JP2604542Y2 - ディスクブレーキ用戻しばね装置 - Google Patents

ディスクブレーキ用戻しばね装置

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JP2604542Y2
JP2604542Y2 JP1993068178U JP6817893U JP2604542Y2 JP 2604542 Y2 JP2604542 Y2 JP 2604542Y2 JP 1993068178 U JP1993068178 U JP 1993068178U JP 6817893 U JP6817893 U JP 6817893U JP 2604542 Y2 JP2604542 Y2 JP 2604542Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、ディスクブレーキに
おいて、制動解除時にパッドのライニングがロータから
十分離れないで、いわゆる引きずりを生じるのを防止す
るための戻しばね装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ディスクブレーキにおける引きずり現象
を避けるために、ばね力によりパッドを積極的にロータ
から遠ざける戻しばね装置が考案されている。この戻し
ばね装置としては、例えば実開平4−107530号公
報に記載されたものがある。図7、図8はこの公知例を
示し、図7は一部を切除した平面図、図8は図7のA−
A断面図である。次に図7、図8によりディスクブレー
キ及びこの戻しばね装置を説明する。
【0003】図7、図8において、1は車体に固定され
るサポート、2はこれに結合したピン3をサポートの脚
部4に揺動自在に嵌合して、車輪と共に連動するロータ
5の軸方向に摺動できるキャリパである。キャリパ2の
片側に設けたシリンダ6から油圧により押出されるピス
トン7とロータ5との間、及びキャリパの他側に形成し
た爪8とロータ5との間にはパッド9、9を介在させ
て、ピストン7を油圧により押出すと、2個のパッド
9、9がロータ5の両側面に圧接されて、そのライニン
グ10、10とロータ5との摩擦作用によりロータを介
して車輪が制動される。
【0004】制動を解除するには、シリンダ6から油圧
を排除するが、そのままではパッドのライニング10は
ロータ5から十分離れず、引きずりを生じる。そこで両
パッドの裏金11、11に穿孔して、ばね用線材を折曲
げて形成したV形ばね12、12の両端をこの孔に挿通
し、制動解除時にパッド9、9を積極的にロータから離
すようにしている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】上記したようなV形ば
ね12によりパッドをロータから離す戻しばね装置に
は、次のような問題がある。即ち、ピストン7にはシリ
ンダ6の内面に取付けた円形のシール材13が弾接して
おり、制動時にピストンをロータに向けて押出すと、摩
擦作用のためシール材の内周部はロータ方向へ押され弾
性変形する。制動を解除すると、シール材の内周部の弾
性変形は復位しようとして摩擦力によりピストンを少し
引き戻す。このためピストン側(インナ側)のパッドの
動きは容易になり、ライニングをロータ側面から迅速に
離すことができる。これに対してアウタ側(爪側)のパ
ッドは、重いキャリパ2の動きが緩徐であるため、制動
解除時の復位が迅速に行なわれない。そのため、V形ば
ね12の戻し弾力は、先ずインナ側のパッドを戻すのに
使用されてしまい、アウタ側のパッドを戻すためには弾
性変形量が少なくなり、弾力は著しく減ってしまう。従
ってキャリパ2をアウタ側へ十分移動させることが難し
く、アウタ側パッドに引きずりを生じ易かった。
【0006】
【課題を解決するための手段】この考案は、板ばね製の
ばね片の基部をサポートに固定し、基部から延出させた
腕片の先端をキャリパに弾力的に突接させて摩擦係合さ
せ、キャリパ移動時に、これに復位する弾力を加えるよ
うに形成した戻しばね装置により、制動解除時のキャリ
パ復位を行なわせるものである。
【0007】
【作用】サポートに固定した基部から延出して先端をキ
ャリパに突接させる腕片は、制動時にはキャリパとの
係合のためインナ側に曲げ変形させられて弾力を貯
え、制動解除時はこの弾力によりキャリパをアウタ側
へ押し戻す。これによりアウタ側のパッドをも十分ロー
タから離れさせることができ、ロータの両側において、
パッドを迅速にロータから離れさせることができる。
【0008】
【実施例】図1〜図6は本考案の実施例の構造及び作用
を示し、図1はディスクブレーキの平面図、図2は一部
を切除した正面図、図3はばね片の斜視図、図4〜図6
はばね片とキャリパとの関係を示す略図で、図4は非制
動時、図5は制動時、図6はライニング摩耗時の関係を
誇張して示すものである。図7、図8の従来例と同等部
分は同符号で示すと共に説明を省略して次にこれを説明
する。
【0009】図1、図2のディスクブレーキは、図7、
図8に示したものと同じ型のものであって、キャリパ2
は両端に取付けたピン3(図1では防塵ブーツ14に覆
われている)をサポート1の両端の筒状部に摺動自在に
挿入してロータ5の軸方向に移動自在である。15はパ
ッド9の動揺を抑えるパッドクリップである。
【0010】サポート1の細くなった肩部1aには、図
3のように、板ばねで形成したばね片16の基部16a
を嵌合してその弾力により位置を固定し、基部からキャ
リパに向けて延出した細板状の腕片16bの先端を弾力
