先ず始めに、空気調和機の運転モードを決定する方法およびサーバの各種態様について説明する。
本発明に係る第1の態様の空気調和機の運転モードを決定する方法は、空気調和機の暖房モードまたは冷房モードである運転モードを決定する。空気調和機の運転モードを決定する方法は、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合した、制御空間の外気温度に関連するモード決定基準を取得するステップと、外気温度を取得するステップと、外気温度、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するステップと、を含む。
本発明に係る第2の態様の空気調和機の運転モードを決定する方法は、第1の態様において、モード決定基準は、外気温度に関連する少なくとも1つの外気温度閾値と、少なくとも1つの設定温度差閾値との組み合わせであり、当該設定温度差閾値は制御空間の室内温度と空気調和機の設定温度との設定温度差に関連する。空気調和機の運転モードを決定する方法は、室内温度を取得し、設定温度差を計算するステップをさらに備え、外気温度、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するステップにおいては、外気温度、設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する。
本発明に係る第3の態様の空気調和機の運転モードを決定する方法は、第2の態様において、外気温度、設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するステップは、住宅冷温熱保持能力を取得するステップと、住宅冷温熱保持能力に基づいて、複数のモード決定基準のうちから1つのモード決定基準を選択するステップと、外気温度、設定温度差、および選択したモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するステップと、を含んでもよい。
本発明に係る第4の態様の空気調和機の運転モードを決定する方法は、第3の態様において、複数のモード決定基準のうち、1つのモード決定基準における前記外気温度閾値は、他の1つのモード決定基準における外気温度閾値と異なってもよい。
本発明に係る第5の態様の空気調和機の運転モードを決定する方法は、第2の態様において、外気温度、設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するステップは、住宅冷温熱保持能力を取得するステップと、住宅冷温熱保持能力に基づいて、少なくとも1つの外気温度閾値を設定するステップと、外気温度、設定温度差、および設定した少なくとも1つの外気温度閾値によるモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するステップと、を含んでもよい。
本発明に係る第6の態様の空気調和機の運転モードを決定する方法は、第5または第5の態様において、住宅冷温熱保持能力を取得するステップにおいては、記憶された住宅冷温熱保持能力を読み出すことによって、または、記憶された住宅冷温熱保持能力推定モデル、および制御空間の室内温度記録情報に基づいて、住宅冷温熱保持能力を推定することによって、住宅冷温熱保持能力を取得する。
本発明に係る第7の態様の空気調和機の運転モードを決定するサーバは、空気調和機の暖房モードまたは冷房モードである運転モードを決定する。空気調和機の運転モードを決定するサーバは、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合した、制御空間の外気温度に関連するモード決定基準を記憶するサーバ記憶部と、サーバ制御部であって、モード決定基準を取得し、外気温度を取得し、外気温度、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するように構成されたサーバ制御部と、を含む。
本発明に係る第8の態様の空気調和機の運転モードを決定するサーバは、第7の態様において、モード決定基準は、外気温度に関連する少なくとも1つの外気温度閾値と、少なくとも1つの設定温度差閾値との組み合わせであり、当該設定温度差閾値は制御空間の室内温度と空気調和機の設定温度との設定温度差に関連し、サーバ制御部は、室内温度を取得し、設定温度差を計算し、外気温度、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するとき、外気温度、設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するようにさらに構成され得る。
本発明に係る第9の態様の空気調和機の運転モードを決定するサーバは、第8の態様において、サーバ制御部は、外気温度、設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するとき、住宅冷温熱保持能力を取得し、住宅冷温熱保持能力に基づいて、複数のモード決定基準のうちから1つのモード決定基準を選択し、外気温度、設定温度差、および選択したモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するようにさらに構成され得る。
本発明に係る第10の態様の空気調和機の運転モードを決定するサーバは、第9の態様において、複数のモード決定基準のうち、1つのモード決定基準における外気温度閾値は、他の1つのモード決定基準における外気温度閾値と異なってもよい。
本発明に係る第11の態様の空気調和機の運転モードを決定するサーバは、第8の態様において、サーバ制御部は、外気温度、設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するとき、住宅冷温熱保持能力を取得し、住宅冷温熱保持能力に基づいて、少なくとも1つの外気温度閾値を設定し、外気温度、設定温度差、および設定した少なくとも1つの外気温度閾値によるモード決定基準に基づいて、運転モードを決定するようにさらに構成され得る。
本発明に係る第12の態様の空気調和機の運転モードを決定するサーバは、第11の態様において、サーバ制御部は、住宅冷温熱保持能力を取得するとき、サーバ記憶部に記憶された住宅冷温熱保持能力を読み出すことによって、または、サーバ記憶部に記憶された住宅冷温熱保持能力推定モデル、および制御空間の室内温度記録情報に基づいて、住宅冷温熱保持能力を推定することによって、住宅冷温熱保持能力を取得するようにさらに構成され得る。
《実施の形態1》
以下、本発明に係る空気調和機の運転モードを決定する方法およびサーバの実施の形態1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下で説明する実施の形態1は、本発明の一例を示すものである。以下の実施の形態1において示される数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態1における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
以下に述べる実施の形態1において、特定の要素に関しては変形例を示す場合があり、その他の要素に関しては任意の構成を適宜組み合わせることを含むものであり、組み合わされた構成においてはそれぞれの効果を奏するものである。実施の形態1において、それぞれの変形例の構成をそれぞれ組み合わせることにより、それぞれの変形例における効果を奏するものとなる。
以下の詳細な説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
図1は、本発明に係る一つの実施の形態1に係る空気調和機の運転モードを決定するサーバ、制御対象である空気調和機、および周辺機器の概略構成を示すブロック図である。以下、図1に示す空気調和機の運転モードを決定するサーバ10の概要について説明する。実施の形態1のサーバ10は、空気調和機20の空調制御の対象とする制御空間の住宅冷温熱保持能力を考慮した上で、空気調和機20の運転モードを選択する。そして決定した運転モードがサーバ10から空気調和機20に送信され、空気調和機20は受信した運転モードに従って運転する。
