JP2606739B2 - バルブの駆動装置 - Google Patents

バルブの駆動装置

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JP2606739B2
JP2606739B2 JP1106579A JP10657989A JP2606739B2 JP 2606739 B2 JP2606739 B2 JP 2606739B2 JP 1106579 A JP1106579 A JP 1106579A JP 10657989 A JP10657989 A JP 10657989A JP 2606739 B2 JP2606739 B2 JP 2606739B2
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英男 河村
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株式会社いすゞセラミックス研究所
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、エンジン吸排気を制御するバルブの駆動装
置に関する。
(従来の技術) 通常のエンジンにおける吸排気バルブの開閉駆動装置
は、カムシャフト及びリンク機構をエンジンに付設して
おり、そのためにエンジンが大型化している。また該カ
ムシャフトはエンジンの出力軸により駆動されるため、
カムシャフト及びリンク機構を駆動する際の摩擦抵抗等
によりエンジン出力の一部が消費され、エンジンの実効
出力が低下する。さらにエンジンの回転速度に応じて吸
排気バルブの開閉タイミングを変更することが困難であ
り、予め特定エンジン回転数に合わせてバルブ開閉タイ
ミングを調整しているため、エンジンが該特定のエンジ
ン回転数より高速、あるいは低速で運転される時には、
エンジンの出力及び効率の低下が避けられない。
上記問題点は、吸排気バルブの開閉駆動をカムシャフ
トによらず電磁石で行なうことにより解決され得る。こ
うしたバルブの駆動装置は、特開昭58−183805号公報、
あるいは特開昭61−76713号公報に記載されている。
(発明が解決しようとする課題) このような吸排気バルブのシャフト部に可動磁極を形
成し、エンジンに固定された磁極との間で作用する磁力
により該シャフト部を往復させバルブの開閉を制御する
バルブの駆動装置は、吸排気バルブ共に開閉動作途中で
は小駆動力で制御できるが、開動作開始時にはシリンダ
の内圧に抗して駆動しなければならず、一般的に開方向
への大駆動力が必要とされる。
しかし、上記2つの公報により開示されているバルブ
の駆動装置では、開動作開始時において、特に駆動力を
増強する構成は記載されていない。また、クランク角を
検出して所定のタイミングでバルブに開動作指令を与え
ても、バルブ駆動装置がエンジン回転速度と無関係に一
定の遅れ時間をもって動作を開始することになれば、エ
ンジン効率を最大にするタイミングでのバルブの開閉が
できないことになる。
そこで、バルブに対する初期駆動力はエンジン回転速
度の増加に応じて増大するように設定することが不可欠
であるが、それに必要な電磁力を発生させて開閉制御す
るには装置が大型となるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもの
で、装置が小型でありながら開動作開始時に吸排気バル
ブに対し作用させる開方向への初期駆動力を、エンジン
回転数の増加に伴ない増大させることができるバルブの
駆動装置を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段) 本発明によれば、エンジン吸排気を制御するバルブの
シャフトに可動磁極を形成し、エンジンに固定された磁
極との間で作用する磁力により該シャフトを往復させバ
ルブの開閉を制御するバルブの駆動装置において、前記
バルブの開動作開始時における該開動作を加速する加速
手段と、前記エンジンの回転速度に応じて前記加速手段
の加速度を制御する制御手段とを具備したことを特徴と
するバルブの駆動装置を提供できる。
(作用) 本発明のバルブの駆動装置では、開動作開始時におけ
る吸排気バルブへの初期駆動力をエンジン回転速度の増
加に伴ない増大させるので、吸排気バルブの開動作遅れ
がなく、よって、各回転速度において最適条件でエンジ
ンを運転することができる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面に従って詳細に説明す
る。
第1図は本発明の実施例を示すブロック図である。
1は、セラミックス等の高強度軽量材料で形成された
排気バルブであり、エンジン排気を制御するために軸端
部には、可動磁極を形成する円形の永久磁石2が嵌合さ
れている。この排気バルブ1の軸端部は、円筒状の磁性
体からなる磁気通路21により被覆されており、該磁気通
路21の外周は、エンジンに固定された電磁石3が固定磁
極を形成している。この電磁石3には、排気バルブ1の
移動位置を検知し、位置信号を出力する位置センサ4が
設置されている。該位置センサ4は、エンジン6を電子
制御するコントロールユニット5に接続されている。
また、電磁石3の上部には上部コイル72と、永久磁石
2のN極である磁極22と対向する上部磁極71とからなる
上部電磁石7が接続されおり、該上部コイル72はコント
