JP2615084B2 - 4輪駆動車のトルクスプリット制御装置 - Google Patents

4輪駆動車のトルクスプリット制御装置

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JP2615084B2 JP62269080A JP26908087A JP2615084B2 JP 2615084 B2 JP2615084 B2 JP 2615084B2 JP 62269080 A JP62269080 A JP 62269080A JP 26908087 A JP26908087 A JP 26908087A JP 2615084 B2 JP2615084 B2 JP 2615084B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、センターデフ装置付のフルタイム式4輪駆
動車において、走行条件により前後輪のトルク配分を積
極的に制御するトルクスプリット制御装置に関し、詳し
くは、前後輪の一方のスリップ時の判定に関する。
【従来の技術】
4輪駆動車としてセンターデフ付のものは、旋回時の
前後輪の回転差を吸収できる利点を有し、4輪駆動での
円滑な旋回性能が確保される。そこで、かかる性能を備
え、さらに前後輪のトルク配分を走行条件により可変す
るトルクスプリット制御が考えられる。 即ち、直進走行や加,減速走行においては、前後輪に
かかる車両の重量配分に応じてトルクスプリット制御す
れば、前後輪での駆動力配分が車両の重量配分に適応し
て最適に発揮されることになり、トラクション制御の効
果を得ることができる。旋回時においては、その状態に
よりトルクスプリット制御すれば、フロントエンジン・
フロントドライブ(FF)車の有するアンダステア傾向,
フロントエンジン・リヤドライブ(FR)車の有するオー
バステア傾向を抑えながら、安定性と回頭性を考慮した
最適な旋回性能を得ることができる。更に、路面摩擦係
数μやホィールスピン等を加味してトルクスプリット制
御すれば、走行安全性が向上し、センターデフのデフロ
ック機能と同等以上の機能を備えることになり、常に安
定した走行性を確保することが可能になる。 以上一例について述べたように、4輪駆動車のトルク
スプリット制御により、その性能を最大限発揮して多大
な効果を得ることが期待されるのである。 そこで、かかるトルクスプリットをアクティブに可変
制御することが可能な4輪駆動車の駆動系が、本件出願
人により既に提案されているが、これ以外の方式につい
ても開発の余地がある。また、トルクスプリットを実現
するための最適な電子制御系についても開発されつつあ
る。 従来、センターデフ付4輪駆動車に関しては、例えば
特開昭55−83617号公報の先行技術があり、変速機出力
側をセンターデフ装置に入力し、このセンターデフ装置
からの2つの出力側を前後輪に伝動構成する。また、セ
ンターデフ装置にはクラッチ,ブレーキ,選択クラッチ
装置を付加して制御することが示されている。
【発明が解決しようとする問題点】
ところで、上記従来の先行技術のものにあっては、セ
ンターデフ装置のみであるから、それにより1つのトル
ク配分に定められるにすぎない。また、制御系は2,4輪
駆動,デフロックの切換制御であり、トルクスプリット
制御を行うものではない。 本発明は、このような点に鑑み、センターデフ付でト
ルクスプリットの可変制御が可能な4輪駆動系におい
て、トルクスプリット制御を最適に電子制御し、更に前
後輪のスリップ時の走破性を確保するようにした4輪駆
動車のトルクスプリット制御装置を提供することを目的
とする。
【問題点を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、車体の前方又は
後方の何れか一方にエンジン,変速機等の重量物を備
え、駆動系の途中に所定のトルク配分で動力を前後輪に
振り分けるセンターデフ装置を備える4輪駆動車におい
て、上記センターデフ装置の出力の何れか一方から第1
の歯車装置を介して前輪の終減速装置に動力を伝達し、
