JP2607372Y2 - カラーインクリボンカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンピュータなどの出
力データを印字するためのプリンタにおいて、印字ヘッ
ドと印字用紙の間に挿入して使用されるカラーインクリ
ボンを収容したカラーインクリボンカセットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクリボンを折り畳み状に収容
するインクリボンカセットでは、大形のインクリボンカ
セットになるほど、インクリボンの長さが長くなる傾向
にある。インクリボンの長さが長くなると、カセット本
体のリボン入口から出口までの間にある収容部に収容さ
れるインクリボンの量が増大し、印字動作にともなって
移動するときにカセット本体の内壁との接触面積が大き
くなり摩擦抵抗が大きくなる。これを防ぐために、収容
部の側壁に段差を設けて、インクリボンの移動を軽くし
ている。しかしながら、この段差の位置に関しては、摩
擦抵抗を下げること以外には特に留意されていなかっ
た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】２種類以上のインク帯
を有するカラ−インクリボンの場合、そのインク帯間の
境界線近くに上記段差があると、インクリボンカセット
を梱包輸送したり、印字動作にともなうカラー切換えの
ためにカセット本体を激しく振動させると、その振動に
よりリボン基布に浸透しているインクが段差に転写し
て、その転写したインクが隣のインク帯に再転写する。
この結果、インクの混色現象が起きることになり、その
カラーインクリボンカセットの商品価値が失われてしま
うという問題が発生した。

【０００４】そこで、本考案は、カセット本体の収容部
内のカラーインクリボンの移動抵抗を損なうことなく、
インク混色を防ぐようにしたカラーインクリボンカセッ
トを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本考案は、幅方向に異なる２種類以上の色のインク
帯を有するカラ−インクリボンと、そのカラ−インクリ
ボンを折り畳み状に収容するインクリボン収容部を有す
るカセット本体とからなるカラーインクリボンカセット
において、前記インクリボン収容部の側壁に段差を設
け、前記段差が前記カラーインクリボンのインク帯間の
境界線近傍に位置しないように、前記段差における前記
カラーインクリボンの幅方向の長さが１色のインク帯分
よりも短く、且つ、前記段差に接触するインク帯と前記
段差に接触しないインク帯との境界線から前記段差まで
の距離が前記カラーインクリボンの幅方向における前記
インクリボン収容部と前記カラーインクリボンとの隙間
よりも大きいことを特徴とする。

【０００６】

【作用】上記の構成を有する本考案のカラーインクリボ
ンカセットでは、前記インクリボン収容部の側壁に設け
た前記段差が前記カラーインクリボンのインク帯間の境
界線近傍に位置しないように、前記段差における前記カ
ラーインクリボンの幅方向の長さが１色のインク帯分よ
りも短く、且つ、前記段差に接触するインク帯と前記段
差に接触しないインク帯との境界線から前記段差までの
距離が前記カラーインクリボンの幅方向における前記イ
ンクリボン収容部と前記カラーインクリボンとの隙間よ
りも大きく設定されているので、カラーインクリボンは
１色のインク帯のみを段差と接触して他色のインク帯を
段差に接触しなく、そのため、カラーインクリボンとイ
ンクリボン収容部の側壁の接触面積が少なくなり、カラ
ーインクリボンの移動に際しての摩擦抵抗が軽減され
る。更には、カラーインクリボンを梱包輸送するとき、
あるいは印字動作にともなうカラー切換のためにカセッ
ト本体を激しく振動させたときに、カラーインクリボン
は１色のインク帯のみを段差と接触して接触して他色の
インク帯を段差に接触しなく、そのため、１色のインク
帯のインクのみが段差に転写し、そしてその転写したイ
ンクが同じインク帯に再転写することになり、段差に転
写したインクが、インクリボンのインク帯境界線を越え
て他の色のインク帯に再転写することがなく、インク混
色を生じることがない。

【０００７】

【実施例】以下、図面を用いて説明する。カラーインク
リボンカセットはカラーインクリボン１４とそれを収容
するカセット本体１０からなる。カセット本体１０は上
面を開放した細長い箱状をなし、その上面を蓋１２によ
り覆っている。カセット本体１０は長手方向の中央部を
カラーインクリボン１４のための収容部１６とする。カ
ラーインクリボン１４はカセット本体一端の入口からロ
ーラ１８により折り畳みながら収容部１６に取り込ま
れ、カセット本体１０の他端の出口から外にひきだされ
て図示しない印字ヘッドと印字用紙の間に張架され、周
知のように印字に供される。カラーインクリボン１４は
エンドレスのもので、幅方向に２種類以上のインク帯、
すなわち図２のように上部に黒色のインク帯１４ｂ、下
部に赤色のインク帯１４ｃを有する。カセット本体１０
は、カラー切換えのために各インク帯１４ｂ、１４ｃを
選択的に印字ヘッドと対向させるように、周知のように
上下に振動させられる。

【０００８】収容部１６の下部両側には、段差２４が入
口側から出口側に向かって対向して連続的に設けられて
いる。その段差の上面２４ａから収容部１６の底面まで
の距離Ｌは最下のインク帯１４ｃの幅のほぼ半分だけの
高さを有し、その上面２４ａはカラーインクリボン１４
のインク帯間の境界線１４ａ（段差と接触するインク帯
１４ｃと段差と接触しないインク帯１４ｂとの境界線）
から離れた位置にある。なお収容部１６の高さＨは、カ
ラーインクリボン１４の幅よりも僅か大きいだけで、イ
ンクリボンの幅方向の移動を制限している。

