JP2606803B2 - 整形外科用キヤステイングテープ - Google Patents

整形外科用キヤステイングテープ

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JP2606803B2 JP63224990A JP22499088A JP2606803B2 JP 2606803 B2 JP2606803 B2 JP 2606803B2 JP 63224990 A JP63224990 A JP 63224990A JP 22499088 A JP22499088 A JP 22499088A JP 2606803 B2 JP2606803 B2 JP 2606803B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、外科、整形外科分野において骨折、脱臼、
捻挫、変形等の患者に利用し、患部を固定することによ
り治療するために使用する整形外科用キャスティングテ
ープに関する。
〔従来の技術〕
患部を固定するため、従来は焼石膏を目の粗いガーゼ
に含浸させたギプス包帯を用いてきたが、このギプス包
帯は操作中に焼石膏分が落ち周辺を汚し、患者にとって
は重量が大きく通気性に乏しく、硬化時使用した水分が
２〜３日飛散せず患部は長時間濡れた状態が続き、硬化
した後水分と接触すると強度が低下し、さらにＸ線を吸
収、散乱させるため患部のＸ線診断を正確に行い得ない
などの欠点を持っている。
これに代わるものとして、ポリウレタン樹脂をガラス
繊維でテープ状に編んだ基布に塗布したキャスティング
テープを患部に巻き付け、ポリウレタン樹脂を水分と反
応させて硬化させることが行われている。この水硬性樹
脂を使用した整形外科用キャスティングテープは、軽量
で通気性があり、いったん硬化すると強度が落ちること
はなく、しかもＸ線もよく透過し、焼石膏を用いたギプ
ス包帯に比して種々の利点を持っている。
水硬性樹脂を使用した整形外科用キャスティングテー
プに使用する基布としては、ガラス繊維、綿、ポリエス
テル、アクリル、ポリエチレン、ナイロン等の素材から
なる不織布、織布、編布の形態及びその目付量や編方に
よるキャスティングテープが特表昭56−501198号、特開
昭53−61184号、特公昭63−18511号、特開昭58−177655
号、特表昭58−501936号、特開昭59−6060号公報に発表
されているが、特にガラス繊維が賞用されている。この
ガラス繊維は強度を保持させる上には有利なものの、比
較的剛性で伸縮性もないため患部への適合性（モデリン
グ性）がよくないという問題点があるため、かかと、肝
等のような身体の輪郭の周りに巻かれる際包帯にひだ又
は折返しを作ることの欠点を解決したものとして米国特
許第668881号明細書にスコッチキャスト２で使っている
メリヤス編物の導入によって軽減される旨記載され、又
特開昭62−82957号公報により整形外科用ギプスが提案
されているが、身体の凹凸に完全にフィットさせるため
には不十分である。近年この問題を積極的に解決しよう
とした提案として高モジュラス繊維とエラストマー繊維
とを組み合わせたものが発表されている（特開昭63−11
165号公報）。その高モジュラス繊維としてはガラス繊
維、エラストマー繊維としては天然ゴムが用いられ、ガ
ラス繊維により強度を保持させ、天然ゴムにより長さ方
向の伸び率を向上させることにより、ガラス繊維単独の
基布の持つ問題点を改善するものである。しかしなが
ら、エラストマー繊維を使用しているため伸縮性はゴム
糸の太さ、編込み密度により自由に得られるが、エラス
トマー繊維は伸長が大きいほどバックストレッチ（伸縮
物を引延ばしたときその伸張状態で元に戻ろうとする
力）が比例的に高く、しかも患部の突起部分や患部保護
固定のため巻層数が多くなるとバックストレッチが２倍
〜３倍と変化して行くため、患部の突起部分（特に浮腫
部）や下腿部へ適用した場合全体にフィットさせるため
には伸張させて巻く必要があり、かつ足関節、膝等には
強度を確保するため多数層巻く必要があり、均一な密着
での巻き操作は不可能である。さらにキャスティングテ
ープを適用始めてから硬化までには見掛けで10分、完全
硬化には30分前後の時間が必要であり、この間にバック
ストレッチにより徐々に患部を締め付けてしまい、血行