上記センターデフ装置の出力の何れか他方から第2の歯
車装置を介して後輪の終減速装置に動力を伝達すると共
に、上記第1の歯車装置と第2の歯車装置との間に上記
センターデフ装置をバイパスしてクラッチトルク可変の
スプリットクラッチからなるトルクスプリット装置を備
え、上記第1の歯車装置と上記前輪の終減速装置による
減速比と上記第2の歯車装置と上記後輪の終減速装置に
よる減速比を、上記重量物の配置されていない側の減速
比を小とし、スプリットクラッチの完全締結時、前後輪
の何れか上記重力物が配置されていない側一方の車輪の
回転速度が上記重力物の配置されいる側の車輪の回転速
度より大きくなるように設定し、種々の情報を検出する
センサ,上記センサの信号を入力して処理する制御ユニ
ットを有し、上記制御ユニットのクラッチ制御信号で上
記スプリットクラッチのトルクと共に前後輪へのトルク
配分を制御するように回路構成し、上記制御ユニット
は、直進及び旋回時に目標とする前後輪の回転数差を設
定する目標前後輪回転数差設定部,実際の前後輪の回転
数差を算出する実前後輪回転数差算出部,両回転数差の
関係からスリップを判断する前後輪スリップ判定部,ス
リップ状態に応じてスプリットクラッチのトルクを補正
する補正部を有し、前後輪の一方のスリップ発生時に、
実前後輪回転数差が目標前後輪回転数差と一致するよう
に前後輪のトルクスプリットをフィードバック制御する
ことを特徴とする。
【作用】
上記構成に基づき、センターデフ装置とトルクスプリ
ット装置を備えた4輪駆動車は、制御ユニットからのク
ラッチ制御信号でトルクスプリット装置のスプリットク
ラッチトルクを生じることで前後輪のトルクの一部が一
方から他方に移動してトルクスプリットがアクティブに
可変制御される。そして、前後輪の一方のスリップ発生
時には目標と実際の前後輪回転数差でトルクスプリット
が補正され、両者が一致するようにフィードバック制御
されることで、センターデフ装置の機能とトルク配分の
相乗作用により差動作用を確保しつつスリップを回避す
るようになる。 また、センターデフ装置の出力から前輪又は後輪の終
減速装置に至る動力伝達装置の減速比を車両前後の重量
配分を考慮して設定し、前後輪の重量物が配置されてい
ない側の車輪の回転速度をより大きくなるように設定し
ているので、スプリットクラッチの完全締結時に、車両
の重量配分に関わらず要求される側へのトルク配分が可
能になる。したがって、エンジン等が前方に配置された
一般的な車両においても、スプリットクラッチの完全締
結時に、後輪側に十分な駆動力を配分することが可能に
なる。 こうして本発明では、アクティブトルクスプリット制
御において前後輪の一方のスリップ時に、旋回性と走破
性を共に確保することが可能になる。
【実 施 例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 第1図において、本発明のトルクスプリット制御装置
の概略について述べる。先ず、センターデフ付のトルク
スプリット制御可能な4輪駆動車の駆動系として、フロ
ントエンジンで縦置きであり、トルクコンバータ付自動
変速機を備えたものについて述べると、エンジン1,トル
クコンバータ2,および自動変速機3が車両前後方向に配
置され、動力伝達可能に連結している。自動変速機3の
出力軸4はセンターデフ装置20に入力し、センターデフ
装置20にはトルクスプリット装置25がバイパスして設け
てある。 センターデフ装置20は、プラネタリギヤ式であり、サ
ンギヤ21,リングギヤ22,サンギヤ21とリングギヤ22に噛
合うピニオン23,およびキャリア24から成り、キャリア2
4に変速機出力軸4が同軸状に連結する。また、2つの
出力側のサンギヤ21,リングギヤ22において、大径のリ
ングギヤ22から変速機出力軸に回動自在に設けられたリ
ダクションギヤ5,さらにリダクションギヤ6を介して出
力軸4と平行なフロントドライブ軸7に連結し、このフ
ロントドライブ軸7がフロントデフ装置8,車軸9を介し
て左右の前輪10L,10Rの伝動構成される。一方、小径の
