JP2606823B2

JP2606823B2 - 交流誘導電動機の電力節減回路

Info

Publication number: JP2606823B2
Application number: JP61125503A
Authority: JP
Inventors: 照雄佐々木
Original assignee: 株式会社マーク・テック
Priority date: 1986-05-30
Filing date: 1986-05-30
Publication date: 1997-05-07
Anticipated expiration: 2012-05-07
Also published as: JPS62285691A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この発明は特に負荷変動の大きい誘導電動機あるいは
長時間軽負荷で運転される誘導電動機に用いて好適な交
流誘導電動機の電力節減回路に関する。

〔従来技術〕

周知のように、誘導電動機には、無負荷の場合におい
ても定格電流と比較してかなりの電流がコイルに流れて
しまう。第２図（ロ）の破線L1は、通常の誘導電動機の
トルクとコイル電流との関係を示すもので、この電流特
性からも明らかなように負荷トルクが０の場合において
も、負荷トルクに関係のないかなりのコイル電流が流れ
る。そして、このようなコイル電流が流れると、誘導電
動機に発生する鉄損・銅損は負荷トルクが要求する電力
より大きくなるため無駄な電力消費を発生させる。

そこで従来、無負荷時または軽負荷時における上述し
たような無駄な電力消費を節減するための回路として、
米国特許4,052,648号に開示される回路が知られてい
る。この回路は運転中に流れる電流と電圧の位相差から
モータ力率を検出し、この力率が基準値より下回つてい
たら入力電圧を下げて電動機の力率補正を行い電力消費
の節減を計るものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述した従来の装置にあつては、回路
構成が複雑になり、また、トライアツクが原理的に高調
波歪を発生させる結果、高調波による損失により、従来
の装置において考えられたほどの電力節減効果が無いと
いう欠点があつた。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、その目
的は回路構成が簡単かつ安価であつて、しかも電動機の
消費電力を理想電力節減曲線に最大限に近づけた状態ま
で節減することができる電動機の電力節減回路を提供す
ることにある。

〔問題を解決するための手段〕

この発明は、電動機へ供給される電流の実効値を検出
する電流検出手段と、前記電動期の最大負荷トルクに対
応するデータが予め記憶されている記憶手段と、前記記
憶手段に記憶されているコイル電流値に対する、前記電
流検出手段が検出した電流の実行値の比率を求め、該求
めた比率に応じたデータを出力する比率判別手段と、前
記比率判別手段から出力されるデータに応じて電動機へ
の供給電圧を制御する制御手段と、前記電動機へ供給す
る電圧の波形を滑かにする平滑回路とを具備してなるこ
とを特徴とする。

〔作用〕

この発明は、電動機の最大負荷トルクに対応するコイ
ル電流値に対する、検出した供給電流の実効値の比率か
ら負荷トルクを推定し、この負荷トルクに必要な真の電
流のみがコイルに流れるように電動機への供給電圧を下
げ、これによつて電力消費の節減を図つたものである。

〔実施例〕

第１図はこの発明の一実施例の構成を示すブロツク図
である。この図において、１は電力を供給する３相電
源、２は３相電源１からの供給電力を制御するサイリス
タ、３はサイリスタ２からの供給電力によつて駆動され
る誘導電動機、４は３相電源１から誘導電動機３への供
給電流を検出する変流器、５は変流器４によつて検出し
た電流に対応したデータＡを出力する電流検出回路、６
は誘導電動機３の最大負荷トルクに対応するコイル電流
値が記憶されたモータ特性メモリ、７は判別回路であ
る。この判別回路７はメモリ６に記憶されたデータAMと
電流検出回路５から出力されるデータＡとに基づいて電
動機３の負荷トルクを判別する回路であり、データＡが
データAMの60％以上である時（現在の負荷トルクが最大
負荷トルクの60％以上であると推測される時）は、信号
S1,S2として、ともに“L"レベルの信号を出力し、60％
〜30％の間であつた時は信号S1として“L"レベルの信号
を、信号S2として“H"レベルの信号を出力し、30％〜10
％の間であつた時は信号S1として“H"レベルの信号を、
信号S2として“L"レベルの信号を出力し、10％以下であ
る時は信号S1,S2としてともに“H"レベルの信号を出力
する。８はサイリスタ２を信号S1,S2に応じた制御角に
よつて位相制御するゲート制御回路であり、信号S1,S2
がともに“L"レベルの場合はサイリスタ２を常時導通状
態とし、信号S1,S2が“L,H",“H,L",“H,H"の場合には
それぞれに応じた制御角によつてサイリスタ２を位相制
御する。この場合、信号S1,S2が“L,H"の場合にもつと
も位相角が小さく、信号S1,S2がともに“H"の場合、も
つとも位相角が大きくなる。すなわち、電動機３へは、
これら信号S1,S2が“L,L"の場合に電源１の全電圧200V
がそのまま印加され、“L,H"の発生には200Vより低い電
圧が印加され、“H,H"の場合にもつとも低い電圧が印加
される。また、信号S1,S2が“L,H",“H,L",“H,H"の場
合における位相制御角を各々可変抵抗10〜12によつて変
更できるようになつている。13はサイリスタ２の出力波
形を平滑にするためのフイルタであり、サイリスタ２と
電動機３との間に直列に挿入されたコイルＬと、電動機
３に並列に設けられたコンデンサＣとからなり、サイリ
スタ２の出力に含まれる高調波成分を除去する。

