JP2608349B2 - 押釦スイッチ用カバ−部材の製造方法 - Google Patents

押釦スイッチ用カバ−部材の製造方法

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JP2608349B2
JP2608349B2 JP3183815A JP18381591A JP2608349B2 JP 2608349 B2 JP2608349 B2 JP 2608349B2 JP 3183815 A JP3183815 A JP 3183815A JP 18381591 A JP18381591 A JP 18381591A JP 2608349 B2 JP2608349 B2 JP 2608349B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は押釦スイッチ用カバー部
材の製造方法、特には硬質指触感のすぐれたキートップ
部と、ソフトな押圧感を与える脚部とを共架橋一体化し
てなる、卓上電子計算機、リモコン、電話器などに有用
とされる押釦スイッチ用カバー部材の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】各種のスイッチ類に使用されているキー
トップはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポ
リマー(ABS樹脂)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、
スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂な
どのような熱可塑性樹脂を射出成形、押出成形などで成
形することによって製造されており、これらはこのよう
にして成形されたキートップの下にスイッチの開閉を行
なうためのスプリング部材またはゴム弾性をもつ脚部材
や接点部材を配置し、押ボタンスイッチとしてアセンブ
ルされている。
【0003】他方、ゴム弾性をもつ脚部でスイッチの開
閉を行なうようにしたゴム製押釦スイッチ用カバー部材
については、前記熱可塑性樹脂製のキートップ部材とゴ
ム製の押釦スイッチ用脚部材とを別々に成形し、これら
を組合せたもの(形態A)、またキートップ部材と脚部
材とを同一のゴム状弾性体で一体成形したもの(形態
B)が知られているが、ここに使用されるゴム弾性体に
ついてはこのようにして得られた押釦スイッチ用カバー
部材の押圧力、復元性、応答性の確保ということから硬
さIRHDが30以上80未満で、反撥弾性率が40%
以上、望ましくは55%以上のものとされている。
【0004】しかして、この形態Bのものには機器に組
み込む部品点数が削減できるし、キートップ部材と脚部
材とが分離することもないというメリットがあるけれど
も、これにはキートップ部材がゴム状弾性体であるため
に押圧時に粘着感があって指触感がわるいという不利が
ある。
【0005】そのため、この押釦スイッチ用カバー部材
については硬質指触感のすぐれたキートップ部とゴム弾
性脚部とを一体に構成されたものが検討されており、こ
れについて本発明者らは熱可塑性樹脂としての1,2−
ポリブタジエンと有機過酸化物とからなる組成物を未架
橋のまま金型のキートップ部に近似した形状に賦形し
て、この賦形体を金型のキートップ部に装入し、ついで
この金型に未架橋ゴム材料と有機過酸化物とからなるゴ
ム組成物を充填し、この賦形体とゴム組成物が流動性を
失なわない間に加圧加熱してキートップ材と脚部材を成
形させると共に、このキートップ材と脚部材とを共架橋
させて、硬さがIRHD90以上の1,2−ポリブタジ
エンの架橋体からなるキートップ材と硬さがIRHD8
0未満で反撥弾性率が40%以上である脚部材とからな
る押釦スイッチ用カバー部材の製造方法を開発した(特
開昭64−6335号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法では
キートップ用組成物が軟化点の低いものである場合には
加熱時にキートップ部材が低粘度化して脚部に流れ込む
ために脚部の押圧力変化、復元力低下、応答性低下、打
鍵寿命低下や脱型時のヤブレ不良を招くという不利があ
り、これにはこのキートップの脚部への流れ込みが脚部
用組成物の金型への充填方法の不備による偏流によって
も発生するという不利もある。また、このキートップ用
組成物が軟化点の高いものであるときには加圧してもキ
ートップ形状への転写ができず、ゴム材料がキートップ
部にまわり込むために外観が損なわれたり、硬質指触感
が失なわれるという不利もある。
【0007】したがって、このような熱可塑性のキート
ップ用組成物を使ったキートップ用組成物の架橋体と脚
部用組成物の架橋体とを共架橋一体化させた押釦スイッ
チ用カバー部材の製造には、キートップ部材の組成を調
整して上記加熱時のキートップ部材の流動性を抑えた
り、装入されたキートップ部材が加圧によって偏流しな
いようにゴム材料の金型内への装入位置、装入形態など
を調整するなどしてキートップ部材の脚部への流れ込み
を防ぎ、またキートップ部材を金型キートップ材の外筒
形状に近似した円筒形、角柱形などの形状に賦形し、ゴ
ム材料のキートップ部への廻り込みを防止するという対
応が必須のこととされる。
【0008】また、卓上電子計算機、リモコン、電話機
などに用いられる押釦スイッチ用カバー部材はデザイ
ン、機能面から多数形状で多数色のキートップを配列し
たものが望まれることから、これは外周形状、厚み寸法
を含めた多数形状で多数色の賦形が必要でこれには長い
工数が必要とされ、キートップ配列によっては未加硫ゴ
ム材料の装入位置、装入形態も複雑になるという欠点が
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不利