ロールユニット5に接続されている。
そして、排気バルブ1は、エンジン6に対してバルブ
ガイド8により軸部がその軸方向に往復動可能に軸承さ
れ、エンジン6の排気管路の始点である排気口には、バ
ルブシート81が配設され、排気バルブ1の傘部とバルブ
シート81とが密着し該排気口を閉鎖している。また、エ
ンジン6の出力軸近傍には、該出力軸の回転数及び回転
位相を検知し信号に変換する回転センサ9が配設されて
いる。この回転センサ9は、エンジン6のクランク角を
検知し、上記コントロールユニット5において回転セン
サ9からの信号を基に排気バルブ1の開タイミングが決
定される。このコントロールユニット5からエンジン6
の回転速度に応じて上部電磁石7を制御し、排気バルブ
1の加速度を制御するのである。
上記エンジン6内には、排気バルブ1と同等構成の複
数の吸排気口を開閉制御するための吸排気バルブが配設
され、それぞれエンジンに固定された電磁石との間で作
用する磁力により該シャフト部を往復させバルブの開閉
を制御している。すなわち永久磁石2は、排気バルブ1
の軸方向に所定間隔P隔てて磁極22、23が並設され、軸
端側がN極22、他方がS極23である。この永久磁石2の
磁極22、23と対向する電磁石3は、1.5Pの間隔をもって
永久磁石2の移動方向に並設された4つの突起磁極31・
32・33・34と、磁気通路21の外周面に対向する固定磁極
35、及び突起磁極31・32・33・34の各々に巻設されたコ
イル36・37・38・39とからなる。コイル36・37・38・39
の内、コイル36とコイル38及びコイル37とコイル39は、
それぞれ互いに巻線方向が逆である。
上記磁気通路21とバルブガイド8との間にはバルブス
プリング11が設けられており、電磁石3の不稼動時にお
ける排気バルブ1の降下を防止している。また、上記コ
ントロールユニット5は入出力インターフェイス54の他
に、データ及び演算結果を一時記憶するRAM53、プログ
ラム及び各種の関係マップを記憶するROM52、ROM52に記
憶されたプログラムの下に演算を行なうPCU51、コント
ロールユニット5内部の信号の流れを制御するコントロ
ールメモリ55などにより構成されている。このコントロ
ールユニット5からは排気バルブ1の駆動信号として、
コイル36とコイル38へは信号S1が出力され、コイル37と
コイル39へは信号S2が出力され、上部電磁石7には信号
S3が出力される。
電磁石3による吸気バルブ1の駆動原理を第2図によ
り説明する。
第2図は、吸気バルブの駆動原理を示す図である。
図の(a)〜(e)は各々吸気バルブ1の右側を、コ
イル36・37・38・39の記載は省略してステップ毎に表わ
している。
尚、コイル36とコイル38及びコイル37とコイル39とは
互いに巻線方向が逆であるので、常に、突起磁極31と突
起磁極33及び突起磁極32と突起磁極34とは互いに異る極
となる。また、固定磁極35と磁気通路21との間隔は微小
であり、かつ吸気バルブ1の移動により変化しないた
め、電磁石3と永久磁石2との間の磁力線損失が少な
く、該電磁石3と永久磁石2との間に作用する吸引及び
反発力が大となるので、吸気バルブ1に対する駆動力が
増大する。
(a)は、吸気バルブ1が最上部、すなわち吸気口が
閉塞されている状態を示す。
信号S1及びS2により、突起磁極31と32とにS極を発生
させる。すると、永久磁石2のN極22と突起磁極31との
間に作用する吸引力と、永久磁石2のS極23と突起磁極
31及び32との間に作用する反発力とが釣合う位置で、吸
気バルブ1は保持されている。
次に、信号S2の通電方向を反転させ突起磁極32をN極
に変更する。すると、S極23と突起磁極32との間に作用
していた反発力が吸引力に逆転するため、吸気バルブ1
は(b)に示す位置に移動する。
次に、信号S1の通電方向を反転させ突起磁極31をN極
に変更すると、永久磁石2のN極22と突起磁極31との間
に作用する吸引力が反発力となり、吸気バルブ1を
(c)に示す位置に移動させる。
次に、信号S2を一旦停止した後、反転することによ
り、吸気バルブ1は(d)に示す位置を経て(e)に示
す位置に移動し、以下同様にして移動を継続することが
できる。
図に示すように、上記(a)〜(e)の各ステップ毎
に吸気バルブ1はピッチPに相当する距離を移動する。
よって、該ステップ数により吸気バルブ1の移動距離を
制御することができる。
第3図は、上部電磁石7を励磁するための励磁回路を
示している。
上部電磁石7の上部コイル72は、3つの励磁コイルか
ら構成されている。これら励磁コイルは、それぞれ電源
Bに並列に接続され、上記信号S3により選択的に励磁電
流が供給され、上部磁極71にS極を発生させる。励磁コ
イルL1は、電源Bとの間に直列に抵抗R1、切換接点T1
並列にコンデンサC1が接続されており、励磁コイルL2
L3も同様に、電源Bとの間に直列に抵抗R2、R3、切換接
点T2、T3、並列にコンデンサC2、C3が接続されており、
励磁コイルL1、L2、L3を含む各回路は、電源Bに対して
並列に接続されている。排気バルブ1が閉状態の場合に
は、切換接点T1、T2、T3は電源B側と接続しており、コ
ンデンサC1、C2、C3を充電している。次に排気バルブ1
の開タイミングになると、エンジンの回転速度に応じて
切換接点T1、T2、T3の内のいくつかを励磁コイル側へ切
