JP2615300B2 - 加速管 - Google Patents
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- JP2615300B2 JP2615300B2 JP4036394A JP3639492A JP2615300B2 JP 2615300 B2 JP2615300 B2 JP 2615300B2 JP 4036394 A JP4036394 A JP 4036394A JP 3639492 A JP3639492 A JP 3639492A JP 2615300 B2 JP2615300 B2 JP 2615300B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオン又は電子ビームを
真空雰囲気内で加速する加速管に係り、特に大電流ビー
ムを強電場加速するコンパクトなイオン注入器、電子線
照射器を実現ならしめる直流加速管に関する。
真空雰囲気内で加速する加速管に係り、特に大電流ビー
ムを強電場加速するコンパクトなイオン注入器、電子線
照射器を実現ならしめる直流加速管に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の加速管は金属製平板電
極と誘電体リング(絶縁リング)とを交互に重ね合わせ
て構成され、その内部は高真空が保持されている。ま
た、金属製平板電極には、荷電粒子ビームを加速するた
めに、誘電体リングの中心軸と同軸上にビーム通過用孔
が穿設されている。尚、このビーム通過用孔は、加速管
の真空排気用孔としての役割も兼ねている。
極と誘電体リング(絶縁リング)とを交互に重ね合わせ
て構成され、その内部は高真空が保持されている。ま
た、金属製平板電極には、荷電粒子ビームを加速するた
めに、誘電体リングの中心軸と同軸上にビーム通過用孔
が穿設されている。尚、このビーム通過用孔は、加速管
の真空排気用孔としての役割も兼ねている。
【0003】長大加速管においては、専用の真空排気用
孔がビーム通過用孔の周囲に穿設されているものもあ
る。従来の加速管が維持できる加速管軸方向の電位勾配
の上限は、2MV/m(200万ボルト/m)であっ
た。この上限は、加速ビーム電流強度が大きい程、また
加速管が長くなり加速電圧が高くなる程、小さくなる傾
向にある。これは加速管内で、その使用方法に付随して
種々のローディングが発生し易くなるからである。
孔がビーム通過用孔の周囲に穿設されているものもあ
る。従来の加速管が維持できる加速管軸方向の電位勾配
の上限は、2MV/m(200万ボルト/m)であっ
た。この上限は、加速ビーム電流強度が大きい程、また
加速管が長くなり加速電圧が高くなる程、小さくなる傾
向にある。これは加速管内で、その使用方法に付随して
種々のローディングが発生し易くなるからである。
【0004】このローディングの種類は、次のものが主
たるのもである。 (1)誘電体真空沿面フラッシオーバー (2)電子ローディング (3)Paschen Breakdown(パッシェン・ブレークダウ
ン) (4)正負イオン交換ローディング 〔誘電体真空沿面フラッシオーバー〕図18乃至図20
は従来の加速管における平板電極及び誘電体リングの代
表例を示す図である。これらの図面において、1はアノ
ード電極、2はカソード電極、3は誘電体リングであ
る。
たるのもである。 (1)誘電体真空沿面フラッシオーバー (2)電子ローディング (3)Paschen Breakdown(パッシェン・ブレークダウ
ン) (4)正負イオン交換ローディング 〔誘電体真空沿面フラッシオーバー〕図18乃至図20
は従来の加速管における平板電極及び誘電体リングの代
表例を示す図である。これらの図面において、1はアノ
ード電極、2はカソード電極、3は誘電体リングであ
る。
【0005】誘電体真空沿面フラッシオーバーは、カソ
ード電極2と誘電体リング3と真空とが接するトリプル
ポイントTから電子が電界放射によって引き出され、誘
電体真空沿面上を叩きながら、その過程で誘電体真空沿
面から更に2次電子及び中性ガスを発生しながらアノー
ド電極1に向かう電子雪崩によってもたらされる誘電体
真空沿面上のガス放電である(H.Craig Miller,"Surfac
e Flashover ofInsulators",IEEE Transactions Electr
ical Insulation,Vol.24 No.5,1989,及びこの中の引用
文献参照)。
ード電極2と誘電体リング3と真空とが接するトリプル
ポイントTから電子が電界放射によって引き出され、誘
電体真空沿面上を叩きながら、その過程で誘電体真空沿
面から更に2次電子及び中性ガスを発生しながらアノー
ド電極1に向かう電子雪崩によってもたらされる誘電体
真空沿面上のガス放電である(H.Craig Miller,"Surfac
e Flashover ofInsulators",IEEE Transactions Electr
ical Insulation,Vol.24 No.5,1989,及びこの中の引用
文献参照)。
【0006】図19はトリプルポイントTに作用する外
部電場の大きさを小さくすべく、カソード電極2のコー
ナ近くにカソード電極2からアノード電極1に向かって
突出したシールド電極2Aを設けた従来の電子雪崩抑止
策を示している。 〔電子ローディング及びPaschen Breakdown〕高電圧直
流加速管においては、加速電圧が高くなると加速管電圧
保持能力の関係から、加速電圧に比例して加速管長を長
くしなければならない。このとき、加速管内真空度は、
加速管長に逆比例して低下する。加速管内真空度と加速
管長を掛け合わせて積分した量が、Paschen の法則で定
まる一定値を超えると、加速管内残留ガス中で電子の雪
崩的増殖が発生し、加速管内ガス放電による加速電圧崩
壊へとつながる。
部電場の大きさを小さくすべく、カソード電極2のコー
ナ近くにカソード電極2からアノード電極1に向かって
突出したシールド電極2Aを設けた従来の電子雪崩抑止
策を示している。 〔電子ローディング及びPaschen Breakdown〕高電圧直
