JP2608113B2 - 不整地用二輪車タイヤ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、不整地用二輪車タイヤに関し、特に該タイ
ヤの操縦安定性の向上に寄与するトレッド部のブロック
形状に関する。

（従来の技術） 従来、不整地用二輪車タイヤは、第３図に示す様に、
トレッド部101の踏面側に、ブロックタイプのトレッド
パターンを有し、該パターンは深溝102により多数のブ
ロック104に区分されており、タイヤ回転軸方向最外側
に位置するブロックの同様最外側表面のタイヤ半径方向
内側（以下半径方向内側と記す）端縁位置103は、通常
タイヤサイドウオール最大幅位置付近でサイドウオール
に接続している。また、タイヤのカーカス構造は主とし
てバイアス構造であるが、ラジアル構造のものもある。

（発明が解決しようとする課題） 不整地用二輪車タイヤの内圧は、通常0.6〜1.0kgf/cm
²の低内圧で使用されるため、キャンバがかかるコーナ
リング時には、踏面最外側に位置するブロックによじれ
が発生し、更には、タイヤのケース（ブロックを除く部
分）自体の変形も生じることになり、これらの現象が運
転者（ライダ）に、タイヤの腰の弱さいわゆる腰砕け感
として体感され、操縦性及び安定性に不安感をもたらす
という問題があった。

この問題を改善するために、従来よりタイヤケースの
剛性を高める方法がとられている。しかし、この方法で
は、重量の増加をまねくとともに、全体的なケース剛性
が高められる結果、全体として硬いタイヤとなり、不整
地走破性能の劣下が余儀なくされていた。

そこで、本発明は、タイヤトレッド部のブロック及び
サイドウオール双方の形状に着目して、タイヤトレッド
部の踏面の最外側に位置するブロックの、タイヤ回転軸
方向最外側でサイドウオールに連なる表面のタイヤ半径
方向内側縁位置を規定することにより、優れた不整地走
破性能を保持した上で、操縦安定性能の良い不整地用二
輪車タイヤを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上述の目的を達成するため、本発明の不整地用二輪車
タイヤは、トレッド部の踏面側に多数個のブロックを配
置して成るブロックパターンを備える不整地用二輪車タ
イヤにおいて、 上記多数のブロックのうち踏面の最外側に位置するブ
ロックの、タイヤ回転軸方向最外側でサイドウオールに
連なる表面の半径方向内側縁を、ビードベース位置から
測った、その位置からタイヤサイドウオール最大幅位置
までの高さ（Ｈ）の1/3〜2/3高さの範囲内に位置させて
なるものである。

（作用） 本発明は、0.6〜1.0hgf/cm²の低内圧の使用において
は、ゴムの剛性がタイヤとしての剛性感、すなわち腰の
弱さ、強さへの寄与が大きいことに着目し、トレッド部
の踏面側に設けた多数個のブロックのうち最外側ブロッ
クにおける、タイヤ回転軸方向（以下軸方向と略記す
る）最外側でサイドウオールに連なる表面（以下最外側
表面と略記す）の半径方向内側端縁を、サイヤサイドウ
オール最大幅位置高さＨの1/3H〜2/3H高さに位置させる
ことにより、サイドウオールの半径方向内側深くに、い
わばゴムの骨としての補強部分を十分に張り出させるこ
とになる。従ってこれまでは従来タイヤのケース剛性を
高めて剛性感を出していたのに対し、本発明タイヤで
は、操縦安定性に難をもつ従来タイヤのケース剛性を高
めずにむしろケース剛性を下げ、重量を低減させても、
コーナリング時に、上記従来タイヤを大幅に上廻るサイ
ドウオール剛性が得られ、その結果腰砕け感が解消され
て、優れた操縦安定性能を発揮することができる。

同時に、ケース剛性を高める必要はなく、むしろ低め
ることもできるので、その結果不整地走破性能の保持は
もとより、この性能をより一層向上させることもでき
る。

また本発明は、ラジアル構造との組み合わせに好適で
あり、ラジアル構造の不利な点である横剛性の弱さを十
分に補い、コーナリング性能向上に対し顕著な効果が得
られる。