サンギヤ21からリヤドライブ軸11に連結し、このリヤド
ライブ軸11がリヤデフ装置12,車軸13等を介して左右の
後輪14L,14Rに伝動構成される。 こうしてセンターデフ装置20は、変速機出力を前後輪
に所定のトルク配分で伝達し、かつ前後輪の回転差を吸
収する。ここで、上記駆動径により車体前方の方が後方
より静的荷重が大きいのに対応し、リングギヤ22から前
輪へ伝達されるトルクの方がサンギヤ21から後輪へ伝達
されるトルクより大きくなっている。 トルクスプリット装置25は、フロントドライブ軸7と
同軸のバイパス軸26,トルク可変制御可能なクラッチと
して例えば油圧クラッチ27を有し、バイパス軸26が油圧
クラッチ27のハブ27aに、そのドラム27bが一対のギヤ2
8,29を介してリヤドライブ軸11に伝動構成される。ここ
で、上記リダクションギヤ5,6もこの場合の構成要素で
あり、そのギヤ比を例えば“1"にし、ギヤ28,29のギヤ
比がそれより若干小さく設定され、フロントデフ装置8,
リアデフ装置12の減速比は等しく設定されているため、
油圧クラッチ27の完全締結時にはリダクションギヤ5,6
とギヤ28,29の減速比の違いにより後輪側車輪の回転数
が高くなるように設定されいている。また油圧クラッチ
27は、油圧ユニット30からの作動油の供給によりクラッ
チトルクを生じ得るようになっている。 こうして油圧クラッチ27では、ハブ27aに対しドラム2
7bの方が若干低速の回転差を生じ、このため油圧クラッ
チ27にクラッチ圧を与えてクラッチトルクを発生させる
とハブ27aの前輪側からドラム27bの後輪側にクラッチ圧
力に応じたトルク移動を行って、前輪側と後輪側のトル
ク配分を可変する。即ち、センターデフ装置20の入力ト
ルクをTi、センターデフ装置20によるフロント側配分比
をγとすると、フロントドライブ軸7の伝達トルクはγ
・Tiに、リヤドライブ軸11のトルクは(1−γ)・Tiに
配分される。そこで、クラッチトルクをTc,ギヤ28,29の
ギヤ比をKとすると、トルク移動によりフロントドライ
ブ軸7,リヤドライブ軸11のトルクTF,TRは、 TF=γ・Ti−Tc TR=(1−γ)・Ti+KTc になる。こうして、クラッチトルクTcの変化によりフロ
ント側トルクTFの配分比はセンターデフ装置20におけ
る配分比以下で連続的に変化し、リヤ側トルクTRの配
分比はセンターデフ装置20における配分比以上で連続的
に変化してトルクスプリット作用する。 次いで、トルクスプリットの電子制御系について述べ
ると、左右前輪と後輪の回転数センサ40L,40R,41L,41R,
舵角センサ42,エンジン回転数センサ43,スロットル開度
センサ44,車体加速度センサ45,自動変速機側の変速段セ
ンサ46を有し、これらのセンサ信号が制御ユニット50に
入力する。制御ユニット50は、走行条件,前後輪のスリ
ップ状態により前後輪のトルク配分比を決定し、このト
ルク配分比に応じたクラッチ圧を定めるものであり、こ
のクラッチ圧制御信号を油圧ユニット30に出力する。 第2図(a)において、油圧ユニット30について述べ
る。符号31は例えば自動変速機制御用のライン圧が供給
される油路であり、このライン圧が調圧弁32に導かれ
る。調圧弁32はライン圧を供給する油路31と油路33の連
通を断続しながら油路33に常に一定のパイロット圧を生
じるものであり、この油路33がデューティソレノイド弁
34に連通する。デューティソレノイド弁34は制御ユニッ
ト50からデューティ信号に応じ排圧制御することで、油
路35にデューティ圧を生じる。クラッチ制御弁36にはデ
ューティ圧が作用すると共に、ライン圧油路31,油圧ク
ラッチ27の油路37が連通しており、デューティ圧により
油圧クラッチ27に給排油してクラッチ圧を生じ、これに
応じたクラッチトルクを生じる。ここで、例えばデュー
ティ信号のデューティ比に対し、クラッチ圧は第2図
(b)のような特性となっており、デューティ比が略零
でクラッチ圧が零になり、この状態からデューティ比の
増大に応じてクラッチ圧も上昇する。なお、第2図の破
