JP2621838C - - Google Patents

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JP2621838C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明はレーザービームプリンタ等に用いられる光走査装置に関する。さらに
詳しくは走査レンズ系に関する。 【0002】 【従来の技術】 レーザービーム等を高速に偏向走査して画像情報を記録するレーザービームプ
リンタは、高速、高解像度、低騒音という優れた特徴を有しており、小型化低価
格化が進むにつれ急速にその需要を増やしてきている。そこで、その重要な構成
要素である光書き込みヘッドとして、光走査装置に対しても小型化低価格化の要
求は大きい。光走査装置は大きくわけて光源と偏向器と走査レンズ系とから成る
が、中でも走査レンズ系の単純化は小型化低価格化に有効である。 【0003】 走査レンズ系は偏向器の回動特性にあわせて走査面上で光スポットが等速で移
動するような歪み、例えば偏向器が回転多面鏡であって光ビームが等角速度偏向
されている時は偏向角θと像高Yが比例するような歪みを有し、かつ走査平面上
のいたる所で光スポットを所望の径に均一に結像する機能を有さなければならな
い。さらに回転多面鏡偏向器の場合には多面鏡の各面の傾きのばらつき(面倒れ
誤差)を補償するための面倒れ補正機能も必要となる。これらの機能を兼ね備え
た解像力の高い高性能な走査用レンズは従来必然的に大型・複雑で高価なものに
ならざるを得なかった。 【0004】 そこで特開昭54−98627、特開昭55−7727、特開昭58−570
6等に開示されているように走査用レンズの単玉化が試みられている。ところが
、特開昭54−98627では正弦振動特性を有する偏向器に対してはその回動
特性を利用して形状等のパラメータの種々の値について幅広く良好に収差補正が
可能であるが、高速性等の点から現在も広く使用されている回転多面鏡偏向器の
等角速度回動特性に対してはそれに対応するために非球面化しているものの特殊
な場合としてきわめて限られた条件でしか使用できず、光学系の寸法、光源、必
要とするドット径等の種々の要求に柔軟に対応することができない。 【0005】 また、特開昭55−7727では平凸レンズでfθレンズを構成しているが、
像面湾曲等の点で良好な結像性能を有しているとはいい難い。 また、特開昭58−5706では正のパワーを有するメニスカスレンズでfθ
レンズを構成しているが、球欠像面湾曲の点で問題があり、これを解消するため
に面倒れ補正光学系を兼ねる円筒レンズを付加しなくてはならない。さらに、上
記3例はすべて面倒れ補正機能を付与するためには新たにレンズを付加しなけれ
ばならず、結局単玉レンズではなくなってしまう。また光軸長を長くとって偏向
角を狭めることによって収差を許容範囲内に収めることは可能であるが、光学系
全体が大型するため好ましくない。 【0006】 ところで、小型化低価格化を考えるうえでレンズの材質も重要な問題である。 従来走査用レンズの材質にはガラスが用いられるているが回折限界の性能を要求
される光学系であって要求精度が高いため、研磨等の製造コストが高くつく。そ
こでポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン
等のプラスチックをレンズ媒質に用いれば、射出成形による大量生産が可能とな
るため極めて安価に製造できる。ことろが光学プラスチック材料は種類が少なく
しかもガラスに比べ高屈折率のものがない。従ってレンズ枚数の削減や光学系の
小型化がガラスに比べより困難である。 【0007】 これらの点を総合して、材質の屈折率によらず単玉でしかも光軸長が短くても
収差を良好に補正できるような、自由度の大きなレンズ形状が望まれることがわ
かる。 【0008】 【発明の解決しようとする課題】 本発明は上述のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、小型で低
価格、しかも高性能な光走査装置とくに走査用レンズを提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成する本発明の光走査装置は、細い光束を出射する光源と、該光
束を所定の方向に偏向走査する偏向器と、該偏向器で偏向された光束を被走査平
