JP2621521B2 - 自動変速機の変速段制御装置 - Google Patents
自動変速機の変速段制御装置Info
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- JP2621521B2 JP2621521B2 JP1301593A JP30159389A JP2621521B2 JP 2621521 B2 JP2621521 B2 JP 2621521B2 JP 1301593 A JP1301593 A JP 1301593A JP 30159389 A JP30159389 A JP 30159389A JP 2621521 B2 JP2621521 B2 JP 2621521B2
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は、複数の変速段の切換えを自動的に行うよう
に構成した自動変速機の変速段制御装置に関する。
に構成した自動変速機の変速段制御装置に関する。
歯車変速機構と複数個の摩擦係合装置とを備え、油圧
制御装置を作動させることによって前記摩擦係合装置の
係合を選択的に切換え、複数個の変速段のうちのいずれ
が達成されるように構成した車両用の有段自動変速機は
既に広く知られている。 このような自動変速機は、一般に、運転車によって操
作されるシフトレバーと、車速を検出する車速センサ
と、エンジン負荷を反映していると考えられるスロット
ル開度を検出するスロットルセンサとを備え、シフトレ
バーのレンジに応じ、予め設定された車速及びスロット
ル開度の変速マップに従って前記摩擦係合装置の係合状
態を選択的に切換えるように構成してある。 前記変速マップは、例えば、第25図に示されるように
して設定されている。現在、車速n1、スロットル開度
(アクセル開度)θ1のA地点(オーバードライブ段:
第4速段)で走行しているときに、アクセルペダルが踏
込まれてスロットル開度がθ2になると、マップ上の位
置がB地点にまで移動し、自動変速機は第3速段に変速
されることになる(O/D→3の破線参照)。 ところで、従来の自動変速機の変速は、このような構
成を基本とし、該車速−エンジン負荷の変速マップにお
ける変速点(変速マップ上の変速ラインの位置)を、車
速、エンジン負荷以外の走行パラメータに応じて適宜移
動するようにして、より適切な変速段が得られるように
工夫していた。この変速マップの切換え(変更、あるい
は補正)に関する開示は従来多数行われている。 例えば、特開昭62−63251においては、車速センサか
らの信号を油温によって補正する技術が開示されてい
る。特公昭48−9729においては、操舵角によって変速マ
ップを切換える技術が提案されている。特開昭62−3754
9においては、路面傾斜を検出し、該路面傾斜の程度に
応じた変速走行ができるように変速マップを変更・補正
する技術が開示されている。更に、特開昭63−101549に
おいては車両の加速度状態に応じて変速制御を行うよう
に変速マップを変更する技術が開示されている。 しかしながら、このような従来の変速制御にあって
は、種々の走行パラメータ(上記技術の場合、油温、操
舵角、路面傾斜あるいは車両の加速度)を考慮して、ド
ライバーの真に要求する変速段を得るためには、各走行
パラメータの数値がモニタされる毎にその都度スロット
ル開度と車速とによる変速マップの切換え(補正)を行
うか、さもなければ膨大な記憶容量の多次元マップを用
意するかしなければならないという問題があった。 更に、各走行パラメータ相互の関係をきめ細く考慮す
るのは事実上不可能であるため、多くの補正の結果、得
られた変速マップ(=該変速マップによって決定される
変速段)が必ずしも運転者の要望する変速段と合ってい
ないことがあるという問題があった。 具体的に言うと、前述したように油温が低いときには
自動変速機の変速点は高速側に移動され(変速点が高速
側に移動された変速マップが選択され)、エンジンが高
回転状態で始めてアップシフトが行われるように補正さ
れる。又、路面傾斜が急なときも動力性能を確保するた
めに同様な補正が行われる。従って、もし油温が低く、
且つ路面傾斜がきついときは、これらの補正が相乗さ
れ、エンジンがかなり高回転状態とならないと変速を行
わないという状態が発生することになる。 又、例えば前記操舵角が所定値以上のときに不意の駆
動力増強を防止するためにダウンシフトを禁止するとい
う制御を、前記路面傾斜が急なときに駆動力を増強する
ためにダウンシフトさせるという制御とが重なった場合
は、どのように対処したらよいかというような問題も発
生する。 又、例えばアクセルが所定値以上踏まれている状態
で、車両加速度が所定以下、且つ車重が所定値以上の条
件が成立したときにはダウンシフトさせるという制御を
行わせようとした場合、車重がどんなに重いときであっ
ても車両加速度が与えられた閾値値より僅かに低いとき
にはシフトダウンが実行されないことになり、運転車の
現実の要求とは離れたものになってしまう。 このような走行パラメータ間の相互干渉は、走行パラ
メータによる補正制御が多種複雑化する程、無視できな
くなるが、実現的には全ての干渉を円滑に解消するのは
至難である。 近年、自動変速機における変速制御をより高度化する
めに種々の走行パラメータによる変速マップの切換え、
補正制御を多く取入れるようになった。しかしながら、
このような補正制御を多く取入れれば取入れるほど、結
果として実際に行われる変速制御が運転車の現に要望す
る変速制御からずれてしまうことがあるという皮肉な結
果をもたらすことも見出されるようになって来たのであ
る。 このような問題に対し、特開昭63−246546において、
各種検知手段からの信号からファジー推論を行って変速
比を決定する技術が提案されている。
制御装置を作動させることによって前記摩擦係合装置の
係合を選択的に切換え、複数個の変速段のうちのいずれ
が達成されるように構成した車両用の有段自動変速機は
既に広く知られている。 このような自動変速機は、一般に、運転車によって操
作されるシフトレバーと、車速を検出する車速センサ
と、エンジン負荷を反映していると考えられるスロット
ル開度を検出するスロットルセンサとを備え、シフトレ
バーのレンジに応じ、予め設定された車速及びスロット
ル開度の変速マップに従って前記摩擦係合装置の係合状
態を選択的に切換えるように構成してある。 前記変速マップは、例えば、第25図に示されるように
して設定されている。現在、車速n1、スロットル開度
(アクセル開度)θ1のA地点(オーバードライブ段:
第4速段)で走行しているときに、アクセルペダルが踏
込まれてスロットル開度がθ2になると、マップ上の位
置がB地点にまで移動し、自動変速機は第3速段に変速
されることになる(O/D→3の破線参照)。 ところで、従来の自動変速機の変速は、このような構
成を基本とし、該車速−エンジン負荷の変速マップにお
ける変速点(変速マップ上の変速ラインの位置)を、車
速、エンジン負荷以外の走行パラメータに応じて適宜移
動するようにして、より適切な変速段が得られるように
工夫していた。この変速マップの切換え(変更、あるい
は補正)に関する開示は従来多数行われている。 例えば、特開昭62−63251においては、車速センサか
らの信号を油温によって補正する技術が開示されてい
る。特公昭48−9729においては、操舵角によって変速マ
ップを切換える技術が提案されている。特開昭62−3754
9においては、路面傾斜を検出し、該路面傾斜の程度に
応じた変速走行ができるように変速マップを変更・補正
する技術が開示されている。更に、特開昭63−101549に
おいては車両の加速度状態に応じて変速制御を行うよう
に変速マップを変更する技術が開示されている。 しかしながら、このような従来の変速制御にあって
は、種々の走行パラメータ(上記技術の場合、油温、操
舵角、路面傾斜あるいは車両の加速度)を考慮して、ド
ライバーの真に要求する変速段を得るためには、各走行
パラメータの数値がモニタされる毎にその都度スロット
ル開度と車速とによる変速マップの切換え(補正)を行
うか、さもなければ膨大な記憶容量の多次元マップを用
意するかしなければならないという問題があった。 更に、各走行パラメータ相互の関係をきめ細く考慮す
るのは事実上不可能であるため、多くの補正の結果、得
られた変速マップ(=該変速マップによって決定される
変速段)が必ずしも運転者の要望する変速段と合ってい
ないことがあるという問題があった。 具体的に言うと、前述したように油温が低いときには
自動変速機の変速点は高速側に移動され(変速点が高速
側に移動された変速マップが選択され)、エンジンが高
回転状態で始めてアップシフトが行われるように補正さ
れる。又、路面傾斜が急なときも動力性能を確保するた
めに同様な補正が行われる。従って、もし油温が低く、
且つ路面傾斜がきついときは、これらの補正が相乗さ
れ、エンジンがかなり高回転状態とならないと変速を行
わないという状態が発生することになる。 又、例えば前記操舵角が所定値以上のときに不意の駆
動力増強を防止するためにダウンシフトを禁止するとい
う制御を、前記路面傾斜が急なときに駆動力を増強する
ためにダウンシフトさせるという制御とが重なった場合
は、どのように対処したらよいかというような問題も発
生する。 又、例えばアクセルが所定値以上踏まれている状態
で、車両加速度が所定以下、且つ車重が所定値以上の条
件が成立したときにはダウンシフトさせるという制御を
行わせようとした場合、車重がどんなに重いときであっ
ても車両加速度が与えられた閾値値より僅かに低いとき
にはシフトダウンが実行されないことになり、運転車の
現実の要求とは離れたものになってしまう。 このような走行パラメータ間の相互干渉は、走行パラ
メータによる補正制御が多種複雑化する程、無視できな
くなるが、実現的には全ての干渉を円滑に解消するのは
至難である。 近年、自動変速機における変速制御をより高度化する
めに種々の走行パラメータによる変速マップの切換え、
補正制御を多く取入れるようになった。しかしながら、
このような補正制御を多く取入れれば取入れるほど、結
果として実際に行われる変速制御が運転車の現に要望す
る変速制御からずれてしまうことがあるという皮肉な結
果をもたらすことも見出されるようになって来たのであ
る。 このような問題に対し、特開昭63−246546において、
各種検知手段からの信号からファジー推論を行って変速
比を決定する技術が提案されている。
しかしながら、この特開昭63−246546にて開示されて
いる技術は、ファジー推論を用いてはいるが、このファ
ジー推論によって全ての変速段を直接決定するようにし
ていたため、例えば、センサ系にフェイルが発生する等
の不測の事態が生じた場合等にあっては、高速段から低
速段へのダウンシフトが実行されて大きな変速ショック