を解決した押釦スイッチ用カバー部材の製造方法に関す
るものであり、これはA)1)分子鎖末端にR2 C=C
R−CHR−基、R2HC−CR=CR−基、および/
またはR2 C=C(CHR2 )−基(ここにRは水素原
子または非置換または置換の1価炭化水素基)で示され
る不飽和基を有する二官能性化合物、および/または 2)R2 C=CR−CHR−基、
【化3】 2 HC−CR=CR−基、
【化4】 および/またはR2 C=C(CHR2 )−基(Rは前記
に同じ)で示される不飽和基を分子内に少なくとも3個
有する多官能性化合物、でこれらの未反応の不飽和基の
濃度が7×10-4モル/ml以上に調整された化合物と
有機過酸化物とからなる架橋した時に硬さIRHDが9
0以上となる液状のキートップ用組成物を金型のキート
ップ部に注入してキートップ形状に転写したのち、加熱
し部分架橋して流動性を失なわせ、B)未架橋のゴム材
料と有機過酸化物とからなるゴム組成物で、架橋した時
に硬さがIRHD80未満で反撥弾性率が40%以上の
ゴム弾性体となる脚部用組成物を金型内に装入して加圧
加熱して架橋体脚部を形成させると共に、C)A)の架
橋体キートップとB)の架橋体脚部とを共架橋一体化し
てなることを特徴とするものである。
【0010】すなわち、本発明者らは高品位の押釦スイ
ッチ用カバー部材を生産性高く製造する方法について種
々検討した結果、キートップ用組成物として上記A)工
程に示した二官能性または多官能性化合物と有機過酸化
物とからなる液状の組成物を使用し、これを金型のキー
トップ部に注入してキートップ形状に転写したのち、加
熱し部分架橋して流動性を失なわせ、ついでこの金型内
に未架橋のゴム材料と有機過酸化物とからなるゴム組成
物を装入して加圧加熱すれば、架橋脚部材が形成される
と共に、上記した架橋体キートップと架橋体脚部とが共
架橋により一体化されるので、硬さIRHDが90以上
であるキートップ部と硬さIRHDが80未満で反撥弾
性率が40以上であるゴム弾性体からなる脚部とからな
る押釦スイッチ用カバー部材が容易に、かつ生産性高く
製造することができることを見出して本発明を完成させ
た。以下にこれをさらに詳述する。
【0011】
【作用】本発明は硬さがIRHDで90以上であること
から硬質指触感のすぐれたキートップ部と、硬さがIR
HDで80未満であり、反撥弾性率が40%以上である
ことからソフトな指圧感を与える脚部とを共架橋で一体
化させてなる押釦スイッチ用カバー部材の製造方法に関
するものである。
【0012】本発明におけるキートップ部は未架橋のゴ
ム材料と有機過酸化物とからなるゴム組成物と共架橋可
能なものとするということから、これは 1)分子鎖末端にR2 C=CR−CHR−基、R2 HC
−CR=CR−基、および/またはR2 C=C(CHR
2 )−基(ここにRは水素原子または非置換または置換
の1価炭化水素基)で示される不飽和基を有する二官能
性化合物、および/または 2)R2 C=CR−CHR−基、
【化5】 2 HC−CR=CR−基、
【化6】 および/またはR2 C=C(CHR2 )−基(Rは前記
に同じ)で示される不飽和基を分子内に少なくとも3個
有する多官能性化合物、でこれらの未反応の不飽和基の
濃度が7×10-4モル/ml以上に調整された化合物と
有機過酸化物とからなるキートップ用組成物から作られ
たものとされるが、このRは後記する脚部と十分な強度
で接着させるために、立体障害性の小さい自由度の高い
ものとすることがよく、したがってメチル基や水素原子
とすることが望ましい。
【0013】この1)としての二官能性化合物は上記し
た一般式で示される不飽和基を有するものであり、これ
にはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、トリエチレングリコール
ジメタクリレート、エチレングリコール#200ジメタ
クリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジメタ
クリレート、EO変性リン酸ジメタクリレート、ジシク
ロペンチニルジメタクリレート、グリシドールジメタク
リレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、ジ
アリルフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレン
グリコールビスアリルジカーボネート、1,5−ヘキサ
ジエン、1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−
ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエ
ンなどが例示されるが、これらは後記する脚部と十分な
接着強度で接着させるためにこれらの不飽和基の原子間
距離の算出和が22.84Å以内に隣接しているものと
することがよい。
【0014】また、この2)としての多官能性化合物は
上記した一般式で示される不飽和基を分子内に少なくと
も3個有するものとされるが、これにはトリス(メタク
リロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、
トリアリルトリメリテート、キシレンビス(ジアリルイ
ソシアヌレート)、トリアリルイソシアヌレート、トリ
メサリルイソシアヌレート、などの多官能性モノマー
や、ブタジエン、ジアリルフタレート、ジアリルカーボ
ネート、ジエチレングリコールビスアリルジカーボネー
ト、1,4−ヘキサジエン、エチレングリコールジメタ
クリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメ
タクリレート、グリセロールメタクリレート、アリルア
