JP2600346B2 - ゴルフボール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、飛び性能に優れるゴルフボールに関する。

従来の技術及び発明が解決しようとする課題 従来からゴルフボールのディンプルに関しては、ボー
ルの飛び性能を向上させるため、配列パターン、直径，
深さ等のディンプル形状などについて様々な技術的提案
がなされ、また実施されている。具体的にはディンプル
の断面形状について特開昭60−163674号公報等，ディン
プルの断面形状と体積との関係について特開昭63−1117
9号公報等，ディンプルの配列について特開昭63−51871
号公報等，ディンプルに関する様々な提案がなされてい
る。しかし、ゴルフボールの飛び性能に関する要求は非
常に強く、更なる向上が望まれている。

ここで、ゴルフボールのディンプルの役割は、ゴルフ
ボールの運動及び回転により生じるゴルフボール表面近
傍の境界層を層流から乱流になるように遷移を促し、剥
離点を後方にずらし、これにより圧力抵抗を減じ、更に
ゴルフボールの上下間での剥離点の相違から揚力を得る
ことにあり、従って、ディンプルの径，深さなどの種々
のパラメータを代えていくと、上記剥離点も様々に変化
する。それ故、ディンプルパラメータをいかに設定する
かによりゴルフボールの弾道も決まってくる。

しかし、従来上述したようにディンプルの径，深さ，
断面形状，配列等については種々研究されているが、複
数種のディンプルを有するゴルフボールについては、す
でに商品化されているにもかかわらず、単に大径ディン
プルと小径ディンプルとを組合せたものばかりで、ディ
ンプルの深さは大径のものも小径のものも同じであり、
各種ディンプル間においての径と深さとの関係について
は何らの検討もされていない。このように単に大径ディ
ンプルと小径ディンプルとを組合せただけでは、空気力
学的特性の異なるディンプルが１つのボールに存在する
こととなり、ゴルフボールの飛距離の点では不利とな
る。

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、３種以上
のディンプルを有するゴルフボールにおいて、その異種
ディンプル間においての径と深さとの関係を適正化し
て、より優れた飛び性能を示すゴルフボールを得ること
を目的とする。

課題を解決するための手段及び作用 本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を行
なった結果、径の異なる３種以上の複数種のディンプル
を有するゴルフボールにあっては、各ディンプルの径と
深さとの比を各ディンプル間で比較した場合、その差を
0.3以下とすることにより、複数種のディンプルがほぼ
又は完全な相似形となり、これによってこれらのディン
プルが互いにほぼ同一の特性となって個々のディンプル
の奏する作用効果が有効にかつ相乗的に発揮され、優れ
た飛び性能が得られることを知見し、本発明を完成する
に至ったものである。

従って、本発明は、３種以上のディンプルを有し、各
ディンプルの直径を深さで除した値を異種ディンプル間
で比較した場合、その差が0.3以下であることを特徴と
するゴルフボールを提供するものである。

以下、本発明につき更に詳しく説明する。

ゴルフボールのディンプルの役割は、上述したように
圧力抵抗を減少させ、更に揚力を発生させるためのもの
であるが、この点につき図面を参照して更に詳しく説明
すると、第１図に示すように接線速度ｖでスピンｗをし
ながら速度Ｖで運動する球体（ボール）１の場合、ボー
ル１上部表面近傍では、ボール１に対する空気速度V
₁は、（Ｖ＋ｖ）となり、一方、ボール１下部表面近傍
では、ボールに対する空気速度V₂は（Ｖ−ｖ）となる。
このボール１上部表面近傍を通過する空気の速度V₁とボ
ール下部表面近傍を通過する空気の速度V₂との差、即ち
ボール１上方と下方との圧力差により上方への揚力Ｌが
発生する。このことはマグナス効果として公知である。
この場合、ボール１表面にディンプルを設けることによ
り、上記ボール上下間での空気の通過速度差を助長させ
て揚力を向上させ，更に空気のボールからの剥離点E,E
を後方に移動させることにより、ボール後方の渦領域２
を減少させると共に、後方へ移動させ、これによりボー
ル１前後の圧力差が減少し、ボールの飛距離を増大させ
ることができる。この場合、複数種のディンプルを均一
に配列することにより、どのような回転軸においても常
に一定したディンプル効果を与えるようにすることがで
きるものである。

而して、本発明のゴルフボールは、ボール表面に３種
以上の複数種のディンプルを有するゴルフボールにおい
て、ディンプルそれぞれの直径を深さで除した値の異種
ディンプル間における差を0.3以下、好ましくは0.1以下
となるように形成し、それぞれのディンプルをほぼ又は
完全な相似形とし、各種ディンプルの特性を空気力学的
にほぼ同一とすることにより、上述したディンプル特性
を確実に発揮させ、飛距離の更なる増大を達成したもの
である。

ここで、ボール表面に形成するディンプルは、その直
径が2.7〜4.4mm、深さが0.15〜0.24mmの範囲のものを複
数種設けることが好ましく、また特に制限されるもので
はないが、ディンプルの直径を深さで除した値が10〜35
の範囲内にあるものを複数種設けることが好ましい。な
お、ディンプルの種類は３〜４種とすることが好ましい
が、それ以上とすることもできる。