面上に結像させる走査用レンズとを備え、前記走査用レンズは両面共非球面の単
玉レンズで構成され、子午平面内における前記光束が入射する側の面の曲率半径
の符号が、前記子午平面内における前記光束の入射位置に応じて途中から反転す
ると共に、球欠方向の像面湾曲収差を補正するように、前記単玉レンズの両面の
少なくとも何れか一方の子午平面内での非円弧曲線に沿った位置の球欠方向の曲
率が子午方向の曲率とは相関なく変化するように定められてなることを特徴とす
るものである。 【0010】 この場合、曲率中心がレンズ面より光束射出側にあるとき曲率半径が正、光束
入射側にあるとき曲率半径が負とすると、上記の符号の反転が光線高が大きくな るにつれて途中から正から負に反転するものであることが望ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】 本発明の原理を図1、図2、図3、図4を用いて以下に説明する。 走査用レンズは、前述したように偏向器によって等角速度あるいは正弦振動等
の回動特性で偏向されている光束を被走査平面上に像面湾曲なく結像しまた被走
査平面上で像点が等速で走査されるような歪みを与える機能を有する。例えば偏
向器が回転多面鏡であれば、図1に示されるように光源から出射した光束は鏡面
Mによって多面鏡5の回転に応じた偏向角θで反射されている。走査用レンズ
1はこの光束を被走査平面上で座標値Yが偏向角θと比例した点T1に結像する
よう設定される。本発明の走査用レンズは以下に述べる原理に基づいて図1に示
すS1、S2の両面において非球面の特長が高度に利用された、収差が少なくしか
も広角偏向が可能な単玉レンズである。 【0013】 本発明に係るレンズ面形状の第1の構成原理は、走査される光束が非常に細い
と仮定して、光束を主光線の位置と方向と結像距離のパラメータのみで表し、レ
ンズ面上のある一点はそこを通る主光線のみについて方向あるいは結像距離を変
化させるべく傾きと曲率が定められている、ということである。これを収差補正
の考え方でいえば、球面収差とコマ収差を無視して像面湾曲収差と歪曲収差を高
次の項まで含めて完全に補正するということを意味する。上述の仮定はレーザー
ビームプリンタ等の走査光学系では一般に十分成立する。 【0014】 さらに走査レンズ系は、任意の偏向角で偏向された光束の主光線は必ず同一平
面上にある(これを子午面と呼ぶ)から、光束が非常に細いこととあわせて、面
上で傾きと曲率が指定される点は、子午面とレンズ面が交わった曲線上だけでよ
いことがわかる。従って本発明の第2の構成原理は子午面上に曲線を創成して、
その曲線上の任意の点において子午面内の傾きと曲率とが前述の走査用レンズの
目的を達しており、さらに曲線上の任意の点において主光線を含み子午面に垂直
な断面(球欠断面と呼ぶ)の曲率が与えられれば面が形成できたとすることであ る。 【0015】 ただし、子午方向の傾きと曲率はそれを連続的に接続して子午面内のレンズ面
位置を形成するためそれぞれ独立には定められないが、球欠断面曲率はそれらと
は独立に扱える。従って、子午面内のレンズ面形状のみについて上記第1、第2
の構成原理を適用した光学系も当然本発明の範囲に含まれることは明らかである
。 【0016】 以下、図2の斜視図を用いて本発明に係るレンズの構成原理を具体的に説明す
る。 図2において光束{Li-1}は面Siによって光束{Li}に変換される。光束
{Li}のTiから測った結像距離は子午光束でgmi、球欠光束でgsiとする。一
般にgmiとgsiは等しくない。前述したように光束は非常に細いので光束{Li
}を扱うとき、主光線Lciと子午、球欠それぞれの結像距離gmi、gsiだけを考
えればよい。さて、面Siを通過後の主光線Lciの方向は面SiのTiにおける法
線方向eiで制御することができる。また面Siを通過後の結像距離gmi、gsi
面SiのTiにおける子午断面曲率半径Rmiと球欠断面曲率半径Rsiで制御するこ
とができる。従ってある角度で偏向された光束1本を走査平面上で等速走査が実
現できる位置に結像させる機能をレンズ面上の1点の位置とその微分量(法線方
向と曲率)で持たせることでできたわけで、それを連結させて任意の角度で偏向
された光束に対応したレンズ面上の各点に上記の機能を持たせれば目的とする走