障害をひきおこし、ひいては褥創や壊死を起こす危険す
らある。さらに高モジュラス繊維としてガラス繊維を使
用する以上、前述のように患部への適合性はなお満足す
べきものではなく、またエラストマー繊維としてゴムを
使用したものは樹脂のウレタンプレポリマーを早期硬化
させるためキャスティングテープとしてのシェルフライ
フが低く、ゴムを使用する際には溶剤処理、乾燥、酸処
理、水洗乾燥等の処理が必要なため製造工程が複雑とな
り、スパンデックスを使用した場合にはウレタンプレポ
リマーがポリウレタンフィラメントを膨潤させ弾性が低
下するので、繊維に特殊加工を施す必要が生じ、またい
ったん硬化させたキャスティングテープを切断すると
き、エラストマー繊維がギプスカッターで切りにくいと
いう問題点もある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、上述のような従来のキャスティング
テープの持つ欠点、すなわち、患部への適合性が良好で
ない、シェルフライフが低い、製造工程が複雑、切断が
しにくいといった欠点を持たない整形外科用キャスティ
ングテープを得ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
上述の目的を達成するため、本発明においては、合成
樹脂を含浸又は塗布した基布を有し、この基布は、全部
がストレッチヤーン、または一部がストレッチヤーンで
残部が天然繊維、または一部がストレッチヤーンで残部
が人造繊維、または一部がストレッチヤーンで残部が天
然繊維と人造繊維から編成され、ストレッチヤーンが、 非伸縮性の合成繊維を右撚と左撚とのストレッチヤー
ンをそれぞれ熱処理して撚の姿に固定し、撚止めし、こ
れを撚り戻して熱処理し、この処理を施した糸の右撚と
左撚とを１本ずつ２本を引き揃えて軽く撚をかけた加撚
・解撚法によるストレッチヤーン、 ボビンから引き出して縦に張った糸を２点で押さえ、
その中間で撚り、加熱し、撚を固定する仮撚法によるス
トレッチヤーン、 円筒の中に原糸を折り畳むようにして押し詰め、ジグ
ザグ状の折目をつけた状態で熱処理する押込み法からな
るストレッチヤーン、 糸を鋭い金属の刃型などの上を擦り通す擦過法による
ストレッチヤーン、 細幅の丸編に編み、編み込まれた状態の姿で糸を熱固
定し、編を解く賦型法によるストレッチヤーン、 高圧の空気を噴射してフィラメントの糸条を乱し、ル
ープを作って、これを熱固定する空気噴射法によるスト
レッチヤーン のいずれかから成り、基布の長さ方向の伸縮性が荷重25
0g/inで20〜100％であり、基布は経編地として、ストレ
ッチャーンを少なくともウェール方向に編成する。
本発明におけるストレッチヤーンは、合成繊維の熱可
塑性を利用し、繊維にらせん状かジグザグ状の形をつ
け、非伸縮性の合成繊維に伸縮性を与えた糸である。そ
の素材としては、ポリエステル糸、ポリアミド糸が代表
的であるが、ポリアクリル糸、ポリエチレン糸、ポリプ
ロピレン糸、ポリ塩化ビニル糸、ポリビニルアルコール
糸、ポリクラール糸等も可能である。
ストレッチヤーンと組み合わせる天然繊維としては、
綿糸、麻糸、絹糸、羊毛などがある。
ストレッチヤーンと組み合わせる人造繊維としては、
前述のストレッツヤーンと同一素材の繊維およびガラス
繊維、金属繊維、炭素繊維、ボロン繊維などがある。
ストレッチヤーンとして、有機合成繊維、例えばポリ
エステル、ポリアミド、又はアクリル繊維などの短繊維
または長繊維よりなる単糸を数状引揃え充分緊張して各
単糸の撚ると逆の方向に強撚を加えた後そのまま適宜加
熱処理を施してその強撚によって生じた複雑な屈折性を
固定せしめ、後更に逆の方向に前処理の強撚と同程度に
撚り戻しを行って形成したものを使用すると有利であ
る。
基布の編成は経編地とし、ストレッチヤーンをウエー
ル方向、又はウエール及びコース方向に編成するのが適
している。
基布中のストレッチヤーンの繊維比率は30〜100％容
積とするのが好ましい。
基布の長さ方向の伸縮性は荷重250g/inで20〜500％、
幅方向の伸縮性は荷重250g/inで10〜250％とするのが好
ましい。
基布に含浸又は塗布する合成樹脂としては、水との反
応により硬化するものが適している。このような水硬性
の樹脂としてポリイソシアネートプレポリマーがある。
このポリイソシアネートプレポリマーが末端にジフェニ