クリレ−ト、アリルメタクリレ−トなどのモノマーから
なる構造単位をもつポリマーおよびトリメチルロ−ルプ
ロパンやイソシアヌル酸トリ(ヒドロキシエチル)など
の三価アルコ−ルとジアリルカ−ボネ−トとのエステル
交換反応によって生成するオリゴマ−やポリマ−などが
例示される。
【0015】しかし、この1)二官能性化合物および/
または2)多官能性化合物からなるものは後記する脚部
組成物Bとの十分な接着強度を得るためにこの未反応の
不飽和基の濃度が7×10-4モル/ml以上に調整され
たものとすることが必要とされる。
【0016】しかして、このキートップ用組成物は上記
した化合物成分と有機過酸化物とからなるものとされる
が、この有機過酸化物はビニルモノマーの重合開始剤や
ポリマーの架橋剤として使用されている公知のものでよ
く、これにはベンゾイルパーオキサイド、ジ−イソプロ
ピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエイト、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパー
オキシ−3,3,5−t−メチルシクロヘキサン、1,
6−ビス−(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサ
ンなどが例示されるが、この配合量は上記した化合物成
分100重量部に対し0.01〜10重量部とすればよ
い。
【0017】なお、このキートップ用組成物の製造は、
上記した各成分をこれらが架橋反応を開始成長しない緩
和な条件下でオーブンロール、ニーダー、チョッパーコ
ロイドミル、ボールミル、ホモジナイザー、羽型撹拌機
などの一般の混合機でこれらの成分を混合すればよい。
この混合に当ってこれに1)二官能性化合物、2)多官
能性化合物以外にアクリル化合物、メタクリル化合物、
ビニル化合物、アリル化合物、ポリオール化合物、アミ
ン化合物、イソシアネート化合物、アミド化合物、エス
テル化合物、カルボキシル化合物、ウレタン化合物、エ
ポキシ化合物、フェノール化合物、エーテル化合物、な
どのモノマー類、オリゴマー類、ポリマー類や硫黄、硫
黄同族体、フェノール、アミン、キノンジオキシム誘導
体、ハロゲン化合物、アジリジン化合物、アゾ化合物、
イソシアネート、カルボン酸、酸無水物、アルデヒド、
アルコール、エポキシ化合物、金属酸化物、金属過酸化
物、金属ハロゲン化合物、有機金属ハロゲン化合物、有
機金属塩、金属アルコキシド、有機金属化合物、シラン
化合物、光架橋、酸素、電子線、γ線など有機過酸化物
架橋反応系以外の架橋系の併用のために用いられる架橋
剤や触媒、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、
石英粉、アルミナ、グラスファイバー、グラスパウダ
ー、ガラスビーズ、合成ファイバー、カーボンブラッ
ク、パルブなど、さらにはこれらに表面処理をした充填
剤、顔料や染料などの着色剤、耐熱剤、耐候剤、加工助
剤、難燃性付与剤、防カビ剤、カップリング剤、導電性
付与剤などを混合することは任意とされるが、キートッ
プ組成物は架橋が開始しない程度の高温から、凝固しな
い程度の低温でも液体でなければならない。したがっ
て、このキートップ組成物を液体状とするには、液体状
の1)二官能性化合物や2)多官能性化合物を用いる
か、または液体状の他の化合物に1)二官能性化合物や
2)多官能性化合物を混合溶解させればよい。
【0018】本発明におけるキートップ部の製造はこの
キートップ用組成物が液体であることから、これを金型
のキートップ部に注入して成形すればよいが、この注入
は組成物を貯溜するためのタンク、組成物の定量押出し
機構、押出し機構に連結している吐出先端で構成される
ディスペンサーを用いて行えばよく、これにはその吐出
先端を金型のキートップ部上方に配置してこの組成物を
金型のキートップ部に注入すればよい。
【0019】このキートップ組成物の定量押し出しは、
シリンジ式と呼ばれる空気圧力値と圧空を掛けている時
間、タンクバルブ式と呼ばれる一定空気圧力値と流路開
放時間やケンバン式、ロータリー式、ギヤポンプ式、プ
ランジャー式などの引ぱり込んで押し出すという公知の
制御方法で定量押し出しすればよいが、このときに要求
される定量吐出精度はキートップの大きさやその形状に
よって異なるけれども、±0.01mlよりも優れた繰
返し精度であればよい。
【0020】また、ここに使用するディスペンサーは一
つの定量押し出し機構で複数種の容量を押し出す制御を
行なうようにしたものであっても、一つの定量押し出し
機構に複数個の吐出先端を設けたものであってもよい
が、一つのディスペンサーに複数の定量押し出し機構を
設けたものであってもよい。
【0021】金型のキートップ部上方への吐出先端の配
置、注入は、金型のキートップ部の数だけ用意された吐
出先端を金型のすべてのキートップ部に対応する配列で
プレートなどに固定して吐出先端群を作り、この吐出先
端群を金型の対応するキートップ上に配置して注入すれ
ばよいが、金型のキートップ部の一部に対応する配列で
固定した吐出先端群や単一の吐出先端をハンドリングや
ロボットによって金型のキートップ部上方で金型のキー
トップ配列に送りながら注入するようにしてもよい。
【0022】また、このディスペンサー内のキートップ
組成物については、この組成物を液体状に保つため、さ
らにはこの注入量を安定させるために、このものの架橋
反応が顕著に現われないような穏和な温度に加温、ある
いは保温してもよいが、この加温または保温は必要以上
に加熱すると架橋反応を誘発して粘度上昇が起り、注入
量を制御することができなくなるので、組成物中の有機
過酸化物の10時間半減期温度よりも10℃以上低い温