的にキャリパ2の側面に略直角に突接させている。この
腕片16bの面は、ロータのパッド摺動面に平行になっ
ている。腕片16bの中間部には、腕片の先端をキャリ
パに弾力的に且つ直角に押当てるためのループ状の折曲
げ部16cを形成する。16d、16eは基部16aが
肩部1aから外れないように肩部の形状に合致させて折
曲げた折り曲げ縁である。
【0011】このように形成されたばね片16を使用す
る戻しばね装置は次のように作用する。
【0012】(1) 非制動時には、図4のように、腕片1
6bの先端はキャリパ2の側面に略直角に突接してお
り、キャリパを移動させる弾力は生じない。
【0013】(2) 制動時に図5の矢印のようにキャリパ
2がインナ側に移動すると、これに弾力的に突接した腕
片16bは、摩擦力のため先端がインナ側に引きずられ
るためインナ側に傾いて弾性変形し、弾力を貯える。キ
ャリパの側面は鋳肌が残っているから、腕片16bの
先端とキャリパ側面とは滑り難く、係合作用は強い。
【0014】(3) 制動解除時に、キャリパをインナ側に
移動させるピストン7の作用がなくなると、腕片16b
は貯えた弾力により図4の状態に戻ろうとし、摩擦力に
よりキャリパ2をアウタ側(図5の矢印と反対側)に移
動させる。この後、アウタ側のパッドがロータのうねり
により押し戻されて、インナ側パッドと同様にアウタ側
パッドの引きずりも生じなくなる。
【0015】(4) パッドのライニングが摩耗したとき
は、制動時のキャリパのインナ側への移動量が大きくな
るため、腕片16bの先端とキャリパ側面との間に滑り
を生じ、非制動状態に戻ったとき、図5、図6に点の移
動で示すようにキャリパは図4の場合よりもインナ側に
近づいて位置する。細板状の腕片16bの面は、ロータ
のパッド摺動面に平行であるから、腕片のロータ軸方向
の往復移動は容易であり、制動時にはキャリパに容易に
追従し、制動解除時にはキャリパに戻し弾力を加えて復
位させる動作が自在である。
【0016】このようにしてばね片16は、制動解除時
にアウタ側パッドを十分戻らせると共に、ライニングが
摩耗するに従ってライニングとロータ側面との間隙が広
くなるのを自動的に調整して、この間隙を適正に保つこ
とができる。ばね片16に上記した作用を行わせるため
には、腕片16bを、キャリパ側面に略直角に突接させ
るのが適当である。
【0017】なお、この実施例は、キャリパをピン3、
3で案内する型のものについて示したが、他の型のディ
スクブレーキにおいても、ばね片の基部をこの実施例の
ような弾力的な嵌着、又はサポートの形状が適当でない
ときは小ねじによる固定等の方法でサポートに取付ける
ことにより、この戻し装置を利用することができる。
た、基部から突出させた腕片の先端をキャリパの下面に
弾接させる構造が実願昭62−6618号(実開昭63
−115934号)、実願昭56−56668号(実開
昭57−169834号)の各マイクロフィルムに記載
されているが、これらに記載された腕片は、その面がロ
ータ軸に平行であるためロータ軸方向に変形し難く、更
にキャリパ下面と面接触するため摩擦係合作用も弱いの
で、本考案の様なキャリパを戻す作用は望めない。
【0018】
【考案の効果】(1) 板ばねを利用して、制動時に貯えた
弾力により制動解除時にキャリパを戻すものであるか
ら、構造が簡単、製作容易であり、パッドの裏金に穿孔
する等の加工は不要である。
【0019】(2) ロータのパッド摺動面に平行な面を持
つ腕片は、ロータ軸方向に摺動自在であるから、制動時
にはキャリパに追従し、制動解除時にはキャリパ自体を
駆動して非制動状態に戻すから、インナ及びアウタ側の
パッドを共に良好に解放できる。
【0020】(3) ライニングが摩耗するに従って、パッ
ドのライニングとロータ側面との間隙を自動的に調整で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示すディスクブレーキの平面
図。
【図2】同ディスクブレーキの一部を切断した正面図。
【図3】ばね片の斜視図。
【図4】非制動時のばね片とキャリパとの位置関係を示
す略図。
【図5】制動時のばね片とキャリパとの位置関係を示す
略図。
【図6】ライニングが摩耗したときの非制動時のばね片
とキャリパとの位置関係を示す略図。
【図7】戻しばね装置の従来例を示す、一部を切除した
ディスクブレーキの平面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【符号の説明】
1 サポート 1a 肩部 2 キャリパ 3 ピン 4 脚部 5 ロータ 6 シリンダ 7 ピストン 8 爪 9 パッド 10 ライニング 11 裏金 12 V形ばね 13 シール材 14 防塵ブーツ 15 パッドクリップ 16 ばね片 16a 基部 16b 腕片 16c 弯曲部 16d、16e 折曲げ縁

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクブレーキのサポート(1)に固
    定される基部(16a)から、細板状で面がロータの
    パッド摺動面と平行の腕片(16b)を延出したばね片
    (16)を、板ばねで形成し、上記腕片(16b)の長
    さを、基部(16a)をサポート(1)に取付けた時
    に、腕片(16b)の先端がキャリパ(2)の側面に弾
    力的に突接して摩擦係合する長さとしたディスクブレー
    キ用戻しばね装置。
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