次に上述した回路の動作を説明する。まず、電動機３
の負荷トルクが60％以上の場合は判別回路７から信号S
1,S2として“L,L"が出力される。これによりサイリスタ
２が導通状態となり、３相電源１の全電圧が電動機３へ
印加される。次に電動機３の負荷トルクが60％〜30％の
間になると、判別回路７から信号S1,S2として“L,H"の
信号が各々出力され、ゲート制御回路８に供給される。
これによりサイリスタ２の位相制御が行なわれ、電動機
３へ供給される電力が低下する。次に電動機３の負荷ト
ルクが30％〜10％の間になると、判別回路７から信号S
1,S2として“H,L"の信号が出力され、電動機３へ供給さ
れる電圧がさらに低下する。次に電動機３の負荷トルク
が10％以下になると判別回路７から信号S1,S2として
“H,H"の信号が出力され、またさらに電動機３へ供給さ
れる電圧が低下する。

第２図（イ）は電動機３の負荷トルクと電動機３の印
加電圧の関係を示す図であり、上記実施例においては、
この図に示すように電動機３の印加電圧が負荷トルクに
応じて階段状に変化する。また、第２図（ロ）は電動機
３の負荷トルクと電動機３のコイル電流との関係を示す
図であり、印加電圧の変動に応じて電動機３のコイル電
流も図に示すように階段状に変化する。第２図（ハ）は
電動機３の出力と電力節減率との関係を示す図であり、
図に示すように、電動機３の出力が10％以下の場合に電
力の節減率がもつとも大きくなる。

なお、交流電圧の制御は、サイリスタの位相制御に限
らず、例えば、変圧器のタツプ切換、スライドトラン
ス、リニアアンプ、サイリスタインバータ等においても
行うことができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明によれば、負荷力率等
の複雑な計算をせず、単に電流値から負荷トルクを推定
し、この推定結果に基づいて電動機へ印加する電圧を制
御するようにしたもので、従来の装置に比較し、回路構
成が簡単であり、しかも平滑回路によつて電動機への印
加電圧を正弦波に近づけているので理想的電力節減曲線
に近い電力節減を計ることができる。また、記憶手段に
は上記電動機の最大負荷トルクに対応するコイル電流値
を記憶させるため、そのデータの取得が極めて容易であ
り、かつ、記憶手段の記憶容量がより小さくて済むとい
う効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例の構成を示すブロツク
図、第２図（イ）〜（ハ）は、各々同実施例の特性を示
す図であり、（イ）は電動機３の出力対消費電力節減
率、（ロ）は電動機３の負荷トルク対電動機３のコイル
電流、（ハ）は電動機３の負荷トルク対電動機３の印加
電圧の各特性を示す図である。４……電流検出用トランス、５……電流検出回路、６…
…モータ特性メモリ、７……判別回路、８……ゲート制
御回路、２……サイリスタ、13……フイルタ。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】電動機へ供給される電流の実効値を検出す
る電流検出手段と、前記電動機の最大負荷トルクに対応する前記電動機のコ
イル電流値が予め記憶されている記憶手段と、前記記憶手段に記憶されているコイル電流値に対する、
前記電流検出手段が検出した電流の実効値の比率を求
め、該求めた比率に応じたデータを出力する比率判別手
段と、前記比率判別手段から出力されるデータに応じて前記電
動機への供給電圧を制御する制御手段と、前記電動機へ供給する電圧の波形を滑かにする平滑回路
とを具備してなる交流誘導電動機の電力節減回路。