JP2617734B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JP2617734B2
JP2617734B2 JP62227647A JP22764787A JP2617734B2 JP 2617734 B2 JP2617734 B2 JP 2617734B2 JP 62227647 A JP62227647 A JP 62227647A JP 22764787 A JP22764787 A JP 22764787A JP 2617734 B2 JP2617734 B2 JP 2617734B2
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順弘 原川
恭一 中井
伸二 中村
幸司 井澤
秀光 竹内
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電解質として複素環式化合物のポリマーを
用いる固体電解コンデンサ及びその製造方法に関し、特
にピロール、フラン、チオフェン等の複素環式化合物の
ポリマーを電解質とする固体電解コンデンサ及びその製
造方法に関するものである。
〔従来技術及びその問題点〕
従来固体電解コンデンサには、二酸化マンガン(Mn
O2)やTCNQ塩等が団体電解質として用いられているもの
があるが、その製造工程が非常に繁雑でコスト高となる
と共に、コンデンサの比抵抗即ちESRが大きく、更に漏
洩電流が大きい等の欠点があった。
そこでこれらの製造工程やコンデンサ特性上の問題点
の改善向上等を目的として複素環式化合物のポリマー層
を固体電解質とする新しい固体電解コンデンサが提案さ
れている(例えば特開昭61−2315)。
上記複素環式化合物のポリマー層を固体電解質とした
固体電解コンデンサは、アルミニウム等の誘電体酸化皮
膜層を形成できる金属板の表面に酸化アルミニウム(Al
2O3)等の誘電体酸化皮膜層を形成し、ピロール、フラ
ン、チオフェン等の複素環式化合物を溶解した電解液中
で電解酸化重合により前記誘電体酸化皮膜層上に複素環
式化合物のポリマー層を形成して該ポリマー層を固体電
解質となし、該ポリマー層上に電極取り出しのための導
電体層を形成し、前記金属板と導電体層とのそれぞれに
端子を取り付けてコンデンサ素子とした電解コンデンサ
である。
本発明は上記事情にかんがみてなされたもので、その
目的とするところは、等価直列抵抗(ESR)を増加させ
ることがなく、即ち誘電損失(tanδ)を増加させるこ
となく、漏洩電流を著しく減少させ、コンデンサの特性
を飛躍的に向上させた複素環式化合物のポリマー層を固
体電解質とする固体電解コンデンサの製造方法を提供す
ることにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記問題点を解決するため本発明は、誘電体酸化皮膜
を形成できる金属板の表面に誘電体酸化皮膜を形成し、
該、誘電体酸化皮膜層の上に複素環式化合物のポリマー
層及び導電体層を順次形成した後、誘電体酸化皮膜層及
び複素環式化合物のポリマー層に水又は少なくとも水を
含有する液体を浸透吸着させ、しかる後金属板と導電体
層との間に電圧を印加してエージングし、誘電体酸化皮
膜層欠陥部界面近傍の複素環式化合物のポリマー層を絶
縁体化してコンデンサ素子を製造することを特徴とす
る。
〔作用〕
上記の如く誘電体酸化皮膜層及び複素環式化合物のポ
リマー層に水又は少なくとも水を含有する溶体を浸透吸
着させ、金属板と導電体層との間に電圧を印加してエー
ジングし、誘電体酸化皮膜層欠陥部界面近傍の複素環式
化合物のポリマー層を絶縁体化することにより、固体電
解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)を増大させること
なく、即ちコンデンサの誘電体損失(tanδ)を増加さ
せることなく、漏洩電流を著しく減少させ、特性が飛躍
的に向上した固体電解コンデンサが得られる。
また、後に詳述するように、本発明の製造方法で製造
された固体電解コンデンサは一定範囲であれば極性を有
しない無極性である。即ち、印加電圧がある一定の電圧
範囲であれば、漏洩電流−電圧特性がコンデンサのどち
らを陰極又は陽極としても略同じ特性になるという特徴
