JP2614999B2 - サーモトロピツク液晶性ポリエステル - Google Patents

サーモトロピツク液晶性ポリエステル

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JP2614999B2
JP2614999B2 JP6580396A JP6580396A JP2614999B2 JP 2614999 B2 JP2614999 B2 JP 2614999B2 JP 6580396 A JP6580396 A JP 6580396A JP 6580396 A JP6580396 A JP 6580396A JP 2614999 B2 JP2614999 B2 JP 2614999B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,サーモトロピツク
液晶性ポリエステル(以下液晶ポリエステルと略記)に
関するものであり,さらに詳しくは耐熱性に優れ,溶融
加工性の改良された液晶ポリエステルに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは,一般成形品としての用
途を広く認められるに至っているが,多くのポリエステ
ルは曲げ強度,曲げ弾性率をはじめとする種々の機械的
特性が不十分であるため,高物性を要求される分野には
適していなかった。
【0003】近年,繊維,フイルムもしくは成形品のい
ずれかを問わず,強度,剛性,耐熱性及び耐薬品性など
に優れた素材に対する要望が高まっている。既に,かか
る高性能の液晶ポリエステルの先鞭として,W.J.Jackso
n らは,J.Polym.Sci.Polym.Chem. Ed. 14巻,2043頁
(1976)及び米国特許第3,804,805 号明細書にエチレン
テレフタレートとパラヒドロキシ安息香酸とのエステル
結合のみからなる共重合液晶ポリエステルを報告してお
り,かかる液晶ポリエステルに注目が集まっている。こ
の液晶ポリエステルは,液晶性を有しない通常のポリエ
ステルに比べはるかに高い機械的特性を有しており,新
しい高性能樹脂として期待されている。特に,パラヒド
ロキシ安息香酸の残基の組成比の高いものは耐熱性の優
れたエンジニアリングプラスチツクとして期待されてい
る。
【0004】この液晶ポリエステルは,米国特許第3,77
8,410 号明細書に,その製造方法が記載されており,そ
れによれば,まず,ポリエチレンテレフタレートとパラ
アセトキシ安息香酸とを不活性ガス雰囲気下,加熱溶融
してアシドリシス反応を行いポリエステルフラグメント
を形成させた後,減圧し,増粘させることによって製造
される。
【0005】しかしながら,上記の方法で液晶ポリエス
テルを製造する場合,パラヒドロキシ安息香酸成分の割
合が75モル%以上のときには,いかに撹拌を速くした
り,アシドリシス条件を工夫しても,得られた液晶ポリ
エステルには,パラヒドロキシ安息香酸がブロツク的に
重合することによって生じたブロック性の高いポリマー
が不溶不融の異物として発生し,その結果,得られた液
晶ポリエステルはあたかも有機フイラーを添加したよう
な状態となるため,流動性が悪くなり,重合後の払い出
しが極めて困難となるため,実質的に溶融重合ができな
くなったり,あるいは射出成形などの後工程での操業性
を損ねてしまったり,最終成形品の耐熱性や機械的特性
(特に熱変形温度やアイゾット衝撃強度)を損ねてしま
ったり,さらに成形品の表面が粗れるという問題点が残
されていた。
【0006】ホモポリマーの存在を示す指標の一つとし
て溶媒への溶解性をあげることができる。すなわち,ホ
モポリマーが多く存在する液晶ポリエステルは, 溶媒に
不溶であるかあるいは白濁分散するのみである。例え
ば,先のW.J.Jackson らの報告では,テレフタル酸の残
基とパラヒドロキシ安息香酸の残基のモル比が20/80の
液晶ポリエステルは,フエノールと 1,1,2,2−テトラク
ロルエタンの重量比が1である混合溶媒(容量比では約