線はデューティ圧の特性である。 第3図において、制御ユニット50について述べる。先
ず、回転数センサ40L,40Rの左右前輪回転数NFL,NFRが
入力する前輪速算出部51と、回転数センサ41L,41Rの左
右後輪回転数NRL,NRRが入力する後輪速度算出部52を有
し、後輪速算出部51,後輪速算出部52で前後輪速NF,NR
を、 NF=(NFL+NFR)/2 NR=(NRL+NRR)/2 により算出する。前輪速算出部51,後輪速算出部52の前
後輪速NF,NRは車輪速算出部53に入力し、4輪平均の車
輪速Nを、 N=(NF+NR)/2 により算出する。この車輪速Nは車速算出部54に入力
し、タイヤ径を加味して車速Vを算出する。 舵角センサ42の舵角λと車速算出部5の車速Vは目標
トルク配分比決定部55に入力し、舵角λ,車速Vのパラ
メータで後輪のトルク配分比を定める。ここで、例えば
後輪トルク配分比SRが第4図(a)のように設定され
ている。即ち中速の舵角が比較的大きい領域では、車両
の回頭性重視のために後輪トルク配分比SRが大き設定
されており、高速小舵角の領域では、車両の安定性重視
のため後輪トルク配分比SRが小さく設定されており、
これ以外の領域では、後輪トルク配分比SRが中間で回
頭性重視と共に安定性を図ったものになっている。この
目標トルク配分比決定部55の後輪トルク配分比SRと加
速度センサ45の加速度Gは加速補正部56に入力し、加速
度Gが略零の場合は、定常走行とみなして後輪トルク配
分比SRの補正を行なわない。また加速度Gを生じる加
速時では、車両重量配分の変化に対応するように後輪ト
ルク配分比SRを補正する。 エンジン回転数センサ43のエンジン回転数Neとスロッ
トル開度センサ44のスロットル開度θはエンジントルク
算出部57に入力し、第4図(b)のトルク特性に基づい
てエンジントルクTeを定める。車輪速算出部53の車輪速
N,エンジン回転数Ne,および変速段センサ46の変速段Gr
はトルクコンバータ回転比算出部58に入力し、車輪速N
や変速段Grにより逆算してトルクコンバータ2の出力側
であるタービン回転数Ntを求め、トルクコンバータ2の
入力側としてのエンジン回転数Neとの回転比Rwを、 Rw=Nt/Ne により算出する、この回転比Rwはトルクコンバータトル
ク比算出部59に入力し、第4図(c)の特性によりトル
ク比Rtを求める。そしてエンジントルクTe,トルクコン
バータのトルク比Rt,変速段Grはセンターデフ入力トル
ク算出部60に入力し、センターデフ入力トルクTiを以下
のように算出する。 Ti=Te・Rt・Gr 上記後輪トルク配分比SRとセンターデフ入力トルクT
iはクラッチ圧算出部61に入力して、クラッチトルクTc
と共にクラッチ圧Pcを求める。ここで既に述べたように
フロント側トルクをTF,リヤ側トルクをTRとすると、
後輪トルク配分比SRは、 SR=TR/(TF+TR) で示される。従って、上述のフロント側配分比γ,入力
トルクTi,クラッチトルクTc,ギヤ比Kの式を上式に代入
すると、 Tc=f(SR,Ti) になり、後輪トルク配分比SR,入力トルクTiの増大に
応じてクラッチトルクTcの値が大きくなる。また、クラ
ッチトルクTcとクラッチ圧Pcの関係は油圧クラッチ27を
構成するクラッチ板の枚数,摩擦係数等のパラメータに
より固有の特性を持ち、第4図(d)のように Pc=g(Tc) で表わされる。そして、このクラッチ圧Pcは操作量設定
部62に入力し、第2図(b)の特性を用いて、クラッチ
圧Pcに応じたデューティ比の信号に変換して出力するよ
うになっている。 更に、前後輪の一方のスリップ制御系について述べる
と、舵角λと車速Vが入力する目標前後輪回転数差設定
部63,前輪速算出部51,後輪速度出部52の前後輪速NF,NR
が入力する実前後輪回転数差算出部64を有する。目標前
後輪回転数差設定部63は目標回転数差ΔNdが舵角λ,車
速Vにより第4図(e)のように設定されており、舵角
λの増大関数であり、車速Vに対して低速域では、目標
回転数差ΔNdが徐々に増し、ある車速を超えると目標回