<空気調和機20>
空気調和機20は、家庭やオフィスにおける部屋の内部空間(すなわち、制御空間)を空調制御の対象空間として、空気調和機20の室内機が制御空間の壁面や天井等に設けられ、室内機に接続された室外機が屋外に設けられている。実施の形態1では、冷房および暖房の機能を有する空気調和機20について説明するが、この構成は例示である。本発明は、以下の実施の形態において説明する構成に限定されるものではなく、例えば、冷房および暖房の機能に加え、除湿機能、空気洗浄機能などの他の機能も有し、または、冷房モード・暖房モードと他の機能との組み合わせ(例えば、冷房除湿機能)を有する空気調和機を含むものである。空気調和機20は、空調記憶部21と、空調制御部22と、空調通信部23とを有する。また、空気調和機20は室内温度センサ24や外気温度センサ25などのセンサを有してもよい。
空調記憶部21は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、空調制御部22の作業領域として機能するメモリであってもよい。空調記憶部21は、例えば、フラッシュメモリ、RAM、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
空調制御部22は、空気調和機20全体の制御を司るコントローラである。空調制御部22は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。空調制御部22は、空調記憶部21に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、空気調和機20における各種の制御を実現することができる。また、空調制御部22は空調記憶部21と協働して空調記憶部21に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。空調制御部22は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
空調制御部22は、設定温度、運転モード、様々なセンサから受信した検出値などに基づいて、制御空間の温度を制御する。空調制御部22は、空気調和機20から噴出される気流の風速や風向を制御してもよい。空調制御部22は制御空間の湿度を制御してもよい。なお、本開示における設定温度とは、ユーザが空気調和機20のコントローラや空気調和機20と関連付けられたスマートフォン等を介して入力したユーザ設定温度であってもよく、空気調和機20が実際に運転する内部設定温度であってもよい。
空調通信部23は、サーバ10やユーザの端末装置30等と通信することもでき、例えば、インターネットパケットを送受信することもできる。空調制御部22は、空調通信部23を介してサーバ10と協働するとき、インターネットを介してサーバ10から制御に関するパラメータ値または指令を受信することできる。
室内温度センサ24は、空気制御の対象空間である部屋の内部空間の温度(室内温度)を検出するセンサである。室内温度センサ24は、室内温度を検出できる場所に設置されていればよい。室内温度センサ24は、例えば、空気調和機20の室内機における室内空気の吸い込み温度を室内温度として検出するように、室内機の内部に設置されていてもよい。室内温度センサ24にて検出された室内温度の情報は、空調記憶部21に入力され記憶される。
外気温度センサ25は、空気制御の対象空間である部屋の外部空間の温度、特に外気に触れられる空間の温度(外気温度)を検出するセンサである。外気温度センサ25は、外気温度を検出できる場所に設置されていればよい。外気温度センサ25は、例えば、空気調和機20の室外機の設置場所の気温、または室外機から吸い込んだ外気の吸い込み温度を外気温度として検出するように、室外機に設置されていてもよい。外気温度センサ25にて検出された外気温度の情報は、空調記憶部21に入力され記憶される。
空気調和機20は他のセンサ、例えば、湿度センサ、ユーザ活動量センサなどを有してもよい。これらのセンサは一定時間ごとに検出を行い、検出値を空調記憶部21に記憶させてもよい。空調制御部22は空調通信部23を介して、空調記憶部21に記憶された、様々なセンサによる検出値、自身の運転記録、制御履歴などの各種のデータをサーバ10へ送信することができる。空調制御部22は空調通信部23を介して様々なセンサによる検出値をそのままサーバ10へ送信することもできる。
1つの実施例においては、サーバ10はインターネットを経由して複数の空気調和機20に接続して制御することができる。ここで言う複数の空気調和機20としては、日本全国または世界の各地域に設けられている構成が想定される。それぞれの空気調和機20は、それぞれの制御空間に設けられている。空気調和機20は、例えば、内蔵の室内温度センサ24、外気温度センサ25などを用いて、一定時間ごとに制御空間の室内温度または外気温度を検出することが可能な構成を有している。なお、本開示においては、この例示の空気調和機20について説明するが、他の空気調和機20において同様の構成としてもよい。
<端末装置30>
端末装置30は、空気調和機20のコントローラであってもよく、複数種類の家電製品を同時に管理・制御できるコントローラであってもよい。また、端末装置30は、空気調和機20との間でデータ通信を行うことができる情報端末、例えば、専用の関連アプリケーション32が組み込まれたスマートフォン、携帯電話、モバイルフォン、タブレット、ウェアラブル装置、コンピュータなどであってもよい。サーバ制御部14または空調制御部22は端末装置30を介してユーザが入力したユーザ設定温度を取得することができる。なお、ユーザ設定温度、ユーザが指定した運転モードなどのユーザ入力に用いられるコントローラやスマートフォンは端末装置30であってもよく、端末装置30とは異なる装置であってもよい。
<サーバ10>
サーバ10としては、例えば、少なくとも1つの空気調和機20を管理するため、またはデータを収集するための空気調和機20の製造会社の管理サーバであってもよい。または、サーバ10は、アプリケーションサーバであってもよい。サーバ10は特定の空気調和機20を管理するとき、当該空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力を考慮し、当該空気調和機20の運転モードを決定することができる。実施の形態1において、サーバ10はサーバ記憶部12と、サーバ制御部14とを含む。サーバ10は、空気調和機20、端末装置30、および、例えば気象情報源などの外部情報源40と通信するためのサーバ通信部16をさらに含んでもよい。
<サーバ記憶部12>
サーバ記憶部12は種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、サーバ制御部14の作業領域として機能するメモリであってもよい。サーバ記憶部12は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、RAM、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。サーバ記憶部12は、サーバ10内部のメモリであってもよく、サーバ10と無線通信または有線通信にて接続されているストレージ装置であってもよい。
サーバ記憶部12は、空気調和機20から受信した検出値、運転記録または制御履歴、外部情報源40から受信した天気情報などを記憶してもよい。また、サーバ記憶部12は受信した検出値、運転記録、制御履歴をデータベースの一部としてまたは個別の電子ファイルとして記憶してもよい。
<サーバ制御部14>
