JP2620135B2

JP2620135B2 - バルブのステッピング駆動装置

Info

Publication number: JP2620135B2
Application number: JP1091589A
Authority: JP
Inventors: 英男河村
Original assignee: 株式会社いすゞセラミックス研究所
Priority date: 1989-04-11
Filing date: 1989-04-11
Publication date: 1997-06-11
Anticipated expiration: 2012-06-11
Also published as: JPH02271011A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、エンジンの吸排気バルブの軸端部に配設さ
れたリニアパルスモータにより該吸排気バルブを開閉駆
動するバルブのステッピング駆動装置に関する。

（従来の技術）従来の吸排気バルブの開閉駆動装置は、１本のシャフ
トに吸気用及び排気用のカムを配したカムシャフトを、
エンジンの上部もしくは側面に配設する。そしてベルト
等の回転伝達手段によりエンジンの出力軸であるクラン
クシャフトと該カムシャフトとを連結し、クランク角と
同期してカムシャフトを回転駆動する。該回転駆動によ
り、ロッカーアームやプッシングロッド等のリンク機構
を介してカムシャフトのカム面が吸排気バルブの軸端面
を押す。該吸排気バルブはスプリングにより常に閉状態
に保持されており、バルブ軸端面を押されることにより
開口する。

あるいは、吸気用のカムを配した吸気カムシャフトと
排気用のカムを配した排気カムシャフトを面により吸気
バルブの軸端面を、そして排気カムシャフトのカム面に
より排気バルブの軸端面を直接押すことにより吸排気バ
ルブを開口させる。

（発明が解決しようとする課題）このように従来の吸排気バルブの開閉駆動装置は、カ
ムシャフト及びリンク機構をエンジンに付設せねばなら
ず、そのためエンジンが大型化する。また、該カムシャ
フト及びリンク機構はエンジンの出力軸により駆動され
るため、該カムシャフト及びリンク機構を駆動する際の
摩擦抵抗等によりエンジン出力の一部が消費され、エン
ジンの実効出力が低下する。またエンジン運転中に吸排
気バルブの開閉タイミングを変更できず、所定のエンジ
ン回転数に合わせてバルブ開閉タイミングを調整するた
め、該所定の回転数と異なる回転数での運転時にはエン
ジンの出力及び効率が低下する。

上記問題を解決するために、カムシャフトによらず電
磁石により吸排気バルブの開閉駆動を行なう装置が、特
開昭58−183805号公報、あるいは特開昭61−76713号公
報に記載されている。しかし、上記２公報に記載されて
いる装置において開示された電磁石の構成では、吸排気
バルブの駆動と共に電磁石と磁性体との距離が変化し、
電磁力が急激に変化するため吸排気バルブの動作は極め
て不安定であるという欠点を有する。

本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、エンジ
ンの吸排気バルブの開閉駆動を、カムシャフトによらず
に該吸排気バルブの軸端部に配設したリニアパルスモー
タにより開閉駆動を行ない、吸排気バルブの移動に対し
安定した開閉動作を行なうバルブのステッピング駆動装
置を提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段）本発明によれば、エンジンの吸排気バルブに連結し該
バルブの往復運動方向に所定間隔離れて配列された２つ
の可動磁極と、該可動磁極の個々に磁力線を発生される
２つのコイルと、該可動磁極と対峙しエンジンに固定さ
れ該可動磁極の間隔と異なる間隔で、極性が交互に配列
された複数個の永久磁石と、上記コイルへの通電を制御
し、可動磁極と永久磁石との間に作用する電磁力を所定
方向に一致させる通電制御手段とを有するバルブのステ
ッピング駆動装置を提供できる。

（作用）本発明のバルブのステッピング駆動装置では、吸排気
バルブの開閉を該吸排気バルブの軸端部に配設したリニ
アパルスモータにより行なうため、該吸排気バルブに対
する駆動力は開閉移動により変化せず、安定した開閉動
作が行なえる作用がある。

（実施例）以下、本発明の一実施例を図面に従って詳細に説明す
る。

第１図は本発明による駆動装置を示すブロック図であ
る。

７はエンジンであり、該エンジン７の出力軸近傍には
該出力軸の回転数及びクランク角を検知し信号に変換す
る回転センサ71が配設されている。エンジン７内には吸
排気口を開閉制御するための吸排気バルブが配設されて
いるが、以下主に吸気バルブについて説明する。