ルメタンジイソシアネートを持つポリプロピレンオキシ
ドポリオールから成ることが好ましい。また、ポリイソ
シアネートプレポリマーと、保恒剤として塩化ベンゾイ
ル、消泡剤としてシリコーン、硬化時間を制御する触媒
としてジメチルエタノールアミン、ビス（ジメチルアミ
ノエチル）エーテル、ジモルホリノジアルキルエーテル
のいずれか又は配合物を含む合成樹脂も適している。
〔作用〕
本発明においては、樹脂を含浸又は塗布させる基布に
ストレッチヤーンを用いることにより、ストレッチヤー
ンの持つ低モジュラス伸縮性により長さ方向にも幅方向
にもよく伸びて患部の任意の形状に相応し、かつ低モジ
ュラスのため患部に余分な圧力を加えることなく、又ス
トレッチヤーンは嵩高性であり、このストレッチヤーン
より編成した基布は比較的嵩高に仕上り、樹脂を多量に
含浸又は塗布できかつ強度が得られる厚みの構造体にな
り、高モジュラス繊維以外の繊維との組合せが可能とな
り、また合成樹脂とストレッチヤーンとの反応性はなく
貯蔵中に樹脂の反応は進行しない。
〔実施例〕
次に本発明を実施例について説明する。
実施例１ ラッセル編機により編成された第１図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはポリエステル15
0D双糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には
150D単糸のウーリーテトロンと呼ばれるストレッチヤー
ンを用い、密度が10ウエール/in、７コース/inである基
布を形成した。重量は203g/m2、伸長率は250g/inにおい
て経方向64％、緯方向204％であった。
実施例２ ラッセル編機により編成された第２図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはポリエステル15
0D双糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には
ポリエステル150D単糸を用い、密度が９ウエール/in、
９コース/inである基布を形成した。重量は205g/m2、伸
長率は250g/inにおいて経方向71％、緯方向82％であっ
た。
実施例３ ラッセル編機により編成された第３図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはポリエステル15
0D双糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には
ポリエステル150D単糸を２本引き揃えて用い、密度が７
ウエール/in、８コース/inである基布を形成した。重量
は169g/m2、伸長率は250g/inにおいて経方向53％、緯方
向85％であった。
実施例４ ラッセル編機により編成された第４図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはポリエステル15
0D双糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には
ポリエステル150D単糸２本引き揃えて用い、密度が９ウ
エール/in、９コース/inである基布を形成した。重量は
186g/m2、伸長率は250g/inにおいて経方向55％、緯方向
29％であった。
実施例５ ラッセル編機により編成された第２図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはポリエステル15
0D双糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には
177Dの綿糸を用い、密度が８ウエール/in、10コース/in
である基布を形成した。重量は160g/m2、伸長率は250g/
inにおいて経方向52％、緯方向60％であった。
実施例６ ラッセル編機により編成された第３図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはナイロン180D双
糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には600D
のガラス糸を使用し、密度が12ウエール/in、14コース/
inである基布を形成した。重量は290g/m2、伸長率は250
