JP2772687B2 - 電離真空計 - Google Patents
電離真空計Info
- Publication number
- JP2772687B2 JP2772687B2 JP1273033A JP27303389A JP2772687B2 JP 2772687 B2 JP2772687 B2 JP 2772687B2 JP 1273033 A JP1273033 A JP 1273033A JP 27303389 A JP27303389 A JP 27303389A JP 2772687 B2 JP2772687 B2 JP 2772687B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- ion
- ion collector
- electron gun
- electric field
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Measuring Fluid Pressure (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は10-9Pa以下の極高真空領域の圧力を測定す
ることができる電離真空計に関するものである。
ることができる電離真空計に関するものである。
(従来の技術) 電離真空計は、圧力をP、フィラメントからの電子電
流をIe、電離真空計係数をSとおくと、イオンコレクタ
に流れこむイオン電流Isは次式で示される。
流をIe、電離真空計係数をSとおくと、イオンコレクタ
に流れこむイオン電流Isは次式で示される。
Is=S・P・Ie ……(1) このような式で示される電離真空計において、圧力P
の低下に対応してイオン電流Isが減少し、イオン電流Is
が雑音信号Inと等しくなったとき(Is=In)の圧力を測
定限界圧力Puと呼んでいる。
の低下に対応してイオン電流Isが減少し、イオン電流Is
が雑音信号Inと等しくなったとき(Is=In)の圧力を測
定限界圧力Puと呼んでいる。
したがって、極高真空領域での圧力測定を可能にする
ためには、雑音信号Inを減少させることが重要である。
ためには、雑音信号Inを減少させることが重要である。
そこで、雑音信号Inの原因となるものを列挙すると、 熱電子がグリッドを叩いたときに発生するX線がイオ
ンコレクタより放射させる光電子による電流Ix、 動作中の温度上昇に起因する電流Ith、 フィラメント物質が蒸発してその蒸気がイオン化され
ることによるイオン電流Ik、 熱電子がグリッドの表面を叩いたときにグリッド表面
に吸着していた気体を中性粒子又はイオンの状態で放出
することによる電流Ide s などがある。
ンコレクタより放射させる光電子による電流Ix、 動作中の温度上昇に起因する電流Ith、 フィラメント物質が蒸発してその蒸気がイオン化され
ることによるイオン電流Ik、 熱電子がグリッドの表面を叩いたときにグリッド表面
に吸着していた気体を中性粒子又はイオンの状態で放出
することによる電流Ide s などがある。
したがって、雑音信号Inは次式で示される。
In=Ix+Ith+Ik+Ide s ……(2) しかしながら、従来の電離真空計においては、は、雑
音信号Inの中でも、特にIxの占める割合が大きく、最も
大きな雑音源になっていたから、Ix以外の雑音を無視し
て、Inが近似的に次式で示されるものと広く考えられて
来た。
音信号Inの中でも、特にIxの占める割合が大きく、最も
大きな雑音源になっていたから、Ix以外の雑音を無視し
て、Inが近似的に次式で示されるものと広く考えられて
来た。
In=Ix ……(3) このIxは、X線光電流発生係数をYとすると、次式で
示される。
示される。
Ix=Y・Ie ……(4) そこで、測定限界圧力Puのときには、Is=Ixの状態に
なっていると考えると、上記(1)式及び(4)式よ
り、次式が成立する。
なっていると考えると、上記(1)式及び(4)式よ
り、次式が成立する。
S・Pu・Ie=Y・Ie ……(5) (5)式を変形すると、次式で示されるようになる。
Pu=Y/S ……(6) この(6)式にしたがえば、Puを引き下げるために
は、Yを小さくすることと、Sを大きくすることとが同
等に重要であることになる。
は、Yを小さくすることと、Sを大きくすることとが同
等に重要であることになる。
そこで、従来は、まず、Yの値を小さくするために、
例えば、Redheadが作成した第3図に示されるエキスト
ラクター真空計が開発された。このエキストラクター真
