JP2601908B2

JP2601908B2 - シングルフェーサ

Info

Publication number: JP2601908B2
Application number: JP1149714A
Authority: JP
Inventors: 敏宏豊福
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1989-06-14
Filing date: 1989-06-14
Publication date: 1997-04-23
Anticipated expiration: 2012-04-23
Also published as: JPH0315523A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、段ボール製造設備であるコルゲータの１ユ
ニットである片面段ボール製造用シングルフェーサに関
し、特に波形芯紙とライナの貼合部に特徴を有するシン
グルフェーサに関するものである。

（従来の技術）従来の一般的なシングルフェーサは第３図に示す構造
を採用している。同図において、１は上段ロール、２は
下段ロール、３は中空状の圧力ロール、４は糊付ロー
ル、５はドクタロール、６は糊容器、７は糊、８は芯
紙、8aは波形状に段成形された波形芯紙、９はライナ、
10は片面段ボールをそれぞれ示している。

まず、以下の構成からなるシングルフェーサでの片面
段ボール10の製造工程について説明すると、芯紙８は上
段ロール１側に供給され、上段ロール１と下段ロール２
の咬合部に咬込まれ、波形状に成形されて波形芯紙8aと
なる。次に該波形芯紙8aは下段ロール２の回転と共に移
送され、糊容器６内の糊７が糊付ロール４ですくい上げ
られてドクタロール５で糊膜調整が行われた糊付ロール
４によって波形芯紙8aの段頂部に糊付けがなされる。前
記段頂部に糊付けされた波形芯紙8aは、別に圧力ロール
３側に供給されるライナ９と、下段ロール２と圧力ロー
ル３の加圧部において、合流し接着されて片面段ボール
10となる。

前記構造の従来のシングルフェーサでは、上段ロール
１は下段ロール２に、また圧力ロール３は下段ロール２
にそれぞれ押圧されている。前者は芯紙８の段成形を行
うために加圧するものであり、後者は波形芯紙8aの段頂
部に付着した通常使用される液状澱粉糊を急速に昇温さ
せゲル化させるための熱量を与えるため、中空部3aに導
入された加熱蒸気を熱源として加温されている圧力ロー
ル３を高圧力で押圧し熱伝導による加熱を促進させる目
的をもつ。

また、下段ロール２は上段ロール１と共に歯形状の段
がロール外表面に等ピッチに加工されており、一方圧力
ロール３は円滑な表面とされているので運転時において
は下段ロール２の歯形の各頂部が圧力ロール３の表面を
高サイクルで叩く構造となっている。即ち、上段ロール
１、下段ロール２及び圧力ロール３は主要成分が上・下
段ロール1,2の歯数サイクルである段ロール回転数
（Ｎ）×歯数（Ｚ）で振動し、ロール系の振動固有値に
該歯数サイクルＮ・Ｚが一致すると共振し、前記３本の
ロールが激しく振動することになる。このような共振時
には、特に圧力ロール３と下段ロール２の段部が激しく
衝突するために、両ロール間2,3に挾まれた波形芯紙8a
とライナ９には大きな衝突荷重がかかり、両紙が破断し
たり、振動の位相状態によっては下段ロール２と圧力ロ
ール３との線圧が不足して接着力が不足し貼合せ不良と
いう現象が現われることがある。

また、下段ロール２と圧力ロール３との上記衝突は大
きな騒音を発生させるものであり、シングルフェーサの
重要な課題となっている。

更に上記従来の構造では、段頂部に糊を付着した波形
芯紙8aをライナ９に接合させた状態にある下段ロール２
と圧力ロール３との係合部において、糊をゲル化温度
（通常60℃近辺）まで昇温させる方法として、圧力ロー
ル３の中空部3a内の蒸気を熱源とし、圧力ロール３の肉
部及びライナ９を経由する熱伝導及び熱伝達により糊部
を加熱する間接的な熱供与手段を採用している。しかる
に、この方法では加熱の不要のロール肉部及び紙を昇温
させることになり、熱エネルギの損失につながるばかり
でなく、特に機械が高速運転されると糊部への熱の供給
が少なくなって、糊のゲル化温度までの昇温が不可能と
なり接着不良を生起する。即ち、上記従来の構造を採る
限り高速化にも限界があった。