60/40である。)に不溶であるため, 極限粘度が測定さ
れていない。
【0007】また,米国特許第3,804,805 号明細書に
は, 極限粘度 0.4以上のポリマーがクレームされている
が,そこに記載されている発明はあくまでも,粘度測定
用の混合溶媒に溶解するポリマーに関するものであっ
て,本発明におけるがごときパラヒドロキシ安息香酸成
分のモル比の高い液晶ポリエステルは具体的に何も記載
されていない。
【0008】このように,従来公知の方法では,パラヒ
ドロキシ安息香酸成分がこれほど多い液晶ポリエステル
であって,しかも上記の溶媒にほぼ透明に溶解するも
の,すなわちパラヒドロキシ安息香酸がブロツク的に重
合することによって生じる異物を含有しないもの,は得
られていなかったのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は,耐熱
性に優れた液晶ポリエステルを提供することにある。ま
た,本発明の他の課題は,異物のない液晶ポリエステル
を提供することにある。また,本発明の他の課題は,溶
融加工性の改良された液晶ポリエステルを提供すること
にある。また,本発明の他の課題は,射出成形などの後
工程での操業性を損ねたり,最終成形品の耐熱性や機械
的特性(特に熱変形温度やアイゾット衝撃強度)を損ね
てしまったり,さらに成形品の表面が粗れるという問題
点がない液晶ポリエステルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記のご
とき問題点のない液晶ポリエステルを得るべく鋭意研究
を重ねた結果,上記の課題が本発明の液晶ポリエステル
によって解決されることを見出した。
【0011】すなわち,本発明は,本質的にエチレング
リコールの残基とテレフタル酸の残基とパラヒドロキシ
安息香酸の残基とから構成され,エチレングリコールの
残基とテレフタル酸の残基のモル比が実質的に等しく,
テレフタル酸の残基とパラヒドロキシ安息香酸の残基の
モル比が15/85〜22/78であって,フエノールと 1,1,
2,2−テトラクロルエタンの重量比が1である混合溶媒
を用いて20℃で測定した極限粘度が 0.5以上であり,か
つ,前記混合溶媒に濃度が 0.4重量%になるよう溶解し
た溶液について10mm光路長で測定した 530nmの光の透過
率が80%以上である液晶ポリエステルを要旨とするもの
である。
【0012】本発明の液晶ポリエステルは,本質的にエ
チレングリコールの残基とテレフタル酸の残基とパラヒ
ドロキシ安息香酸の残基とから構成される。本発明にお
いて,テレフタル酸の残基とパラヒドロキシ安息香酸の
残基のモル比は15/85〜22/78とすることが, 成形性及
び耐熱性の面から必要である。この比があまり小さいと
熱溶融しなくなるし,一方,あまり大きいと耐熱性が低
くなってしまう。
【0013】本発明の液晶ポリエステルの極限粘度
〔η〕(フエノールと 1,1,2,2−テトラクロルエタンの
重量比が1である混合溶媒を用いて20℃で測定)は 0.5
dl/g以上,好ましくは 0.6dl/g以上である。極限粘度が
0.5dl/g未満では目的とする熱変形温度やアイゾット衝
撃強度をはじめとする各種の熱的,機械的特性値におい
て十分な値が得られない。一方,成形性からみれば,極
限粘度は 1.2dl/g以下,とくに 1.0dl/g以下が好まし
い。
【0014】本発明の液晶ポリエステルは,上記粘度測
定用溶媒に濃度が 0.4重量%になるよう溶解した溶液に
ついて10mm光路長で測定した 530nmの光の透過率が80%
以上,好ましくは90%以上,さらに好ましくは95%以上
のものである。透過率が80%未満のものは異物が多量存
在することを意味し,このものでは,それから得られる
最終成形品が表面が粗れたものとなったり,十分なアイ
ゾット衝撃強度,引張強度あるいは曲げ強度が得られな
くなるばかりでなく,ホモポリマーが存在しないものに
比べてその組成が同一であるにもかかわらず,熱変形温
