JP2608463B2 - 印字ヘッド - Google Patents

印字ヘッド

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Description

【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 電歪素子あるいは磁歪素子等の駆動素子を用いたドッ
トインパクトプリンタ用印字ヘッドに関し、 充分な変位拡大率をもって高速作動が行われるように
することを目的とし、 一端に印字用部材が接続され他端が固定された弾性部
を有する可動部材と、作動時に発生する歪により前記可
動部材の固定端の近傍の駆動位置に変位を付与して該可
動部材の一端を拡大変位させる駆動素子とを備えた印字
ヘッドにおいて、前記可動部材の前記固定端から前記駆
動位置にかけての弾性部形状が、前記固定端を底辺とし
前記駆動位置をほぼ頂点とする1山以上の三角形状を有
するように設定された構成とする。
〔産業上の利用分野〕
本発明は電歪素子あるいは磁歪素子等の駆動素子を用
いたドットインパクトプリンタ用印字ヘッドに関する。
近時、ドットプリンタの高速化要求に伴い、電磁方式
に代わって、電歪素子あるいは磁歪素子等の駆動素子を
用いた高速作動印字ヘッドが求められている。この種の
駆動素子としては、例えば1984年3月12日発行の日経メ
カニカル92頁に示された電歪素子が使用される。この電
歪素子は、片側の表面に内部電極となる金属ペースト膜
が形成された複数枚の圧電セラミックスのグリーンシー
トを積層した後、まとめて焼成を行って得られたもので
ある。このような駆動素子を用いて印字ヘッドを構成す
る場合、駆動素子の微小変位を効率良く拡大する機構が
必要である。
〔従来の技術〕
第3図は駆動素子を用いた従来の印字ヘッドの要部構
造説明図(第3図(a)は平面図、第3図(b)は側面
図)で、図中、1はベース部材、2は可動部材、3は駆
動素子(電歪素子)である。
可動部材2は、弾性材料で形成された板状のもので、
基部がベース部材1に固定されている。この可動部材2
の先端には印字用部材(印字ピン)4が取り付けられて
いる。
駆動素子3は、一端がベース部材1に固定され、他端
が接続部材5を介し可動部材2に駆動位置Aで接続して
いる。駆動位置Aは、可動部材2の固定端Bの近傍に位
置している。
印字に際しては、図示しない電源より駆動回路等を介
して駆動素子3に所定時間通電する。これにより、駆動
素子3には第3図(b)の上方向へ歪が発生し、可動部
材2の駆動位置Aには同方向の変位が付与されて、可動
部材2は、駆動位置Aと固定端Bの間で弾性変形して第
3図(b)に鎖線で示すように時計方向に回動する。そ
して、この回動動作によって、印字用部材4による印字
が行われる。駆動素子3への通電は印字完了直前に停止
され、印字を完了した可動部材2は駆動素子3とともに
もとの状態に復帰する。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上述の従来構造では、可動部材2の幅が固
定端Bから駆動位置Aにかけてほぼ一定であるために、
応力分布が固定端B側に偏り、可動部材2の弾性変形時
の回転中心O1も固定端B側に接近し、変位拡大率は となる。従って、印字動作の高速化を図るために可動部
材2を短くすると、変位の拡大率が充分にとれないとい
う問題があった。
本発明は充分な変位拡大率をもって高速作動を行うこ
とのできる印字ヘッドを提供することを目的とするもの
である。
〔課題を解決するための手段〕
上述の目的を達成するため、本発明では、一端に印字
用部材が接続され他端が固定された弾性部を有する可動
部材と、作動時に発生する歪により前記可動部材の固定
端の近傍の駆動位置に変位を付与して該可動部材の一端
を拡大変位させる駆動素子とを備えた印字ヘッドにおい
て、前記可動部材の前記固定端から前記駆動位置にかけ
ての弾性部の形状が、前記固定端を底辺とし前記駆動位
置をほぼ頂点とする1山以上の三角形状を有するように
設定された構成とする。
〔作 用〕
印字に際し駆動素子を所定時間作動させると、駆動素
子に歪が発生し、この歪により可動部材の駆動位置には
変位が付与される。その結果、可動部材は、駆動位置と