【０００９】このように、段差の上面２４ａから収容部
１６の底面までの距離Ｌがインク帯１４ｃの幅のほぼ半
分だけの高さであるので、段差の上面２４ａから境界線
１４ａまでの距離はインク帯１４ｃの幅のほぼ半分とな
ります。そして、収容部１６の高さＨがカラーインクリ
ボン１４の幅よりも僅か大きいだけであるので、図２か
らも明らかなように、段差の上面２４ａから境界線１４
ａまでの距離は、カラーインクリボン１４の幅方向にお
ける収容部１６とカラーインクリボン１４との隙間より
も大きく設定されています。

【００１０】このように構成されたカラーインクリボン
カセットの梱包輸送時、または印字動作におけるカラー
切換えに際して、カセット本体１０が振動し、収容部１
６に折り畳まれているカラーインクリボン１４自身も同
じく振動を受けるため、収容部１６内で上下、左右、前
後にカラーインクリボン１４が踊る。その際に、収容部
１６内に設けられている段差２４とカラーインクリボン
１４は接触したり、離間したりを繰り返すことになり、
そのリボン基布に浸透しているインク自身が段差２４に
転写し、逆に転写したインクがカラーインクリボン１４
に再転写することが起こる。このとき、段差２４の上面
２４ａの位置が、カラーインクリボン１４のインク帯間
の境界線１４ａ近くになく、最下の赤色インク帯１４Ｃ
のほぼ中央にあるため、段差２４に転写された赤色イン
クが、カラーインクリボン１４に再転写する場合、段差
２４が近接している同じインク帯１４ｃに再転写するこ
とになる。したがって段差２４に転写された赤色インク
が、黒色のインク帯１４ｂに再転写することはない。ま
た黒色のインク帯１４ｂのインクが段差２４に転写され
ることもない。さらに、段差２４に転写した赤色インク
が流れ落ちて、転写した位置と異なる位置からカラーイ
ンクリボン１４に再転写しても、同じ赤色インク帯１４
ｃに再転写するだけであるから、インクの混色は発生し
ない。

【００１１】またカラーインクリボン１４は、段差２４
の存在によって収容部１６の側壁との接触面積が少なく
なり、移動に際しての摩擦抵抗を軽減でき、その結果ロ
ーラ１８の駆動源を小さくできる。

【００１２】なお、段差２４はカラーインクの数が増え
れば、複数段であってもよいし、また、図４に示すよう
に段差２４の上面が斜面２４ｂであれば、図２の上面２
４ａのようなエッジに比べ、段差２４とリボン基布の離
間及び接触時にリボン基布を傷めない効果も有する。

【００１３】

【考案の効果】以上説明したことから明かなように、本
考案によれば、インクリボン収容部の側壁に設けた段差
がカラーインクリボンのインク帯間の境界線近傍に位置
しないように、段差におけるカラーインクリボンの幅方
向の長さが１色のインク帯分よりも短く、且つ、段差に
接触するインク帯と段差に接触しないインク帯との境界
線から段差までの距離が前記カラーインクリボンの幅方
向におけるインクリボン収容部とカラーインクリボンと
の隙間よりも大きく設定されているので、カラーインク
リボンは１色のインク帯のみを段差と接触して他色のイ
ンク帯を段差に接触しなく、そのため、カラーインクリ
ボンとインクリボン収容部の側壁の接触面積を少なくで
き、カラーインクリボンの移動に際しての摩擦抵抗を軽
減することができます。更には、カラーインクリボンを
梱包輸送するとき、あるいは印字動作にともなうカラー
切換のためにカセット本体を激しく振動させたときに、
カラーインクリボンは１色のインク帯のみを段差と接触
して接触して他色のインク帯を段差に接触しないため、
１色のインク帯のインクのみが段差に転写し、そしてそ
の転写したインクが同じインク帯に再転写することにな
り、段差に転写したインクが他の色のインク帯に再転写
することなく、インク混色の発生を防止することができ
ます。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図１の一部斜視図である。

【図４】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ カセット本体 １４ カラ−インクリボン １６ 収容部 ２４ 段差

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 幅方向に異なる２種類以上の色のインク
   帯を有するカラ−インクリボンと、そのカラ−インクリ
   ボンを折り畳み状に収容するインクリボン収容部を有す
   るカセット本体とからなるカラーインクリボンカセット
   において、 前記インクリボン収容部の側壁に段差を設け、 前記段差が前記カラーインクリボンのインク帯間の境界
   線近傍に位置しないように、前記段差における前記カラ
   ーインクリボンの幅方向の長さが１色のインク帯分より
   も短く、且つ、前記段差に接触するインク帯と前記段差
   に接触しないインク帯との境界線から前記段差までの距
   離が前記カラーインクリボンの幅方向における前記イン
   クリボン収容部と前記カラーインクリボンとの隙間より
   も大きい ことを特徴とするカラーインクリボンカセッ
   ト。