JP2611934B2 - 超硬合金系耐摩耗材及びその製造方法 - Google Patents
超硬合金系耐摩耗材及びその製造方法Info
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- JP2611934B2 JP2611934B2 JP6113696A JP11369694A JP2611934B2 JP 2611934 B2 JP2611934 B2 JP 2611934B2 JP 6113696 A JP6113696 A JP 6113696A JP 11369694 A JP11369694 A JP 11369694A JP 2611934 B2 JP2611934 B2 JP 2611934B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒粉体混合、粉体輸送
機器及び土木建設機械等のアプレイシブ摩耗を被りやす
い部分に利用する耐摩耗材に係わり、特に、炭化タング
ステン基超硬合金の優れた機械的強度と耐摩耗特性を維
持しながら、上記機器、機械本体への直接溶接接合を可
能にした信頼性の高い、高品位の超硬合金系耐摩耗材及
びその製造方法を提供するものである。
機器及び土木建設機械等のアプレイシブ摩耗を被りやす
い部分に利用する耐摩耗材に係わり、特に、炭化タング
ステン基超硬合金の優れた機械的強度と耐摩耗特性を維
持しながら、上記機器、機械本体への直接溶接接合を可
能にした信頼性の高い、高品位の超硬合金系耐摩耗材及
びその製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】金属、セラミックスの粉砕、混合、さら
にそれらの輸送手段を提供する各種機器類や土砂、岩石
の破砕、輸送を司る土木建設機械類ではその対象処理物
の摩耗性が高く、処理物と部材の接触による顕著なすり
減り摩耗(以下、アプレイシブ摩耗と呼ぶ)をうける。
このようなアプレイシブ摩耗の著しい部分には、その摩
耗の程度により、耐摩耗材の種類と機械本体への取付方
が適宜選択されている。比較的摩耗の少ない対象処理物
に対してはステライトや炭化タングステン粒子を含有す
る材料の本体への溶射、肉盛り方法が用いられている。
また、中程度の摩耗をもたらす処理物に対しては、コバ
ルトやニッケルを結合材として多く含んだ炭化タングス
テン基超硬合金が選択され、本体へ直接溶接する方法が
採用されている。
にそれらの輸送手段を提供する各種機器類や土砂、岩石
の破砕、輸送を司る土木建設機械類ではその対象処理物
の摩耗性が高く、処理物と部材の接触による顕著なすり
減り摩耗(以下、アプレイシブ摩耗と呼ぶ)をうける。
このようなアプレイシブ摩耗の著しい部分には、その摩
耗の程度により、耐摩耗材の種類と機械本体への取付方
が適宜選択されている。比較的摩耗の少ない対象処理物
に対してはステライトや炭化タングステン粒子を含有す
る材料の本体への溶射、肉盛り方法が用いられている。
また、中程度の摩耗をもたらす処理物に対しては、コバ
ルトやニッケルを結合材として多く含んだ炭化タングス
テン基超硬合金が選択され、本体へ直接溶接する方法が
採用されている。
【0003】一方、処理物が土砂やセラミック粉のよう
な摩耗性の極めて高いものに対しては、金属結合材を極
力少なくした耐摩耗性の改良された炭化タングステン基
超硬合金が一般に利用されている。機械本体へは圧入法
や焼きばめ法により固定したり、耐摩耗性の高い超硬合
金をステンレス製あるいはスチール製の裏金に一度ロー
付けしたものを止め金で本体へ取り付けている。上記の
ような炭化タングステン基超硬合金は、通常、それらの
原料粉末を型成形し、真空中あるいは水素炉中で燒結す
る。特に、金属結合相の少ない、難燒結の組成について
はホットプレス法による燒結方法が採用されている。
な摩耗性の極めて高いものに対しては、金属結合材を極
力少なくした耐摩耗性の改良された炭化タングステン基
超硬合金が一般に利用されている。機械本体へは圧入法
や焼きばめ法により固定したり、耐摩耗性の高い超硬合
金をステンレス製あるいはスチール製の裏金に一度ロー
付けしたものを止め金で本体へ取り付けている。上記の
ような炭化タングステン基超硬合金は、通常、それらの
原料粉末を型成形し、真空中あるいは水素炉中で燒結す
る。特に、金属結合相の少ない、難燒結の組成について
はホットプレス法による燒結方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明に係わる粒粉体
混合、輸送機器や土木建設機械類を対象とした耐摩耗材
には、優れた耐アプレイシブ摩耗特性と同時に、使用中
の強い衝撃にも充分耐えられる、本体への強固な接合が
必要不可欠である。炭化タングステン基超硬合金の内
で、金属系結合相を比較的多く含む超硬合金は、上記機
械本体を構成しているステンレス鋼や鋼への直接溶接が
可能であり、本体への強い接合強度が得られる。しか
し、この種の結合材を多く含んだ超硬合金は靭性は高く
なるが、硬さは低下し、耐摩耗性も著しく劣る。また、
この種の超硬合金では腐食環境下での結合相構成金属の
溶出が多く、耐食性も劣るという問題があった。一方、
結合相量を減らし、耐摩耗性を高めた超硬合金では機械
本体を構成するステンレス鋼や鋼本体への直接溶接は不
可能であり、従来の機械的固定方法では使用中の衝撃に
よるゆるみや圧着面強度不足による抜け落ちが起きると
いう問題があった。
混合、輸送機器や土木建設機械類を対象とした耐摩耗材
には、優れた耐アプレイシブ摩耗特性と同時に、使用中
の強い衝撃にも充分耐えられる、本体への強固な接合が
必要不可欠である。炭化タングステン基超硬合金の内
で、金属系結合相を比較的多く含む超硬合金は、上記機
械本体を構成しているステンレス鋼や鋼への直接溶接が
可能であり、本体への強い接合強度が得られる。しか
し、この種の結合材を多く含んだ超硬合金は靭性は高く
なるが、硬さは低下し、耐摩耗性も著しく劣る。また、
この種の超硬合金では腐食環境下での結合相構成金属の
溶出が多く、耐食性も劣るという問題があった。一方、
結合相量を減らし、耐摩耗性を高めた超硬合金では機械
本体を構成するステンレス鋼や鋼本体への直接溶接は不
可能であり、従来の機械的固定方法では使用中の衝撃に
よるゆるみや圧着面強度不足による抜け落ちが起きると
いう問題があった。
【0005】また、現状では、この種の超硬合金を高分
子系接着剤やロー材を用いて接着させる方法も取られて
いるが、前者の方法ではその耐熱性とその接着強度に問
題があり、衝撃のかかるような条件では使用に耐えな
い。また、ロー付け法では超硬と機械本体を構成する材
料との熱膨張差による残留応力の発生が問題となる。金
属結合相の少ない超硬合金の熱膨張率は約6×10-6で
あるのに対し、ステンレスの熱膨張率は12〜18×1
0-6と2倍以上も違っており、ロー付け温度からの冷却
中にこの熱膨張差に相当する応力が超硬側に発生する。
その結果、ロー付け後、超硬側に変形や割れがなくて
も、使用中の温度変化や僅かの衝撃で剥れたり、割れを
起こしてしまい信頼性に乏しいという問題があった。ま
た、従来の炭化タングステン基超硬合金の製造方法にお
いては、真空または水素炉燒結では燒結炉内に、また、
ホットプレス法ではその燒結型内に大きな温度分布を付
けることは構造上不可能であり、このため、結合相量の
異なる、従って、燒結温度の異なる2種類以上の超硬合
金を一度に一体燒結することは極めて困難であった。
子系接着剤やロー材を用いて接着させる方法も取られて
いるが、前者の方法ではその耐熱性とその接着強度に問
題があり、衝撃のかかるような条件では使用に耐えな
い。また、ロー付け法では超硬と機械本体を構成する材
料との熱膨張差による残留応力の発生が問題となる。金
属結合相の少ない超硬合金の熱膨張率は約6×10-6で
あるのに対し、ステンレスの熱膨張率は12〜18×1
0-6と2倍以上も違っており、ロー付け温度からの冷却
中にこの熱膨張差に相当する応力が超硬側に発生する。
その結果、ロー付け後、超硬側に変形や割れがなくて
も、使用中の温度変化や僅かの衝撃で剥れたり、割れを
起こしてしまい信頼性に乏しいという問題があった。ま
た、従来の炭化タングステン基超硬合金の製造方法にお