が発生したりする恐れがあるという問題があった。 即ち、一般にファジー推論によって変速段を決定する
場合には、入力される走行パラメータの数が多く、その
ため、確率的に例えばセンサ系のフェイルの発生がそれ
だけ増大する傾向となるが、この場合に、低速段に急に
ダウンシフトされたりすると、大きな変速ショックが発
生し、運転者に不快感を与える恐れがあるという問題が
あったものである。 本発明は、車速−エンジン負荷から構成される従来通
りのいわゆる変速マップを適宜に採用することにより、
フェイル時等においても急激なダウンシフト等が発生し
ないように考慮した自動変速機の変速制御装置を提供す
ることを目的とする。
いる技術は、ファジー推論を用いてはいるが、このファ
ジー推論によって全ての変速段を直接決定するようにし
ていたため、例えば、センサ系にフェイルが発生する等
の不測の事態が生じた場合等にあっては、高速段から低
速段へのダウンシフトが実行されて大きな変速ショック
が発生したりする恐れがあるという問題があった。 即ち、一般にファジー推論によって変速段を決定する
場合には、入力される走行パラメータの数が多く、その
ため、確率的に例えばセンサ系のフェイルの発生がそれ
だけ増大する傾向となるが、この場合に、低速段に急に
ダウンシフトされたりすると、大きな変速ショックが発
生し、運転者に不快感を与える恐れがあるという問題が
あったものである。 本発明は、車速−エンジン負荷から構成される従来通
りのいわゆる変速マップを適宜に採用することにより、
フェイル時等においても急激なダウンシフト等が発生し
ないように考慮した自動変速機の変速制御装置を提供す
ることを目的とする。
本発明は、第1図にその要旨を示すように、複数の変
速段の切換えをファジー推論を用いることによって自動
的に行うように構成した自動変速機の変速段制御装置に
おいて、前記複数の変速段を、低速段グループと高速段
グループとに分ける手段と、車速及びエンジン負荷で構
成される変速マップにより、基準変速段を求める手段
と、求められた基準変速段が、前記高速段グループに属
するときは、該高速段グループの中から、車速及びエン
ジン負荷以外の走行条件をも考慮した上でファジー推論
を行って目標変速段を決定する手段と、を備えたことに
より、上記目的を達成したものである。
速段の切換えをファジー推論を用いることによって自動
的に行うように構成した自動変速機の変速段制御装置に
おいて、前記複数の変速段を、低速段グループと高速段
グループとに分ける手段と、車速及びエンジン負荷で構
成される変速マップにより、基準変速段を求める手段
と、求められた基準変速段が、前記高速段グループに属
するときは、該高速段グループの中から、車速及びエン
ジン負荷以外の走行条件をも考慮した上でファジー推論
を行って目標変速段を決定する手段と、を備えたことに
より、上記目的を達成したものである。
本発明においては、変速段を低速段グループと高速段
グループとに分け、まず従来と同様に車速−エンジン負
荷からなる変速マップに従って基準変速段を求め、この
基準変速段が高速段グループに属していた場合には、フ
ァジー推論によって選択される最終的な目標変速段が、
高速段グループの中から選択されるようにしている。 この結果、他の走行条件(即ち車速、エンジン負荷以
外の走行条件)をも考慮してファジー推論を行って最終
的な目標変速段が決定されるため、現実の走行条件に即
した最適な変速段を得ることができる一方、ファジー推
論をした結果、最終的に決定される変速段を、高速段グ
ループ内に限定するようにしたため、たとえ(車速、エ
ンジン負荷以外の)センサ系の一部にフェイルが発生し
たような場合等にあっても、予期せぬダウンシフトが行
なわれて大きな変速ショックが発生したするのを防止す
ることができるようになる。 なお、本発明においては、その趣旨から、変速マップ
から基準変速段を決定するために必要な信号系、即ち、
エンジン負荷(スロットル開度、吸気圧etc)及び車速
の信号系がフェイルした場合には有効に機能しないこと
になる。 しかしながら、前述したように一般にファジー演算に
よって変速比を決定する場合は、その利点を最大限に活
かすために数多くの走行パラメータが入力信号として用
いられることが多く、その点でこれらの多くの走行パラ
メータの中で、エンジン負荷及び車速以外の走行パラメ
ータの信号系がフェイルした場合に有効となるものであ
る。 又、従来変速マップによって変速段を決定していたと
きは、車速センサとして2系統設け、電気的なパルス発
生で車速を高精度に検出する系統の他に、スピードメー
タからの車速(ケーブル)信号をバックアップとして使
用できるようになっていた。 ところがファジー演算によって車速の情報を用いると
きは、例えば、車両加速度をとったりする関係上高精度
の電気的車速センサを必要とし、従って従来のようにバ
ックアップしにくいという事情がある。 本発明では、変速マップによって従来通りにまず基準
変速段を求めているため、スピードメータからの車速セ
ンサ系のバックアップ体制を従前通り整えることがで
き、しかもこの基準変速段が高速段グループに属してい
たときには、低低速グループから目標変速段が選択され
ることがないため、少くとも車速信号系に関しては十分
フェイルに対する対策向上が期待できるものである。 なお、本発明は基準変速段が低速段グループに属して
いたときには、目標変速段をどのように決定するかにつ
き特に限定するものではない。従って後述するように、
いくつかの方法の採用が考えられる。
グループとに分け、まず従来と同様に車速−エンジン負
荷からなる変速マップに従って基準変速段を求め、この
基準変速段が高速段グループに属していた場合には、フ
ァジー推論によって選択される最終的な目標変速段が、
高速段グループの中から選択されるようにしている。 この結果、他の走行条件(即ち車速、エンジン負荷以
外の走行条件)をも考慮してファジー推論を行って最終
的な目標変速段が決定されるため、現実の走行条件に即
した最適な変速段を得ることができる一方、ファジー推
論をした結果、最終的に決定される変速段を、高速段グ
ループ内に限定するようにしたため、たとえ(車速、エ
ンジン負荷以外の)センサ系の一部にフェイルが発生し
たような場合等にあっても、予期せぬダウンシフトが行
なわれて大きな変速ショックが発生したするのを防止す
ることができるようになる。 なお、本発明においては、その趣旨から、変速マップ
から基準変速段を決定するために必要な信号系、即ち、
エンジン負荷(スロットル開度、吸気圧etc)及び車速
の信号系がフェイルした場合には有効に機能しないこと
になる。 しかしながら、前述したように一般にファジー演算に
よって変速比を決定する場合は、その利点を最大限に活
かすために数多くの走行パラメータが入力信号として用
いられることが多く、その点でこれらの多くの走行パラ
メータの中で、エンジン負荷及び車速以外の走行パラメ
ータの信号系がフェイルした場合に有効となるものであ
る。 又、従来変速マップによって変速段を決定していたと
きは、車速センサとして2系統設け、電気的なパルス発
生で車速を高精度に検出する系統の他に、スピードメー
タからの車速(ケーブル)信号をバックアップとして使
用できるようになっていた。 ところがファジー演算によって車速の情報を用いると
きは、例えば、車両加速度をとったりする関係上高精度
の電気的車速センサを必要とし、従って従来のようにバ
ックアップしにくいという事情がある。 本発明では、変速マップによって従来通りにまず基準
変速段を求めているため、スピードメータからの車速セ
ンサ系のバックアップ体制を従前通り整えることがで
き、しかもこの基準変速段が高速段グループに属してい
たときには、低低速グループから目標変速段が選択され
ることがないため、少くとも車速信号系に関しては十分
フェイルに対する対策向上が期待できるものである。 なお、本発明は基準変速段が低速段グループに属して
いたときには、目標変速段をどのように決定するかにつ
き特に限定するものではない。従って後述するように、
いくつかの方法の採用が考えられる。
第2図にこの実施例が適用される車両用自動変速機の
全体概要を示す。 この自動変速機は、そのトランスミッション部として
トルクコンバータ部20と、オーバードライブ機構部40
と、前進3段後進1段のアンダードライブ機構部60とを
備える。 前記トルクコンバータ部20は、ポンプ21、タービン2
2、ステータ23、及びロックアップクラッチ24を備えた
周知のものである。 前記オーバードライブ機構部40は、サンギヤ43、リン
グギヤ44、プラネタリピニオン42、及びキャリヤ41から
なる1組の遊星歯車装置を備え、この遊星歯車装置の回
転状態をクラッチC0、ブレーキB0、一方向クラッチF0に
よって制御している。 前記アンダードライブ機構部60は、共通のサンギヤ6
1、リングギヤ62、63、プラネタリピニオン64、65及び
キャリヤ66、67からなる2組の遊星歯車装置を備え、こ
の2組の遊星歯車装置の回転状態、及び前記オーバード
ライブ機構との連結状態をクラッチC1、C2、ブレーキB1
〜B3、及び一方向クラッチF1、F2によって制御してい
る。 このトランスミッション部及びこれを制御する油圧制
御装置の機械的な構成については、これ自体周知である
ため、第2図においてスケルトン図示するにとどめ、詳
細な説明は省略する。 この自動変速機は、上述の如きトランスミッション
部、及びコンピユータ(ECU)84を備える。 コンピユータ84には、エンジン1の出力(トルク)を
反映させるためのスロットル開度θを検出するスロット
ルセンサ80、車速Vを検出する車速センサ(出力軸70の
回転速度センサ)82、運転者の手元におかれたシフトレ
バーの操作位置(D、2、L、R、P、N等の位置)を
検出するシフトレンジセンサ91、エンジンの回転速度を
検出するためのエンジン回転数センサ92、ステアリング
の操舵角を検出する操舵角センサ94等からの各信号が入
力される。 コンピユータ84には、車速−スロットル開度の変速マ
ップが予め記憶されており、後述する制御フローに従っ
てファジー推論によって目標変速段を決定し、自動変速
機がこの目標変速段となるように油圧制御回路86内の電
磁弁S1、S2(シフトバルブ用)、及びSL(ロックアップ
クラッチ用)を駆動・制御し、第3図に示されるような
各クラッチ、ブレーキ等の係合の組合せを行って変速を
実行する。 なお第3図において、○印は当該クラッチあるいはブ
レーキが係合状態とされることを意味し、◎は、当該ワ
ンウエイクラッチが駆動時(エンジン側から車輪側へ動
力が伝達されている状態)において係合(ロック)状態
とされることを意味している。 第4図に前記コンピユータ84において目標変速段を決
定する際の制御フローを示す。 なお、ここではシフトレバーが4つの前進変速段を有
