JP2609114B2 - 接触ソケット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は電気接触ピンを受入れる型の接触ソケット
に係り、特に比較的低い挿入力を維持しながら接触ピン
に加わるソケットの接触力を増加する接触ソケットに関
する。

従来の技術 通常の接触端子は型打成形された電導金属の箱状ソケ
ットから成る。この型の接触端子は、一つまたは二つの
端子を含んでいるだけのコネクタにはもちろん、しばし
ば多接触子電気コネクタにも広く用いられる。

この型の接触ソケットは、これにピンが挿入されると
きソケットによりピンに接触力が加わってソケットとピ
ンの間に安定した電気接続が得られるような寸法にしな
ければならない。後ずけの接触ばねがソケットに接着さ
れて、ピンがソケットに挿入されるときそのばねが撓ん
でピンの面を接触子の面に押付ける場合が多い。この場
合、挿入ピンとソケットの間に安定した電気接続を得る
ためには、接触ばねがピンに比較的強い力を及ぼすこと
が望ましい。従って、ソケットにピンを挿入するに要す
る力も比較的大きくなる。言いかえると、ばね力が大き
くなるほど、ピンをソケットと接合させるに要する挿入
力が大きくなる。

発明が解決しようとする問題点 前述のような高い挿入力は多数のピンを有する型のピ
ン−ソケット型コネクタには望ましくない。そのため
に、この種の接触端子はよく採用可能な所要挿入力を採
用可能な接触力と組合せて設計される。このように採用
可能な接触力及び挿入力を得る一方法が米国特許第4,55
0,972号に記載されている。対応する各一対のビームの
頂点は、ピンがソケット進入時に順次に当接するように
間隔配置される。この型の設計は採用可能な接触力及び
挿入力を考慮しているが、いくつかの問題が生じる。ピ
ンがソケットに挿入される際、ピンの軸線がソケットの
軸線と完全に整合するのを期待することは非現実的であ
って、ピンはソケットに対して何らかの相対関係で挿入
されることになりやすい。そのために、ビームは同時に
接触されたり同じ大きさの力で接触されたりすることに
ならず、比較的弱く撓みやすい一部のビームが大きく変
形して接触子材料の弾性限界を超え永久的な変形と接触
力の喪失を招く。

問題点を解決するための手段 本発明は、挿入されたピンに比較的高い接触力を及ぼ
すことができて接触ピンとの接合時に不当に高い挿入力
を必要としない改良接触ソケットの提供を目的としてい
る。これに加えて、ソケットのビームはピンの横変位を
補償すると共にピンがソケットに対してある角度で挿入
されてもビームが損傷を受けないように、即ち永久歪み
が起らずばね特性が保持されるように設計される。

本発明は接触ピンを受入れるための接触ソケットに関
し、これは両端部分とレセプタクル部、すなわち中間部
分があり、中間部分は少なくとも二つの複数のビームを
有し、これが両端部分に一体に連結されソケットの軸線
の周りに等間隔に配置されて少なくとも一対の対向する
ビームになっている。各ビームはソケットへのピンの不
適性挿入がばね性のビームの損傷を来たさずに許される
ように設計される。

本発明の目的は、接触ピンが不適正な角度で挿入され
てもソケットから側方に変位されても永久歪みを起さな
い、可撓性のばね性ビームをもつ接触ソケットを供する
にある。

本発明はもう一つの目的は、所要挿入力を維持しなが
ら或いは格別増加させずに、接触力の増加を可能にする
ことである。

本発明のもう一つの目的は、端子とピンの間の接触点
がピンノの一隅でなくピンの中央に発生しうる接触面を
供するにある。ピンのバリや割れ縁はめっきのときの普
通のピンホール発生位置であり、腐蝕源となって電気接
続を信頼できないものにする。

本発明によれば、接触ピンの寸法より大きな内側寸法
の開口を有するピン受入れ端と、固定端と、前記ピン受
入れ端と前記固定端とを連結するリセプタクル部とから
成る接触ソケットにして、前記リセプタクル部は少なく
とも２対のビームから成り、該各対のビームな内方に向
かう押出ボスを有する前記接触ソケットにおいて、前記
各ビームの前記ピン受入れ端近傍に切欠を形成するとと
もに、前記各ビームの幅を前記押出ボス近傍から前記固
定端に至るまで漸次狭くしたことを特徴とする接触ソケ
ットが提供される。