度がかなり低いものとなる。
【0015】本発明にいう透過率とは,液晶ポリエステ
ルを38メッシュの金網を通るように粉砕してから,その
0.08gを精秤し,これをフエノールと 1,1, 2,2 −テト
ラクロルエタンの重量比が1である合溶媒19.92gに投
入し,撹拌しながら 140〜155 ℃に,要すれば 140〜16
0 ℃に加熱し, 0.5〜2時間かけて溶解して得た溶液
を,10mmの光路長の石英ガラス製セルに入れ,混合溶媒
をブランクとして分光光度計(島津製作所製,UV−150
−02)を用い, 530nmの光で測定して次式により求める
ものである。 透過率(%)=(透過光強度/入射光強度)×100
【0016】優れた物性を有する本発明の液晶ポリエス
テルは,次のように2段階又は2段階以上の反応で製造
することができる。
【0017】まず,第1段階において,ポリエチレンテ
レフタレートとパラアセトキシ安息香酸をテレフタル酸
の残基とパラヒドロキシ安息香酸の残基の比が30/70〜
70/30となる範囲で混合し,不活性ガス下で加熱溶融
し,アシドリシス反応を進行させポリエステルフラグメ
ントを形成させる。
【0018】この段階においてはポリエチレンテレフタ
レートと,パラアセトキシ安息香酸を加熱溶融するだけ
でアシドリシス反応が起こり,パラアセトキシ安息香酸
によって切断されたポリエステルフラグメントが生成す
る。この際,テレフタル酸の残基とパラヒドロキシ安息
香酸の残基の比が30/70〜70/30となる範囲でアシドリ
シス反応を行う必要がある。アシドリシス反応の間に,
この比が70/30を超えると,次いで減圧を行っても増粘
が遅くなるし,また次の段階でのホモポリマーの生成も
起こり易くなる。一方,この比が30/70未満になると,
プレポリマーを合成する段階ですでに異物を生じてしま
う。アシドリシス反応は,窒素,アルゴンなどの不活性
雰囲気下で,好ましくは不活性ガスを連続的に流しなが
ら行うことが好ましい。酸素などの活性ガスが存在する
と酸化などによって好適なポリマーが得にくい。
【0019】アシドリシス反応を速やかに進行させるに
は,反応温度は 240℃以上が好ましく,着色を防ぐには
310℃以下,とくに 280℃以下で行うことが好ましい。
アシドリシス反応は,通常,原料がすべて加熱溶融して
から20〜150 分で,酢酸の発生が少なくなり,終了す
る。
【0020】アシドリシス反応の後,そのまま第2段階
に入ることもできるが,第2段階に入る前に,一旦,減
圧し,増粘してポリエステルフラグメントを極限粘度が
0.2以上,とくに 0.3以上のプレポリマーにすること
が,次の段階での反応で異物が一層生じにくくなるう
え,増粘も容易になるので性能面から好ましい。この場
合,本発明の目的を達成するためには,あるいは増粘に
要する時間を考慮すればプレポリマーの極限粘度は 1.0
以下であることが好ましい。
【0021】一方,第1段階でのアシドリシス反応の
後,減圧,増粘することなく,第2段階に入る方法は工
程が簡略化されるので工業的,経済的観点からは好まし
い。第2段階では,第1段階で得られたプレポリマー又
はフラグメントに,目的とする液晶ポリエステルを形成
するに不足しているパラアセトキシ安息香酸を加えて,
再び,ほぼ第1段階と同様のプロセスを繰り返せばよ
い。すなわち,まず,プレポリマー又はフラグメントに
パラアセトキシ安息香酸を混合し,加熱溶融してアシド
リシス反応を行い,再び,ポリエステルフラグメントを
形成させた後,次いで減圧し,増粘させることによって
優れた物性を有する液晶ポリエステル,とくに本発明の
液晶ポリエステルを得ることができる。
【0022】パラアセトキシ安息香酸の添加は,一度に
行ってもよいしまた2回以上に分割して行ってもよい
し,あるいは連続的に行ってもよい。異物の少ない液晶
ポリエステルを得るには,2回以上に分割するかあるい
は連続的に添加するのが好ましいが,工業的には一度に
添加するのが,製造に要する時間を短縮できるので好ま
