JP2601845B2 - 骨材予冷装置付きコンクリート混練設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はコンクリート混練設備に関し、特にセメント
と混練する前に予め骨材を冷却する骨材予冷装置付きコ
ンクリート混練設備に関する。

〔従来の技術〕

近年、大型海洋土木工事等において、厚みのあるコン
クリートを一回に多量に打設するマスコンクリート工法
が増加しており、その規模も連続打設容量が2,000m³か
ら10,000m³に至るものもある。

マスコンクリートでは、セメントの水和熱により生ず
る熱応力を管理することが重要であり、コンクリートの
打設温度を管理することが行なわれている。

一方、夏季高温時に打設したコンクリートの温度が規
定値以上にならないように施工する暑中コンクリート工
法においては、骨材および混練水の温度を下げることが
行なわれる。

このように、打設コンクリートの温度を下げるには、
従来次のような方策がとられている。

（１）コンクリート混練水の一部を水（フレークアイ
ス）に代える。

（２）混練水そのものを冷水（一般には５℃程度が限
度）とする。

（３）骨材（砂および砂利）に水を散布するかまたは冷
気を吹付けて冷却する。

（４）直射日光を避けて骨材を保存する。

（５）液化チッソ（LN₂）を使用し細骨材を冷凍保存す
る。（この方法はまだ実用化には至っていない。） （６）液化チッソ（LN₂）を直接ミキサーに噴射する。

このような種々の方策の内、（１）〜（４）を適用し
た具体的な従来の骨材予冷装置付きコンクリート混練設
備は第２図に示すように構成されている。すなわち、コ
ンクリート混練装置は、骨材貯蔵槽1a,1bと骨材移送手
段13,14とバッチャープラント15とをそなえている。

骨材貯蔵槽1a,1bは、細骨材貯蔵槽1aと粗骨材貯蔵槽1
bとからなっており、それぞれの下端部には骨材引出し
ゲート12・・・12が設けられている。骨材移送手段13,1
4は、骨材貯蔵槽1a,1bの下方に設けられた骨材引出しコ
ンベア13と、このコンベアとバッチャープラント15とを
つなぐ骨材供給コンベア14とからなっている。

骨材貯蔵槽1a,1bの上方には、骨材搬入コンベア２が
設けられており、この骨材搬入コンベア２の一側上方に
は骨材搬入グランドホッパー16が設けられている。

上述の（１）〜（４）に関連する構成は、冷水装置1
8,製氷装置19,注水または冷風装置20および遮光屋根21
である。冷水装置18および製氷装置19はバッチャープラ
ント15の近傍に設けられ、注水または冷風装置20は骨材
貯蔵槽1a,1bの上部に設けられ、遮光屋根21は骨材貯蔵
槽1a,1b上部を覆うように設けられる。

このように構成される骨材予冷装置付きコンクリート
混練設備においては、骨材搬入グランドホッパー16に投
入された骨材が、骨材搬入コンベア２を経て、それぞれ
細骨材貯蔵槽1aまたは粗骨材貯蔵槽1bに貯蔵される。貯
蔵中の両骨材は遮光屋根21により直射日光を避けて保存
されるとともに、注水または冷風装置20から散布される
水または吹付けられる冷気によって冷却され適切な温度
に保たれる。

これらの骨材は、使用の際には骨材引出しゲート12の
開放によって骨材引出しコンベア13上に落され、同骨材
引出しコンベア13から骨材供給コンベア14を介してバッ
チャープラント15へと送り込まれる。一方、コンクリー
ト混練水は冷水装置18により冷水化されるか、あるい
は、その一部を製氷装置19からの氷に代えられ、冷却さ
れて使用される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、上述のような従来の骨材予冷装置付きコン
クリート混練設備では次のような問題点がある。