固定端の間の弾性変形により回動し、この回動動作によ
って、印字用部材による印字が行われる。この印字動作
時に、固定端から駆動位置にかけての可動部材の形状が
上述のように設定されているため、可動部材の撓みモー
ドが変わり、駆動位置での撓み角が増大することによっ
て、該可動部材の回転中心が駆動位置側に移動して変位
拡大率が増大する。従って、印字動作の高速化を図るた
めに可動部材を短くしても、印字部材に必要な変位を確
保することができる。
〔実施例〕
以下、第1図及び第2図に関連して本発明の実施例を
説明する。
第1図は本発明に係る印字ヘッドの要部構造説明図
(第1図(a)は平面図、第1図(b)は側面図)で、
図中、11は可動部材である。なお、従来と同様の部材に
は同様の符号を付している。
可動部材11は、固定端Bから駆動位置Aにかけての形
状が、固定端Bを底辺とし駆動位置Aをほぼ頂点とする
2山(一般的には1山以上)の三角形状を有するように
設定されている。
本発明では、固定端Bから駆動位置Aにかけての可動
部材11の形状が上述のように設定されているため、駆動
素子3の作動時における可動部材11の撓みモードが変
り、駆動位置での撓み角が増大することによって、該可
動部材11の回転中心O2が従来の場合より駆動位置A側に
移動して変位拡大率 が増大する。従って、印字動作の高速化を図るために可
動部材11を短くしても、印字要部材4に必要な変位すな
わち印字ストロークを確保することができ、高速化を実
現することが可能になる。
次に、可動部材の回転中心,変位拡大率及び応力分布
を第2図に基づいて従来と比較して数式的に説明する。
第2図(a),(b),(c)は従来の場合を、第2図
(d),(e),(f)は本発明の場合をそれぞれ示
し、第2図(a),(d)は可動部材の平面図、第2図
(b),(e)は同側面図、第2図(c),(f)は駆
動位置,固定端の間での可動部材の応力分布図である。
図中記入したlr,lr′,δ,l,L,tはそれぞれ次のものを
表わしている。
lr,lr′;固定端から回転中心O1,O2までの距離 δ;駆動位置の変位 l;固定端から駆動位置までの距離 L;可動部材の全長 t;可動部材の板厚 本図に付記したように、従来及び本発明の場合の回転
中心位置,変位拡大率はそれぞれ次のようになる。
この比較により、本発明の場合は、従来の場合より
も、回転中心が駆動位置側に移動し、変位拡大率が向上
することは明らかである。
また、応力分布は、従来駆動位置で0で、固定端で となるような傾斜分布であったものが、本発明では の均一分布となり、最大応力も小さくなる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明によれば、高速動作が可能
でかつ充分な印字ストロークを持ち、しかも応力分布が
偏らない高信頼度の印字ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は本発明の実施例の印字ヘッドの
要部構造説明図、 第2図(a),(b),(c),(d),(e),
(f)は本発明の実施例の可動部材の回転中心位置,変
位拡大率,応力分布の比較説明図、 第3図(a),(b)は従来の印字ヘッドの要部構造説
明図で、 図中、 1はベース部材、 3は駆動素子(電歪素子)、 4は印字用部材(印字ピン)、 5は接続部材、 11は可動部材、 Aは駆動位置、 Bは固定端である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一端に印字用部材(4)が接続され、他端
    が固定された弾性部を有する可動部材(11)と、 作動時に発生する歪により前記可動部材(11)の固定端
    (B)の近傍の駆動位置(A)に変位を付与して該可動
    部材(11)の一端を拡大変位させる駆動素子(3)とを
    備えた印字ヘッドにおいて、 前記可動部材(11)の前記固定端(B)から前記駆動位
    置(A)にかけての弾性部形状が、前記固定端(B)を
    底辺とし前記駆動位置(A)をほぼ頂点とする1山以上
    の三角形状を有するように設定されたことを特徴とする
    印字ヘッド。
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