空計は、グリッド(X線発生部)1とイオンコレクタ2
との間にX線に対する遮蔽板3を置き、この遮蔽板3の
穴からイオンだけをイオンコレクタ2側に引き出して測
定するものである。なお、図において、4はフィラメン
ト、5はイオンリフレクタである。
例えば、Redheadが作成した第3図に示されるエキスト
ラクター真空計が開発された。このエキストラクター真
空計は、グリッド(X線発生部)1とイオンコレクタ2
との間にX線に対する遮蔽板3を置き、この遮蔽板3の
穴からイオンだけをイオンコレクタ2側に引き出して測
定するものである。なお、図において、4はフィラメン
ト、5はイオンリフレクタである。
しかしながら、上記エキストラクター真空計で圧力を
測定しようとした場合、動作中の温度上昇に起因する電
流Ithの影響が生じる。即ち、真空計の動作中、電極温
度の上昇による電極およびその周辺からの脱ガスのため
に、圧力が上昇し、10-9Pa以下の極高真空領域での圧力
の測定が困難になる傾向があった。また、グリッド1表
面から中性粒子やイオンが放出されることによる雑音信
号Ide sやフィラメント物質が蒸発してその蒸気がイオ
ン化されることによる雑音信号IKなども測定を妨害して
いる可能性が大きかった。
測定しようとした場合、動作中の温度上昇に起因する電
流Ithの影響が生じる。即ち、真空計の動作中、電極温
度の上昇による電極およびその周辺からの脱ガスのため
に、圧力が上昇し、10-9Pa以下の極高真空領域での圧力
の測定が困難になる傾向があった。また、グリッド1表
面から中性粒子やイオンが放出されることによる雑音信
号Ide sやフィラメント物質が蒸発してその蒸気がイオ
ン化されることによる雑音信号IKなども測定を妨害して
いる可能性が大きかった。
このことは、先に(2)式から(3)式に進むとき
に、Ix以外の雑音を無視したことが、極高真空の測定に
おいて正しくなかったことを示している。即ち、(6)
式において、Yを小さくすることと、Sを大きくするこ
とは本当は同等ではなく、Yを小さくするだけでは不十
分なのである。
に、Ix以外の雑音を無視したことが、極高真空の測定に
おいて正しくなかったことを示している。即ち、(6)
式において、Yを小さくすることと、Sを大きくするこ
とは本当は同等ではなく、Yを小さくするだけでは不十
分なのである。
以上のことを換言すると、次のように言うこともでき
る。即ち、Yを小さくすると、(4)式から明らかなよ
うにIxが減少し、(2)式におけるIxを小さくすること
ができるが、Ixをある程度より小さくすると、Ith、
Ik、Ide sなどの影響が目だつようになり、Inは全体と
して減少しなくなる。そのためにYを小さくするだけで
はPuを引き下げることができないのである。
る。即ち、Yを小さくすると、(4)式から明らかなよ
うにIxが減少し、(2)式におけるIxを小さくすること
ができるが、Ixをある程度より小さくすると、Ith、
Ik、Ide sなどの影響が目だつようになり、Inは全体と
して減少しなくなる。そのためにYを小さくするだけで
はPuを引き下げることができないのである。
そこで、低いPuを得る手段として、(6)式における
Sを大きくする場合を考察する。すると、この場合には
(1)式から明らかなように、同一強度の信号Isを得る
ために必要とされるIeが小さいのである。すると、
(4)式から明らかなようにIxは少なく、この点では
(4)式が示すようにYが小さい場合と同様である。し
かし、同じようにIxが少ないといっても、この場合に
は、必要な熱電子の量Ieが少ないのであるから、単に、
Ixが小さくなるだけでなく、Ith、Ik、Ide sなどがすべ
て小さくなり、確実にPuを小さくすることが出来るので
ある。したがって、極高真空で測定できる真空計は、S
の大きな真空計でなければならない。
Sを大きくする場合を考察する。すると、この場合には
(1)式から明らかなように、同一強度の信号Isを得る
ために必要とされるIeが小さいのである。すると、
(4)式から明らかなようにIxは少なく、この点では
(4)式が示すようにYが小さい場合と同様である。し
かし、同じようにIxが少ないといっても、この場合に
は、必要な熱電子の量Ieが少ないのであるから、単に、
Ixが小さくなるだけでなく、Ith、Ik、Ide sなどがすべ
て小さくなり、確実にPuを小さくすることが出来るので
ある。したがって、極高真空で測定できる真空計は、S
の大きな真空計でなければならない。
この事情は、従来、充分に確認されていたわけではな
