JP2604432B2 - ガラス繊維強化樹脂組成物 - Google Patents

ガラス繊維強化樹脂組成物

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JP2604432B2 JP20886788A JP20886788A JP2604432B2 JP 2604432 B2 JP2604432 B2 JP 2604432B2 JP 20886788 A JP20886788 A JP 20886788A JP 20886788 A JP20886788 A JP 20886788A JP 2604432 B2 JP2604432 B2 JP 2604432B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はガラス繊維強化樹脂組成物に関するものであ
り,さらに詳しくは表面光沢に代表される外観および機
械的強度の改良されたガラス繊維強化ナイロン46樹脂組
成物に関する。
本発明の樹脂組成物は優れた耐熱性,機械的性質およ
び表面光沢に代表される外観により射出成形法等によっ
て成形され,電気,機械,自動車等の有用な部品として
好適である。
(従来の技術) ナイロン46はすでに公知のポリアミドである。例えば
特公昭60−8248号公報および特公昭60−28843号公報に
はナイロン46の製造方法が開示されている。またナイロ
ン46がエンジニアリングプラスチックとして優れた特
性,特に卓越した耐熱性を有することも知られている。
例えばその融点は295℃であり,これはナイロン6の2
20℃,ナイロン66の260℃よりも高いばかりでなく,ポ
リフェニレンスルフィドの285℃をも上回るものであ
る。結晶化度も大きく,非強化熱変形温度(18.6Kg/cm2
荷重)は220℃とエンジニアリングプラスチックス中最
高位の値である。摺動特性,耐疲労性,剛性にも優れて
いる。
またナイロン46のガラス繊維強化樹脂組成物も公知で
ある。例えば特開昭61−64751号公報ではナイロン46と
ナイロン6あるいはナイロン66とのブレンド物のガラス
繊維強化が開示されている。特開昭61−188455号公報に
はナイロン46と脂肪族ナイロンとブレンド物のガラス繊
維強化が開示されている。特開昭61−188457号公報には
ナイロン46と滑剤とガラス繊維とからなる樹脂組成物が
開示されている。その他特開昭62−185746号公報および
特開昭62−201964号公報にもナイロン46とガラス繊維を
含む樹脂組成物が開示されている。
しかしナイロン46とガラス繊維とからなる樹脂組成物
は耐熱性には著しく優れるものの,ナイロン6やナイロ
ン66等のガラス繊維強化樹脂組成物と比べると,表面光
沢に代表される外観に著しく劣り,その機械的強度もナ
イロン6やナイロン66のそれに比べると必ずしも満足さ
れるものではなかった。
ところが,ガラス繊維強化ナイロン46樹脂組成物のか
かる問題点を解決する試みは広く要望されていたにもか
かわらず,実際にはほとんどなされていないのが実情で
あった。
(発明が解決しようとする課題) 従って,本発明の課題は表面光沢に代表される外観お
よび機械的強度の改良されたガラス繊維強化ナイロン46
樹脂組成物を得ることにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた
結果,ガラス繊維強化ナイロン46樹脂組成物に特定の共
重合ナイロンを存在せしめることにより,驚くべきこと
にかかる課題がことごとく達成されることを見出し本発
明に到達したものである。
すなわち、本発明は下記のA,BおよびCの3成分から
なり,その重量配合比が式〔I〕,〔II〕および〔II
I〕を満足する範囲内にあるガラス繊維強化樹脂組成物
に関する。〔但し,(A),(B)および(C)はそれ
ぞれの成分の重量配合比を表す。〕 A:ナイロン46 B:ε−カプロラクタムと一般式〔IV〕で表される脂環式
ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸とからなる
共重合ナイロンでε−カプロラクタム成分を50%以上含
むもの 〔ここでR1およびR2は同じであっても異なっていてもよ
く,それぞれ水素または炭素数1〜3のアルキル基を表
す。〕 C:ガラス繊維 本発明においてA成分として用いられるナイロン46と
は酸成分としてアジピン酸またはその機能誘導体を用
い、アミン成分としてテトラメチレンジアミンまたはそ
の機能誘導体を用いて縮合反応により得られる線状高分
子ポリアミドである。
本発明に用いられるナイロン46はその耐熱性を大きく
損なわない範囲内で他の共重合成分を含んでもよい。そ
れらの共重合成分としては6−アミノカプロン酸,11−
アミノウンデカン酸,12−アミノドデカン酸,ε−カプ
ロラクタム,ω−ラウリルラクタム,ヘキサメチレンジ
アミン,ウンデカメチレンジアミン,メタキシリレンジ
アミン,アジピン酸,アゼライン酸,セバシン酸,イソ
フタル酸,テレフタル酸等を挙げることができる。
本発明で用いられるナイロン46の製造方法は任意であ
る。例えば特公昭60−28843号公報,特公昭60−8248号
公報,特開昭58−83029号公報および特開昭61−43631号
公報などで開示された方法,つまりまず環状末端基量が
少ないプレポリマーを特定の条件下で製造したのち,こ
れを水蒸気雰囲気などで固相重合して高分子量ナイロン
46を調製する方法で得たもの,あるいは2−ピロリドン
やN−メチルピロリドンなどの極性有機溶媒中で加熱す
る方法で得たものの利用が特に好ましい。
本発明で用いられるナイロン46の重合度について特に
制限はないが,相対粘度を96%硫酸を用い濃度1g/dl,25
℃で測定した時,1.5〜5.5さらには2.0〜4.5の範囲にあ
るナイロン46が好ましい。5.5を越える相対粘度のナイ
ロン46を用いる場合には組成物の流動性が悪くなるだけ
でなく,その機械的,熱的性質のばらつきが大きくなる