前述の（１）および（２）の方法では、氷および冷水
によるコンクリートミキシング時の冷却はわずか10％の
材料にしか及ばず、練り上り温度におのずから限界があ
る。これは、コンクリート1m³に対する材料重量比率が
それぞれの施工現場ごとに異なるものの、一般には、粗
骨材（砂利）45％，細骨材（砂）30％、セメント15％、
混練水10％程度のものが多いことによる。また練り上り
直後は、特に粗骨材内部は冷却されておらず、したがっ
て、見掛けの打設温度と一定時間経過後のコンクリート
温度には大差が生じる。このような事情から打設温度を
下げたのにかかわらずヒビ割れが発生する等この方法に
よる効果は薄かった。

（３）の方法では、骨材に散水（特に冷水が効果的）
するので温度は下がるものの、 （イ）大量の骨材（例えば2,000m³連続打ちの場合粗骨
材約1,500m³,細骨材約1,000m³）を平均した温度に冷や
せない。

（ロ）もともと骨材の含水比に応じて混練水の量を調整
する必要があるのに、散水により細骨材の含水比は一層
不均一となり練り上りコンクリートの品質にバラツキが
生じる。

また、冷気を吹きつける方法ではサイロまたはホッパ
ー等に貯蔵された骨材全体が冷却されるまでには至らず
改良が必要である。

（４）の方法は、陸上での野積みには適用できない。

（５）の方法は、液化チッソの供給および貯蔵槽の防
熱構造の面で解決しなければならない問題があり、マス
コンクリート工法への適用には未だ至っていない。

（６）の方法は、液化チッソの供給および前記（１）
および（２）で述べた見掛け上の打設温度に問題があ
る。

本発明は、これらの問題点の解決をはかろうとするも
ので、使用する骨材をその全体にわたって予め一様に冷
却するうえで従来困難であった、冷却空気の骨材間隙へ
の十分な分散の問題を、骨材中の下方にウェルポイント
を設けるということで解決して、練り上りコンクリート
温度を均一に下げるようにするとともに、混練前の骨材
の含水比を一定に保って練り上りコンクリートの品質を
一定化するようにした骨材予冷装置付きコンクリート混
練設備を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、本発明の骨材予冷装置付
きコンクリート混練設備は下端部に骨材引出しゲートを
有する骨材貯蔵槽と、同骨材貯蔵槽の下方で上記骨材引
出しゲートから骨材を受けて同骨材を移送する骨材移送
手段と、同骨材移送手段により移送されてきた骨材を受
けてセメントとともにコンクリートを混練するバッチャ
ープラントとをそなえ、上記骨材貯蔵槽を密閉しうる囲
壁と同囲壁に施された防熱層とが設けられるとともに、
上記囲壁内へ冷却空気を圧入して上記骨材貯蔵槽の上部
から下方へ流通させるための冷却空気供給手段と、同冷
却空気供給手段へ冷却空気を供給し得る冷却空気供給系
と、上記冷却空気と同冷却空気により凝縮された上記骨
材貯蔵槽内の水分とを吸収し得るウェルポイントと、同
ウェルポイントから上記の冷却空気と水分とを排出し得
る流体排出系とが設けられたことを特徴としている。

〔作用〕

上述の本発明の骨材予冷装置付きコンクリート混練設
備では、骨材貯蔵槽に貯蔵中の骨材は、囲壁によって囲
まれた骨材貯蔵槽の上部空間に冷却空気供給系から送ら
れ、冷却空気供給手段から圧入される加圧冷却空気によ
り冷却される。加圧送入された空気は、骨材粒子間の間
隙を通って骨材を冷却しながら下方へ流れ、その間に骨
材中の水分を吸収しつつ下降し、最後に骨材槽下部のウ
ェルポイントに集められる。ウェルポイントに集められ
た吸湿空気は流体排出系を通り排出される。一方、この
ようにして冷却・除湿された骨材は、その使用に際し
て、骨材貯蔵槽下端部の骨材引出しゲートから引出され
る。

〔実 施 例〕

次に本発明の実施例について説明すると、第１図は本
発明の一実施例としての骨材予冷装置付きコンクリート
混練設備を示す縦断面図である。

第１図に示すように、骨材予冷装置付きコンクリート
混練設備は骨材貯蔵槽1a,1bと骨材移送手段13,14とバッ
チャープラント15とを備えている。骨材貯蔵槽1a,1b
は、２種以上の粒径の砂を混合した細骨材を貯蔵する細
骨材貯蔵槽1aと３種以上の粒径の砂利を混合した粗骨材
を貯蔵する粗骨材貯蔵槽1bとからなっている。両骨材貯
蔵槽1a,1bの下端部には骨材引出しゲート12・・・12が
設けられている。