g/inにおいて経方向39％、緯方向55％であった。
実施例７ ラッセル編機により編成された第４図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはアクリル250D単
糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸には綿と
ポリエステル混紡糸を用い、密度が10ウエール/in、10
コース/inである基布を形成した。重量は170g/m2、伸長
率は250g/inにおいて経方向48％、緯方向24％であっ
た。
実施例８ ラッセル編機により編成された第１図に示される構造
の基布を使用した。経方向の鎖編みにはポリエステル15
0D双糸のストレッチヤーンを用い、緯方向の挿入糸は17
7D綿糸と180Dポリエステル糸をコース毎に互いに逆方向
から挿入し、密度が10ウエール/in、12コース/inである
基布を形成した。重量は180g/m2、伸長率は250g/inにお
いて経方向56％、緯方向95％であった。
上述の８つの実施例の物性を表にまとめると次のとお
りである。
次にこれらの実施例の評価を表にまとめると次のとお
りである。ここで △：従来のものと同じ ○：従来よりよい ◎：従来より非常によい を意味する。
次に各実施例の基布の経方向についての伸長率を第５
図に示す。その縦軸には伸長率（％）、横軸には引張強
度（kg）をとってある。試料としては幅50mm、長さ200m
mの基布を使用し、引張速度は100mm/minとした。実線で
示す各特性曲線に付した番号は上述の実施例の番号であ
り、比較参考例として破線でガラス基布の特性曲線を示
す。図から分かるように、いずれの実施例も経方向の伸
長率は従来のガラス繊維のものより優れている。
第６図は基布の緯方向の伸長率で、縦軸は伸長率
（％）、横軸は引張強度（kg）を示す。試料としては幅
50mm、長さ50mmの基布を使用し、引張速度は50mm/minと
した。実線で示す各特性曲線に付した番号は上述の実施
例の番号であり、比較参考例とて破線でガラス基布の特
性曲線を示す。図から分かるように、実施例４、７を除
いて緯方向の伸長率は従来のガラス基布より大きい。な
お実施例４、７については従来のガラス基布より小さい
が、整形外科用キャスティングテープとして重要な性質
は経方向に伸長率であり、実施例４、７の経方向の伸長
率は第５図から明らかなようにガラス塗布より優れてお
り、総合的に見た場合、ガラス基布より優れている。
第７図は特に伸縮性について本発明によるキャスティ
ングテープが従来のものより低いバックストレッチ性に
優れていることを示す特性線図で、縦軸に引張応力、横
軸に伸びを示す。試料としては幅50mm、長さ200mmの基
布を使用し、100mm/minの速度で一定伸長まで引き延ば
し、次いで同じ速度で元の位置まで戻したときの延びと
応力とを測定した。曲線１〜４は実施例１〜４に対する
特性曲線、曲線９はガラス基布に対する特性曲線であ
る。曲線10、11はスパンデックスを使用した基布に対す
る特性曲線で、両基布はそれぞれ次のように編成したも
のを使用した。
曲線10の基布 ラッセル編機により編成された基布で、経方向の鎖編
みには500Dポリエステル糸と140Dスパンデックス糸を用
い、緯方向の挿入糸には500Dポリエステル糸を使用し、
密度が13ウェール/in、30コース/inである基布を形成し
た。重量は252g/m2、伸長率は250g/inにおいて経方向35
％、緯方向66％であった。
曲線11の基布 ラッセル編機により編成された基布で、経方向の鎖編
みには500Dポリエステル糸と140Dスパンデックス糸を用
い、緯方向の挿入糸には500Dポリエステル糸を使用し、
密度が13ウェール/in、28コース/inである基布を形成し
た。重量は248g/m2、伸長率は250g/inにおいて経方向46
％、緯方向68％であった。
曲線１〜４の曲線９〜11と比較すると、本発明の実施
例のものはいずれも低荷重時の伸長が大きく、これは整
形外科用キャスティングテープとして使用する場合には
あまり大きな力で引張らずに巻いてもフィット性がよい
ことを意味している。また曲線１〜４とその近傍に位置
する曲線10、11とを比較した場合、曲線10、11は荷重に
対して伸びは直線的な変化を示すのに対し、曲線１〜４