を有する。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
第1図(a)は本発明に係る固体電解コンデンサの断
面を示す図で、同図(b)は誘電体皮膜層と複素環式化
合物のポリマー層との界面部分の拡大断面図である。
本実施例の固体電解コンデンサでは、コンデンサ素子
の基体となる誘電体酸化皮膜層を形成できる金属板とし
てアルミニウム板11を使用し、該アルミニウム板11の表
面に誘電体酸化皮膜層として酸化アルミニウム(Al
2O3)層12、複素環式化合物のポリマー層としてピロー
ルのポリマー層(ポリピロール層)13、電極取り出し用
の導電体層としてグラファイト層15及び銀ペースト層16
を順次形成する。
そして上記銀ペースト層16及びアルミニウム板11には
それぞれ電極端子17及び18を取り付けてコンデンサ素子
を構成する。
また、銀ペースト層16の上面には、例えばポリブタジ
エン系樹脂材のアンダーコート層19を形成する。
上記酸化アルミニウム層12の上に形成するポリピロー
ル層13は後に詳述するように電解酸化重合により形成す
るが、該ポリピロール層13を形成する工程において、重
合時の電流により酸化アルミニウム層12に所々が劣化
し、該酸化アルミニウム層12に第1図(b)に示すよう
に欠陥部14が生じる。
この酸化アルミニウム層12の欠陥部14がポリピロール
層13を電解質として用いる固体電解コンデンサの漏洩電
流LCの増大、製品のバラツキや絶縁劣化による歩留りの
低下等の原因となっている。
そこで本実施例はこれらの問題を改善するため、前記
酸化アルミニウム層12の欠陥部14の界面まで生長したポ
リピロール層13の欠陥部界面近傍13aを絶縁体化するこ
とにより、後に詳述するように誘電体損失の増大を招く
ことなく、漏洩電流LCを著しく減少させると共に、製品
のバラツキや絶縁劣化による歩留りの低下等が極めて少
ないコンデンサに改良した。
以下、酸化アルミニウム層12、ポリピロール層13、グ
ラファイト層15、銀ペースト層16の形成方法及び酸化ア
ルミニウム層12の欠陥部14の界面まで生長したポリピロ
ール層13の欠陥部界面近傍13aを絶縁体化する方法につ
いて説明する。
先ずアルミニウム板11の表面はエッチング処理によっ
て粗面化しておき、該エッチング処理されたアルミニウ
ム板11の表面に高知の化成工程で酸化アルミニウム(Al
2O3)層12を形成する。該酸化アルミニウム層12の形成
は、例えばアジピン酸系化成液中でアルミニウム板11を
陽極とし所定の化成電圧(10V〜50V)を印加して行な
う。
次に、ポリピロール層13の形成は、第2図(A)に示
すように、例えばアセトニトリル或いはアセトンを溶媒
としてピロールとボロジサリチル酸塩のアンモニウムボ
ロジサリシレート(ABS)とを含む電解液Lをステンレ
ス溶液10に入れ、該電解液L中に前記表面に酸化アルミ
ニウム層12が形成されたアルミニウム板11を浸漬し、該
ステンレス溶液10を陰極、アルミニウム板11を陽極とし
て所定の直流電流を供給することにより行なう。
これにより、前記電解液中で電解酸化重合が起こり、
酸化アルミニウム層12の上に第6図に示す化学構造式の
ポリピロール層が形成される。該ポリピロール層の厚さ
は20〜50μmである。
なお、酸化アルミニウム層12等の誘電帯酸化皮膜層上
に電解酸化重合で形成されるピロールのポリマー層、即
ちポリピロール層は第6図に示すようにピロール分子の
N−H基と支持電解質とが水素結合してなるポリピロー
ル化合物であるから、ピロールと支持電解質を含む電解
液中で電解酸化重合をさせればよい。この支持電解質と
してはホウ酸と下記の〜のいずれかの成分とを含有
するものを用いればよい。
脂肪酸又は芳香族カルボン酸又はその塩、 カルボニル基を2つ以上有する脂肪族、芳香族化合
物又はその塩、 水酸(−OH)基とカルボン酸(−COOH)基を各1つ
以上有する脂肪族、芳香族有機化合物又はその塩、 アミン(−NH2)基とカルボン酸(−COOH)基を各
1つ以上有する脂肪族、芳香族有機化合物又はその塩、 また、ホウ酸と上記〜とを化合させて得られるホ
ウ素化合物を支持電解質としてもよいことは勿論であ
る。
また、ピロールとボロジサリチル酸を含むアセトニト
リル溶液を電解液Lとして同様の処理を行なっても上記
と同様のポリピロール層を形成できる。
また、前記ピロールのポリマー層13の上にグラファイ