しい。第2段階のアシドリシス反応も加熱するだけで進
行する。パラアセトキシ安息香酸を一度に添加した場
合,アシドリシス反応は第1段階と同様に20〜150分で
終了する。2回以上に分割して添加する場合,添加の間
隔はそこで加えたパラアセトキシ安息香酸によるアシド
リシス反応がほぼ完結する間隔にするのが好ましい。こ
の場合もパラアセトキシ安息香酸を全量加えた後,通常
20〜150 分アシドリシス反応を行う。連続的に添加する
場合,添加中にアシドリシス反応が同時進行する。この
場合もパラアセトキシ安息香酸を全量加えた後,通常20
〜150分アシドリシス反応を行う。分割して添加する場
合や連続的に添加する場合は,着色の点から,添加を5
時間以内,とくに3時間以内に終了することが好まし
い。
【0023】パラアセトキシ安息香酸は固体のまま添加
してもよいが,その際,空気を抱き込むと反応が遅くな
ったり,着色が起こるなどの悪影響がでるので,例え
ば,窒素置換チエンバーを用いるなどして十分に不活性
ガスで空気を置換してから添加するのが好ましい。工業
的には,パラアセトキシ安息香酸を熱溶融して液体とし
て添加する方法が好ましい。
【0024】プレポリマーにパラアセトキシ安息香酸を
混合する場合,重合後の溶融状態のプレポリマーにパラ
アセトキシ安息香酸を加えてもよいし,また一旦プレポ
リマーを,例えばチップ状の中間製品として取り出すな
ど冷却固化し,これにパラアセトキシ安息香酸を混合し
てもよい。
【0025】アシドリシス反応は,第1段階と同様,不
活性雰囲気下で,好ましくは不活性ガスを連続的に流し
ながら行い,次いで減圧し,増粘させる。減圧度は高い
ほど,生成する酢酸の除去が速やかとなり,反応は短時
間で終了するので,一般的に1.0torr以下, 特に 0.5tor
r以下が好ましい。
【0026】本発明においては,上記の第2段の反応を
多段階で行うこともできる。
【0027】また,本発明においては,本発明の効果を
損なわない範囲内で,例えば,エチレングリコール,1,
2 −プロパンジオール,1,3 −プロパンジオール,1,2
−ブタンジオール,1,3 −ブタンジオール,1,4 −ブタ
ンジオール,2,3 −ブタンジオール, 2−ブテン−1,4
−ジオールなどの脂肪族ジオール類,4, 4′−ビフエノ
ールや1,4 −シクロヘキサンジメタノールなどの芳香族
あるいは脂環式ジオール,あるいはアジピン酸やセバチ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸,シクロヘキサンジカル
ボン酸や 2,6−ナフタレンジカルボン酸などの脂環式あ
るいは芳香族ジカルボン酸,さらには 2−ヒドロキシ−
6 −ナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸を共重合さ
せることができる。
【0028】
【実施例】次に,実施例を用いて本発明をさらに詳しく
説明する。なお,例中,極限粘度〔η〕は,フエノール
と 1,1,2,2−テトラクロルエタンの重量比が1である混
合溶媒を用いて20℃で測定した。透過率は,前述の方法
で測定した。融点(Tm)は,パーキンエルマー社製示差
熱量計 DSC−2型を用い,昇温速度20℃/分で測定し
た。流動開始温度(Tf)は,島津製作所製のフローテス
ター CFT−500 型を用い,荷重 100kg/cm2,ノズル径
0.5mmの条件で, 200℃から10℃/分の割合で昇温して
行き,ポリマーが流動し始める温度として求めた。アイ
ゾット衝撃強度(IZ)は,ASTM D−256 規格に準拠し
て,1/8インチの厚みで,ノッチ付で測定した。曲げ
弾性率(Ef)は,ASTM D−790 規格に準拠して1/8イ
ンチの厚みで測定した。熱変形温度 (HDT)は,ASTM D−
648 規格に準拠して1/8インチの厚みで測定した。表
面粗さは,三次元粗さ測定器(株式会社小坂研究所製SE
−3AK)を用いて,アイゾット衝撃強度測定に用いたもの
と同じテストバーの中央部について測定し,最大山高さ
