JP2617271B2 - セメント製品成形用の空気袋体および該空気袋体を使用するセメント製品の成形方法 - Google Patents

セメント製品成形用の空気袋体および該空気袋体を使用するセメント製品の成形方法

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JP2617271B2
JP2617271B2 JP5237847A JP23784793A JP2617271B2 JP 2617271 B2 JP2617271 B2 JP 2617271B2 JP 5237847 A JP5237847 A JP 5237847A JP 23784793 A JP23784793 A JP 23784793A JP 2617271 B2 JP2617271 B2 JP 2617271B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セメント製品成形用の
空気袋体および該空気袋体を使用するセメント製品の成
形方法に関する。尚、本明細書においてセメント製品と
は、モルタル,コンクリート,人造石等からなる製品を
いうものである。
【0002】
【従来の技術】従来セメント製品、例えば工場等で成形
した後現場使用される柱,床,梁,壁等の建築材(PC
工法等で使用)、あるいは現場で直接形成される基礎等
の建築材は、木製あるいは金属製の長尺平板状型枠を複
数個用いて形成していたものである。
【0003】すなわち、例えばPC工法等において使用
される柱,梁等は、工場内において所望成形型内に上記
木製あるいは金属製の型枠を複数個並設せしめて成形型
と型枠とで所望成形空間を形成し、そしてその空間内に
コンクリート等を流し込み、コンクリート硬化後その型
枠を取り除き、そして成形された製品を離型せしめてい
た。また、現場にて基礎を形成する場合には型枠を施工
位置に並設して型枠と型枠との間に所望大きさの基礎形
成用の空隙を形成し、その空隙にコンクリートを流し込
み、硬化後型枠を取り除いて成形していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の型
枠では重量があるため取扱いに労力を要し、また取扱い
作業時に誤って落下させた場合には怪我をする虞れもあ
ったため作業に慎重を要し、結果的に作業効率の低下を
招いていた。また、嵩張るため収納,運搬の面において
困難性を有していた。
【0005】本発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、従来の型枠と同様の使用効果が得られながらも、軽
量で取扱い性,安全性に優れ、かつコンパクト化でき収
納,運搬が容易なセメント製品成形用の空気袋体を提供
すること、およびその空気袋体を使用してセメント製品
を成形する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明がなした技術的手段は、気密性を有する非伸縮
性柔軟シートにて袋体本体が形成され、該本体は全ての
面が平坦面により構成されると共に、隣接する面同士が
直角に接していることである。
【0007】また、袋体本体の内部に1枚乃至複数枚の
非伸縮性吊布を設けて袋体本体の夫々の面の平坦状態を
保持することである。
【0008】さらに、膨脹時の袋体本体と同形状の非伸
縮性柔軟カバーを形成すると共に、該カバーで上記袋体
本体の外周を一体的に被覆することである。
【0009】また、セメント製品成形用の空気袋体を膨
脹せしめて成形型内に1個あるいは複数個並設状に挿入
すると共に、その成形型と空気袋体との間でセメント製
品成形用の空隙を形成し、そしてその後上記空隙にセメ
ントを流し込み、そしてセメント硬化後上記空気袋体を
収縮せしめて取り除くことでセメント製品が成形され
る。
【0010】また、セメント製品成形用の空気袋体を膨
脹せしめ、そして施工面上にその膨脹せしめた袋体を隣
接状に複数個並設して囲繞空間を形成し、次にその空間
内あるいは空間外にセメントを流し込み、そしてセメン
ト硬化後上記空気袋体を収縮せしめて取り除くことでセ
メント製品が成形される。
【0011】
【作用】上記技術的手段により、袋体本体の全ての面が
平坦面にて構成されると共に、隣接する面同士が直角に
接しているため、袋体本体には角やフラット性が出る。
そして、柔軟シートからなる空気袋体であるため収縮し
て折り畳める。また非伸縮性吊布により袋体の膨らみが