サーバ10のサーバ制御部14は、サーバ10全体の制御を司るコントローラである。サーバ制御部14は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。サーバ制御部14は、サーバ記憶部12に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、サーバ10における各種の制御を実現することができる。また、サーバ制御部14はサーバ記憶部12と協働してサーバ記憶部12に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。サーバ制御部14は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
<サーバ通信部16>
サーバ通信部16は、サーバ制御部14と協働して、空気調和機20や端末装置30等とインターネットパケットを送受信する、すなわち、通信することもできる。サーバ10はサーバ通信部16を介して、空気調和機20から空気調和機20の運転記録や制御履歴を受信してもよく、外部情報源40から過去、現在または未来の天気情報を受信してもよい。サーバ通信部16または空調通信部23は、サーバ10と、空気調和機20と、端末装置30と、外部情報源40との間において、データの送受信を行うために用いられる通信手段としては、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行ってもよく、インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等、赤外線、ブルートゥース(登録商標)と通信してもよい。
<空気調和機の運転モードを決定する方法>
サーバ10はサーバ記憶部12およびサーバ制御部14を用いて、空気調和機の運転モードを決定する方法を実行する。図2は、実施の形態1における空気調和機の運転モードを決定する方法のフローチャートであり、空気調和機の運転モードを決定する方法は以下のステップS100~ステップS300を含む。
まず、サーバ制御部14は、空気調和機20の空調制御の対象とする制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合した、制御空間の外気温度に関連するモード決定基準を取得する(ステップS100)。本開示において、「住宅冷温熱保持能力」とは、空気調和機20の制御空間における冷温熱の熱量の保持能力を示す指標であり、当該制御空間における夏場の冷えやすさ/冷えにくさ、冬場の暖めやすさ/暖めにくさを示す指標となる。すなわち、住宅冷温熱保持能力とは、空気調和機20の制御空間の室外に対する断熱能力を示しており、住宅冷温熱保持能力が高ければ当該制御空間は冷房能力の低い機器で素早く冷やすことが可能であり、暖房能力の低い機器で素早く温めることが可能である。1つの実施例において、住宅冷温熱保持能力はレベル0~レベル3に分けられており、レベルが高いほど、住宅冷温熱保持能力が高い。住宅冷温熱保持能力のレベル数および分け方はここで制限されない。
モード決定基準とは、運転モードを決定するときの基準であり、空気調和機の制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合したものであり、外気温度に関連する。1つの実施例において、空気調和機の制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合したモード決定基準は、住宅冷温熱保持能力に応じた外気温度閾値少なくとも1つを含む。当該外気温度閾値によって、複数の外気温度範囲が定義され、外気温度範囲のそれぞれが運転モードの1つに対応する。例えば、モード決定基準は、住宅冷温熱保持能力に応じた19℃の第1の外気温度閾値を含み、19℃以下の外気温度範囲が暖房モードに対応し、19℃より高い外気温度範囲が冷房モードに対応する。
もう1つの実施例において、モード決定基準は、少なくとも1つの、住宅冷温熱保持能力に関わらない外気温度閾値をさらに含む。例えば、モード決定基準は、住宅冷温熱保持能力に応じた19℃の第1の外気温度閾値と、住宅冷温熱保持能力に関わらない28℃の第2の外気温度閾値とも含む。19℃以下の外気温度範囲が暖房モードに対応し、28℃より高い外気温度範囲が冷房モードに対応する。また、第1の外気温度閾値と第2の外気温度閾値との間の外気温度範囲に対応する運転モードについては、別の判断要素を加えて運転モードを決定してもよい。
サーバ制御部14がステップS100においてモード決定基準を取得しようとするとき、サーバ制御部14は、サーバ記憶部12に記憶されたモード決定基準を読み出すことによって、モード決定基準を取得する。制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合したモード決定基準がすでにサーバ記憶部12に記憶されている場合、サーバ制御部14は、空気調和機20の機器ID情報などの識別子を用いて記憶されているデータと照合することによって、当該モード決定基準を読み出すことができる。また、サーバ制御部14は、制御空間の住宅冷温熱保持能力を取得し、取得した住宅冷温熱保持能力を用いて記憶されているデータと照合することによって、モード決定基準を読み出すことができる。
続いて、サーバ制御部14は、制御空間の外気温度を取得する(ステップS200)。1つの実施例において、空気調和機20の定期的にサーバ10に送信する当時の外気温度がサーバ記憶部12に記憶されており、ステップS200において、サーバ制御部14はサーバ記憶部12から、記憶された最新の外気温度を読み出す。もう1つの実施例において、サーバ制御部14は空気調和機20に外気温度を取得するように要求を送信し、空調制御部22は要求を受信すると外気温度センサ25によって現在の外気温度を検知させ、検知した外気温度をサーバ制御部14に送信する。もう1つの実施例において、サーバ制御部14は気象情報源などの外部情報源40から制御空間の外気温度を取得する。
サーバ制御部14は、取得した外気温度、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する(ステップS300)。例えば、モード決定基準は、住宅冷温熱保持能力に応じた19℃の第1の外気温度閾値のみを含む場合、取得した外気温度が19℃より低い場合、サーバ制御部14は暖房モードを空気調和機20の運転モードとする。取得した外気温度が19℃以下の場合、サーバ制御部14は冷房モードを空気調和機20の運転モードとする。
1つの実施例において、モード決定基準は、外気温度閾値以外、他の判断要素も含む。図3は、モード決定基準の一例である。図3の実施例において、モード決定基準は外気温度の他、制御空間の室内温度と空気調和機の設定温度との温度差(すなわち、室内温度から設定温度を引いた結果)である設定温度差にも関連する。そのため、モード決定基準は外気温度閾値Tと設定温度差閾値Dとも含む。この場合、モード決定基準は少なくとも1つの外気温度閾値Tと少なくとも1つの設定温度差閾値Dとの組み合わせとも言える。
図3において、横軸は外気温度(単位は℃)を表しており、縦軸は設定温度差(単位は℃)を表している。横軸から見ると、図3のモード決定基準は、住宅冷温熱保持能力に応じた第1の外気温度閾値T1と、住宅冷温熱保持能力に関わらない第2の外気温度閾値T2とを含む。そして、第1の外気温度閾値T1、第2の外気温度閾値T2、および適した最上下限値(例えば、-50℃の最下限値および数値表現上限の最上限値であるが、これらに限定されない)によって、3つの外気温度範囲RT1~RT3が定義されている。さらに具体的にいうと、第1の外気温度範囲RT1は最下限値より高いかつ第1の外気温度閾値T1以下という範囲として定義されており、第2の外気温度範囲RT2は第1の外気温度閾値T1より高いかつ第2の外気温度閾値T2以下という範囲として定義されており、第3の外気温度範囲RT3は第2の外気温度閾値T2より高いかつ際上限値以下という範囲として定義されている。縦軸から見ると、図3のモード決定基準は第1の設定温度差閾値D1を含む。第1の設定温度差閾値D1、および適した最上下限値(例えば、-50℃の最下限値および+50℃の最上限値であるが、これらに限定されない)によって、最下限値より高いかつ第1の設定温度差閾値D1以下という第1の設定温度差範囲RD1と、第1の設定温度差閾値D1より大きいかつ最上限値以下という第2設定温度差範囲RD2が定義されている。モード決定基準は、すべでの閾値を含む照合表、または住宅冷温熱保持能力に応じて変わる閾値を含む照合表などの形式でサーバ記憶部12に記憶され得る。