１はセラミックス等の高強度軽量材料で形成された吸
気バルブであり、該吸気バルブ１はバルブガイド12によ
り軸部を軸方向に対し自在に軸承されている。吸気管路
の終点である吸気口にはバルブシート13が配設され、吸
気バルブ１の傘部とバルブシート13とが密着し該吸気口
を閉鎖している。また吸気バルブ１の軸端部外周には、
上部磁極23を有する上部磁性体21と、下部磁極33を有す
る下部磁性体31とが嵌合しており、上部磁極23と下部磁
極33とは樹脂等からなるシム14を介し所定ピッチで並設
されている。

上部磁極23及び下部磁極33の外周部には、永久磁石41
・42・43・44が該上部磁極23及び下部磁極33と対向し、
該対向側磁極が永久磁石41から順次Ｓ・Ｎ・Ｓ・Ｎ極と
交互に吸気バルブの移動方向に、かつ、磁性体からなる
スペーサ46を介し、上記上部磁極23と下部磁極33とのピ
ッチの1.5倍のピッチで並設されている。（該永久磁石4
1・42・43・44のピッチをＰとする。）また永久磁石41
の上部には磁性体からなり上部磁性体21の側面と対向す
る上部磁気通路45が接続しており、永久磁石44の下部に
は同じく磁性体からなり下部磁性体31の側面と対向する
下部磁気通路47が接続している。

該上部磁気通路45には、上部磁性体21に磁力線を発生
させ上部磁極23の極性を制御する上部コイル22が配設さ
れている。また、下部磁気通路47には下部磁性体31に磁
力線を発生させ下部磁極33の極性を制御する下部コイル
32と、吸気バルブ１の移動位置を検知する位置センサ６
が配設されている。そして、上部磁性体21と上部コイル
22とにより電磁石２が構成され、下部磁性体31と下部コ
イル32とにより下部電磁石３が構成される。尚、上記下
部磁性体31とバルブガイド12との間にはスプリング11が
設けられており、電磁石２及び３の不稼動時における吸
気バルブ１の降下を防止する。

上記回転センサ71及び位置センサ６の出力信号の入出
力インターフェイス54を介してコントロールユニット５
に入力される。そして、吸気バルブ１の駆動信号が、同
じく入出力インターフェイス54を介して信号S1が上部コ
イル22へ、信号S2が下部コイル32へ出力される。

上記コントロールユニット５は入出力インターフェイ
ス54の他に、データ及び演算結果を一時記憶するRAM5
3、プログラム及び各種の関係マップを記憶するROM52、
ROM52に記憶されたプログラムの下に演算を行なうCPU5
1、コントロールユニット５内部の信号の流れを制御す
るコントロールメモリ55などにより構成されている。

次に本発明の、吸気バルブ１の駆動原理について第２
図を用いて説明する。

第２図は、駆動部分の詳細図である。図の（ａ）〜
（ｆ）は各々上部電磁石、下部電磁石３及び永久磁石41
・42・43・44の第１図における右側を示している。但
し、上部コイル22及び下部コイル32の記載は省略してい
る。

（ａ）は吸気バルブ１が閉位置にある状態を示してい
る。該状態において、コントロールユニット５から出力
される信号S1及びS2により上部磁極23及び下部磁極33共
にＮ極となっており、上部磁極23と永久磁石41との間に
は吸引力、下部磁極33と永久磁石41との間には吸引力、
下部磁極33と永久磁石42との間には反発力が作用してい
る。該３つの力は釣合ってはおらず、合成力は吸気バル
ブ１を上方向へと駆動する力となるが、吸気バルブ１は
すでにバルブシート13に着座しているため、上方向へは
該状態以上移動できず、よって該状態で停止し保持され
る。

次に、信号S2を反転し、下部磁極33のＮ極をＳ極へと
変更する。すると、上部磁極23と永久磁石41との間、及
び下部磁極33と永久磁石42との間には共に吸引力が作用
し、吸気バルブ１は該２つの吸引力が釣合う（ｂ）の位
置で保持される。尚、（ａ）の状態から（ｂ）の状態へ
の移動量は、前記永久磁石のピッチＰに対して微小量に
設定されており、本図においては1/4Pである。

（ｂ）の状態から、信号S1を反転し、上部磁極23のＮ
極をＳ極へと変更する。すると、上部磁極23と永久磁石
41との間、及び下部磁極33と永久磁石43との間には排斥
力が作用し、上部磁極23と永久磁石43との間、及び下部
磁極33と永久磁石42との間には引力が作用し、磁気バル
ブ１は該２つの吸引力と２つの反発力とが釣合う（ｃ）
の位置で保持される。

