔽をより効果的なものとする上で有利である。

14は注射用シリンジ体１の前端部に取り付けられたプ
ラスチックチップ、また15は該プラスチックチップに被
冠されたゴムキャップであり、該キャップ15を取り外す
ことにより両切針３の刺し込み装着が可能となってい
る。

４は放射線シールド筒体で、両端部が開口すると共
に、前記注射用シリンジ体１の外径に対応した内径を有
する筒体により構成せられているものである。該放射線
シールド筒体４の材質にはタングステン合金が用いられ
ているので、より小型化が可能となっている。また、該
放射線シールド筒体４は、更に銀メッキやラスミン処理
等の防錆処理が施されている。

41は鉛ガラス製透視窓部で、放射線シールド筒体４の
側壁軸方向に所定厚さにて角柱状に形設せられているも
のである。該透視窓部41の具体的大きさは、上記注射用
シリンジ体１内の放射性溶液11の残存量を視認し易い巾
と長さとするのが好ましく、特に投与側方向については
その前端部まで形設するのが、投与時に於ける血管確保
の確認の容易性の点で良い結果が得られる。

42は突出鍔部で、放射線シールド筒体４の基部側外周
部に形設せられており、注射操作の際の指止め作用等を
果すものである。この鍔部42は完全な環状鍔部であって
も一部が欠落した非環状鍔部であっても良く、またその
具体的形設法及び材質もその如何を問わないが、例えば
基端開口縁部にフランジ43を付設すると共に前端開口縁
部に当該突出鍔部42を形設した合成樹脂製フランジ筒部
44を、放射線シールド筒体４の基部側外周に被冠せしめ
て形設するのが簡便であると共に、当該フランジ43にフ
ランジキャップ45を着脱自在に取り付けることにより、
放射線シールド筒体４への前記注射用シリンジ体１の嵌
入固定をより確実なものとすることができる。

本発明放射性溶液注射筒は、斯かる放射線シールド筒
体４に、前記の如き注射用シリンジ体１が嵌入せしめら
れて構成されるが、この嵌入に際してはパッキン13より
前方の注射用シリンジ体１先部が放射線シールド筒体４
外に突出するよう嵌入せしめるのが、投与時に於ける両
切針３の装着操作の点で良い結果を与える。

５は放射線シールド容器体で、上記の放射性溶液注射
筒が収納せられるものである。この容器体５は、安定な
収納保持を可能ならしめるべく、内部に当該放射性溶液
注射筒の外形に対応した収納凹所51aを有する発泡スチ
ロール等の緩衝材51が備えられている。また、該容器体
５は、内層52aを鉛製、外層52bを合成樹脂製とした二重
器体52によって構成されている。

６は放射線シールド蓋体で、上記の容器体５に着脱自
在に蓋合されるものである。この蓋体６は合成樹脂製蓋
部61の天板内面に鉛板62及び紙、発泡スチロール等の緩
衝材63により構成されている。

本発明放射性溶液注射筒包装体は、斯かる容器体５に
前記の如き放射性溶液注射筒を収納し、当該蓋体６を蓋
合せしめて構成せられるが、蓋体６の容器体５への蓋合
手段は着脱自在のものであれば、螺合、嵌合等その如何
を問わない。

また、輸送時に於ては容器体５と蓋体６にシールを施
せば、完全密封することができるので、液漏れによる放
射能汚染を未然に防止することができる。

〔作 用〕

本発明は以上の如く構成されるものであるから、注射
用シリンジ体１及び放射線シールド筒体４より成る放射
性溶液注射筒を放射線シールド容器体５に収納し、放射
線シールド蓋体６を蓋合すれば、放射性溶液11の放射線
は完全に遮蔽された状態に置かれる。

また、投与時に於ては蓋体６を外ずし、第９図に示す
如く、放射性溶液注射筒が容器体５に収納された状態で
プランシャーロッド２を取り付け、次いで容器体５より
該注射筒を引き出し、然かる後、注射筒先端のゴムキャ
ップ15を外ずし、両切針３の短い方を取り付け、患者に
放射性溶液11を投与すれば良いので、放射性溶液11の放
射線は常に放射線シールド筒体４により遮蔽作用を受け
る。

〔発明の効果〕

以上従って、本発明によれば、放射性溶液を安全かつ
確実に輸送・保管し得ると共に、投与操作時に於ても常
に放射線が遮蔽されているため、投与者の放射線被曝を
防止することができる。

しかも、本発明によれば、注射筒自体に放射線遮蔽作
用があるため、従来の如く鉛管装着の必要がなく、極め
て容易に投与操作をなし得、頗る利便性に優れるもので
ある。

更に、本発明によれば、透視窓部が存在するため、注
射用シリンジ体内の放射性溶液残存量を外部より確認し
つつ投与操作をなし得るので、従来の単なる鉛管を装着
した場合に比し、より安全・確実な投与をなし得るもの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図は注射用
シリンジ体の一部断面正面説明図、第２図はプランシャ
ーロッドの正面説明図、第３図は放射線シールド筒体の
正面説明図、第４図はフランジ筒部の正面断面説明図、
第５図はフランジ筒部の右側面説明図、第６図はフラン
ジキャップの正面断面図、第７図はフランジキャップの
右側面説明図、第８図は本発明放射性溶液注射筒包装体
の断面説明図、第９図（１）〜（４）は使用取扱い方法
を示す概略説明図である。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プランジャーロッドの取り付け可能なガス
   ケットを有し、かつ放射性溶液を封入した注射用シリン
   ジ体を、鉛ガラス製透視窓部を側壁に有し、かつ防錆処
   理を施したタングステン合金製の放射線シールド筒体に
   嵌入すると共に、該放射線シールド筒体の基部側外周
   に、突出鍔部を有し、かつフランジキャップを備えたフ
   ランジ筒部を被冠せしめたことを特徴とする放射性溶液
   注射筒。
2. 【請求項２】放射性溶液注射筒の外形に対応した収納凹
   所を有する緩衝材を内部に備え、かつ鉛製内層と合成樹
   脂製外層を有する二重器体製の放射線シールド容器体
   に、請求項１記載の放射製溶液注射筒を収納し、かつ該
   放射線シールド容器体開口部に、合成樹脂製蓋部に天板
   内面に鉛板を有する放射線シールド蓋体を着脱自在に蓋
   合せしめたことを特徴とする放射性溶液注射筒包装体。