モード決定基準において、外気温度範囲RTのそれぞれと、設定温度差範囲のそれぞれとの組み合わせに対して、運転モードが設定され得る。例えば、サーバ制御部14は、第2の外気温度範囲RT2と第1の設定温度差範囲RD1との組み合わせが暖房モードに対応し、第2の外気温度範囲RT2と第2の設定温度差範囲RD2との組み合わせが冷房モードに対応するように設定してもよい。外気温度範囲RTのそれぞれと、設定温度差範囲のそれぞれとの組み合わせが対応する運転モードも照合表などの形式でサーバ記憶部12に記憶され得る。
この実施例において、空気調和機の運転モードを決定する方法は、室内温度を取得し、設定温度差を計算するステップをさらに含む。そして、サーバ制御部14は、ステップS300において、外気温度、計算した設定温度差、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する。例えば、図3のモード決定基準を用いて運転モードを決定するとき、外気温度および設定温度差の取得後、サーバ制御部14は以下のように決定してもよい。取得した外気温度が第1の外気温度範囲RT1に属する場合、すなわち、取得した外気温度が第1の外気温度閾値T1以下の場合、サーバ制御部14は暖房モードを空気調和機20の運転モードとする。取得した外気温度が第3の外気温度範囲RT3に属する場合、すなわち、取得した外気温度が第2の外気温度閾値T2より高い場合、サーバ制御部14は冷房モードを空気調和機20の運転モードとする。また、取得した外気温度が第2の外気温度範囲RT2に属する場合、すなわち、取得した外気温度が第1の外気温度閾値T1より高いかつ第2の外気温度閾値T2以下の場合、サーバ制御部14は計算した設定温度差にも基づいて運転モードを決定する。取得した外気温度が第2の外気温度範囲RT2に属し、かつ、設定温度差が第1の設定温度差閾値D1以下の場合、サーバ制御部14は暖房モードを空気調和機20の運転モードとする。一方、取得した外気温度が第2の外気温度範囲RT2に属し、かつ、設定温度差が第1の設定温度差閾値D1より大きい場合、サーバ制御部14は冷房モードを空気調和機20の運転モードとする。
なお、運転モードの決定に室内温度が用いられない場合、サーバ制御部14は室内温度を取得しなくてもよい。運転モードの決定に設定温度差が用いられない場合、サーバ制御部14は設定温度差を計算しなくてもよい。
これにより、サーバ制御部14は空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力および外気温度に基づいて当該空気調和機20の運転モードを決定する処理が完了する。サーバ制御部14は続いてサーバ通信部16を介して決定した運転モードを空気調和機20に送信することができる。空気調和機20はサーバ10から受信した運転モードに従って運転することができる。この空気調和機の運転モードを決定する方法およびサーバによれば、空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力を考慮し、空気調和機の運転モードをより正確に決定することが可能となる。
《実施の形態2》
<住宅冷温熱保持能力に基づいて、複数のモード決定基準から選択する場合>
実施の形態2において、サーバ記憶部12は、異なる住宅冷温熱保持能力に対応する複数のモード決定基準を記憶しており、サーバ制御部14は、取得した住宅冷温熱保持能力に基づいて、当該複数のモード決定基準から1つを選択する。
夏場または冬場でもない中間期(例えば、4月、5月、および10月)の外気温度に対して、望ましい運転モードを判断することが難しい。特に、中間期において、住宅冷温熱保持能力がよいほど、制御空間の外気温度が下がっても室内温度は外気につれて冷めにくい。外気温度および従来の基準に基づくと、暖房モードにすべきとサーバ10または空気調和機20に判断されるものの、ユーザは暖房モードを意図しないという可能性が高い。
それに対して、実施の形態2において、異なる住宅冷温熱保持能力に対応する複数のモード決定基準が予めサーバ記憶部12に記憶されてある。図4A、図4B、および図4Cは、実施の形態2における異なるモード決定基準の例である。図4A~図4Cに示されたモード決定基準は、住宅冷温熱保持能力レベル0(住宅冷温熱保持能力が最も低い)、レベル1、および、レベル2または3(住宅冷温熱保持能力が最も高い)にそれぞれに対応する。
また、上述したように、モード決定基準は、外気温度と関連する上、制御空間の室内温度と空気調和機の設定温度との温度差(すなわち、室内温度から設定温度を引いた結果)である設定温度差にさらに関連してもよい。すなわち、より適した運転モードを決定するために、モード決定基準に設定温度差閾値を含んでもよい。複数のモード決定基準のうち、1つのモード決定基準における外気温度閾値は、他の1つのモード決定基準における外気温度閾値と異なる。
図4A~図4Cに示されたモード決定基準のそれぞれにおいて、横軸では、第1の外気温度閾値T1から第3の外気温度閾値T3によって、第1の外気温度範囲RT1から第4の外気温度範囲RT4が定義されている。縦軸では、第1の設定温度差閾値D1から第3の設定温度差閾値D3によって、第1の設定温度差範囲RD1から第4の設定温度差範囲RD4が定義されている。それにより、1つのモード決定基準は、複数の外気温度閾値Tと、複数の設定温度差閾値Dとの組み合わせと言える。また、1つのモード決定基準は、複数の外気温度範囲RTのいずれか1つと、複数の設定温度差範囲RDのいずれか1つとの組み合わせの集合でも言える。これらの範囲の組み合わせのそれぞれは暖房モードまたは冷房モードに対応してもよい。例えば、図4Aのモード決定基準において、第1の外気温度範囲RT1と第1の設定温度差範囲RD1との組み合わせは暖房モードに対応し、第2の外気温度範囲RT2と第2の設定温度差範囲RD2との組み合わせは暖房モードに対応し、第4の外気温度範囲RT4と第1の設定温度差範囲RD1との組み合わせは冷房モードに対応し、第3の外気温度範囲RT3と第2の設定温度差範囲RD2との組み合わせは冷房モードに対応する。このような組み合わせと運転モードとの対応関係は、照合表の形式でサーバ記憶部12に記憶され得る。
1つの実施例において、空気調和機20は2つ以上の運転モードを有し、例えば、暖房モード、冷房モード、および冷房除湿モードを有する。この場合において、範囲の組み合わせのそれぞれは複数の運転モードのいずれか1つに対応する。例えば、第1の外気温度範囲RT1と、第1から第3の設定温度差範囲RD1~RD3との組み合わせは暖房モードに対応し、第3の外気温度範囲RT3と、第2から第4の設定温度差範囲RD2~RD4との組み合わせは冷房除湿モードに対応し、第4の外気温度範囲RT4と、第1から第4の設定温度差範囲RD1~RD4との組み合わせは冷房モードに対応する。
図4A~図4Cの実施例において、第1の外気温度閾値T1および第3の外気温度閾値T3は住宅冷温熱保持能力に関わらない固定の閾値であり、それぞれが13℃および28℃と設定されている。一方、中間期の平均気温に関連する外気温度閾値Tは、住宅冷温熱保持能力が高いほど、室内温度が冷めにくいため、低く設定されてもよい。例えば、図4A~図4Cにおいて、第2および第3の外気温度範囲RT3を定義する第2の外気温度閾値T2は、住宅冷温熱保持能力が高いほど、低い。例えば、それぞれがレベル0、1、および、2または3の住宅冷温熱保持能力に対応する、図4A~図4Cのモード決定基準において、第2の外気温度閾値T2は、19℃、18℃、17℃に設定されている。
