JP4251721B2 - 気密端子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密端子およびその製造方法に関し、より詳細には、鉛フリー(レス)の比較的高い液相線温度を有するろう材となる異種金属層の積層体を有する気密端子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ろう付けはいろいろな分野で実施されており、ろう材としては、錫(Sn)と鉛(Pb)の共晶はんだ(以下Sn−Pb共晶はんだ)が最もよく知られている。このSn−Pb共晶はんだは、Sn61.9wt%とPb38.1wt%の組成を有し、共晶点の溶融温度が183℃のものである。また、このSn−Pb共晶半田をリフロー半田として用いる電子部品のろう付けにおいては、このリフロー温度で電子部品内部の電子素子のろう付け部分のろう材が溶融して、電子素子が脱落することがあってはならない。そのために、電子部品内部の電子素子のろう付け部分のろう材としては、例えば高温半田と称されるPb90〜99wt%−Sn1〜10wt%の組成のPb−Sn合金が用いられている。この高温はんだは、液相線温度が320℃で、固相線温度が310℃である。
【0003】
図13は、上記の高温はんだを用いた電子部品の一例としての圧入型水晶振動子Fの断面図である。
図13において、40は気密端子で、金属外環41にガラス42を介してリード43,43が気密に封着されている。前記金属外環41およびリード43,43の露出部分には、前記の高温はんだ44,44がめっきその他の方法で形成されている。そして、前記リード43,43の先端部に、前記高温はんだ44を利用して、水晶振動片45の電極46,47がろう付けされている。さらに、前記水晶振動片45を組み付けた気密端子40を、金属キャップ48に圧入封止して、圧入型水晶振動子Fが構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近、Pbの有害性がクローズアップされて、環境問題のために、各国でPbの使用を規制する動きがあり、我が国の電子部品業界でも有害物質であるPbの使用を制限する動きがある。このため、Pbフリー(またはPbレス)と称される代替半田が開発研究されている。このようなPbフリーの代替半田は、専らSn−Pb共晶はんだの代替として開発研究されており、できるだけSn−Pb共晶はんだの共晶点の溶融温度である183℃に近い溶融点のものが求められており、Sn−Ag系やSn−Bi系が開発の主流になっている。
【0005】
このSn−Pb共晶半田の代替半田をリフロー半田として用いる電子部品のプリント基板等へのろう付けにおいては、このリフロー温度で電子部品内部の電子素子のろう付け部分のろう材が溶融して、電子素子が脱落することがあってはならない。そのために、電子部品内部の電子素子のろう付け部分のろう材としては、そのリフロー温度で溶融しない高融点の代替半田が必要になる。
【0006】
上記のリフロー温度に耐えるPbフリーの高温はんだとしては、次のような諸特性を満足する必要がある。
▲1▼溶融によりろう付けが可能であること。(ろう付け性)
これは、ろう材としての基本的な要求特性である。
▲2▼リフロー温度で溶融しないこと。(高融点性)
これは、リフロー温度に耐えるPbフリーろう材として所期の基本的な要求特性である。
▲3▼後加工が可能であること。(後加工性)
これは、例えばろう材をめっきしたリード線の折り曲げ加工を行っても、ろう材が割れたりしないことの要求特性である。
▲4▼基板との接合信頼性があること。(接合信頼性)
これは、世の中一般に広く出回っている基板に対する接合性ばかりでなく、その信頼性に対する要求特性である。
▲5▼後銀めっきが可能であること。(めっき性)
これは、ろう材の表面が露出したままでは、表面の光沢性や美観性等の点で仕上げ銀めっきをする場合の、銀めっきの析出性および固着性を確保するための要求特性である。
【0007】
Pbフリーの代替はんだとして、Snを主成分とするAu,Ag,Cu等との合金よりなるものが提案されている。ところが、AuやAg等の貴な金属と、Sn等の比較的卑な金属との合金よりなるろう材を、湿式のめっき法等で電気化学的に形成しようとすると、金属間の電極電位の差が大きく、共析させることが困難である。
