JP2616001B2 - 溶接方法 - Google Patents

溶接方法

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JP2616001B2
JP2616001B2 JP1118063A JP11806389A JP2616001B2 JP 2616001 B2 JP2616001 B2 JP 2616001B2 JP 1118063 A JP1118063 A JP 1118063A JP 11806389 A JP11806389 A JP 11806389A JP 2616001 B2 JP2616001 B2 JP 2616001B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 金メッキを施した金属部材の溶接方法に関し、 溶接部にクラックを発生させないことを目的とし、 鉄を主成分とし、金メッキを施した金属部材を溶接し
て封止を行う際、溶接を行う金属部材間に金シート或い
はニッケルシートを挿入して溶接することにより溶接方
法を構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は金メッキを施した金属部材の溶接方法に関す
る。
耐湿性,耐熱性,耐蝕性など高度の信頼性が必要な電
子部品の筐体としてはガラス端子を備えたハーメチック
シール構造をとることが多い。
そして、かゝる筐体の構成材としては、鉄(Fe)‐42
%ニッケル(Ni),Fe-52%Ni,Fe-28%クローム(Cr),F
e-29%Ni-17%Co(コバール),Fe-42%Ni6%Cr(シルバ
ニア)などFeを主成分とし、ガラス端子を構成するガラ
スと熱膨張係数を合わせた鉄合金を用いて封止材が構成
されている。
例えば、複数の光半導体素子を収納する中継器がこれ
に当たり、電源や信号はガラス端子を通じて素子に供給
するが、中継器の筐体はガラス端子との半田付けを容易
にするためと耐蝕性を向上するために金(Au)メッキが
施されている。
そして、光半導体素子への回路接続が終わった後は、
同じ金属からなる蓋をかぶせて溶接し、ハーメチック構
造とする。
この場合、Auメッキを施した封止材同士を溶接するこ
とになるが、その際,溶接部にAuが混入することが原因
で凝固に際して封止位置にクラックが生ずると云う問題
がある。
〔従来の技術〕
Auメッキを施した封止材を溶接する場合には先に記し
たように溶接部にAuが混入し、これが原因でクラックが
発生することから、部分メッキを行って溶接部にはAuメ
ッキがかゝらぬようにしたり、或いは機械加工によりメ
ッキ膜を研削したり、化学的に剥離するなどの方法がと
られていた。
然し、このような方法は工数が増加するだけではな
く、メッキ膜の研削や剥離を行うと寸法精度が低下する
などの問題があり、品質保持の点から好ましくなかっ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
Auメッキが施されたまゝの封止材を使用し、クラック
発生のない溶接を行うことが課題である。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題はFeを主成分とし、Auメッキを施した金属
部材を溶接して封止を行う際、溶接を行う金属部材間に
AuシートあるいはNiシートを挿入して溶接することによ
り解決することができる。
〔作用〕
Auメッキを施したFe合金を封止材として溶接する場合
にクラックを生ずる理由については各種の説があって決
定的なものはないが、その中に“Brittle-range"と云う
考え方がある。(溶接冶金学,松田福久著,日刊工業新
聞社刊) これによると、平衡状態図において液相−固相間の凝
固温度幅が広い組成ほどクラックが発生し易くなる。
この理論を第5図のAu-Fe状態図を用いて説明すると
次のようになる。
Auメッキを施したFe封止材を溶接すると溶接位置にク
ラックを生ずるが、これは同図でL(液相)+δFeの領
域に相当し、液相線と固相線との温度幅は次第に増大し
て割れ易くなるが、Au含有量が10数重量%となると固溶
限1に達し、最も割れ易い状態となる。
第2図(A)は従来の溶接方法を示すもので、Auメッ
キ2を施したFe合金部材3を接合し、これにレーザ光4
の照射を行って溶接すると同図(B)に示すように溶接
部にクラック5を生ずるのである。
そこで、本発明は第1図(A)に示すようにFe合金部
材3の間にAuシート6を挟み、レーザ光4を照射して溶
