JP3786516B2 - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、熱可塑性樹脂の射出成形、射出圧縮成形などの成形に際し、熱可塑性樹脂成形品の表面を、その成形型内で被覆剤により被覆する、熱可塑性樹脂成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、自動車、弱電関係、あるいは、建材などに使用される熱可塑性樹脂成形品には、メタリック感を必要とする場合、アルミニウム顔料を含有した塗料が塗装されることが多くなってきたが、この塗装のために、塗装設備を別に用意しなければならず、また、塗装のための工数、塗装によって発生する揮発性有機溶剤を低減させるための設備増大等から、このような樹脂成形品は、多大のコストがかかっている。
このような状況から、熱可塑性樹脂成形品にあらかじめアルミニウム顔料などで着色し、塗装工程を省略しようとする試みがあるが、アルミニウム顔料の金型内流動時の配向やウエルドラインの発生により外観不良が生じたり、熱可塑性樹脂成形品の表面硬度が低く、容易に表面に擦り傷がついたり、耐候性に劣り、光により表面光沢が低下したり、チョーキングにより、商品価値が低下する欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、熱可塑性樹脂の射出成形、射出圧縮成形などの成形に際し、熱可塑性樹脂成形品の表面を、その成形型内で被覆剤により被覆する、熱可塑性樹脂成形品の製造方法に関する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、熱可塑性樹脂成形品の付加価値を効率よく高めるために、所定の色に着色された熱可塑性樹脂成形材料を、可動型と固定型とで形成されたキャビティ内に、射出成形法又は射出圧縮成形法により、成形し、同一金型内にて、得られた成形品と金型内壁との間に、被覆剤を注入し、該被覆剤が硬化した後、被覆された成形品を金型から取り出す諸工程を含む、樹脂成形品の製造方法において、該被覆剤が、
(A)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、又は不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも1種 100重量部
(B)エチレン性不飽和モノマー 20〜200重量部
(C)平均粒子径5〜150μm 、アスペクト比5〜100の鱗片状顔料と、平均粒子径5〜50μm 、アスペクト比1 . 5〜5未満の鱗片状顔料との重量比が50/1〜1/60の混合物
0.1〜25重量部
(D)重合開始剤 0.5〜15重量部
を含有し、かつ隠ぺい率が塗り付け量 1 ml/100cm2のとき0.6以下であることを特徴とする。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用する、着色された熱可塑性樹脂成形材料としては、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、あるいは、これらの組み合わせによるポリマーアロイ、更には、これらの材料を、繊維状あるいは鱗片状のフィラーなどで強化した複合材料などを挙げることができる。また、着色には、顔料あるいはマスターバッチと呼ばれる樹脂着色剤を利用することが出来る。
【0006】
また、本発明の被覆剤としては、A成分としては、具体的には、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂あるいはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記エポキシアクリレートオリゴマーは、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸とをエポキシ基1当量当たり、カルボキシル基当量0.5〜1.5となるような割合で、通常のエポキシ基への酸の開環付加反応によって製造される。
前記不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸が代表的なものとして挙げられる。
エポキシ化合物としてはビスフェノールA型エポキシ、フェノール性ノボラック型エポキシ等が代表的なものとして挙げられる。
【0007】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを、一括混合して反応させることによって得ることができる。また、他の方法として、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させて、1分子当り1個以上のイソシアネート基を含むウレタンイソシアネート中間体を形成し、次いで、この中間体とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート基とを反応させる方法、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させて、1分子当り1個以上のイソシアネート基を含むウレタン(メタ)アクリレート中間体を形成し、次いで、この中間体とジオール化合物とを反応させる方法等が挙げられる。
なお、前記有機ジイソシアネートとして各種公知のものを用いることができ、その具体例として、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトエタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の有機ジイソシアネートを挙げることができる。