また、仮に共析自体は可能であるとしても、めっき液の金属イオン,水素イオン,有機物等の成分濃度の変動の影響をシビアに受け、所望の組成,膜厚を確保することが困難であるという問題点があった。
そこで、本発明は、上記各種の要求特性を満足する比較的高融点を有するPbフリーのろう材となる異種金属層の積層体を具備する気密端子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の気密端子は、金属外環にガラスを介してリードを気密に封着してなる気密端子において、前記リードに加熱により合金化してろう材となる異種の金属層を、貴な金属層がろう付けに必要な小部分のみになるように積層形成したことを特徴とする気密端子である。
【0009】
本発明の気密端子の製造方法は、Ag、Au、およびCuからなるいずれかの第1金属層を無電解めっきによりリードの先端部に部分めっきする工程、部分めっきしたリードを金属外環にガラスを介して気密封着する工程、およびSnの第2金属層をバレルめっきにより前記リードの露出する全面にめっきする工程を含む金属外環にガラスを介してリードを気密封着した気密端子の製造方法であって、前記リードの加熱時に前記第1金属層と前記第2金属層を合金化してろう材とすることを特徴とする気密端子の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、Ag、Au、およびCuからなるいずれかの第1金属層を無電解めっきによりリードの先端部に部分めっきする工程、部分めっきしたリードを金属外環にガラスを介して気密封着する工程、およびSnの第2金属層をバレルめっきにより前記リードの露出する全面にめっきする工程を含む金属外環にガラスを介してリードを気密封着した気密端子の製造方法であって、前記リードの加熱時に前記第1金属層と前記第2金属層を合金化してろう材とすることを特徴とする気密端子の製造方法である。このように、加熱により合金化してろう材となる異種金属層の積層体を具備する気密端子の製造方法では、貴な金属層がろう付けに必要な小部分のみになるように積層形成することにより、合金の形態でのろう材の形成が困難なものであっても、容易に所望の組成のろう材を形成してろう付けすることができるのみならず、貴な金属の使用量を少なくできる。

【0013】
本発明の請求項4記載の発明は、リードの先端部分に加熱により合金化してろう材となるAu,Ag,Cuのいずれか一つの金属またはこれらの合金からなる第1金属層を形成する工程と、このリードを金属外環内にガラスを介して気密に封着する工程と、前記リードの全面にSnまたはその合金からなる第2金属層を形成する工程とを有することを特徴とする気密端子の製造方法である。
このように、リードの先端部分にのみ比較的高価な第1金属層を形成し、このリードを金属外環にガラスを介して気密に封着後、リードの全面にSnまたはその合金からなる第2金属層を形成することにより、比較的高価な第1の金属層の使用量を少なくして原価低減ができ、比較的安価な第2の金属層を製造原価の低い全面めっき等で容易かつ効率的に形成できる。
【0014】
本発明の請求項5記載の発明は、前記第1金属層を部分めっきにより形成し、前記第2金属層をバレルめっきにより形成することを特徴とする請求項4記載の気密端子の製造方法である。
高価な第1の金属層を部分めつきで形成して比較的高価な材料の使用量を少なくして原価低減ができ、また比較的安価な第2金属層をめっき原価の低いバレルめっきで全面に容易に形成できる。
【0015】
本発明の請求項6記載の発明は、前記第1金属層および第2金属層のそれぞれの厚さを、加熱による合金化により形成されるろう材の組成に応じて、第1金属層の厚さを第2金属層の厚さよりも小さく設定することを特徴とする請求項4または5記載の気密端子の製造方法である。
第1の金属層と第2の金属層のそれぞれの厚さを上記のように設定することにより、狙いとする組成のろう材を容易に得られる。
【0016】