抑えられフラット性が保持される。また、袋体本体外周
に非伸縮性柔軟カバーを一体的に設けることによりフラ
ット性がさらに向上すると共に、強度面においても向上
する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。
【0013】空気袋体Aは、袋体本体1と吊布7とで構
成されており、本実施例では上記袋体本体1の外周をカ
バー9にて被覆している。尚、本実施例では上記カバー
9を設けた場合について説明するがカバー9は無くとも
よく必要に応じて適宜対応させる。
【0014】袋体本体1は、気密性を有する非伸縮性柔
軟シートにて形成され、該本体は全ての面が平坦面によ
り構成されると共に、隣接する面同士が直角に接してい
るもので、例えばその一例を挙げると、モノフィラメン
トの糸からなる織布層2を上下ウレタン層3,3で挾着
してなる気密性、かつ非伸縮性柔軟積層シート(ウレタ
ンターポリン)4にて横断面が長方形状の角筒状袋に形
成され、膨脹,収縮可能に構成されている。
【0015】すなわち、上記具体的構成により袋体本体
1は全ての面1a…が平坦面により構成されると共に、
隣接する面1a,1a…同士が直角(図中x…により示
す)に接していることとなる。
【0016】図中5は注入,排出部を示し、通常構造の
エアーバルブ等任意であり何等限定されるものではな
い。また、上記袋体本体1の材質は一例にすぎず、気密
性を有し、かつ非伸縮性,柔軟性を有する材質のシート
からなるものであれば何等限定はされるものではなく、
合成樹脂,ゴムあるいは他の構成からなる周知の積層シ
ート(ターポリン)であってもよく適宜変更可能であ
る。
【0017】尚、袋体本体1の大きさ,厚さ及び幅は任
意であり、小型のものから大型のものまでその用途に応
じた大きさに成形可能であり、その大きさの如何にかか
わらず収縮折り畳み可能であるため取扱い性は良好であ
る。また、その形状も全ての面が平坦面により構成され
ると共に、隣接する面同士が角に接しているものであれ
ばよく、上記横断面が長方形状の角筒状袋に限定される
ものではなく、横断面三角形状,正方形状,コ型状等そ
の断面形状は簡易形状,複雑形状等問わず任意であり本
考案の範囲内における変更は自由である。
【0018】吊布7は、上記袋体本体1と同素材である
非伸縮性の柔軟シートにて袋体本体1の断面積と略同面
積に形成され、袋体本体1の内面1b…にわたって設け
られる。例えば図示例では、上記袋体本体1の内部に夫
々横断状に複数枚備えられ、夫々の辺7a…が袋体本体
1の上下左右4面1a…の内面1b…に夫々ウェルダー
溶着されている。
【0019】尚、吊布7の取付け方は上記ウェルダー溶
着に限らず接着等任意であるが、上記袋本体1の気密性
を妨げるものであってはならない。また、吊布7の素材
は非伸縮性の柔軟シートであればよく、袋体本体1と同
素材である必要はなく、また気密性も特別要求されな
い。
【0020】また、本実施例では各吊布7…の四隅を切
り欠いて通孔8…を形成し、袋体1の内部空間6を連通
状に構成している。尚、通孔8…は吊布7…の表面に穿
設してなるものであってもよく、また本実施例のように
単一の注入,排出部5のみとしている場合には夫々の吊
布7部分に上記せるような通孔8…が必要だが、注入,
排出部5を所望箇所に所望数設ける構成とすればそれに
対応する通孔8を設ければよく、また各吊布7,7間で
独立した空間6…を形成するものとすれば、夫々の位置
に注入,排出部5を設けるものとすれば良い。
【0021】従って、注入,排出部5から袋体本体1内
にエアーを注入して膨脹させた場合に、袋体本体1の各
面1a…が外方へと膨らもうとするが吊布7…により抑
えられ、さらに各面1a…の平坦性を保持する。
【0022】カバー9は、袋体本体1の各面1a…の平
坦性を保持すると共に、強度面での向上を図るものであ
り、非伸縮性の柔軟シートにて膨脹時の袋体本体1と同
形状に形成すると共に、上記袋体本体1の外周を一体的
に被覆してなるもので、本実施例では布層10を上下塩
化ビニル樹脂(PVC)層11,11で挾着してなる積
層シート(塩ビターポリン)12にて構成され、上記袋
体本体1に備えた注入,排出部5と同位置に注入,排出
部用挿通口を設け、そしてその前後面9a,9bを夫々
閉塞してなる。また、カバー9の材質は非伸縮性の柔軟
シートであればよく任意であり、また袋体本体1とは異
なって気密性も要求されない。尚、本実施例では上記カ