次に、これらの複数のモード決定基準を用いる、空気調和機の運転モードを決定する方法を説明する。図5は、実施の形態2における空気調和機の運転モードを決定する方法の一例のフローチャートである。サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力に適合した、外気温度に関連するモード決定基準を取得し、制御空間の外気温度を取得する(ステップS100およびステップS200)。また、この実施例におけるモード決定基準が設定温度差に関連するため、サーバ制御部14はさらに室内温度を取得して設定温度差を計算する。
運転モードを決定するステップS300において、サーバ制御部14は住宅冷温熱保持能力を取得する(ステップS310)。1つの実施例において、サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力を取得しようとするとき、サーバ記憶部12に記憶された住宅冷温熱保持能力を読み出すことによって、住宅冷温熱保持能力を取得する。当該空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力がすでにサーバ記憶部12に記憶されている場合、サーバ制御部14は、空気調和機20の機器ID情報などの識別子を用いて記憶されているデータと照合することによって、当該空気調和機20の住宅冷温熱保持能力を読み出すことができる。
サーバ制御部14は、取得した住宅冷温熱保持能力に基づいて、サーバ記憶部12に記憶された複数のモード決定基準のうちから1つのモード決定基準を選択する(ステップS320)。例えば、サーバ制御部14は、空気調和機20の機器ID情報を用いてサーバ記憶部12から当該空気調和機20の住宅冷温熱保持能力を読み出し、読み出した住宅冷温熱保持能力のレベルに対応するモード決定基準を選択してサーバ記憶部12からさらに読み出してもよい。
サーバ制御部14は、取得した外気温度、計算した設定温度差、および選択したモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する(ステップS330)。さらに具体的にいうと、サーバ制御部14は、選択したモード決定基準における外気温度閾値Tおよび設定温度差閾値Dを用いて、外気温度が属する外気温度範囲RTと、計算した設定温度差が属する設定温度差範囲RDとの組み合わせを判断する。そして、サーバ制御部14は、当該範囲の組み合わせに対応する暖房モードまたは冷房モードを、運転モードにする。例えば、住宅冷温熱保持能力のレベル2または3に対応するモード決定基準(図4C)において、夏場では、第1から第3の外気温度閾値T1~T3のそれぞれが13℃、14℃、および28℃であり、第1から第3の設定温度差閾値D1~D3のそれぞれが-5℃、0℃、および38℃である。夏場で、取得した外気温度が16℃であって設定温度差が-2℃であると仮にする。サーバ制御部14は、このモード決定基準に基づいて、外気温度16℃が属する第3の外気温度範囲RT3と、設定温度差-2℃が属する第2の設定温度差範囲RD2との組み合わせに対応する冷房モードを、空気調和機20の運転モードにする。
上述したモード決定基準における外気温度閾値Tまたは設定温度差閾値Dは、季節(例えば、夏場、冬場、その他)ごとまたは月ごとに設定されてもよい。また、最上下限値または閾値の間において、直線でなく、斜線、折れ線または曲線で区切ってもよい。すなわち、少なくとも1つの組み合わせがさらに複数の区域に分割され、それぞれの区域が運転モードの1つに対応してもよい。例えば、図4Aの一点鎖線で示されているように、第2の外気温度範囲RT2と第2の設定温度差範囲RD2と組み合わせは斜線によって2つの区域に分けられ、それぞれの区域が暖房モードまたは冷房モードに対応し得る。この場合では、サーバ制御部14は、ステップS300において、取得した外気温度および設定温度差が属する区域に対応する暖房モードまたは冷房モードを運転モードとする。
これにより、サーバ制御部14は、空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力に基づいて適したモード決定基準を選択し、選択したモード決定基準に基づいて当該空気調和機20の運転モードを決定する処理が完了する。サーバ制御部14は続いてサーバ通信部16を介して決定した運転モードを空気調和機20に送信することができる。空気調和機20はサーバ10から受信した運転モードに従って運転することができる。この空気調和機の運転モードを決定する方法およびサーバによれば、住宅冷温熱保持能力を考慮して運転モードをより正確に決定することが可能となる。さらに、異なる住宅冷温熱保持能力に対応する複数のモード決定基準が予め用意されたため、適した運転モードを低い演算量で素早く決定することができる。
《実施の形態3》
<住宅冷温熱保持能力に基づいて、モード決定基準を設定する場合>
実施の形態3において、サーバ制御部14は、取得した住宅冷温熱保持能力に応じてモード決定基準をダイナミック的に設定し、設定したモード決定基準に基づいて空気調和機20の運転モードを決定する。
図6は、実施の形態3における空気調和機の運転モードを決定する方法の一例のフローチャートである。サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力に適合した、外気温度に関連するモード決定基準を取得し、制御空間の外気温度を取得する(ステップS100およびステップS200)。また、この実施例におけるモード決定基準が設定温度差に関連するため、サーバ制御部14はさらに室内温度を取得して設定温度差を計算する。
運転モードを決定するステップS300において、サーバ制御部14は住宅冷温熱保持能力を取得する(ステップS360)。ここで、ステップS310のように、サーバ制御部14は、サーバ記憶部12に記憶された住宅冷温熱保持能力を読み出すことによって、住宅冷温熱保持能力を取得してもよい。空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力がすでにサーバ記憶部12に記憶されている場合、サーバ制御部14は、空気調和機20の機器ID情報などの識別子を用いて記憶されているデータと照合することによって、当該空気調和機20の住宅冷温熱保持能力を読み出すことができる。
サーバ制御部14は、取得した住宅冷温熱保持能力に基づいて、少なくとも1つの外気温度閾値Tを設定する(ステップS370)。設定される外気温度閾値Tによって、複数の外気温度範囲RTが定義される。この実施の形態において、サーバ記憶部12は、少なくとも1つのモード決定基準、またはモード決定基準のひな型を記憶してもよい。記憶したモード決定基準またはそのひな型は、所定数量の外気温度閾値T、外気温度範囲RT、設定温度差閾値D、および設定温度差範囲RDを有する。1つの実施例において、記憶したモード決定基準またはそのひな型は、図4A~図4Cのモード決定基準のいずれか1つである。サーバ制御部14は、記憶したモード決定基準またはそのひな型をサーバ記憶部12から読み出し、住宅冷温熱保持能力に応じて、特定の閾値または範囲、特に外気温度範囲RTを設定する。これらの閾値または範囲はステップS370において任意に増減できる。なお、外気温度範囲RTおよび設定温度差範囲RDは、最上下限値の他、外気温度閾値Tおよび設定温度差閾値Dによって定義されるため、閾値を設定することは、範囲を設定することと同義である。
記憶したモード決定基準またはそのひな型において、上述したように住宅冷温熱保持能力に応じた閾値もしくは範囲、または住宅冷温熱保持能力に関わらない閾値もしくは範囲を含んでもよい。住宅冷温熱保持能力に応じてモード決定基準を設定するとき、サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力に応じた閾値(例えば、第2の外気温度閾値T2)を所定範囲(例えば、14℃から22℃)内に設定する。サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力が高いほど、住宅冷温熱保持能力に応じた外気温度閾値Tが低いように設定してもよい。また、モード決定基準を設定するとき、住宅冷温熱保持能力の他、さらに季節(例えば、夏場、冬場、その他)または月に基づいて設定してもよい。1つの実施例において、夏場である場合、サーバ制御部14は、第2の外気温度閾値T2を14℃から16℃の範囲内に住宅冷温熱保持能力に応じた設定することができる。例えば、夏場であって住宅冷温熱保持能力がレベル0である場合、ステップS360において、サーバ制御部14は第2の外気温度閾値T2を16℃に設定してもよい。
