JP2602932B2 - 冷暖房タイマ - Google Patents

冷暖房タイマ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、冷暖房空調機の運転開始時刻を設定する冷
暖房タイマに関するものである。
〔従来の技術〕
冷暖房空調機に使用される冷暖房タイマとして、たと
えば、特開昭58−102051号公報、特開昭58−106341号公
報および特開昭58−35347号公報に記載されたものが提
案されている。これらの冷暖房タイマにおいては、前回
もしくは前々回など過去のデータを記憶する記憶手段を
備え、この記憶手段に記憶されたデータと現状の室温か
ら、目標時刻に目標室温に到達するための運転開始時刻
を補正していくようになっている。
また、たとえば、特開昭59−229123号公報に記載され
たものが提案されている。この冷暖房タイマにおいて
は、室温空気の熱容量値や壁の熱伝導抵抗値を記憶する
記憶手段を備え、室内外の温度差により冷暖房の開始時
刻を決定していくようになっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のように、過去のデータと現状の室温から冷暖房
の開始時刻を決定するものでは、たとえば、急に寒波が
訪れた冬の朝など、当日と前日の外気温に大きな差が発
生した場合、暖房開始時において、壁の温度を上昇させ
るために多くの熱量が費やされ、室内の空気の温度の上
昇に寄与する熱量が少なくなる。このため、室内の空気
の温度が目標時刻に目標室度に到達しないことがあり、
室内の温度を適確に制御できないことがある。
また、室内外の温度差により冷暖房の開始時刻を決定
するものでは、壁の熱容量が考慮されておらず、室内外
の温度が急激に変化した場合、演算結果で決定された時
刻から運転を開始したのでは、壁の熱容量の影響で目標
時刻に目標室温に到達しないことがある。
ともかく、室内の空気と壁の熱容量を一体のものとし
て考える方式では、室内外の急激な温度変化があると、
設定された目標時刻に目標室温まで達しないことがあ
る。
上記の事情に鑑み、本発明の目的は、目標時刻に確実
に目標室温に到達するように制御できる冷暖房タイマを
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明においては、目標
時刻に目標室温になるように運転開始時刻を決定する冷
暖房空調機における冷暖房タイマにおいて、室内空気の
熱容量と、室内空気と壁との間の熱伝達率と、壁の熱容
量と、壁と外気との間の熱伝達率と、室内空気温度と、
外気温度と、冷暖房空調機の運転周波数に基づく冷暖房
能力とから運転開始からの時間に対する室温の変化を二
次遅れ形式の微分方程式を求めることによって算出され
たシミュレート曲線を作成するシミュレート曲線作成手
段と、前記室内温度の検出手段と、前記外気温度の検出
手段と、前記室内空気温度の検出手段から検出された室
内空気温度と、前記外気温度の検出手段から検出された
外気温度の差から予め求められた最適運転周波数を決定
する運転周波数算出手段とを備え、目標室温および目標
時刻を設定した場合、前記室内空気温度の検出手段から
室内温度を、前記外気温度の検出手段から外気温度を検
出し、前記シミュレート曲線に基づいて、目標室温に到
達する時間を算出し、算出された時間より冷暖房運転を
開始する時刻を決定し、前記運転周波数算出手段によっ
てこの時の運転周波数を決定する。
また、前記構成に、空調機の運転が開始されてから予
め設定された再検討時間までの経過時間を計測する運転
時間計測手段もしくは、室温と目標温度との差が、予め
設定された再検討温度差に到達したことを測定する温度
差測定手段と、運転時間計測手段もしくは、温度差測定
手段の出力に基づいて、残りの運転時間で目標温度に到
達するのに必要な最適周波数を選定する最適周波数制御
運転セレクト手段を設けた。
〔作用〕
本発明の原理について第4図に示す部屋の平面図によ
り説明する。
図に示すように壁で囲まれた室内を空調する場合の外
気との関係は、室1内の空調能力をQ、空気温度をT、
空気の熱容量をCA、壁2の温度をTW、熱容量をCW、室1
内の空気から壁2に逃げる熱量をQinw、壁2から外気3
に逃げる熱量をQwout、外気3の温度をTout、室1と壁
2との間の熱伝達率をK1、壁2と外気3との間の熱伝達
率をK2とすると、室1内での熱収支と、壁2での熱収支
は、第5図(a)、(b)および第6図(a)、(b)