本発明の請求項7記載の発明は、前記第1金属層の厚さが1〜7μmであり、前記第2金属層の厚さが3〜10μmであることを特徴とする請求項4ないし6記載の気密端子の製造方法である。
第1、第2の金属層の厚さを上記のように設定することにより、狙いどおりの組成のろう材が容易に得られる。
【0017】
本発明の請求項8記載の発明は、前記金属外環に、前記リードの第1金属層および前記第2金属層とは異種の金属層を形成して、ガラスを介してリードと気密に封着することを特徴とする請求項4ないし7記載の気密端子の製造方法である。
このような金属層を金属外環に形成しておいてガラス封着することにより、金属外環に防錆および/またははんだ付け性等の機能を付与することができ、第1,第2金属層は専らろう材としての観点から形成できるし、場合によってはリードの先端部分のみに第2金属層を積層形成することができる。
【0018】
本発明の請求項9記載の発明は、前記気密端子が、圧電デバイス素子を接続固着するための圧電デバイス用気密端子であることを特徴とする請求項4ないし8記載の気密端子の製造方法である。
上記の方法によれば、上記気密端子に水晶振動片や表面弾性波素子等の圧電デバイス素子を所望の組成を有するろう材でろう付けすることができる。
【0019】
【実施例1】
本発明の第1実施例について、以下、図面を参照して説明する。
図1は本発明の気密端子の一実施例である圧入型水晶振動子用気密端子Aの斜視図を示す。図において、1は円筒形の金属外環で、その内部にガラス2を介して、2本のリード3,3が気密に封着されている。前記金属外環1は、例えば低炭素鋼やFe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等よりなり、外径寸法が1〜3mmのものである。前記ガラス2は、ソーダライムガラスやソーダバリウムガラスやホウケイ酸ガラス等よりなる。前記リード3,3は、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等よりなり、外径寸法が0.15〜0.3mmのものである。
【0020】
図2は、前記気密端子Aの拡大断面図で、図1とは水平面内で90°異なる角度から見た断面図である。リード3,3の先端部に、加熱により後述するSn層と合金化してろう材となるAu層4が形成され、金属外環1およびリード3,3の露出部分にはSn層5が形成されている。前記Au層4は無電解Auめっきによって形成され、その厚さは、狙いとするSn−Au合金よりなるろう材の組成に応じて設定される。例えば、Sn−30at%Au合金よりなるろう材を狙いとする場合は、Au層4の厚さは1.5〜2.5μm程度に形成され、Sn層5厚さは7.5〜8.5μm程度に形成される。
【0021】
図3は、リード3,3の先端部にAu層4を形成する部分めっき装置の一例を示す断面図である。図3において、30はめっき槽で、高い外槽31と低い内槽32と、これら外槽31と内槽32との間に形成された樋部33とを有しており、前記内槽32の高さはリード3,3の先端部の所望のめっき寸法に整合するように設定されている。34は内槽32に収容された無電解Auめっき液で、内槽32から溢れた無電解Auめっき液34は、外槽31と内槽32との間の樋部33からフィルタ35とポンプ36を経由して、再び内槽32に供給されるように構成されている。そして、前記の内槽32の無電解Auめっき液34にリード3,3を垂直状態にして浸積して、リード3,3の先端部のみに無電解Auめつきを施して、Au層4を形成する。
【0022】
図4は、上記のようにして、先端部のみにAu層4(図示省略)を形成したリード3,3を、金属外環1およびガラスタブレット2aとともに、グラファイト製の封着治具37,38によって組み立てた封着前の状態を示す断面図である。この状態で、窒素雰囲気の封着炉に通炉し、980〜1020℃で約5〜10分間加熱すると、図5に示すように、ガラスタブレット2aが溶融して、金属外環1にガラス2を介してリード3,3が封着された気密端子が得られる。Au層4の融点はガラス封着温度よりも高いので、ガラス封着時にAu層4が溶融したり変質したりすることはない。
【0023】