いては、真空または水素炉燒結では燒結炉内に、また、
ホットプレス法ではその燒結型内に大きな温度分布を付
けることは構造上不可能であり、このため、結合相量の
異なる、従って、燒結温度の異なる2種類以上の超硬合
金を一度に一体燒結することは極めて困難であった。
【0006】コバルト含有量の異なる2種類の超硬合金
圧粉体を合い接した状態で加熱していくと、両者とも約
1320℃あたりからW−C−Co系の共晶液相が生成
し始めるが、その量は初めの結合相量の多い方で多く、
また、その後の昇温による液相量の増加も多くなる。結
合相量の多い超硬合金側は充分な液相生成により急激に
燒結するが、一方の結合相量の少ない方はまだ燒結を始
めるには液相が少なすぎ、隙間の多い状態にある。その
隙間部分に結合相量の多い方で生成した液相が毛細管現
象を利用して進入、拡散してくる。その量は両方の超硬
合金中の結合相量の差が大きく、つまり、両者の燒結温
度の差が大きいとき顕著になる。この結果、燒結後で
は、当初結合相量を少なく設計した超硬合金の性質は損
なわれ、耐摩耗性も劣るものしか得られないという問題
があった。
圧粉体を合い接した状態で加熱していくと、両者とも約
1320℃あたりからW−C−Co系の共晶液相が生成
し始めるが、その量は初めの結合相量の多い方で多く、
また、その後の昇温による液相量の増加も多くなる。結
合相量の多い超硬合金側は充分な液相生成により急激に
燒結するが、一方の結合相量の少ない方はまだ燒結を始
めるには液相が少なすぎ、隙間の多い状態にある。その
隙間部分に結合相量の多い方で生成した液相が毛細管現
象を利用して進入、拡散してくる。その量は両方の超硬
合金中の結合相量の差が大きく、つまり、両者の燒結温
度の差が大きいとき顕著になる。この結果、燒結後で
は、当初結合相量を少なく設計した超硬合金の性質は損
なわれ、耐摩耗性も劣るものしか得られないという問題
があった。
【0007】従来の方法では、結合相量の異なる2種類
の超硬合金を一体に燒結する場合、両者を別々にそれ
らの最適温度で燒結しておき、再度、それらの中間温度
で接合する、結合相量の少ない、燒結温度の高い超硬
合金粉末を、まずその最適温度で燒結しておき、これに
他方の超硬合金粉末をその最適温度で燒結、接合させ
る、方法がある。の方法は、最後の接合が固体と固体
の接合となり、接合自体も難しく、信頼性のある接合が
得られないという問題があった。この両者の間にそれら
の中間的結合相を入れ、同様に接合する方法もあるが、
両端の固体に粉末部の燒結収縮が阻害され、この部分が
燒結不良となり、充分な接合強度が得られない。一方、
後者の方法でも、2回目の燒結が固体−粉末の燒結であ
り、加熱過程での収縮が異なり、燒結後の燒結体に大き
な応力が残り、加工中や使用中に割れが発生したり、両
者の剥離を起こし易いという問題があった。また、上記
2つの方法とも1つの耐摩耗材を製造するのに2〜3回
の燒結過程を必要とし、その製造コストが高くなりす
ぎ、実用的でないという問題があった。
の超硬合金を一体に燒結する場合、両者を別々にそれ
らの最適温度で燒結しておき、再度、それらの中間温度
で接合する、結合相量の少ない、燒結温度の高い超硬
合金粉末を、まずその最適温度で燒結しておき、これに
他方の超硬合金粉末をその最適温度で燒結、接合させ
る、方法がある。の方法は、最後の接合が固体と固体
の接合となり、接合自体も難しく、信頼性のある接合が
得られないという問題があった。この両者の間にそれら
の中間的結合相を入れ、同様に接合する方法もあるが、
両端の固体に粉末部の燒結収縮が阻害され、この部分が
燒結不良となり、充分な接合強度が得られない。一方、
後者の方法でも、2回目の燒結が固体−粉末の燒結であ
り、加熱過程での収縮が異なり、燒結後の燒結体に大き
な応力が残り、加工中や使用中に割れが発生したり、両
者の剥離を起こし易いという問題があった。また、上記
2つの方法とも1つの耐摩耗材を製造するのに2〜3回
の燒結過程を必要とし、その製造コストが高くなりす
ぎ、実用的でないという問題があった。
【0008】本発明は以上のような事情に鑑みなされた
もので、結合相量の少ない、耐摩耗性の優れた炭化タン
グステン基超硬合金と、機械本体への直接溶接接合を可
能にする結合相量の多い超硬合金を温度傾斜を持たせた
通電燒結法を用いて一体に同時燒結することにより、耐
摩耗性に優れた、信頼性の高い高品位の超硬合金系耐摩
耗材及びその製造方法を提供するものである。
もので、結合相量の少ない、耐摩耗性の優れた炭化タン
グステン基超硬合金と、機械本体への直接溶接接合を可
能にする結合相量の多い超硬合金を温度傾斜を持たせた
通電燒結法を用いて一体に同時燒結することにより、耐
摩耗性に優れた、信頼性の高い高品位の超硬合金系耐摩
耗材及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な耐摩耗材としての問題点と、その機械本体への固定方
法上の問題点を解決するための研究を続けてきた。その
結果、加圧条件下での通電燒結法において、成形外枠を
その通電経路の1つとして持つ型構成に設計し、その成
形外枠の肉厚を適切に調整し、そこでの通電中の発熱量
を制御することにより、燒結体部分の加圧軸方向に必要
に応じた温度傾斜をつけることができ、この方法によ
り、結合相量の異なる、従って、燒結温度の異なる2種
以上の超硬合金を燒結状態の過不足なく、かつ、残留応
力の発生も極めて少ない状態に一度で一体に燒結できる
ことを見いだし、この発明をなすに至った。
な耐摩耗材としての問題点と、その機械本体への固定方
法上の問題点を解決するための研究を続けてきた。その
結果、加圧条件下での通電燒結法において、成形外枠を
その通電経路の1つとして持つ型構成に設計し、その成
形外枠の肉厚を適切に調整し、そこでの通電中の発熱量
を制御することにより、燒結体部分の加圧軸方向に必要
に応じた温度傾斜をつけることができ、この方法によ
り、結合相量の異なる、従って、燒結温度の異なる2種
以上の超硬合金を燒結状態の過不足なく、かつ、残留応
力の発生も極めて少ない状態に一度で一体に燒結できる
ことを見いだし、この発明をなすに至った。
【0010】すなわち、この発明は、直接または中間層
1cを介して燒結接合された金属系結合相15重量%以
上、40重量%未満を含有する炭化タングステン基超硬
合金よりなる溶接可能層1bと金属系結合相2重量%以
上、10重量%以下を含有する炭化タングステン基超硬
合金よりなる耐摩耗層1aよりなる耐摩耗材を成形外枠
2と上下パンチ3,4を用いた通電燒結法により製造す
る方法において、成形外枠2の肉厚が耐摩耗層原料粉末
1a1側から溶接可能層原料粉末1b1側へ連続及び/
またはステップ状に増加し、溶接可能層原料粉末1b1
側の下パンチ4の端面を成形外枠2の端面と一致するよ
うに治具5上に配置し、成形外枠2を少なくとも1つの
通電経路とすることにより、通電中に耐摩耗材原料粉末
11の加圧軸方向に温度傾斜を形成しながら耐摩耗材原
料粉末11を燒結することにより優れた耐摩耗性を維持
し、機械本体への直接溶接接合を可能にした超硬合金系
耐摩耗材の製造方法を提供するものである。
1cを介して燒結接合された金属系結合相15重量%以
上、40重量%未満を含有する炭化タングステン基超硬
合金よりなる溶接可能層1bと金属系結合相2重量%以
上、10重量%以下を含有する炭化タングステン基超硬
合金よりなる耐摩耗層1aよりなる耐摩耗材を成形外枠
2と上下パンチ3,4を用いた通電燒結法により製造す
る方法において、成形外枠2の肉厚が耐摩耗層原料粉末
1a1側から溶接可能層原料粉末1b1側へ連続及び/
またはステップ状に増加し、溶接可能層原料粉末1b1
側の下パンチ4の端面を成形外枠2の端面と一致するよ
うに治具5上に配置し、成形外枠2を少なくとも1つの
通電経路とすることにより、通電中に耐摩耗材原料粉末
11の加圧軸方向に温度傾斜を形成しながら耐摩耗材原
料粉末11を燒結することにより優れた耐摩耗性を維持
し、機械本体への直接溶接接合を可能にした超硬合金系
耐摩耗材の製造方法を提供するものである。
【0011】通常の通電燒結法では、黒鉛製成形外枠と
上下パンチを用い、まず、成形外枠に下パンチをセット
した状態で燒結しようとする粉末を充填した後、上パン