流加速管においては、加速電圧が高くなると加速管電圧
保持能力の関係から、加速電圧に比例して加速管長を長
くしなければならない。このとき、加速管内真空度は、
加速管長に逆比例して低下する。加速管内真空度と加速
管長を掛け合わせて積分した量が、Paschen の法則で定
まる一定値を超えると、加速管内残留ガス中で電子の雪
崩的増殖が発生し、加速管内ガス放電による加速電圧崩
壊へとつながる。
【0007】荷電粒子ビームを加速中、加速管内残留ガ
スとそのビーム粒子の衝突で2次電子が作られる。この
2次電子は加速管内の電場で加速され、最後に何処かの
電極か又はビームダクトに衝突し、そこから制動X線を
出す。加速管内真空度が悪いと、この2次電子電流強度
は加速ビーム電流強度を上回る場合も起こる。そのとき
発生する制動X線の量も甚だしく、加速器からの対人用
放射線遮蔽設備が大がかりなものとなる。また、制動X
線の加速器高電圧ターミナルを取り巻く絶縁ガスの電離
による電離電流が、加速器発電電流能力を上回る場合も
ある。
スとそのビーム粒子の衝突で2次電子が作られる。この
2次電子は加速管内の電場で加速され、最後に何処かの
電極か又はビームダクトに衝突し、そこから制動X線を
出す。加速管内真空度が悪いと、この2次電子電流強度
は加速ビーム電流強度を上回る場合も起こる。そのとき
発生する制動X線の量も甚だしく、加速器からの対人用
放射線遮蔽設備が大がかりなものとなる。また、制動X
線の加速器高電圧ターミナルを取り巻く絶縁ガスの電離
による電離電流が、加速器発電電流能力を上回る場合も
ある。
【0008】以上が電子ローディングを惹き起こす機構
の主なものであり、またそのときに共通して現れる現象
である。 〔正負イオン交換ローディング〕 正負イオン交換ローディングは、加速管内で電位差のあ
る電極間で正負の2次イオンがそれら電極を叩いたと
き、そこで2次イオン放出係数が或る閾値を超えると、
その2次イオン電流が雪崩的に増加して起こる放電現象
である(J.L.Mackibben,Los Alamos Scientific Labora
tory Report LA-5376-MS,1973,及びこの中の引用文
献)。
の主なものであり、またそのときに共通して現れる現象
である。 〔正負イオン交換ローディング〕 正負イオン交換ローディングは、加速管内で電位差のあ
る電極間で正負の2次イオンがそれら電極を叩いたと
き、そこで2次イオン放出係数が或る閾値を超えると、
その2次イオン電流が雪崩的に増加して起こる放電現象
である(J.L.Mackibben,Los Alamos Scientific Labora
tory Report LA-5376-MS,1973,及びこの中の引用文
献)。
【0009】2次イオン放出係数は電極を叩くイオンの
エネルギーに依存しているため、正負イオン交換ローデ
ィングは、加速管電圧が或る値に達した所で突如として
発生する。この2次イオンの種は、電極表面に付着した
汚染物質が主たるものである。従って、加速管内真空度
を高めれば、汚染物質の電極表面への付着量も低減でき
る。
エネルギーに依存しているため、正負イオン交換ローデ
ィングは、加速管電圧が或る値に達した所で突如として
発生する。この2次イオンの種は、電極表面に付着した
汚染物質が主たるものである。従って、加速管内真空度
を高めれば、汚染物質の電極表面への付着量も低減でき
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た誘電体真空沿面フラッシオーバーの抑止のために、図
19に示したようにシールド電極2Aを置いた場合、絶
縁リング3は目標とする2MV/mの電位勾配には長時
間耐え得ないことがわかった。また、電子ローディング
及びPaschen Breakdown は、加速管内真空度を良くして
やれば止めることができる。加速管内真空度を良くする
一番単純なやり方として、加速管のビーム通過用孔を大
きくしてやればよい。しかし、この場合にはビーム通過
用孔を経由して、加速管内電極間で正負イオン交換路に
自由度が増加し、所謂マイクロディスチャージがより低
い加速電圧で点火するようになる。
た誘電体真空沿面フラッシオーバーの抑止のために、図
19に示したようにシールド電極2Aを置いた場合、絶
縁リング3は目標とする2MV/mの電位勾配には長時
間耐え得ないことがわかった。また、電子ローディング
及びPaschen Breakdown は、加速管内真空度を良くして
やれば止めることができる。加速管内真空度を良くする
一番単純なやり方として、加速管のビーム通過用孔を大
きくしてやればよい。しかし、この場合にはビーム通過
用孔を経由して、加速管内電極間で正負イオン交換路に
自由度が増加し、所謂マイクロディスチャージがより低
い加速電圧で点火するようになる。
【0011】一方、この正負イオン交換ローディングを
止めるために、従来の加速管設計方法では、平板電極に
穿設する加速用のビーム通過用孔は極力小さくし、且つ
複数の真空排気用孔をビーム通過用孔の周囲に穿設して
いる。但し、このとき真空排気用孔を経由して正負イオ
ン交換放電が点火し易くなるため、真空排気用孔の位置
は加速管軸を中心にして誘電体リング円周方向に少しず
つ角度がずらされている。
止めるために、従来の加速管設計方法では、平板電極に
穿設する加速用のビーム通過用孔は極力小さくし、且つ
複数の真空排気用孔をビーム通過用孔の周囲に穿設して
いる。但し、このとき真空排気用孔を経由して正負イオ
ン交換放電が点火し易くなるため、真空排気用孔の位置
は加速管軸を中心にして誘電体リング円周方向に少しず
つ角度がずらされている。
【0012】この角度のずれが大きい程、その放電も生
起しにくいが、加速管内真空排気速度が低下するため、
前述した電子ローディングやその他のローディングが発
生し易くなるという問題がある。更に、加速管内真空度
を良くしても、汚染物質がそれによって完全に除去でき
るわけではないので、加速管の電位勾配と電圧の維持に
は限界があり、従来は電位勾配が2MV/mが実用上の
上限であった。また、その上限は、加速電圧と加速ビー