査用レンズ形状が定まるわけである。これが前述の第1の構成原理である。 【0017】 さて、前述したように主光線Lci等は子午面上を離れないため、面Siの法線
方向ベクトルeiも子午面内にあり面の傾きを表す自由度として図2に示す光軸
と法線ベクトルのなす角αiの1自由度でよい。また面Siの子午断面曲率は面の
傾きαiの微分量であり、面の傾きαiは面Siの子午面上の位置の微分量である
から、結局子午面の方向の面の傾きと曲率を指定することは微分方程式を解 いて子午面上の2次元曲線を創成することと同じ意味を持つことがわかる。また
、球欠断面曲率は上記曲線に影響を与えず決定されるものであるから、曲線が創
成された後その曲線上の各点についてそれぞれ決定される。これが第2の構成原
理である。 【0018】 以上述べた構成原理より走査用レンズが実現できるわけであるが、それが両非
球面の単レンズで実現可能であることを図3の原理図を用いて説明する。図3に
おいて紙面は子午面を表している。 【0019】 まず子午面について考える。いま拘束したいのは主光線Lciと被走査平面SI
の交点TIの座標値YIとTIが結像点であることの2自由度である。例えば任意
の角度θで偏向されている光束の走査位置YIを拘束するために面の傾きα1を面
上の全位置で指定し、それに従って滑らかに面を接続した形状は境界条件(例え
ば光軸との交点P1の座標値X1とそこでの傾きが0であること)を指定すれば、
1のように1通りに定まり、その面での曲率半径Rm1を指定することはできず
、光束は被走査平面上にない点TI’で結像してしまう。逆に、結像点を拘束す
るために面の曲率半径Rm1面上の全位置で指定すれば同様に面の傾きα1を指定
することはできない。このように光線の持つパラメータのうちある1つの自由度
を偏向角θの任意の値で拘束するためには1つの面が必要であるから、今、上述
の2自由度を拘束するために、最低2面のレンズ面が必要となる。 【0020】 次に球欠光束について考えると、拘束したいのは球欠方向結像位置gsiの一自
由度であって、これは子午面内で拘束した状態すなわち曲線の形状を保存したま
ま、子午面上の曲線にそれと垂直な方向に曲率をつけることで制御できるため、
前述の2面に新たに面を付け加える必要はない。 【0021】 従って必要なレンズ面は2面で、単玉レンズでよいことがわかる。また2面と
もレンズ面の全位置で傾き、曲率が指定された面であるから単玉レンズは両非球
面でなければならない。 【0022】 さて、ここで上述の構成の単玉非球面レンズの面の対称性について考えてみる
。子午面内に創成された2曲線を光軸等何らかの軸を中心にして回転させると球
欠方向の曲率半径の自由度が失われてしまう。従って回転対称性を持たせると球
欠光束の結像を制御できず球欠像面湾曲収差が生じる。面対称性については、光
束が常に子午面上にあるので明らかに子午面については対称であり、また光軸を
通る光束を偏向角0として偏向角がθの光束と−θの光束とは同じ条件であるか
ら光軸を含み子午面と垂直な平面についても対称である。このように本発明の走
査用レンズは対称面が2面ある以外は対称性がないことによって球欠像面湾曲収
差、子午像面湾曲収差、歪曲特性収差の完全な補正が可能となっている。 【0023】 以下本発明の走査用単玉両非球面レンズの形状を実現する具体的方法を図4の
原理図を用いて説明する。まず、子午面上の2曲線の創成方法を説明する。図4
に示すようにレンズ面S1、S2はそれぞれ光軸との交点P1、P2から曲線に沿っ
た距離S1、S2とその点での光軸に垂直な方向からの傾き角α1、α2との関係で
規定されている。これを直交座標で表現し直すと、面S1、S2について、それぞ
れP1、P2を原点として光軸をx軸、レンズの高さ方向をy軸とすると、点T1
、T2の座標値(x1,y1),(x2,y2)は となる。 【0024】 いま、図4に示すように、光軸上の出射点PMから偏向角θ、子午結像距離gm
0で出射した光束Li(i=0,1,2)が面S1、S2とそれぞれT1、T2で、像
面SIとTIで交わるとし、以下のように光束の出射位置、出射方向を表す。すな
わち ベクトルPM1=(a0cosθ ,a0sinθ ) ベクトルT12=(a1cosθ1,a1sinθ1) (2) ベクトルT21=(a2cosθ2,a2sinθ2) とする。さらに面S1、S2のT1、T2での子午断面曲率半径をそれぞれRm1、R