ト層15及び銀ペースト層16を形成するには、グラファイ
ト溶液中に浸した後、硬化させてグラファイト層15を形
成した後、更に銀ペースト溶液中に浸漬して銀ペースト
を塗布し、その後硬化させることにより銀ペースト層16
を形成する。
これにより第2図(b)に示すような断面構造のコン
デンサ素子となる。
ところで上記の如く、酸化アルミニウム層12の上に電
解酸化重合によりポリピロール層13を形成する際、第1
図(b)に示すように酸化アルミニウム層12に欠陥部14
が生じ、これが固体電解コンデンサの漏洩電流を増加さ
せるから、本実施例では欠陥部14の界面に生長したポリ
ピロール層13の欠陥部界面近傍13aを絶縁体化する。
ポリピロール層13の欠陥部界面近傍13aを絶縁体化し
ても、ポリピロール層13の全体からみれば欠陥部界面近
傍13aは極めて微小であるからこの部分を絶縁体化して
も、後の実験結果にも示すようにコンデンサの誘電体損
失(tanδ)を増加させることなく漏洩電流LCを著しく
減少させることができる。
この酸化アルミニウム層12の欠陥部14の界面に生長し
たポリピロール層13aを絶縁化する方法の一例を下記に
示す。
先ず第1図(a)に示す断面構造の団体電解コンデン
サ素子を水(純水)に浸漬し(一例として、水温約80
℃、浸漬時間4時間)、水をポリブタジエン系樹脂材の
アンダーコート層19、銀ペースト層16、グラファイト層
15及びピロールのポリマー層13を通して酸化アルミニウ
ム層12まで浸透させる。
このときアンダーコート層19、銀ペースト層16及びグ
ラファイト層15は通水性が比較的よいから水分はこれら
を通り、酸化アルミニウム層12まで達する。
しかる後、固体電解コンデンサ素子を水中から取り出
し、例えば端子18を陽極、端子17を陰極として常温中で
コンデンサの定格電圧の1.2倍〜2.0倍の電圧を印加して
エージングを行なう。
このようにコンデンサ素子中に水(純水)を浸透吸着
させてエージング処理を施すことにより、酸化アルミニ
ウム層12の欠陥部14界面まで生長したポリピロール層13
の欠陥部界面近傍13aが絶縁体化される。
第3図は上記エージング処理を施す前と後の漏洩電流
LCの分布状態を示す図で、第3図(a)はエージング処
理を施す前の分布状態を示し、同図(b)はエージング
処理を施した後の分布状態を示す。
図示するように、エージング処理を施す前はコンデン
サ素子の漏洩電流LCは100μA以上に集中するが、エー
ジング処理を施すと漏洩電流LCは0.01μA前後に集中
し、エージング処理を施すことにより漏洩電流LCを大幅
に改善されることが実験的に確認される。
また、この場合、エージング処理を施したものと、エ
ージング処理を施さないものとの間で、コンデンサの誘
電体損失(tanδ)には殆ど変化がないことが確認され
ている。
このようにコンデンサ素子中に水を浸透吸着させてエ
ージング処理することにより、誘電体損失が増加するこ
となく漏洩電流LCが大幅に改善されていることからも、
漏洩電流LCが生じる主原因である酸化アルミニウム層12
の欠陥部14の界面部分のポリピロール層13aが絶縁体化
され、漏洩電流LCが大幅に減少したものと推察できる。
上記エージング処理により絶縁体化される理由につい
て考察するに、以下の現象がコンデンサ素子内で起きて
いるものと考えられる。
前記エージング処理により、ポリピロール層13のポリ
ピロール分子とコンデンサ素子内に浸透吸着させた水
(H2O)分子との間にプロトンの授受を伴う反応又は酸
化反応が生じ、その結果、該ピロールのポリマー層13の
一部、特に酸化アルミニウム層12の欠陥部14に生長した
ポリピロール13aが半導体から絶縁体に変化するものと
考えられる。
特に酸化アルミニウム層12の欠陥部14の界面まで生長
したポリピロール層13aの先端は尖鋭であり、電流が集
中し発熱するため上記反応が容易に起こると考えられ
る。
上記のようにエージング処理した後、コンデンサ素子
中に含浸した水分を除去するため高温(約120℃)の環
境中で定格電圧を印加しながら乾燥処理し、固体電解コ
ンデンサ素子が完成する。そして必要に応じてアンダー
コート層19上に樹脂モールド外装を施し、本発明の固体
電解コンデンサが完成する。
第4図は上記エージング処理する前とエージング処理
した後の漏洩電流−電圧特性を示す図であり、横軸は電