【0008】
これらジイソシアネートは、単独でもまたそれら相互の混合物として用いても良い。
前記有機ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレンジオール、ジカルボン酸又はその無水物のジエステル反応生成物であるジエステルジオールが代表的なものとして挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、一般式:
CH2 =CRCO2 −(Cn 2n) −OH
(但し、Rは−H又は−CH3 であり、nは2〜8の正数である)で示される化合物が有用である。
【0009】
前記ポリエステルアクリレートオリゴマーは、例えば、水酸基を末端に有するポリエステルポリオールと、前述の不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。
また、前記ポリエーテルアクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールと、前述の不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。
また、前記不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、マレイン酸や、フマール酸などの不飽和二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールとの縮合反応によって製造することができる。
【0010】
本発明で使用するエチレン性不飽和モノマー(B成分)としては、例えば、スチレンや、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、メチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、シリコンアクリレート、シリコンジアクリレート等が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。エチレン性不飽和モノマーの配合量は、前記A成分100重量部に対し、20〜200重量部、好ましくは40〜160重量部が適当であり、この範囲で適度な硬化特性と粘性とを有する被覆組成物が得られる。
本発明で使用する鱗片状顔料(C成分)は、具体的にはアルミニウムや、ニッケル、グラファイト、酸化チタンなどで表面処理した雲母、真鍮や銀などで表面被覆したガラスフレーク等が代表的なものとして挙げられる。なお、鱗片状顔料は、熱可塑性樹脂成形品の色を完全に隠ぺいすることなく、即ち、熱可塑性樹脂成形品の色を生かしつつ、被覆剤中の鱗片状顔料による高輝度感によってメタリック調外観を生じさせ、更には、鱗片状顔料の配向によるウエルドラインを防止するため、特定の粒子径とアスペクト比とを持つことが必要である。
【0011】
本発明で使用する重合開始剤(D成分)は、前記ビヒクル成分(A成分)及び(B成分)を重合させるために使用する。重合開始剤としては、例えば、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートや、ターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリアミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が代表的なものとして挙げられる。
【0012】
本発明の被覆剤は以上説明したA〜D成分を必須成分として含むものからなるが、その他必要に応じて、離型剤や、重合禁止剤、重合促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を配合することができる。また、被覆剤の流動特性を改善する目的で、無定形シリカや、微粒子樹脂粉末を配合することもできる。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛や、ステアリン酸カルシウム、大豆油レシチン、リン酸エステル等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノンや、ベンゾキノン、パラターシャリブチルカテコール等が挙げられる。
重合促進剤としては、ナフテン酸コバルトや、オクチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉛等が代表的なものとして挙げられる。
【0013】
紫外線吸収剤及び光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、トリアジン系紫外線吸収剤が代表的なものとして挙げられる。
本発明の被覆剤は、以上説明したものからなるが、被覆剤によって、着色された熱可塑性樹脂成形品を完全に隠ぺいすることなく、樹脂成形品の色を生かし、被覆剤によって色の深みを生み出させるため、被覆剤の隠ぺい率として、塗り付け量1ml/100cm2 のとき0.6以下、好ましくは0.4以下である。
更に、本発明の被覆剤は、鱗片状顔料の配向を防止するため、鱗片状顔料として、平均粒子径5〜150μm 、アスペクト比5〜100のものと、平均粒子径5〜50μm 、アスペクト比1.5〜5未満のものとの重量比が50/1〜1/60、好ましくは10/1〜1/50の混合物とする
【0014】