（発明が解決しようとする課題）本発明は、従来のシングルフェーサの振動障害である
騒音、材料紙破断等の発生を解消すると共に、高速化及
び省エネルギー化の障害となっている糊加熱手段の改良
を目的として提案されたもので、内部から加熱される圧
力ロールの存在が上記振動と熱エネルギ損失の根本的な
原因となっているという観点に立ち、同圧力ロールを排
除し、かつ新規で効率的な加熱・接着方式を採用したシ
ングルフェーサを提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段）芯紙の段成形を行う互いに咬合する上・下段ロール
と，段成形された芯紙の片面側段頂部に糊付けする糊付
装置と，芯紙の下段ロール出側に配設され，ライナを芯
紙との貼合部に摺動案内する摺動板と，同摺動板の下面
に近接して並設される多数の棒状グリッド電極と，前記
グリッド電極の隣合う電極間に高周波電圧を印加する高
周波電源と，前記摺動板を挟んでグリッド電極の反対側
に設けられ，空気圧を直接芯紙に加えて同芯紙をライナ
に対し押付ける加圧容器とからなるもので，これを上記
課題の解決手段とするものである。

（作用）本発明のシングルフェーサは上述の構成からなるもの
で、まずライナと芯紙との圧接手段の作用について述べ
ると、気体圧等の面圧付与手段により片面段ボールシー
トのかなり広い範囲にわたりほぼ均一的な圧力が加えら
れ、従来のような圧力ロールによるポイント高圧力に起
因するロールの剛体振動を発生する外力が存在せず、振
動や騒音を発生させない。

更に、上記圧接手段と協働する数本のグリッド電極が
例えば摺動板の下面に近接配置され、隣り合う電極間、
即ち（＋）極と（−）極との間に高周波電圧が加えられ
る。このような高周波電圧の印加により隣り合う電極間
に電界が発生し、この電界により誘電加熱を可能にす
る。

ここで特に、糊中の水分と紙とでは誘電能は水分の方
が20〜30倍と高いために、発生した電界は糊部に集中す
る。即ち、紙は殆ど昇温せず糊部の温度のみが急激に上
昇しゲル化が行われることになる。

つまり、本発明では貼合部から極力回転体を排除して
振動・騒音を無くすと共に、昇温させたい対象部に対
し、従来のような熱伝導・熱伝達を利用した加熱方式で
はなく、内部の自己発熱を誘起させる方式を採用し加熱
効率を高めるものである。

（実施例）以下、本発明を図示実施例について説明する。第１図
は本発明の代表的な実施例を示すシングルフェーサの概
略側断面図である。同図において1,2は波形芯紙形成用
の上・下段ロール、４は糊付ロール、５はドクタロー
ル、６は糊容器、７は糊、８は芯紙、8aは上・下段ロー
ル1,2に咬合されて波形に形成された波形芯紙、９はラ
イナ、10は波形芯紙8aとライナ９との貼合により形成さ
れた片面段ボールである。以上は第３図に示した従来の
同一符号を付した部分と同一である。

ここに12はライナ９を波形芯紙8aとの貼合部に導き、
片面段ボール10となった後のライナ面を摺動させるため
の摺動板である。13はライナ９を前記摺動板12上に導く
ガイドロールである。また11は摺動板12の下面に近接し
て、適宜間隔をおき、紙幅方向に複数個が配置された棒
状のグリッド電極、14は波形芯紙8aを摺動板12をバック
アップ材としてライナ９に押し付ける為の静圧気体を供
給する為の容器であり、図示しないが外部より空気など
を供給し、同目的を達するものである。なお同容器14は
上記ライナ９と貼合した波形芯紙8aに対向する位置に配
設される。