は低荷重時での伸びが大きい曲線的変化をするので同伸
長での引張り応力が少ないという特長を持っている。ま
た定荷重時の状態から伸長が減少したときに解除される
バックストレッチも曲線１〜４は曲線９〜11より大き
く、すなわち曲線１〜４は伸長時からほんの僅か縮むこ
とによりバックストレッチは極端に小さくなるのに対
し、曲線９〜11は相当縮まない限りバックストレッチは
小さくならない。これを整形外科用キャスティンクテー
プとして見た場合には、持続的に大きな引張応力がかか
ることがないので締め付けが少ないことを意味するもの
である。以上のように本発明の実施例のものは、ガラス
基布、スパンデックスを使用した基布に比べ、定伸長時
の荷重、定荷重時の伸長ともに優れていることが分か
る。
〔発明の効果〕
本発明は、従来のエラストマー繊維と高モジュラス繊
維とを組み合わせたものに代えて、ストレッチヤーン単
独又はストレッチヤーンと天然繊維、人造戦域を組み合
わせるものであるが、次のような効果が得られるもので
ある。
（１） ストレッチヤーンはエラストマー繊維より低モ
ジュラスで、特に引き延ばした状態で元に戻ろうとする
力が小さいため（低バックストレッチ）、キャスティン
グの際、伸張度を気にして巻く必要がなくなり、特別な
キャスティング技術を要求せず誰でも安心して使用する
ことができる。さらにこのことは、手首、肘、膝、足関
節等の凹凸の多い部位に使用する際や患部に炎症がある
場合、凸部と凹部に圧迫力の差を与えず均一な圧迫力で
巻くことができるので有効である。又この低モジュラス
性はキャスティングテープを数層巻く際、エラストマー
繊維と異なり巻層数に比例してバックストレッチが大き
くならないため、特に下肢のように部分的に多数層を巻
き強度を上げる必要がある場合、層数の少ない所と多い
所での巻きによる圧迫力に差がなく適用できる利点があ
る。これらの効果は、キャスティングを行う上で特に重
要なことで、もし基布のバックストレッチが大きいと、
キャスティングを始めてから硬化する間に基布が収縮を
起こし、患部を締め付けて血行障害や神経麻痺を引起こ
し、褥創や壊死という事故につながるものである。
（２） 次に強度特性について、エラストマー繊維は高
密度繊維であるのに対しストレッチヤーンは繊維自体が
螺旋状かジグザグ状であって比較的崇高な糸であり、ス
トレッチヤーンから編成された基布も崇高に仕上がり、
樹脂を多量に含有させることができ、さらに基布の層も
厚くなり硬化したキャストは強度が大きくなるという利
点を有し、この結果特別高モジュラス繊維を使用しなく
とも、ストレッチヤーンのみ又はストレッチヤーンと天
然繊維や高モジュラス繊維を除く人造繊維等の組合わせ
による基布と樹脂とで患部を保持できる強度の整形外科
用キャスティングテープを得ることができる。このよう
に高モジュラス繊維の含有量を零又は極めて小さくする
ことができるため、仕上がったキャストは若干の弾性を
有し、特にキャストの両端は比較的弾力性を有し、皮膚
刺激を与えず、又キャスト除去の際通常のキャスティン
グカッターで容易にカットできる。さらに容易にカット
できるためカット時の発熱が少なく、火傷を起こすこと
もなくなる。又カット屑もガラス繊維等の混入が少ない
ためカット屑による皮膚刺激もない。またＸ線透過性を
良好にでき、不用となったキャストは焼却も可能であ
る。さらに高モジュラス繊維の使用量を零とするか軽減
できるため基布は柔軟であり、基布にくせが起こらず、
加工工程が非常に容易であり、またキャストの末端が剥
離を起こしにくくなるため使用する樹脂の粘着性が小さ
くとも剥がれを起こさずきれいな仕上がりが得られる。
（３） ストレッチヤーンはポリウレタン樹脂のイソシ
アネート基と反応を起こす薬剤処理や活性基を持たない
ため、基布の加工段階においてあらためて酸、アルカ
リ、水等の処理をせず直接樹脂を含浸、塗布することが
可能であり、かつ保存中にも反応を起こさず、長期保存
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第１図〜第４図は本発明の基布の編成の異なる例の構造
図、第５図は本発明による基布の経方向の伸長特性線
図、第６図は本発明による基布の緯方向の伸長特性線
図、第７図は本発明による基布と従来のものとの引張応