度で行なうことがよく、組成物中にレドックス触媒や他
の架橋系を混在させた場合にはこれをよく加味してこの
温度を設定することがよい。
【0023】この金型のキートップ部に注入された組成
物はキートップ形状に転写する必要があるが、この組成
物が適度の粘度をもつものであればそのまま放置すれば
キートップ形状に転写することができるけれども、これ
が粘度の高いものであるときには容易にキートップ形状
に転写されないので、このときには上部から型を押圧し
てキートップ形状にすることがよい。また、このキート
ップがX,Y方向に大きくてキートップ形状転写性やキ
ートップ部と脚部との接合面のレベリング性がわるい場
合には、型を押圧してキートップ形状にしてもよいし、
キートップ1個当りの吐出先端を増やして均一な注入が
できるようにしたり、吐出先端を金型キートップ部の
X,Y,Z方向に自由運行できるようにすることもよ
い。
【0024】また、この金型のキートップ部はキートッ
プの形状をもつものとされるが、上部から型を押圧して
キートップ形状を転写させる場合には金型の脚部にまで
組成物が流出しないようにするために、この金型に適宜
のスリットを長く設けてこの流出を防止するようにする
ことがよい。なお、注入後の放置によってキートップ形
状に転写する場合には得られる押釦スイッチを外観した
ときのキートップ用組成物の架橋体と脚部組成物の架橋
体との接合位置をより安定化させるために、被着体形状
とキートップ用組成物のぬれ性の関係を利用した段差を
金型のキートップ部壁面に設けるようにしてもよい。
【0025】なお、このキートップ部の転写に当っては
液状の組成物中に空気がまき込まれていると注入後の加
熱によって空気が膨張発泡してキートップ成形体に穴を
あけたり、これが割れることもあるので、この空気は前
工程で脱気しておくことが必要とされる。
【0026】このようにして転写されたキートップ部は
ついで加熱し、架橋して流動性を失なわせるのである
が、これは完全に架橋してしまうと後記する脚部との共
架橋が達成されなくなるので、これは部分架橋とする必
要があるが、このときのキートップ用組成物の硬化状態
はつぎに加圧すると接触しているゴム組成物が流動する
ので、その流動に巻き込まれないために少なくとも接触
面部が硬化して流動性のないものとなっていることが必
要とされる。
【0027】このようにしてキートップ部が流動性のな
いものとなったならば、ついでこの金型内に脚部形成用
のゴム組成物が装入される。本発明で使用される脚部形
成用のゴム組成物はその硬化物がソフトな指触感を与え
るものとすることが必要とされることから、架橋したと
きの硬さがIRHDで80以下であり、反撥弾性率が4
0%以上のものとされるが、これは有機過酸化物によっ
てラジカルを発生するものとすることからポリブタジエ
ン、メチルビニルシロキサン共重合体、ポリイソプレ
ン、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、パーフル
オロプロピレン・ビニリデンフルオリド共重合体、クロ
ロプレンゴム、ウレタンゴムなどで例示されるゴム系重
合体と有機過酸化物とからなるゴム組成物とすればよい
が、これにナフテン酸コバルトやジメチルアニリンとい
ったレドックス系触媒や硫黄、硫黄同族体、金属酸化
物、イソシアネート、オルガノハイドロジエンポリシロ
キサンなどのシラン化合物とH2 PtCl4 ・6H2
などの白金触媒、アミン化合物など有機過酸化物以外の
架橋剤を併用したり、充填剤、着色剤、耐熱剤、耐候
剤、難燃性付与剤、防カビ剤、導電性剤などを添加する
ことは任意とされる。
【0028】また、ここに使用する有機過酸化物はこの
脚部が前記したキートップ部と共架橋されるものである
ことから、なるべく早くゴム系重合体にラジカルを発生
させるものとすることがよく、したがってこれはキート
ップ用組成物に使用されるものよりも1分の半減期温度
が+16℃以下のものとすることが望ましいが、この配
合量はゴム組成物100重量部に対して0.05〜10
重量部とすればよい。
【0029】このゴム組成物の金型内への装入はハンド
リング、ロボット、押出機、射出成形機など公知の方法
で行えばよいが、この装入後これを脚部の厚さやゴム組
成物が流れる流動長によって異なるけれども約100k
gf/cm2 に、また成形サイクルとゴム組成物のスコ
ーチのバランスをとって一般にゴム組成物に使用される
有機過酸化物の1分半減期温度に対し−20〜+30℃
の範囲の温度に加圧加熱すると、このゴム組成物は流動
して脚部形状に転写されると共に架橋されて脚部を構成
するのであるが、このものは硬さがIRHDで80未満
であり、反撥弾性率が40%以上のものとなるし、この
加圧加熱によって前記した部分架橋しているキートップ
部も完全に架橋して硬さがIRHDで90以上のものに
なるし、この加圧加熱によりこのキートップ部と脚部と
が共架橋されるので、これによればキートップ部と脚部
とが接着信頼性高く接着された押釦スイッチ用カバー部
材を工業的に有利に、かつ安価に得ることができるとい
う有利性が与えられる。
【0030】本発明では上記したように前記したキート
ップ部の架橋体と脚部の架橋体とが共架橋一体化されて
押釦スイッチ用カバー部材が製造されるのであるが、こ
のキートップ部架橋体と脚部架橋体との共架橋は、キー
トップ用組成物におけるR2C=CR−CHR−基、
【化7】 2 HC−CR=CR−基、
【化8】 2 C=C(CHR2 )−基(以下これらをそれぞれア
基、イ基、ウ基、エ基、オ基と略記する)に発生したラ
ジカルとゴム組成物から発生したゴムポリマーラジカル
とがカップリングすることによって起こるものであり、
このア基、イ基、ウ基、エ基、オ基に発生したラジカル
はアリルラジカル共鳴し寿命を長く保つことができるの
でキートップ用組成物が加熱によって流動性を失なうぐ