バー9を設けた場合について説明するがカバー9は無く
ともよい。
【0023】その閉塞方法は特別限定されず任意であ
り、いわゆるタッカー止め、紐で締めて閉塞するもの等
周知方法が適用可能であるが、好ましくは前後面9a,
9bが平坦状に閉塞できる構造が好ましい。また、本実
施例ではPP(ポリプロピレン)製平板を袋体本体1の
前面1cおよび後面1dとカバー9の前面9aおよび後
面9bとの間に平板15,15、例えばPP(ポリプロ
ピレン)製等の平板15,15を介在して前後面9a,
9bの平坦性を出すようにしている。この前後面9a,
9bの平坦性を要求しているのは、前後面9a,9bを
夫々隣接する空気袋体A…と合わせた際の密接を良くす
るためである。
【0024】また、カバー9と袋体本体1との固定一体
化手段としては何等限定されず適宜周知手段を適用可能
であるが、本実施例では空気本体1の外周面1′に凹設
状にナット12…を設け(ウェルダー溶着等)、そして
上記ナット12…に対応するカバー9の外周9′位置に
差込み孔13…を設け、そして上方から止めネジ14…
を取付けて両者を一体的としている。尚、本発明空気袋
体Aは全ての面1a…が平坦面であることから上記ナッ
ト12の溶着部および止めネジ14の頭14aが突出し
ないような周知の工夫を採ることが好ましい。
【0025】次に、上記説明した空気袋体Aを使用した
セメント製品の成形方法を図4に基づいて説明する。
【0026】まず、図4に示す(a),(b)は、いわ
ゆるPC工法において使用される梁、柱等を工場等で形
成する場合を示し、まず、必要数の空気袋体Aの注入,
排出部5からエアーを注入して夫々膨脹させる。尚、必
要に応じてエアーに代えて水等の流体等を注入してもよ
く任意である。
【0027】次に、成形型B内に上記膨脹せしめた空気
袋体1を挿入すると共に、成形型Bと空気袋体Aとの間
でセメント製品成形用の空隙Cを形成,調整し、そして
次に上記形成,調整された空隙C内にセメント(モルタ
ル,コンクリート,人造石等)を所望量流し込む。尚、
空気袋体Aが軽量であるためセメントを流し込んだ後で
も空隙Cの調整も可能である。
【0028】そして所定時間経過後してセメントが硬化
したら、注入,排出部5を開放せしめて空気袋体A内の
エアーを排出すると、その排出作用により空気袋体Aは
カバー9と共に収縮作動を開始し、その作動によりセメ
ント製品Dの表面dから離型する。従って、従来の型枠
のように製品成型後破壊したり(木製型枠の場合)する
必要がない。
【0029】そしてその後、成形型Bから製品を離型せ
しめれば所望なセメント製品(梁,柱等)Dが成形され
る。
【0030】次に、他の成形方法について図5に基づい
て説明する。
【0031】図5は、例えば建築現場等で形成される基
礎を形成する場合に従来の型枠に代えて空気袋体Aを使
用して成形する方法を示し、上記同様膨脹せしめた空気
袋体Aを必要数夫々の前後面9a,9bを接触せしめて
所定位置に並べ、そして各空気袋体A…によって所望な
囲繞空間Eを形成し、そしてその空間E内にセメント
(モルタル,コンクリート,人造石等)を所望量流し込
む。
【0032】そして所定時間経過してセメントが硬化し
たら、上記同様注入,排出部5を開放せしめて各空気袋
体A内のエアーを排出すると、その排出作用により空気
袋体Aはカバー9と共に収縮作動を開始し、その作動に
より基礎Dの表面dから離型すれば基礎Dの完成とな
る。従って、上記同様従来の型枠のように製品成型後破
壊したり(木製型枠の場合)する必要がない。尚、上記
例では囲繞空間E内にセメントを流し込んで基礎Dを形
成する例を説明したが、囲繞空間E外にセメントを流し
て柱立設空間を有する床材等を形成する場合でも同様で
ある(図示省略)。
【0033】
【発明の効果】本発明は、気密性を有する非伸縮性柔軟
シートにて袋体本体が膨脹,収縮可能に形成され、該本
体は全ての面が平坦面により構成されると共に、隣接す
る面同士が直角に接しているという新規な構成とし、袋
体本体には角やフラット性が出て従来の型枠と同様の使
用効果が得られるため、軽量で取扱い性,安全性に優れ
作業労力の軽減が図れ、また使用時にのみ膨脹せしめ、
収納,運搬時にはコンパクト状に収縮して折り畳めるた
め収納,運搬性が向上する。従って、従来のセメント製
品成形用の型枠と比して、セメント製品成形作業全体の
効率化が図れる。
【0034】また、上記袋体本体の内部に1枚乃至複数