いが、従来においてSを大きくする真空計の研究が行な
われたことがある。Sを大きくする電離真空計として、
例えば、第4図に示されるラファティの電離真空計があ
る。このラファティの電離真空計は、永久磁石6による
磁界によって、電子をフィラメント7の周辺で長く周回
運動させ、電子の飛行距離を長くしたものである。な
お、図において、8はアノード、9はイオンコレクタ
ー、10はシールドである。
いが、従来においてSを大きくする真空計の研究が行な
われたことがある。Sを大きくする電離真空計として、
例えば、第4図に示されるラファティの電離真空計があ
る。このラファティの電離真空計は、永久磁石6による
磁界によって、電子をフィラメント7の周辺で長く周回
運動させ、電子の飛行距離を長くしたものである。な
お、図において、8はアノード、9はイオンコレクタ
ー、10はシールドである。
上記のようにラファティの電離真空計は、磁界を利用
しているが、磁界の利用は精密な実験に適さない。極高
真空を利用する真空装置は、精密な実験を行うときに使
用される場合が大部分であるから、ラファティの電離真
空計は極高真空を利用する真空装置には適していない問
題がある。
しているが、磁界の利用は精密な実験に適さない。極高
真空を利用する真空装置は、精密な実験を行うときに使
用される場合が大部分であるから、ラファティの電離真
空計は極高真空を利用する真空装置には適していない問
題がある。
そこで、磁界を利用せず、Sを大きくした電離真空計
としては、第5図に示されるオービトロン型電離真空計
がある。このオービトロン型電離真空計は、アース電位
となった円筒状のイオンコレクター11の中心軸上に細い
針状のアノード12があり、両者の中間にフィラメント13
が設けられている。したがって、フィラメント13より出
た電子は、アノード12の方向に引かれるが、最初からま
っすぐアノード12の方向に進んだもの以外はアノード12
のそばを通りすぎ、アノード12の周辺を非常に長く飛び
回るようになり、Sの値を大きくすることが可能とな
る。だが、このオービトロン型電離真空計は、イオンコ
レクター11が大きな立体角でアノード12を取り囲んでい
るため、Yの値も大きくなる。
としては、第5図に示されるオービトロン型電離真空計
がある。このオービトロン型電離真空計は、アース電位
となった円筒状のイオンコレクター11の中心軸上に細い
針状のアノード12があり、両者の中間にフィラメント13
が設けられている。したがって、フィラメント13より出
た電子は、アノード12の方向に引かれるが、最初からま
っすぐアノード12の方向に進んだもの以外はアノード12
のそばを通りすぎ、アノード12の周辺を非常に長く飛び
回るようになり、Sの値を大きくすることが可能とな
る。だが、このオービトロン型電離真空計は、イオンコ
レクター11が大きな立体角でアノード12を取り囲んでい
るため、Yの値も大きくなる。
このようにオービトロン型電離真空計は、Sの値が大
きいが、Yの値も大きいので、(6)式より、Puはそれ
ほど下がらず、極高真空領域での圧力測定には適してい
ない。
きいが、Yの値も大きいので、(6)式より、Puはそれ
ほど下がらず、極高真空領域での圧力測定には適してい
ない。
(発明が解決しようとする課題) 従来の電離真空計は、上記のように極高真空領域での
圧力測定に適していない問題があった。極高真空の測定
できる真空計は、Yの値が小さいだけでなく、Sが大き
いことが重要である。その理由をさらに詳しく述べると
以下の通りである。
圧力測定に適していない問題があった。極高真空の測定
できる真空計は、Yの値が小さいだけでなく、Sが大き
いことが重要である。その理由をさらに詳しく述べると
以下の通りである。
Yの値が小さいだけの真空計では、Ixが減少するだけ
で、Ithを始めとする他の雑音を減少できないため、極
高真空領域での圧力測定ができない。ところが、Sの大
きい真空計においては、同一の信号Isを得るために必要
な熱電子の量Ieが小さいために、Ixをはじめ、Ith、
Ik、Ide sなどの雑音がすべて減少し、そのためにIsとI
nの関係が改善されて測定限界圧力Puが引き下げられる
のである。
で、Ithを始めとする他の雑音を減少できないため、極
高真空領域での圧力測定ができない。ところが、Sの大
きい真空計においては、同一の信号Isを得るために必要
な熱電子の量Ieが小さいために、Ixをはじめ、Ith、
Ik、Ide sなどの雑音がすべて減少し、そのためにIsとI
nの関係が改善されて測定限界圧力Puが引き下げられる
のである。