で示した。サーモトロピツク液晶性は,ホットステージ
付 Leitz偏光顕微鏡で確認した。また,例中,ポリエチ
レンテレフタレートをPET と略記し,このエチレンテレ
フタレート最小繰り返し単位を1モルとした。また,原
料として用いたPET 及びパラアセトキシ安息香酸(4-HB
A-A と略記)は十分乾燥して用いた。
【0029】実施例1 エチレンテレフタレート単位とパラヒドロキシ安息香酸
残基単位とのモル比(PET/4−BHAモル比と略
記) が20/80であって,異物の含有量の少ない液晶ポリ
エステルを以下のようにして調製した。まず,第1段階
として〔η〕が0.71のPET のチップと4-HBA-A の粉末と
を40/60のモル比で反応機に50kg仕込んだ。反応機中
で,減圧下,原料を十分乾燥した後,窒素ガスを流して
常圧に戻した。次いで,窒素ガスを微量流しながら 270
℃に昇温し,総ての原料が溶融してから40分間その温度
に保って酢酸を流出させアシドリシス反応を行った。そ
の後,90分間でフルバキューム(1torr) となるような
減圧スケジュールで減圧を開始し,しかる後,順次昇温
して,最終的に 280℃の温度で, 0.3torrの減圧下に3
時間,溶融相で重縮合反応させてから,常法によりチッ
プ化した。得られたポリエステルは,極限粘度〔η〕が
0.62,透過率が99.7%,流動開始温度(Tf)が 189℃で
異物を含まない液晶ポリエステルであった。次に,第2
段階として,第1段階で得られた乾燥ポリマーチップ30
kgと,目的とする PET/4-BHAモル比が20/80であるポリ
エステルを調製するのに不足している4-HBA-A 36.3kgと
を反応機に仕込んだ後, 280℃に昇温し,40分間アシド
リシス反応を行った。その後,順次昇温して,最終的に
300℃の温度で, 0.3torrの減圧下に3時間,溶融相で
重縮合反応させた結果,極限粘度〔η〕が0.70,透過率
が98.7%,融点(Tm)が 278℃,流動開始温度(Tf)が
249℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が30 kgfcm/cm,曲
げ弾性率(Ef) が85000 kg/cm2,熱変形温度 (HDT)が 1
80℃の液晶ポリエステルが得られた。この液晶ポリエス
テルは,後述の比較例1の液晶ポリエステルと同一の組
成のものであるにもかかわらず,比較例1のものよりも
透過率が高くて異物の含有量が少ないことを示し,また
比較例1のものよりも熱変形温度やこれから得られた成
形品の表面状態も大幅に改良されたものであった。
【0030】比較例1 実施例1で用いた〔η〕が0.71のPET のチップと4-HBA-
A の粉末とを,モル比が20/80となる割合で総量50kgを
反応機に仕込み,実施例1と同様にアシドリシス反応を
行った。その後,90分間でフルバキューム(1torr) と
なるような減圧スケジュールで減圧を開始し,しかる
後,順次昇温して,最終的に 300℃の温度で,0.3torrの
減圧下に3時間,溶融相で重縮合反応させた結果,透過
率が28.5%,融点(Tm)が274℃,流動開始温度(Tf)
が 239℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が9 kgfcm/cm,
曲げ弾性率(Ef) が 60000kg/cm2 の液晶ポリエステル
が得られた。このものはホモポリマーの含有量が多いも
ので,熱変形温度 (HDT)も 145℃と実施例1の液晶ポリ
エステルに比べて明らかに劣るものであった。
【0031】実施例2〜4 第2段階で加える4-HBA-A の量を変えた以外は実施例1
と同様にして(ただし,実施例2及び3では第2段階で
の増粘の最終温度を 310℃とした。)PET/4-HBA モル比
が18/82(実施例2),15/85(実施例3),24/76
(実施例3)の液晶ポリエステルを得た。
【0032】比較例2 第1段階において使用したPET のチップと4-HBA-A の粉