ディンプルが３種以上ｍ種の奇数種である場合には、
最大のディンプルから（ｍ＋１）/2番目に大きいディン
プルまでのディンプル数をディンプル総数の50〜90％、
特に65〜85％とすることが好ましく、更にディンプルが
４種以上ｎ種の偶数種である場合は、最大のディンプル
からn/2番目に大きいディンプルまでのディンプル数を
ディンプル総数の25〜60％、特に25〜50％とすることが
好ましい。

なお、本発明のゴルフボールは、ワンピースボール，
ツーピースボール等のソリッドボールとしても糸巻ボー
ルとしてもよく、またディンプルの配列及び個数（総
数）についても制限はないが、通常350〜540個の個数と
することができる。

発明の効果 本発明のゴルフボールは、３種以上のディンプルを有
するゴルフボールにおいて、異種ディンプル間における
ディンプルの直径を深さで除した値の差を0.3以下とし
たことにより、ディンプル特性を向上させ、飛び性能を
増大することができる。

以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説
明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものでは
ない。

〔実施例1,2、比較例１〜３〕 第１表に示す３種類の性状のディンプルを有するラー
ジサイズのツーピースゴルフボール及び糸巻きゴルフボ
ールをそれぞれ後述の如く製作し、ツルー・テンパー
（True Temper）社の打撃ロボットを用いて打撃テスト
を行ない、その飛距離を評価した。なお、ディンプルの
配列は第2,3図に示した。

ツーピースボール コア 組 成： シス−1,4−ポリブタジエンゴム 100重量部 ジメタクリル酸亜鉛 30重量部 充填剤 適 量 過酸化物 適 量 カバー 組 成： アイオノマー樹脂（サーリン 1707（米国デュポン社商
品名），ショアＤ硬度68度） 100重量部 チタニウムジオキサイド １重量部 厚 さ:2.3mm コア組成物をモールド中で150℃において25分間加硫
し、ソリッドコアを得る。次いで、ソリッドコアにカバ
ー組成物を被覆し、これをモールド中で130℃において
３分間加圧成型することにより、直径42.7mm、重量45.2
g、硬度（PGA）100のラージサイズツーピースボールを
得た。

糸巻きボール センター 組 成： シス−1,4−ポリブタジエンゴム 100重量部 硫黄 ５重量部 ジンクオキサイド 10重量部 バリウムサルフェート 68重量部 加硫促進剤 １重量部 促進助剤 ３重量部 糸ゴム 組 成： シス−1,4−ポリイソプレンゴム 50 重量部 天然ゴム 50 重量部 硫黄 １ 重量部 ジンクオキサイド 0.6重量部 加硫促進剤 1.5重量部 促進助剤 １ 重量部 カバー 組 成： アイオノマー樹脂（サーリン 1557（米国デュポン社商
品名），ショアＤ硬度63度） 100重量部 チタニウムジオキサイド １重量部 厚 さ:2.0mm センター組成物を150℃において20分間加硫すると共
に、糸ゴム組成物を150℃において40分間加硫した後、
センターに糸ゴムを巻き付ける。次いで、これにカバー
組成物を被覆し、150℃において５分間加圧成型するこ
とにより、直径42.7mm、重量45.2g、硬度（PGA）90のラ
ージサイズアイオノマーカバー糸巻きボールを得た。

これらのボールにつき行なった打撃テストの結果を第
１表に示す。なお、この結果はヘッドスピード45m/sec
における飛び（トータル距離）を下記基準で評価した結
果として表わした。

ツーピースボールの場合 ○ 225mより大 △ 223〜225m × 223mより小 糸巻きボールの場合 ○ 223mより大 △ 221〜223m × 221mより小 〔実施例３及び比較例4,5〕 上記実施例1,2と同様にして第２表に示す４種類の性
状のディンプルを有するラージサイズのツーピースゴル
フボール及び色巻きゴルフボールを製作し、同様に飛び
性能を評価した。結果を第２表に示す。なお、ディンプ
ルを配列は第４図に示した。

【図面の簡単な説明】

第１図は、回転しながら運動する球体に働く力について
説明する説明図、第２図乃至第４図はそれぞれ異なるゴ
ルフボールのディンプル配列を示す平面図である。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】３種以上のディンプルを有し、各ディンプ
   ルの直径を深さで除した値を異種ディンプル間で比較し
   た場合、その差が0.3以下であることを特徴とするゴル
   フボール。
2. 【請求項２】ディンプルが３種以上ｍ種の奇数種であ
   り、最大のディンプルから（ｍ＋１）/2番目に大きいデ
   ィンプルまでのディンプル数がディンプル総数の50〜90
   ％である請求項１記載のゴルフボール。
3. 【請求項３】ディンプルが４種以上ｎ種の偶数種であ
   り、最大のディンプルからn/2番目に大きいディンプル
   までのディンプル数がディンプル総数の25〜60％である
   請求項１記載のゴルフボール。
4. 【請求項４】ディンプルの直径が2.7〜4.4mm、深さが0.
   15〜0.24mmの範囲であり、ディンプルの直径を深さで除
   した値が10〜35である請求項１乃至３のいずれか１項記
   載のゴルフボール。
5. 【請求項５】ディンプル総数が350〜540個である請求項
   １乃至４のいずれか１項記載のゴルフボール。