ム電流強度の増加とともに減少していくことも経験され
ている。これは、加速ビームと加速管内残留ガスの衝突
で生じた活性ガスが加速管内電極に付着し、容易にそこ
から離脱しないことが一因となっていることが考えられ
る。特に活性ガスはビーム軸上で作られるため、加速電
極のビーム通過用孔周辺部に付着する確率が大きい。ま
た、その場所は正負イオン交換ローディング時の2次荷
電粒子の出発及び終着点となっているため、正負イオン
交換ローディングの難易に大きく影響する所である。
起しにくいが、加速管内真空排気速度が低下するため、
前述した電子ローディングやその他のローディングが発
生し易くなるという問題がある。更に、加速管内真空度
を良くしても、汚染物質がそれによって完全に除去でき
るわけではないので、加速管の電位勾配と電圧の維持に
は限界があり、従来は電位勾配が2MV/mが実用上の
上限であった。また、その上限は、加速電圧と加速ビー
ム電流強度の増加とともに減少していくことも経験され
ている。これは、加速ビームと加速管内残留ガスの衝突
で生じた活性ガスが加速管内電極に付着し、容易にそこ
から離脱しないことが一因となっていることが考えられ
る。特に活性ガスはビーム軸上で作られるため、加速電
極のビーム通過用孔周辺部に付着する確率が大きい。ま
た、その場所は正負イオン交換ローディング時の2次荷
電粒子の出発及び終着点となっているため、正負イオン
交換ローディングの難易に大きく影響する所である。
【0013】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、良好に誘電体真空沿面フラッシオーバーを抑止
することができ、また加速管内真空排気速度を大きくす
ることができ、更に発生した2次イオンをその加速エネ
ルギーが低い段階で吸収することができる加速管を提供
することを目的とする。
もので、良好に誘電体真空沿面フラッシオーバーを抑止
することができ、また加速管内真空排気速度を大きくす
ることができ、更に発生した2次イオンをその加速エネ
ルギーが低い段階で吸収することができる加速管を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、正極性平板電極及び負極性平板電極によっ
て絶縁リングを挟んで成る加速管において、前記絶縁リ
ングの真空沿面に対向し、且つ前記正極性平板電極から
前記負極性平板電極に向かって突出する円筒電極を前記
正極性平板電極に設けたことを特徴としている。
するために、正極性平板電極及び負極性平板電極によっ
て絶縁リングを挟んで成る加速管において、前記絶縁リ
ングの真空沿面に対向し、且つ前記正極性平板電極から
前記負極性平板電極に向かって突出する円筒電極を前記
正極性平板電極に設けたことを特徴としている。
【0015】また、ビーム通過用孔が穿設された加速用
の加速管仕切電極と絶縁リングとが交互に重ね合わされ
て成る多段電極直流加速管において、各加速管仕切電極
のビーム通過用孔の周辺部に真空排気用孔を穿設し、そ
の真空排気用孔がビーム加速軸方向に揃うように各加速
管仕切電極を重畳することを特徴としている。更に、真
空排気用孔に達しない外径を有するとともに前記ビーム
通過用孔よりも大きな内径を有し、且つ各加速管仕切電
極間の隙間よりも高さが小さい円筒電極を、その円筒電
極の中心軸がビーム加速軸と一致するように各加速管仕
切電極に設け、且つ/又は絶縁リングよりも内側に位置
する各加速管仕切電極を円錐台状に折り曲げて突出さ
せ、そのテーパー部又は平板部に真空排気用孔を穿設す
ることを特徴としている。
の加速管仕切電極と絶縁リングとが交互に重ね合わされ
て成る多段電極直流加速管において、各加速管仕切電極
のビーム通過用孔の周辺部に真空排気用孔を穿設し、そ
の真空排気用孔がビーム加速軸方向に揃うように各加速
管仕切電極を重畳することを特徴としている。更に、真
空排気用孔に達しない外径を有するとともに前記ビーム
通過用孔よりも大きな内径を有し、且つ各加速管仕切電
極間の隙間よりも高さが小さい円筒電極を、その円筒電
極の中心軸がビーム加速軸と一致するように各加速管仕
切電極に設け、且つ/又は絶縁リングよりも内側に位置
する各加速管仕切電極を円錐台状に折り曲げて突出さ
せ、そのテーパー部又は平板部に真空排気用孔を穿設す
ることを特徴としている。
【0016】
【作用】本発明によれば、絶縁リングの真空沿面に対向
し、且つ前記正極性平板電極から負極性平板電極に向か
って突出する円筒電極を正極性平板電極に設けるように
している。これにより、トリプルポイントで作りだされ
た電子はアノード電位にある円筒電極に引きつけられ、
それに向かって加速されるため、絶縁リング真空沿面上
での電子雪崩放電は惹き起こし難くなり、誘電体真空沿
面フラッシオーバー電圧は向上する。
し、且つ前記正極性平板電極から負極性平板電極に向か
って突出する円筒電極を正極性平板電極に設けるように
している。これにより、トリプルポイントで作りだされ
た電子はアノード電位にある円筒電極に引きつけられ、
それに向かって加速されるため、絶縁リング真空沿面上
での電子雪崩放電は惹き起こし難くなり、誘電体真空沿
面フラッシオーバー電圧は向上する。
【0017】また、各加速管仕切電極のビーム通過用孔
の周辺部に真空排気用孔を穿設し、その真空排気用孔が
ビーム加速軸方向に揃うように各加速管仕切電極を重畳
するようにしている。これにより、加速管内真空排気速
度を大きくすることができる。更に、真空排気用孔に達
しない外径を有するとともに前記ビーム通過用孔よりも
大きな内径を有し、且つ各加速管仕切電極間の隙間より
も高さが小さい円筒電極を、その円筒電極の中心軸がビ
ーム加速軸と一致するように各加速管仕切電極に設け、
且つ/又は絶縁リングよりも内側に位置する各加速管仕
切電極を円錐台状に折り曲げて突出させ、そのテーパー
部又は平板部に真空排気用孔を穿設するようにしてい
る。これにより、加速管軸と平行でない傾斜電場が形成
され、この傾斜電場により2次イオンをビーム加速軸方
向から大きく軌道をずらせることができ、2次イオンの
加速エネルギーが低い段階で加速管内電極に当ててそこ