枚の非伸縮性吊布を設ければ、袋体本体の夫々の面の平
坦状態が確実に保持されるため、平坦面を有するセメン
ト製品の成形に有用である。
【0035】さらに、膨脹時の袋体本体と同形状の非伸
縮性柔軟カバーを形成すると共に、該カバーで上記袋体
本体の外周を一体的に被覆すれば、より一層平坦性を向
上でき、かつカバーと本体との二重構造としたため強度
面においても向上する。また、上記二重構造にすること
で袋本体若しくはカバーのいずれかが損傷した場合には
いずれかのみ交換すれば済みコスト安にも寄与する。
【0036】また、空気袋体を膨脹せしめて成形型内に
1個あるいは複数個並設状に挿入すると共に、その成形
型と空気袋体との間でセメント製品成形用の空隙を形成
し、そしてその後上記空隙にセメントを流し込み、そし
てセメント硬化後上記空気袋体を収縮せしめて取り除け
く成形方法とすれば、従来のセメント製品成形用の型枠
を使用した場合と比して、成形型と空気袋体との間で形
成するセメント製品成形用の空隙調整が容易となる。
【0037】また、上記成形方法あるいは、施工面上に
膨脹せしめた空気袋体を隣接状に複数個並設して囲繞空
間を形成し、次にその空間内あるいは空間外にセメント
を流し込み、そしてセメント硬化後上記空気袋体を収縮
せしめて取り除く成形方法とすれば、従来のセメント製
品成形用の型枠(木製の場合)の場合には、セメント硬
化後に型枠を破壊してから製品を取り除かなければなら
なかったという不都合が生じていたが、本発明の成形方
法によればセメント硬化後に空気袋体を収縮させればそ
の収縮作用によりセメント製品表面から空気袋体のみ取
り除けるため作業性のみならずコスト的にも有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明空気袋体の一実施例を示す縦断側面図
【図2】図1のII-II 線断面図
【図3】全体斜視図
【図4】使用状態図
【図5】他の使用状態図
【符号の説明】
A:空気袋体 1:袋体本体 1a:面 1b:内面 4:柔軟シート 7:吊布 7a:辺 8:通孔 9:カバー 9a:前面 9b:後面 15:平板 x:角 B:成形型 C:空隙 D:セメント製品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−31719(JP,A) 特開 昭61−144307(JP,A) 特開 昭62−176806(JP,A) 実開 昭55−47375(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気密性を有する非伸縮性柔軟シートにて袋
    体本体が膨脹,収縮可能に形成され、該本体は全ての面
    が平坦面により構成されると共に、隣接する面同士が直
    角に接していることを特徴とするセメント製品成形用の
    空気袋体。
  2. 【請求項2】袋体本体の内部に1枚乃至複数枚の非伸縮
    性吊布を設けたことを特徴とする請求項1記載のセメン
    ト製品成形用の空気袋体。
  3. 【請求項3】膨脹時の袋体本体と同形状の非伸縮性柔軟
    カバーを形成すると共に、該カバーで上記袋体本体の外
    周を一体的に被覆してなることを特徴とする請求項1及
    び2記載のセメント製品成形用の空気袋体。
  4. 【請求項4】気密性を有する非伸縮性柔軟シートにて形
    成され、全ての面が平坦面により構成されているセメン
    ト製品成形用の空気袋体を膨脹せしめて成形型内に1個
    あるいは複数個並設状に挿入すると共に、その成形型と
    空気袋体との間でセメント製品成形用の空隙を形成し、
    そしてその後上記空隙にセメントを流し込み、そしてセ
    メント硬化後上記空気袋体を収縮せしめて取り除くこと
    を特徴とするセメント製品の成形方法。
  5. 【請求項5】気密性を有する非伸縮性柔軟シートにて形
    成され、全ての面が平坦面により構成されているセメン
    ト製品成形用の空気袋体を膨脹せしめ、そして施工面上
    にその膨脹せしめた袋体を隣接状に複数個並設して囲繞
    空間を形成し、次にその空間内あるいは空間外にセメン
    トを流し込み、そしてセメント硬化後上記空気袋体を収
    縮せしめて取り除くことを特徴とするセメント製品の成
    形方法。
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