ので好ましくない。一方1.5よりも低い相対粘度では組
成物の機械的強度が小さくなるという欠点を生じる。
本発明においてB成分として用いられる共重合ナイロ
ンは,ε−カプロラクタムと一般式〔IV〕で表される脂
環式ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸とから
なる共重合ナイロンで,ε−カプロラクタムを50モル%
以上含むものである。ε−カプロラクタムが50モル%未
満の共重合ナイロンでは外観および機械的性質の改良効
果が著しく少ない。
本発明に用いられる共重合ナイロンは必要に応じて他
の共重合成分を含んでもよい。かかる共重合成分として
は,11−アミノウンデカン酸,12−アミノドデカン酸,ω
−ラウリルラクタム,ヘキサメチレンジジアミン,ウン
デカメチレンジアミン,メタキシリレンジアミン,トリ
メチルヘキサメチレンジアミン,アジピン酸,アゼライ
ン酸,セバシン酸等を挙げることができる。共重合ナイ
ロンは公知の方法で製造することができる。最も一般的
な方法は水の存在下にε−カプロラクタムと他の共重合
成分とを混合しつつ加熱し,加圧下に水を留去し,次い
で減圧下に重合を行う方法である。
本発明で用いられる共重合ナイロンの重合度について
は特に制限はないが,96%硫酸を用い,濃度1g/dl,25℃
の相対粘度が1.5〜6.0さらには2.0〜5.0の範囲にあるも
のが好ましい。相対粘度6.0を越えると溶融粘度が高く
なりすぎ,樹脂組成物の流動性が悪くなるので好ましく
ない。逆に相対粘度が1.5未満では低い機械的強度しか
与えず好ましくない。
本発明でC成分として用いられるガラス繊維は熱可塑
性樹脂や熱硬化性樹脂の強化材として一般に用いられて
いるものであり,ガラス繊維の形状には特に制限はな
く,長繊維タイプ(ガラスロービング)から短繊維タイ
プ(チョップドストランド,ミルドファイバー,ガラス
フレーク)のものまで任意の形状のものが使用可能であ
る。中でも直径が3〜20μm程度のガラス繊維は特に良
好な外観および機械的強度を与えるので好ましい。
本発明においてA成分のナイロン46とB成分の共重合
ナイロンの重量配合比は式〔I〕を満足する。
但し(A),(B)はそれぞれA成分およびB成分の
重量配合比を表す。式〔I〕を満足しない場合,すなわ
ちA成分のナイロン46がB成分の共重合ナイロンよりも
少ない重量比しか存在しない場合には樹脂組成物の耐熱
性が大きく低下するので好ましくない。
本発明においてB成分の共重合ナイロンとC成分のガ
ラス繊維との重量配合比は式〔II〕を満足する。
但し(C)はC成分の重量配合比を表す。式〔II〕を
満足しない場合,すなわちB成分の共重合ナイロンの重
量配合比が,それとC成分のガラス繊維の重量配合比と
の合計量に対し,10%未満の場合には表面光沢に代表さ
れる外観の改良効果が不充分である。
本発明においてC成分のガラス繊維の重量配合比は式
〔III〕を満足する。
樹脂組成物におけるC成分のガラス繊維の重量配合比
が5%未満の場合には,耐熱性や機械的性質が充分でな
い。逆にそれが70%を越える場合には表面光沢に代表さ
れる外観の大きな低下,また機械的性質の低下も招く。
本発明の樹脂組成物には必要に応じて,本発明の目的
を損なわない範囲で酸化防止剤,紫外線吸収剤,着色
剤,他の無機強化剤を配合することができる。
本発明の樹脂組成物を得る方法としては,押出機,ロ
ールミキサー,バンバリミキサー,ニーダーミキサー等
で溶融混合する方法を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は種々の形態,例えば各種成形
品,シート,管状物等に成形し使用することができる。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明する
が,本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例〕
実施例1〜4,比較例1,2 相対粘度4.0のナイロン46(オランダ国DSM社製KS40
0)とε−カプロラクタム90モル%とビス(4−アミノ
シクロヘキシル)メタン5モル%とイソフタル酸5モル
%とから得られる共重合ナイロン(相対粘度2.5)と13
μmの直径のガラス繊維チョップドストランド(日本電
気ガラス社製T289)とを表1の割合に混合し,90℃で16
時間真空乾燥した後,2軸押出機で300℃で溶融混合し,
これを切断してペレットを得た。得られたペレットを射
出成形機で300℃で成形し,テストピースを作成した。
このテストピースを用いて表面光沢度,熱変形温度,引
張強度および引張弾性率を測定した。その結果を併せて
表1に掲げた。
(発明の効果) 本発明のガラス繊維強化樹脂組成物においては,共重
合ナイロンを特定量含むことにより表面光沢が著しく改
良されており,しかも熱変形温度に代表される耐熱性や
機械的性質はそのまま保持されている。しかも引張強度
については予想に反して高い値を示している。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のA,BおよびCの3成分からなり,そ
    の重量配合比が式〔I〕,〔II〕および〔III〕を満足
    する範囲内にあるガラス繊維強化樹脂組成物。〔但し,
    (A),(B)および(C)はそれぞれの成分の重量配
    合比を表す。〕 A:ナイロン46 B:ε−カプロラクタムと一般式〔IV〕で表される脂環式
    ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸とからなる
    共重合ナイロンでε−カプロラクタム成分を50%以上含
    むもの 〔ここでR1およびR2は同じであっても異なっていてもよ
    く,それぞれ水素または炭素数1〜3のアルキル基を表
    す。〕 C:ガラス繊維
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