設定すべき閾値または範囲がすでに特定の数値に設定されている場合、サーバ制御部14は当該閾値または範囲の数値を変位させてもよい。例えば、夏場に第2の外気温度閾値T2が16℃に設定された。空気調和機の運転モードを決定する方法が冬場に実行されるとき、サーバ制御部14は、当該第2の外気温度閾値T2を22℃に変位させるように、第2の外気温度閾値T2を設定してもよい。同様に、サーバ制御部14は設定温度差閾値Dまたは設定温度差範囲RDの設定または変位をしてもよい。設定完成のモード決定基準は、図4A~図4Cのモード決定基準のいずれか1つに示されているようであってもよい。
続いて、サーバ制御部14は、取得した外気温度、計算した設定温度差、および設定した少なくとも1つの外気温度閾値Tによるモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する(ステップS380)。さらに具体的にいうと、サーバ制御部14は、設定したモード決定基準における外気温度閾値Tおよび設定温度差閾値Dを用いて、外気温度が属する外気温度範囲RTと、計算した設定温度差が属する設定温度差範囲RDとの組み合わせを判断する。そして、サーバ制御部14は、当該範囲の組み合わせに対応する暖房モードまたは冷房モードを、運転モードにする。例えば、ステップS360において取得した住宅冷温熱保持能力がレベル2であり、それに応じてステップS370において設定されたモード決定基準(図4C)において、夏場では、第1から第3の外気温度閾値T1~T3のそれぞれが13℃、14℃、および28℃であり、第1から第3の設定温度差閾値D1~D3のそれぞれが-5℃、0℃、および38℃である。夏場で、ステップS200において取得した外気温度が16℃であり、計算した設定温度差が-2℃であると仮にする。サーバ制御部14は、設定したモード決定基準に基づいて、外気温度16℃が属する第3の外気温度範囲RT3と、設定温度差-2℃が属する第2の設定温度差範囲RD2との組み合わせに対応する冷房モードを、空気調和機20の運転モードにする。
これにより、サーバ制御部14は、空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力に基づいてモード決定基準を適切に設定し、設定したモード決定基準に基づいて当該空気調和機20の運転モードを決定する処理が完了する。サーバ制御部14は続いてサーバ通信部16を介して決定した運転モードを空気調和機20に送信することができる。空気調和機20はサーバ10から受信した運転モードに従って運転することができる。この空気調和機の運転モードを決定する方法およびサーバによれば、住宅冷温熱保持能力を考慮して運転モードをより正確に決定することが可能となる。さらに、異なる住宅冷温熱保持能力に応じてダイナミック的にモード決定基準を設定することができる。
《実施の形態4》
<住宅冷温熱保持能力を推定することによって、住宅冷温熱保持能力を取得する場合>
サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力を取得しようとするとき(例えば、ステップS310またはステップS360のとき)、サーバ記憶部12に記憶された住宅冷温熱保持能力推定モデル、および制御空間の室内温度記録情報に基づいて、住宅冷温熱保持能力を推定することによって、住宅冷温熱保持能力を取得することができる。その後、サーバ制御部14は推定した住宅冷温熱保持能力を用いて空気調和機20の運転モードを決定することができる。そのため、空気調和機20は、モデル演算部18をさらに含んでもよい。モデル演算部18は、サーバ記憶部12に記憶されたデータベースに含まれたデータに基づいて、住宅冷温熱保持能力推定モデルを作成し、サーバ記憶部12に保存することができる。
上述したように、本開示において、「住宅冷温熱保持能力」とは、空気調和機20の制御空間における冷温熱の熱量の保持能力を示す指標であり、当該制御空間における夏場の冷えやすさ/冷えにくさ、冬場の暖めやすさ/暖めにくさを示す指標となる。すなわち、住宅冷温熱保持能力とは、空気調和機の制御空間の室外に対する断熱能力を示しており、住宅冷温熱保持能力が高ければ当該制御空間は冷房能力の低い機器で素早く冷やすことが可能であり、暖房能力の低い機器で素早く温めることが可能である。また、「住宅冷温熱保持能力推定モデル」とは、1つの空気調和機20の制御空間に関する住宅冷温熱保持能力の指標を作成するために、過去から現在に至るまでの当該制御空間に関連する複数のデータに基づいて作成されたモデルである。この住宅冷温熱保持能力推定モデルは、対象となる制御空間の住宅冷温熱保持能力を推定するために用いられる。
以下、実施の形態4において、住宅冷温熱保持能力推定モデルを作成するためのサーバ10の構成、および、住宅冷温熱保持能力推定モデルの作成方法について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、サーバ10は住宅冷温熱保持能力推定モデルを作成するための各種データを空気調和機20、および/または外部情報源(気象情報源など)40から事前に受信する。受信したデータはサーバ記憶部12内のデータベースに保存される。実施の形態4におけるサーバ10は、各地域に分散している複数の空気調和機20のそれぞれから各種データを受信する構成である。なお、それぞれの空気調和機20においては、空気調和機20が設置されて、最初に起動されたときに、インターネットを経由して自身の機種情報がサーバ10に送信される構成としてもよく、空気調和機20に専用アプリケーションが組み込まれたときに、その空気調和機20の機種情報がサーバ10に送信される構成としてもよい。
空気調和機20においては、検出した室内温度および外気温度、ならびに設定温度などの現在状態を示すデータを即時にサーバ10に送信してもよい。または、確認したデータは、当該空気調理器30の空調記憶部21に一旦書き込み、一定時間が経過した後にサーバ10に送信してもよい。若しくは、空気調和機20においては、確認されたデータにおいて一定量のデータが累計された後にサーバ10に送信してもよい。
更に、空気調和機20としては、特定時間において、例えば、日本標準時の5分間隔(例えば、17:00、17:05、17:10、…)において現在状態を確認してもよく、または、空気調和機20が起動してから5分毎に現在状態を確認してもよい。なお、空気調和機20においては、起動していない状態であっても室内温度、外気温度などの現在状態を検出して、サーバ10への送信が可能な構成としてもよい。
1つの実施例において、空気調和機20が室外機に外気温度センサ25を含んでいない構成においては、サーバ10が当該空気調和機20の制御空間の外気温度に関して外部情報源40である気象情報源に問い合わせて、外部情報源40から外気温度を取得する構成としてもよい。
もう1つの実施例において、空気調和機20が、所謂スマートハウスに設けられた場合である。そのようなスマートハウスには各種の設備機器の制御を行うために各種のセンサが設けられており、当該空気調和機20の制御空間である部屋のどこかには温度センサなどの温度検出手段が設けられている。このため、サーバ10においては、スマートハウスにおける空気調和機20の制御空間の温度センサなどの温度検出手段により検出された温度情報を室内温度のデータとして当該スマートハウスから受信してもよい。若しくは、当該スマートハウスの管理サーバから当該空気調和機20の制御空間の温度情報をサーバ10が受信する構成としてもよい。