らい重合し架橋しても、ラジカル発生源である有機過酸
化物が分解しきっていない状態で未反応のア基、イ基、
ウ基、エ基、オ基がその架橋高分子側鎖に残っている
か、またはこれら基のラジカルがその架橋高分子の側鎖
に残っていれば、このキートップ用組成物が流動性を失
なっても比較的長い間ラジカル濃度を高く維持すること
ができる。
【0031】このようにキートップ用組成物が高いラジ
カル濃度をもっている間に、これにゴム組成物のゴムポ
リマーラジカルが接触すると、これらは多数点でカップ
リングして共架橋し、十分な接着強度をもつものとなる
のであるが、このキートップ組成物もあまり長い時間加
熱放置しておくと共架橋性が失なわれる。なお、このキ
ートップ用組成物が流動性を失なってから十分な共架橋
接着強度を得ることができる時間を以下接着活性時間と
呼ぶこととする。
【0032】未反応のア基、イ基、ウ基、エ基およびオ
基(以下目的の官能基と略記する)やア基、イ基、ウ
基、エ基およびオ基のラジカル(以下目的の官能基のラ
ジカルと略記する)を架橋高分子の側鎖に残すには、ま
ずキートップ用組成物中の1)二官能性化合物について
は数1で示される式、および/または2)多官能性化合
物については数2で示される式で算出される未反応不飽
和基濃度が最低でも7×10-4mol/mlのものとす
ることが必要であるし、この1)二官能性化合物につい
ては化学便覧基礎編II、改訂2版第1408頁に記載
されている表から算出される不飽和基間の原子間距離の
算出和が22.84Å以内に隣接しているものとするこ
とがよい。
【0033】
【数1】
【数2】
【0034】また、この1)二官能性化合物について
は、不飽和基間の原子間距離の算出和が22.84Å以
内に隣接するものでも、キートップ用組成物中の有機過
酸化物濃度を増加させると、接着力の低下や接着活性時
間が極端に短くなるという現象が現われることがある
が、これは停止反応が優先してしまって側鎖に目的の官
能基や目的の官能基のラジカルが配置しないためと考え
られる。この有機過酸化物濃度の増強はキートップ組成
物が流動性を失なうまでの時間を短縮させたり、硬化収
縮を押え、架橋体と一体となっていない化合物が原因と
なって発生する金型汚れを防止する有用な方法である
が、この増強をしても長い接着活性時間を得るためには
2)多官能性化合物、特には目的の官能基を多数側鎖に
もつポリマーを用いることがよい。
【0035】なお、この1)二官能性化合物を使用する
ときにはそのままキートップ用組成物に用いるよりも、
これを予め別工程で有機過酸化物濃度が低く、1)二官
能性化合物濃度の高いなど成長反応に効率の良い条件の
もとで重合するプレポリマー化や、1)二官能性化合物
に水酸基、カルボキシル基、アシル基を2ケ以上有する
ものを用いて、相手化合物にイソシアネート基、低級エ
ステル基、水酸基を2ケ以上有するものと付加重合また
は縮合重合したり、1)二官能性化合物にジアリルエステ
ルやジメタクリルエステルなどのエステル類を用いて3
価以上の多価アルコ−ルとエステル交換反応をするなど
多官能性のポリマーとしてから用いたほうがよい。
【0036】このものの接着活性時間は目的の官能基の
構造の違いや目的の官能基近傍の構造の違いによって多
少異なる。例えば、一般にアリル基を有する化合物の接
着活性時間はメタクリル基を有する化合物よりも長く、
メサリル基よりも短いし、またこの順序で流動性を失な
う時間も長い。生産性を上げるためには流動性を失なう
時間をなるべく短くし、製品の低価格化やメンテナンス
の軽減を計るためにはディスペンサーの部品点数を少な
くし、注入可能時間を長くして製造能力を上げれば良い
が、いずれにしても接着活性時間は長いほうがよい。
【0037】この流動性を失なう時間を短くし、接着活
性時間を長くするためには、メタクリル基、アリル基、
メサリル基などの目的の官能基を有する1)二官能性化
合物や2)多官能性化合物に、これら目的の官能基より
もラジカル寿命の短いアクリル基、他のビニル基を有す
る化合物を組み合わせたり、アリル基を有する1)二官
能性化合物や2)多官能性化合物にメタクリル基を有す
る化合物を組み合わせるなど目的の官能基内での反応性
の違いを利用するのがよく、これによればアクリル基、
メタクリル基、他のビニル基などアリル基よりもラジカ
ル寿命の短い不飽和基を有する化合物を用いることで架
橋が早く進み、流動性を失なう時間は短くなるが、架橋
高分子の側鎖にはアリル基、メサリル基やそれらのラジ
カルなどアリル基以上のラジカル寿命をもつ目的の官能
基や目的の官能基のラジカルが残りの接着活性時間を長
く保つことができる。このアリル基以上のラジカル寿命
をもつ化合物としては多官能性のポリマーを用いること
が最もよい。
【0038】なお、このようにして作られた押釦スイッ
チ用カバー部材についてはこれが卓上電子計算機、リモ
コン、電話機などに使用されるものであることから、そ
のキートップ部に着色したり、あるいは機能を示す記
号、文字などを印刷する必要があるが、この着色はキー
トップ用組成物を製造するときにこれに顔料や染料を混
合してもよいし、ディスペンサーにギヤポンプなどの計
量部とスタティックミキサー、パワーミキサーなどのミ
キサー部を設けて、ここに着色材を混入してキートップ
形状に転写されたキートップを着色したものとしてもよ
く、転写されたキートップ部に着色用塗料を浸漬塗装、
吹付け塗り、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗
りなどで塗布したり、染料含浸形インキをスクリーン印
刷やパット印刷などで塗布し、熱処理して染料をキート
ップ内部に浸透させて着色してもよいし、さらにはキー
トップの表面に染料含浸インキ塗膜を押し当てて熱盤を