チを押し込み、加圧する。この状態で上下パンチを通じ
て直流または交流、あるいはそれらの重畳した電流を流
し、燒結しようとする試料の電気抵抗を利用してジュー
ル熱により燒結する。ここで、成形外枠が1つの通電経
路となるように成形型を設計し、かつ、その成形外枠の
肉厚を加圧軸方向に変化させると、その厚み変化に対応
してそこでの発熱量を制御でき、試料部分の加圧軸方向
に凹凸を含む温度勾配をつけることができることがわか
った。成形外枠を他より薄くした部分では電気抵抗が高
くなり、一定電流のもとでの発熱量は多く高温となる。
一方、厚くした部分では逆に抵抗が低く、発熱は少なく
低温域を形成する。
上下パンチを用い、まず、成形外枠に下パンチをセット
した状態で燒結しようとする粉末を充填した後、上パン
チを押し込み、加圧する。この状態で上下パンチを通じ
て直流または交流、あるいはそれらの重畳した電流を流
し、燒結しようとする試料の電気抵抗を利用してジュー
ル熱により燒結する。ここで、成形外枠が1つの通電経
路となるように成形型を設計し、かつ、その成形外枠の
肉厚を加圧軸方向に変化させると、その厚み変化に対応
してそこでの発熱量を制御でき、試料部分の加圧軸方向
に凹凸を含む温度勾配をつけることができることがわか
った。成形外枠を他より薄くした部分では電気抵抗が高
くなり、一定電流のもとでの発熱量は多く高温となる。
一方、厚くした部分では逆に抵抗が低く、発熱は少なく
低温域を形成する。
【0012】この方法により、燒結に高温を要する材料
側ではその周囲の成形外枠の肉厚を他より薄くすること
によって温度を高くでき、同時にもう一方の材料側では
必要以上の温度上昇を押さえることができる。また、さ
らに、大きな温度傾斜が必要な場合には、片側に大きな
熱容量をもつ治具を入れ、ヒートシンクとして利用する
方法や、昇温速度を速くできる場合には、温度が平衡に
達する前の過渡的な温度分布を利用する方法を合わせて
用いることができる。ここでの成形外枠の肉厚変化の程
度は、成形外枠には低圧ながら圧力容器としての役割が
あり、その強度的に許容される範囲であることが必要で
ある。
側ではその周囲の成形外枠の肉厚を他より薄くすること
によって温度を高くでき、同時にもう一方の材料側では
必要以上の温度上昇を押さえることができる。また、さ
らに、大きな温度傾斜が必要な場合には、片側に大きな
熱容量をもつ治具を入れ、ヒートシンクとして利用する
方法や、昇温速度を速くできる場合には、温度が平衡に
達する前の過渡的な温度分布を利用する方法を合わせて
用いることができる。ここでの成形外枠の肉厚変化の程
度は、成形外枠には低圧ながら圧力容器としての役割が
あり、その強度的に許容される範囲であることが必要で
ある。
【0013】
【作用】効果と共に説明する。
【0014】
【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図
1は、結合相量の少ない耐摩耗層1aと結合相量の多い
溶接可能層1bを直接燒結接合して構成された超硬合金
系耐摩耗材1の断面図である。また、図2,図3は、両
層の間にそれらの中間的結合相量を持つ中間層1cを入
れ、燒結接合して構成された超硬合金系耐摩耗材1の断
面図である。ここでの中間層1cは単に両者の接合を助
けるだけでなく、燒結後の収縮による残留応力の発生を
緩和する役割をもつものであり、この中間層中の結合相
量は耐摩耗層1aから溶接可能層1bへ溶接可能層の結
合相量を上限として連続またはステップ状に増加させ
る。直接接合によるか中間層を入れた接合にするかは、
耐摩耗層1aと溶接可能層1bを構成する超硬合金中の
結合相の量及びそれらの量の差により、また、その使用
方法により適宜選択する。一応の目安としては、両層の
結合相の差が、15%未満の組合わせに対して図1の直
接燒結結合を採用することができる。また、中間層の厚
みとステップの数は両層を構成する超硬合金中の結合相
の量、つまり両者の熱膨張率の差および使用環境により
適宜決定する。さらに、ここでの耐摩耗層と溶接可能層
中の結合相の種類は、必ずしも同じである必要はなく目
的に応じて異なる結合相を選択できる。
1は、結合相量の少ない耐摩耗層1aと結合相量の多い
溶接可能層1bを直接燒結接合して構成された超硬合金
系耐摩耗材1の断面図である。また、図2,図3は、両
層の間にそれらの中間的結合相量を持つ中間層1cを入
れ、燒結接合して構成された超硬合金系耐摩耗材1の断
面図である。ここでの中間層1cは単に両者の接合を助
けるだけでなく、燒結後の収縮による残留応力の発生を
緩和する役割をもつものであり、この中間層中の結合相
量は耐摩耗層1aから溶接可能層1bへ溶接可能層の結
合相量を上限として連続またはステップ状に増加させ
る。直接接合によるか中間層を入れた接合にするかは、
耐摩耗層1aと溶接可能層1bを構成する超硬合金中の
結合相の量及びそれらの量の差により、また、その使用
方法により適宜選択する。一応の目安としては、両層の
結合相の差が、15%未満の組合わせに対して図1の直
接燒結結合を採用することができる。また、中間層の厚
みとステップの数は両層を構成する超硬合金中の結合相
の量、つまり両者の熱膨張率の差および使用環境により
適宜決定する。さらに、ここでの耐摩耗層と溶接可能層
中の結合相の種類は、必ずしも同じである必要はなく目
的に応じて異なる結合相を選択できる。
【0015】耐摩耗層を構成する超硬合金中の金属系結
合相の量は、その耐摩耗性及び耐食性を考慮するとでき
るだけ少ない方が望ましいが、実用上ある程度の衝撃強
度を合わせもつ必要があり、試験結果、その量は2重量
%以上、10重量%以下必要であった。好ましくは、3
重量%以上、8重量%以下であった。2重量%以下で
は、それ自体の燒結も困難になると同時に、燒結接合す
る溶接可能層との熱膨張差が大きくなりすぎる結果、耐
摩耗層側に割れが発生することがあり好ましくない。超
硬合金をステンレス鋼や鋼材への高い接合強度で溶接す
るためには、結合相を少なくとも15重量%必要であっ
た。この溶接可能超硬合金は、機械本体への溶接性を確
保する目的のほか、同時に燒結された耐摩耗層の機械的
補強の役割をも果たしている。
合相の量は、その耐摩耗性及び耐食性を考慮するとでき
るだけ少ない方が望ましいが、実用上ある程度の衝撃強
度を合わせもつ必要があり、試験結果、その量は2重量
%以上、10重量%以下必要であった。好ましくは、3
重量%以上、8重量%以下であった。2重量%以下で
は、それ自体の燒結も困難になると同時に、燒結接合す
る溶接可能層との熱膨張差が大きくなりすぎる結果、耐
摩耗層側に割れが発生することがあり好ましくない。超
硬合金をステンレス鋼や鋼材への高い接合強度で溶接す
るためには、結合相を少なくとも15重量%必要であっ
た。この溶接可能超硬合金は、機械本体への溶接性を確
保する目的のほか、同時に燒結された耐摩耗層の機械的
補強の役割をも果たしている。
【0016】耐摩耗層中の結合相量は、その優れた耐摩
耗性と耐食性を発揮するため必要最小限に押さえられて
いる。その結果、その強度面、特に靭性が犠牲になって
おり、一体に燒結されている溶接可能な靭性の高い超硬
合金部分がそれを補い、耐摩耗材としての全体の信頼性
を高めることに寄与している。この役割を果たすことの
できる溶接可能層を構成する超硬合金部分の結合相量
は、多くても40重量%、好ましくは30重量%であっ
た。40重量%以上では超硬合金の性質より、結合相金
属の性質に近づき、変形が大きくなり補強的役割を果た
せなくなり好ましくない。
耗性と耐食性を発揮するため必要最小限に押さえられて
いる。その結果、その強度面、特に靭性が犠牲になって
おり、一体に燒結されている溶接可能な靭性の高い超硬
合金部分がそれを補い、耐摩耗材としての全体の信頼性
を高めることに寄与している。この役割を果たすことの
できる溶接可能層を構成する超硬合金部分の結合相量
は、多くても40重量%、好ましくは30重量%であっ
た。40重量%以上では超硬合金の性質より、結合相金
属の性質に近づき、変形が大きくなり補強的役割を果た
せなくなり好ましくない。
【0017】図5は、本発明の1実施例を説明するため
の通電燒結法の概略を示したものである。耐摩耗層1a
と溶接可能層1bの間に中間層1cをもつ耐摩耗材1を