次に、上記の多数の気密端子をバレル(図示省略)に収容して、Snめっき液中に浸積して、バレルを回転させることにより、図2および図6に示すように、金属外環1およびリード3,3の全面に厚さが7〜9μmのSn層5を形成する。すなわち、先にAu層4が形成されていたリード3,3の先端部には、Au層4の上にSn層5が積層して形成されるが、リード3,3のそれ以外の部分および金属外環1にはSn層5のみが形成された、図2に示すような気密端子Aが得られる。
【0024】
次に、上記本発明の気密端子Aを用いたろう付け方法について説明する。
図7(a)は、前記気密端子AのAu層4およびSn層5を積層形成したリード3,3の先端部に、ろう付けすべき他の部材である電子素子の一例としての矩形状の水晶振動片6を接触させたろう付け前の状態の要部拡大断面図を示す。
前記水晶振動片6は、水晶片60の両面に電極61,62を形成したものである。そして、前記電極61,62を、リード3,3に形成されているSn層5に接触させて、例えばその接触部近傍にレーザまたは熱風を照射する局部加熱方法により、少なくともSn層5をその融点である232℃以上の温度,例えば450℃で加熱する。ここで、レーザまたは熱風を照射する局部加熱方法を採用する理由は、水晶振動片6が加熱により振動特性が変動しやすいため、可及的に水晶振動片6の加熱を抑止して特性変動を防止するためである。
すると、図7(b)に示すように、リード3,3の先端部に形成されているSn層5が溶融し、Sn層5の液相内にAu層4のAuが溶け込んでいき、Sn層5とAu層4との界面にSn−Au二元合金よりなるろう材7が形成され始める。
さらに加熱を続けると、図7(c)に示すように、溶融したSn層5内にその温度下における固溶限度以内の濃度までAuが溶け込んでいき、所定の厚さのSn−Au二元合金よりなるろう材層7が形成される。
【0025】
すなわち、図8のAu−Sn二元合金状態図から明らかなように、加熱温度によってSn−Au二元合金よりなるろう材7におけるAuの固溶限度が変化するので、接合後のろう材7の所望の組成に応じて、加熱温度を設定すればよい。例えば、接合後のろう材の所望の組成を、20at%AuのSn−Au二元合金よりなるろう材7としたい場合は、加熱温度を280℃前後に設定することにより、所望の組成のろう材7が得られる。
次に、全体を冷却してこのろう材7を固化すると、このろう材7によってリード3,3に水晶振動片6の電極61,62が電気的に接続されるとともに機械的に固着された水晶振動片組立構体が得られる。
なお、上記説明では、説明の簡素化のために、水晶振動片6の電極61,62とSn層5およびAu層4との合金化については触れていないが、電極61,62の材質によっては電極61,62とSn層5およびAu層4との合金化も生じる。そのような場合は、電極61,62の材質とともに、その厚さも最終的なろう材の組成に応じて設定する必要がある。このことは以下の各実施例においても同様である。
【0026】
【実施例2】
図9(a)は、本発明の第2実施例の気密端子Bの要部拡大断面図を示す。すなわち、本実施例の気密端子Bは、リード3,3の先端部のみに、加熱により合金化してろう材となる金属層として、厚さが2〜4μmのCu層8を形成し、このリード3,3をガラス(2)を介して金属外環(1)に封着した後、金属外環(1)およびリード3,3の全面に、厚さが3〜10μmのSn層9を形成したものである。前記Cu層8の融点はガラス封着温度よりも高いので、ガラス封着時にCu層8が溶融したり変質したりすることはない。
図9(a)には、上記気密端子BのSn層9に水晶振動片6の電極61,62を接触させたろう付け前の状態を併示している。
この実施例2においても、加熱により合金化してろう材となるSn層9を、その液相線温度である232℃よりも高い温度,例えば280℃に加熱する。
すると、図9(b)に示すように、Sn層9が溶融し、その液相内にCu層8のCuが溶け込んでいき、Sn−Cu二元合金よりなるろう材10が形成され始める。
その加熱温度の下における固溶限界までCuが溶け込んだ後冷却すると、図9(c)に示すように、Sn−Cu二元合金よりなるろう材10によって、リード3,3に水晶振動片6が接続固着された組立構体が得られる。