骨材移送手段13,14は、骨材貯蔵槽1a,1bの下方からバ
ッチャープラント15方向へ向かう骨材引出しコンベア13
と、この骨材引出しコンベア13とバッチャープラント15
とをつなぐ骨材供給コンベア14とからなっている。

バッチャープラント15は図示しない骨材２次貯蔵ビ
ン，計量器，ミキサー等を有しており、このバッチャー
プラント15中のミキサー等へ冷水装置18および製氷装置
19が接続されている。

骨材貯蔵槽1a,1bの上方には、骨材搬入コンベア（ト
リッパコンベア）２が設けられており、この骨材搬入コ
ンベア２の一側上方に骨材搬入グランドホッパー16が設
けられている。

骨材貯蔵槽1a,1bは骨材搬入コンベア２も含めて囲壁1
7によって密閉されている。このように骨材搬入コンベ
ア２を囲壁17内に配置するのは、骨材搬入コンベア２を
囲壁17の外部に置いた場合と比べて、投入口の数を減少
させ得る結果、囲壁の密閉が容易となるからである。し
たがって、骨材搬入コンベア２への骨材投入口には囲壁
上部の密閉のために骨材投入蓋３が設けられている。骨
材貯蔵槽1a,1bの下方はこれらの槽の各ホッパーが囲壁
を構成し、骨材引出しゲート12が密閉手段となってい
る。なお、囲壁17には防熱層17′が施されている。

このように構成された囲壁17内へ冷却空気を圧入する
手段として、同囲壁17内上方部に冷却空気給気ダクト５
が設けられるとともに、この冷却空気給気ダクト５へ冷
却空気を供給する系としてのエアハンドリングユニット
8,ダクト切換えダンパー９および外気取入口10が設けら
れている。

エアハンドリングユニット８は気水分離器，冷却コイ
ルおよび給気ファンを内蔵している。

骨材貯蔵槽1a,1bの下方部には収集管４′が設けられ
ており、収集管４′の先端に側面に円筒状フィルターを
有するウェルポイント４が設けられている。収集管４′
には流体排出系としての冷却空気排気ダクト6,排気ファ
ン7,ダクト切換ダンパー９および大気放出口11が設けら
れている。

本発明の一実施例としての骨材予冷装置付きコンクリ
ート混練設備はこのように構成されており、骨材搬入グ
ランドホッパー16に投入された骨材は、骨材搬入コンベ
ア２を経て、それぞれ細骨材貯蔵槽1aまたは粗骨材貯蔵
槽1bに貯蔵される。

貯蔵中の骨材は、囲壁17によって囲まれた骨材貯蔵槽
1a,1bの上部空間に冷却空気給気ダクト５から送入され
る加圧冷却空気により冷却される。加圧送入された冷却
空気は、骨材粒子間の間隙を通って骨材を冷却しながら
下方へ流れ、吸収した水分と共に骨材槽下部に設けたウ
ェルポイント４に集められ、収集管４′を介して冷却空
気排気ダクト６を通り、排気ファン７を経てエアハンド
リングユニット８に入る。エアハンドリングユニット８
に入った空気は、その中の冷却装置（冷却コイルと気水
分離器とから成る）で冷却脱湿された後、給気ファンに
よって再度骨材槽1a,1bの上部へ送られる。このサイク
ルを一定時間繰返すと骨材は所定の温度に冷却される。

このようにして冷却された骨材は、使用に当たって
は、骨材引出しゲート12の開放によって骨材引出しコン
ベア13上に落され、同骨材引出しコンベア13から骨材供
給コンベア14を介してバッチャープラント15へと送り込
まれる。その後、骨材はバッチャープラント15の骨材２
次貯蔵ビン、計量器を経てミキサーへと送られる。一
方、コンクリート混練水は冷却装置８により冷水化され
るか、あるいは、その一部を製氷装置19からの氷に代え
られ、冷却されて使用される。