で吸収させることができる。
の周辺部に真空排気用孔を穿設し、その真空排気用孔が
ビーム加速軸方向に揃うように各加速管仕切電極を重畳
するようにしている。これにより、加速管内真空排気速
度を大きくすることができる。更に、真空排気用孔に達
しない外径を有するとともに前記ビーム通過用孔よりも
大きな内径を有し、且つ各加速管仕切電極間の隙間より
も高さが小さい円筒電極を、その円筒電極の中心軸がビ
ーム加速軸と一致するように各加速管仕切電極に設け、
且つ/又は絶縁リングよりも内側に位置する各加速管仕
切電極を円錐台状に折り曲げて突出させ、そのテーパー
部又は平板部に真空排気用孔を穿設するようにしてい
る。これにより、加速管軸と平行でない傾斜電場が形成
され、この傾斜電場により2次イオンをビーム加速軸方
向から大きく軌道をずらせることができ、2次イオンの
加速エネルギーが低い段階で加速管内電極に当ててそこ
で吸収させることができる。
【0018】
【実施例】以下添付図面に従って本発明に係る加速管の
好ましい実施例を詳述する。図1は本発明に係る加速管
の平板電極及び誘電体リングの第1実施例を示す要部断
面である。同図に示すように、この加速管は、正極性平
板電極(アノード電極)10と負極性平板電極(カソー
ド電極)12とによって絶縁リング14を挟んで構成さ
れており、アノード電極10には絶縁リング14の真空
沿面14Aに対向し、且つアノード電極10からカソー
ド電極12に向かって突出する円筒電極10Aが一体的
に形成されている。
好ましい実施例を詳述する。図1は本発明に係る加速管
の平板電極及び誘電体リングの第1実施例を示す要部断
面である。同図に示すように、この加速管は、正極性平
板電極(アノード電極)10と負極性平板電極(カソー
ド電極)12とによって絶縁リング14を挟んで構成さ
れており、アノード電極10には絶縁リング14の真空
沿面14Aに対向し、且つアノード電極10からカソー
ド電極12に向かって突出する円筒電極10Aが一体的
に形成されている。
【0019】上記構成の加速管によれば、トリプルポイ
ントTの場所での外部電場の作用は強くなるが、トリプ
ルポイントTで作り出される電子はアノード電位にある
円筒電極10Aに引きつけられ、それに向かって加速さ
れて行くため、絶縁リング14の真空沿面14A上での
電子雪崩放電は惹き起こされ難くなる。そのため、誘電
体真空沿面フラッシオーバー電圧は向上し、実験によれ
ば、この向上率は従来の数倍に及んだ。
ントTの場所での外部電場の作用は強くなるが、トリプ
ルポイントTで作り出される電子はアノード電位にある
円筒電極10Aに引きつけられ、それに向かって加速さ
れて行くため、絶縁リング14の真空沿面14A上での
電子雪崩放電は惹き起こされ難くなる。そのため、誘電
体真空沿面フラッシオーバー電圧は向上し、実験によれ
ば、この向上率は従来の数倍に及んだ。
【0020】図2乃至図6はそれぞれ第2実施例乃至第
6実施例を示す要部断面図である。尚、図1と共通する
部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略す
る。図2に示す第2実施例は、絶縁リング16の形状が
上記第1実施例と相違している。即ち、この絶縁リング
16はその縦断面形状が台形で、テーパー状の真空沿面
16Aを有している。
6実施例を示す要部断面図である。尚、図1と共通する
部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略す
る。図2に示す第2実施例は、絶縁リング16の形状が
上記第1実施例と相違している。即ち、この絶縁リング
16はその縦断面形状が台形で、テーパー状の真空沿面
16Aを有している。
【0021】図3に示す第3実施例は、カソード電極1
8の形状が上記第1実施例と相違している。即ち、この
カソード電極18は、カソードコーナー部電極にアノー
ド電極10と反対方向に段差が設けられている。この構
成のカソード電極18によれば、トリプルポイントTか
ら発生した電子を、上記第1、第2実施例の場合よりも
更に強い外部電場が円筒電極10Aに誘い込むように作
用する。そのため、誘電体真空沿面フラッシオーバー電
圧は、第1、第2実施例のそれよりも向上する。
8の形状が上記第1実施例と相違している。即ち、この
カソード電極18は、カソードコーナー部電極にアノー
ド電極10と反対方向に段差が設けられている。この構
成のカソード電極18によれば、トリプルポイントTか
ら発生した電子を、上記第1、第2実施例の場合よりも
更に強い外部電場が円筒電極10Aに誘い込むように作
用する。そのため、誘電体真空沿面フラッシオーバー電
圧は、第1、第2実施例のそれよりも向上する。
【0022】図4に示す第4実施例は、縦断面形状が台
形の絶縁リング16が用いられており、この絶縁リング
16の形状のみが上記第3実施例と相違している。図5
及び図6に示す第5実施例及び第6実施例は、それぞれ
アノード電極20の形状、特にアノード電極20に固定
された円筒電極20Aの形状が第3実施例及び第4実施
例と相違している。即ち、これらの円筒電極20Aはそ
の先端がナイフエッジ状に形成されている。
形の絶縁リング16が用いられており、この絶縁リング
16の形状のみが上記第3実施例と相違している。図5
及び図6に示す第5実施例及び第6実施例は、それぞれ
アノード電極20の形状、特にアノード電極20に固定
された円筒電極20Aの形状が第3実施例及び第4実施
例と相違している。即ち、これらの円筒電極20Aはそ
の先端がナイフエッジ状に形成されている。
【0023】図7及び図8はそれぞれ各円筒電極を含む
要部拡大図であり、各円筒電極の形状と2次イオンの軌
道の特徴の相違を模式的に描いている。円筒電極10A
と20Aとを比較すると、円筒電極先端とカソード電極
間の距離を固定した場合、先端が丸みをもった円筒電極
10Aでは、その電極先端とカソード電極18間での正
負イオン交換生起確率は、両電極の対面面積が、先端が
ナイフエッジ対平板電極の場合よりも大きいことに加
え、2次イオンの電極間隙外帚払効果も小さいので、電