末とのモル比を28/72となる割合に変えた以外は実施例
1と同様にしてアシドリシス反応を行った。その後,90
分間でフルバキューム(1torr) となるような減圧スケ
ジュールで減圧を開始し,しかる後,順次 300℃まで昇
温したところ,反応物は流動性が著しく低下した。この
反応物を一旦払い出し,固化粉砕後,再び反応機に仕込
んで徐々に昇温及び減圧し,最終的に 250℃の温度で,
0.3torrの減圧下に10時間,固相重合反応を行った。得
られたポリマーは極限粘度〔η〕が0.59,透過率が51.1
%,流動開始温度(Tf)が 191℃で異物の多い液晶ポリ
エステルであった。次に,第2段階として,第1段階で
得られた乾燥ポリマーチップ30kgと,目的とするPET/4-
HBA モル比が20/80であるポリエステルを調製するのに
不足している4-HBA-A 15.4kgとを反応機に仕込んだ後,
3時間で 280℃に昇温し,その後,90分間でフルバキュ
ーム(1torr) となるような減圧スケジュールで減圧を
開始し,しかる後,順次昇温して最終的に 300℃の温度
で,0.3torrの減圧下に3時間,溶融相で重縮合反応を行
ったところ,得られた液晶ポリエステルは,透過率が3
6.9%,融点(Tm)が 273℃,流動開始温度(Tf)が 24
0℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が10 kgfcm/cm,曲げ
弾性率(Ef)が63000 kg/cm2,熱変形温度 (HDT)が143℃
のものであった。このように,第1段階で4-HBA-A を多
く反応させた場合は,異物の多い液晶ポリエステルしか
得られなかった。
【0033】比較例3 第1段階において使用したPET のチップと4-HBA-A の粉
末とのモル比を75/25に変えた以外は実施例1と同様に
して液晶ポリエステルを得た。得られた液晶ポリエステ
ルは,透過率が76%,融点(Tm)が 282℃,流動開始温
度(Tf)が 252℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が7 kgf
cm/cm,曲げ弾性率(Ef) が 70000kg/cm2,熱変形温度
(HDT)が 139℃で,やはり異物の多いものであった。
【0034】比較例4 第2段階の 300℃における最終重合時間を 0.5時間に変
えた以外は実施例1と同様にして液晶ポリエステルを得
た。得られた液晶ポリエステルは,透過率が99.0%,融
点(Tm)が 269℃,流動開始温度(Tf)が 242℃を有す
る異物のないものであったが,極限粘度〔η〕が低いの
で,アイゾット衝撃強度(IZ)が2 kgfcm/cm,曲げ弾
性率(Ef) が68000kg/cm2,熱変形温度 (HDT)が 148℃
と機械的強度及び耐熱性に劣るものであった。
【0035】実施例5〜10 第1段階において使用するPET のチップと4-HBA-A の粉
末のモル比並びに最終的に得られる液晶ポリエステルに
おけるPET/4-HBA モル比を表1に示すように変えた以外
は実施例1と同様にして液晶ポリエステルを得た。
【0036】実施例11 実施例1と同様にして第1段階でポリマーを得た。得ら
れた溶融状態のポリマーに第2段階として最終的に得ら
れる液晶ポリエステルにおけるPET/4-HBA モル比が20/
80となる量の4-HBA-A を窒素ガス雰囲気下に投入したと
ころ,一旦,混合物は一部が冷却され固化したが,3時
間かけて 280℃まで昇温したところ,再び均一に溶融し
た。その後,90分間でフルバキューム(1torr)となる
ような減圧スケジュールで減圧を開始し,しかる後,順
次昇温して,最終的に 300℃の温度で,0.3torrの減圧下
に3時間,溶融相で重縮合反応させた。得られたポリエ
ステルは,極限粘度〔η〕が0.72,透過率が99.5%,融
点(Tm)が 278℃,流動開始温度(Tf)が 248℃,アイ