上記のように、全ての空気調和機20からは、サーバ10に対して、室内温度、外気温度、設定温度および機種情報などの各種データが送信される。
また、複数の空気調和機20において、外気温度のデータを受信できない空気調和機が存在する場合には、サーバ10はサーバ通信部16を介して外部情報源40からその地域の外気温度情報を外気温度として受信してもよい。サーバ通信部16は外部情報源40から当該空気調和機の制御空間の外気温度を外気温度記録情報として受信し、対応する外気温度記録情報に加えるようにデータベースに書き込んでもよい。
サーバ記憶部12のデータベースには、それぞれの空気調和機20に対応する、機器ID情報などの識別子、時刻情報、設定温度記録情報、室内温度記録情報、外気温度記録情報または機種情報などの各データが保存されている。データベースに保存されている時刻情報は、室内温度および/または外気温度が検出された日本標準時の時刻であり、その時刻の期日と共に保存されてもよい。室内温度記録情報、および外気温度記録情報のそれぞれの記録データは、対応する空気調和機において確認され保存された室内温度、および外気温度の累積データを示しており、ログデータと呼ばれる。
前述したデータベースに保存されている各種データに基づいて、モデル演算部18は住宅冷温熱保持能力推定モデルを作成する。
<住宅冷温熱保持能力推定モデルの作成>
以下、図7を用いて本発明の実施の形態4における住宅冷温熱保持能力推定モデルの作成について説明する。図7は、住宅冷温熱保持能力推定モデルの作成の一例のフローチャートである。
この実施の形態において、住宅冷温熱保持能力は、前述したように空気調和機停止からの一定時間の室内温度変化率に応じて、複数のタイプに分けてもよい。例えば、暖房モードの運転が停止すると、空気調和機20の制御空間が「冷えにくい」、「やや冷えにくい」、「やや冷えやすい」、および「冷えやすい」とそれぞれを代表するタイプA、B、C、Dの4つに分けることが可能である。
実施の形態4において、モデル演算部18は、それぞれの空気調和機20からの各種データが格納された、サーバ記憶部12に記憶されたデータベースから、室内温度記録情報、外気温度記録情報、および室内温度変化量を取得する(図7のステップS410)。なお、室内温度変化量をモデル作成に使わずに、モデル演算部18は、取得した室内温度記録情報に基づいて、それぞれの空気調和機20が停止してから一定時間における室内温度の温度変化を、室内温度変化率として算出してもよい。図8Aは、冬場において暖房モードで運転していた空気調和機20を停止してから一定時間の間の室内温度の変化の推移の一例を示すグラフである。例えば、空気調和機20の運転が停止してから一定時間経過後における室内温度変化量は、空気調和機20が停止する時点の初期の室内温度(Tin_t0)から、一定時間経過後の室内温度(Tin_tc)を差し引いた値である。図8Aのグラフに示すように、一定時間(tc)が経過した時の室内温度(Tin_tc)は、外気温度(Tout_t0)に近づいている。ここでは、外気温度(Tout_t0)は一定時間(tc)が経過した後も同じ温度で推移していると仮定している。
図8Aにおいては、冬場において暖房モードで運転する空気調和機20の室内温度変化率を例として示しているが、夏場に冷房モードで運転するときの室内温度変化率も同様に算出できる。また、モデル演算部18は、データベースからのデータに基づいて、他の季節における住宅冷温熱保持能力推定モデルをそれぞれ作成してもよい。それぞれの季節に応じた住宅冷温熱保持能力推定モデルを作成することにより、それぞれの季節に適合した、より最適で正確な運転モード選択を行うことが可能となる。
データベースからのデータに基づいて、それぞれの空気調和機20における毎回の運転に対して室内温度変化率を算出してもよいが、複数回に1回の頻度で一部の運転に対する室内温度変化率を算出してもよい。モデル演算部18は、通常、それぞれの空気調和機20に関して、複数回の運転に対する室内温度変化率を算出する。
また、任意の外気温度と室内温度のもとで算出される室内温度変化量を、同じ影響度とみなすために、外気温度を用いて下記式(1)によって室内温度変化量を正規化した室内温度変化率として用いてもよい。
ここで、Tin_t0は空気調和機20が停止する時点の初期の室内温度であり、Tout_t0は空気調和機20が停止する時点の初期の外気温度であり、Tin_tcは空気調和機20の運転が停止してから一定時間後の室内温度である。
次に、モデル演算部18は、各空気調和機20の室内温度変化量を正規化した室内温度変化率によって、室内温度変化率の度数分布を作成する(図7のステップS420)。度数分布を作成するために、これらの室内温度変化率を所定の区間(ビンとも呼ばれる)に区切ってもよい。図8Bは、実施の形態4における室内温度変化率の度数分布の一例を示す表である。図8Bに示すように、機器IDが[A]である1つの空気調和機20に対して、対応する室内温度記録によって、上記の式(1)により、-0.35、-0.22および-0.41の室内温度変化率が算出されている。同様に、機器IDが[B]である1つの空気調和機20に対して、対応する室内温度記録によって、-0.65および-0.32の室内温度変化率が算出されている。0.1の区間で区切ると、[A]の空気調和機20に対応する室内温度変化率は、区間(-0.3,-0.4](すなわち、-0.4以上で-0.3未満の範囲、以下同様)、(-0.2,-0.3]、および(-0.4,-0.5]にそれぞれ属することとなる。同様のやり方によって、[B]の空気調和機20に対応する室内温度変化率は、区間(-0.6,-0.7]および(-0.3,-0.4]にそれぞれ属することとなる。このように算出され分類された室内温度変化率に基づいて、それぞれの空気調和機20(機器ID)に対して、0.1の区間ベースの室内温度変化率の度数分布を作成することができる。
例えば、図8Bに示されている例において、[A]の空気調和機20に対しては、室内温度変化率が(-0.2,-0.3]と(-0.3,-0.4]と(-0.4,-0.5]という3つの区間に区切られ、それぞれの区間に属する室内温度変化率の数が全ての室内温度変化率の数に占める割合は、同じ割合であり、0.33(33%)という度数分布が得られる。[B]の空気調和機20に対しては、室内温度変化率が(-0.2,-0.3]と(-0.3,-0.4]と(-0.4,-0.5]と(-0.5,-0.6]という4つの区間に区切られ、それぞれの区間に属する室内温度変化率の数が全ての室内温度変化率の数に占める割合は、0(0%)、0.5(50%)、0(0%)、0.5(50%)という度数分布が得られる。
室内温度変化率が小さいということは、制御空間の住宅冷温熱保持能力が高くて、暖房モードの運転を停止しても室内温度があまり低下しない住宅であり、冬場において暖かさを維持できる住宅であることを表す。一方、室内温度変化率が大きくなると、住宅冷温熱保持能力が低いことを示し、暖房モードの運転が停止した後は室内温度が急激に低下しやすく、冬場において暖かさの維持が困難な住宅であることを表す。
図9は、実施の形態4において、室内温度変化率の度数分布に対するクラスタ分けの具体例を説明する図である。サーバ10におけるモデル演算部18は、全ての空気調和機20に対する度数分布を作成して、図9に示すように、クラスタ分け、すなわち、クラスタリングする。一例として、それぞれの空気調和機20の間のユークリッド距離を計算し、距離が近い空気調和機20からクラスタリングしていく。例えば、機器IDが[A]である空気調和機20は、機器IDが[B]である空気調和機20からの距離より、機器IDが[C]である空気調和機20からの距離の方が短いため、機器IDが[A]と[C]との2つの空気調和機20が1つのクラスタとなる。このように階層的なクラスタリングにより分類し、最終的には所定数のクラスタ、例えば、4つのクラスタを取得してもよい。これにより、複数の住宅冷温熱保持能力にそれぞれ対応する複数のクラスタを取得し(図9のステップS430)、クラスタ分けの結果が住宅冷温熱保持能力推定モデルとして保存される。図9に示されている例示的な具体例においては、冬場における空気調和機停止時でも住宅冷温熱保持能力としては、「冷えにくい」、「やや冷えにくい」、「やや冷えやすい」、および「冷えやすい」という4つのクラスタ[A]~[D]に分類される。なお、クラスタの個数に応じて、上述した住宅冷温熱保持能力のレベルを設定してもよい。本開示の実施例において、クラスタ[A]~[D]は、前述した住宅冷温熱保持能力のレベル3~0にそれぞれに対応している。
