JP2599599B2 - 生理活性物質fa−4283,その誘導体および製造法 - Google Patents

生理活性物質fa−4283,その誘導体および製造法

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は新規生理活性物質FA-4283,その誘導体および
製造法に関する。
従来の技術 肥満は、脂肪組織での脂肪が過剰蓄積する病態であ
り、この状態になると糖尿病,高脂血症,循環器疾患,
関節炎などいわゆる成人病が合併して多く見られること
は良く知られていることであって、これらの脂肪の過剰
の蓄積が直接又は間接の原因となっていることが明らか
にされている。したがって脂肪合成能が阻害し脂肪蓄積
を軽減することによってこれら病態の治療および予防が
可能であると考えられる。
発明が解決しようとする問題点 肥満,肥満性II型糖尿病及びこれらの症状を伴う高脂
血症などを対象とした新規糖・脂質代謝異常の改善剤の
開発を目的として、脂肪酸の合成を阻害する物質を微生
物代謝産物中に求め、鋭意検索を行なった結果、ペニシ
リウム属に属する微生物の培養液中に脂肪酸の合成を阻
害する物質を見い出し、これを単離したところ、該物質
が新規物質であること、また優れた脂肪酸合成阻害作用
を有することを見い出し、これに基いてさらに研究した
結果、本発明を完成するにいたった。
問題点を解決するための手段 本発明は、一般式 [式中、Rは水素または低級アルキルを示し、3,4−お
よび3′,4′−二重結合は飽和されていてもよい]で表
わされる化合物、およびペニシリウム属に属する生理活
性物質FA-4283生産能を有する微生物を培地に培養し、
培養液中に生理活性物質FA-4283を生成蓄積せしめ、こ
れを採取し、所望により得られたFA-4283をアルキル化
反応または(および)還元反応に付すことを特徴とする
化合物(I)の製造法を提供するものである。
化合物(I)に関し、Rで示される低級アルキルはC
1-3アルキルが好ましい。とりわけRとして水素または
メチルであることが好ましい。
3位と4位の炭素原子および3′位と4′位の炭素原
子は、それぞれ二重結合で結ばれていてもよく、またこ
れらの二重結合は飽和されていてもよい。
本発明で用いることができる微生物としては、ペニシ
リウム属に属し生理活性FA-4283を生産する菌であれば
いずれでもよい。たとえば、日本国愛知県蒲群市の草地
土壌より分離したかびに属するNo.4283株などは具体的
に使用しうる例であって、以下の菌学的性質を有する。
生育: 1)麦芽エキス寒天培地 生育は旺盛で24℃,2週間後のコロニーの直径は5.0〜
6.0cmであった。表面はやや盛り上がったビロード状〜
綿状の菌糸体よりなり、周辺部はややうすく、外縁は規
則正しく縁取られている。気生菌糸の発達,分生子の形
成は非常によい。中央部は黄緑色〜暗緑色,周辺部はあ
ざやかな黄緑色を呈する。気生菌糸上部は淡褐色を呈す
る。裏面は淡黄褐色〜暗褐色を呈する。
可溶性色素の形成なし。
2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は旺盛で24℃,2週間後のコロニーの直径は4.2〜
5.0cmであった。表面はやや盛り上がった綿状〜羊毛状
の菌糸体よりなり、しばしば紐状菌糸体が発達する。外
縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の発達,分生
子の形成は非常によい。中央部は淡褐色〜暗緑色,周辺
部は黄緑色を呈する。気生菌糸表面に水滴を貯める。裏
面は淡黄褐色〜赤褐色を呈する。古くなると淡赤色の可
溶性色素をわずかに生成する。
pH3〜10のいずれでも生育は良好,生育温度範囲は14
〜37℃で20〜32℃が至適温度である。39℃では生育しな
い。
3)ツアペック寒天培地 生育は中程度で24℃,2週間後のコロニーの直径は3.2
〜4.0cmであった。中央部がやや盛り上がったビロード
状の菌糸体よりなり、外縁はやや不規則な波形であっ
た。気生菌糸の発達はよく、中央部は淡赤褐色がかった
黄色,周辺部は白色を呈する。分生子はほとんど形成さ
れない。裏面は淡黄褐色〜赤褐色を呈する。可溶性色素
の形成なし。
形態: 分生子柄:気生菌糸上,通常はよく発達した紐状菌糸
体上に形成される。100〜200×2〜3μ,隔壁あり、外
部は滑面,しばしば着色する。
ペニシリ:頂端生の複輪生体−対称体,時には不整形と
なる。
メトレ:7〜10×1.7〜2.2μ,4〜6本が輪生体となる。密
着性でほとんど平行状である。円筒形。
フイアランド:10〜12×1.5〜2.0μ,4〜6本がほとんど
密着してメトレ上で輪生体となる。円筒形で先端部が細
くなる。
分生子:だ円形〜亜球形,1.5〜2×2〜2.5μ,滑面,
フィアロ型に形成され、連鎖する。
以上の諸性質を、D.Malloch著、右田川俊一訳「かび
の分離・培養と同定」(昭和58年,医歯薬出版株式会
社)51頁記載の同定検索表と照合すると本菌株がペニシ
リウム属(Penicillium)に属することは明らかであ
る。さらにK.B.Raperら著「A Manual of the Penicilli
a」(1949,The Williams & Wilkins Company)記載の
ペニシリウム属かびの諸性質と照合すると、本菌株はBi
verticillata-Symmetrica Sectionに属し、被子器の形
成は認められず、コロニー上の菌糸および分生子柄の状
態などから、Penicillium funiculosumに一致すると考
えられ、Penicillium funiculosum No.4283と同定し
