JP2607424B2 - 低品位炭及び泥炭の利用 - Google Patents

低品位炭及び泥炭の利用

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は低品位炭又は泥炭の組成
物、安定化（水性）スラリーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】低品位
炭は炭質燃料例えば亜炭、褐炭及び亜瀝青炭を含む。前
記低品位炭の各々は多量の水を含むので好ましくない。
泥炭も又高い内部水含有率を有する炭質燃料である。前
記問題は全ての石炭に共通しているけれども、より高品
質の石炭例えば無煙炭及び瀝青炭においては、前記石炭
の水分含有率が通常より低くそして発熱量がより高いの
で、前記問題はあまりきびしくはない。
【０００３】生産されたままの低品位炭及び泥炭は通常
は２０ないし６５重量％の水を含む。前記石炭及び泥炭
の多くは燃料として望ましく且つ非常に豊富にあると思
われるので、燃料としての前記のより低品位の石炭及び
泥炭の使用は、それが水を高いパーセンテージで含むと
いう事実によって非常に妨げられていた。燃料としての
使用のために前記石炭又は泥炭を乾燥する試みは、乾燥
後貯蔵、輸送及び同様の事柄において自然発火及び燃焼
を起すという前記石炭の傾向によって妨げられていた。
【０００４】前記低品位炭及び泥炭に必要とされる乾燥
においては、存在する表面水と多量の内部水の両方を除
かなければならない。対照的に、より高級な石炭を乾燥
する場合には、より高級な石炭の間隙水含有率が比較的
低いので、乾燥は通常石炭粒子表面から表面水を取り除
く目的のためであって間隙水を取り除く目的のためでは
ない。より高級な石炭を含む石炭乾燥方法は非常に低い
加熱温度を利用し、そして乾燥機から出てくる前記石炭
はしばしば１１０゜Ｆ（４５℃）以下の温度を有してい
る。対照的に、間隙水の除去方法はより長い滞留時間を
必要とし、そして石炭又は泥炭粒子の内部の加熱を引き
起す。間隙水の除去のための乾燥工程から出てくる石炭
は通常は１３０゜Ｆないし２５０゜Ｆ（５４℃ないし１
２１℃）の温度であろう。得られる乾燥石炭又は泥炭は
貯蔵、輸送及び同様の事柄の間に自然に発火する強い傾
向を有し、そして又、割れ、砕け、及び崩壊して非常に
容易に微細な爆発性粉塵になる傾向がある。
【０００５】低品位炭及び泥炭が今まで可能であったよ
りも更に広く使用されるために利用することができるこ
とが強く望まれている。低品位炭及び泥炭は通常は比較
的低い硫黄含有率を有し、これは非常に望ましい性質で
ある。低品位炭及び泥炭の多量の滞積物が世界中に認め
られ、そして未開発のエネルギー源として多量に残って
いる。しかしながら、低品位炭及び泥炭内の多量の水
は、前記燃料がその望ましい低硫黄含有率のために船積
みされそして燃焼される場合に、運賃は多量の水の船積
みを含むであろうことを意味する。寒冷な気候では、凍
った低級石炭及び泥炭はそれが鉄道車輌及び輸送設備の
両方を凍らせ且つ両方に接着するので輸送が非常に難し
い。発熱量も又、前記燃料の大部分が可燃性瀝青物質と
いうよりもむしろ水なので、高級石炭よりも非常に低
い。多くの炉は前記より低発熱量の燃料を燃焼させるた
めに適合しないので、低品位炭及び泥炭は通常使用され
ないか、又は使用される場合は、その結果実質的に加熱
ボイラー容量及び効率をより低下させる。しかしなが
ら、水含有率が減少する場合には、その際前記燃料の非
常に多くの部分が可燃性瀝青物質からなるので発熱量が
上る。
【０００６】皆が間隙水を除いて低品位炭を乾燥するこ
とを試みた。フィッシャー（Ｆｉｓｈｅｒ）等、アメリ
カ合衆国特許第４３５４８２５号明細書中では、石炭を
加熱ガスを用いて２００゜Ｆ（９３℃）に乾燥し、次い
で火災の危険を減少させるために迅速に冷却する。冷却