に示すように表すことができる。
すなわち、室1の表面積を単位面積と仮定すると、そ
の熱収支は、微分演算子(時間に関する微分)をSを用
いて表せば、 ST×CA=Q−Qinw STW×Cw=Qinw−Qwout …(1) Qinw=K1(T−Tw) Qwout=K2(Tw−Tout) となり、この式(1)を解くと、 となる。
この式(2)によって求められる曲線は、第8図に示
す曲線4である。なお、第7図は、タイマの動作説明図
であり、第8図は、縦軸を室温Tとし、横軸を第7図に
おける運転開始時刻からの時間tとしている。
また、本発明と比較するための従来技術(特開昭59−
229123号公報など)の場合の室温の変化を示す。この従
来技術においては、室内の空気と壁の熱容量を一体のも
のとしているため、室側の熱容量C′、壁2の熱通過率
をK′とすると、 ST×C′=Q−K′(T−Tout) …(3) となり、この式(3)を解くと、 となる。すなわち、室1内の空気および壁2の温度を一
体のものとしているため、式(4)のように室温Tは、
一次遅れ式の形で表され、この式(4)によって求めら
れる曲線は、第8図の曲線5のようになる。
一方、実際の室温の変化は、式(4)で運転開始時刻
ts2を求め運転を開始した場合、運転開始時刻ts2から目
標時刻tsetまでの運転時間t1では、第8図の曲線7のよ
うになり、目標時刻tsetに目標室温tsetに達しないこと
になる。すなわち、実際の系は、室1内の空気と壁2、
壁2と外気のそれぞれの間で熱伝導が行われ、特に冷暖
房の立上り時など、過渡的に室1内の空気の温度が変化
する場合においては、当然室1内の空気の温度と壁2の
温度が異なっているので、室1内の空気の温度Tと壁2
の温度Twの差の影響が大きく出て、実際の室1内の空気
の温度変化は第8図の曲線7のようになる。
したがって、本願発明のように、式(2)のように二
次遅れ式の形で表すことにより、第8図の曲線4のよう
に、実際の室温の変化を示す曲線6(曲線7を時間軸方
向に移動させたもの)に近似させることができ、実際の
系に合った制御をすることができる。
本発明は、上記の原理に基づいて、室1内の空調能力
をQ、空気温度をT、空気の熱容量をCA、壁2の温度を
TW、熱容量をCW、室1内の空気から壁2に逃げる熱量を
Qinw、壁2から外気3に逃げる熱量をQwout、外気3の
温度をTout、室1と壁2との間の熱伝達率をK1、壁2と
外気3との間の熱伝達率をK2とすると、室1内での熱収
支と、壁2での熱収支を式(2)で求め、目標時刻tset
に目標室温Tsetにするための運動開始時刻ts1を算出す
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は、本発明の第1の実施例を示す冷暖房タイマ
の構造ブロッ図である。同図において、8はメモリで、
室内空気の熱容量メモリ8aと、壁の熱容量メモリ8bと、
室内空気と壁との間の熱伝達率メモリ8cと、壁と外気と
の間の熱伝達率メモリ8dとから構成されている。9は室
内空気温度(以下、温室という)検出手段。10は外気温
度(以下、外気温という)検出手段。11は暖房能力メモ
リで、室温検出手段9および外気温検出手段10で検出さ
れた室温Tおよび外気温Toutと、運転周波数算出手段12
で算出された運転周波数fとの関数として暖房能力QH
予め記憶している。13は熱量算出手段で、室内空気から
壁に流入する熱量Qinwを算出する。14は熱量演算手段
で、壁から外気に流出する熱量Qoutをさんしゅつする。
15は目標室温設定手段。16はCPUで、前記式(2)によ
り、現在の室温が目標室温設定手段15に設定された温度
に達するのに必要な時間tを算出する。17は室温シミュ
レート曲線作成手段。18はスタート時刻算出手段。19は
空調機の操作手段である。
CPU16は、メモリ8から室内空気の熱容量CA、壁の熱
容量CW、室内空気と壁との間の熱伝達率K1、壁と外気と
の間の熱伝達率K2を取り出し、室温検出手段9および外
気温検出手段10で検出された室温Tおよび外気温Tout
入力するとともに、暖房能力メモリ11から暖房能力QH
取り出し、かつ、熱量算出手段13おび熱量算出手段14か
ら入力される熱量Qinwおよび熱量Qoutに基づいて、前記
式(2)により、運転開始から目標室温設定手段15に設
定された室温に到達するまでに必要な時間tを算出す
る。
ついで、CPU16で算出された時間tに基づいて、室温
シミュレート曲線作成手段が、第8図に示す曲線4を算