製造するための燒結試料構成を示し、結合相量の多い、
従って、燒結に高温を要しない溶接可能層原料粉末1b
1が下パンチ4の上に充填され、その上に中間層原料粉
末1c10、さらに耐摩耗層原料粉末1a1が積層され
ている。成形外枠2はそれら各層の必要燒結温度と燒結
前の各層の厚みに応じて加圧軸方向の肉厚が調整されて
おり、本実施例では、溶接可能層原料粉末1b1の燒結
に関与する肉厚の厚い部分と耐摩耗層原料粉末1a1の
燒結に関与する肉厚の薄い部分を、中間層原料粉末1c
10の入っている部分で連続して肉厚を増加させて繋い
だ断面形状の例となっている。
の通電燒結法の概略を示したものである。耐摩耗層1a
と溶接可能層1bの間に中間層1cをもつ耐摩耗材1を
製造するための燒結試料構成を示し、結合相量の多い、
従って、燒結に高温を要しない溶接可能層原料粉末1b
1が下パンチ4の上に充填され、その上に中間層原料粉
末1c10、さらに耐摩耗層原料粉末1a1が積層され
ている。成形外枠2はそれら各層の必要燒結温度と燒結
前の各層の厚みに応じて加圧軸方向の肉厚が調整されて
おり、本実施例では、溶接可能層原料粉末1b1の燒結
に関与する肉厚の厚い部分と耐摩耗層原料粉末1a1の
燒結に関与する肉厚の薄い部分を、中間層原料粉末1c
10の入っている部分で連続して肉厚を増加させて繋い
だ断面形状の例となっている。
【0018】燒結工程では、まず、上記のように肉厚加
工された成形外枠2を下パンチより大きな断面積をもつ
治具5の上に置き、下パンチを入れ、下パンチ下面と成
形外枠端面が治具5上で同一平面となるようにセットす
る。次に、その上に溶接可能層原料粉末1b1、中間層
原料粉末1c10、耐摩耗層原料粉末1a1の順に積層
充填する。これに上パンチを入れ軽く押した後、通電燒
結機へセットする。まず、所定圧力まで加圧した後、上
電極6と下電極7を介して電源8により通電を開始し、
加熱燒結する。成形外枠2と下パンチ4の面を治具5の
上面に合わせて接するように配置することにより、大き
い熱容量を持つ治具5側への熱伝導が促進され、成形外
枠2の肉厚を大きくした部分での温度上昇を押さえる効
果があり、肉厚を薄くした高温発生部分との一層大きな
温度傾斜を形成することができる。必要な温度傾斜の大
きさにあわせて治具5の大きさを調節する。治具5の材
質は黒鉛が実用的である。
工された成形外枠2を下パンチより大きな断面積をもつ
治具5の上に置き、下パンチを入れ、下パンチ下面と成
形外枠端面が治具5上で同一平面となるようにセットす
る。次に、その上に溶接可能層原料粉末1b1、中間層
原料粉末1c10、耐摩耗層原料粉末1a1の順に積層
充填する。これに上パンチを入れ軽く押した後、通電燒
結機へセットする。まず、所定圧力まで加圧した後、上
電極6と下電極7を介して電源8により通電を開始し、
加熱燒結する。成形外枠2と下パンチ4の面を治具5の
上面に合わせて接するように配置することにより、大き
い熱容量を持つ治具5側への熱伝導が促進され、成形外
枠2の肉厚を大きくした部分での温度上昇を押さえる効
果があり、肉厚を薄くした高温発生部分との一層大きな
温度傾斜を形成することができる。必要な温度傾斜の大
きさにあわせて治具5の大きさを調節する。治具5の材
質は黒鉛が実用的である。
【0019】また、成形外枠2の形状は本発明の重要な
構成要素であるが、その材質は耐熱性があり導電性材料
であれば特に制約はないが、実用的には黒鉛が適する。
上下パンチについても同様である。図7〜9は、本発明
の耐摩耗材の製造方法に利用できる成形外枠2の縦断面
形状を示したものである。図10〜13までは、本発明
に係わる製造方法に利用できる成形外枠2と耐摩耗材原
料粉末11の横断面形状の例を示したもので、要求され
る超硬合金系耐摩耗材の最終形状に応じて適宜選択す
る。
構成要素であるが、その材質は耐熱性があり導電性材料
であれば特に制約はないが、実用的には黒鉛が適する。
上下パンチについても同様である。図7〜9は、本発明
の耐摩耗材の製造方法に利用できる成形外枠2の縦断面
形状を示したものである。図10〜13までは、本発明
に係わる製造方法に利用できる成形外枠2と耐摩耗材原
料粉末11の横断面形状の例を示したもので、要求され
る超硬合金系耐摩耗材の最終形状に応じて適宜選択す
る。
【0020】図7は、成形外枠2の肉厚がステップで変
化する場合であり、比較的急激な温度傾斜を必要とする
耐摩耗層1aと溶接可能層1bを直接接合する場合に利
用する。一方、図8,9は、成形外枠2の肉厚が連続し
て変化する場合の例であり、比較的穏やかな温度勾配を
利用したい場合に用い、具体的には耐摩耗材の厚みが大
きく、また中間層厚みも大きくとれる場合に利用する。
本発明に係わる耐摩耗材の製造方法においては、成形外
枠2と上下パンチとの嵌合う具合は、通電中の目的とし
た温度傾斜を実現する上で特に重要であり、成形外枠と
上下パンチとのクリアランスは、それら両者の間に特に
導電性物質を満たさない場合、2/100mm以下、好
ましくは1/100mm以下であった。
化する場合であり、比較的急激な温度傾斜を必要とする
耐摩耗層1aと溶接可能層1bを直接接合する場合に利
用する。一方、図8,9は、成形外枠2の肉厚が連続し
て変化する場合の例であり、比較的穏やかな温度勾配を
利用したい場合に用い、具体的には耐摩耗材の厚みが大
きく、また中間層厚みも大きくとれる場合に利用する。
本発明に係わる耐摩耗材の製造方法においては、成形外
枠2と上下パンチとの嵌合う具合は、通電中の目的とし
た温度傾斜を実現する上で特に重要であり、成形外枠と
上下パンチとのクリアランスは、それら両者の間に特に
導電性物質を満たさない場合、2/100mm以下、好
ましくは1/100mm以下であった。
【0021】(実施例1)図4を参照して、平均粒径
1.5μmの炭化タングステン(以下、WCと略す)粉
末に、平均粒径1μmのニッケル(以下、Niと略す)
粉末とコバルト(以下、Coと略す)粉末をそれぞれ2
重量%加え、調整した粉末を耐摩耗層用原料粉末とし
て、また、平均粒径15μmのWC粉末にNi粉末1
7.5重量%を加え、調整した粉末を溶接可能層用の原
料粉末として用いた。通電燒結用の成形外枠には、図7
に示す断面形状を持ち、A−A断面が図10となる高さ
45mm、中孔径40mmの黒鉛製型を用いた。この成
形外枠の肉厚は、一端から25mmまでを肉厚6.5m
m、他端から20mmを肉厚17.5mmとした。ま
た、温度測定用孔はこの成形外枠の薄肉側を上として、
上から20mmの耐摩耗層相当位置と下から15mmの
溶接可能層相当位置に成形外枠外周からそれぞれ深さ
2.5mm、16mmの径3mmのきり孔を開けた。下
パンチは径40mm、高さ10mmを、上パンチは径4
0mm、高さ30mmを、また、治具5として径75m
m、高さ40mmの黒鉛製ブロックを用いた。
1.5μmの炭化タングステン(以下、WCと略す)粉
末に、平均粒径1μmのニッケル(以下、Niと略す)
粉末とコバルト(以下、Coと略す)粉末をそれぞれ2
重量%加え、調整した粉末を耐摩耗層用原料粉末とし
て、また、平均粒径15μmのWC粉末にNi粉末1
7.5重量%を加え、調整した粉末を溶接可能層用の原
料粉末として用いた。通電燒結用の成形外枠には、図7
に示す断面形状を持ち、A−A断面が図10となる高さ
45mm、中孔径40mmの黒鉛製型を用いた。この成
形外枠の肉厚は、一端から25mmまでを肉厚6.5m
m、他端から20mmを肉厚17.5mmとした。ま
た、温度測定用孔はこの成形外枠の薄肉側を上として、
上から20mmの耐摩耗層相当位置と下から15mmの
溶接可能層相当位置に成形外枠外周からそれぞれ深さ
2.5mm、16mmの径3mmのきり孔を開けた。下
パンチは径40mm、高さ10mmを、上パンチは径4
0mm、高さ30mmを、また、治具5として径75m
m、高さ40mmの黒鉛製ブロックを用いた。
【0022】ここでの上下パンチと成形外枠内径とのク
リアランスは1/100mm以下であった。これらの燒
結部品を用いて、まず、径75mmの黒鉛製ブロックの
上に、肉厚の薄い方を上にして成形外枠を黒鉛製ブロッ
クの外径と成形外枠の外径が同心円状になるように配置
し、その成形外枠に下パンチを押し込み、この下パンチ
の上に溶接可能層原料粉末1b1としてNi粉末17.