換える。すると、切換えられた切換接点に対応するコン
デンサに充電されていた電荷が励磁コイルへと供給さ
れ、該電荷量に応じた強度のS極が上部磁極71に発生す
る。
したがって、この励磁回路は、エンジンの回転速度が
大きくなるにしたがって、信号S3により切換接点T1
T2、T3によりすべての励磁コイルに励磁電流を供給する
ことにすれば、上部電磁石7が永久磁石2を介して排気
バルブ1を反発する力は大きくなり、排気バルブ1をよ
り大きな力で、すなわちバルブの開動作に必要な大きな
加速度で駆動することが可能になる。
第4図は、クランク角とバルブリフト量との関係を示
す図である。図において横軸はクランク角を示し、縦軸
はバルブリフト量を示している。
回転センサ9により検知されるエンジン6のクランク
角が排気バルブ1の開タイミングになると、コントロー
ルユニット5はエンジン6の回転数信号とアクセルペダ
ルの踏込量信号(図示せず)とから、ROM52に記憶され
ている関係をマップを基にして、排気バルブ1の開閉速
度及びバルブリフト量を演算する。そして、該演算結果
に基づき信号S1及びS2を出力すると共に、所定の信号S3
を出力する。信号S3により上部電磁石7には、励磁コイ
ルL1のみ、あるいはL1、L2のみ、あるいはすべての励磁
コイルL1、L2、L3に励磁電流が供給され、排気バルブ1
を開方向へと加速する。
したがって、従来であればエンジン回転速度が大きく
なると、同一の力が排気バルブに作用する結果、初期駆
動力が不足し開動作の応答遅れが生じ、バルブリフトの
クランク角に対する傾斜が緩やかになっていたが、上記
実施例ではエンジン回転速度にかかわらず同一の傾斜で
バルブを解放することが可能になる。こうして回転速度
に応じた加速度でバルブを駆動し、その排斥力により燃
焼室内の圧力に抗して排気バルブ1は開方向へ駆動され
る。該駆動により排気口が開口し該開口部から燃焼室内
の排気が排出されるので、燃焼室内の圧力は急速に低下
し、小駆動力でも排気バルブ1を駆動することができる
ようになる。
次に、他の実施例について説明する。
第5図は、他の実施例を示すブロック図である。
本図に示す実施例は、第1図に示す実施例に対し上部
電磁石7に相当する構成のみが異なる。
10は、上記排気バルブ1の開動作を加速するための加
速手段を構成している上部電磁石であり、上部電磁石10
のコイルは上部コイル72と同じく3つの励磁コイルから
構成されている。よって、該上部電磁石10に吸引される
ことにより排気バルブ1の上端面を打撃して加速する回
動腕101は、エンジン回転数に応じて開動作に必要な大
きさの加速度をバルブに与える。なお、回動腕101の打
撃面は、ジルコニア等の高靱性セラミックスで被覆され
ており、排気バルブ1の上端面にも同種のセラミックス
から形成された打撃座12が配設されている。また、スプ
リング102によって該回動腕101は該打撃座12と常接して
いるので、打撃時の衝撃が緩和され、打撃音が減少し、
セラミックス部分の破壊も防止できる。
なお、ここでは排気バルブについて説明したが、吸気
バルブについても同様に本発明による駆動装置が適用で
きる。
以上、この発明をある程度詳細にその最も好ましい実
施態様について説明したが、その好ましい実施態様の説
明は、構成の詳細な部分についての変形、特許請求の範
囲に記載された本発明の精神に反しない限りでの種々な
変形、あるいはそれらを組み合わせたものに変更するこ
とができることは明らかである。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、電磁力により
駆動される吸排気バルブを、エンジン回転速度の全領域
において、開動作開始時における適正な初期駆動力で開
放することができ、しかも装置を複雑にすることなしに
適正なタイミングで開閉制御することができるバルブの
駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示すブロック図、第2図
は、吸気バルブの駆動原理を示す図、第3図は、バルブ
の開動作を加速する励磁回路の一例を示す回路図、第4
図は、クランク角とバルブリフト量との関係を示す図、
第5図は、本発明の他の実施例を示すブロック図であ
る。 1…排気バルブ、2…永久磁石、10…上部電磁石。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン吸排気を制御するバルブのシャフ
    トに可動磁極を形成し、エンジンに固定された磁極との
    間で作用する磁力により該シャフトを往復させバルブの
    開閉を制御するバルブの駆動装置において、前記バルブ
    の開動作開始時における該開動作を加速する加速手段
    と、前記エンジンの回転速度に応じて前記加速手段の加
    速度を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする
    バルブの駆動装置。
  2. 【請求項2】前記加速手段を、バルブの可動磁極に作用
    する磁力を形成する電磁石で構成し、この電磁石への電
    流量を回転速度に比例して増加させるようにしたことを
    特徴とする請求項(1)に記載のバルブの駆動装置。
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