押圧する浸漬印刷で行なえばよい。
【0039】また、この記号、文字などの印刷はこれを
スクリーン印刷やパット印刷、凹版オフセット印刷など
で印刷し、熱処理して硬化接着させたり、前記した浸透
印刷、熱盤のパターンによる浸透印刷で行えばよい。な
お、このような押釦スイッチにはプリント基板の接点に
当接する導電部を付帯している場合もあるが、これにつ
いては導電インクを脚部接点部にスクリーン印刷やパッ
ト印刷、ポッティングなどで付着させ、熱処理して硬化
接着させたり、あるいはゴム組成物を金型に装入する前
に金型の脚部接点部に接点形状に形成された導電ゴムや
未架橋の導電材料を装入し、ついでゴム組成物を装入し
て加圧加熱し、導電部を形成接着させればよい。
【0040】
【実施例】つぎに本発明の実施例、比較例をあげるが、
例中の部は重量部を示したものであり、キートップ部材
と脚部材との接着力評価方法、キートップ部材の硬さ、
脚部材の硬さと反撥弾性率の測定は下記によるものであ
る。 (接着力評価方法)キートップ部と脚部材とを引張って
接合面の剥離状況を肉眼で観察し、つぎの基準で評価す
る。 ○…剥離できない、△…部分的に剥離する、×…完全に
界面剥離する。 (硬さ測定)架橋したキートップ部、脚部材から採取し
た厚さ2〜2.5mmに調整した試験片を、ウォーレス
測微硬度計H5A(英国ウォーレス社製商品名)を用い
て硬さを測定し、IRHDの値で表わす。
【0041】(反撥弾性率の測定)JIS K6301
に準拠した方法で測定する。なお、試験片は目的の押釦
スイッチ用カバー部材のB成分の架橋と同一の条件で別
に作製する。
【0042】実施例1 ジアリルテレフタレートβポリマー・ダプレン[(株)
ダイソー社製商品名]40部、チョップドストランドガ
ラスファイバー・CS3E277[日東紡績(株)製商
品名]30部、炭酸カルシウム・SL151[白石カル
シウム(株)製商品名]30部、シランカップリング剤
・KBM503[信越化学工業(株)製商品名]0.5
部、ステアリン酸1部および老化防止剤・BHT1部を
80℃に温調した加圧ニーダーで均一に混合してダプレ
ンコンパウンドを作り、これを粉砕ミルで粒径1mm以
下に粉砕した。
【0043】この粉砕されたダプレンコンパウンド10
2.5部、ジアリルテレフタレートモノマー・ダプレン
モノマー[(株)ダイソー社製商品名]60部、有機過
酸化物・2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン・パーヘキサ25B[日本油脂
(株)製商品名]1.5部および前記したダプレン20
部とダプレンモノマー80部を60℃で溶解し、この溶
液100部にクロモフタールブルー・4GNP[チバガ
イギー(株)製商品名]30部を混合し、3本ロールで
分散練合して得た青色顔料マスターバチ2部を60℃に
温調した撹拌機で均一に溶解混合して液状の組成物A−
1−Bを調製した。また、このA−1−Bのクロモフタ
ールブルー・4GNPをクロモフタールスカーレットR
N[チバガイギー(株)製商品名]25部としたほかは
上記と同じように処理して液状の組成物A−1−Sを調
製した。
【0044】ついでこの組成物A−1−BとA−1−S
を真空ポンプを用いて脱泡し、シリンジ式の空気圧力値
と圧空を掛けている時間で定量押し出し機構に液ダレ防
止弁5とニードル6を取りつけた図1のa)に示したデ
ィスペンサー4を2個用意し、シリンジ1にそれぞれの
組成物を装入し、シリンジを60℃に温調すると共にこ
の金型の彫り込み側2と浮き出し側3を165℃に温調
した。なお、この金型の彫り込み型2のキートップ部9
には注入量のバラツキや金型の各キートップ部のぬれ性
の違いによって生ずるキートップ用組成物と脚部用組成
物の接合面の乱れを緩和するために段差7が設けられて
いる。
【0045】キートップ部の賦形にはこの液状組成物A
−1−Bの入ったシリンジ1をロボットにもたせ、金型
のキートップ部10の上に移動してニードル6の吐出先
端から組成物をキートップ部9の段差7のはじめの角8
に達する量だけ注入したのち、隣のキートップ部上に移
動して同様に注入する。この液状組成物A−1−Bを1
0個目のキートップ部に注入したところで、A−1−S
の入ったシリンジに換え、残りの2個に同様の方法で注
入したところ、1個目のキートップ部への注入開始から
12個目のキートップ部への注入終了までに45秒を要
したが、最後の注入が終って12秒後に図1のb)に示
したように金型のキートップ部9に注入されたキートッ
プ部10は流動性がなくなっていた。
【0046】つぎにこの金型にシリコーンゴム・KE9
510U[信越化学工業(株)製商品名]100部に有
機過酸化物・C−8[信越化学工業(株)製商品名]2
部を加え、均一に混合して得たゴム組成物B−1を図1
のc)に示したように装入し、この彫り込み型2と浮き
出し型3を閉め、90kgf/cm2 ,165℃に10
分間加圧加熱したところ、図2のa)に示したようにこ
のゴム組成物B−1が脚部11に転写、成形されると共
に、この脚部11は架橋されて硬さが1RHD51で反
撥弾性率が78のものとなり、この加圧加熱によってキ
ートップ部11も架橋されて硬さがIRHDで99.5
のものとなったが、このキートップ部10と脚部11は
共架橋によって完全に接着された評価○のものとなるの
で、図2のb)によって脱型すれば目的とする二色のキ
ートップ色からなる押釦スイッチ用カバー部材12を容
易に得ることができた。
【0047】実施例2 ジアリルテレフタレート・ダプレンモノマー(前出)6
0部に飽和ポリエステル・エリーテルUE3220[ユ
ニチカ(株)製商品名]40部を加え、80℃に温調し
た撹拌機で均一に溶解し、この溶液100部に青色顔料
マスターバチ(前出)2部と有機過酸化物・パーヘキサ
25B(前出)1部を添加し、60℃に温調した撹拌機