する「D」レンジに選択された場合について説明する。 まず、ステップS1においては、予め設定された変速マ
ップから現在の変速段(現変速段)N、アクセル開度θ
Qc、及び車速Vに基づいて基準変速段N*が決定され
る。変速マップは、自動車の車速V及びアクセル開度θ
Qcをパラメータとして予め設定されており、複数の変速
段を有するシフトレンジ「D」、「2」についてそれぞ
れ定められている。第25図は「D」レンジにおけるシフ
トパターンの一例で、車速Vとアクセル開度θQcとの直
交座標において階段状に変速ラインが設定されており、
実線はアップシフトの変速ラインであり、破線はダウン
シフトの変速ラインである。又、図中の1、2、3、0/
Dは、それぞれ第1速段、第2速段、第3速段、オーバ
ードライブ段(第4速段)を表わしている。 かかる変速マップから、現変速段N及びアクセル開度
θQcに基づいて複数の判定車速V1、V2、V3が設定され、
それらの判定車速と実際の車速Vとを比較して選択すべ
き変速段を表わす基準変速段N*が従来と同様にして決
定される。 第25図に示されている判定車速V1、V2、V3は現変速段
Nが第3速段でアクセル開度θQcが40%の場合であり、
V≦V1であれば第1速段「1」が基準変速段N*として
決定され、V1<V≦V2であれば第2速段「2」が基準変
速段N*として決定され、V2<V≦V3てあれば第3速段
「3」が基準変速段N*として決定され、V3<Vであれ
ばオーバードライブ段「4」が基準変速段N*として決
定される。 なお、上記現変速段Nは、電磁弁S1及びS2に対する出
力信号に基づいて読み込まれる。 又、この実施例では低速段のグループとして第1速
段、高速段のグループとして第2速段〜第4速段が選択
されている。 ステップS2においては、上記基準変速段N*に基づい
て予め定められたファジー化ルールQ1により各変速段
(j=1、2、3、4)の各々について選択されるべき
満足度γQ1(j)が設定される。ファジー化ルールQ1
は、上記基準変速段N*に近いか否かを基準として満足
度γQ1(j)を定めるようになっており、例えば基準変
速段N*については満足度γQ1(j)=1、基準変速段
N*に隣接する変速段N*±1については満足度γ
Q1(j)=0.5、変速段N*±2については満足度γQ1
(j)=0.25、変速段N*±3については満足度γ
Q1(j)=0.15に設定される。 第5図は、例えば基準変速段N*が第3速段の場合に
おける各変速段の満足度γQ1(j)を示す図である。図
中j=1、2、3、4はそれぞれ第1速段、第2速段、
第3速段、0/D段(オーバードライブ段:第4速段)に
対応する。 次いで、ステップS3において「j=1」とされた後、
ステップS4においてjから現変速段Nを引算することに
より変化段数ΔNが算出され、ステップS5においてファ
ジー推論に基づく制御ルールにより実際の走行状態に応
じて各変速段が選択されるべき満足度γR(j)が計算
される。この制御ルールは、現変速段Nに対する変化段
数ΔNに応じて定められており、サブルールA、B、
B′、C、D、E、F、G、Hを用いて以下の4つの制
御ルールR1〜R4が設定されている。なお、制御ルールR1
はΔN=0、即ち現変速段Nを維持する場合に満たすべ
き条件を定めたものであり、制御ルールR2はΔN=+
1、即ち現変速段から1段だけアップシフトする場合に
満たすべき条件を定めたものであり、制御ルールR3はΔ
N=+2、+3、即ち現変速段から2段若しくは3段ア
ップシフトする場合に満たすべき条件を定めたものであ
り、制御ルールR4はΔN=−1、−2、−3、即ち現変
速段から1段、2段、若しくは3段ダウンシフトする場
合に満たすべき条件を定めたものである。 R1=A and B and C R2=A and B′ and C and{(D and E)or(F and G)} R3=A and B′ and C and F and G R4=A and B′ and C and(D or H) 又、上記各サブルールA、B、B′、C、D、E、
F、G、Hは、それぞれ以下の内容を有するものであ
る。 〈サブルールA〉 「目標車両駆動トルクTD *を出力できる」 このサブルールは、各変速段において出力できる駆動
トルクはエンジン特性により定まるため、この出力可能
な駆動トルクの範囲内にこの時の目標車両駆動トルクTD
*が含まれるか否かを判定するもので、このサブルール
を満足する満足度を表わすメンバーシップ関数f
A(TD *)の一例を第6図に示す。第6図における値C1
及びC2は、変速段毎に計算若しくは実験的に定められ、
変速段に対応する前記「j」の値に応じて設定される。
なお、上記メンバーシップ関数fA(TD *)の値、即ち満
足度は0以上1以下の数値で表わされ、1の場合には条
件を完全に満足していることを意味している。以下の各
メンバーシップ関数についても同様である。又、上記目
標車両駆動トルクTD *は、例えば第12図に示されている
ように、車速V及びアクセル開度θQcをパラメータとす
るデータマップ等から求められる。 〈サブルールB〉 「予想回転速度Ne′が目標回転速度Ne*にだいたい近
い」 このサブルールは、例えば前記目標車両駆動トルクTD
*が比較的小さく、第1速段から0/D速段までの複数の
変速段においてその駆動トルクTD *を出力できる場合
に、目標回転速度Ne*に基づいて最適な変速段を選択す
るため、各変速段毎に予想回転速度Ne′を中心として定
められた回転速度範囲内にこの時の目標回転速度Ne*が
含まれるか否かを判定するもので、このルールを満足す
る満足度を表わすメンバーシップ関数fB(Ne*)の一例
を第7図に実線で示す。上記予想回転速度Ne′は、例え
ば車速Vや各変速段の変速比等の関数によって表わさ
れ、変速段に対応する前記「j」の値に応じて設定され
る。又、上記目標回転速度Ne*は、例えば第13図に示さ
れているように、燃費率やエンジンの安定状態、ノッキ
ング等を考慮して予め設定された目標馬力PS(目標車両
駆動トルクTD *×車速Vに比例)をパラメータとするデ
ータマップ等から求められる。 〈サブルールB′〉 「予想回転速度Ne′が目標回転速度Ne*に近い」 このサブルールは上記サブルールBと略同じである
が、現変速段から異なる変速段へ切り換える場合に用い
られるところから、その判定基準を厳しくしたもので、
このサブルールを満足する満足度を表わすメンバーシッ
プ関数fB′(Ne*)の一例を前記第7図に一点鎖線で示
す。 〈サブルールC〉 「予想回転速度Ne′が予め定められた許容範囲内にあ
る」 このサブルールは、エンジン回転速度Neが低過ぎると
エンジンストールを誘引し、高過ぎるとオーバーランと
なるため、そのようなエンジンの作動に支障を生じる回
転速度となることを防止するためのもので、こサブのル
ールを満足する満足度を表わすメンバーシップ関数f
C(Ne′)の一例を第8図に示す。第8図における値C3
及びC4は、搭載されているエンジンの特性に応じて予め
定められる。 〈サブルールD〉 「アクセルが定常状態である」 このサブルールは、アクセルの踏込み操作状況を表わ
すアクセル開度θQcの変化速度Qc(=dθQc/dt)に
応じて運転者の変速段切換えに対する要求を判定するた
めのもので、このサブルールを満足する満足度を表わす
メンバーシップ関数fD(Qc)の一例を第9図に実線で
示す。 〈サブルールE〉 「前回シフト時からの経過時間Tが長い」 このサブルールは、変速段が頻繁に切り換えられるビ
ジーシフトを防止するためのもので、このルールを満足
する満足度を表わすメンバーシップ関数fE(T)の一例
を第10図に示す。 〈サブルールF〉 「アクセルの戻り速度が速い」 このサブルールは、アクセル等度θQcの変化速度Qc
が負で比較的大きいか否かを判定するためのもので、こ
のルールを満足する満足度を表わすメンバーシップ関数
fF(Qc)の一例を前記第9図に一点鎖線で示す。 〈サブルールG〉 「カーブでない」 このサブルールは、カーブの際にアクセルが戻される
ことによってアップシフトが起こることを防止するため
のもので、操舵角θsが小さい場合にはカーブでないと
判定する。このサブルールを満足する満足度を表わすメ
ンバーシップ関数fG(θs)の一例を第11図に示す。 〈サブルールH〉 「アクセルの踏込み速度が速い」 このサブルールは、アクセル開度θQcの変化速度Qc
が正で比較的大きいか否かを判定するためのもので、こ
のサブルールを満足する満足度を表わすメンバーシップ
関数fH(Qc)の一例を前記第9図に二点鎖線で示す。 ファジー推論法においては、「and」は代数積若しく
はミニマム演算等と定義され、「or」は論理和若しくは
マキシマム演算等と定義されるが、ここではそれぞれ代
数積、マキシマム演算と定義すると、前記制御ルールR1
〜R4の満足度γR(j)はそれぞれ次式(1)〜(4)
で求められる。 γR(j) =fA(TD *)×fB(Ne*) ×fC(Ne′) …(1) γR(j) =fA(TD *)×fB′(Ne*) ×fC(Ne′) ×max{fD(Qc)×fE(T),fF(Qc)×fG(θs)} …(2) γR(j) =fA(TD *)×fB′(Ne*) ×fC(Ne′)×fF(Qc) ×fG(θs) …(3) γR(j) =fA(TD *)×fB′(Ne*) ×fC(Ne′) ×max{fD(Qc),fH(Qc)} …(4) ここで、ステップS5A及びS5Bの趣旨については後に述
べるとして、まずS5、S6、S7、S8の一連のステップの一
般的な作用から説明する。 例えば、j=2で現在の変速段Nが「3」の場合に
は、変化段数ΔNは−1となるため、かかるステップS5
においては前述したように制御ルールR4に従って上記
(4)式により第2速段が選択されるべき満足度γ
R(2)が求められる。そして、このようにして満足度
γR(2)が求められると、次のステップS6において、
その満足度γR(2)と前記ステップS2において設定さ
れた満足度γQ1(2)とに基づいて、次式(5)に従っ
てそれらの代数積から第2速段が選択されるべき総合的
な満足度γ(2)が算出される。 γ(2)=γR(2)×γQ1(2) …(5) jが1から4まで変化するとして一般的に表わすと
(5A)のようになる。 γ(j)=γR(j)×γQ1(j) …(5A) その後、ステップS7においてjが4より小さいか否か
が判断され、4より小さい場合にはステップS8において
jに1が加算された後、上記ステップS4以下が繰り返さ
れる。これにより、j=1からj=4、即ち第1速段か
ら0/D段までの各変速段が選択されるべき満足度γ
(1)、γ(2)、γ(3)、γ(4)がそれぞれ算出
される(但し、γ(1)はステップS5A、S5BによりN*
が1のときのみ算出:後述)。具体的には、j=3の場