実 施 例 以下、図面について本発明の実施例を説明する。

本発明による箱状の接触ソケット（２）は、これに接
触ピン（４）を受入れて、ピンとソケットにそれぞれ取
付けられた導体（図示せず）の間に分離可能の電気接続
を構成するものである。

ソケット（２）は正方形のピン受入れ端（８）、正方
形の固定端（10）、及び二対の対向するビーム（16），
（18）から成る、導電性材料でつくられたレセプタクル
部から成る。ピン受入れ端（８）には第１図に示すよう
にフレア突起（６）を設けてピン（４）をソケット
（２）内に案内させることができる。ソケット（２）は
平坦なブランクか型打成形されたものであって、その継
目（12）は第１図及び第３図に示すようにソケット
（２）のピン受入れ端（８）と固定端（10）とに沿って
延在する。ピン受入れ端（８）と固定端（10）は事実上
同寸法であって、その内側寸法はピンの寸法よりも大で
ある。箱状のソケット（２）のレセプタクル部、すなわ
ち中間部分（14）は関連するビーム対（16），（18）か
ら成り、それらのビーム（16），（18）は軸線方向に延
び両端が正方形端（８），（10）に固着している。各一
対の二つのビーム（16）または（18）はレセプタクル部
の軸線に関して互いに対向し、両ビームは実質的に同一
であって撓められるとき一様に運動する。

ビーム（16），（18）は中間部分（14）の軸線に向っ
て傾斜し、ビーム（16），（18）の頂点（20），（22）
が両端（８），（10）よりも小さい開口を画成する。頂
点（20），（22）では各ビーム（16），（18）が浅いＶ
形を呈する。頂点（20），（22）にはピン（４）の軸線
方向に対して略直角方向に押出されて形成された押出ボ
ス（24）が設けられ、後述のようにピン（４）との電気
接続を確実なものにする。ただし、対向する各一対のビ
ーム（16）はその頂点（20）が他対のビーム（18）の頂
点（22）から離隔されていて、中間部分（14）に進入す
るピン（４）はまず一対のビーム（16）の頂点（20）に
出会ったのち一対のビーム（18）の頂点（22）に出会
う。この配列は挿入力低減状態でのピン（４）挿入を可
能にする。ビーム（16），（18）の頂点（20），（22）
を軸方向に偏位させておくと、ピン（４）は一時に二つ
のビーム（16）または（18）を押し広げるだけでよい。
ビーム（16），（18）がいったん変位されると、ピン
（４）はそれらのビームから摩擦力を受けるだけとな
る。この摩擦力は変位力よりもずっと小さく、そのため
に、頂点（20），（22）を偏位させるとピン（４）は各
対のビーム（16），（18）からそれぞれ異なる時点に最
大力を受けるのでソケット（２）にピン（４）を挿入す
るための所要挿入力が低減される。

この挿入力はまた、ビーム（16），（18）の特殊設計
の形からも若干減少する。第１図及び第２図に見られよ
うに、ビーム（16），（18）の内端（28）の幅は押出ボ
ス（24）が設けられた部分の幅より狭くなっている。ピ
ン受入れ端（８）に近接する、ビーム（16），（18）の
外端（26）には凹部すなわち切欠（30）がそれぞれ形成
される。これらの切欠（30）によって、ビーム（16），
（18）とピン受入れ端（８）との連結点が枢支点状に挙
動し、ビーム（16），（18）をその位置に保つと共に中
間部分（14）に挿入されるピン（４）には最小限の力し
か及ぼさない。

ビーム（16），（18）の幅は、押出ボス（24）近くか
ら固定端（10）に近接する内端（28）に至るまで次第に
狭くなる。このビーム（16），（18）の幅の減少はまた
これらのビームの剛性を減じ、幅が一様なビームの場合
よりもそのばね力を実質的に小さくする。内端（28）は
また第２図に示すように内方に彎曲されている。この彎
曲はピン（４）の挿入時にビーム（16），（18）がソケ
ット（２）の全長を変えずに必要なだけ変形することを
可能にしている。この彎曲部は服従区分として働き、各
ビームがソケット（２）に有害な力を及ぼさずに他ビー
ムと異なる大きさの変形をすることを可能にしている。