圧比、即ち印加電圧/定格電圧(%)を示し、縦軸は漏
洩電流LC(μA)を示す。同図において、曲線Aはエー
ジング処理した後の漏洩電流の変化を示し、曲線Bはエ
ージング処理する前の漏洩電流の変化を示す。
また、正(+)側は端子18を陽極、端子17を陰極{第
1図(a)を参照}として電圧を印加した場合、負
(−)側は反対に端子17を陽極、端子18を陰極として電
圧を印加した場合を示す。
図示するように、上記エージング処理することによ
り、即ちピロールのポリマー層13の酸化アルミニウム層
12の欠陥部14の欠陥部界面近傍13aを絶縁体化されるか
ら、固体電解コンデンサは定格電圧内では極性を考慮せ
ずに電圧を印加しても良いことが分かる。即ち。コンデ
ンサを無極性で使用することが可能であることが確認で
きる。
第5図は上記エージング処理して完成させた本発明の
固体電解コンデンサCと、従来のタンタル固体電解コン
デンサA及びアルミニウム固体電解コンデンサBとの試
験結果を示す図である。
同図上部は漏洩電流LCの試験結果を示し、試料コンデ
ンサは定格電圧6.3V、容量4.7μFのものを用いた試験
結果である。図示するように、本発明の固体電解コンデ
ンサCは漏洩電流が約0.01μAと他の従来のタンタル固
体電解コンデンサA(0.02μA)及びアルミニウム固体
電解コンデンサB(0.42μA)に比較し極めて少ないこ
とが確認できる。
また、第5図の下部は10KHZにおける誘電体損失(tan
δ)の試験結果を示し、試料コンデンサは上記と同じ定
格電圧6.3V、容量4.7μFのものを用いた試験結果であ
る。図示するように、本発明の固体電解コンデンサCの
誘電体損失(tanδ)は約3%程度で、他の従来のタン
タル固体電解コンデンサA(約52%)及びアルミニウム
固体電解コンデンサB(約21%)に比較し極めて小さい
ことが確認できる。
上記第5図に示す試験結果から明らかなように本発明
の固体電解コンデンサは、従来の固体電解コンデンサに
比較し、漏洩電流及び誘電体損失(tanδ)の小さい、
コンデンサ特性の極めて優れたものである。
なお、上記実施例ではコンデンサ素子のポリマー薄膜
層13に水を含浸させるために、コンデンサ素子を純水中
に浸漬させ、純水分をコンデンサ素子に含浸される例を
示したが、純水に限定されるものではなく、単なる水、
或いはリン酸、ホウ酸及びアジピン酸を含有する溶液に
浸漬させ、これらの溶液を含浸させてもよく、また水又
は少なくとも水を含有する溶体の相対湿度80%以上の環
境に水又は溶体がコンデンサ素子内部に浸透するまで
(例えば10分以上)放置してもよい。要はコンデンサ素
子のポリマー薄膜層13に水又は少なくとも水を含有する
溶体を浸透吸着させる方法であればどのような方法でも
よい。また、ここで溶体とは、均一相をつくっている混
合物をいい、相が液相の場合の溶液、固相の場合の固溶
体及び気相の混合気体を含むものとする。
なお、上記実施例において、コンデンサ素子に樹脂材
でアンダーコート層19を施しているが、これはコンデン
サ素子に含浸させた水分が上記エージング中に脱水する
のを防ぐためであり、含浸した水分が逃げないようにす
る手段であれば、アンダーコート層19に限定されるもの
ではなく、要はエージング中に水又は少なくとも水を含
有する溶体をコンデンサ素子が吸着保持できるような方
法であればどのような方法でもよい。
また、酸化アルミニウム層12の欠陥部界面近傍のポリ
ピロール層13aを絶縁化する方法は、現在のところ水又
は少なくとも水を含有する溶体を浸透吸着させ、端子1
7,18間に所定の直流電圧、又は交流電圧を印加させて行
なう方法が効果的であるが、他の絶縁体化させる手段で
も良いことは当然である。
なお、上記実施例ではコンデンサ素子の基体となる金
属板にアルミニウム板11を使用したが、誘電体酸化被膜
を形成できる金属であれば、例えばタンタル板又はニオ
ブ板或いはチタン板を用いてもよいことは当然である。
また、複素環式化合物のポリマー層としてピロールの
ポリマー層、即ちポリピロール層としたが複素環式化合
物としてはピロールに限定されるものではなく、例えば
フラン或いはチオフェンを用い、これら複素環式化合物
を含む溶液中での電解酸化重合により誘電体酸化皮膜上
にこれらの複素環式化合物のポリマー層を形成し、酸化
アルミニウム層の欠陥部界面近傍のこれら複素環式化合