m2とし、また、光束L1、L2の子午結像距離をgm1、gm2とする。 【0025】 以上の記述方法に従って、前述したレンズ形状の構成原理を定式化することが
できる。定式化を以下に示す6項目に分けて説明する。 面S1、S2と光束の交点において面の傾きによって光束の方向を制御する
。 面S1、S2と光束の交点において面の曲率によって光束の結像距離を制御
する。 面の光束の交点の座標が等しい。 面上の各点は滑らかに連続している。 光束は走査平面上に結像する。 走査平面上で結像点は等速走査される。 【0026】 の屈折面の傾きと光束の方向の関係は、よく知られた屈折の法則をS1、S2
面とL1、L2の交点について適用することによって sin(α1−θ)=nsin(α1−θ1) :S1面 (3) nsin(α2−θ1)=sin(α2−θ2) :S2面 (4) と表せる。ただしnはレンズ媒質の屈折率である。 【0027】 の面の曲率と光束の結像距離の関係は、細い光束がある曲率を持った面に斜
め入射した時の子午結像距離の関係式をS1面、S2面に適用して ncos2(α1−θ1)/gm1 =cos2(α1−θ)/(gm0−a0)+ {ncos(α1−θ1)−cos(α1−θ)}/Rm1 (5) S1面 cos2(α2−θ2)/gm2 =ncos2(α2−θ1)/(gm1−a1)+ {cos(α2−θ2)−ncos(α2−θ1)}/Rm2 (6) S2面 が得られる。 【0028】 については、前出の(1)式で計算される面位置の直交座標値と前出の(2
)式をもとに計算される光線の屈折点の直交座標値が等しいとおいて、 の関係がある。ただしX1は面S1と光軸の交点のx座標値、X2は面S2と光軸の
交点のx座標値である。 【0029】 について、面が連続している条件は、(7)〜(10)式中の積分が可能で
あるということである。また面が滑らかである条件は、面の傾きα1、α2が微分
可能であるということであって dα1/ds1=−1/Rm1 (11) dα2/dS2=−1/Rm2 (12) なる関係がある。 【0030】 の走査平面上で像点が等速走査される条件は像面と光束の交点(XI,YI
が XI=a2cosθ2+a1cosθ1+a0cosθ (13) YI=a2sinθ2+a1sinθ1+a0sinθ (14) の関係があって、かつ走査点位置YIは、偏向器の回動特性 θ=F(τ) (15) を用いて YI=K・F-1(θ) (16) となる。ただしF-1はFの逆関数、τは時間のパラメータ、Kは適当な比例定数
である。例えば今、回動特性が等角速度偏向であった場合、 F(τ)=ωτ ω:角速度 (17) であるから YI=K・θ/ω=f・θ f=K/ω:定数 (18) と書ける。また(13)式のXIは走査面のx座標で光軸長を表している。 【0031】 の走査平面上で結像する条件は、(6)式中の子午光束結像距離gm2が(1
3)、(14)式で表されるa2に等しければ満足される。即ち gm2=a2 (19) 以上のようにして本発明に係るレンズ形状の構成原理が(3)、(4)、(5
)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13
)、(14)、(16)、(19)の14式で定式化されたわけだが、以下にこ れらを計算することによって実際にレンズ面形状が何らかの形で直接表現できる
ことを述べる。式中に現れた変数のうち偏向角θ、初期子午結像距離gm0は出射
時に与えられており既知である。また光軸長XI、面S1、S2の光軸との交点位
置X1、X2、等速走査の定数Kは偏向角θによらない定数値である。従って未知
数は残つたθ1,θ2,α1,α2,s1,s2,gm1,gm2,a0,a1,a2,Rm1
,Rm2,Y1の14個であって、前出の14式はすべて独立であるから、連立方
程式は解けて上記14変数は例えば偏向角θの関数として表現できる。従って例
えば面S1を表現する時は傾きα1と光軸から面に沿った距離s1の関係を偏向角
θをパラメータとして対応させればよい。 【0032】 ところで、上述の14元連立方程式は非線形でかつ微分項と積分項を含んでい
るため、直接解くことはできず数値解法を用いなければならない。数値解法とし
ては種々考えられ本発明はそれを限定するものではないが、ここでは一実施例と
して、微分ベクトル場における数値積分の方法で実際にこの方程式が数値計算で