合にはΔN=0となり、前記ステップS5においては制御
ルールR1に従って上記(1)式により第3速段が選択さ
れるべき満足度γR(3)が求められ。次のステップS6
において第3速段が選択されるべき総合的な満足度γ
(3)が上記(5)式に従って算出される。更に、j=
4の場合にはΔN=+1となり、前記ステップS5におい
ては制御ルールR2に従って上記(2)式により0/D段が
選択されるべき満足度γR(4)が求められ、次のステ
ップS6において0/D段が選択されるべき総合的な満足度
γ(4)が上記(5)式に従って算出される。 ここでステップS5A、S5Bの意味について説明する。ス
テップS5A及びS5Bにおいては、ステップS1において求め
られた基準変速段N*が1でないときには、即ち高速段
のグループに属しているときには、最終的な目標変速段
kが絶対に1(第1速段:低速段グループに属する変速
段)とならないようにするためのもので、具体的には、
ステップS5Aにおいて変速マップによって求められた基
準変速段N*が1でなく、且つγR(j)を計算する際
のjが1であったときには、γR(j)が0となるよう
にしている。この結果、ステップS6においてγ(1)が
必ず0となるため、γ(1)がγ(j)の中で最大値を
とることはあり得ず、目標変速段kとして第1速段が
(低速段グループに属する変速段)選択されることがな
くなるものである。 これにより、例えばセンサ系のフェイル等の何らかの
不測の事態が発生したとしても、自動変速機が高速段状
態から第1速段にダウンシフトされることによって大き
な変速ショックが発生してしまうのを防止することがで
きるようになる。 なお、このステップS5A、S5Bの構成で明らかなよう
に、基準変速段N*が1以外、即ち2〜4であったとき
には最終的な目標変速段kが1となるのが阻止される
が、基準変速段1であったときには、最終的な目標変速
段kが1となり得るものであり、且つ、ファジー推論の
結果第2速段より高い変速段(高速段グループに属する
変速段)にもなり得るものである。これは、たとえ基
準変速段N*が1であったとしても、第2速段以上の方
がより適切である場合が考えられること、及びたとえ
センサ系のフェイル等が発生した場合であっても、アッ
プシフト側にずれるのは特に問題とならないためであ
る。 第14図は現変速段Nが3、即ち第3速段の場合に、上
記ステップS5〜S5Bにおいて算出された満足度γ
R(j)の一例を示す図であり、第15図はステップS6に
おいて算出された総合的な満足度γ(j)の一例で示す
図である。 なお、上記実施例では現変速段Nが第3速段の場合で
あるため、現変速段から2,段アップシフトする場合に満
たすべき条件を定めた前記制御ルールR3は用いられない
が、現変速段Nが第1速段又は第2速段の場合に、第3
速段や0/D段が選択されるべき満足度を判定する際に制
御ルールR3は用いられる。 このようにしてステップS4〜S8が繰り返され、j=4
になるとステップS7の判断はNOとなり、続いてステップ
S9が実行される。このステップS9においては、上記ステ
ップS6において算出された各変速段の満足度γ(j)の
うち最も満足度が高いγ(k)が選択される。即ち例え
ば前記第15図に示されている満足度γ(j)が得られた
場合にはγ(2)がγ(k)として選択され、次のステ
ップS10において、選択すべき目標変速段として上記γ
(k)の「k」、即ち上例では第2速段が決定される。
そして、この決定に従って電磁弁S1及びS2がそれぞれ励
磁されることにより、自動変速機が第3速段から第2速
段へダウンシフトされる。 このように、本実施例の変速制御装置14においては、
基準変速段N*が1のときには、全ての変速段に関して
ファジー推論がなされるが、1以外のときには第1速段
以外の変速段(高速段グループに属する変速段)の中か
ら、ファジー推論がなされ、目標変速段が決定される。
そのため、例えセンサ系にフェイル等が発生したりして
も第1速段にシフトされて大きな変速ショックが発生し
たりするのが防止される。 又、本実施例においては、ステップS1及びS2において
予め定められたアクセル開度θQc及び車速Vをパラメー
タとする変速マップに基づいて変速段毎に選択されるべ
き満足度γQ1(j)が設定されると共に、ステップS5
(及びS5A、S5B)において実際の走行状態に応じて変速
段毎に選択されるべき満足度γR(j)が予め定められ
た制御ルールR1〜R4に従って演算され、それらの満足度
γQ1(j)及びγR(j)に基づいて総合的な満足度γ
(j)がステップS6において算出される。その上で、そ
の総合的な満足度γ(j)が最も高い変速段が選択すべ
き目標変速段としてステップS9及びS10において決定さ
れるため、アクセル開度θQc及び車速Vをパラメータと
する変速マップのみでは対応できない種々の走行状態に
即した最適な変速制御が行われるのである。 しかも、変速マップとファジー推論とを併用して変速
段を選択するようになっているところから、種々の走行
状態を考慮して多数の補正マップやシフトパターンを用
いる場合に比較して、そのプログラム量が少なくて済む
のである。これは、ファジー推論を用いた場合には、変
速段の選択に際して考慮すべき走行パラメータの数に比
例してプログラム量が増加するだけであるのに対し、補
正マップ等を用いる場合には、走行状態を場合分けする
と走行パラメータの数の累乗に略比例する数のマップが
必要となるためであり、より優れた変速制御を行うため
に考慮すべき走行パラメータの数が多くなるに従ってそ
の差は顕著となる。 又、基本的な変速マップが予め定められているところ
から、この点に関するプログラム量はファジー推論を用
いる場合に比較して少なくなり、変速判断をファジー推
論のみに基づいて行う場合に比較して、その分だけ全体
のプログラム量が減少する。因に、これらのプログラム
量の相違を第16図で示すと、本実施例のように変速マッ
プとファジー推論とを併用した場合には第16図の実線の
ようになり、ファジー推論のみで変速制御を行った場合
には同図の一点鎖線のようになるのである。又、同図の
二点鎖線は前記変速マップや補正マップのみで変速制御
を行った場合である。 又、本実施例では変速段毎に算出された総合的な満足
度γ(j)が最も高い変速段を選択するようになってい
るため、例えはファジー推論による演算結果に基づいて
変速マップを補正する場合のように、演算結果から具体
的な補正量を求めるために重心法等により一点化(非フ
ァジー化)を行う必要がなく、この点に関してもプログ
ラム量を少なくできるのである。但し、変速段の決定に
際して、重心法、面積法等により満足度γ(j)の重心
や面積中心等を求め、それに最も近い変速段を選択する
ようにすることも可能である。 更に、本実施例ではファジー推論におけるメンバーシ
ップ関数が、前記第6図〜第11図に示されているように
傾斜を付けて定められているため、その傾斜を適当に定
めることにより運転者の感覚に一層合致した変速制御を
行うことが可能となる。 又、このようなファジー推論による変速制御によれ
ば、例えばアクセル開度の変化速度Qcのように一般に
高精度測定が困難なパラメータを含むような場合でも、
変速制御が良好に行われる等の種々の利点が得られる。 次に、本発明の第2実施例を第17図を用いて説明す
る。 この第2実施例では、ステップS1において基準変速段
N*を求めた後、ステップS1Aにおいてこの求められた
基準変速段N*が1であるか否かを判定し、N*が1で
あったときにはステップS1Bに進んでファジー推論を行
うことなく最終的な目標変速段kを1に確定するように
している。 即ち、ファジー推論は、基準変速段N*が2以上であ
ったときにのみステップS2以降で実行される。ステップ
S2以降については、j=1についての演算が省略され、
jが2〜4とされる。その他は第1実施例と同様である
ため重複説明は省略する。 この第2実施例によれば、基準変速段N*が2〜4の
場合には最終的な目標変速段kが決して第1速段にはな
らないという先の第1実施例と同様な効果に加え、基準
変速段N*が1であったときには、それ以降のファジー
推論を実行する必要がなくなるため、プロクラムの実行
がより簡素化されるという新たな利点が生じる。 一般に、目標変速段を判断するにあたってきめ細かさ
が要求されるのは、高速段の領域である場合が多く、低
速段の領域では従来のアクセル開度θQc−車速Vのマッ
プのみで十分な場合が多い。従って、基準変速段N*が
1(低速段グループ)であるときには、更にファジー推
論を展開したとしてもやはり結果として第1速段が選択
されることが非常に多いという事情がある。 そこで、この第2実施例では、基準変速段が第1速段
であったときには、その段階でファジー推論を展開する
のを止め、プログラムの実行の簡素化を図ったものであ
る。 次に、本発明の第3実施例を説明する。 この第3実施例は第23図から明らかなように前記第1
実施例(第4図)のステップS2の代わりにステップSS2
を設けると共に、ステップS5及びS6の代わりにステップ
SS5を設けたものであるため、その変更部分についての
み説明する。 まず、ステップSS2においては、予め定められた3つ
とファジー化ルールQ1、Q2、Q3によりそれぞれ各変速段
が選択されるべき満足度γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3
(j)が設定される。ファジー化ルールQ1は、前記第4
図の第1実施例と同様に基準変速段N*に近いか否かを
基準として満足度を定めるもので、ファジー化ルールQ2
は、基準変速段N*にだいたい近いか否かを基準として
満足度を定めるもので、ファジー化ルールQ3は、基準変
速段N*に非常に近いか否かを基準として満足度を定め
るものである。基準変速段N*が第3速段の場合にファ
ジー化ルールQ2、Q3によって設定される各変速段の満足
度γQ2(j)、γQ3(j)の一例をそれぞれ第18図、第
19図に示す(γQ1(j)は第5図参照)。 又、ステップSS5は、上記ファジー化ルールQ1、Q2、Q
3を組み入れたファジー推論に基づく5つの制御ルールR
I〜R Vにより、実際の走行状態に応じて各変速段が選
択されるべき総合的な満足度γ(j)が計算される。
今、ステップS5A、S5Bを無視して一般的な説明から先に
行うと、この制御ルールR I〜R Vは、現変速段Nに対す
る変化段数ΔNに応じて定められており、上記ファジー
化ルールQ1、Q2、Q3と前記サブルールD、E、F、G、
Hと新たなサブルールIとを用いて以下のように設定さ
れている。 即ち、上記サブルールIは、「アクセルが全閉であ
る」ことを内容とするもので、該サブルールを満足する
満足度fI(θQc)の一例を第20図に示す。又、上記制御
ルールR IはΔN=0即ち現変速段を維持する場合に満