ビーム（16），（18）の切欠（30）の存在と内端（2
8）に向かう幅の減少により、中間部分（14）へのピン
（４）の挿入に要する挿入力は減少する。しかし、さら
に重要なことは、切欠（30）とビーム（16），（18）の
幅の減少によりビーム（16），（18）の剛性が減少して
弾性が増加することである。このことはこの型のレセプ
タクルでは極めて重要である。撓みやすくなったビーム
（16），（18）がピン（４）によって永久歪みを起さず
にそれだけ大きく変位することを可能にする。言いかえ
ると、ピン（４）はソケット（２）に対して不適正な相
対関係で挿入してもビーム（16），（18）を損傷しない
ですむ。撓みやすいビームは適当な整合位置に曲がり、
ビーム（16），（18）で永久歪みが起らないので、ビー
ムの永久歪みによる接触力の減少も生じない。ビーム
（16），（18）のこのような設計によってソケット
（２）はユーザになじみやすくなり、不適正な挿入によ
るビーム（16），（18）の被害が防止され適正接触力の
維持が補償される。

上述の不適性関係は二つの異なる形で起りうる。即
ち、ピン（４）のソケット（２）に対する側方変位によ
るか或いはソケット（２）に対するピン（４）の挿入角
の不適性によって起る。ソケット（２）が持つ側方変位
量はピン受入れ端（８）の内径で制限される。ピン
（４）はピン受入れ端（８）の内側面に対して接線状の
とき最大偏心ピンとなるがなおソケット（２）に挿入可
能である。しかし、この制約のために、ピン（４）の側
方変位によってビーム（16），（18）が弾性限界を超え
ることは有り得ない。不適正な傾斜挿入も制限される。
ソケット（２）は側壁（42）を有するプラスチックのハ
ウジング（40）内に配置される。側壁（42）はビーム
（16），（18）を不適正な傾斜挿入による過大応力から
防護する当り面として作用する。このように、ビーム
（16），（18）は側方変位や不適性傾斜挿入による永久
歪みを起さないように防護されている。

ビーム（16），（18）の頂点（20），（22）は、第１
図及び第２図に示すように、中間部分（14）の中央から
実質的に離れて配置される。ピン（４）は挿入過程の初
期にビーム（16），（18）の頂点（20），（22）に接触
する。この配置のために押出ボス（24）はピン（４）の
側面（34）に接触し、（従前のソケットがそうであった
ように）欠陥の多発するピラミッド形ボトム（36）に接
触することはない。そのために、確実な電気接続を成す
公算が著しく高められている。

発明の効果 本発明によれば、各ビームのピン受入れ端近傍に切欠
を形成するとともに、各ビームの幅を押出ボス近傍から
各ビームの固定端に至るまで漸次狭くなるようにしたの
で、各ビームの剛性が減少して各ビームの弾性が増加す
る効果を有する。換言すれば、各ビームが撓みやすくな
りピンの挿入による永久歪みを起さずに大きく変位する
ことを可能にする。すなわちピンをソケットに対して不
適正な相対関係で挿入しても各ビームは損傷することが
ない。撓みやすい各ビームは適当な整合位置に曲がり、
各ビームに永久歪みが起らないので接触力も低下しな
い。

又、本発明によればピンのソケット内挿入をソケット
の軸線と完全に一致させる必要がなくなる。ピンは側方
に変位されたり或る角度で挿入されたりしても各ビーム
に永久歪みを起させることがない。したがって、ピンの
ソケットに対する精確な整合がさほど得られない現場で
の実用性が高く、ソケットの有効寿命を延長する利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による接触ソケットの斜視図であってソ
ケットと整合する接触ピンの一部を示し、第２図はその
ソケットの上面図、第３図は接触区分の間隔配置を示す
第２図の３−３線による横断面図である。 ２……接触ソケット ４……接触ピン ８……ピン受入れ端 14……レセプタクル部（中間部分） 16,18……ビーム 24……押出ボス

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接触ピンの寸法より大きな内側寸法の開口
   を有するピン受入れ端と、固定端と、前記ピン受入れ端
   と前記固定端とを連結するリセプタクル部とから成る接
   触ソケットにして、前記リセプタクル部は少なくとも２
   対のビームから成り、該各対のビームは内方に向かう押
   出ボスを有する前記接触ソケットにおいて、 前記各ビームの前記ピン受入れ端近傍に切欠を形成する
   とともに、前記各ビームの幅を前記押出ボス近傍から前
   記固定端に至るまで漸次狭くしたことを特徴とする接触
   ソケット。