解けレンズ形状が決定できることを示しておく。 【0033】 微分ベクトル場で解くとは、方程式をすべて微分形式で表して現在の変数の値
はすべて既知としてそれぞれの変数の増分(微分変数)を計算して次の変数の値
を求めるというものである。前出14式を整理して微分形で表すと、(3)、(
4)式は (dα1−dθ)cos(α1−θ) =n(dα1−dθ1)cos(α1−θ1) (20) n(dα2−dθ1)cos(α2−θ1) =(dα2−dθ2)cos(α2−θ2) (21) (5)、(6)式と(11)、(12)式をあわせて {ncos2(α1−θ1)/gm1}ds1 ={cos2(α1−θ)/(gm0−a0)}ds1− {ncos(α1−θ1)−cos(α1−θ)}dα1 (22) {cos2(α2−θ2)/a2}ds2 ={ncos2(α2−θ1)/(gm1−a1)}ds2− {cos(α2−θ2)−ncos(α2−θ1)}dα2 (23) ただし、gm1は(22)、(23)式を連立させて消去する。 【0034】 また(7)〜(10)式は da0cosθ−a0sinθdθ=−sinα1ds1 (24) da0sinθ+a0cosθdθ=cosα1ds1 (25) da1cosθ1−a1sinθ1dθ1+da0cosθ −a0sinedθ=−sinα2ds2 (26) da1sinθ1+a1cosθ1dθ1+da0sinθ +a0cosθdθ=cosα2ds2 (27) (13)、(14)式は 0=da2cosθ2−a2sinθ2dθ2+da1cosθ1− a1sinθ1dθ1+da0cosθ−a0sinedθ (28) dY1=da2sinθ2+a2cosθ2dθ2+da1sinθ1+ a1cosθ1dθ1+da0sinθ+a0cosθdθ (29) (16)式は dY1=K{F-1(θ)}dθ (30) となる。(19)式は単に代入すれば良い。(20)〜(30)式のうち未知で
ある微分変数はdθ1,dθ2,dα1,dα2,ds1,ds2,da0,da1,d
2,dYIであって、上記(20)〜(30)式は(22)、(23)式を連立
させて1個の式にしたものが2次の方程式である以外はすべて1次であるから容
易に解けて、既知の微分変数dθによって例えば dθ1 =Fθ1(θ1,θ2,α1,α2,s1,s2,a0,a1,a2)dθ (31) のように表現できる。これより例えばθ1は、 と積分すれば偏向角θをパラメータとして表現できる。ただしθ0 1は初期値であ
る。実際の計算は初期値をθ1,θ2,α1,α2,s1,s2については0、a0
1,a2については前出のX1,X2,XIの値を用いて a0 0=X10 1=X2−X1 (33) a0 2=X1−X2 として、数値積分によって計算できる。 【0035】 さて、以上のようにして本発明のレンズ形状の子午面上曲線が具体化されるわ
けだが、具体化する過程で現れた定数n,X1,X2,XI,gm0,Kはそのまま
本発明のレンズ形状のとりうる自由度となる。すなわち、ある適当な定数の組{
1 *,X2 *,XI *,gm0 *,K*}の1つについて1つのレンズ形状が存在するわ
けであり、当然本発明はこれらのすべてのものを含んでいる。 【0036】 なお、子午初期結像位置gn0 *を無限大に設定する、すなわち走査用レンズに
入射する前の子午光束を平行光束としておけば、ビーム径等が制御し易く取扱い
易い光学系となる。本発明の走査用レンズは上述のように平行光束に対しても当
然適用可能である。 【0037】 さて次に、球欠結像距離を制御する球欠断面曲率半径Rs1、Rs2の決定方法を
説明する。 (5)、(6)式に細い光束が斜めに入射した時の子午結像距離の関係式を示
したが、球欠結像距離については、 n/gs1=1/(gs0−a0)+ {ncos(α1−θ1)−cos(α1−θ)}/Rs1 :S1面 (34) 1/gs2=n/(gs1−a1)+ {cos(α2−θ2)−ncos(α2−θ1)}/Rs2 :S2面 (35) が成り立つ。被走査平面上に球欠方向の結像点がある条件は gs2=a2 (36) である。(34)、(35)、(36)式によって球欠断面曲率半径Rs1,Rs2
が決定されるわけであるが、式中でa0,a1,a2,α1,α2,θ,θ1,θ2
前述の方法によって子午面曲線がすでに決定されているため既知であり、gs0
与えられているため未知数はgs1,gs2,Rs1,Rs2の4個である。従って方程