この理由をさらにのべると、逆に、Sの小さい真空計
の場合、多量の熱電子を使用する必要があるために熱発
生が大きくてIthが大きく、また陽極をたたく電子数が
多いために強力なX線が発生してそれが強い雑音Ixを発
生させ、さらに陰極物質の蒸発による雑音Ik、陽極から
の吸着気体の脱離によるIde sなどが大きくなる。即
ち、(2)式に示されたさまざまな雑音の影響は、Sが
小さい時に厳しくなり、Sを大きくすることによってす
べて減少させることができる。
の場合、多量の熱電子を使用する必要があるために熱発
生が大きくてIthが大きく、また陽極をたたく電子数が
多いために強力なX線が発生してそれが強い雑音Ixを発
生させ、さらに陰極物質の蒸発による雑音Ik、陽極から
の吸着気体の脱離によるIde sなどが大きくなる。即
ち、(2)式に示されたさまざまな雑音の影響は、Sが
小さい時に厳しくなり、Sを大きくすることによってす
べて減少させることができる。
(1)式から明かなように、Sは陰極を出発した熱電
子が陽極に達するまでにイオンを発生させる確率であ
る。したがって、陰極を出発した電子が陽極に達するま
でに、イオン発生可能な空間の中を飛行する距離を長く
する方法が有効である。先にあげたラファティーの真空
計では、磁石を利用して電子にフィラメントの周辺で長
く周回運動をさせている。しかし、磁石を利用すること
が好ましくないことは既に述べた。オービトロン真空計
は、磁石を利用せずに、静電場の中で電子に周回運動を
させることに成功している。しかし、この場合には、適
当な静電場を形成させるための電極としてイオンコレク
ター電極が利用されている。そのため、イオンコレクタ
ーの形状は第5図のような陽極を囲む円筒形となって、
工夫の余地がなく、その結果、Yが大きくなって極極高
真空計としては不十分な性能となっている。
子が陽極に達するまでにイオンを発生させる確率であ
る。したがって、陰極を出発した電子が陽極に達するま
でに、イオン発生可能な空間の中を飛行する距離を長く
する方法が有効である。先にあげたラファティーの真空
計では、磁石を利用して電子にフィラメントの周辺で長
く周回運動をさせている。しかし、磁石を利用すること
が好ましくないことは既に述べた。オービトロン真空計
は、磁石を利用せずに、静電場の中で電子に周回運動を
させることに成功している。しかし、この場合には、適
当な静電場を形成させるための電極としてイオンコレク
ター電極が利用されている。そのため、イオンコレクタ
ーの形状は第5図のような陽極を囲む円筒形となって、
工夫の余地がなく、その結果、Yが大きくなって極極高
真空計としては不十分な性能となっている。
したがって、解決しようとする課題は下記のように整
理できる。(1)磁石を利用せずに静電場だけで、イオ
ン発生空間の中を、電子に長い距離を飛行させ、大きな
Sを得る。(2)電子のための静電場の形成にはイオン
コレクターを利用しないで、イオン発生空間で発生した
イオンをイオン発生空間の外に取り出してイオンコレク
ターに導く。このことによってイオンコレクターの形状
や配置に工夫の余地を残し、Yを小さくする。
理できる。(1)磁石を利用せずに静電場だけで、イオ
ン発生空間の中を、電子に長い距離を飛行させ、大きな
Sを得る。(2)電子のための静電場の形成にはイオン
コレクターを利用しないで、イオン発生空間で発生した
イオンをイオン発生空間の外に取り出してイオンコレク
ターに導く。このことによってイオンコレクターの形状
や配置に工夫の余地を残し、Yを小さくする。
この発明は、電子に周回運動ではなく往復運動をさせ
る方式を採用することによって、上記二つの課題を解決
し、10-9Pa以下の極高真空領域での圧力を測定すること
の出来る電離真空計を提供することを目的とするもので
ある。
る方式を採用することによって、上記二つの課題を解決
し、10-9Pa以下の極高真空領域での圧力を測定すること
の出来る電離真空計を提供することを目的とするもので
ある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、この発明の電離真空計
は、陰極より電子を放出する電子銃部と、該電子銃部の
後方に、丸い穴を中心にもつ3枚以上の電極を所定の間
隔で同軸上に配列した電界形成部と、該電界形成部の後
方に配置したイオンコレクタ部とを有し、前記電界形成
部が、前記電子銃部の陰極と前記電界形成部を構成する
前記電極の中間電極である第1電極の穴との間で、前記
電子銃部の陰極より放出された電子を往復運動させて残
留気体分子と衝突させることによってイオンを発生させ