ゾット衝撃強度(IZ)が28 kgfcm/cm,曲げ弾性率(E
f) が 95000kg/cm2,熱変形温度 (HDT)が 181℃のもの
であった。表1に実施例1〜11及び比較例1〜4の結果
をまとめて示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例12 PET/4-HBA モル比が20/80であって,異物の含有量の少
ない液晶ポリエステルを次のようにして調製した。ま
ず,第1段階として〔η〕が0.71のPET のチップと4-HB
A-A の粉末とを40/60のモル比で反応機に5kg仕込ん
だ。反応機中で,減圧下,原料を十分乾燥した後,窒素
ガスを流して常圧に戻した。次いで,窒素ガスを微量流
しながら 275℃に昇温し,総ての原料が溶融してからそ
の温度に保って酢酸を流出させアシドリシス反応を行っ
たところ,40分後には酢酸の留出が止まりアシドリシス
反応は終了した。次に,第2段階として,引き続き反応
機を 275℃に保ち,窒素ガスを流しながら,溶融中のポ
リエステルフラグメントに,目的とするPET/4-HBA モル
比が20/80であるポリエステルを調製するのに不足して
いる4-HBA-A 4.87kgを,反応機の上に設けた窒素置換チ
エンバーに入れて十分窒素置換してから,1.62kgずつ3
回に分けて30分おきに添加した。4-HBA-A を全量添加し
た後,さらに30分間 275℃に保ってアシドリシス反応を
行った。その後,順次昇温して最終的に 300℃の温度
で,0.3torrの減圧下に 4.5時間,溶融相で重縮合反応さ
せた結果,極限粘度〔η〕が0.70,透過率が96.7%,融
点(Tm)が 278℃,流動開始温度(Tf)が 248℃,アイ
ゾット衝撃強度(IZ)が30 kgfcm/cm ,曲げ弾性率
(Ef) が 83000kg/cm2,熱変形温度(HDT) が 180℃の液
晶ポリエステルが得られた。この液晶ポリエステルは,
前述の比較例1の液晶ポリエステルと同一の組成のもの
であるにもかかわらず,比較例1のものよりも透過率が
高くて異物の含有量が少ないことを示し,また比較例1
のものよりも熱変形温度やこれから得られた成形品の表
面状態も改良されたものであった。
【0039】実施例13 第1段階は実施例12と同様にアシドリシス反応を行って
ポリエステルフラグメントを得た。第2段階では,第1
段階で得られた溶融状態のポリエステルフラグメント
に,275℃で,目的とするPET/4-HBA モル比が20/80で
あるポリエステルを調製するのに不足している4-HBA-A
を,加熱溶融しながら定量ポンプで3時間かけて添加し
た。添加後,さらに40分間, 275℃に保つことによって
アシドリシス反応を行った。その後,90分間でフルバキ
ューム(1torr) となるような減圧スケジュールで減圧
を開始し,しかる後,順次昇温して,最終的に 300℃の
温度で,0.3torrの減圧下に5時間,溶融相で重縮合反応
させた。得られた液晶ポリエステルは,極限粘度〔η〕
が0.72,透過率が97.5%,融点(Tm)が 278℃, 流動開
始温度(Tf)が 248℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が28
kgfcm/cm,曲げ弾性率(Ef) が 84000kg/cm2,熱変形
温度 (HDT)が 181℃のものであった。
【0040】実施例14 第1段階は実施例12と同様にアシドリシス反応を行って
ポリエステルフラグメントを得た。第2段階では,第1
段階で得られた溶融状態のポリエステルフラグメント
に,目的とするPET/4-HBA モル比が20/80であるポリエ
ステルを調製するのに不足している4-HBA-A を,反応機
の上に設けた窒素置換チエンバーに入れて十分窒素置換
してから一度に添加した。添加後,さらに50分間, 275
℃に保つことによってアシドリシス反応を行った。その
後,減圧を開始し,しかる後,順次昇温して,最終的に