出する。スタート時刻算出手段18は、この曲線4のデー
タに基づいて、目標時刻Tmの何分前に運転を開始すれば
よいかを算出し、その算出結果に基づいて空調機の操作
手段19に指示する。
したがって、本実施例においては、外気温に即した暖
房開始時刻の設定を行うことができ、かつ、精度よく目
標時刻に目標室温に制御することができる。また、室の
大きさ、壁の条件を予め設定しておけば、あらゆる使用
環境において自動制御することができる。
第2図は、本発明の第2の実施例を示す冷暖房タイマ
の構成ブロック図である。
同図において、第1図と同じものは同じ符号をつけて
示す。この実施例においては、前記実施例に対し、室内
温度検出手段9、外気温検出手段10および運転周波数算
出手段12と、暖房能力メモリ11との間に入力メモリ20お
よび最適周波数制御運転算出手段21を備えている。
入力メモリ29は、入力Wを、室温T、外気温Toutおよ
び運転周波数fの関数として算出し記憶する。
最適周波数制御運転算出手段21は、予め入力メモリ20
からのデータに基づいて室温Tおよび外気温Toutからど
のような運転周波数fにより運転するのが最も省エネル
ギーになるかを算出する。
暖房能力メモリ11は、予最適周波数制御運転算出手段
21からの最も省エネルギーの運転を可能とする最適周波
数データと室温T、外気温Toutとの関数として暖房能力
GHを算出して記憶する。
したがって、この実施例においては、CPU16で目標室
温に達するまでの時間tを算出する際に、最も省エネル
ギーの運転を可能とする運転周波数fでの時間tを算出
することができ、省エネルギー化を図ることができる。
第3図は、本発明の第3の実施例を示す冷暖房タイマ
の構成ブロック図である。
同図において、第2図と同じものは同じ符号をつけて
示す。この実施例においては、前記第2の実施例に対
し、室内温度検出手段9、外気温検出手段10および最適
周波数制御運転算出手段21を暖房能力手段11′に接続
し、かつ、空調機の操作手段19を運転時間計測手段22も
しくは温度差測定手段23のいずれか一方を介して最適周
波数制御運転セレクト手段24に接続している。
暖房能力算出手段11′は、予め最適周波数制御運転算
出手段21からの最も省エネルギーの運転を可能とする最
適周波数と室温T、外気温Toutの関数として暖房能力QH
を算出するとともに、室温検出手段9、外気温検出手段
10で検出された室温Tおよび外気温Toutと、運転周波数
算出手段12からの運転周波数fを入力して予め算出され
た暖房能力QHを補正する。
運転時間計測手段22は、空調機の操作手段19からの運
転開始の指令があったときから運転時間を計測し、予め
設定された時間(運転状況に再検討を行う時間)経過し
たとき、最適周波数制御運転セレクト手段24に再検討を
指示する。
温度差測定手段23は、空調機の操作手段19から運転開
始の指令があったときから、その時の室温Tと予め記憶
された目標室温Tsetとの温度差T0の測定を開始し、予め
設定された温度差(再検討を行う温度)に達したとき、
最適周波数制御運転セレクト手段24に再検討を指示す
る。
なお、本実施例では、運転時間計測手段22および温度
差測定手段23の両方を備えているが、いずれか一方を備
えていればよい。
最適周波数制御運転セレクト手段24は、運転時間計測
手段22もしくは温度差測定手段23から再検討の指示があ
ったとき、その時点における目標時刻tsetまでの残り運
動時間で、目標室温Tsetに到達するのに必要な運転周波
数fを選定する。
したがって、本実施例においては、運転開始後外気温
Toutが変化し、それにともなって必要とされる暖房能力
が変化した場合でも、最適周波数制御運転セレクト手段
24によって予め設定された運転時間経過後あるいは、そ
の時の室温Tが予め記憶された目標室温Tsetとの温度差
TOに到達したとき、残りの運転時間で目標温度Tsetに到
達するのに必要な運転周波数fを選定するので、精度よ
く目標時刻tsetに目標温度Tsetに到達させることができ
る。
〔発明の効果〕
本発明は、以上説明したように構成されているので、
以下の効果を奏する。
(1)室内の空気温度、外気温、室内空気の熱容量およ
び、壁の熱容量を考慮して冷暖房運転の開始時刻を設定
するようにしたので、精度よく目標時刻に目標室温に制
御することができる。
(2)運転開始後に、外気温など運転条件の設定要因が
変化しても、予め設定された時間経過後あるいは予め設