以上、本発明の一実施例としての骨材予冷装置付きコ
ンクリート混練設備について述べたが、本発明は上記実
施例に限定されるものではなく、例えば骨材引出し後ミ
キサー投入までの温度上昇をおさえるためコンベアスペ
ース，バッチャープラントへの供給コンベア，骨材２次
貯蔵ビン，計量器，ミキサー等のプラントスペース全体
すなわちプラント建屋全体を冷房してもよいし、冷却開
始直後の引出し空気は高温・多湿となるのでダクト切換
ダンパーを切換えて、大気放出口を介して、むしろ大気
へ放出し、新たに冷却用空気を外気取入口から取入れて
冷却の効率化をはかり、時間の経過につれて適宜の時期
にダクト切換ダンパーを切換えて循環方式にするように
動作させるようにしてもよい等、特許請求の範囲に記載
の範囲内で適宜変更可能である。

なお、本発明について、骨材を冷却するものとして述
べたが、冷却空気供給系を加熱系とすれば、冬期におけ
る骨材を加熱する寒中コンクリート打設設備としても使
用し得ることはもちろんである。

〔発明の効果〕

以上詳述したように、本発明の骨材予冷装置付きコン
クリート混練設備によれば、次のような効果ないし利点
が得られる。

（１）骨材貯蔵槽内に圧入される冷却空気によって骨材
がくまなく冷却されるとともに脱水されるため、マスコ
ンクリート打設における打設コンクリートの温度を下げ
ると同時に、骨材含水比を一定にして練り上りコンクリ
ートの品質を一定に保つことができる。

（２）骨材を有効に冷却することができるため、特に粗
骨材内部まで十分一様な温度にすることができ、マスコ
ンクリート表面と内部とに温度差を生じることがなくな
り、コンクリート打設後のヒビ割れが生じにくくなる。

（３）骨材の含水比を一定にすることができるので、混
練水の量を骨材含水比に応じて修正する必要がなくな
り、バッチャープラントにおける混練水の制御が簡単に
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例としての骨材予冷装置付きコ
ンクリート混練設備を示す縦断面図、第２図は従来の骨
材予冷装置付きコンクリート混練設備を示す模式的配置
図である。 1a……細骨材貯蔵槽、1b……粗骨材貯蔵槽、２……骨材
搬入コンベア、３……骨材投入口蓋、４……ウェルポイ
ント、４′……収集管、５……冷却空気給気ダクト、６
……冷却空気排気ダクト、７……排気ファン、８……エ
アハンドリングユニット、９……ダクト切換ダンパー、
10……外気取入口、11……大気放出口、12……骨材引出
ゲート、13……骨材引出しコンベア、14……骨材供給コ
ンベア、15……バッチャープラント、16……骨材搬入グ
ランドホッパー、17……囲壁、17′……防熱層、18……
冷水装置、19……製氷装置、20……注水または冷風装
置、21……遮光屋根。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下端部に骨材引出しゲートを有する骨材貯
   蔵槽と、同骨材貯蔵槽の下方で上記骨材引出しゲートか
   ら骨材を受けて同骨材を移送する骨材移送手段と、同骨
   材移送手段により移送されてきた骨材を受けてセメント
   とともにコンクリートを混練するバッチャープラントと
   をそなえ、上記骨材貯蔵槽を密閉しうる囲壁と同囲壁に
   施された防熱層とが設けられるとともに、上記囲壁内へ
   冷却空気を圧入して上記骨材貯蔵槽の上部から下方へ流
   通させるための冷却空気供給手段と、同冷却空気供給手
   段へ冷却空気を供給し得る冷却空気供給系と、上記冷却
   空気と同冷却空気により凝縮された上記骨材貯蔵槽内の
   水分とを吸収し得るウェルポイントと、同ウェルポイン
   トから上記の冷却空気と水分とを排出し得る流体排出系
   とが設けられたことを特徴とする骨材予冷装置付きコン
   クリート混練設備。