極間交換放電が生起しやすい。故に、平板対先端の丸い
円筒電極10A間の真空絶縁能力は、その先端がナイフ
エッジ状の円筒電極20Aの場合よりも低下する。
要部拡大図であり、各円筒電極の形状と2次イオンの軌
道の特徴の相違を模式的に描いている。円筒電極10A
と20Aとを比較すると、円筒電極先端とカソード電極
間の距離を固定した場合、先端が丸みをもった円筒電極
10Aでは、その電極先端とカソード電極18間での正
負イオン交換生起確率は、両電極の対面面積が、先端が
ナイフエッジ対平板電極の場合よりも大きいことに加
え、2次イオンの電極間隙外帚払効果も小さいので、電
極間交換放電が生起しやすい。故に、平板対先端の丸い
円筒電極10A間の真空絶縁能力は、その先端がナイフ
エッジ状の円筒電極20Aの場合よりも低下する。
【0024】尚、円筒電極20Aの先端は片刃である
が、図9に示すように円筒電極20Bのようにその先端
を両刃としてもよい。図10は本発明に係る加速管の第
7実施例を示す平面面であり、図11は図10の11−
11線に沿う断面図である。この加速管は、加速管仕切
電極30と絶縁リング32とが交互に重ね合わされて成
る多段電極直流加速管であり、各加速管仕切電極30
は、その中央部に荷電粒子ビーム34を加速するための
ビーム通過用孔30Bが穿設されるとともに、ビーム通
過用孔30Bの周辺部に4つの真空排気用孔30Cが穿
設されている。
が、図9に示すように円筒電極20Bのようにその先端
を両刃としてもよい。図10は本発明に係る加速管の第
7実施例を示す平面面であり、図11は図10の11−
11線に沿う断面図である。この加速管は、加速管仕切
電極30と絶縁リング32とが交互に重ね合わされて成
る多段電極直流加速管であり、各加速管仕切電極30
は、その中央部に荷電粒子ビーム34を加速するための
ビーム通過用孔30Bが穿設されるとともに、ビーム通
過用孔30Bの周辺部に4つの真空排気用孔30Cが穿
設されている。
【0025】また、各段の加速管仕切電極30は、真空
排気用孔30Cがビーム加速軸方向に揃うように、即
ち、円周方向の角度ずれが生じないように重畳されてい
る。更に、加速管仕切電極30には前述したような円筒
電極30Aが固定されている。上記構成の加速管によれ
ば、円筒電極30Aが周囲電場を歪ませ、真空排気用孔
30C周辺に、加速管軸と平行でない軸対称傾斜電場が
作られる。
排気用孔30Cがビーム加速軸方向に揃うように、即
ち、円周方向の角度ずれが生じないように重畳されてい
る。更に、加速管仕切電極30には前述したような円筒
電極30Aが固定されている。上記構成の加速管によれ
ば、円筒電極30Aが周囲電場を歪ませ、真空排気用孔
30C周辺に、加速管軸と平行でない軸対称傾斜電場が
作られる。
【0026】このように真空排気用孔30C周辺に傾斜
電場を作用させると、真空排気用孔30Cを同位相で重
ねたときに発生し易くなる真空排気用孔30Cを通して
のローディングは、生起し難くなる。これは、その真空
排気用孔30Cを通過して正負電位差のある加速管電極
間で加速された2次電子,正負イオンの軌道が傾斜電場
の作用で大きく加速管軸方向から曲げられ、それら荷電
粒子の電極間飛程が小さくなるからである。平均飛程が
小さくなれば、イオンの電極表面衝突エネルギーも小さ
くなり、2次イオンや電子の生成効率が減少するから各
種ローディングも生起し難くなる。尚、図11には等電
位線及び或る電極から出発した2次荷電粒子の軌道が模
式的に示されている。
電場を作用させると、真空排気用孔30Cを同位相で重
ねたときに発生し易くなる真空排気用孔30Cを通して
のローディングは、生起し難くなる。これは、その真空
排気用孔30Cを通過して正負電位差のある加速管電極
間で加速された2次電子,正負イオンの軌道が傾斜電場
の作用で大きく加速管軸方向から曲げられ、それら荷電
粒子の電極間飛程が小さくなるからである。平均飛程が
小さくなれば、イオンの電極表面衝突エネルギーも小さ
くなり、2次イオンや電子の生成効率が減少するから各
種ローディングも生起し難くなる。尚、図11には等電
位線及び或る電極から出発した2次荷電粒子の軌道が模
式的に示されている。
【0027】図12は本発明に係る加速管の第8実施例
を示す平面面であり、図13は図12の13−13線に
沿う断面図である。尚、第7実施例と共通する部分には
同符号を付し、その詳細な説明は省略する。図12及び
図13に示す第8実施例は、加速管仕切電極36の形状
が上記第7実施例と相違している。即ち、この加速管仕
切電極36は、絶縁リング32よりも内側の電極部分が
円錐台状に折り曲げられて凹型に形成されている。尚、
真空排気用孔36Cは加速管仕切電極36のテーパー部
36Dよりも外側に穿設されている。
を示す平面面であり、図13は図12の13−13線に
沿う断面図である。尚、第7実施例と共通する部分には
同符号を付し、その詳細な説明は省略する。図12及び
図13に示す第8実施例は、加速管仕切電極36の形状
が上記第7実施例と相違している。即ち、この加速管仕
切電極36は、絶縁リング32よりも内側の電極部分が
円錐台状に折り曲げられて凹型に形成されている。尚、
真空排気用孔36Cは加速管仕切電極36のテーパー部
36Dよりも外側に穿設されている。
【0028】このように加速管仕切電極36を凹型に折
り曲げることにより、真空排気用孔36Cの周辺部に軸
対称傾斜電場を作ることができ、上記円筒電極30Aを
設けた場合と同様な効果が得られる。図14乃至図15
はそれぞれ本発明に係る加速管の第9実施例乃至第11
実施例を示す断面面である。尚、前述した実施例と共通
する部分には同符号を付し、その詳細な説明は省略す
る。
り曲げることにより、真空排気用孔36Cの周辺部に軸
対称傾斜電場を作ることができ、上記円筒電極30Aを
設けた場合と同様な効果が得られる。図14乃至図15
はそれぞれ本発明に係る加速管の第9実施例乃至第11
実施例を示す断面面である。尚、前述した実施例と共通
する部分には同符号を付し、その詳細な説明は省略す
る。
【0029】図14に示す第9実施例は、加速管仕切電
極38に固定する円筒電極38Aの位置が図11に示し