接を行うことによりAuを主成分とする合金7を作るよう
にしたものである。
これを第5図のAu-Fe状態図によって説明すると、溶
接によりL+Au領域の組成の合金が形成されるものであ
り、Auの含有量が多いほど液相−固相間の凝固温度幅は
狭くなり、従ってクラックは発生しなくなる。
また、本発明はコスト低減の見地からAuの代わりにニ
ッケル(Ni)シートの使用についても提案するものであ
る。
この場合、厳密にははFe合金−Au-Niの組成となる
が、簡単のために以下Fe-Ni系について説明する。
第6図はFe-Niの状態図を示すもので、1000℃以上の
状態では固相は全率固溶形のγ相からなっており、液相
−固相間の凝固温度幅は全域に亙って狭い。
このことから、溶接に当たってクラックは発生しにく
いことが予測できる。
以上はAu-Fe系およびFe-Ni系の二元系について説明し
たもので、現実は多元系であり、多少は異なるものゝ、
Fe合金からなる金属部材の封着に当たって、Auシート或
いはNiシートを介在させて溶接を行えば、Au或いはNiを
主成分とする合金ができ、この場合、液相−固相間の凝
固温度幅が狭いことからクラックが発生しないことが判
る。
〔実施例〕
実施例1:(Auシートの使用例) 溶接材料としてFe-42%Ni(42アロイ)を使用し、こ
の上に0.2μmのAuメッキを施して部材を作った。
そして、厚さが0.1〜0.6mmのAuシートを挟んでレーザ
溶接を行い、溶接継ぎ手を作成した。
溶接にはネオジウム(Nd)‐YAGレーザを用い、溶接
条件はパルス幅4ms,焦点はずし量0mm,平均出力300W,パ
ルスレート60pps,溶接速度は500mm/分,レンズ焦点距離
は100mmであり、シールドガスとしてアルゴン(Ar)を
ガス圧1.5kg/cm2,ガス流量30l/分の条件で供給した。
第3図はAuシートの厚さと溶接位置のAu合金中の組成
(重量%)を示すもので、EPMA(X線マイクロアナライ
ザ)を使用し、径50μmの電子線を照射して検出を行っ
た。
これによると、Auシートの厚さが0.4mm以上のものを
使用する場合は溶接部のAuの含有量は70重量%以上とな
り、クラックは生じていない。
一方、Auシートとして0.1mmおよび0.2mmのものを使用
した場合はAuの含有量は40重量%以下となり、クラック
が発生した。
実施例2:(Niシート使用例) 溶接材料としてFe-42%Ni(42アロイ)を使用し、こ
の上に0.2μmのAuメッキを施して部材を作った。
そして、厚さが0.2〜0.6mmのNiシートを挟んでレーザ
溶接を行い、溶接継ぎ手を作成した。
溶接にはネオジウム(Nd)‐YAGレーザを用い、溶接
条件はパルス幅4ms,焦点はずし量0mm,平均出力300W,パ
ルスレート60pps,溶接速度は500mm/分,レンズ焦点距離
は100mmであり、シールドガスとしてアルゴン(Ar)を
ガス圧1.5kg/cm2,ガス流量30l/分の条件で供給した。
第4図はAuシートの厚さと溶接部のNi合金中の組成
(重量%)を測定したもので、測定方法は実施例1と同
じである。
その結果、Niシートの厚さが0.3mm以上のものを使用
する場合は溶接部のNiの含有量は60重量%以上となり、
クラックは生じていないが、0.2mmのものを使用した場
合はクラックが発生した。
この原因は、Niシートの厚さが薄す過ぎるためNiが均
一に溶け込まないことによると思われる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、Auメッキの剥離を行うことなく部材
同士の溶接を行うことができ、そのため寸法精度のよい
筐体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施法を示す断面図、 第2図は従来の実施法を示す断面図、 第3図は実施例1の測定結果の表示図、 第4図は実施例2の測定結果の表示図、 第5図はAu-Fe系の部分状態図、 第6図はFe-Ni系の部分状態図、 である。 図において、 2はAuメッキ、3はFe合金部材、4はレーザ光、5はク
ラック、6はAuシート、7は合金、である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄を主成分とし、金メッキを施した金属部
    材を溶接して封止を行う際、溶接を行う該金属部材間に
    金シート或いはニッケルシートを挿入して行うことを特
    徴とする溶接方法。
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