物のポリマー層を半導体から絶縁体に変質させればよ
い。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば下記の優れた効果
が得られる。
誘電体酸化皮膜層及び複素環式化合物のポリマー層
に水又は少なくとも水を含有する溶体を浸透吸着させ、
金属板と導電体層との電極端子間に電圧を印加してエー
ジングすることにより、誘電体酸化皮膜層の欠陥部界面
近傍の複素環式化合物のポリマー層が絶縁体化し、等価
直列抵抗(ESR)を増大させることなく、即ちコンデン
サの誘電損失(tanδ)を増加させることなく、漏洩電
流を著しく減少させ、特性が飛躍的に向上した固体電解
コンデンサを製造できる。
また、一定の電圧範囲内であれば、漏洩電流−電圧
特性がコンデンサのどちらを陰極又は陽極としても略同
じ特性になる所謂無極性である等従来の固体電解コンデ
ンサには期待することのできない優れたコンデンサ特性
を有する固体電解コンデンサを製造できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明に係る固体電解コンデンサ素子の
断面を示す図、第1図(b)は誘電体酸化皮膜層と複素
環式化合物のポリマー層との界面部分の拡大断面図、第
2図(a)は複素環式化合物のポリマー層を形成する過
程を示す図、第2図(b)はアンダーコート層を形成す
る前のコンデンサ素子の断面を示す図、第3図(a)は
エージング処理を施す前の固体電解コンデンサの漏洩電
流の分布状態を示す図、第3図(b)はエージング処理
を施した後の固体電解コンデンサの漏洩電流の分布状態
を示す図、第4図は上記エージング処理する前とエージ
ング処理した後の漏洩電流−電圧特性を示す図、第5図
は本発明の固体電解コンデンサと、従来のタンタル固体
電解コンデンサ及びアルミニウム固体電解コンデンサの
漏洩電流及び誘電体損失の試験結果を示す図、第6図は
ポリピロールの化学構造式を示す図である。 図中、11……アルミニウム板、12……酸化アルミニウム
層、13……ポリピロール層、14……欠陥部、15……グラ
ファイト層、16……銀ペースト層、17……端子、18……
端子、19……アンダーコート層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 伸二 神奈川県川崎市高津区北見方260番地 日通工株式会社内 (72)発明者 井澤 幸司 神奈川県川崎市高津区北見方260番地 日通工株式会社内 (72)発明者 竹内 秀光 神奈川県川崎市高津区北見方260番地 日通工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−244017(JP,A) 特開 昭50−156661(JP,A) 特開 昭49−29448(JP,A) 特開 昭57−84122(JP,A) 特開 昭63−181310(JP,A) 特開 昭61−240625(JP,A) 特公 平4−56445(JP,B2)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体酸化皮膜を形成できる金属板の表面
    に誘電体酸化膜を形成し、該誘電体酸化皮膜層の上に複
    素環式化合物のポリマー層及び導電体層を順次形成した
    後、前記誘電体酸化皮膜層及び前記複素環式化合物のポ
    リマー層に水又は少なくとも水を含有する溶体を浸透吸
    着させ、しかる後前記金属板と導電体層との間に電圧を
    印加してエージングし、誘電体酸化皮膜層欠陥部界面近
    傍の複素環式化合分のポリマー層を絶縁体化してコンデ
    ンサ素子を製造することを特徴とする団体電解コンデン
    サの製造方法。
  2. 【請求項2】前記誘電体酸化皮膜層の上に形成される複
    素環式化合物のポリマー層はピロールと支持電解質とを
    含む電解液中で電解酸化重合により形成することを特徴
    とする特許請求の範囲第(1)項記載の固定電解コンデ
    ンサの製造方法。
  3. 【請求項3】前記支持電解質がホウ酸と脂肪族カルボン
    酸又はその塩、又はホウ酸と芳香族カルボン酸又はその
    塩、或いはホウ酸と脂肪族カルボン酸又はその塩、又は
    ホウ酸と芳香族カルボン酸又はその塩とを化合させて得
    られたホウ素化合物であることを特徴とする特許請求の