た第7実施例と相違している。即ち、この加速管仕切電
極38に固定した円筒電極38Aは、真空排気用孔30
Cに達しない外径を有するとともにビーム通過用孔30
Bよりも大きな内径を有している。この位置の設けられ
た円筒電極38Aは、真空排気用孔30Cの周辺部のみ
ならず、ビーム通過用孔30Bの周辺部にも軸対称傾斜
電場を作ることができる。
極38に固定する円筒電極38Aの位置が図11に示し
た第7実施例と相違している。即ち、この加速管仕切電
極38に固定した円筒電極38Aは、真空排気用孔30
Cに達しない外径を有するとともにビーム通過用孔30
Bよりも大きな内径を有している。この位置の設けられ
た円筒電極38Aは、真空排気用孔30Cの周辺部のみ
ならず、ビーム通過用孔30Bの周辺部にも軸対称傾斜
電場を作ることができる。
【0030】図14に示すように、円筒電極38Aが周
囲電場を歪ませ、真空排気用孔30C周辺及びビーム通
過用孔30Bで作られた電子及び負イオンを、対向する
アノードに誘い込み、そこで吸収する。そうすることに
より正負イオン交換ローディングを支える正負イオン電
流ループの内、負イオン電流ループを断ち切るため、正
負イオン交換ローディングは持続しない。尚、図17は
図14と同構造のもので、電子の軌道計算結果を軌跡に
して計算機で描いたものである。また、同図は真空排気
用孔の或る電極の部位から出発した2次電子も、加速管
内で高エネルギーに加速される前に、その真空排気用孔
に作用する傾斜電場の作用で加速管内電極に受け止めら
れることを示している。
囲電場を歪ませ、真空排気用孔30C周辺及びビーム通
過用孔30Bで作られた電子及び負イオンを、対向する
アノードに誘い込み、そこで吸収する。そうすることに
より正負イオン交換ローディングを支える正負イオン電
流ループの内、負イオン電流ループを断ち切るため、正
負イオン交換ローディングは持続しない。尚、図17は
図14と同構造のもので、電子の軌道計算結果を軌跡に
して計算機で描いたものである。また、同図は真空排気
用孔の或る電極の部位から出発した2次電子も、加速管
内で高エネルギーに加速される前に、その真空排気用孔
に作用する傾斜電場の作用で加速管内電極に受け止めら
れることを示している。
【0031】図15に示す第10実施例は、加速管仕切
電極40の絶縁リング32よりも内側の電極部分が円錐
台状に折り曲げられて凹型に形成されており、図13に
示した第8実施例と近似しているが、加速管仕切電極4
0のテーパー部40Dに真空排気用孔40Cを穿設する
ようにした点で相違する。図16に示す第11実施例
は、加速管仕切電極42の絶縁リング32よりも内側の
電極部分が円錐台状に折り曲げられて凹型に形成され、
且つ図14に示し第9実施例と同様な円筒電極42Aが
設けられており、これにより傾斜電場の作用が更に強く
なるように構成されている。
電極40の絶縁リング32よりも内側の電極部分が円錐
台状に折り曲げられて凹型に形成されており、図13に
示した第8実施例と近似しているが、加速管仕切電極4
0のテーパー部40Dに真空排気用孔40Cを穿設する
ようにした点で相違する。図16に示す第11実施例
は、加速管仕切電極42の絶縁リング32よりも内側の
電極部分が円錐台状に折り曲げられて凹型に形成され、
且つ図14に示し第9実施例と同様な円筒電極42Aが
設けられており、これにより傾斜電場の作用が更に強く
なるように構成されている。
【0032】尚、この加速管仕切電極42の電極構造に
よれば、絶縁リング32は電極に遮られて加速ビームか
ら視覚的には全く見えない。このことは、加速ビームに
付随した紫外線、軟X線から高電位勾配下にある絶縁リ
ング32を保護する意味で重要である。さて、図1に示
した加速管と従来の図18に示した加速管について、電
極間の印加電圧を徐々に高めてゆき、最初のスパーク電
圧を調べた。
よれば、絶縁リング32は電極に遮られて加速ビームか
ら視覚的には全く見えない。このことは、加速ビームに
付随した紫外線、軟X線から高電位勾配下にある絶縁リ
ング32を保護する意味で重要である。さて、図1に示
した加速管と従来の図18に示した加速管について、電
極間の印加電圧を徐々に高めてゆき、最初のスパーク電
圧を調べた。
【0033】使用した絶縁リングは内径×高さ=140
×100mmのボロシリケートガラスで、円筒電極は外径
×高さ=110×90mmのSUS304製であった。円
筒電極のカソードに対面する部分は尖らし、ナイフエッ
ジとした。絶縁リング内の真空度は10-6Torr台であっ
た。最初の誘電体真空沿面放電電圧は、円筒電極が無い
場合は35〜40KVであったが、円筒電極を装着する
と300KVまで上昇した。
×100mmのボロシリケートガラスで、円筒電極は外径
×高さ=110×90mmのSUS304製であった。円
筒電極のカソードに対面する部分は尖らし、ナイフエッ
ジとした。絶縁リング内の真空度は10-6Torr台であっ
た。最初の誘電体真空沿面放電電圧は、円筒電極が無い
場合は35〜40KVであったが、円筒電極を装着する
と300KVまで上昇した。
【0034】多段電極加速管についての実験は、図14
に示す構造のものを使用し、ヘリウムビーム3μAを6
00KVで長日時にわたって加速しながら、1日当たり
のスパーク回数を測定した。円筒電極を除去すると、ス
パーク回数は1日当たり数回〜10回であったが、円筒
電極を装着すると、0であった。尚、実験に使用した絶
縁リングの内径×高さは、60×9mmであり、加速管長
は250mmであった。この円筒電極挿入に顕著な効果
は、それによる真空排気用孔周辺の傾斜電場発現と、ビ
ーム通過用孔周辺部から誕生した電子及び負イオンを加
速管軸から帚払する軸対称な電場の発現に帰せられるこ
とが、この実験結果の示唆するところである。
に示す構造のものを使用し、ヘリウムビーム3μAを6
00KVで長日時にわたって加速しながら、1日当たり
のスパーク回数を測定した。円筒電極を除去すると、ス
パーク回数は1日当たり数回〜10回であったが、円筒
電極を装着すると、0であった。尚、実験に使用した絶