たすべき条件を定めたものであり、制御ルールR IIはΔ
N=+1即ち現変速段から1段だけアップシフトする場
合に満たすべき条件を定めたものであり、制御ルールR
IIIはΔN=+2、+3即ち現変速段から2段若しくは
3段アップシフトする場合に満たすべき条件を定めたも
のであり、制御ルールR IVはΔN=−1即ち現変速段か
ら1段だけダウンシフトする場合に満たすべき条件を定
めたものであり、制御ルールR VはΔN=−2、−3即
ち現変速段から2段若しくは3段ダウンシフトする場合
に満たすべき条件を定めたものである。 R I=Q2 R II=Q1 and{(D and E)or F} R III=Q3 and F R IV=Q1 and(H or I) R V=Q3 and G and H 又、「and」を代数積、「or」をマキシマム演算と定
義すると、上記制御ルールR I〜R Vの満足度γ(j)は
それぞれ次式(6)〜(10)に従って求められる。 γ(j)=γQ2(j) …(6) γ(j) =γQ1(j) ×max{fD(Qc)×fE(T),fF(Qc)} …(7) γ(j)=γQ3(j)×fF(Qc) …(8) γ(j) =γQ1(j) ×max{fH(Qc),fI(θQc)} …(9) γ(j) =γQ3(j)×fG(θs) ×fH(Qc) …(10) ここで、現在の変速段Nが「3」の場合について具体
的に説明すると、j=1のときはS5A、S5Bによってγ
(1)=0となり、第1速段が選択されるべき総合的な
満足度γ(1)は全くないとされ、j=2のときにはΔ
N=−1となり、制御ルールR IVに従って上記(9)式
により第2速段が選択されるべき総合的な満足度γ
(2)が求められ、j=3のときにはΔN=0となり、
制御ルールR Iに従って上記(6)式により第3速段が
選択されるべき総合的な満足度γ(3)が求められ、j
=4のときにはΔN=+1となり、制御ルールR IIに従
って上記(7)式により0/D段が選択されるべき総合的
な満足度γ(4)が求められる。そして、これらの満足
度γ(j)のうち最も満足度の高い変速段kがステップ
S10において選択されるのである。 S5A、S5Bの趣旨(機能及び効果)については前記第1
実施例と全く同様である。 この第3実施例では上記制御ルールR Iから明らかな
ように、変速マップから求められた基準変速段N*と現
在の変速段Nとが同じ場合には、その現変速段Nが選択
されるべき満足度γ(j)は1となり、他の走行状態に
拘らず現変速段Nが維持されることになる。 又、この第3実施例の変速制御装置によれば、ステッ
プS5A、S5Bについて前記第1実施例と同様な効果が得ら
れるのに加えて、ステップSS2において3種類の満足度
γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3(j)が設定されるた
め、一層運転者の意に即した変速制御が行われ得るよう
になると共に、それらの満足度γQ1(j)、γ
Q2(j)、γQ3(j)を制御ルールR I〜R Vの中に組み
入れて総合的な満足度γ(j)を一度に演算するように
なっているため、プログラム量を更に削減することがで
きる。 ところで、この第3実施例と同じように3種類の満足
度γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3(j)を設定するよう
にしながら、ステップS1A、S1Bについて先の第2実施例
と同様な効果が得られるようにすることもできる。これ
を第24図に示す。なお、説明が重複することになるた
め、個々のステップの具体的な説明は省略する。 以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明し
たが、本発明は更に別の態様で実施することもできる。 例えば、前記実施例では3種類のファジー化ルールQ
1、Q2、Q3について説明したが、第21図、第22図に示さ
れている満足度γQ4、γQ5が得られるように、基準変速
段N*(図では第3速段)に対して変速比が小さいHigh
ギヤ側を重視するファジー化ルールや、逆にLowギヤ側
を重視するファジー化ルールなど、他の種々のファジー
化ルールを採用することも可能である。 又、前記実施例ではファジー推論における「and」、
「or」をそれぞれ代数積、マキシマム演算と定義した場
合について説明したが、これらの定義や推論法を適宜変
更しても差支えない。 又、前記実施例では4つ若しくは5つの制御ルールR1
〜R4、R I〜R Vが定められていたが、この制御ルールの
数や内容即ちサブルールは適宜変更できる。 このように、本発明においては、各種走行条件を考慮
して具体的にどのようにしてファジー推論を行うかにつ
いて限定するものではない。 又、上記実施例の自動変速機は前進4段が達成される
ものが示されており、且つ低速段グループとして第1速
段、高速段グループとして第2速段〜第4速段を設定し
ていたが、本発明においては、変速段の数やグループの
分け方を限定するものではない。例えば、6速、8速の
変速段を達成可能な自動変速機にあっては、低速段グル
ープを第1速段及び第2速段、あるいは第1速段〜第3
速段とし、高速段グループをそれ以降の変速段とするこ
とも可能である。 更に、前記実施例の変速マップはアクセル開度θQcと
車速Vとの直交座標において階段状に設定されている
が、直線、曲線、屈曲線等の変速マップを設定したりす
ることもできる。なお、この変速マップをエンジンの仕
様や運転者の好み(マニュアル設定)等によって補正し
た後、基準変速段N*を求めるようにすることはむろん
可能である。
全体概要を示す。 この自動変速機は、そのトランスミッション部として
トルクコンバータ部20と、オーバードライブ機構部40
と、前進3段後進1段のアンダードライブ機構部60とを
備える。 前記トルクコンバータ部20は、ポンプ21、タービン2
2、ステータ23、及びロックアップクラッチ24を備えた
周知のものである。 前記オーバードライブ機構部40は、サンギヤ43、リン
グギヤ44、プラネタリピニオン42、及びキャリヤ41から
なる1組の遊星歯車装置を備え、この遊星歯車装置の回
転状態をクラッチC0、ブレーキB0、一方向クラッチF0に
よって制御している。 前記アンダードライブ機構部60は、共通のサンギヤ6
1、リングギヤ62、63、プラネタリピニオン64、65及び
キャリヤ66、67からなる2組の遊星歯車装置を備え、こ
の2組の遊星歯車装置の回転状態、及び前記オーバード
ライブ機構との連結状態をクラッチC1、C2、ブレーキB1
〜B3、及び一方向クラッチF1、F2によって制御してい
る。 このトランスミッション部及びこれを制御する油圧制
御装置の機械的な構成については、これ自体周知である
ため、第2図においてスケルトン図示するにとどめ、詳
細な説明は省略する。 この自動変速機は、上述の如きトランスミッション
部、及びコンピユータ(ECU)84を備える。 コンピユータ84には、エンジン1の出力(トルク)を
反映させるためのスロットル開度θを検出するスロット
ルセンサ80、車速Vを検出する車速センサ(出力軸70の
回転速度センサ)82、運転者の手元におかれたシフトレ
バーの操作位置(D、2、L、R、P、N等の位置)を
検出するシフトレンジセンサ91、エンジンの回転速度を
検出するためのエンジン回転数センサ92、ステアリング
の操舵角を検出する操舵角センサ94等からの各信号が入
力される。 コンピユータ84には、車速−スロットル開度の変速マ
ップが予め記憶されており、後述する制御フローに従っ
てファジー推論によって目標変速段を決定し、自動変速
機がこの目標変速段となるように油圧制御回路86内の電
磁弁S1、S2(シフトバルブ用)、及びSL(ロックアップ
クラッチ用)を駆動・制御し、第3図に示されるような
各クラッチ、ブレーキ等の係合の組合せを行って変速を
実行する。 なお第3図において、○印は当該クラッチあるいはブ
レーキが係合状態とされることを意味し、◎は、当該ワ
ンウエイクラッチが駆動時(エンジン側から車輪側へ動
力が伝達されている状態)において係合(ロック)状態
とされることを意味している。 第4図に前記コンピユータ84において目標変速段を決
定する際の制御フローを示す。 なお、ここではシフトレバーが4つの前進変速段を有
する「D」レンジに選択された場合について説明する。 まず、ステップS1においては、予め設定された変速マ
ップから現在の変速段(現変速段)N、アクセル開度θ
Qc、及び車速Vに基づいて基準変速段N*が決定され
る。変速マップは、自動車の車速V及びアクセル開度θ
Qcをパラメータとして予め設定されており、複数の変速
段を有するシフトレンジ「D」、「2」についてそれぞ
れ定められている。第25図は「D」レンジにおけるシフ
トパターンの一例で、車速Vとアクセル開度θQcとの直
交座標において階段状に変速ラインが設定されており、
実線はアップシフトの変速ラインであり、破線はダウン
シフトの変速ラインである。又、図中の1、2、3、0/
Dは、それぞれ第1速段、第2速段、第3速段、オーバ
ードライブ段(第4速段)を表わしている。 かかる変速マップから、現変速段N及びアクセル開度
θQcに基づいて複数の判定車速V1、V2、V3が設定され、
それらの判定車速と実際の車速Vとを比較して選択すべ
き変速段を表わす基準変速段N*が従来と同様にして決
定される。 第25図に示されている判定車速V1、V2、V3は現変速段
Nが第3速段でアクセル開度θQcが40%の場合であり、
V≦V1であれば第1速段「1」が基準変速段N*として
決定され、V1<V≦V2であれば第2速段「2」が基準変
速段N*として決定され、V2<V≦V3てあれば第3速段
「3」が基準変速段N*として決定され、V3<Vであれ
ばオーバードライブ段「4」が基準変速段N*として決
定される。 なお、上記現変速段Nは、電磁弁S1及びS2に対する出
力信号に基づいて読み込まれる。 又、この実施例では低速段のグループとして第1速
段、高速段のグループとして第2速段〜第4速段が選択
されている。 ステップS2においては、上記基準変速段N*に基づい
て予め定められたファジー化ルールQ1により各変速段
(j=1、2、3、4)の各々について選択されるべき
満足度γQ1(j)が設定される。ファジー化ルールQ1
は、上記基準変速段N*に近いか否かを基準として満足
度γQ1(j)を定めるようになっており、例えば基準変
速段N*については満足度γQ1(j)=1、基準変速段
N*に隣接する変速段N*±1については満足度γ
Q1(j)=0.5、変速段N*±2については満足度γQ1
(j)=0.25、変速段N*±3については満足度γ
Q1(j)=0.15に設定される。 第5図は、例えば基準変速段N*が第3速段の場合に
おける各変速段の満足度γQ1(j)を示す図である。図