力特性線図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−6060（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−101156（ＪＰ，Ａ) 特開 昭48−1449（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−17157（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−199445（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−196232（ＪＰ，Ｕ) 「化学大事典５」共立出版、1987年２ 月15日第154頁左欄

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】合成樹脂を含浸又は塗布した基布を有し、
    この基布はストレッチヤーンから構成され、ストレッチ
    ヤーンが、 非伸縮性の合成繊維を右撚と左撚とのストレッチヤー
    ンをそれぞれ熱処理して撚の姿に固定し、撚止めし、こ
    れを撚り戻して熱処理し、この処理を施した糸の右撚と
    左撚とを１本ずつ２本を引き揃えて軽く撚をかけた加撚
    ・解撚法によるストレッチヤーン、 ボビンから引き出して縦に張った糸を２点で押さえ、
    その中間で撚り、加熱し、撚を固定する仮撚法によるス
    トレッチヤーン、 円筒の中に原糸を折り畳むようにして押し詰め、ジグ
    ザグ状の折目をつけた状態で熱処理する押込み法からな
    るストレッチヤーン、 糸を鋭い金属の刃型などの上を擦り通す擦過法による
    ストレッチヤーン、 細幅の丸編に編み、編み込まれた状態の姿で糸を熱固
    定し、編を解く賦型法によるストレッチヤーン、 高圧の空気を噴射してフィラメントの糸条を乱し、ル
    ープを作らせ、これを熱固定する空気噴射法によるスト
    レッチヤーン のいずれかから成り、基布の長さ方向の伸縮性が荷重25
    0g/inで20〜100％であり、基布は経編地として、ストレ
    ッチャーンを少なくともウェール方向に編成したことを
    特徴とする伸縮性を有する整形外科用キャスティングテ
    ープ。
  2. 【請求項２】合成樹脂を含浸又は塗布した基布を有し、
    この基布はストレッチヤーンから編成され、ストレッチ
    ヤーンが、有機合成繊維の短繊維又は長繊維より成る単
    糸を数条引き揃え充分緊張して各単糸の撚りと逆の方向
    に強撚を加えた後そのまま適宜加熱処理を施してその強
    撚りによって生じた複雑な屈折性を固定せしめ、その後
    更に逆の方向に前処理の強撚りと同程度に撚り戻しを行
    ったもので形成され、基布の長さ方向の伸縮性が荷重25
    0g/inで20〜100％であり、基布は経編地とし、ストレッ
    チャーンを少なくともウェール方向に編成したことを特
    徴とする伸縮性を有する整形外科用キャスティングテー
    プ。
  3. 【請求項３】合成樹脂を含浸又は塗布した基布を有し、
    この基布は一部がストレッチヤーン、残部が天然繊維か
    ら編成され、ストレッチヤーンが 非伸縮性の合成繊維を右撚と左撚とのストレッチヤー
    ンをそれぞれ熱処理して撚の姿に固定し、撚止めし、こ
    れを撚り戻して熱処理し、この処理を施した糸の右撚と
    左撚とを１本ずつ２本を引き揃えて軽く撚をかけた加撚
    ・解撚法によるストレッチヤーン、 ボビンから引き出して縦に張った糸を２点で押さえ、
    その中間で撚り、加熱し、撚を固定する仮撚法によるス
    トレッチヤーン、 円筒の中に原糸を折り畳むようにして押し詰め、ジグ
    ザグ状の折目をつけた状態で熱処理する押込み法からな
    るストレッチヤーン、 糸を鋭い金属の刃型などの上を擦り通す擦過法による
    ストレッチヤーン、 細幅の丸編に編み、編み込まれた状態の姿で糸を熱固
    定し、編を解く賦型法によるストレッチヤーン、 高圧の空気を噴射してフィラメントの糸条を乱し、ル
    ープを作らせ、これを熱固定する空気噴射法によるスト
    レッチヤーン のいずれかから成り、基布の長さ方向の伸縮性が荷重25
    0g/inで20〜100％であり、基布は経編地として、ストレ