るイオン生成部と、前記第1電極の穴と前記イオンコレ
クタ部に最も近い電極である第2電極の穴との間で前記
イオン生成部で発生したイオンを収集しながら前記イオ
ンコレクタ部の方向に加速するイオン収集部とを有する
ことを特徴とするものである。
は、陰極より電子を放出する電子銃部と、該電子銃部の
後方に、丸い穴を中心にもつ3枚以上の電極を所定の間
隔で同軸上に配列した電界形成部と、該電界形成部の後
方に配置したイオンコレクタ部とを有し、前記電界形成
部が、前記電子銃部の陰極と前記電界形成部を構成する
前記電極の中間電極である第1電極の穴との間で、前記
電子銃部の陰極より放出された電子を往復運動させて残
留気体分子と衝突させることによってイオンを発生させ
るイオン生成部と、前記第1電極の穴と前記イオンコレ
クタ部に最も近い電極である第2電極の穴との間で前記
イオン生成部で発生したイオンを収集しながら前記イオ
ンコレクタ部の方向に加速するイオン収集部とを有する
ことを特徴とするものである。
(作用) この発明において、電子銃部の陰極より飛び出した電
子は、イオン生成部において、往復運動しながら残留気
体分子と衝突してイオンを発生させるようになる。その
後、発生したイオンは、イオン収集部において、イオン
コレクタ部の方向に集められ、イオンコレクタ部で補集
されるようになる。
子は、イオン生成部において、往復運動しながら残留気
体分子と衝突してイオンを発生させるようになる。その
後、発生したイオンは、イオン収集部において、イオン
コレクタ部の方向に集められ、イオンコレクタ部で補集
されるようになる。
(実施例) 以下、この発明の実施例について図面を参照しながら
説明する。
説明する。
第1図及び第2図はこの発明の実施例を示しており、
同図において、フィラメントよりなる熱陰極21とウェー
ネルト電極22とで電子銃部23が形成され、電子銃部23の
熱陰極21は電子を放出するようになっており、熱陰極21
には+50V程度のいわゆるバイアス電圧が印加され、ま
た、ウェーネルト電極22には0Vの電圧が印加されてい
る。電子銃部23の後方には丸い穴を中心にもつドーナツ
型の6個の電極24a、24b、24c、24d、24e、24fを所定の
間隔で同軸上に配列した電界形成部24が形成され、電極
24aにはV1=+500V、電極24bにはV2=0V、電極24cにはV
3=+300V、電極24dにはV4=+40V、電極24eにはV5=+
10V、電極24fにはV6=+20Vの電圧がそれぞれ印加され
ている。そのため、電界形成部24の熱陰極21と、電界形
成部24を構成する上記電極の中の中間に位置する第1電
極である24dとの間は、熱陰極21より放出された電子を
この間で往復運動させて残留気体分子と衝突させること
によってイオンを発生させるイオン生成部になってい
る。また、上記第1電極である電極24dと、上記電極24f
との間は、上記イオン生成部で発生したイオンを収集し
ながら加速するイオン収集部になっている。電界形成部
24の後方には、イオンコレクタ部25が配置され、そこに
イオン収集部に導かれたイオンが補集されるようになっ
ている。
同図において、フィラメントよりなる熱陰極21とウェー
ネルト電極22とで電子銃部23が形成され、電子銃部23の
熱陰極21は電子を放出するようになっており、熱陰極21
には+50V程度のいわゆるバイアス電圧が印加され、ま
た、ウェーネルト電極22には0Vの電圧が印加されてい
る。電子銃部23の後方には丸い穴を中心にもつドーナツ
型の6個の電極24a、24b、24c、24d、24e、24fを所定の
間隔で同軸上に配列した電界形成部24が形成され、電極
24aにはV1=+500V、電極24bにはV2=0V、電極24cにはV
3=+300V、電極24dにはV4=+40V、電極24eにはV5=+
10V、電極24fにはV6=+20Vの電圧がそれぞれ印加され
ている。そのため、電界形成部24の熱陰極21と、電界形
成部24を構成する上記電極の中の中間に位置する第1電
極である24dとの間は、熱陰極21より放出された電子を
この間で往復運動させて残留気体分子と衝突させること
によってイオンを発生させるイオン生成部になってい
る。また、上記第1電極である電極24dと、上記電極24f
との間は、上記イオン生成部で発生したイオンを収集し
ながら加速するイオン収集部になっている。電界形成部
24の後方には、イオンコレクタ部25が配置され、そこに
イオン収集部に導かれたイオンが補集されるようになっ
ている。
次に、作用について説明する。