中j=1、2、3、4はそれぞれ第1速段、第2速段、
第3速段、0/D段(オーバードライブ段:第4速段)に
対応する。 次いで、ステップS3において「j=1」とされた後、
ステップS4においてjから現変速段Nを引算することに
より変化段数ΔNが算出され、ステップS5においてファ
ジー推論に基づく制御ルールにより実際の走行状態に応
じて各変速段が選択されるべき満足度γR(j)が計算
される。この制御ルールは、現変速段Nに対する変化段
数ΔNに応じて定められており、サブルールA、B、
B′、C、D、E、F、G、Hを用いて以下の4つの制
御ルールR1〜R4が設定されている。なお、制御ルールR1
はΔN=0、即ち現変速段Nを維持する場合に満たすべ
き条件を定めたものであり、制御ルールR2はΔN=+
1、即ち現変速段から1段だけアップシフトする場合に
満たすべき条件を定めたものであり、制御ルールR3はΔ
N=+2、+3、即ち現変速段から2段若しくは3段ア
ップシフトする場合に満たすべき条件を定めたものであ
り、制御ルールR4はΔN=−1、−2、−3、即ち現変
速段から1段、2段、若しくは3段ダウンシフトする場
合に満たすべき条件を定めたものである。 R1=A and B and C R2=A and B′ and C and{(D and E)or(F and G)} R3=A and B′ and C and F and G R4=A and B′ and C and(D or H) 又、上記各サブルールA、B、B′、C、D、E、
F、G、Hは、それぞれ以下の内容を有するものであ
る。 〈サブルールA〉 「目標車両駆動トルクTD *を出力できる」 このサブルールは、各変速段において出力できる駆動
トルクはエンジン特性により定まるため、この出力可能
な駆動トルクの範囲内にこの時の目標車両駆動トルクTD
*が含まれるか否かを判定するもので、このサブルール
を満足する満足度を表わすメンバーシップ関数f
A(TD *)の一例を第6図に示す。第6図における値C1
及びC2は、変速段毎に計算若しくは実験的に定められ、
変速段に対応する前記「j」の値に応じて設定される。
なお、上記メンバーシップ関数fA(TD *)の値、即ち満
足度は0以上1以下の数値で表わされ、1の場合には条
件を完全に満足していることを意味している。以下の各
メンバーシップ関数についても同様である。又、上記目
標車両駆動トルクTD *は、例えば第12図に示されている
ように、車速V及びアクセル開度θQcをパラメータとす
るデータマップ等から求められる。 〈サブルールB〉 「予想回転速度Ne′が目標回転速度Ne*にだいたい近
い」 このサブルールは、例えば前記目標車両駆動トルクTD
*が比較的小さく、第1速段から0/D速段までの複数の
変速段においてその駆動トルクTD *を出力できる場合
に、目標回転速度Ne*に基づいて最適な変速段を選択す
るため、各変速段毎に予想回転速度Ne′を中心として定
められた回転速度範囲内にこの時の目標回転速度Ne*が
含まれるか否かを判定するもので、このルールを満足す
る満足度を表わすメンバーシップ関数fB(Ne*)の一例
を第7図に実線で示す。上記予想回転速度Ne′は、例え
ば車速Vや各変速段の変速比等の関数によって表わさ
れ、変速段に対応する前記「j」の値に応じて設定され
る。又、上記目標回転速度Ne*は、例えば第13図に示さ
れているように、燃費率やエンジンの安定状態、ノッキ
ング等を考慮して予め設定された目標馬力PS(目標車両
駆動トルクTD *×車速Vに比例)をパラメータとするデ
ータマップ等から求められる。 〈サブルールB′〉 「予想回転速度Ne′が目標回転速度Ne*に近い」 このサブルールは上記サブルールBと略同じである
が、現変速段から異なる変速段へ切り換える場合に用い
られるところから、その判定基準を厳しくしたもので、
このサブルールを満足する満足度を表わすメンバーシッ
プ関数fB′(Ne*)の一例を前記第7図に一点鎖線で示
す。 〈サブルールC〉 「予想回転速度Ne′が予め定められた許容範囲内にあ
る」 このサブルールは、エンジン回転速度Neが低過ぎると
エンジンストールを誘引し、高過ぎるとオーバーランと
なるため、そのようなエンジンの作動に支障を生じる回
転速度となることを防止するためのもので、こサブのル
ールを満足する満足度を表わすメンバーシップ関数f
C(Ne′)の一例を第8図に示す。第8図における値C3
及びC4は、搭載されているエンジンの特性に応じて予め
定められる。 〈サブルールD〉 「アクセルが定常状態である」 このサブルールは、アクセルの踏込み操作状況を表わ
すアクセル開度θQcの変化速度Qc(=dθQc/dt)に
応じて運転者の変速段切換えに対する要求を判定するた
めのもので、このサブルールを満足する満足度を表わす
メンバーシップ関数fD(Qc)の一例を第9図に実線で
示す。 〈サブルールE〉 「前回シフト時からの経過時間Tが長い」 このサブルールは、変速段が頻繁に切り換えられるビ
ジーシフトを防止するためのもので、このルールを満足
する満足度を表わすメンバーシップ関数fE(T)の一例
を第10図に示す。 〈サブルールF〉 「アクセルの戻り速度が速い」 このサブルールは、アクセル等度θQcの変化速度Qc
が負で比較的大きいか否かを判定するためのもので、こ
のルールを満足する満足度を表わすメンバーシップ関数
fF(Qc)の一例を前記第9図に一点鎖線で示す。 〈サブルールG〉 「カーブでない」 このサブルールは、カーブの際にアクセルが戻される
ことによってアップシフトが起こることを防止するため
のもので、操舵角θsが小さい場合にはカーブでないと
判定する。このサブルールを満足する満足度を表わすメ
ンバーシップ関数fG(θs)の一例を第11図に示す。 〈サブルールH〉 「アクセルの踏込み速度が速い」 このサブルールは、アクセル開度θQcの変化速度Qc
が正で比較的大きいか否かを判定するためのもので、こ
のサブルールを満足する満足度を表わすメンバーシップ
関数fH(Qc)の一例を前記第9図に二点鎖線で示す。 ファジー推論法においては、「and」は代数積若しく
はミニマム演算等と定義され、「or」は論理和若しくは
マキシマム演算等と定義されるが、ここではそれぞれ代
数積、マキシマム演算と定義すると、前記制御ルールR1
〜R4の満足度γR(j)はそれぞれ次式(1)〜(4)
で求められる。 γR(j) =fA(TD *)×fB(Ne*) ×fC(Ne′) …(1) γR(j) =fA(TD *)×fB′(Ne*) ×fC(Ne′) ×max{fD(Qc)×fE(T),fF(Qc)×fG(θs)} …(2) γR(j) =fA(TD *)×fB′(Ne*) ×fC(Ne′)×fF(Qc) ×fG(θs) …(3) γR(j) =fA(TD *)×fB′(Ne*) ×fC(Ne′) ×max{fD(Qc),fH(Qc)} …(4) ここで、ステップS5A及びS5Bの趣旨については後に述
べるとして、まずS5、S6、S7、S8の一連のステップの一
般的な作用から説明する。 例えば、j=2で現在の変速段Nが「3」の場合に
は、変化段数ΔNは−1となるため、かかるステップS5
においては前述したように制御ルールR4に従って上記
(4)式により第2速段が選択されるべき満足度γ
R(2)が求められる。そして、このようにして満足度
γR(2)が求められると、次のステップS6において、
その満足度γR(2)と前記ステップS2において設定さ
れた満足度γQ1(2)とに基づいて、次式(5)に従っ
てそれらの代数積から第2速段が選択されるべき総合的
な満足度γ(2)が算出される。 γ(2)=γR(2)×γQ1(2) …(5) jが1から4まで変化するとして一般的に表わすと
(5A)のようになる。 γ(j)=γR(j)×γQ1(j) …(5A) その後、ステップS7においてjが4より小さいか否か
が判断され、4より小さい場合にはステップS8において
jに1が加算された後、上記ステップS4以下が繰り返さ
れる。これにより、j=1からj=4、即ち第1速段か
ら0/D段までの各変速段が選択されるべき満足度γ
(1)、γ(2)、γ(3)、γ(4)がそれぞれ算出
される(但し、γ(1)はステップS5A、S5BによりN*
が1のときのみ算出:後述)。具体的には、j=3の場
合にはΔN=0となり、前記ステップS5においては制御
ルールR1に従って上記(1)式により第3速段が選択さ
れるべき満足度γR(3)が求められ。次のステップS6
において第3速段が選択されるべき総合的な満足度γ
(3)が上記(5)式に従って算出される。更に、j=
4の場合にはΔN=+1となり、前記ステップS5におい
ては制御ルールR2に従って上記(2)式により0/D段が
選択されるべき満足度γR(4)が求められ、次のステ
ップS6において0/D段が選択されるべき総合的な満足度
γ(4)が上記(5)式に従って算出される。 ここでステップS5A、S5Bの意味について説明する。ス
テップS5A及びS5Bにおいては、ステップS1において求め
られた基準変速段N*が1でないときには、即ち高速段
のグループに属しているときには、最終的な目標変速段
kが絶対に1(第1速段:低速段グループに属する変速
段)とならないようにするためのもので、具体的には、
ステップS5Aにおいて変速マップによって求められた基
準変速段N*が1でなく、且つγR(j)を計算する際
のjが1であったときには、γR(j)が0となるよう
にしている。この結果、ステップS6においてγ(1)が
必ず0となるため、γ(1)がγ(j)の中で最大値を
とることはあり得ず、目標変速段kとして第1速段が
(低速段グループに属する変速段)選択されることがな
くなるものである。 これにより、例えばセンサ系のフェイル等の何らかの
不測の事態が発生したとしても、自動変速機が高速段状
態から第1速段にダウンシフトされることによって大き
な変速ショックが発生してしまうのを防止することがで
きるようになる。 なお、このステップS5A、S5Bの構成で明らかなよう
に、基準変速段N*が1以外、即ち2〜4であったとき
には最終的な目標変速段kが1となるのが阻止される
が、基準変速段1であったときには、最終的な目標変速
段kが1となり得るものであり、且つ、ファジー推論の
結果第2速段より高い変速段(高速段グループに属する
変速段)にもなり得るものである。これは、たとえ基
準変速段N*が1であったとしても、第2速段以上の方
がより適切である場合が考えられること、及びたとえ
センサ系のフェイル等が発生した場合であっても、アッ
プシフト側にずれるのは特に問題とならないためであ
る。 第14図は現変速段Nが3、即ち第3速段の場合に、上
記ステップS5〜S5Bにおいて算出された満足度γ
R(j)の一例を示す図であり、第15図はステップS6に
おいて算出された総合的な満足度γ(j)の一例で示す