300℃の温度で,0.3torrの減圧下に5時間,溶融相で重
縮合反応させた。得られた液晶ポリエステルは,極限粘
度〔η〕が0.73,透過率が92.1%,融点(Tm)が 277
℃, 流動開始温度(Tf)が 247℃,アイゾット衝撃強度
(IZ)が27kgfcm/cm,曲げ弾性率(Ef) が 81000kg/c
m2,熱変形温度 (HDT)が 180℃のものであった。
【0041】実施例15 PET/4-HBA モル比が15/85であって,異物の含有量の少
ない液晶ポリエステルを次のようにして調製した。第1
段階は実施例12と同様にアシドリシス反応を行ってポリ
エステルフラグメントを得た。第2段階では,第1段階
で得られた溶融状態のポリエステルフラグメントに,目
的とするPET/4-HBA モル比が15/85であるポリエステル
を調製するのに不足している4-HBA-A 8.12kgを,実施例
1の場合と同様に窒素置換し,5等分して30分間隔で添
加した。添加後,さらに30分間, 275℃に保つことによ
ってアシドリシス反応を行った。その後,減圧を開始
し,しかる後,順次昇温して最終的に 300℃の温度で,
0.3torrの減圧下,に5時間,溶融相で重縮合反応させ
た。得られた液晶ポリエステルは,極限粘度〔η〕が0.
78,透過率が89.1%,融点(Tm)が 296℃, 流動開始温
度(Tf)が 270℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が20kgfc
m/cm,曲げ弾性率(Ef) が 81000kg/cm2,熱変形温度
(HDT)が 216℃のものであった。
【0042】実施例16 PET/4-HBA モル比が20/80であって,異物の含有量の少
ない液晶ポリエステルを次のようにして調製した。第1
段階において使用するPET のチップと,4-HBA-A の粉末
のモル比を35/65に変え,第2段階で添加する4-HBA-A
3.66kgを1.22kgずつ3回に分割して添加した以外は実施
例12と同様にして液晶ポリエステルを得た。得られた液
晶ポリエステルは,極限粘度〔η〕が0.69,透過率が9
6.0%,融点(Tm)が 276℃, 流動開始温度(Tf)が 24
7℃,アイゾット衝撃強度(IZ)が35kgfcm/cm,曲げ弾
性率(Ef) が 83000kg/cm2,熱変形温度 (HDT)が 178℃
のものであった。表2に実施例12〜16の結果をまとめて
示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステルは,耐熱性に
優れるとともに高強力,高弾性で,しかも溶融加工性の
改良された液晶ポリエステルであり,射出成形などの後
工程での操業性が優れ,最終成形品の耐熱性や機械的特
性も優れるとともに,さらに成形品の表面が粗れるとい
う問題点がないような液晶ポリエステルであるので,高
性能樹脂として,各種射出成形用途に用いられることは
勿論,フイルム,シート,繊維,パイプなどの各種押し
出し用途にも使用することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本質的にエチレングリコールの残基とテ
    レフタル酸の残基とパラヒドロキシ安息香酸の残基とか
    ら構成され,エチレングリコールの残基とテレフタル酸
    の残基のモル比が実質的に等しく,テレフタル酸の残基
    とパラヒドロキシ安息香酸の残基のモル比が15/85〜22
    /78であって,フエノールと 1,1,2,2−テトラクロルエ
    タンの重量比が1である混合溶媒を用いて20℃で測定し
    た極限粘度が 0.5以上であり,かつ,前記混合溶媒に濃
    度が 0.4重量%になるよう溶解した溶液について10mm光
    路長で測定した 530nmの光の透過率が80%以上であるサ
    ーモトロピツク液晶性ポリエステル。
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