次に、信号S2を反転し、下部磁極33のＳ極をＮ極へと
変更する。すると、上部磁極23と永久磁石42との間、及
び下部磁極33と永久磁石43との間には共に吸引力が作用
し、吸気バルブ１は該２つの吸引力が釣合う（ｄ）の位
置で保持される。

次に、信号S1を反転し、上部磁極23のＳ極をＮ極へと
変更する。すると、上部磁極23と永久磁石42との間、及
び下部磁極33と永久磁石44との間には排斥力が作用し、
上部磁極23と永久磁石43との間、及び下部磁極33と永久
磁石43との間には引力が作用し、吸気バルブ１は該２つ
の吸引力と２つの反発力とが釣合う（ｅ）の位置で保持
される。

そして、信号S2を反転し、下部磁極33のＮ極をＳ極へ
と変更する。すると、上部磁極23と永久磁石43との間、
及び下部磁極33と永久磁石44との間には共に吸引力が作
用し、吸気バルブ１は該２つの吸引力が釣合う（ｆ）の
位置で保持される。

尚、（ｂ）〜（ｃ）〜（ｄ）〜（ｅ）〜（ｆ）間の移
動量は共に1/2Pである。よって、信号S1及びS2の反転状
態を制御することにより、吸気バルブ１の移動位置を制
御することが可能である。

次に本発明の作用について、第３図を用いて説明す
る。

第３図は、クランク角と吸気バルブ１の位置との関係
を示す図である。図において、横軸はクランク角を示
し、縦軸はバルブ位置を示す。

回転センサ71によって検知されるクランク角が吸気バ
ルブ１の開タイミングになると、コントロールユニット
５はエンジン７の回転数信号とアクセルペダルの踏込量
信号（図示せず）とからエンジン負荷を計算し、回転数
と負荷に応じた吸気バルブ１の開閉速度及び開度を、RO
M52に記憶されている関係マップを基にして演算する。
該演算結果に基づいた信号S1及びS2により、吸気バルブ
１は開方向へと駆動され、上記（ｃ）〜（ｆ）の内から
演算された所定開度の位置で保持された後、閉方向へと
駆動され吸気口を閉鎖する。

該閉鎖時における着座衝撃を緩和するため、一旦上記
（ｂ）に示す位置まで駆動し、閉方向の速度を減速した
後、（ａ）に示す状態とする。そして、次の開タイミン
グになるまで該閉鎖状態を保持する。

また、吸気バルブ１が駆動状態にある時、信号S1及び
S2の出力状態に対応する位置と、位置センサ６からの吸
位置信号とを比較し、出力状態に対応する位置と実際の
位置とが相違する場合には所定の動作により閉状態へ戻
り、故障診断を行なう。

以上、主に吸気バルブについて本発明の一実施例を説
明したが、排気バルブについても同様に本発明による駆
動装置が適用できることは明白である。尚、本発明の精
神から逸れないかぎりで、種々の異なる実施例は容易に
構成できるから、本発明は前記特許請求の範囲において
記載した限定以外、特定の実施例に制約されるものでは
ない。

（発明の効果）以上説明したように、本発明によれば、エンジンの吸
排気バルブの開閉駆動を、カムシャフトによらずに該吸
排気バルブの軸端部に配設したリニアパルスモータによ
り開閉駆動を行なうので吸排気バルブに対する駆動力は
開閉移動により変化せず、安定した開閉動作が行なえる
バルブのステッピング駆動装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示すブロック図、第２図
は、吸気バルブの駆動原理を示す図、第３図は、クラン
ク角と吸気バルブ１の位置との関係を示す図である。１……吸気バルブ、２……上部電磁石、３……下部電磁
石、５……コントロールユニット、６……位置センサ、
７……エンジン、41・42・43・44……永久磁石、71……
回転センサ。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】エンジンの吸排気バルブに連結し、該バル
ブの往復運動方向に所定間隔離れて配列された複数個の
可動磁極と、エンジンに固定され、該可動磁極の各々の
極性を制御するコイルと、該可動磁極と対峙しエンジン
に固定され、該可動磁極の間隔と異なる間隔で配列され
た極性が交互な複数個の永久磁石と、上記コイルへの通
電を制御し、可動磁極と永久磁石との間に作用する電磁
力を所定方向に一致させる通電制御手段とを有すること
を特徴とするバルブのステッピング駆動装置。
【請求項２】上記吸排気バルブはセラミックスで形成さ
れていることを特徴とする請求項（１）記載のバルブの
ステッピング駆動装置。
【請求項３】上記可動磁極は２個であることを特徴とす
る請求項（１）又は（２）記載のバルブのステッピング
駆動装置。