（実施例） 本発明を実施例に基づいて以下詳細に説明する。

第１図は、二輪車タイヤで、サイズが110/100-18の本
発明の実施例の子午断面左半要部の一部斜視図であり、
図において、トレッド部１の踏面側は溝２により多数個
のブロック４に区分されたブロックタイプのトレッドパ
ターンで構成され、これら多数個のブロックのうち踏面
最外側ブロックの軸方向最外側表面の半径方向内側端縁
位置３は、ビードベース位置６から測ったタイヤサイド
ウオール最大幅位置５までの高さＨに対し1/3H〜2/3Hの
高さ範囲内に位置させている。

この例では、上記最外側ブロックの半径方向内側端縁
位置３は、該ブロックの軸方向最外側表面がタイヤサイ
ドウオール外輪郭表面に接して終焉している。

第２図は第１図の実施例と同サイズのタイヤにおける
本発明の一変形例を第１図と同様にあらわした斜視図で
ある。

第２図に示すタイヤのトレッド部１の踏面側は、先の
第１図に示した実施例と同じくブロックタイプのトレッ
ドパターンで構成され、溝２も深く、踏面最外側ブロッ
クの先に述べた半径方向内側端縁位置３は、ビードベー
ス位置６から測ったタイヤサイドウオール最大幅位置５
までの高さＨに対し1/3H〜2/3Hの高さ範囲内に位置し
て、サイドウオールの外輪郭表面と連続している。

この変形例が、先の実施例と異なるところは、踏面最
外側ブロックの軸方向最外側表面が半径方向内側端縁付
近で、サイドウオール外輪郭表面から隆起している点に
ある。

従来タイヤと本発明タイヤとの性能比較結果を比較例
タイヤと併せ第１表に示す。表中、従来タイヤ及び比較
例タイヤが構成上実施例1,2と異なる点は、前者の踏面
最外側ブロックの軸方向最外側表面の半径方向内側端縁
位置がサイドウオール最大幅位置に存するところにな
る。

実施例１は第１図に示したブロック構成を持つもの
で、実施例２はそれと同一のブロック構成を持ち、かつ
ケース剛性を下げたものである。

性能比較項目及び評価方法を下記する。

ケース剛性：ケースの半径方向曲げ剛性を算出し使用。

クッション性・コーナリング時の操縦安定性：実車走行
テストにおけるライダのフィーリング評価。

テスト車両：モトクロス250cc、 走行路面：ハード路、 ライダ：国際Ａ級ライセンスをもつ２名、 タイヤ重量。

また、性能比較およびタイヤ重量はいずれも従来タイ
ヤを100とした指数で示し、クッション性及び操縦安定
性は値が大なる程良く、タイヤ重量は小なる程良い。

（効果） 第１表からわかるように、コーナリング時の操縦安定
性を向上させるため、ケース剛性を高めた比較例では、
この性能は向上する反面、タイヤ重量が増加し、クッシ
ョン性も悪くなる。

ケース剛性を従来タイヤと同等にした実施例１では、
コーナリング時の操縦安定性が従来タイヤと対比して20
％も飛躍的に向上する。

更に、タイヤとしてのバランスを考え、コーナリング
時の操縦安定性を従来タイヤ対比10％向上程度に抑えた
実施例２では、ケース剛性は、従来タイヤ対比10％減で
も良く、その結果タイヤ重量の低減もはかれ、クッショ
ン性も良好とすることができる。

以上のように、本発明では、トレッド部に設ける多数
個のブロックのうち最外側ブロックの配設領域を従来技
術に比し、より拡げることにより、タイヤの重量の増加
なしにタイヤの腰砕け感を解消することができ、コーナ
リング時の操縦安定性を向上させることができ、あわせ
てクッション性も向上させることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明による不整地用二輪車タイヤの
子午断面左半要部の一部斜視図である。 第３図は従来の不整地用二輪車タイヤの第1,2図同様一
部斜視図である。 １……トレッド部 ２……トレッド溝 ３……最外側ブロックの軸方向最外側表面の半径方向内
側端縁位置 ４……タイヤトレッド部のブロック ５……タイヤサイドウオール最大幅位置 ６……タイヤビードベース位置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トレッド部の踏面側に多数個のブロックを
   配置して成るブロックパターンを備える不整地用二輪車
   タイヤにおいて、 上記多数のブロックのうち踏面の最外側に位置するブロ
   ックの、タイヤ回転軸方向最外側でサイドウオールに連
   なる表面の半径方向内側縁を、ビードベース位置から測
   った、その位置からタイヤサイドウオール最大幅位置ま
   での高さ（Ｈ）の1/3〜2/3高さの範囲内に位置させてな
   る不整地用二輪車タイヤ。