5%粉末を厚さ10mmとなるように充填し、その上に
耐摩耗層原料粉末1a1としてNi,Co各2%粉末を
厚さ10mmとなるように入れ、上パンチをセットして
100Kg/cm2 で加圧した。この燒結試料構成を通
電燒結機にセットし、圧力550Kg/cm2 まで加圧
し、通電を開始した。耐摩耗層相当位置での測定温度で
1260℃まで約5分で昇温し、その温度で2.5分保
持し、通電を停止し、冷却した。
リアランスは1/100mm以下であった。これらの燒
結部品を用いて、まず、径75mmの黒鉛製ブロックの
上に、肉厚の薄い方を上にして成形外枠を黒鉛製ブロッ
クの外径と成形外枠の外径が同心円状になるように配置
し、その成形外枠に下パンチを押し込み、この下パンチ
の上に溶接可能層原料粉末1b1としてNi粉末17.
5%粉末を厚さ10mmとなるように充填し、その上に
耐摩耗層原料粉末1a1としてNi,Co各2%粉末を
厚さ10mmとなるように入れ、上パンチをセットして
100Kg/cm2 で加圧した。この燒結試料構成を通
電燒結機にセットし、圧力550Kg/cm2 まで加圧
し、通電を開始した。耐摩耗層相当位置での測定温度で
1260℃まで約5分で昇温し、その温度で2.5分保
持し、通電を停止し、冷却した。
【0023】耐摩耗層相当位置で1260℃に達したと
きの、溶接可能層相当位置での温度は1050℃であ
り、2.5分保持後の温度は1075℃であった。冷却
後回収した燒結体の形状は径40mm、高さ約11.5
mmであった。この燒結体を加圧方向に平行な面で半分
に切断し、その片方の切断面を研磨し断面を観察した。
断面には割れや気孔はなく、両層の境界は鮮明であっ
た。燒結体の硬さは耐摩耗層で1570Kg/mm2 、
溶接可能層で1180Kg/mm2 であった。また、残
りの半分を用いて、Ni17.5%部分を径50mm、
厚み40mmのステンレス鋼に純ニッケル溶接棒を用い
てアーク溶接試験を試みたところ、超硬合金側へのダメ
ージもなく、充分高い強度で溶接が可能であり、実用的
な衝撃強度をもつものであった。さらに、このステンレ
ス鋼へ溶接した燒結体を用いて、その耐摩耗層の耐摩耗
性試験を実施した。試験は、研磨機上に#80炭化珪素
(SiC)研磨紙を張り付け、その上に水を掛けながら
研磨盤を約50rpmで回転させた状態で、研磨紙にC
o5%耐摩耗層を押しつけ、約5分後の重量減を測定し
た。この方法での重量減は約0.7mgとかなり小さ
く、良好な耐摩耗性を示した。
きの、溶接可能層相当位置での温度は1050℃であ
り、2.5分保持後の温度は1075℃であった。冷却
後回収した燒結体の形状は径40mm、高さ約11.5
mmであった。この燒結体を加圧方向に平行な面で半分
に切断し、その片方の切断面を研磨し断面を観察した。
断面には割れや気孔はなく、両層の境界は鮮明であっ
た。燒結体の硬さは耐摩耗層で1570Kg/mm2 、
溶接可能層で1180Kg/mm2 であった。また、残
りの半分を用いて、Ni17.5%部分を径50mm、
厚み40mmのステンレス鋼に純ニッケル溶接棒を用い
てアーク溶接試験を試みたところ、超硬合金側へのダメ
ージもなく、充分高い強度で溶接が可能であり、実用的
な衝撃強度をもつものであった。さらに、このステンレ
ス鋼へ溶接した燒結体を用いて、その耐摩耗層の耐摩耗
性試験を実施した。試験は、研磨機上に#80炭化珪素
(SiC)研磨紙を張り付け、その上に水を掛けながら
研磨盤を約50rpmで回転させた状態で、研磨紙にC
o5%耐摩耗層を押しつけ、約5分後の重量減を測定し
た。この方法での重量減は約0.7mgとかなり小さ
く、良好な耐摩耗性を示した。
【0024】(実施例2)図5を参照して、平均粒径1
0μmのWC粉末に、平均粒径1μmのCo粉末を重量
%で5%、10%、20%配合、湿式混合した粉末を本
実施例の原料粉末として用いた。通電燒結用の成形外枠
には、図8,10に示す断面形状のもので、同心円状と
なる高さ40mm、中孔径30mmの黒鉛製の型を用い
た。この成形外枠の肉厚は一端から15mmまでを肉厚
15mm、他端から20mmまでを7.5mmとし、そ
の間を肉厚15mmから7.5mmへ断面で直線的に連
続して減少させた。また、この成形外枠の薄肉側を上と
して、上から19mmの耐摩耗層相当位置と、下から1
4mmの溶接可能層相当位置に径3mmのきり孔を、成
形外枠外周から中孔側へそれぞれ深さ3.5mm、11
mmとなるように穿ち、燒結中の温度をこの2ケ所で放
射温度計を用いて測定した。下パンチ、上パンチはそれ
ぞれ10mm、30mmの黒鉛製とし、成形外枠とそれ
らパンチとのクリアランスは最大1/100mmであっ
た。
0μmのWC粉末に、平均粒径1μmのCo粉末を重量
%で5%、10%、20%配合、湿式混合した粉末を本
実施例の原料粉末として用いた。通電燒結用の成形外枠
には、図8,10に示す断面形状のもので、同心円状と
なる高さ40mm、中孔径30mmの黒鉛製の型を用い
た。この成形外枠の肉厚は一端から15mmまでを肉厚
15mm、他端から20mmまでを7.5mmとし、そ
の間を肉厚15mmから7.5mmへ断面で直線的に連
続して減少させた。また、この成形外枠の薄肉側を上と
して、上から19mmの耐摩耗層相当位置と、下から1
4mmの溶接可能層相当位置に径3mmのきり孔を、成
形外枠外周から中孔側へそれぞれ深さ3.5mm、11
mmとなるように穿ち、燒結中の温度をこの2ケ所で放
射温度計を用いて測定した。下パンチ、上パンチはそれ
ぞれ10mm、30mmの黒鉛製とし、成形外枠とそれ
らパンチとのクリアランスは最大1/100mmであっ
た。
【0025】また、図5のごとく治具5として、外径5
5mm、高さ50mmの黒鉛製ブロックを用いた。これ
らの燒結部品を用いて、まず、径55mmの黒鉛製ブロ
ック上に肉厚の薄い方を上にして成形外枠を黒鉛製ブロ
ック外径と成形外枠外径が同心円状になるように配置
し、その中に高さ10mmの下パンチを治具5の上面に
接するように挿入する。次に、この下パンチの上に順
次、溶接可能層原料粉末1b1としてCo20%粉末、
中間層原料粉末1c10としてCo10%粉末、耐摩耗
層原料粉末1a1としてCo5%粉末をそれぞれ厚さ5
mmとなるように圧力100Kg/cm2で加圧充填
し、上パンチをセットした。
5mm、高さ50mmの黒鉛製ブロックを用いた。これ
らの燒結部品を用いて、まず、径55mmの黒鉛製ブロ
ック上に肉厚の薄い方を上にして成形外枠を黒鉛製ブロ
ック外径と成形外枠外径が同心円状になるように配置
し、その中に高さ10mmの下パンチを治具5の上面に
接するように挿入する。次に、この下パンチの上に順
次、溶接可能層原料粉末1b1としてCo20%粉末、
中間層原料粉末1c10としてCo10%粉末、耐摩耗
層原料粉末1a1としてCo5%粉末をそれぞれ厚さ5
mmとなるように圧力100Kg/cm2で加圧充填
し、上パンチをセットした。
【0026】この燒結試料構成を通電燒結機にセット
し、圧力500Kg/cm2 で加圧し通電を開始した。
成形外枠の上から19mmの耐摩耗層相当位置での測定
温度で1250℃まで約4分で昇温し、その温度で2分
保持した後、通電を停止し、燒結を完了した。上記測定
温度が1250℃に達したときの下から14mmの溶接
可能相当位置での測定温度は1080℃であり、2分保
持は1100℃であった。冷却後取り出した燒結体は径