後、石炭に酸化速度を減少させるために油を用いて噴霧
する。
【０００７】イシザキ（Ｉｓｈｉｚａｋｉ）等、アメリ
カ合衆国特許第４２０３７２９号明細書中には、石炭分
散油組成物の製造方法が記載されており、その方法によ
ると高水分含有石炭を最初に微細粉末に粉砕後乾燥す
る。この粉末を石油と混合し、次いで１００−１５０℃
（２１２−３００゜Ｆ）の間に加熱する。微粉砕粉末は
間隙水が石炭表面に接近しているので迅速に脱水され
る。
【０００８】リー（Ｌｉ）等、アメリカ合衆国特許第４
３９６３９４号明細書中では、低品位炭を加熱ガスを用
いて乾燥するまで加熱し、次いで冷却ゾーンに入れる。
乾燥石炭は冷却前に部分的に酸化してもよいし、そして
又乾燥石炭を適する不活性化液体と接触させて不活性化
してもよい。不活性化液体はスキンナー（Ｓｋｉｎｎｅ
ｒ）等、アメリカ合衆国特許第４３９６３９５号明細書
中に記載されている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】亜炭、褐炭及び亜瀝青炭
並びに高水分含有率を有する泥炭を水分含有率を減少さ
せ、ＢＴＵ含有率を増大させるために乾燥する。採掘し
た石炭を最大粒径が直径３インチを越えないように砕
く。泥炭の場合には、チヤンク（ｃｈｕｎｋ）として採
取するか又は押圧してペレットにする。好ましくは、平
均粒径は直径が１／２インチと３インチの間であり、そ
して最も好ましくは直径が１／２インチと１インチの間
である。
【００１０】粗粉砕低品位炭又は採取泥炭は次いで油中
に浸積し、３００−４４０゜Ｆ（１５０−２２７℃）の
間の温度に加熱する。加熱工程の間に使用した油は低品
位炭又は泥炭粒子に浸透し且つそれを被覆し、そして含
浸水分を部分的に置換する。塗膜は物質を酸化及び自然
発火から保護するだけでなくＢＴＵ含有率を増大させる
ことによって燃焼性を改良する。
【００１１】水分を５重量％以下に除去した後、油をこ
すか又は遠心分離によって再使用のために抜き取る。
【００１２】濾過及び又は遠心分離後、加熱物質をその
潜熱がいかなる残留水分並びに低及び中程度の揮発油を
も取り除く傾向を示す別の断熱容器内に置くのが好まし
い。油含有率を更に減少させるために追加の熱を加えて
もよい。酸化及び自然発火を妨げるために十分な油が低
品位炭又は泥炭上に残らなければならない。４００−４
５０゜Ｆ（２０４−２３２℃）のより高温での初期加熱
は、乾燥時間を減少させ、そして石炭又は泥炭からより
低揮発性油を追い出すために必要な潜熱を提供する。
【００１３】冷却後、乾燥低品位炭又は泥炭生成物は通
常ポンド当り９０００ないし１３０００ＢＴＵを越える
発熱量を有し、そして直接船積みしてもよいし又は微細
に粉砕してもよいし、更に又石炭−油又は石炭−水混合
燃料に加工してもよい。本文中で使用する“石炭”は増
大したＢＴＵ含有率を有する乾燥泥炭を含み得るものと
理解すべきである。
【００１４】乾燥装置から排出される水蒸気及び油蒸気
は凝縮器を通し次いで水−油分離器を通すのが好まし
い。油は次いで別の再精製高品質油副生成物に加工する
か又は乾燥系に再循環することができる。廃油又は他の
高温蒸留点油を使用する場合は、系はおそらく凝縮器の
使用を認めるほど十分多量の油蒸気を含まないだろう。
【００１５】第二状態調節反応装置から出る油蒸気は、
非常に少量の水蒸気がまだ存在するので別の凝縮器を通
過させるのが好ましい。この凝縮油は次いで更に公知方
法によって高品質油副生成物に加工する。
【００１６】乾燥、油塗布低品位炭又は泥炭は、各粒子
に完全に浸透し、その結果少量の水は吸収するであろう
がしかし安定な水性又は油懸濁物を形成するために使用
することができる油の薄膜によって保護されている。
【００１７】本発明の石炭−水液体燃料は前記乾燥、油
塗布低品位炭又は泥炭の水性懸濁物からなる。この液体