電子銃部23の熱陰極21より放出された電子は、熱陰極
21と電極24aとの電位差によりおよそ500eV近くに加速さ
れ、電極の穴の軸の近傍を流れとなって電極24d方向に
進むが、次第に減速され、ついには停止する。その後、
停止した電子は反転し、今度は、熱陰極21の方向に流
れ、熱陰極21のごく近傍まで戻り、そして、停止し、再
び先の運動を繰り返すようになる。このようにして電子
が往復運動を繰り返している間に、残留気体分子と衝突
して、イオンが非常に高い確率で発生するようになる。
その後、発生したイオンは、イオン収集部において、収
集されながらイオンコレクタ部25の方向に導かれるよう
になる。そして最後にイオンコレクタ部25で補集される
ようになる。
21と電極24aとの電位差によりおよそ500eV近くに加速さ
れ、電極の穴の軸の近傍を流れとなって電極24d方向に
進むが、次第に減速され、ついには停止する。その後、
停止した電子は反転し、今度は、熱陰極21の方向に流
れ、熱陰極21のごく近傍まで戻り、そして、停止し、再
び先の運動を繰り返すようになる。このようにして電子
が往復運動を繰り返している間に、残留気体分子と衝突
して、イオンが非常に高い確率で発生するようになる。
その後、発生したイオンは、イオン収集部において、収
集されながらイオンコレクタ部25の方向に導かれるよう
になる。そして最後にイオンコレクタ部25で補集される
ようになる。
なお、上記実施例では、熱陰極21を使用しているが、
この代わりに冷陰極を使用してもよい。また、各電極24
a、24b、24c、24d、24e、24fに印加される電圧は、上記
実施例に限定されることなく、電子に往復運動をさせた
り、あるいは、イオンを効率よく収集する。ことのでき
る値であれば、いかなる値であってもよい。更に、電極
の数は6個に限らず、いかなる数であってもよい。更に
その上、電極の形状は、上記実施例に限定されることな
く、例えば、短い円筒電極あるいは細い針金によって作
られた環状電極を同軸に配置したものであってもよい
し、これらの種類の電極を組み合わせて配置したもので
もよい。
この代わりに冷陰極を使用してもよい。また、各電極24
a、24b、24c、24d、24e、24fに印加される電圧は、上記
実施例に限定されることなく、電子に往復運動をさせた
り、あるいは、イオンを効率よく収集する。ことのでき
る値であれば、いかなる値であってもよい。更に、電極
の数は6個に限らず、いかなる数であってもよい。更に
その上、電極の形状は、上記実施例に限定されることな
く、例えば、短い円筒電極あるいは細い針金によって作
られた環状電極を同軸に配置したものであってもよい
し、これらの種類の電極を組み合わせて配置したもので
もよい。
(発明の効果) この発明は、電子銃部の陰極より放出された電子がイ
オン生成部において、往復運動しながら残留気体分子と
衝突してイオンを発生させるようになっているので、電
離真空計係数Sの値が大きくなる。そのため、従来の電
離真空計と比較すると、同等程度のイオン電流を得るた
めに必要な電子電流Ieの値が非常に少なくて充分であ
り、その結果、X線光電流Ix、動作中の温度上昇に起因
する雑音電流Ithなど、ほとんどすべての種類の雑音電
流が減少する。
オン生成部において、往復運動しながら残留気体分子と
衝突してイオンを発生させるようになっているので、電
離真空計係数Sの値が大きくなる。そのため、従来の電
離真空計と比較すると、同等程度のイオン電流を得るた
めに必要な電子電流Ieの値が非常に少なくて充分であ
り、その結果、X線光電流Ix、動作中の温度上昇に起因
する雑音電流Ithなど、ほとんどすべての種類の雑音電
流が減少する。
限定限界圧力は雑音電流の総量Inとイオン電流Isが等
しくなる圧力であるから、ほとんどすべての種類の雑音
電流を残さず減らすことのできるこの発明によって、測
定限界圧力Puの値が小さくなり、磁石を利用していない
こととも相まって、10-9Pa以下の極高真空領域での、実
用的な圧力測定が可能になる。
しくなる圧力であるから、ほとんどすべての種類の雑音
電流を残さず減らすことのできるこの発明によって、測
定限界圧力Puの値が小さくなり、磁石を利用していない
こととも相まって、10-9Pa以下の極高真空領域での、実
用的な圧力測定が可能になる。
更に、この発明は、イオンを、イオン収集部におい
て、収集しながらイオンコレクタ部の方向に導くように
しているので、イオンコレクタ部の手前に遮蔽板を置い
ているときには、その遮蔽板のイオン通過穴を小さくす
ることが出来るようになる。遮蔽板と兼用になった電極