30mm、高さ約7.5mmであった。この燒結体を加
圧方向に平行な面で半分に切断し、その片方の切断面を
研磨した後、硬さ測定、組織観察を行った。
し、圧力500Kg/cm2 で加圧し通電を開始した。
成形外枠の上から19mmの耐摩耗層相当位置での測定
温度で1250℃まで約4分で昇温し、その温度で2分
保持した後、通電を停止し、燒結を完了した。上記測定
温度が1250℃に達したときの下から14mmの溶接
可能相当位置での測定温度は1080℃であり、2分保
持は1100℃であった。冷却後取り出した燒結体は径
30mm、高さ約7.5mmであった。この燒結体を加
圧方向に平行な面で半分に切断し、その片方の切断面を
研磨した後、硬さ測定、組織観察を行った。
【0027】燒結体断面には各層の光沢の差がはっきり
認められ、ステップ状の強固な接合ができていた。ま
た、断面には割れや気孔の発生といった欠陥はなく、強
固に一体燒結されていた。硬さはCo5%の耐摩耗層で
1640Kg/mm2 、中間層Co10%部分で137
0Kg/mm2 、溶接可能層Co20%部分で1040
Kg/mm2 であった。さらに、実施例1と同様の方法
と手順で、残りの半分を用いて、ステンレス鋼への溶接
試験を実施したところ、溶接は可能であり、この溶接サ
ンプルを用いて実施例1の方法と同様の方法で耐摩耗層
の耐摩耗試験を行った。その結果、重量減は0.8mg
とかなり小さく良好な耐摩耗性を示した。
認められ、ステップ状の強固な接合ができていた。ま
た、断面には割れや気孔の発生といった欠陥はなく、強
固に一体燒結されていた。硬さはCo5%の耐摩耗層で
1640Kg/mm2 、中間層Co10%部分で137
0Kg/mm2 、溶接可能層Co20%部分で1040
Kg/mm2 であった。さらに、実施例1と同様の方法
と手順で、残りの半分を用いて、ステンレス鋼への溶接
試験を実施したところ、溶接は可能であり、この溶接サ
ンプルを用いて実施例1の方法と同様の方法で耐摩耗層
の耐摩耗試験を行った。その結果、重量減は0.8mg
とかなり小さく良好な耐摩耗性を示した。
【0028】(比較例1)成形外枠として、実施例2に
用いたと同じ材質の黒鉛から作成した外径60mm、高
さ40mm、中孔径30mmの単純円筒を用いた。上下
パンチは径30mm、高さ20mmの同形状のものを用
い、また治具5は実施例2と同じ形状のものをそれぞれ
実施例2に使用したと同じ材質の黒鉛から作成した。こ
れらの燒結部品を用いて、実施例2と同様の3種の原料
粉末を用い、まず径55mm、高さ50mmの黒鉛製ブ
ロックの上に、上記成形外枠を、黒鉛製ブロックの外径
と成形外枠の外径が同心円状となるように配置し、これ
に下パンチをセットした。次に、この下パンチ上面から
順次、溶接可能層原料粉末1b1としてCo20%粉
末、中間層原料粉末1c10としてCo10%粉末、耐
摩耗層原料粉末1a1としてCo5%粉末をそれぞれ厚
み5mmとなるように100Kg/cm2 で加圧、充填
し上パンチをセットした。この状態で上下パンチの成形
外枠端面からの出具合を同じになるように調整した。
用いたと同じ材質の黒鉛から作成した外径60mm、高
さ40mm、中孔径30mmの単純円筒を用いた。上下
パンチは径30mm、高さ20mmの同形状のものを用
い、また治具5は実施例2と同じ形状のものをそれぞれ
実施例2に使用したと同じ材質の黒鉛から作成した。こ
れらの燒結部品を用いて、実施例2と同様の3種の原料
粉末を用い、まず径55mm、高さ50mmの黒鉛製ブ
ロックの上に、上記成形外枠を、黒鉛製ブロックの外径
と成形外枠の外径が同心円状となるように配置し、これ
に下パンチをセットした。次に、この下パンチ上面から
順次、溶接可能層原料粉末1b1としてCo20%粉
末、中間層原料粉末1c10としてCo10%粉末、耐
摩耗層原料粉末1a1としてCo5%粉末をそれぞれ厚
み5mmとなるように100Kg/cm2 で加圧、充填
し上パンチをセットした。この状態で上下パンチの成形
外枠端面からの出具合を同じになるように調整した。
【0029】測温用の孔は成形外枠の一端から15mm
の耐摩耗層相当位置と、他端から15mmの溶接可能層
相当位置の2カ所に成形外枠外周から深さ11mmの径
3mmのきり孔を加工した。この燒結試料構成を通電燒
結機にセツトし、実施例2と同様に500Kg/cm2
の圧力で加圧しながら通電を開始した。成形外枠の一端
から15mmの耐摩耗層相当位置での測温で1250℃
まで4分で昇温し、その温度で2分保持して通電を停止
し、燒結を終了した。1250℃燒結保持中のもう一方
の測温点での測定温度も1250℃であり、温度差は認
められなかった。冷却後、回収した成形外枠には上下パ
ンチとの間に数mmの球状の金属光沢の噴き出し物が見
られた。
の耐摩耗層相当位置と、他端から15mmの溶接可能層
相当位置の2カ所に成形外枠外周から深さ11mmの径
3mmのきり孔を加工した。この燒結試料構成を通電燒
結機にセツトし、実施例2と同様に500Kg/cm2
の圧力で加圧しながら通電を開始した。成形外枠の一端
から15mmの耐摩耗層相当位置での測温で1250℃
まで4分で昇温し、その温度で2分保持して通電を停止
し、燒結を終了した。1250℃燒結保持中のもう一方
の測温点での測定温度も1250℃であり、温度差は認
められなかった。冷却後、回収した成形外枠には上下パ
ンチとの間に数mmの球状の金属光沢の噴き出し物が見
られた。
【0030】また、燒結体は成形外枠、上下パンチと強
固に接合しており、成形型を破壊して燒結体を回収し
た。燒結体の厚みは約6.5mmであり、一塊で回収さ
れた。この燒結体を実施例1と同様の手順と方法で切
断、研磨し、硬さ、組織を観察した。断面外周に微細な
気孔が見られた他は割れの発生はなかった。また、断面
ではCo結合相の差による3層の光沢の差は認められ
ず、相互にCoの拡散が起きていた。硬さも、3層によ
る差は極めて少なく1100Kg/mm2 〜1180K
g/mm2 であった。さらに、実施例1と同様の方法と
手順で残り半分を用いてステンレス鋼への溶接試験を実
施したところ、溶接は可能であり、この溶接サンプルを
用いて、実施例1と同様の方法で耐摩耗層の耐摩耗試験
を行った。その結果、重量減は12mgとかなり大き
く、耐摩耗性は著しく損なわれていた。
固に接合しており、成形型を破壊して燒結体を回収し
た。燒結体の厚みは約6.5mmであり、一塊で回収さ
れた。この燒結体を実施例1と同様の手順と方法で切
断、研磨し、硬さ、組織を観察した。断面外周に微細な
気孔が見られた他は割れの発生はなかった。また、断面
ではCo結合相の差による3層の光沢の差は認められ
ず、相互にCoの拡散が起きていた。硬さも、3層によ
る差は極めて少なく1100Kg/mm2 〜1180K
g/mm2 であった。さらに、実施例1と同様の方法と
手順で残り半分を用いてステンレス鋼への溶接試験を実
施したところ、溶接は可能であり、この溶接サンプルを
用いて、実施例1と同様の方法で耐摩耗層の耐摩耗試験
を行った。その結果、重量減は12mgとかなり大き
く、耐摩耗性は著しく損なわれていた。
【0031】(実施例3)図6を参照して、平均粒径
0.8μmのWC粉末に、平均粒径1.5μmのNi粉
末を3重量%配合、調整した粉末を耐摩耗層用原料粉末
とし、また、平均粒径8μmのWC粉末に平均粒径1.