燃料は油塗布、乾燥低品位炭又は泥炭を７５％−２００
メッシュ又はそれ未満に粉砕することによって得られ
る。
【００１８】即ち、本発明は、油塗布低品位炭及び油塗
布泥炭からなる群から選ばれ、５重量％未満の水分含有
率を有し、７５％−２００メッシュに粉砕された燃料と
水と懸濁安定剤としての澱粉グラフトポリマーとを含
み、重量比で石炭４４ないし７０％、水２９ないし５５
％及び油１ないし５％からなる組成物〔１）と称する〕
に関するものである。
【００１９】好ましい態様は以下のものである。 ２） 低品位炭が亜瀝青炭、亜炭及び褐炭からなる群か
ら選ばれる１）の組成物。
【００２０】又、本発明は、５重量％未満の水分含有率
を有する８ないし２００メッシュの低品位炭４４ないし
７０重量％、水２９ないし５５重量％、油１ないし５重
量％及び懸濁安定、水吸収剤としての澱粉グラフトポリ
マー０重量％より多く０．８重量％以下及び水分散界面
活性剤０重量％より多く０．５重量％以下からなる粉末
低品位炭の安定化水性スラリー〔３）と称する〕にも関
するものである。
【００２１】好ましい態様は以下のものである。 ４） 水分散界面活性剤が洗剤である３）の安定化水性
スラリー。 ５） 油が石油、鉱油、植物油、及びパーム油から選ば
れる３）の安定化水性スラリー。 ６） 油が使用済油又は廃油である３）の安定化水性ス
ラリー。
【００２２】更に、本発明は、５重量％未満の水分含有
率を有する８ないし２００メッシュの石炭４４ないし７
０重量％、水５ないし４５重量％、油５ないし４５重量
％、懸濁安定水吸収ゲル化剤としての澱粉グラフトポリ
マー０．０７５ないし０．８重量％及び水分散界面活性
剤０重量％より多く０．５重量％以下からなる粉末低品
位炭の安定化スラリー〔７）と称する〕にも関するもの
である。
【００２３】好ましい態様は以下のものである。 ８） 水分散界面活性剤が洗剤である７）の安定化スラ
リー。
【００２４】本発明においては、懸濁安定剤又は懸濁安
定、水吸収剤又は懸濁安定水吸収ゲル化剤として澱粉グ
ラフトポリマーを使用する。この澱粉グラフトポリマー
としては、例えば水ゲル吸収剤例えばアメリカ合衆国特
許第３９９７４８４号明細書中に開示されているような
ポリアクリロニトリルの加水分解されケン化された澱粉
グラフトポリマーが好ましい。
【００２５】こうして製造した液体燃料は、以前に重質
残留燃料油を燃していた炉において最少限のバーナー変
更によって用いることができるであろう。
【００２６】
【実施例及び発明の効果】石炭−水液体燃料の製造は、
乾燥油塗布泥炭、亜炭、褐炭又は亜瀝青炭の水性懸濁液
からなるものであってよい。低品位炭を粗粉砕物（平均
粒度は１／４インチを越え且つ３インチ未満）に砕き、
次いで油例えば燃料油、粗油、鉱油、植物油、パーム油
又は廃油、使用済油中に浸漬する。泥炭の場合には、そ
れをソッドチャンク（ｓｏｄ ｃｈｕｎｋ）状に押出す
か又は平均粒度が直径１／２インチを越え３インチ未満
のペレット状に押圧する。石炭又は泥炭を次いで水分含
有率が５重量％未満となるまで、油中で３２５゜Ｆ（１
６３℃）と４４０゜Ｆ（２２７℃）との間の温度に加熱
することによって乾燥する。過剰の油を次いで除く。
【００２７】乾燥油塗布石炭又は泥炭を次いで７５％−
２００メッシュに粉砕するが、最終生成物から作られる
非常に微細な粉砕物はディーゼルエンジン中で燃やされ
るべきである。懸濁安定剤としての澱粉グラフトポリマ
ーを次いで加え、次いで炉、発電装置及び同種のものの
ために有効な燃料である安定なポンプ輸送可能なゲルを
形成するために十分な水を加える。水吸収（ゲル化）剤
（懸濁安定剤が兼ねていてよい）はアメリカ合衆国特許
第３９９７４８４号明細書中に開示されたようなポリア
クリロニトリルの加水分解されケン化された澱粉グラフ
トポリマーであるのが好ましいであろう。典型的な亜炭