の場合には、その電極のイオン通過穴を小さくすること
が出来るようになる。
て、収集しながらイオンコレクタ部の方向に導くように
しているので、イオンコレクタ部の手前に遮蔽板を置い
ているときには、その遮蔽板のイオン通過穴を小さくす
ることが出来るようになる。遮蔽板と兼用になった電極
の場合には、その電極のイオン通過穴を小さくすること
が出来るようになる。
第1図及び第2図はこの発明の実施例を示しており、第
1図は説明図、第2図は斜視図である。第3図は従来の
エキストラクター真空計の斜視図、第4図は従来のラフ
ァティの電離真空計の斜視図、第5図は従来のオービト
ロン型電離真空計の断面図である。 図中、 21……熱陰極 23……電子銃部 24……電界形成部 24a……電極 24b……電極 24c……電極 24d……電極 24e……電極 24f……電極 25……イオンコレクタ部
1図は説明図、第2図は斜視図である。第3図は従来の
エキストラクター真空計の斜視図、第4図は従来のラフ
ァティの電離真空計の斜視図、第5図は従来のオービト
ロン型電離真空計の断面図である。 図中、 21……熱陰極 23……電子銃部 24……電界形成部 24a……電極 24b……電極 24c……電極 24d……電極 24e……電極 24f……電極 25……イオンコレクタ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 静雄 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真 空技術株式会社内 (56)参考文献 特公 昭49−5078(JP,B1) 実公 昭45−1596(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01L 21/30
Claims (1)
- 【請求項1】陰極より電子を放出する電子銃部と、 該電子銃部の後方に、丸い穴を中心にもつ3枚以上の電
極を所定の間隔で同軸上に配列した電界形成部と、 該電界形成部の後方に配置したイオンコレクタ部とを有
し、 前記電界形成部が、 前記電子銃部の陰極と前記電界形成部を構成する前記電
極の中間電極である第1電極の穴との間で、前記電子銃
部の陰極より放出された電子を往復運動させて残留気体
分子と衝突させることによってイオンを発生させるイオ
ン生成部と、 前記第1電極の穴と前記イオンコレクタ部に最も近い電
極である第2電極の穴との間で前記イオン生成部で発生
したイオンを収集しながら前記イオンコレクタ部の方向
に加速するイオン収集部と を有することを特徴とする電離真空計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1273033A JP2772687B2 (ja) | 1989-10-20 | 1989-10-20 | 電離真空計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1273033A JP2772687B2 (ja) | 1989-10-20 | 1989-10-20 | 電離真空計 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03135746A JPH03135746A (ja) | 1991-06-10 |
JP2772687B2 true JP2772687B2 (ja) | 1998-07-02 |
Family
ID=17522235
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1273033A Expired - Fee Related JP2772687B2 (ja) | 1989-10-20 | 1989-10-20 | 電離真空計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2772687B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7295015B2 (en) | 2004-02-19 | 2007-11-13 | Brooks Automation, Inc. | Ionization gauge |
US7030619B2 (en) * | 2004-02-19 | 2006-04-18 | Brooks Automation, Inc. | Ionization gauge |
CN100555552C (zh) * | 2004-07-30 | 2009-10-28 | 清华大学 | 真空规管 |