以下、本発明の熱可塑性樹脂成形品の製造方法を実施するための射出成形機の構成及びその成形型を、図面を参照しながら、具体的に説明する。図1において、符号1は射出成形機の型締め装置の固定盤、2は可動盤であり、それぞれ互いに対向する成形用型部材3及び4を備えている。可動盤2は型締めシリンダ5によって進退動作される構成になっている。そして、両型部材3及び4の嵌合箇所には、所要形状のキャビティ6が形成されていて、この中に溶融もしくは軟化状態の熱可塑性樹脂成形材料が充填され、固化される。熱可塑性樹脂成形材料を充填する場合、上記キャビティ6には、スクリューを有する射出シリンダ7から、ノズル8及び9を介して、熱可塑性樹脂成形材料が注入できるようになっている。なお、図中符号10は、離型時のエジェクタピンである。
【0015】
一方、図1に示す実施例での被覆剤の注入手段としては、シャットオフピン11Aを備えたインジェクタ11、上記インジェクタ11に所定量の被覆剤を供給する被覆剤計量シリンダ12、及び、被覆剤をその貯蔵部13から上記計量シリンダ12に供給するための供給ポンプ14が装備されている。なお、上記計量シリンダ12には被覆剤注入用のプランジャーレギュレータ12Aが備えられている。
成形に際しては、先ず、型締めシリンダ5を動作して、金型(成形用型部材3及び4)を閉じ、型締め圧を付加する。この型締め圧は、熱可塑性樹脂成形材料の射出圧力に対抗できる必要がある。通常この射出圧力は、ノズル8の部分で800〜2,500Kgf/cm2 の高圧である。この過程で、供給ポンプ14が作動し、計量シリンダ12に必要な量の被覆剤を供給する。
【0016】
次いで、射出シリンダ7から、可塑化された熱可塑性樹脂成形材料がノズル8を経由してキャビティ6内に射出される。上記熱可塑性樹脂成形材料が、金型内で適正に(被覆剤の注入・流動圧力に耐える程度に)固化した段階で、上記型締め圧をそのまま、又は低減、又は両型部材3及び4をその嵌合部が離れない程度に開放する。次いで、インジェクタ11は、そのシャットオフピン11Aを動作し、その注入口を開放する。次いで、計量シリンダ12の被覆剤注入用のプランジャーレギュレータ12Aを動作し、キャビティ6、即ち、型部材3の内壁と熱可塑性樹脂成形品表面との間に被覆剤を充填させる。
再びシャットオフピン11Aを閉じた後、必要に応じ、型締めシリンダ5を動作させ型締め操作を行い、型内で被覆剤を硬化させる。
次いで、型締めシリンダ5を動作させ、両型部材3及び4を離間し、被覆された成形品を金型から取り出す。
【0017】
【実施例】
以下、本発明について更に実施例等により詳細に説明する。
実施例1、比較例1
長さ200mm、幅150mm、高さ10mmの箱形状の熱可塑性樹脂成形品を得るためのキャビティを有する金型で、成形品に対する型内被覆を実施する場合に、上記金型温度を型部材3を120℃、型部材4を115℃に設定して、先ず黒色に着色されたポリアミド樹脂を射出シリンダー7内に充填し、220〜240℃に加熱溶融し、300トンの型締め圧力で型締めされた金型内に約3秒かけて射出し、10秒間冷却した。
次いで、型締め圧力を5トンに減圧した後、以下の表1に記載した各被覆剤を計量シリンダに、3cm3 計量した。そして、キャビティ6内に約3秒かけて注入した。
注入完了後、型締め圧力を2秒かけて15トンまで加圧し、60秒間保持し被覆剤を硬化させた。
【0018】
〔表1〕 表1


被覆剤組成物 No. ( *) ( *) C D
ウレタンアクリレートオリゴマー(1) 100.0 100.0 100.0 100.0
スチレン 45.0 150.0 45.0 150.0
エベクリルEB350 5.0 5.0 5.0 5.0
ステアリン酸亜鉛 1.5 2.5 1.5 2.5
チヌビン292 1.5 2.5 1.5 2.5
チヌビン1130 0.8 1.2 0.8 1.2
8%コバルトオクトエート 0.8 1.0 0.8 1.0
t-アミルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート 1.0 1.5 1.0 1.5
アルミ顔料(A) − 5.0 5.0 0.1
アルミ顔料(B) 0.3 0.1 0.5
隠ぺい率 0.3 0.1 0.2 0.4
注) ( *)参考例を意味する。以下の表においても同様。
【0019】
【表2】
表1(続き)
Figure 0003786516
ウレタンアクリレートオリゴマー(1);1,3 −ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン 582重量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのε−カプロラクトン付加物(平均分子量500) 500重量部、3−ヒドロキシプロピルアクリレート 533重量部(モル比3:1:4.1)から合成した、ウレタンアクリレートオリゴマー
(アクリレート基の数2個)
エベクリルEB350;シリコンアクリレート(ダイセルユーシーピー社製)
チヌビン292、チヌビイ1130;チバガイギー社製
アルミ顔料(A);平均粒子径25μm 、アスペクト比2
アルミ顔料(B);平均粒子径30μm 、アスペクト比30
被覆剤が硬化した後、型部材3と4とを離間し、被覆された樹脂成形品を取出した。得られた成形品の外観評価結果を以下の表2に示す。
【0020】
〔表3〕 表2


(*) (*) C D E F G
塗膜の外観 注1) 5 4 3 1 2
鏡面光沢度( 60 ℃)注2) 97 95 97 94 76 70 74
注1)拡散昼光のもとで、目視にて塗面のウエルドラインの発生度合いを5段階
評価(最良 5→最悪 1)
注2)JIS K 5400 7.6による。但し、入射角は60度とする。
【0021】実施例2