    範囲第(2)項記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】前記支持電解質がホウ酸とカルボニル基を
    2つ以上有する脂肪族化合物又はその塩、又はホウ酸と
    カルボニル基を2つ以上有する芳香族化合物又はその
    塩、或いはホウ酸とカルボニル基を2つ以上有する脂肪
    族化合物又はその塩、又はホウ酸とカルボニル基を2つ
    以上有する芳香族化合物又はその塩とを化合させて得ら
    れるホウ素化合物であることを特徴とする特許請求の範
    囲第(2)項記載の団体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】前記支持電解質がホウ酸と水酸基とカルボ
    ン酸基を各1つ以上有する脂肪族化合物又はその塩、又
    はホウ酸と水酸基とカルボン酸基を各1つ以上有する芳
    香族化合物又はその塩、或いはホウ酸と水酸基とカルボ
    ン酸基を各1つ以上有する脂肪族化合物又はその塩、又
    はホウ酸と水産基とカルボン酸基を各1つ以上有する芳
    香族化合物又はその塩とを化合させて得られるホウ素化
    合物であることを特徴とする特許請求の範囲第(2)項
    記載の団体電解コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】前記支持電解質がホウ酸とアミン基とカル
    ボン酸基を各1つ以上有する脂肪族化合物又はその塩、
    又はホウ酸とアミン基とカルボン酸基を各1つ以上有す
    る芳香族化合物又はその塩、或いはホウ酸とアミン基と
    カルボン酸基を各1つ以上有する脂肪族化合物又はその
    塩、又はホウ酸とアミン基とカルボン酸基を各1つ以上
    有する芳香族化合物又はその塩とを化合させて得られた
    ホウ素化合物であることを特徴とする特許請求の範囲
    (2)項記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】前記誘電体酸化皮膜層の上に形成される複
    素環式化合物のポリマー層はピロールとボロジサリチル
    酸又はボロジサリチル酸塩の何れかとを含む電解液中で
    電解酸化重合により形成されるポリピロール層であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の団体電
    解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】前記誘電体酸化皮膜層及び複素環式化物の
    ポリマー層に水又は少なくとも水を含有する液体を浸透
    吸着させる方法は、当該コンデンサ素子を水又は少なく
    とも水を含む溶液中に浸漬させることにより行なうこと
    を特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】前記誘電体酸化皮膜層及び複素環式化合物
    のポリマー層に水又は少なくとも水を含有する溶体を浸
    透吸着させる方法は、当該コンデンサ素子を水又は少な
    くとも水を含有する溶体の相対湿度が80%以上の環境中
    に放置することにより行なうことを特徴とする特許請求
    の範囲第(8)項記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  10. 【請求項10】前記誘電体酸化皮膜層及び複素環式化合
    物のポリマー層に浸透吸着させる水は純水であることを
    特徴とする特許請求の範囲第(1)項又は第(8)項又
    は第(9)項記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 【請求項11】前記エージング終了後、コンデンサ素子
    に残留する前記水又は溶体を除去することを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)項又は第(8)項又は第(9)
    項記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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