縁リングの内径×高さは、60×9mmであり、加速管長
は250mmであった。この円筒電極挿入に顕著な効果
は、それによる真空排気用孔周辺の傾斜電場発現と、ビ
ーム通過用孔周辺部から誕生した電子及び負イオンを加
速管軸から帚払する軸対称な電場の発現に帰せられるこ
とが、この実験結果の示唆するところである。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る加速管
によれば、絶縁リングの真空沿面に対向する円筒電極を
正極性平板電極に設けるようにしたため、良好に誘電体
真空沿面フラッシオーバーを抑止することができる。ま
た、加速管軸と平行でない軸対称傾斜電場を形成するよ
うにしたため、この傾斜電場により2次イオンをビーム
加速軸方向から大きく軌道をずらせることができ、2次
イオンの加速エネルギーが低い段階で加速管内電極に当
ててそこで吸収させることができる。これにより真空排
気用孔経由の正負イオン交換ローディングの出現を抑止
することができ、真空排気用孔を円周方向に同位相に並
べることが可能になる。この場合、同じ内径の絶縁リン
グを使用した加速管どうしで比べると、真空排気速度を
格段に向上させることができ、従来インプランター加速
管で問題となっていた加速ビームと残留ガス衝突で生成
加速される雑イオンビームと主イオンビームの比率を小
さくすることができる。更に、真空排気速度の向上によ
り、従来よりも長い加速管の使用が許され、その分だけ
加速電圧も高くできる。尚、強電場加速管はビームの加
速光学系が単純になり、歪みの少ないビームができる。
によれば、絶縁リングの真空沿面に対向する円筒電極を
正極性平板電極に設けるようにしたため、良好に誘電体
真空沿面フラッシオーバーを抑止することができる。ま
た、加速管軸と平行でない軸対称傾斜電場を形成するよ
うにしたため、この傾斜電場により2次イオンをビーム
加速軸方向から大きく軌道をずらせることができ、2次
イオンの加速エネルギーが低い段階で加速管内電極に当
ててそこで吸収させることができる。これにより真空排
気用孔経由の正負イオン交換ローディングの出現を抑止
することができ、真空排気用孔を円周方向に同位相に並
べることが可能になる。この場合、同じ内径の絶縁リン
グを使用した加速管どうしで比べると、真空排気速度を
格段に向上させることができ、従来インプランター加速
管で問題となっていた加速ビームと残留ガス衝突で生成
加速される雑イオンビームと主イオンビームの比率を小
さくすることができる。更に、真空排気速度の向上によ
り、従来よりも長い加速管の使用が許され、その分だけ
加速電圧も高くできる。尚、強電場加速管はビームの加
速光学系が単純になり、歪みの少ないビームができる。
【図1】図1は本発明に係る加速管の平板電極及び誘電
体リングの第1実施例を示す要部断面図である。
体リングの第1実施例を示す要部断面図である。
【図2】図2は本発明に係る加速管の平板電極及び誘電
体リングの第2実施例を示す要部断面である。
体リングの第2実施例を示す要部断面である。
【図3】図3は本発明に係る加速管の平板電極及び誘電
体リングの第3実施例を示す要部断面である。
体リングの第3実施例を示す要部断面である。
【図4】図4は本発明に係る加速管の平板電極及び誘電
体リングの第4実施例を示す要部断面である。
体リングの第4実施例を示す要部断面である。
【図5】図5は本発明に係る加速管の平板電極及び誘電
体リングの第5実施例を示す要部断面である。
体リングの第5実施例を示す要部断面である。
【図6】図6は本発明に係る加速管の平板電極及び誘電
体リングの第6実施例を示す要部断面である。
体リングの第6実施例を示す要部断面である。
【図7】図7は図1乃至図4に示した円筒電極を含む要
部拡大図である。
部拡大図である。
【図8】図8は図5及ぶ図6に示した円筒電極を含む要
部拡大図である。
部拡大図である。
【図9】図9は図8に示した円筒電極の他の実施例を示
す要部拡大図である。
す要部拡大図である。
【図10】図10は本発明に係る加速管の第7実施例を
示す平面面である。
示す平面面である。
【図11】図11は図10の11−11線に沿う断面図
である。
である。
【図12】図12は本発明に係る加速管の第8実施例を
示す平面面である。
示す平面面である。
【図13】図13は図12の13−13線に沿う断面図
である。
である。
【図14】図14は本発明に係る加速管の第9実施例を
示す断面図である。
示す断面図である。
【図15】図15は本発明に係る加速管の第10実施例
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図16】図16は本発明に係る加速管の第11実施例
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図17】図17は図14に模式的に描いた加速管及び
この加速管での電子の軌跡を計算機で描いた図である。
この加速管での電子の軌跡を計算機で描いた図である。
【図18】図18は従来の加速管の平板電極及び誘電体
リングの第1例を示す断面図である。
リングの第1例を示す断面図である。
【図19】図19は従来の加速管の平板電極及び誘電体
リングの第2例を示す断面図である。
リングの第2例を示す断面図である。
【図20】図20は従来の加速管の平板電極及び誘電体
リングの第3例を示す断面図である。
リングの第3例を示す断面図である。
10、20…正極性平板電極(アノード電極) 12、18…負極性平板電極(カソード電極) 10A、20A、20B、30A、38A、42A…円
筒電極 14、16、32…絶縁リング 14A、16A…真空沿面 30、36、38、40、42…加速管仕切電極 30B…ビーム通過用孔 30C、36C、40C…真空排気用孔 34…荷電粒子ビーム 36D、40D…テーパー部
筒電極 14、16、32…絶縁リング 14A、16A…真空沿面 30、36、38、40、42…加速管仕切電極 30B…ビーム通過用孔 30C、36C、40C…真空排気用孔 34…荷電粒子ビーム 36D、40D…テーパー部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−71972(JP,A) 特開 平4−141998(JP,A) 実開 昭64−12369(JP,U) 実験物理学講座28「加速器」新版(昭 和57年)共立出版 P.138,P.146