転数差ΔNdが徐々に減じる山形の特性である。また、舵
角λ=0の直進に対しては、例えばΔNd=0なる目標回
転数差ΔNdが設定されるのであり、こうしてスリップ無
しの理想的走行軌跡が与えられる。一方、かかる走行軌
跡は路面状態,エンジン出力等により変化するため、例
えば摩擦係数検出手段65からの路面μが入力し、この路
面μの低下に対し目標回転数差ΔNdを減少関数で補正し
ている。 実前後輪回転数差算出部64は、前後輪速NF,NRを減算
して、実回転数差ΔNをΔN=NF−NRにより算出す
る。これらの目標回転数差ΔNd,実回転数差ΔNはスリ
ップ判定部66に入力し、目標の走行軌跡から外れてΔN
>ΔNd+K1あるいはΔN<ΔNd−K2の場合にスリップと
判定する。ここでK1,K2は回転数センサの精度等により
決定される不感帯幅である。このスリップ判定はクラッ
チ圧算出部61の出力側に付加される補正部67に入力し
て、スリップ状態に応じてクラッチ圧を補正する。即
ち、ΔN<ΔNd−K2の場合はセンターデフ装置20をバイ
パスする油圧クラッチ27のトルクが大きくて、センター
デフ装置20の差動を制御しているとみなし、後輪トルク
配分比SRと共にクラッチ圧Pcを減じるように補正し、
逆にΔN>ΔNd+K1の場合はセンターデフの差動を制限
するためクラッチ圧Pcを増すように補正する。 次いで、このように構成されたトルクスプリット制御
装置の作用について述べる。 先ず、車両走行時に自動変速機3がドライブ(D)等
の走行レンジにシフトされると、エンジン1の動力がト
ルクコンバータ2を介し自動変速機3へ入力して変速動
力が出力し、この動力がセンターデフ装置20のキャリア
24に伝達する。そしてリングギヤ22とサンギヤ21により
車両の車輪に対する静的荷重配分に対応して、前後輪側
に例えば60:40のトルク配分比で振り分けられる。リン
グギヤ22からの動力はリダクションギヤ5,6,フロントド
ライブ軸7,フロントデフ装置8等を介して前輪10L,10R
に、サンギヤ21からの動力はリヤドライブ軸11,リヤデ
フ装置12等を介して後輪14L,14Rにそれぞれ伝達するの
であり、こうしてセンターデフ付のフルタイム4輪駆動
走行になる。 このときトルクスプリット装置25の油圧クラッチ27
は、リダクションギヤ5,6とギヤ28,29とのギヤ比により
回転差を生じて回転し、後輪へのトルク移動可能になっ
ている。 一方、電子制御系の各センサで種々の情報が検出さ
れ、これが制御ユニット50に入力する。そして目標トル
ク配分比決定部55と加速補正部56で舵角λ,車速V,およ
び車体加速度Gにより走行条件が判断され、これに基づ
いて後輪トルク配分比SRが決定される。またセンター
デフ入力トルク算出部60では、エンジントルクTe,変速
段Gr,更にエンジン回転数Ne,車輪速N,および変速段Grに
よるトルクコンバータ2の回転比Rwおよびトルク比Rtを
用いてセンターデフ入力トルクTiが算出される。 そこで、通常の走行時には、目標トルク配分比決定部
55で舵角λと車速Vにより後輪トルク配分比SRが第4
図(a)のパターンに基づいて種々決定される。即ち、
センターデフ入力トルクが十分大きく例えば中速の舵角
が比較的大きい条件では、後輪トルク配分比SRが大き
く設定され、これに対応したデューティ信号が出力され
ることにより油圧ユニット30のデューティ圧が上昇さ
れ、さらに油圧クラッチ27の油圧が上昇され、それに伴
ない前輪側から後輪側への移動トルクが大きくなり、多
量のトルクが後輪側に移動して後輪トルク配分の非常に
大きい状態になる。これに対し、車速Vや舵角λが小さ
くなると、それに応じて後輪トルク配分も少なくなるの
であり、こうして旋回状態に応じて後輪トルク配分を可
変にトルクスプリット制御される。このため、4輪駆動
での旋回時に前輪と後輪のタイヤのスリップが、常に路
面との摩擦係数を大きい状態に保ち、目標とする旋回半
径に沿った確実な旋回を促す。また、第4図(a)のパ
ターンにおいて、より後輪へのトルク配分比を大きく設
定することにより積極的に車両の回頭性を向上させるこ