5μmmのNi粉末と平均粒径1μmのCo粉末をそれ
ぞれ3重量%、Co粉末のみを12.5重量%、Co粉
末のみを25重量%を加えた粉末を調整し、前2者を中
間層、他を溶接可能層用の原料粉末とした。通電燒結用
の成形外枠には、図9,10に示す断面形状のもので、
同心円状となる高さ45mm、中孔径30mmの黒鉛製
型を用い、この成形外枠の肉厚は、一端から20mmま
でを肉厚8.0mm、他端から15mmを肉厚20mm
とし、その間を肉厚8.0mmから20mmまでを、断
面でみて曲率約15mmの曲線で連続して繋いだ。
0.8μmのWC粉末に、平均粒径1.5μmのNi粉
末を3重量%配合、調整した粉末を耐摩耗層用原料粉末
とし、また、平均粒径8μmのWC粉末に平均粒径1.
5μmmのNi粉末と平均粒径1μmのCo粉末をそれ
ぞれ3重量%、Co粉末のみを12.5重量%、Co粉
末のみを25重量%を加えた粉末を調整し、前2者を中
間層、他を溶接可能層用の原料粉末とした。通電燒結用
の成形外枠には、図9,10に示す断面形状のもので、
同心円状となる高さ45mm、中孔径30mmの黒鉛製
型を用い、この成形外枠の肉厚は、一端から20mmま
でを肉厚8.0mm、他端から15mmを肉厚20mm
とし、その間を肉厚8.0mmから20mmまでを、断
面でみて曲率約15mmの曲線で連続して繋いだ。
【0032】また、温度測定用孔は成形外枠の薄肉側を
上として、上から17.5mmの耐摩耗層相当位置と、
他端から12.5mmの溶接可能層相当位置に径3mm
のきり孔を成形外枠外周からそれぞれ深さ4.0mm、
16mmあけた。下パンチとして、径30mm、高さ1
0mmを、上パンチとして径30mm、高さ30mm
を、また、治具5として径80mm、高さ40mmの黒
鉛製ブロックを用いた。ここでの上下パンチと成形外枠
内径とのクリアランスは1/100mm以下であった。
これらの燒結部品を用いて、まず、径80mmの黒鉛製
ブロック上に、肉厚の薄い方を上にして成形外枠を黒鉛
製ブロックの外径と成形外枠の外径が同心円状になるよ
うに配置し、成形外枠に下パンチを黒鉛製ブロック上面
に接するように押し込んだ。次に、この下パンチの上に
溶接可能層原料粉末1b1としてCo25%粉末50g
を入れ、平坦化した後その上に中間層原料粉末1c10
を構成する下部中間層原料粉末1c11としてCo1
2.5%粉末51.5gを入れ、軽く振動させながらそ
の上面を平坦化した。
上として、上から17.5mmの耐摩耗層相当位置と、
他端から12.5mmの溶接可能層相当位置に径3mm
のきり孔を成形外枠外周からそれぞれ深さ4.0mm、
16mmあけた。下パンチとして、径30mm、高さ1
0mmを、上パンチとして径30mm、高さ30mm
を、また、治具5として径80mm、高さ40mmの黒
鉛製ブロックを用いた。ここでの上下パンチと成形外枠
内径とのクリアランスは1/100mm以下であった。
これらの燒結部品を用いて、まず、径80mmの黒鉛製
ブロック上に、肉厚の薄い方を上にして成形外枠を黒鉛
製ブロックの外径と成形外枠の外径が同心円状になるよ
うに配置し、成形外枠に下パンチを黒鉛製ブロック上面
に接するように押し込んだ。次に、この下パンチの上に
溶接可能層原料粉末1b1としてCo25%粉末50g
を入れ、平坦化した後その上に中間層原料粉末1c10
を構成する下部中間層原料粉末1c11としてCo1
2.5%粉末51.5gを入れ、軽く振動させながらそ
の上面を平坦化した。
【0033】さらに、この上に中間層原料粉末1c10
を構成するもう1つの上部中間層原料粉末1c21とし
てNi、Co各3%粉末52gを入れ、再び軽く振動さ
せてその上面を平坦にした後、その上に耐摩耗層原料粉
末1a1としてNi3%粉末53gを入れ、振動、平坦
化し、この状態で約100Kg/cm2 で加圧して上パ
ンチをセットした。この燒結試料構成を通電燒結機にセ
ットし、圧力400Kg/cm2 まで加圧し、通電を開
始した。耐摩耗層相当位置での測定温度で1270℃ま
で約4.5分で昇温し、その温度で1.5分保持し、通
電を停止し、冷却した。耐摩耗層相当位置での測温が1
270℃に達したときの、もう一方の測温点である溶接
可能層相当位置の温度は1060℃であり、1.5分保
持後の温度は1090℃であった。
を構成するもう1つの上部中間層原料粉末1c21とし
てNi、Co各3%粉末52gを入れ、再び軽く振動さ
せてその上面を平坦にした後、その上に耐摩耗層原料粉
末1a1としてNi3%粉末53gを入れ、振動、平坦
化し、この状態で約100Kg/cm2 で加圧して上パ
ンチをセットした。この燒結試料構成を通電燒結機にセ
ットし、圧力400Kg/cm2 まで加圧し、通電を開
始した。耐摩耗層相当位置での測定温度で1270℃ま
で約4.5分で昇温し、その温度で1.5分保持し、通
電を停止し、冷却した。耐摩耗層相当位置での測温が1
270℃に達したときの、もう一方の測温点である溶接
可能層相当位置の温度は1060℃であり、1.5分保
持後の温度は1090℃であった。
【0034】冷却後回収した燒結体の形状は、径30m
m、高さ約11mmであった。この燒結体を実施例1と
同様の方法で評価したところ、断面には割れや気孔はな
く、各層の境界は鮮明でなく、ほぼ連続した積層体にな
っていた。この燒結体の硬さは、図3を参照して、耐摩
耗層1aで約1550Kg/mm2 、中間層1cを構成
する上部中間層1c2のNi,Co各3%層で1420
Kg/mm2 、下部中間層1c1のCo12.5%層で
1360Kg/mm2 、溶接可能層1bでは980Kg
/mm2 であった。また、実施例1と同様の手段と方法
により、ステンレス鋼への溶接可能層の溶接試験を試み
たところ、実用的強度の溶接が可能であった。さらに、
この溶接サンプルを用いて、実施例1と同様の手段と方
法により、耐摩耗層の耐摩耗試験を実施したところ、重
量減は1.2mgであり、良好な耐摩耗性を示した。
m、高さ約11mmであった。この燒結体を実施例1と
同様の方法で評価したところ、断面には割れや気孔はな
く、各層の境界は鮮明でなく、ほぼ連続した積層体にな
っていた。この燒結体の硬さは、図3を参照して、耐摩
耗層1aで約1550Kg/mm2 、中間層1cを構成
する上部中間層1c2のNi,Co各3%層で1420
Kg/mm2 、下部中間層1c1のCo12.5%層で
1360Kg/mm2 、溶接可能層1bでは980Kg
/mm2 であった。また、実施例1と同様の手段と方法
により、ステンレス鋼への溶接可能層の溶接試験を試み
たところ、実用的強度の溶接が可能であった。さらに、
この溶接サンプルを用いて、実施例1と同様の手段と方
法により、耐摩耗層の耐摩耗試験を実施したところ、重
量減は1.2mgであり、良好な耐摩耗性を示した。
【0035】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば金属系
結合相量の異なる、従って、燒結温度の異なる2種類以
上の超硬合金よりなる耐摩耗材の通電燒結法による製造
において、その成形外枠の加圧軸方向の肉厚を、燒結し
ようとする耐摩耗材原料粉末の各構成材料の燒結温度に
応じて適切に調整することにより、耐摩耗材原料粉末を
その構成材料に合わせた温度傾斜のもとで過不足なく燒
結できる。この方法により、優れた耐摩耗性と、ステン
レス鋼や鋼に直接溶接できる性質を兼ね備えた高機能の
超硬合金系耐摩耗材を短時間に、安定して製造すること
ができる。
結合相量の異なる、従って、燒結温度の異なる2種類以
上の超硬合金よりなる耐摩耗材の通電燒結法による製造
において、その成形外枠の加圧軸方向の肉厚を、燒結し
ようとする耐摩耗材原料粉末の各構成材料の燒結温度に
応じて適切に調整することにより、耐摩耗材原料粉末を
その構成材料に合わせた温度傾斜のもとで過不足なく燒
結できる。この方法により、優れた耐摩耗性と、ステン
レス鋼や鋼に直接溶接できる性質を兼ね備えた高機能の