式3個に対し冗長自由度があることになり、未知数のうち1つは適当に定めてよ
いことがわかる。例えば面形状の簡単化のため、Rs1を常に無限大にして(34
)式の右辺第2項を0にすれば第1面は球欠方向に曲率を持たない面になる。 【0038】 なお初期球欠結像距離gs0は任意に与えてよいが偏向器が回転多面鏡の場合、 gs0=0 ととれば鏡面の反射点と走査点とが共役像点となって面倒れ補正機能を持たせる
ことができる。 【0039】 【発明の実施の形態】 本発明に係るレンズ形状の構成原理に基づいてレンズ面形状を計算した実施例
を表1から表9までと図5から図12までに示す。 【0040】 前述したように本発明のレンズ形状は、レンズ媒質の屈折率n、初期結像距離
0、レンズの第1面、第2面が光軸と交わる位置X1、X2、光軸長XI、走査速
度定数Kの6個のパラメータをそれぞれ独立に変化させることができ、1つのパ
ラメータの値の組に対して1つのレンズ形状が存在する。従って一見して全く異
質の形状と思われるような実施例が極めて多数存在し、それらすべてを掲げるこ
とは不可能であるため、ここには代表的な実施例を示すにとどめる。 【0041】 以下に示す実施例に共通する計算条件は、 ・レンズ媒質の屈折率 n=1.486 ・偏向点から被走査平面までの光軸長 XI=200mm ・偏向器は回転多面鏡偏向器で等角速度偏向 ・初期子午結像距離gm0は無限大。すなわち走査用レンズに入射する前の光束
は平行光束である。 ・球欠断面曲率は第2面にのみ付与してある。 ・初期球欠結像距離gs0は0。従って回転多面鏡の反射点と走査点は共役像点
となり、面倒れ補正機能が付与されている。 である。 【0042】 なお本発明によるレンズ形状は簡単な数値や数式では表現されず、例えば数値
例として結果が求まる。そこで便宜上、子午面上の曲線形状については周知の非
球面係数を用いた式 x=(y2/R)/[1+√{1−(y/R)2}] +By4+Cy6+Dy8+Ey10 :ただしxは光軸をx軸、面と光軸の交点を原点にとったときのx座標値。
で表し、第2面の球欠断面曲率半径Rs2については Rs2=Rs2 0+Ay2+By4+Cy6+Dy8+Ey10 で表す。このように近似した時の真の形状からの誤差は0.001%〜0.01
%程度である。 【0043】 表1、表2、表3に第1面S1の子午平面上の曲線形状を示す係数Rm1,B1
1,D1,E1を、表4、表5、表6に第2面S2の子午平面上の曲線形状を示す
係数Rm2,B2,C2,D2,E2を、表7、表8、表9に球欠断面方向の曲率半径
変化を示す係数Rs 0,As,Bs,s,Ds,Esを、パラメータθe,X1,X2
変化させて計算した値を掲げる。ただし有効偏向角θeは、前出(18)式の走
査速度係数Kのかわりに用いたパラメータで、有効走査幅を200mmと定める
と、 θe=200/K (rad) である。X1,X2は前出のとおり、第1面S1、第2面S2が光軸と交わる点の位
置である。なお、前述の共通の計算条件のもとで、パラメータの組θe,X1,X
2の値が同じものは同一のレンズとなる。 【0044】 さらに、表に示した実施例中のいくつかのものについて、子午面上の曲線形状
の概観を、光路図とともに図5から図12までに示した。だだし曲線は光軸につ
いて対称であるため、光軸の逆側は省略してある。 ここで掲載された実施例はすべて本発明の構成原理に従って、球欠像面湾曲収
差、子午像面湾曲収差は完全に除去されており、また歪み特性は走査点が等速移
動するように完全に定められている。 【0045】 だだし、完全というのは理想的な状態であって実際のレンズ形状には形状を算
出する時の数値計算誤差、あるいは製造誤差等のため像面湾曲収差、歪曲特性収
差が多少は生じる。もちろんそれらの収差にはある程度の許容範囲があり、その
範囲内であれば走査用レンズとして有効であるから、本発明はそれらを除外する
ものではない。 【0046】 【表1】 【0047】 【表2】 【0048】 【表3】 【0049】 【表4】 【0050】 【表5】 【0051】 【表6】 【0052】 【表7】 【0053】 【表8】 【0054】 【表9】 【0055】 図13に本発明に基づくレンズ形状の一実施例を用いたレーザービームプリン
タの光学系の全体像を表す斜視図を示す。半導体レーザー2から出射した光束は