【0027】
【実施例3】
図10(a)は、本発明の第3実施例の気密端子Cの要部拡大断面図を示す。すなわち、本実施例の気密端子Cは、リード3,3の先端部のみに、加熱により合金化してろう材となる金属層として、厚さが3〜7μmのAg層11を形成し、このリード3,3を金属外環(1)にガラス(2)を介して気密に封着した後、金属外環(1)とリード(3,3)の全面に、厚さが3〜10μmのSn層12を積層形成したものである。なお、Ag層11の融点は961℃であるため、ガラス2としては例えばフッ素等を含有する組成により低融点化して、その封着温度でAg層12が溶融しないようにする必要がある。
図10(a)には、上記の気密端子CのSn層12に水晶振動片6を接触させたろう付け前の状態を併示している。
この実施例3においても、加熱により合金化してろう材となるSn層12を、その融点である232℃よりも高い温度,例えば450℃に加熱する。
すると、図10(b)に示すように、Sn層12が溶融し、その液相内にAg層11のAgが溶け込んでいき、Sn−Ag二元合金よりなるろう材13が形成され始める。
その加熱温度の下における固溶限界までAuが溶け込んだ後冷却すると、図10(c)に示すように、Sn−Ag二元合金よりなるろう材13によって、リード3,3に水晶振動片6が接続固着された組立構体が得られる。
【0028】
【実施例4】
図11(a)は、本発明の第4実施例の気密端子Dの要部拡大断面図を示す。すなわち、本実施例の気密端子Dは、リード3,3の先端部のみに、加熱により合金化してろう材となる金属層として、厚さが2〜7μmのAu層14を形成した後、このリード3,3を金属外環(1)にガラス(2)を介して気密に封着した後、金属外環(1)およびリード3,3の全面に厚さが2〜10μmの共晶組成であるSn−0.2at%CuのSn−Cu層15を形成したものである。
図11(a)には、上記の気密端子Dのリード3,3に、水晶振動片6の電極61,62を接触させた状態を併示している。
この実施例4においても、加熱により合金化してろう材となるSn−Cu層15を、その融点である227℃よりも高い温度,例えば280℃に加熱する。
すると、図11(b)に示すように、Sn−Cu層15が溶融し、その液相内にAu層15のAuが溶け込んでいき、Sn−Cu−Au三元合金よりなるろう材16が形成され始める。
その加熱温度の下における固溶限界までAuが溶け込んだ後冷却すると、図11(c)に示すように、Sn−Cu−Au三元合金よりなるろう材16によって、リード3,3に水晶振動片6が接続固着された組立構体が得られる。
【0029】
【実施例5】
図12(a)および(b)は、本発明の他の実施例の表面弾性波用気密端子Eの平面図およびX−X線に沿う断面図を示す。この気密端子Eは、金属外環17が四角形のもので、四隅に貫通孔18を有し、それぞれの貫通孔18にガラス19を介してリード20を気密に封着したものである。そして、要部の円内拡大断面図に示すように、金属外環17の全面には、封着前に防錆および/またははんだ付け性のために厚さが2〜4μmのNi層21が形成されるとともに、リード20の先端部のみに加熱により合金化してろう材となる金属層の一例として厚さが2〜7μmのAu層22が形成され、これらの金属外環17およびリード20がガラス19を介して気密に封着された後、さらにリード20の全面に前記Au層22と合金化してろう材となる金属層の一例としての厚さが2〜10μmのSn層23が形成されている。
この実施例5において、加熱により合金化してろう材となるSn層23の融点である232℃よりも高い温度,例えば450℃に加熱する。すると、Sn層23が溶融し、その液相内にAu層22のAuが溶け込んでいき、Sn−Au二元合金よりなるろう材(図示省略)が形成され始める。その加熱温度の下における固溶限界までAuが溶け込んだ後冷却すると、リード20,20の先端部にSn−Au二元合金よりなるろう材を具備する気密端子が得られる。
【0030】
次に、上記各実施例における各評価項目ごとの評価結果を次表に示す。
【表1】
Figure 0004251721
【0031】