とも可能であり、よりスポーティな走行となる。 また、特に直進時で車体加速度Gが略零の定常走行で
は、目標後輪トルク配分比SRをセンターデフ装置20に
よるトルク配分比の40%にホールドする。このためクラ
ッチ圧算出部61では後輪移動トルク量が零であることか
ら、クラッチ圧Pc=0となる。従って、操作量設定部62
からデューティ比0%の信号が油圧ユニット30のソレノ
イド弁34に入力し、デューティ圧を最大にしてクラッチ
制御弁36により油圧クラッチ27をドレンすることにな
り、これにより油圧クラッチ27の油圧とトルクは零にな
る。こうしてかかる走行条件では、油圧クラッチ27が不
作動で、センターデフ装置20によるトルク配分のみで、
車体荷重配分に対応したイニシャルのトルクスプリット
制御になる。 一方、加速度Gが出力する加速走行において、直進ま
たは旋回の場合にその加速度G,即ち車体荷重の後方移動
に応じて、加速補正部56で後輪トルク配分比SRを増大
するように補正する。このため、クラッチ圧Pcは加速度
Gが零の通常走行時より大きい値になり、これに応じた
デューティ信号がソレノイド弁34に入力し、クラッチ制
御弁36により油圧クラッチ27に給油してクラッチ圧を生
じる。そこで、フロントドライブ軸7へのトルクの一部
が油圧クラッチ27によりリヤドライブ軸11に移動して加
算され、後輪側トルクを増すようになる。こうしてこの
走行条件では、車体荷重の後方移動に応じて後輪トルク
配分をより多くするようにトルクスプリット制御されト
ラクションの向上を促す。また、センターデフ入力トル
クTiが略零の時は、後輪トルク配分比SRがいかなる状
態でもクラッチ圧が零となることは言うまでもなく、こ
れによりタイトコーナブレーキング現象は回避される。 以上述べたトルクスプリット制御のパターンをまとめ
ると、以下の表のようになる。 更に、上記トルクスプリット制御による車両走行時
に、目標前後輪回転数差設定部63からの舵角λ,車速V
による目標回転数差ΔNdと実前後輪点数差算出部64から
の実回転数差ΔNがスリップ判定部66に入力し、両者を
比較して前後輪の一方のスリップ状態が判断される。そ
してΔN>ΔNd+K1またはΔN<ΔNd−K2のスリップ発
生時はこれに対して制御されるものであり、この作用を
第5図のフローチャート図を用いて述べる。 先ず、ΔN<ΔNd−K2の場合は、補正部67でクラッチ
圧Pcを減じて前輪寄りのトルク配分に補正される。この
ため、センターデフ装置20はそれにバイパスする油圧ク
ラッチ27による差動制限が少なくなり、差動作用を回復
して実回転数差ΔNを増し、目標回転数差ΔNdに収束す
る方向に向う。また、逆にΔN>ΔNd+K1の場合は、補
正部67でクラッチ圧Pcを増して後輪寄りのトルク配分に
補正される。従ってこの場合は、センターデフ装置20が
油圧クラッチ27のトルクで差動制限されることになり、
これにより実回転数差ΔNは減じて目標回転数差ΔNdに
収束する方向に向う。こうして、目標回転数差ΔNdに対
し実回転数差ΔNが一致するようにフィードバック制御
されることになり、センターデフ装置20による旋回性を
確保しつつスリップが回避される。 ここで、直進時で前後輪の一方のスリップ時には、常
に|ΔN|》|ΔNd|の関係になり、上述のように油圧ク
ラッチ27のトルクによる差動制限で脱出または走破する
ことが可能になる。また、低μ路では、路面μによる目
標回転数差ΔNdの減少補正により低μ路に適合した目標
回転数差ΔNdが与えられ、差動制限によるスリップ防止
作用を有効に発揮する。
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、 センターデフ付4輪駆動車において、定常,加速,旋
回の走行条件でアクティブトルクスプリット制御するの
で、4輪駆動の性能を最大に発揮した最適な動力性能が
得られる。 前後輪の一方のスリップ判定において、目標回転数差
と実際の回転数差を用いるので、いかなるスリップ状態
にも対応できる。 目標回転数差に対する実回転数差のフィードバック制