超硬合金系耐摩耗材を短時間に、安定して製造すること
ができる。
【図1】実施例1での超硬合金系耐摩耗材の縦断面図で
ある。
ある。
【図2】実施例2での超硬合金系耐摩耗材の縦断面図で
ある。
ある。
【図3】実施例3での超硬合金系耐摩耗材の縦断面図で
ある。
ある。
【図4】実施例1での超硬合金系耐摩耗材の製造方法を
説明する縦断面図である。
説明する縦断面図である。
【図5】実施例2での超硬合金系耐摩耗材の製造方法を
説明する縦断面図である。
説明する縦断面図である。
【図6】実施例3での超硬合金系耐摩耗材の製造方法を
説明する縦断面図である。
説明する縦断面図である。
【図7】成形外枠の肉厚がステップで変化している状態
を示す縦断面図である。
を示す縦断面図である。
【図8】成形外枠の肉厚が連続して変化している状態を
示す縦断面図である。
示す縦断面図である。
【図9】成形外枠の肉厚が連続して変化している状態を
示す縦断面図である。
示す縦断面図である。
【図10】A−A線拡大端面図である。
【図11】A−A線拡大端面図である。
【図12】A−A線拡大端面図である。
【図13】A−A線拡大端面図である。
1 耐摩耗材 1a 耐摩耗層 1b 溶接可能層 1c 中間層 2 成形外枠 3 上パンチ 4 下パンチ 5 治具 6 上電極 7 下電極 8 電源 11 耐摩耗材原料粉末 1a1 耐摩耗層原料粉末 1b1 溶接可能層原料粉末 1c1 下部中間層 1c2 上部中間層 1c10 中間層原料粉末 1c11 下部中間層原料粉末 1c21 上部中間層原料粉末
Claims (2)
- 【請求項1】 金属系結合相15重量%以上、40重量
%未満を含有する炭化タングステン基超硬合金よりなる
溶接可能層(1b)を基材として持ち、金属系結合相2
重量%以上、10重量%以下含有する炭化タングステン
基超硬合金よりなる耐摩耗層(1a)よりなる耐摩耗材
であって、それら2種の超硬合金が直接燒結接合、また
は、それら2層の間に、耐摩耗層(1a)から溶接可能
層(1b)方向へ連続またはステップ状に金属系結合相
量が増加する中間層(1c)をもって耐摩耗層(1a)
と溶接可能層(1b)が一体に燒結接合されていること
を特徴とする超硬合金系耐摩耗材。 - 【請求項2】 直接または中間層(1c)を介して燒結
接合された金属系結合相15重量%以上、40重量%未
満を含有する炭化タングステン基超硬合金よりなる溶接
可能層(1b)と金属系結合相2重量%以上、10重量
%以下含有する炭化タングステン基超硬合金よりなる耐
摩耗層(1a)よりなる耐摩耗材を成形外枠(2)と上
下パンチ(3,4)を用いた通電燒結法により製造する
方法において、成形外枠(2)の肉厚が耐摩耗層原料粉
末(1a1)側から溶接可能層原料粉末(1b1)側へ
連続及び/またはステップ状に増加するように構成し、
溶接可能層原料粉末(1b1)側の下パンチ(4)の端
面を成形外枠(2)の端面と一致するように治具(5)
上に配置し、成形外枠(2)を少なくとも1つの通電経
路とすることにより、通電中に耐摩耗材原料粉末(1
1)の加圧軸方向に温度傾斜を形成しながら耐摩耗材原
料粉末(11)を燒結することを特徴とする超硬合金系
耐摩耗材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6113696A JP2611934B2 (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | 超硬合金系耐摩耗材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6113696A JP2611934B2 (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | 超硬合金系耐摩耗材及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07300375A JPH07300375A (ja) | 1995-11-14 |
JP2611934B2 true JP2611934B2 (ja) | 1997-05-21 |
Family
ID=14618867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6113696A Expired - Lifetime JP2611934B2 (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | 超硬合金系耐摩耗材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2611934B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09150932A (ja) * | 1995-11-30 | 1997-06-10 | Sumitomo Coal Mining Co Ltd | スクリューコンベア羽根 |
JPH09150933A (ja) * | 1995-11-30 | 1997-06-10 | Sumitomo Coal Mining Co Ltd | 移送スクリュー羽根 |
JP2835709B2 (ja) * | 1996-05-10 | 1998-12-14 | 住友石炭鉱業株式会社 | 鋼と超硬合金の接合した複合工具材の製造方法 |
JP4251798B2 (ja) * | 2001-09-11 | 2009-04-08 | 住友電工ハードメタル株式会社 | 刃先交換型切削チップおよびその製造方法 |
JP5256384B2 (ja) * | 2006-11-20 | 2013-08-07 | 株式会社スターロイ | 積層超硬チップ及びその製造方法 |
JP2013170090A (ja) * | 2012-02-20 | 2013-09-02 | Denso Corp | セラミックスと金属の接合方法及びセラミックスと金属の接合構造 |
JP5772861B2 (ja) | 2013-04-01 | 2015-09-02 | 株式会社デンソー | 接合体の製造方法 |
KR101996367B1 (ko) * | 2017-10-23 | 2019-07-03 | 주식회사 동남케이티씨 | 텅스텐 코발트 소결제품 접합용 지지장치 |
KR102041296B1 (ko) * | 2018-07-17 | 2019-11-06 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 나트륨 메탈 할라이드 전지의 양극 제조용 지그 |
CN113492255A (zh) * | 2020-04-08 | 2021-10-12 | 昆山微电子技术研究院 | 一种样品焊接方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5643835A (en) * | 1979-09-17 | 1981-04-22 | Mitsubishi Electric Corp | Radio communication unit |
JPS6213280A (ja) * | 1985-07-10 | 1987-01-22 | San Alloy Kogyo Kk | 高硬度材料接合型工具 |
-
1994
- 1994-04-28 JP JP6113696A patent/JP2611934B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07300375A (ja) | 1995-11-14 |
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Date | Code | Title | Description |
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