長さ200mm、幅150mm、高さ10mmの箱形状の熱可塑性樹脂成形品を得るためのキャビティを有する金型で、成形品に対する型内被覆を実施する場合に、上記金型温度を型部材3を110℃、型部材4を105℃に設定して、先ず黒色に着色された変性ポリフェニレンエーテル樹脂を射出シリンダ7内に充填し、250〜270℃に加熱溶融し、300トンの型締め圧力で型締めされた金型内に約3秒かけて射出し、30秒間冷却した。
次いで、型締めシリンダ5を作動させ、型部材3と4とを約100μm 離間し、以下の表3に記載した各被覆剤を計量シリンダ11に、3cm3 計量した。そして、キャビティ6に約1秒かけて注入した。
【0022】
〔表4〕 表3

実施例2
被覆剤組成物 No. (*)
ウレタンアクリレートオリゴマー(1) 100.0 100.0
トリプロピレングリコールジアクリレート 60.0 60.0
ステアリン酸亜鉛 1.0 1.0
チヌビン292 1.6 1.6
チヌビン1130 0.8 0.8
8%コバルトオクトエート 0.5 0.5
t−アミルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート 1.0 1.0
MR−2G 2.0 2.0
アルミ顔料(A) 1.0 −
アルミ顔料(C) 0.2 −
クリスタルスターGF1145 − 1.0
隠ぺい率 0.3 0.2
MR−2G;架橋アクリル樹脂微粒子、平均粒子径約1μm(綜研化学社製)
アルミ顔料(C);平均粒子径22μm 、アスペクト比85
クリスタルスターGF1145;Ag被覆ガラスフレーク、平均粒子径40μm 、
アスペクト比10(東洋アルミ社製)
注入完了後、型締め圧力を2秒かけて15トンまで加圧し、60秒間保持し被覆剤を硬化させた。
被覆剤が硬化した後、型部材3と4とを離間し、被覆された樹脂成形品を取り出した。
得られた成形品の外観は、実施例1と同様に、ウエルドラインのない、優れたものであった。
【0023】
実施例3
長さ200mm、幅150mm、高さ10mmの箱形状の熱可塑性樹脂成形品を得るためのキャビティを有する金型で、成形品に対する型内被覆を実施する場合に、上記金型温度を型部材3及び4を90℃に設定して、先ず赤色に着色されたABS樹脂を射出シリンダ7内に充填し、220〜240℃に加熱溶融し、300トンの型締め圧力で型締めされた金型内に約3秒かけて射出し、30秒間冷却した。
次いで、型締め圧力1トンに減圧した後、以下の表4に記載した各被覆剤を計量シリンダ11に、3cm3 計量した。そして、キャビティ6に約3秒かけて注入した。
【0024】
〔表5〕 表4

実施例3
被覆剤組成物 No. (*)
ウレタンアクリレートオリゴマー(1) 100.0 100.0
1,6 −ヘキサンジオールジアクリレート 60.0 60.0
Zelec−UN 0.8 0.8
チヌビン292 1.6 1.6
チヌビン1130 0.8 0.8
8%コバルトオクトエート 1.6 1.6
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル) 1.6 1.6
パーオキシジカーボネート
MR−2G 2.0 2.0
アルミ顔料(A) 1.0 −
アルミ顔料(B) 0.1 −
クリスタルスターGF1145 1.0
隠ぺい率 0.2 0.2
Zelec−UN;非中和性リン酸塩アルコール(デュポン社製)
注入完了後、型締め圧力を2秒かけて15トンまで加圧し、60秒間保持し被覆剤を硬化させた。
被覆剤が硬化した後、型部材3と4とを離間し、被覆された樹脂成形品を取出した。
得られた成形品の外観は、実施例1と同様に、ウエルドラインのない、すぐれたものであった。
【0025】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、熱可塑性樹脂成形品の表面を、その成形型内で被覆剤により被覆する、塗膜外観に優れた熱可塑性樹脂成形品の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用した射出成形機及びその成形型を示す図。
【符号の説明】
1 型締め装置の固定盤
2 型締め装置の可動盤
3,4 型部材
5 型締めシリンダ
6 キャビティ
7 射出シリンダ
8 ノズル
9 スプルー
10 エジェクタピン
11 インジェクタ
11A シャットオフピン
12 計量シリンダ
12A プランジャーレギュレータ
13 被覆剤貯蔵部
14 供給ポンプ

Claims (1)

  1. 所定の色に着色された熱可塑性樹脂成形材料を、可動型と固定型とで形成されたキャビティ内に、射出成形法又は射出圧縮成形法により、成形し、同一金型内にて、得られた成形品と金型内壁との間に、被覆剤を注入し、該被覆剤が硬化した後、被覆された成形品を金型から取り出す諸工程を含む、樹脂成形品の製造方法において、該被覆剤が、
    (A)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、又は不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも1種 100重量部
    (B)エチレン性不飽和モノマー 20〜200重量部
    (C)平均粒子径5〜150μm 、アスペクト比5〜100の鱗片状顔料と、平均粒子径5〜50μm 、アスペクト比1 . 5〜5未満の鱗片状顔料との重量比が50/1〜1/60の混合物
    0.1〜25重量部
    (D)重合開始剤 0.5〜15重量部
    を含有し、かつ隠ぺい率が塗り付け量1ml/100cm2 のとき0.6以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
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