US7768267B2 (en) | 2007-07-11 | 2010-08-03 | Brooks Automation, Inc. | Ionization gauge with a cold electron source |
KR100959042B1 (ko) * | 2009-10-26 | 2010-05-26 | 김재경 | 소음 및 진동 저감용 받침구 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5210387B2 (ja) * | 1972-04-26 | 1977-03-23 |
-
1989
- 1989-10-20 JP JP1273033A patent/JP2772687B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03135746A (ja) | 1991-06-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6005918A (en) | X-ray tube window heat shield | |
RU2526847C2 (ru) | Рентгеновская трубка с пассивным ионособирающим электродом | |
US20080095317A1 (en) | Method and apparatus for focusing and deflecting the electron beam of an x-ray device | |
US4303865A (en) | Cold cathode ion source | |
US10121629B2 (en) | Angled flat emitter for high power cathode with electrostatic emission control | |
JP2772687B2 (ja) | 電離真空計 | |
JP2007529096A (ja) | 電離真空計 | |
US10431415B2 (en) | X-ray tube ion barrier | |
JP3156763B2 (ja) | 冷陰極搭載電子管の電極電圧印加方法および装置 | |
US9928985B2 (en) | Robust emitter for minimizing damage from ion bombardment | |
US10032595B2 (en) | Robust electrode with septum rod for biased X-ray tube cathode | |
JP2015507203A (ja) | 高圧力で作動する電離真空計 | |
US3292078A (en) | Vacuum gauge having an X-ray trap and a shield | |
JP3147227B2 (ja) | 冷陰極電子銃 | |
US12051560B2 (en) | Ion gun and ion milling machine | |
JPH0378741B2 (ja) | ||
US3387175A (en) | Vacuum gauge having separate electron collecting and electron accelerating electrodes | |
US2903612A (en) | Positive ion trap gun | |
US3341727A (en) | Ionization gauge having a photocurrent suppressor electrode | |
US2894136A (en) | Ion source | |
JP2676004B2 (ja) | 電離真空計 | |
US10468222B2 (en) | Angled flat emitter for high power cathode with electrostatic emission control | |
USRE26138E (en) | Ionic vacuum pumps | |
JP3101044B2 (ja) | 発光素子 | |
Swingler | Mass Spectrometer Ion Source with High Yield |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |