JP2615524B2 - ガス放電型表示パネル - Google Patents

ガス放電型表示パネル

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JP2615524B2 JP4062991A JP6299192A JP2615524B2 JP 2615524 B2 JP2615524 B2 JP 2615524B2 JP 4062991 A JP4062991 A JP 4062991A JP 6299192 A JP6299192 A JP 6299192A JP 2615524 B2 JP2615524 B2 JP 2615524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガス放電を利用して、
文字や画像を表示するガス放電型表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】カラー表示用のガス放電型表示パネル
は、対向した2枚の平板ガラスの内面に陰極と陽極及び
蛍光体を設け、周囲を機密に封止、内部にXe、Kr、
Heなどの希ガスを封入し、電極間に所定の電圧を印加
することにより、プラズマ放電を発生させ、このとき発
生する紫外線を蛍光体に照射し、赤、青、緑の可視光に
変換し、カラー画像を表示する装置である。このような
ガス放電型表示パネルは自己発光タイプのため、視野角
が広くコントラスト比が高いので、明るくて見やすく、
応答速度が早いなど優れた特徴を持ち、又、大画面の表
示パネルが作成出来ることから、大型の壁掛けテレビや
ハイビジョンテレビ等の実用化が期待されている。
【0003】一方従来からラップトップやノートブック
型のワープロなどに利用されているネオンオレンジに発
光するモノクロのガス放電型表示パネルでは、陰極の材
料にNiが主に使用されていたが、放電を開始する電圧
や、放電を維持する電圧が比較的高くパネルの消費電力
が大きいこと、又、放電中のイオン衝撃により、陰極材
料がスパッタされ、光の透過率や、電極間の絶縁性を低
下するなどの理由により、パネルの寿命に問題があっ
た。本願出願人はこのような問題を解決するために、N
iに変わり、新しく(LaSr)CoO3 など基本的に
はペロブスカイト型の結晶構造を持つ酸化物導電体の陰
極について既に提案した。例えば、特開平4ー19941号公
報に開示されている。これらの酸化物導電体の陰極はN
iに比べ、放電維持電圧が低く、しかも、耐スパッタ性
にも優れ、従来のNiに比べ、パネルの消費電力を大幅
に低下させ、又、パネルの寿命も大幅に向上することが
できた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように、ネオンオレンジ色に発光するモノクロのガス放
電型表示パネルでは陰極材料に酸化物導電体を用いるこ
とにより、優れた特性を示すことができたがカラー表示
用のガス放電型表示パネルとなると、必ずしも酸化物導
電体の陰極だけでは、寿命特性を満足することは出来な
い。カラー表示用のガス放電型表示パネルで用いられる
プラズマ放電の波長は、真空紫外領域であり、例えば、
He−Xeの放電ガスの場合は、147nmである。こ
のような短波長の帯域になると、物質の光透過率は極端
に低下してしまう。従って、プラズマ放電により、荷電
粒子が陰極に衝突し、陰極材料がスパッタされ蛍光体表
面に堆積してくると、蛍光体の励起源である紫外線がス
パッタ膜に吸収され、蛍光体に到達する実効的な紫外線
が減少し、パネルの輝度低下を招いてしまう。このよう
にカラー表示用のガス放電型表示パネルでは、陰極材料
のスパッタによる紫外線吸収が大きいために、パネルの
寿命時間が短いという大きな課題があった。
【0005】本発明はこのような従来の課題に鑑みなさ
れたものであり、本発明の目的は、放電維持電圧を低く
保ちながら、従来よりも長寿命のカラー表示用のガス放
電型表示パネルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば基本的にペロブスカイト型結晶構造
を有する(LaSr)CoO3 や(LaSr)MnO3
などの酸化物導電体材料に紫外線領域で光吸収の少ない
CaF2 、MgF2 、BaF2 、LiFなどのフッ素化
合物を少なくとも混合した材料を陰極として用いること
を特徴とする。
【0007】
【作用】カラー表示用のガス放電型表示パネルでは、
赤、青、緑のきれいな光の3原色を得るために、直接プ
ラズマ放電の可視光は使わず、紫外線を発生させ、この
紫外線により蛍光体を励起して可視光に変換する方式に
よりカラー表示を行っている。プラズマ放電で発生する
紫外線の波長は、蛍光体の可視光への変換効率の高い短
波長が使用される。たとえば、放電ガスとしてはXe、
Kr、Heなどの混合ガスが用いられ、そのプラズマ放
電の発光波長は200nm以下の真空紫外領域である。
このような短波長領域になると、ほとんどの物質は光を
吸収してしまう。
【0008】(LaSr)CoO3 などの酸化物導電体
の陰極は、Niなどの金属の陰極材料に比べ、低スパッ