グリッド電極11の配置例を第２図に示す。第２図は片
面段ボールシート10に対して摺動板12を介してグリッド
電極11を配設した一例である。（但し、容器14は省略し
ている。）グリッド電極11は第２図に示す如く交互に集
電され、その間に高周波電圧15が印加される。第２図で
は片面段ボール10の流れ方向に対してグリッド電極11が
ある傾きをもって配設されている。これは電圧を印加す
ることで発生する電界に電極間で分布が生じる為に加熱
すべき糊に均等に作用すべく考慮したものであるが、こ
こではこの傾き角を限定するものではない。電極材料と
しては銅、真鍮などが適用できる。電極の形状、寸法、
材質、配設ピッチなど限定するものではない。また摺動
板12についても材質、寸法をあえて限定するものではな
いが、後述する様に発生する電界により加熱しにくい性
質を有する例えばシリンコン積層ボード等が適用出来
る。

このような構成からなる本実施例装置を駆動運転する
と、芯紙８は従来と同様に上・下段ロール1,2に咬込ま
れて波形に形成されたのち、その片側段頂部に糊付ロー
ル４により糊７が塗付され、別途給送されるライナ９と
貼合されることとなるが、この貼合部において容器14か
らは前記貼合部に向け波形芯紙8aに対し気体が吐出され
ているので、この圧力により摺動板12にバックアップさ
れたライナ９と波形芯紙8aとはその段頂部に塗付された
糊を介して確実に密着することになる。

更に、摺動板12の下面に近接配置されたグリッド電極
11には、その隣り合う電極間に例えば10〜300MHzの高周
波電圧が印加されるようになっているので、これにより
発生する電界の中に置かれた糊は自己発熱作用が生起さ
れ急速に昇温ゲル化する。

一般に誘電加熱は対象とする誘導体に、E²・ε・tan
δ・ｆ（ε：比誘電率、tanδ：誘電損失係数、f:周波
数、E:電界強さ）に比例する熱を発生させるが、このう
ちε・tanδは誘電体固有の値であり、糊中の水分と紙
では前記値が大きく異なり、水分の方が紙の20〜30倍高
い。

従って、発生する電界は糊部に集中することになり、
紙は殆ど昇温せずに糊部の温度のみが急激に上昇するこ
とになる。

因みに、本発明者らの実験によれば、電圧印加時間が
0.2〜0.5sec.のうちに、糊部は60〜80℃と上昇するが、
紙は0.5℃も上昇しないことが判明している。また前述
の摺動板としてのシリコン積層ボードは、ε・tanδの
値が水に比べて極めて小さい性質を有し、紙と同様に加
熱されにくい性質をもつ。

（発明の効果）以上詳細に説明した様に本発明は，段ロール出側に摺
動板と，同摺動板に近接して棒状グリッド電極と，グリ
ッド電極に高周波電圧を印加する高周波電源並びに芯紙
をライナに押付ける加圧容器を配置し，直接芯紙に空圧
を加え，かなり広範囲に均一な面圧力を加えて誘電加熱
により糊部を加熱乾燥させるものである。従って本発明
は圧力ロールを使用せずに広範囲な均一な面圧力を加え
る方式の採用により，圧力ロール使用時のロールの剛体
振動を発生させる外力が存在しなくなり，振動や騒音を
減少させることができる。従来のシングルフェーサの重
要な課題である振動・騒音の解消が可能となることに加
えて、糊のゲル化をシートを介しての熱伝導ではなく、
直接糊部に加熱が集中できるようにした為、ライナ及び
加熱（圧力ロール）に奪われる余分な熱が不要となり省
エネが達成できるし、逆に同じ熱エネルギで高速化も可
能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例に係るシングルフェーサの
側断面図、第２図は同貼合部におけるグリッド電極のレ
イアウト例を示す斜視図、第３図は従来のシングルフェ
ーサの側断面図である。図の主要部分の説明 10……片面段ボール、11……グリッド電極 12……摺動板、14……加圧容器 15……高周波電圧

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】芯紙の段成形を行う互いに咬合する上・下
段ロールと，段成形された芯紙の片面側段頂部に糊付け
する糊付装置と，芯紙の下段ロール出側に配設され，ラ
イナを芯紙との貼合部に摺動案内する摺動板と，同摺動
板の下面に近接して並設される多数の棒状グリッド電極
と，前記グリッド電極の隣合う電極間に高周波電圧を印
加する高周波電源と，前記摺動板を挟んでグリッド電極
の反対側に設けられ，空気圧を直接芯紙に加えて同芯紙
をライナに対し押付ける加圧容器とからなることを特徴
とするシングルフェーサ。