前述した住宅冷温熱保持能力推定モデルの作成には機械学習などの人工知能(AI)技術を適用することができる。すなわち、データベースにおけるデータに対してクラスタを生成するように機械学習等を適用することができる。よって、住宅冷温熱保持能力推定モデルを用いて推定するAIを生成することができる。
なお、前述した例はユークリッド距離による重心法を用いて住宅冷温熱保持能力推定モデルを作成した例で説明したが、変形例として、機械学習において、他にユークリッド平方距離、標準化ユークリッド距離、ミンコフスキー距離、マハラノビスの距離などを用いてもよく、最短距離法、最長距離法、メジアン法、群平均法、ウォード法、可変法などを用いてもよい。
全ての空気調和機20の度数分布または対応するクラスタは、サーバ記憶部12に保存されてもよい。実施の形態1のステップS110において、サーバ制御部14が特定の空気調和機20の住宅冷温熱保持能力を取得しようとする場合には、保存された度数分布またはクラスタ(すなわち、住宅冷温熱保持能力)を読み出して用いることができる。
一方、ステップS120において、モデル演算部18は空気調和機20に対しては、前述した住宅冷温熱保持能力推定モデルおよびデータベースに保存された各種データに基づいて、空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力を判断することができる。注意すべきなのは、ステップS120は、ステップS300より早く行われればよい。1つの実施例において、新規の空気調和機20は、最初にサーバ10と通信するときに、サーバ10に自身の制御空間の住宅冷温熱保持能力を要求し、サーバ10はそのときにステップS120を行って、推定結果をサーバ記憶部12に記憶させる。1つの実施例において、サーバ10は定期的に(例えば、季節ごとに)すべてのまたは所定の空気調和機20に対してステップS120を行って、推定結果を用いてサーバ記憶部12が記憶している住宅冷温熱保持能力を更新する。1つの実施例において、サーバ10はステップS130を行うことによって空気調和機20の運転モードを決定する直前、ステップS120を行う。以下、空気調和機20が新規の空気調和機20としてサーバ10と通信するときに、サーバ10がステップS120を行う場合を例としてステップS120説明する。
<住宅冷温熱保持能力の推定>
図10は、実施の形態4における新規の空気調和機の住宅冷温熱保持能力の推定フローチャートである。新規の空気調和機20が運転を開始した後、当該新規の空気調和機20は、自身の運転記録を空調記憶部21に蓄積し始める。サーバ10はインターネットを介して新規の空気調和機20からもその運転記録などのデータを受信し、サーバ記憶部12のデータベースに書き込んでいく。モデル演算部18またはサーバ制御部14は、新規の空気調和機20について、データベースによって一定期間内の室内温度変化率を取得し(ステップS121)、新規の空気調和機20の室内温度変化率(正規化)の度数分布を作成する(ステップS122)。そして、新規の空気調和機20の度数分布、および、既に保存されている各住宅冷温熱保持能力に対応するクラスタ、すなわち、住宅冷温熱保持能力推定モデルによって、新規の空気調和機20の住宅冷温熱保持能力を推定する(ステップS123)。推定された新規の空気調和機20の住宅冷温熱保持能力は、データベースに保存される。
図11は、実施の形態4において新規の空気調和機の住宅冷温熱保持能力を推定する場合の具体例である。ステップS123において住宅冷温熱保持能力を推定するとき、図11に示されているように、ユークリッド距離による重心法を用いて、各クラスタの重心との距離によって新規の空気調和機20の住宅冷温熱保持能力を判断してもよい。図11は、実施の形態4において新規の空気調和機の住宅冷温熱保持能力を推定する場合の具体例を説明する図である。図11に示された新規の空気調和機20の場合は、クラスタ[A]の重心に最も近いため、当該新規の空気調和機20はクラスタAに所属させる。従って、当該新規の空気調和機20の住宅冷温熱保持能力は、クラスタAに分類され、冬場において空気調和機停止時でも「冷えにくい」住宅であると推定される。
なお、図9の左上側の図表および図11の右側の図表において、横軸は、室内温度変化率の範囲の(-0.2,-0.3]であり、縦軸は、室内温度変化率の範囲の(-0.3,-0.4]であってその範囲に当てはまる空気調和機20の度数である。なお、ここでいう「度数」とは、図8Bとともに説明したように、その温度変化率の範囲に含まれる割合を表している。
なお、既存のデータが保存されているデータベースに対して、新規の空気調和機20からもたらされる新規データを加えて、クラスタ全体を再計算し、住宅冷温熱保持能力推定モデルを更新してもよい。
これにより、住宅冷温熱保持能力推定モデルを用いて空気調和機20の制御空間の住宅冷温熱保持能力を推定する処理が完了する。サーバ制御部14は、住宅冷温熱保持能力を推定して、推定した住宅冷温熱保持能力に基づいてモード決定基準を選択するまたは設定する(ステップS320またはステップS370)。そして、サーバ制御部14は、外気温度、設定温度差、および選択したまたは設定したモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する(ステップS330またはステップS380)。
これにより、サーバ制御部14は空気調和機20の住宅冷温熱保持能力および外気温度に基づいて当該空気調和機20の運転モードを決定する処理が完了する。サーバ制御部14は続いてサーバ通信部16を介して決定した運転モードを空気調和機20に送信することができる。空気調和機20はサーバ10から受信した運転モードに従って運転することができる。こうすれば、適切な住宅冷温熱保持能力が得られ、運転モードをより精度高く決定することができる。
<効果>
本発明によれば、空気調和機の制御空間に関する住宅冷温熱保持能力に基づいてその空気調和機の運転モードを決定するため、より精確に決定することができる。特に決定が難しい、夏場または冬場でもない中間期においても、適したモード決定基準に基づいて運転モードを決定することができるため、ユーザが意図しない暖房モードまたは冷房モードを決定し、空気調和機が当該運転モードに従って運転してしまう可能性を低減することができる。
また、異なる住宅冷温熱保持能力に対応する複数のモード決定基準を予めサーバ記憶部に記憶させれば、適した運転モードを低運算量で素早く決定することができる。一方、取得した住宅冷温熱保持能力に基づいてモード決定基準を設定すれば、住宅冷温熱保持能力に応じてダイナミック的にモード決定基準を設定することができる。
なお、住宅冷温熱保持能力推定モデル、および/または推定された住宅冷温熱保持能力のそれぞれのデータを定期的に更新することにより、常に最新で正確なデータに基づいた運転モードの決定を行うことができる。
以上は本発明の具体的な実施の形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではない。本発明は図面および前述した具体的な実施の形態において前述された内容を含むが、本発明がそれらの内容に限定されるものではない。本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、開示された様々の実施の形態または実施例を組み合わせることができる。本発明の機能および構造原理から逸脱しない変更は特許請求の範囲内のものである。