水燃料は亜炭４５−７０％、油２−１５％、懸濁安定、
水吸収（ゲル化）剤としての澱粉グラフトポリマー０．
２５−０．７５％、アテアリン酸ナトリウムのようなア
ニオン性界面活性剤又はアルキルホスフェート、アルキ
ルスルフェート又はアルカン硫酸のような薬剤０．１０
ないし０．０２％及び水２０−５０％を含むであろう。
【００２８】界面活性剤（水分散界面活性剤）は工業用
及び家庭用洗剤から選んでよい。リキッド タイド（Ｌ
ｉｑｕｉｄ Ｔｉｄｅ）及びヴェル（Ｖｅｌ）の商標名
の前記のような家庭用洗剤でさえも良好に用いることが
できる。石炭−水燃料１リットル当り洗剤２，３滴でス
ラリーの粘度は相当減少するであろう。
【００２９】石炭−水燃料は又ＳＯ２漏れを減少させる
ために硫黄とともに配合するための微細分割石灰、灰分
溶融点を高めるための灰分改質剤例えばチタニア、ジル
コニア又は酸化マグネシウム又は酸化カルシウムを含む
他の有用な添加剤を懸濁物として含んでもよい。ベント
ナイト（Ｂｅｎｔｏｎａｉｔｅ）又はヘクトライトクレ
イ（Ｈｅｃｔｏｒｉｔｅ Ｃｌａｙ）を含む灰分改質剤
も又加えてよい。
【００３０】高水分、低価値燃料生成物例えば泥炭、亜
炭、褐炭及び亜瀝青炭から富化、高ＢＴＵ燃料及び高価
値再精製油を製造するための使用済又は廃油の使用は潜
在汚染物質及び低価値天然資源の唯一及び新規な使用方
法を示す。本発明では微粉炭に基づく問題例えば爆発、
自然発火火災及び過粉塵化を防ぐために微粉炭よりもむ
しろ粗粉砕低品位炭を使用する。乾燥、油塗布低品位炭
及び泥炭は、多量の水の船積みによってこうむる付加船
賃なしに容易に船積みすることができる。更に本燃料
は、乾燥石炭又は泥炭のように大きな平均粒度を有しな
いため、乾燥粉末石炭又は泥炭よりも遥かに迅速且つ容
易に船積みすることができる。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 油塗布低品位炭及び油塗布泥炭からなる
    群から選ばれ、５重量％未満の水分含有率を有し、７５
    ％−２００メッシュに粉砕された燃料と水と懸濁安定剤
    としての澱粉グラフトポリマーとを含み、重量比で石炭
    ４４ないし７０％、水２９ないし５５％及び油１ないし
    ５％からなる組成物。
  2. 【請求項２】 低品位炭が亜瀝青炭、亜炭及び褐炭から
    なる群から選ばれる請求項１記載の組成物。
  3. 【請求項３】 ５重量％未満の水分含有率を有する８な
    いし２００メッシュの低品位炭４４ないし７０重量％、
    水２９ないし５５重量％、油１ないし５重量％及び懸濁
    安定、水吸収剤としての澱粉グラフトポリマー０重量％
    より多く０．８重量％以下及び水分散界面活性剤０重量
    ％より多く０．５重量％以下からなる粉末低品位炭の安
    定化水性スラリー。
  4. 【請求項４】 ５重量％未満の水分含有率を有する８な
    いし２００メッシュの石炭４４ないし７０重量％、水５
    ないし４５重量％、油５ないし４５重量％、懸濁安定水
    吸収ゲル化剤としての澱粉グラフトポリマー０．０７５
    ないし０．８重量％及び水分散界面活性剤０重量％より
    多く０．５重量％以下からなる粉末低品位炭の安定化ス
    ラリー。
  5. 【請求項５】 水分散界面活性剤が洗剤である請求項３
    記載の安定化水性スラリー。
  6. 【請求項６】 水分散界面活性剤が洗剤である請求項４
    記載の安定化スラリー。
  7. 【請求項７】 油が石油、鉱油、植物油、及びパーム油
    から選ばれる請求項３記載の安定化水性スラリー。
  8. 【請求項８】 油が使用済油又は廃油である請求項３記
    載の安定化水性スラリー。
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