定された温度に到達したとき、その時点で運転パターン
を再検討することにより、精度よく目標時刻に目標室温
に制御することができる。
(3)最適周波数運転制御を行うことにより、冷暖房運
転時の省エネルギー化を図ることができる。
(4)あらゆる使用環境において運転パターンの自動制
御を行うことができる。
たとえば、目標室温を最適就寝室温といわれる14℃に
設定することにより、冬期、就寝後徐々に温度を下げ、
一定時間後に最適就寝室温といわれる14℃に保持するよ
うに制御することができる。
また、留守をしている家内の温度を該気温に即して制
御することにより、家の耐用年数を延長させることが可
能になる。
さらに、ホームオートメイションを用いることによ
り、外部から指令を与えることにより、帰宅時の室温の
温度を目標温度に制御させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の冷暖房タイマの第1の実施例を示す
ブロック線図、第2図は、本発明の冷暖房タイマの第2
の実施例を示すブロック線図、第3図は、本発明の冷暖
房タイマの第2の実施例を示すブロック線図、第4図
は、空調する部屋の平面図、第5図は、熱交換の等価回
路図で、(a)は室内の熱収支を示し、(b)は壁の熱
収支を示す、第6図は、熱収支の等価ブロック図で、
(a)は室内の熱収支を示し、(b)は壁の熱収支を示
す、第7図は、タイマの動作説明図、第8図は、空調機
の運転時間と室温の変化を示すシミュレート曲線図、第
9図は、空調機の運転パターンの見直しを行った場合の
運転時間と室温の変化を示すシミュレート曲線図であ
る。 1……室、2……壁、3……外気、4……本発明により
シミュレートした室温の変化を示す曲線、5……従来技
術によりシミュレートした室温の変化を示す曲線、6、
7……実際の室温の変化を示す曲線、8……メモリ、9
……室温検出手段、10……外気温検出手段、11……暖房
能力メモリ、12……運転周波数算出手段、13、14……熱
量算出手段、15……目標室温設定手段、16……CPU、17
……室温シミュレート曲線作成手段、18……スタート時
刻算出手段、19……空調機の操作手段、20……入力メモ
リ、21……最適周波数運転制御手段、22……運転時間計
測手段、23……温度差測定手段、24……最適周波数制御
運転セレクト手段。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】目標時刻に目標室温になるように運転開始
    時刻を決定する冷暖房空調機における冷暖房タイマにお
    いて、室内空気の熱容量と、室内空気と壁との間の熱伝
    達率と、壁の熱容量と、壁と外気との間の熱伝達率と、
    室内空気温度と、外気温度と、冷暖房空調機の運転周波
    数に基づく冷暖房能力とから運転開始からの時間に対す
    る室温の変化を二次遅れ形式の微分方程式を求めること
    によって算出されたシミュレート曲線を作成するシミュ
    レート曲線作成手段と、前記室内温度の検出手段と、前
    記外気温度の検出手段と、前記室内空気温度の検出手段
    から検出された室内空気温度と、前記外気温度の検出手
    段から検出された外気温度の差から予め求められた最適
    運転周波数を決定する運転周波数算出手段とを備え、目
    標室温および目標時刻を設定した場合、前記室内空気温
    度の検出手段から室内温度を、前記外気温度の検出手段
    から外気温度を検出し、前記シミュレート曲線に基づい
    て、目標室温に到達する時間を算出し、算出された時間
    より冷暖房運転を開始する時刻を決定し、前記運転周波
    数算出手段によってこの時の運転周波数を決定すること
    を特徴とする冷暖房タイマ。
  2. 【請求項2】冷暖房空調機の運転が開始されてから予め
    設定された再検討時間までの経過時間を計測する運転時
    間計測手段もしくは、室温と目標温度との差が、予め設
    定された再検討温度差に到達したことを測定する温度差
    測定手段と、運転時間計測手段もしくは、温度差測定手
    段の出力に基づいて、残りの運転時間で目標温度に到達
    するのに必要な最適周波数を選定する最適周波数制御運
    転セレクト手段とを設けたことを特徴とする請求項1に
    記載の冷暖房タイマ。
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