    ッチャーンを少なくともウェール方向に編成したことを
    特徴とする伸縮性を有する整形外科用キャスティングテ
    ープ。
  4. 【請求項４】合成樹脂を含浸又は塗布した基布を有し、
    この基布は一部がストレッチヤーン、残部が人造繊維か
    ら編成され、ストレッチヤーンが、 非伸縮性の合成繊維を右撚と左撚とのストレッチヤー
    ンをそれぞれ熱処理して撚の姿に固定し、撚止めし、こ
    れを撚り戻して熱処理し、この処理を施した糸の右撚と
    左撚とを１本ずつ２本を引き揃えて軽く撚をかけた加撚
    ・解撚法によるストレッチヤーン、 ボビンから引き出して縦に張った糸を２点で押さえ、
    その中間で撚り、加熱し、撚を固定する仮撚法によるス
    トレッチヤーン、 円筒の中に原糸を折り畳むようにして押し詰め、ジグ
    ザグ状の折目をつけた状態で熱処理する押込み法からな
    るストレッチヤーン、 糸を鋭い金属の刃型などの上を擦り通す擦過法による
    ストレッチヤーン、 細幅の丸編に編み、編み込まれた状態の姿で糸を熱固
    定し、編を解く賦型法によるストレッチヤーン、 高圧の空気を噴射してフィラメントの糸条を乱し、ル
    ープを作らせ、これを熱固定する空気噴射法によるスト
    レッチヤーン のいずれかから成り、基布の長さ方向の伸縮性が荷重25
    0g/inで20〜100％であり、基布は経編地として、ストレ
    ッチャーンを少なくともウェール方向に編成したことを
    特徴とする伸縮性を有する整形外科用キャスティングテ
    ープ。
  5. 【請求項５】合成樹脂を含浸又は塗布した基布を有し、
    この基布は一部がストレッチヤーン、残部が天然繊維と
    人造繊維から編成され、ストレッチヤーンが、 非伸縮性の合成繊維を右撚と左撚とのストレッチヤー
    ンをそれぞれ熱処理して撚の姿に固定し、撚止めし、こ
    れを撚り戻して熱処理し、この処理を施した糸の右撚と
    左撚とを１本ずつ２本を引き揃えて軽く撚をかけた加撚
    ・解撚法によるストレッチヤーン、 ボビンから引き出して縦に張った糸を２点で押さえ、
    その中間で撚り、加熱し、撚を固定する仮撚法によるス
    トレッチヤーン、 円筒の中に原糸を折り畳むようにして押し詰め、ジグ
    ザグ状の折目をつけた状態で熱処理する押込み法からな
    るストレッチヤーン、 糸を鋭い金属の刃型などの上を擦り通す擦過法による
    ストレッチヤーン、 細幅の丸編に編み、編み込まれた状態の姿で糸を熱固
    定し、編を解く賦型法によるストレッチヤーン、 高圧の空気を噴射してフィラメントの糸条を乱し、ル
    ープを作らせ、これを熱固定する空気噴射法によるスト
    レッチヤーン のいずれかから成り、基布の長さ方向の伸縮性が荷重25
    0g/inで20〜100％であり、基布は経編地として、ストレ
    ッチャーンを少なくともウェール方向に編成したことを
    特徴とする伸縮性を有する整形外科用キャスティングテ
    ープ。
  6. 【請求項６】ストレッチヤーンを形成する有機合成繊維
    としてポリエステル、ポリアミド、又はアクリル繊維を
    使用することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つ
    に記載の整形外科用キャスティングテープ。
  7. 【請求項７】基布は経編地であり、ストレッチヤーンが
    ウエール及びコース方向に編成されたことを特徴とする
    請求項１〜６のいずれか１つに記載の整形外科用キャス
    ティングテープ。
  8. 【請求項８】基布中でストレッチヤーンの比率が30〜10
    0％容積、他の繊維の比率が70〜０％容積であることを
    特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載の整形外
    科用キャスティングテープ。
  9. 【請求項９】基布の幅方向の伸縮性が荷重250g/inで10
    〜250％であることを特徴とする請求項１〜８のいずれ
    か１つに記載の整形外科用キャスティングテープ。
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