御であるから、単にデフロックする場合と異なり、旋回
性を確保しつつスリップ防止することができ、旋回性と
走破性が共に向上する。 目標回転数差の路面状態等による補正で、種々の条件
に対し容易かつ的確なスリップ制御ができる。 トルクスプリット制御用のクラッチを用い、このクラ
ッチのトルク制御でスリップ制御するので、スリップ制
御専用の手段が不要であり、構造,制御が非常に簡素化
する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のトルクスプリット制御装置の実施例の
概略を示す構成図、 第2図(a)は油圧ユニットの回路図,(b)は同油圧
特性図、 第3図は制御ユニットのブロック図、 第4図は各種の特性図、 第5図はスリップ制御の作用のフローチャート図であ
る。 20……センターデフ装置、25……トルクスプリット装
置、27……油圧クラッチ、30……油圧ユニット、50……
制御ユニット、55……目標トルク配分比決定部、56……
加速補正部、61……クラッチ圧算出部、62……操作量設
定部、63……目標前後輪回転数差設定部、64……実前後
輪回転数差算出部、66……スリップ判定部、67……補正

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体の前方又は後方の何れか一方にエンジ
    ン,変速機等の重量物を備え、駆動系の途中に所定のト
    ルク配分で動力を前後輪に振り分けるセンターデフ装置
    を備える4輪駆動車において、 上記センターデフ装置の出力の何れか一方から第1の歯
    車装置を介して前輪の終減速装置に動力を伝達し、上記
    センターデフ装置の出力の何れか他方から第2の歯車装
    置を介して後輪の終減速装置に動力を伝達すると共に、
    上記第1の歯車装置と第2の歯車装置との間に上記セン
    ターデフ装置をバイパスしてクラッチトルク可変のスプ
    リットクラッチからなるトルクスプリット装置を備え、
    上記第1の歯車装置と上記前輪の終減速装置による減速
    比と上記第2の歯車装置と上記後輪の終減速装置による
    減速比を、上記重量物の配置されていない側の減速比を
    小とし、スプリットクラッチの完全締結時、前後輪の何
    れか上記重力物が配置されていない側一方の車輪の回転
    速度が上記重力物の配置されいる側の車輪の回転速度よ
    り大きくなるように設定し、 種々の情報を検出するセンサ,上記センサの信号を入力
    して処理する制御ユニットを有し、上記制御ユニットの
    クラッチ制御信号で上記スプリットクラッチのトルクと
    共に前後輪へのトルク配分を制御するように回路構成
    し、 上記制御ユニットは、直進及び旋回時に目標とする前後
    輪の回転数差を設定する目標前後輪回転数差設定部,実
    際の前後輪の回転数差を算出する実前後輪回転数差算出
    部,両回転数差の関係からスリップを判断する前後輪ス
    リップ判定部,スリップ状態に応じてスプリットクラッ
    チのトルクを補正する補正部を有し、 前後輪の一方のスリップ発生時に、実前後輪回転数差が
    目標前後輪回転数差と一致するように前後輪のトルクス
    プリットをフィードバック制御することを特徴とする4
    輪駆動車のトルクスプリット装置。
  2. 【請求項2】上記目標前後輪回転数差は、舵角と車速の
    関係で定めることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の4輪駆動車のトルクスプリット制御装置。
  3. 【請求項3】上記目標前後輪回転数差は、路面状態,エ
    ンジン出力により補正することを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の4輪駆動車のトルクスプリット制御装
    置。
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