タ率な特性を持つ点で注目されるが、それでもわずかな
がらプラズマ放電によってスパッタされ、このスパッタ
膜が蛍光体表面に堆積し紫外光を吸収して蛍光体に到達
する紫外線の量が減少してしまう。ところが、本発明
は、基本的にはペロブスカイト型結晶構造を持つ酸化物
導電体材料に、短波長領域で比較的光吸収の少ないCa
2 、MgF2 、BaF2 、LiFなどのフッ素化合物
を少なくとも含有させたものを陰極材料としているの
で、陰極材料がスパッタされて蛍光体表面に堆積して
も、スパッタ膜による紫外線の吸収量を減少させること
ができ、カラー表示用のガス放電型表示パネルの寿命を
向上させることが可能となる。
【0009】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例について説明する。
【0010】第1の実施例として酸化物導電体にLa
0.7Sr0.3MnO3 、フッ素化合物にCaF2 を用いた
場合について説明する。
【0011】カラー表示用のガス放電型表示パネルの寿
命は、陰極材料のスパッタによる蛍光体表面への堆積量
に依存するため、まずはじめに、酸化物導電体とフッ素
化合物の混合物の真空紫外領域でのスパッタ膜の光透過
性について述べる。スパッタ膜の作成は、ガス放電型表
示パネルと同じプラズマ放電現象を利用した高周波スパ
ッタ装置を用い、前記混合物を強制的にスパッタして製
膜し、このスパッタ膜の光透過率を測定した。使用した
スパッタ装置は通常の高周波スパッタ装置で日電アネル
バ社製のSPF−210Hを用いた。
【0012】ターゲットには、前記La0.7Sr0.3Mn
3 からなる酸化物導電体の粉末とCaF2 のフッ素化
合物の粉末を所定の配合比に混合した粉末を用いた。使
用した粉末の粒子サイズは、両者とも平均粒形は1μm
のものを用いた。基板には真空紫外領域でも光透過率の
高いCaF2 を基板として用いた。スパッタ条件は、A
r雰囲気中で、真空度は1x10-2 torr、ターゲ
ット基板間距離は35mm、高周波パワーは50w、基
板加熱は特に行わず室温で行った。これら条件は、実際
のガス放電型表示パネル内の状況と比べると、ガスの種
類、ガス圧、距離、パワーなどかなり異なっているが陰
極材料のスパッタ膜の相対的な比較を行うには十分であ
る。紫外線領域での透過率は、日本分光社製の真空紫外
分光光度計VUV−200で測定した。膜の透過率は製
膜された試料の透過率から、基板の透過率を差引き求め
た。
【0013】図2はLa0.7Sr0.3MnO3 とCaF2
の混合物におけるCaF2 比率とスパッタ膜の光透過率
の関係を示す。この時の波長は147nmでスパッタ時
間をパラメータとして示す。図2から明らかなようにC
aF2 の比率が増加するにしたがって、スパッタ膜の光
透過率は向上することが分かる。
【0014】また比較のため従来から使用されてきた陰
極材料であるNi、フッ素化合物を含有しないLa0.7
Sr0.3MnO3 、La0.7Sr0.3CoO3 の酸化物導
電体について同様な実験を行い、スパッタ膜の光透過率
を比較した。波長147nmにおいて、スパッタ時間1
分の場合の光透過率は、Niがほぼ0%であるのに対
し、La0.7Sr0.3CoO3 は56%、La0.7Sr0.3
MnO3 は57%を示した。そしてLa0.7Sr0.3Mn
3 の場合、図2に示すようにCaF2 を混合すること
により、更に光透過率を上昇させることができた。
【0015】これらのことから酸化物導電体はNiに比
べスパッタ特性に優れていることが分かるが、このよう
な良好なスパッタ特性を持つ酸化物導電体であるが、ス
パッタ時間が長くなると、光透過率は減少する。例え
ば、La0.7Sr0.3MnO3 の場合、スパッタ時間1分
では前述の通り57%であるが、スパッタ時間3分では
25%、5分では10%のように急速に透過率が減少し
てしまう。しかしながら、いずれの場合もCaF2 の存
在により、光透過率を上昇させることができた。
【0016】次に、ガス放電型表示パネルの作成方法に
ついて簡単に説明する。図1にパネルの断面図を示す。
背面ガラス基板1に、まず、陰極パターンとして、Ni
やAgの下地電極2を形成し、この下地電極の上に、本
発明の陰極3となるフッ素化合物を配合したペーストを
スクリーン印刷法により積層して形成する。
【0017】ここで、フッ素化合物と酸化物導電体の混
合物を厚膜印刷するためのペーストの作成方法として
は、あらかじめ所定の配合比に混合された粉末と、低融
点ガラスとビークルを適当な粘度になるように混合し、
一般的に知られている3本ローラ法により、結合してい
る粒子を十分ほぐし、ペースト状に練ることにより行な
う。
【0018】印刷後、120℃の空気中で乾燥した後、
500〜600℃の空気中で30分間焼成する。このよ
うにして陰極3を形成した背面ガラス基板1と、陽極4
と隔壁5と蛍光体8が設けられた前面ガラス基板6を、
隔壁5を介して重ね合わせ、フリットガラスを周囲に塗
布して焼成し内部を気密に封じる。その後、放電空間7
内を高真空に排気し、He−Xeなどの放電ガスを20