本発明の気密端子は、上記で説明したSn−Au,Sn−Cu,Sn−Ag,Sn−Cu−Auのいずれかの二元合金または三元合金以上よりなるろう材となる異種の金属層のうち、比較的高価な第1金属層をリードの先端部のみに有し、金属外環およびリードの露出部の全面に、加熱により前記第1金属層と合金化してろう材となる第2金属層を有するものであるから、前記異種の金属層のうち低い液相線温度以上の温度で加熱することにより、前記両金属層が合金化してろう材を形成することができるので、リードの先端部の異種の金属層の積層部分に他の部材である圧電デバイス素子の電極を接触させた状態で、少なくとも一つの金属層の液相線以上の温度で加熱することにより、異種の金属層が合金化して、気密端子のリードに圧電デバイス素子等をろう付けすることができる。
なお、両金属層を完全に溶融させて合金化したろう材によりろう付けする場合はもちろんのこと、固相がなお残っている温度,すなわち、両金属層の固相線温度と液相線温度との中間の任意の温度で加熱し、固相および液相が混在した状態で冷却凝固させることにより、その加熱温度下における固溶限度まで合金化したろう材でろう付けを完了するようにしてもよい。
そのようなろう付け方法によれば、液相線温度以上の温度で加熱して、ろう材を完全に溶融させるろう付け方法に比較して、ろう付け温度を低く設定できるため、ろう付け装置が安価になると共に、維持費が安くなるのみならず、ろう付け温度を固相線温度と液相線温度との中間の任意の温度に設定することにより、その加熱温度の下における固溶限度に応じた任意の組成のろう材が容易に得られるという利点がある。
【0032】
なお、本発明の上記実施例は、特定の気密端子について、また加熱により合金化してろう材となる異種の金属層として特定の金属層の組み合わせについて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で、各種の変形が可能であることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上記実施例においては、気密端子として、金属外環の形状が直円筒形状の圧入型水晶振動子用の気密端子AないしDや、金属外環の形状が平板状の抵抗溶接型または冷間圧接型表面弾性波用気密端子Eについて説明したが、もし、必要ならば、金属外環1の形状を、高さ寸法の中途部から上方部を上部に行くほど小径になるような傾斜面に形成するとともに、中途部から下方を直円筒状に形成した圧入型気密端子としてもよい。このような形状によれば、金属外環の金属キャップへの最初の挿入作業および圧入作業が容易かつ円滑になる利点がある。
【0034】
また、金属外環の形状が、長円形状または楕円形状の、抵抗溶接封止型や冷間圧接封止型の圧電デバイス素子用の気密端子についても、同様に実施できるものである。
【0035】
さらにまた、上記実施例においては、水晶振動子や表面弾性波素子等の圧電デバイス用気密端子について説明したが、圧電デバイス用気密端子以外の他の用途の電子部品用気密端子や半導体装置用気密端子,その他の気密端子等についても同様に実施できるものである。
【0036】
さらに、上記実施例では、加熱により合金化してろう材となる異種(二種)の金属層が二層の場合について説明したが、二種の金属層を三層以上の多層に積層形成してもよい。そのような場合、所望の組成のかつ均質な合金よりなるろう材が容易に得られる。
【0037】
さらに、加熱により合金化してろう材となる異種の金属層の厚さも、実施例に記載した範囲に限定されるものではなく、所望のろう材の組成や用途や必要なろう付け強度等に応じて適宜設定すればよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の気密端子は、金属外環にガラスを介してリードを気密に封着してなる気密端子において、前記リードに加熱により合金化してろう材となる異種の金属層を、貴な金属層がろう付けに必要な小部分のみになるように積層形成したことを特徴とする気密端子であるから、有害物質のPbを含まない,いわゆるPbフリーの比較的高融点のろう材が簡単に得られる気密端子を提供でき、環境問題をクリアできるのみならず、最初から合金めっき法では形成することが困難な組成のろう材を具備する気密端子が容易に得られる。また、比較的高価な金属層をリードの先端の必要部分のみに具備するから、この種の気密端子を安価に提供できる。