図である。 なお、上記実施例では現変速段Nが第3速段の場合で
あるため、現変速段から2,段アップシフトする場合に満
たすべき条件を定めた前記制御ルールR3は用いられない
が、現変速段Nが第1速段又は第2速段の場合に、第3
速段や0/D段が選択されるべき満足度を判定する際に制
御ルールR3は用いられる。 このようにしてステップS4〜S8が繰り返され、j=4
になるとステップS7の判断はNOとなり、続いてステップ
S9が実行される。このステップS9においては、上記ステ
ップS6において算出された各変速段の満足度γ(j)の
うち最も満足度が高いγ(k)が選択される。即ち例え
ば前記第15図に示されている満足度γ(j)が得られた
場合にはγ(2)がγ(k)として選択され、次のステ
ップS10において、選択すべき目標変速段として上記γ
(k)の「k」、即ち上例では第2速段が決定される。
そして、この決定に従って電磁弁S1及びS2がそれぞれ励
磁されることにより、自動変速機が第3速段から第2速
段へダウンシフトされる。 このように、本実施例の変速制御装置14においては、
基準変速段N*が1のときには、全ての変速段に関して
ファジー推論がなされるが、1以外のときには第1速段
以外の変速段(高速段グループに属する変速段)の中か
ら、ファジー推論がなされ、目標変速段が決定される。
そのため、例えセンサ系にフェイル等が発生したりして
も第1速段にシフトされて大きな変速ショックが発生し
たりするのが防止される。 又、本実施例においては、ステップS1及びS2において
予め定められたアクセル開度θQc及び車速Vをパラメー
タとする変速マップに基づいて変速段毎に選択されるべ
き満足度γQ1(j)が設定されると共に、ステップS5
(及びS5A、S5B)において実際の走行状態に応じて変速
段毎に選択されるべき満足度γR(j)が予め定められ
た制御ルールR1〜R4に従って演算され、それらの満足度
γQ1(j)及びγR(j)に基づいて総合的な満足度γ
(j)がステップS6において算出される。その上で、そ
の総合的な満足度γ(j)が最も高い変速段が選択すべ
き目標変速段としてステップS9及びS10において決定さ
れるため、アクセル開度θQc及び車速Vをパラメータと
する変速マップのみでは対応できない種々の走行状態に
即した最適な変速制御が行われるのである。 しかも、変速マップとファジー推論とを併用して変速
段を選択するようになっているところから、種々の走行
状態を考慮して多数の補正マップやシフトパターンを用
いる場合に比較して、そのプログラム量が少なくて済む
のである。これは、ファジー推論を用いた場合には、変
速段の選択に際して考慮すべき走行パラメータの数に比
例してプログラム量が増加するだけであるのに対し、補
正マップ等を用いる場合には、走行状態を場合分けする
と走行パラメータの数の累乗に略比例する数のマップが
必要となるためであり、より優れた変速制御を行うため
に考慮すべき走行パラメータの数が多くなるに従ってそ
の差は顕著となる。 又、基本的な変速マップが予め定められているところ
から、この点に関するプログラム量はファジー推論を用
いる場合に比較して少なくなり、変速判断をファジー推
論のみに基づいて行う場合に比較して、その分だけ全体
のプログラム量が減少する。因に、これらのプログラム
量の相違を第16図で示すと、本実施例のように変速マッ
プとファジー推論とを併用した場合には第16図の実線の
ようになり、ファジー推論のみで変速制御を行った場合
には同図の一点鎖線のようになるのである。又、同図の
二点鎖線は前記変速マップや補正マップのみで変速制御
を行った場合である。 又、本実施例では変速段毎に算出された総合的な満足
度γ(j)が最も高い変速段を選択するようになってい
るため、例えはファジー推論による演算結果に基づいて
変速マップを補正する場合のように、演算結果から具体
的な補正量を求めるために重心法等により一点化(非フ
ァジー化)を行う必要がなく、この点に関してもプログ
ラム量を少なくできるのである。但し、変速段の決定に
際して、重心法、面積法等により満足度γ(j)の重心
や面積中心等を求め、それに最も近い変速段を選択する
ようにすることも可能である。 更に、本実施例ではファジー推論におけるメンバーシ
ップ関数が、前記第6図〜第11図に示されているように
傾斜を付けて定められているため、その傾斜を適当に定
めることにより運転者の感覚に一層合致した変速制御を
行うことが可能となる。 又、このようなファジー推論による変速制御によれ
ば、例えばアクセル開度の変化速度Qcのように一般に
高精度測定が困難なパラメータを含むような場合でも、
変速制御が良好に行われる等の種々の利点が得られる。 次に、本発明の第2実施例を第17図を用いて説明す
る。 この第2実施例では、ステップS1において基準変速段
N*を求めた後、ステップS1Aにおいてこの求められた
基準変速段N*が1であるか否かを判定し、N*が1で
あったときにはステップS1Bに進んでファジー推論を行
うことなく最終的な目標変速段kを1に確定するように
している。 即ち、ファジー推論は、基準変速段N*が2以上であ
ったときにのみステップS2以降で実行される。ステップ
S2以降については、j=1についての演算が省略され、
jが2〜4とされる。その他は第1実施例と同様である
ため重複説明は省略する。 この第2実施例によれば、基準変速段N*が2〜4の
場合には最終的な目標変速段kが決して第1速段にはな
らないという先の第1実施例と同様な効果に加え、基準
変速段N*が1であったときには、それ以降のファジー
推論を実行する必要がなくなるため、プロクラムの実行
がより簡素化されるという新たな利点が生じる。 一般に、目標変速段を判断するにあたってきめ細かさ
が要求されるのは、高速段の領域である場合が多く、低
速段の領域では従来のアクセル開度θQc−車速Vのマッ
プのみで十分な場合が多い。従って、基準変速段N*が
1(低速段グループ)であるときには、更にファジー推
論を展開したとしてもやはり結果として第1速段が選択
されることが非常に多いという事情がある。 そこで、この第2実施例では、基準変速段が第1速段
であったときには、その段階でファジー推論を展開する
のを止め、プログラムの実行の簡素化を図ったものであ
る。 次に、本発明の第3実施例を説明する。 この第3実施例は第23図から明らかなように前記第1
実施例(第4図)のステップS2の代わりにステップSS2
を設けると共に、ステップS5及びS6の代わりにステップ
SS5を設けたものであるため、その変更部分についての
み説明する。 まず、ステップSS2においては、予め定められた3つ
とファジー化ルールQ1、Q2、Q3によりそれぞれ各変速段
が選択されるべき満足度γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3
(j)が設定される。ファジー化ルールQ1は、前記第4
図の第1実施例と同様に基準変速段N*に近いか否かを
基準として満足度を定めるもので、ファジー化ルールQ2
は、基準変速段N*にだいたい近いか否かを基準として
満足度を定めるもので、ファジー化ルールQ3は、基準変
速段N*に非常に近いか否かを基準として満足度を定め
るものである。基準変速段N*が第3速段の場合にファ
ジー化ルールQ2、Q3によって設定される各変速段の満足
度γQ2(j)、γQ3(j)の一例をそれぞれ第18図、第
19図に示す(γQ1(j)は第5図参照)。 又、ステップSS5は、上記ファジー化ルールQ1、Q2、Q
3を組み入れたファジー推論に基づく5つの制御ルールR
I〜R Vにより、実際の走行状態に応じて各変速段が選
択されるべき総合的な満足度γ(j)が計算される。
今、ステップS5A、S5Bを無視して一般的な説明から先に
行うと、この制御ルールR I〜R Vは、現変速段Nに対す
る変化段数ΔNに応じて定められており、上記ファジー
化ルールQ1、Q2、Q3と前記サブルールD、E、F、G、
Hと新たなサブルールIとを用いて以下のように設定さ
れている。 即ち、上記サブルールIは、「アクセルが全閉であ
る」ことを内容とするもので、該サブルールを満足する
満足度fI(θQc)の一例を第20図に示す。又、上記制御
ルールR IはΔN=0即ち現変速段を維持する場合に満
たすべき条件を定めたものであり、制御ルールR IIはΔ
N=+1即ち現変速段から1段だけアップシフトする場
合に満たすべき条件を定めたものであり、制御ルールR
IIIはΔN=+2、+3即ち現変速段から2段若しくは
3段アップシフトする場合に満たすべき条件を定めたも
のであり、制御ルールR IVはΔN=−1即ち現変速段か
ら1段だけダウンシフトする場合に満たすべき条件を定
めたものであり、制御ルールR VはΔN=−2、−3即
ち現変速段から2段若しくは3段ダウンシフトする場合
に満たすべき条件を定めたものである。 R I=Q2 R II=Q1 and{(D and E)or F} R III=Q3 and F R IV=Q1 and(H or I) R V=Q3 and G and H 又、「and」を代数積、「or」をマキシマム演算と定
義すると、上記制御ルールR I〜R Vの満足度γ(j)は
それぞれ次式(6)〜(10)に従って求められる。 γ(j)=γQ2(j) …(6) γ(j) =γQ1(j) ×max{fD(Qc)×fE(T),fF(Qc)} …(7) γ(j)=γQ3(j)×fF(Qc) …(8) γ(j) =γQ1(j) ×max{fH(Qc),fI(θQc)} …(9) γ(j) =γQ3(j)×fG(θs) ×fH(Qc) …(10) ここで、現在の変速段Nが「3」の場合について具体
的に説明すると、j=1のときはS5A、S5Bによってγ
(1)=0となり、第1速段が選択されるべき総合的な
満足度γ(1)は全くないとされ、j=2のときにはΔ
N=−1となり、制御ルールR IVに従って上記(9)式
により第2速段が選択されるべき総合的な満足度γ
(2)が求められ、j=3のときにはΔN=0となり、
制御ルールR Iに従って上記(6)式により第3速段が
選択されるべき総合的な満足度γ(3)が求められ、j
=4のときにはΔN=+1となり、制御ルールR IIに従
って上記(7)式により0/D段が選択されるべき総合的
な満足度γ(4)が求められる。そして、これらの満足
度γ(j)のうち最も満足度の高い変速段kがステップ
S10において選択されるのである。 S5A、S5Bの趣旨(機能及び効果)については前記第1
実施例と全く同様である。 この第3実施例では上記制御ルールR Iから明らかな
ように、変速マップから求められた基準変速段N*と現
在の変速段Nとが同じ場合には、その現変速段Nが選択
されるべき満足度γ(j)は1となり、他の走行状態に
拘らず現変速段Nが維持されることになる。 又、この第3実施例の変速制御装置によれば、ステッ