コリメータレンズ3で平行光束となり、シリンドリカルレンズ4によって球欠方
向にのみ収束させられて回転多面鏡偏向器6の鏡面付近で線状で結像する。光束
は多面鏡5の回転によって子午平面内で等角速度偏向され、本発明による走査用
レンズ1を通過した後、感光ドラム7上に結像する。球欠方向については鏡面と
感光ドラム面が共役結像点となっており面倒れ補正系をなしている。像点は本発
明の走査用レンズ1によって感光ドラム7の軸方向に等速走査され、像面湾曲な
く直線上に結像する。この走査1回につき感光ドラムが1ピッチだけ回転してそ
れが繰返されることによって感光ドラム上に潜像が形成される。 【0056】 【発明の効果】 以上述べてきたように、本発明の光走査装置は走査用レンズが、光束が被走査
平面上で等速で移動するような歪み特性を有し、かつ被走査平面上における光束
の像面湾曲収差が零またはほとんど零となる如く両面が非球面である単玉レンズ
であるため、単玉であってもほとんど収差がなくきわめて良好な結像スポットが
得られまた広角偏向で光軸長の短い走査用レンズが構成できる。また同じ理由に
よりレンズ媒質が低屈折率であっても設計上の何らの支障にならず、従ってレン
ズ媒質のプラスチック化が可能となる。また、図1、図8のように、本発明によ
る走査用レンズの入射側の面の曲率半径の符号が光線高が大きくなるにつれて途
中から正から負に反転するものの場合、走査用レンズをより小型化することがで
きる。従って小型で低価格、しかも高性能な光走査装置を提供することができる 、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の光走査装置の概略の構成を示す原理図である。 【図2】 本発明のレンズ形状を構成する原理を説明するための原理図である。 【図3】 本発明の走査用レンズが単玉両非球面レンズで実現可能であることを説明する
ための原理図である。 【図4】 本発明の走査用レンズの形状を算出する方法を説明するための原理図である。 【図5】 本発明のレンズ形状の1実施例を示した図である。 【図6】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図7】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図8】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図9】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図10】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図11】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図12】 本発明のレンズ形状の別の実施例を示した図である。 【図13】 本発明の光走査装置全体の実施例を示す斜視図である。 【符号の説明】 1…走査用レンズ 2…半導体レーザー 5…多面鏡 6…回転多面鏡偏向器 7…被走査面(感光ドラム)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 細い光束を出射する光源と、該光束を所定の方向に偏向走査
    する偏向器と、該偏向器で偏向された光束を被走査平面上に結像させる走査用レ
    ンズとを備え、前記走査用レンズは両面共非球面の単玉レンズで構成され、子午
    平面内における前記光束が入射する側の面の曲率半径の符号が、前記子午平面内
    における前記光束の入射位置に応じて途中から反転すると共に、球欠方向の像面
    湾曲収差を補正するように、前記単玉レンズの両面の少なくとも何れか一方の子
    午平面内での非円弧曲線に沿った位置の球欠方向の曲率が子午方向の曲率とは相
    関なく変化するように定められてなることを特徴とする光走査装置。 【請求項2】 曲率中心がレンズ面より光束射出側にあるとき曲率半径が正
    、光束入射側にあるとき曲率半径が負とすると、前記の符号の反転が光線高が大
    きくなるにつれて途中から正から負に反転することを特徴とする請求項1記載の
    光走査装置。

Family

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