Claims (5)
- 【請求項1】 正極性平板電極及び負極性平板電極によ
って絶縁リングを挟んで成る加速管において、 前記絶縁リングの真空沿面に対向し、且つ前記正極性平
板電極から前記負極性平板電極に向かって突出する円筒
電極を前記正極性平板電極に設け、前記負極性平板電極
と絶縁リングと真空とが接するトリプルポイントから発
せられる電子を引きつけるべく、前記円筒電極の前記絶
縁リングとの間隔及び前記負極性平板電極に向かう突出
量が設定されて成ることを特徴とする加速管。 - 【請求項2】 前記円筒電極は、前記負極性平板電極に
向かって突出した先端部がナイフエッジ状に形成されて
いることを特徴とする請求項1の加速管。 - 【請求項3】 ビーム通過用孔が穿設された加速用の加
速管仕切電極と絶縁リングとが交互に重ね合わされて成
る多段電極直流加速管において、 各加速管仕切電極のビーム通過用孔の周辺部に真空排気
用孔を穿設し、その真空排気用孔がビーム加速軸方向に
揃うように各加速管仕切電極を重畳するとともに、少な
くとも前記真空排気用孔の周辺部に加速管軸と平行でな
い軸対称傾斜電場を形成すべく、前記絶縁リングよりも
小さな外径を有するとともに前記ビーム通過用孔よりも
大きな内径を有し、且つ各加速管仕切電極間の隙間より
も高さが小さい円筒電極を、その円筒電極の中心軸がビ
ーム加速軸と一致するように各加速管仕切電極に固定し
たことを特徴とする加速管。 - 【請求項4】 ビーム通過用孔が穿設された加速用の加
速管仕切電極と絶縁リングとが交互に重ね合わされて成
る多段電極直流加速管において、 各加速管仕切電極のビーム通過用孔の周辺部に真空排気
用孔を穿設し、その真空排気用孔がビーム加速軸方向に
揃うように各加速管仕切電極を重畳するとともに、少な
くとも前記真空排気用孔の周辺部に加速管軸と平行でな
い軸対称傾斜電場を形成すべく、前記絶縁リングよりも
内側に位置する各加速管仕切電極を円錐台状に折り曲げ
形成したことを特徴とする加速管。 - 【請求項5】 前記真空排気用孔に達しない外径を有す
るとともに前記ビーム通過用孔よりも大きな内径を有
し、且つ各加速管仕切電極間の隙間よりも高さが小さい
円筒電極を、その円筒電極の中心軸がビーム加速軸と一
致するように各加速管仕切電極に固定したことを特徴と
する請求項4の加速管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4036394A JP2615300B2 (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 加速管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4036394A JP2615300B2 (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 加速管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05234698A JPH05234698A (ja) | 1993-09-10 |
JP2615300B2 true JP2615300B2 (ja) | 1997-05-28 |
Family
ID=12468641
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4036394A Expired - Fee Related JP2615300B2 (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 加速管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2615300B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5971631B2 (ja) * | 2012-09-07 | 2016-08-17 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | 高電位勾配型単一ギャップ加速管 |
WO2014048496A1 (en) * | 2012-09-28 | 2014-04-03 | Siemens Aktiengesellschaft | High-voltage electrostatic generator |
CN103068140B (zh) * | 2012-12-24 | 2015-05-06 | 江苏达胜加速器制造有限公司 | 一种电子负载抑制型高压加速管 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5271972A (en) * | 1975-12-12 | 1977-06-15 | Hitachi Ltd | Acceleration tube |
JPH0615391Y2 (ja) * | 1987-07-13 | 1994-04-20 | 日新電機株式会社 | 荷電粒子減速管 |
JP2527094B2 (ja) * | 1990-09-29 | 1996-08-21 | 株式会社島津製作所 | 加速管 |
-
1992
- 1992-02-24 JP JP4036394A patent/JP2615300B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
実験物理学講座28「加速器」新版(昭和57年)共立出版 P.138,P.146 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05234698A (ja) | 1993-09-10 |
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