【0039】
また本発明の気密端子の製造方法は、Ag、Au、およびCuからなるいずれかの第1金属層を無電解めっきによりリードの先端部に部分めっきする工程、部分めっきしたリードを金属外環にガラスを介して気密封着する工程、およびSnの第2金属層をバレルめっきにより前記リードの露出する全面にめっきする工程を含む金属外環にガラスを介してリードを気密封着した気密端子の製造方法であって、前記リードの加熱時に前記第1金属層と前記第2金属層を合金化してろう材とすることを特徴とする気密端子の製造方法であるから、比較的高価な第1金属層をリードの先端の必要部分のみに形成することにより、高価な金属の使用量を少なくして、第1金属層の原価を低減できるし、比較的安価な第2金属層は形成原価の低いバレルめっき法等で簡単に形成できるので、結局、この種の気密端子を安価に提供できるという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の圧入型水晶振動子用気密端子Aの斜視図
【図2】 本発明の第1実施例の気密端子Aの拡大断面図
【図3】 本発明の第1実施例の気密端子Aの製造方法について説明するリード先端部へのAu部分めっき装置の断面図
【図4】 本発明の第1実施例の気密端子Aの製造方法について説明する気密端子封着前の状態の断面図
【図5】 本発明の第1実施例の気密端子Aの製造方法について説明する気密端子封着後の状態の断面図
【図6】 本発明の第1実施例の気密端子Aの要部拡大断面図
【図7】 本発明の第1実施例の気密端子Aのリード先端に水晶振動片をろう付けする場合の各段階の断面図
【図8】 本発明の第1実施例の気密端子Aのリード先端に水晶振動片をろう付けする場合のろう材の組成決定の根拠を説明するためのAu−Sn二元合金状態図
【図9】 本発明の第2実施例の気密端子Bのリード先端に水晶振動片をろう付けする場合の各段階の断面図
【図10】 本発明の第3実施例の気密端子Cのリード先端に水晶振動片をろう付けする場合の各段階の断面図
【図11】 本発明の第4実施例の気密端子Dのリード先端に水晶振動片をろう付けする場合の各段階の断面図
【図12】 本発明の第5実施例の気密端子Eの平面図およびX−X線に沿う断面図
【図13】 従来の圧入型水晶振動子の断面図
【符号の説明】
A,B,C,D,E 気密端子
1、17 金属外環
2、19 ガラス
3、20 リード
4、10、14、22 Au層
5、9、12、23 Sn層
6 水晶振動片
7 Sn−Au二元合金よりなるろう材
8 Cu層
10 Sn−Cu二元合金よりなるろう材
11 Ag層
13 Sn−Ag二元合金よりなるろう材
15 Sn−Cu合金層
16 Sn−Cu−Au三元合金よりなるろう材
18 貫通孔
21 Ni層

Claims (3)

  1. Ag、Au、およびCuからなるいずれかの第1金属層を無電解めっきによりリードの先端部に部分めっきする工程、部分めっきしたリードを金属外環にガラスを介して気密封着する工程、およびSnの第2金属層をバレルめっきにより前記リードの露出する全面にめっきする工程を含む金属外環にガラスを介してリードを気密封着した気密端子の製造方法であって、前記リードの加熱時に前記第1金属層と前記第2金属層を合金化してろう材とすることを特徴とする気密端子の製造方法。
  2. 前記第1金属層および第2金属層の厚さは合金化により形成されるろう材の組成に応じて設定し、かつ前記第1金属層の厚さを第2金属層の厚さよりも小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の気密端子の製造方法。
  3. 前記第1金属層はAuで厚さが1〜3μmの範囲内で形成し、前記第2金属層はSnで厚さが7〜9μmであることを特徴とする請求項2に記載の気密端子の製造方法。
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