で均一に溶解、分散させて液状の組成物A−2を調製
し、真空ポンプで脱泡した。
【0048】ついでこの液状の組成物A−2を図3の
a)におけるシリンジ1に入れて60℃に温調すると共
に、この金型を押圧具14で押圧したときに図3の
a),b),c)に示したスリット15を形成するとき
の段差16にもった彫り込み側2と浮き出し型3をとも
に165℃に温調し、シリンジ1をロボットにもたせ、
「金型圧力値と圧空を掛けている時間」で定量を押し出
すディスペンサー4の吐出先端ニードル6から金型のキ
ートップ部9に注入したところ、1個目のキートップ部
への注入開始から12個目のキートップ部への注入終了
までに40秒を要したが、このキートップ部に注入した
液状の組成物B−2が高粘度でキートップ部の転写がお
そいので、図3のb),c)、図4のa)に示したよう
に凸状部に接着面積を増すための突起部13を有する押
圧具14で押圧したときにスリット15になるための段
差16を設けた押圧具14を10kgf/cm2 で圧力
下で押圧して転写させてから165℃で5分間加熱し、
その流動性を失わせて押圧具を彫り込み金型2から脱却
させた。
【0049】つぎにこの金型に実施例1で使用したゴム
状組成物B−1を図4のb)に示したように装入し、図
4のc)に示したように90kgf/cm2 ,165℃
で10分間加圧加熱してこのゴム状組成物B−1から脚
部13を転写成形すると共に、これを架橋させ、この脚
部13とキートップ部12とを共架橋させたのち、図5
で脱型したところ、キートップ部11が硬さIRHDで
98以上であり、脚部12が硬さIRHD51で反撥弾
性率が78%でキートップ部と脚部が強固に接着した評
価○の押釦スイッチ用カバー部材が得られた。
【0050】実施例3 ジエチレングリコールビスアリルジカーボネートとその
オリゴマ−及び多官能のアリルカーボネートとそのオリ
ゴマー・RAV7HI[ミテックス(株)製商品名]1
00部を反応容器に入れて、撹拌しながらRAV7HI
の液温を105±0.15℃に昇温保温し、これに重合
開始剤1,6−ビス−(t−ブチルパーオキシカルボキ
シ)ヘキサン・X−93−833[信越化学工業(株)
製商品名]0.04部を添加し、撹拌しながら、開始剤
添加直後から60分の間は1/30±0.8[℃/mi
n]の昇温速度で反応液液温を上昇させ、続く60分間
は107±0.8[℃/min]に反応液液温を保つ温
度条件でプレポリマー化した。
【0051】ついで連鎖移動剤P−メトキシフェノール
・MQ[川口化学工業(株)製商品名]を添加混合し、
平均2.5(℃/min)の冷却速度で30分冷却して
重合を停止させて、粘度が130から190cpのRA
V7HIのプレポリマーを作製した。このRAV7HI
のプレポリマー35部、ネオペンチルグリコールジメタ
クリレート・NKエステルNPG[新中村化学工業
(株)製商品名]17部、ポリエチレングリコール#6
00ジメタクリレート・NKエステル14G[新中村化
学工業(株)製商品名]8部、ウレタンアクリレート・
NKオリゴU−122A[新中村化学工業(株)製商品
名]40部を45℃に温調した撹拌機で均一に溶解し、
この溶液100部にレッド調色マスターバッチ0.9部
と有機過酸化物・X−93−833[前出]2.0部を
添加し、40℃に温調した撹拌機で均一に溶解・分散さ
せて液状のレッド色キートップ用組成物A−3−Rを調
製すると共に、この組成物A−3−Rの調製におけるレ
ッド調色マスターバッチをライトグレー調色マスターバ
ッチ1.6部とし液状のライトグレー色組成物A−3−
LGを調製し、さらに組成物A−3−Rの調製における
レッド調色マスターバッチをダークグレー調色マスター
バッチ1.3部とし液状のダークグレー色組成物A−3
−DGを調製した。ここでレッド・ライトグレー・ダー
クグレーの調色マスターバッチは、表1に記載のピグメ
ントとキャリアをミキサーで混合して三本ロールで分散
練肉した赤・白・黒の3色の顔料マスターバッチを、表
2に記載の配合部数で調色・混合してつくられるもので
ある。
【0052】このように調製した組成物A−3−R,A
−3−LG,A−3−Gを、真空撹拌して脱泡した後、
図6のディスペンサーのタンク部に供材した。この定量
押し出し機構部はエアー駆動式のプランジャーポンプを
12ケ使用し、各プランジャーポンプから導かれた吐出
先端を1枚の押釦スイッチ用カバー部材となる1cav
ty分の金型キートップ部配列に目的の色配置になるよ
う図6,図7のようにプレートに固定したものである
が、また浮き出し金型、彫り込み金型はともに165℃
で予め温調した。吐出先端固定プレートをハンドリング
で金型のキャビティーに図7のように位置決めして12
keyを同時に注入し、続けてキャビティー2,キャビ
ティー3,キャビティー4の順に同じ操作を繰り返す。
キャビティー1の注入開始からキャビティー4の注入終
了までに20秒を要したが、最後の注入が終って20秒
後にはいずれも流動性を失った。
【0053】つぎにこの金型に、シリコーンゴム・KE
9510U[前出]100部に有機過酸化物・X−93
−833[前出]0.8部を加え均一に混合して得たゴ
ム組成物B−2の適量にシーテング及びカットされた帯
状物をハンドリングで装入したのち、彫り込み金型と浮
き出し金型を閉め、103kgf/cm2 ,165℃,
90秒加圧、加熱したところ、キートップ部硬さがIR
HD96、脚部が硬さIRHD50で反撥弾性率が79
%で、キートップ部と脚部が強固に接着した評価○の多
色キートップからなる押釦スイッチ用カバー部材図8−
a)を製造することができた。
【0054】また、これについてはポリエステルポリオ
ール系のインク・ハイペットインク9301[十条加工
(株)製商品名]100部、硬化剤のイソシアネート・