0〜500torr導入してカラー表示用のガス放電型
表示パネルを作製する。
【0019】次に、本実施例における酸化物導電体とフ
ッ素化合物の混合物の陰極を用いたときの放電特性つい
て述べる。図3にはLa0.7Sr0.3MnO3 とフッ素化
合物の混合比率と放電開始電圧の関係を示す。図3の実
線から明らかなようにCaF 2 の比率が増加すると放電
開始電圧は、徐々に増加傾向を示す。放電開始電圧を低
い状態に保ち得る範囲としては、CaF2 の比率が60
WT% までであることが望ましいが、若干放電開始電圧が
高くなるものの、CaF2 の混合比率が80WT% であっ
ても実用上使用できる。
【0020】この結果、La0.7Sr0.3MnO3 にCa
2 を混合した本発明の陰極材料は、混合しない陰極に
比べ、放電開始電極を低い状態に維持しながら、スパッ
タによる輝度低下を少なく保ち、カラー表示用のガス放
電型表示パネルの寿命を延ばすことができる。
【0021】(実施例2)次に第2の実施例として、酸
化物導電体に混合するフッ素化合物としてMgF 2 を用
いた場合について説明する。試料の作製方法及びパネル
の作製方法は実施例1と同じである。酸化物導電体とし
ては、実施例1と同じLa0.7Sr0.3MnO3 を用い
た。
【0022】図4にLa0.7Sr0.3MnO3 とMgF2
の混合比率とスパッタ膜の透過率の関係を示す。MgF
2 の場合はスパッタ時間1分の場合のみ示した。図4に
おいて、MgF2 の場合においても、図2に示したCa
2 とほぼ同じように、混合比率が増加するにしたがっ
てスパッタ膜の透過率は向上することが分かる。
【0023】更に図3にMgF2 の混合比率と放電開始
電圧の関係を第1の実施例と併記して示す(図3で破線
で示す)。図3から明らかなように実施例1のCaF2
と同じくMgF2 の場合でも混合比率が増加するに伴い
放電開始電圧は徐々に増加する。MgF2 の場合も実用
上放電開始電圧を低く維持する範囲としては、混合比率
の上限は80WT% である。
【0024】これらの結果から、酸化物導電体にMgF
2 を混合した陰極材料は、わずかに、放電開始電圧が増
加するが、プラズマ放電により陰極材料がスパッタされ
ても、紫外線の吸収を少なくすることができ、カラー放
電パネルが放電時間と共に著しく輝度が低下するのを減
少することが可能となる。
【0025】なお、このような効果は、真空紫外領域で
吸収の少ない材料と基本的にはペロブスカイト型結晶構
造を持つ酸化物導電体との混合物に共通した特徴であ
り、上記の実施例では、フッ素化合物として、CaF
2 、MgF2 、酸化物導電体としては(LaSr)Mn
3 を用いた例について述べたが、BaF2 、LiFに
ついてもあるいは(LaSr)CoO3 などの酸化物導
電体との組合せでも同様な特性を示すことが確かめられ
た。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、基
本的にはペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物導電
体に真空紫外領域で光吸収の少ないフッ化物を少なくと
も混合させた陰極材料で形成することにより、放電開始
電圧を低く維持しながら、プラズマ放電により陰極材料
がスパッタされ蛍光体表面に堆積しても、紫外線を吸収
する割合を低減できるので、カラー表示用のガス放電型
表示パネルの寿命を大幅に延ばすことができ、本発明の
効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるガス放電型表示パネ
ルの断面図
【図2】本発明の第1の実施例における(LaSr)M
nO3 とCaF2 との混合物のCaF2 比率とスパッタ
膜の光透過率の関係を示す特性図
【図3】本発明の第1及び第2の実施例における酸化物
導電体とフッ素化合物との混合物陰極のフッ素化合物の
比率と放電開始電圧の関係を示す特性図
【図4】本発明の第2の実施例における(LaSr)M
nO3 とMgF2 との混合物のMgF2 の比率とスパッ
タ膜の光透過率の関係を示す特性図
【符号の説明】
1 背面ガラス 2 下地電極 3 陰極 4 陽極 5 隔壁 6 前面ガラス 7 放電空間 8 蛍光体

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極と、前記一対の電極間に形成
    された放電空間と、前記放電空間内に収納された放電ガ
    スと、前記放電空間に隣接して設けられた蛍光体とを有
    するガス放電型表示パネルであって、前記一対の電極の
    内の陰極は、基本的にペロブスカイト型結晶構造を有す
    る化合物を含む酸化物導電体に、少なくともフッ素化合
    物を含有されているガス放電型表示パネル。
  2. 【請求項2】 フッ素化合物がCaF2 、MgF2 、L
    iF及びBaF2 から選択されるいずれかである請求項
    1記載のガス放電型表示パネル。
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