プS5A、S5Bについて前記第1実施例と同様な効果が得ら
れるのに加えて、ステップSS2において3種類の満足度
γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3(j)が設定されるた
め、一層運転者の意に即した変速制御が行われ得るよう
になると共に、それらの満足度γQ1(j)、γ
Q2(j)、γQ3(j)を制御ルールR I〜R Vの中に組み
入れて総合的な満足度γ(j)を一度に演算するように
なっているため、プログラム量を更に削減することがで
きる。 ところで、この第3実施例と同じように3種類の満足
度γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3(j)を設定するよう
にしながら、ステップS1A、S1Bについて先の第2実施例
と同様な効果が得られるようにすることもできる。これ
を第24図に示す。なお、説明が重複することになるた
め、個々のステップの具体的な説明は省略する。 以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明し
たが、本発明は更に別の態様で実施することもできる。 例えば、前記実施例では3種類のファジー化ルールQ
1、Q2、Q3について説明したが、第21図、第22図に示さ
れている満足度γQ4、γQ5が得られるように、基準変速
段N*(図では第3速段)に対して変速比が小さいHigh
ギヤ側を重視するファジー化ルールや、逆にLowギヤ側
を重視するファジー化ルールなど、他の種々のファジー
化ルールを採用することも可能である。 又、前記実施例ではファジー推論における「and」、
「or」をそれぞれ代数積、マキシマム演算と定義した場
合について説明したが、これらの定義や推論法を適宜変
更しても差支えない。 又、前記実施例では4つ若しくは5つの制御ルールR1
〜R4、R I〜R Vが定められていたが、この制御ルールの
数や内容即ちサブルールは適宜変更できる。 このように、本発明においては、各種走行条件を考慮
して具体的にどのようにしてファジー推論を行うかにつ
いて限定するものではない。 又、上記実施例の自動変速機は前進4段が達成される
ものが示されており、且つ低速段グループとして第1速
段、高速段グループとして第2速段〜第4速段を設定し
ていたが、本発明においては、変速段の数やグループの
分け方を限定するものではない。例えば、6速、8速の
変速段を達成可能な自動変速機にあっては、低速段グル
ープを第1速段及び第2速段、あるいは第1速段〜第3
速段とし、高速段グループをそれ以降の変速段とするこ
とも可能である。 更に、前記実施例の変速マップはアクセル開度θQcと
車速Vとの直交座標において階段状に設定されている
が、直線、曲線、屈曲線等の変速マップを設定したりす
ることもできる。なお、この変速マップをエンジンの仕
様や運転者の好み(マニュアル設定)等によって補正し
た後、基準変速段N*を求めるようにすることはむろん
可能である。
第1図は本発明の要旨を示すブロック図、 第2図は本発明の一実施例である変速制御装置を備えた
自動変速機の構成を示す全体概略図、 第3図は第1図の自動変速機における変速段及びその変
速段を成立させる際の係合要素の係合状態を示す線図、 第4図は第1図の自動変速機の作動を説明する流れ図、 第5図は第3図のステップS2においてファジー化ルール
に従って設定される各変速段の満足度の一例を示す線
図、 第6図〜第11図は、それぞれ第3図のステップS5で用い
られる制御ルールのメンバーシップ関数の一例を示す線
図、 第12図は目標車両駆動トルクを求めるためのデータマッ
プの一例を示す線図、 第13図はエンジンの目標回転速度を求めるためのデータ
マップの一例を示す線図、 第14図は第3図のステップS5における推論結果の一例を
示す線図、 第15図は第3図のステップS6における推論結果の一例を
示す線図、 第16図はパラメータ数に対するプログラム量の増加の程
度について本実施例と従来装置とを比較して示した線
図、 第17図は本発明の第2実施例の作動を説明する流れ図、 第18図及び第19図は、それぞれ第17図のステップSS2に
おいて互いに異なるファジー化ルールに従って設定され
る各変速段の一例を示す線図、 第20図は第17図のステップSS5で用いられる制御ルール
のメンバーシップ関数の一例を示す線図、 第21図及び第22図は、それぞれ上記第5図、第18図、第
19図とは更に異なるファジー化ルールに従って設定され
る各変速段の満足度の一例を示す線図、 第23図及び第24図はそれぞれ本発明の第3、第4実施例
の作動を説明する流れ図である。 第25図は車速−スロットル開度(エンジン負荷)の変速
マップの例を示す線図である。 14……変速制御装置、 32……マイクロコンピュータ、 γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3(j)……設定手段によ
って設定される各変速段の満足度、 γR(j)……第1演算手段によって求められる各変速
段の満足度、 γ(j)……各変速段の総合的な満足度、 fA、fB、fB′、fC、fD、fE、fF、fG、fH、fI……メンバ
ーシップ関数、 N*……基準変速段、 k……目標変速段。
自動変速機の構成を示す全体概略図、 第3図は第1図の自動変速機における変速段及びその変
速段を成立させる際の係合要素の係合状態を示す線図、 第4図は第1図の自動変速機の作動を説明する流れ図、 第5図は第3図のステップS2においてファジー化ルール
に従って設定される各変速段の満足度の一例を示す線
図、 第6図〜第11図は、それぞれ第3図のステップS5で用い
られる制御ルールのメンバーシップ関数の一例を示す線
図、 第12図は目標車両駆動トルクを求めるためのデータマッ
プの一例を示す線図、 第13図はエンジンの目標回転速度を求めるためのデータ
マップの一例を示す線図、 第14図は第3図のステップS5における推論結果の一例を
示す線図、 第15図は第3図のステップS6における推論結果の一例を
示す線図、 第16図はパラメータ数に対するプログラム量の増加の程
度について本実施例と従来装置とを比較して示した線
図、 第17図は本発明の第2実施例の作動を説明する流れ図、 第18図及び第19図は、それぞれ第17図のステップSS2に
おいて互いに異なるファジー化ルールに従って設定され
る各変速段の一例を示す線図、 第20図は第17図のステップSS5で用いられる制御ルール
のメンバーシップ関数の一例を示す線図、 第21図及び第22図は、それぞれ上記第5図、第18図、第
19図とは更に異なるファジー化ルールに従って設定され
る各変速段の満足度の一例を示す線図、 第23図及び第24図はそれぞれ本発明の第3、第4実施例
の作動を説明する流れ図である。 第25図は車速−スロットル開度(エンジン負荷)の変速
マップの例を示す線図である。 14……変速制御装置、 32……マイクロコンピュータ、 γQ1(j)、γQ2(j)、γQ3(j)……設定手段によ
って設定される各変速段の満足度、 γR(j)……第1演算手段によって求められる各変速
段の満足度、 γ(j)……各変速段の総合的な満足度、 fA、fB、fB′、fC、fD、fE、fF、fG、fH、fI……メンバ
ーシップ関数、 N*……基準変速段、 k……目標変速段。
Claims (1)
- 【請求項1】複数の変速段の切換えをファジー推論を用
いることによって自動的に行うように構成した自動変速
機の変速段制御装置において、 前記複数の変速段を、低速段グループと高速段グループ
とに分ける手段と、 車速及びエンジン負荷で構成される変速マップにより、
基準変速段を求める手段と、 求められた基準変速段が、前記高速段グループに属する
ときは、該高速段グループの中から、車速及びエンジン
負荷以外の走行条件をも考慮した上でファジー推論を行
って目標変速段を決定する手段と、 を備えたことを特徴とする自動変速機の変速段制御装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1301593A JP2621521B2 (ja) | 1989-11-20 | 1989-11-20 | 自動変速機の変速段制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1301593A JP2621521B2 (ja) | 1989-11-20 | 1989-11-20 | 自動変速機の変速段制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03163258A JPH03163258A (ja) | 1991-07-15 |
JP2621521B2 true JP2621521B2 (ja) | 1997-06-18 |
Family
ID=17898817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1301593A Expired - Lifetime JP2621521B2 (ja) | 1989-11-20 | 1989-11-20 | 自動変速機の変速段制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2621521B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69222672T2 (de) * | 1991-03-13 | 1998-04-16 | Mitsubishi Motors Corp | Gangwechsel-Steuerverfahren für ein automatisches Fahrzeuggetriebe |
CA2077096C (en) * | 1991-09-04 | 1998-02-03 | Yusuke Hasegawa | Vehicle automatic transmission control system |
JP3218373B2 (ja) * | 1991-11-07 | 2001-10-15 | 株式会社ユニシアジェックス | 自動車用自動変速機の変速制御装置 |
JP3013607B2 (ja) * | 1992-06-12 | 2000-02-28 | 三菱自動車工業株式会社 | 車両用自動変速機の変速制御方法 |
-
1989
- 1989-11-20 JP JP1301593A patent/JP2621521B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03163258A (ja) | 1991-07-15 |
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