JA・950H[十条加工(株)製商品名]7.5部、
溶剤・PETシリーズリターダー[十条加工(株)製商
品名]7部を均一に混合してインクをつくり、スクリー
ン印刷機で図8のa)の押釦スイッチ用カバー部材のキ
ートップ天面に文字印刷を行ない、オーブンで130
℃,40分の熱処理を行ったところ、文字部とキートッ
プ部が良く接着し、耐摩耗性にすぐれた文字印刷が付い
た図8のb)の押釦スイッチ用カバー部材が得られた。
【0055】
【発明の効果】本発明は押釦スイッチ用カバー部材の製
造方法に関するものであり、これは前記したような分子
鎖末端に不飽和基を有する二官能性化合物および/また
は多官能性化合物と有機過酸化物とからなる液状のキー
トップ用組成物を金型のキートップ部に注入してキート
ップ形状に転写したのち加熱し部分架橋して流動性を失
わせたのち、未加硫のゴム材料と有機過酸化物とからな
る組成物を金型内に装入し加圧加熱して架橋体脚部を形
成させると共に、架橋体キートップと架橋体脚部とを共
架橋一体化してなることを特徴とするものである。
【0056】これによればキートップ用組成物を液体状
とし金型のキートップ部に注入して、必要に応じて加圧
下にキートップ形状を転写させるため、加工が難しく長
い所要工数を要した賦形工程がいらなくなるし、またキ
ートップ用組成物が部分架橋して流動性が失ってから脚
部用組成物を装入し加圧するので、キートップ用組成物
が脚部に流れ込むことがなく、脚部用組成物のインジェ
クション成形やコンプレッション成形における金型内へ
の装入位置やコンプレッション成形での脚部用組成物の
装入形態が単純となり、金型のコストダウンが図れた
り、脚部用組成物の装入形態づくり工程を省力化でき、
脚部用組成物の金型への装入にインジェクションや押し
出機が使用できるようになり自動化が進めることができ
る。
【0057】また、これによればキートップ用組成物が
液状つまり無定形になったため、従来キートップ用組成
物を熱可塑性とし賦形体として扱っていた時に比べ、位
置決め操作、送り操作や装入操作が容易となり自動化・
省人化が図りやすくなり、またキートップ用組成物も液
状にすることによって、この液状組成物の調整から金型
のキートップ部に注入するまでほとんど密閉系内で扱う
ことができるようになるので、キートップの異物不良や
汚れ不良が激減し合格率が向上した。なお、本発明によ
れば硬さがIRHD90以上であるキートップ部と硬さ
がIRHD80未満で反撥弾性率が40%以上である脚
部とを共架橋接着した、硬質指触感にすぐれソフトな押
圧感を与える押釦スイッチ用カバー部材を高い生産性で
かつ安価に提供できるという有利性が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図のa)〜c)は実施例1による押釦スイッチ
用カバー部材製造方法におけるキートップ用組成物の注
入からゴム組成物の装入までの工程の縦断面図を示した
ものである。
【図2】図のa)〜b)は実施例1による押釦スイッチ
用カバー部材製造方法における脚部材の成形、共架橋、
製品脱型の縦断面図を示したものである。
【図3】図のa)〜c)は実施例2による押釦スイッチ
用カバー部材製造方法におけるキートップ用組成物の注
入,押圧の縦断面図を示したものである。
【図4】図のa)〜c)は実施例2による押釦スイッチ
用カバー部材製造方法におけるキートップ部の成形、ゴ
ム部材の装入、成形の縦断面図を示したものである。
【図5】実施例2における押釦スイッチ用カバー部材脱
型の縦断面図を示したものである。
【図6】実施例3による押釦スイッチ用カバー部材製造
方法の斜視図を示したものである。
【図7】実施例3による押釦スイッチ用カバー部材製造
方法の縦断面図を示したものである。
【図8】図のa)〜b)は実施例3で得られた押釦スイ
ッチ用カバー部材の斜視図を示したものである。
【符号の説明】
1 シリンジ 2 彫り込み型 3 浮き出し型 4 ディスペンサー 5 液ダレ防止弁 6 ニードル 7,16 段差 9 金型キートップ部 10 キートップ部 11 脚部 12 押釦スイッチ用カバー部材 13 突起部 14 押圧具 15 スリット
【表1】
【表2】

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A)1)分子鎖末端にR2 C=CR−CH
    R−基、R2 HC−CR=CR−基、および/またはR
    2 C=C(CHR2 )−基(ここにRは水素原子または
    非置換または置換の1価炭化水素基)で示される不飽和
    基を有する二官能性化合物、および/または 2)R2 C=CR−CHR−基、 【化1】 2 HC−CR=CR−基、 【化2】 および/またはR2 C=C(CHR2 )−基(Rは前記
    に同じ)で示される不飽和基を分子内に少なくとも3個
    有する多官能性化合物、 でこれらの未反応の不飽和基の濃度が7×10-4モル/
    ml以上に調整された化合物と有機過酸化物とからなる
    架橋した時に硬さIRHDが90以上となる液状のキー
    トップ用組成物を金型のキートップ部に注入してキート
    ップ形状に転写したのち、加熱し部分架橋して流動性を
    失なわせ、 B)未架橋のゴム材料と有機過酸化物とからなるゴム組
    成物で、架橋した時に硬さがIRHD80未満で反撥弾
    性率が40%以上のゴム弾性体となる脚部用組成物を金
    型内に装入して加圧加熱して架橋体脚部を形成させると
    共に、 C)A)の架橋体キートップとB)の架橋体脚部とを共
    架橋一体化してなることを特徴とする押釦スイッチ用カ
    バー部材の製造方法。
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