た。又、本菌株とPenicillium funiculosum IFO 6585株
とを比較培養したところ、分類学的性質において差異が
認められなかった。
上記Penicillium funiculosum No.4283株は財団法人
発酵研究所に昭和61年8月29日から寄託番号IFO-32058
として寄託されており、又本微生物は、日本国通商産業
省工業技術院微生物工業技術研究所(FRI,日本国茨城県
筑波郡谷田部町東1丁目1番3号)に昭和61年9月9日
から寄託番号FERM P-8966として寄託され、該寄託はブ
タペスト条約に基き寄託番号FERM BP-1420として保管さ
れている。
ペニシリウム属菌は、微生物の一般的性質として自然
的にまたは変異剤によって変異を起し得る。たとえばX
線,ガンマー線,紫外線等の放射線の照射,更には単胞
子分離、種々の薬剤による処理または薬剤を含有する培
地上での培養、その他の手段で変異させて得られる多く
の変異株、あるいは自然的に得られた突然変異株等であ
っても、FA-4283を生産する性質を有するものはすべて
本発明の方法に利用し得る。
本発明方法の培養に用いられる培地は用いられる菌株
が利用し得る栄養源を含むものなら、液状でも固状でも
よいが、大量を処理するときには液体培地を用いるのが
より適当である。培地には同化し得る炭素源,消化し得
る窒素源,無機物質,微量栄養素が適宜配合される。炭
素源としては、たとえばブドウ糖,乳糖,ショ糖,麦芽
糖,デキストリン,でん粉,グリセリン,マンニトー
ル,ソルビトール,油脂類(例、大豆油,オリーブ油,
ヌカ油,ゴマ油,ラード油,チキン油など)、各種脂肪
酸類(例、ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,
ステアリン酸,オレイン酸など)、窒素源としては、た
とえば肉エキス,酵母エキス,乾燥酵母,大豆粉,コー
ン・スチープ・リカー,ペプトン,綿実粉,廃糖密,尿
素,アンモニウム塩類(例、硫酸アンモニウム,塩化ア
ンモニウム,硝酸アンモニウム,酢酸アンモニウムな
ど)その他が用いられる。さらにナトリウム,カリウ
ム,ウルシウム,マグネシウムなどを含む塩類,鉄,マ
ンガン亜鉛,コバルト,ニッケルなどの金属塩類,リン
酸,ホウ酸などの塩類や酢酸,プロピオン酸などの有機
酸の塩類が適宜用いられる。その他、アミノ酸(例、グ
ルタミン酸,アスパラギン酸,アラニン,リジン,バリ
ン,メチオニン,プロリン等),ペプチド(例、ジペプ
チド,トリペプチド等),ビタミン類(例、B1,B2,ニ
コチン酸,B12,C等),核酸類(例、プリン,ピリミジ
ンおよびその誘導体)等を含有させてもよい。もちろん
培地のpHを調節する目的で無機または有機の酸,アルカ
リ類,緩衝剤等を加え、あるいは消泡の目的で油脂類,
表面活性剤等の適量が添加される。
培養の手段は静置培養でも、振盪培養あるいは通気攪
拌培養法等の手段を用いてもよい。大量の処理には、い
わゆる深部通気攪拌培養によるのが望ましいことはいう
までもない。培養の条件は培地の状態,組成,菌株の種
類,培養の手段等によって一定しないのは当然である
が、それらは通常約15℃〜37℃の温度で、初発pH約3〜
10付近に選択するのがよい。とりわけ、培養中期の温度
は約20℃〜32℃,また初発pHは約4〜6の条件が望まし
い。培養期間も前記の諸条件により一定しないが、該生
理活性物質濃度が最大となるまで培養するのがよい。こ
れに要する時間は液体培地を用いる振盪培養または通気
攪拌培養の場合は通常約2〜14日間程度である。
生成したFA-4283は培養ろ液及び菌体中に存在するの
で、培養物を遠心分離あるいはろ過によって上澄液と菌
体とに分離し、その上清液及び菌体から、それぞれ精製
することもできるが、培養物にメタノールなどの有機培
養を添加した後、培養物から、直接に精製する方がより
有利である。
化合物FA-4283を、培養液から採取するには、当該物
質が中性脂溶性物質であるので、このような微生物代謝
産物を採取する為に通常用いられる分離,精製の手段が
適宜利用される。例えば、不純物との溶解度の差を利用
する方法,活性炭,非イオン性ハイポーラス樹脂,シリ
カゲル,アルミナ等の各種担体を用いる吸着クロマトグ
ラフィーなどがそれぞれ単独又は組合わせて利用され
る。
培養物中に生産されるFA-4283物質を採取するには、
まず菌体と培養上清をろ過等により、分離してそれぞ
れ、有機溶媒で抽出するか又は、培養液に直接有機溶媒
例えは、メタノール,アセトン,酢酸エチル等化合物FA
-4283を溶解し得る有機溶媒を加えて攪拌抽出すること
により、当該物質を得ることもできる。
培養液,培養ろ液或いは菌体より当該物質を抽出する
のに用いられる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル
などの脂肪酸エステル類,ブタノールなどのアルコール
類,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類,アセト
ンなどのケトン類などが挙げられる。化合物FA-4283を
含む抽出液は、濃縮後、シリカゲル等の吸着担体に吸着
させ、適当な溶媒で展開することにより精製される。
吸着剤として例えば、シリカゲル(Merck社,Kieselge
lなど)を用いる場合、展開溶媒として、一般に極性有
機溶媒と非極性溶媒の組合わせ、例えばメタノールとク
ロロホルム又は塩化メチレン,或いは酢酸エチルとn−
ヘキサンなどの混合溶媒が利用される。即ち、初めによ
り非極性の溶媒で展開した後、次第により極性の溶媒の
比率を増して溶出することにより、不純物と分離され
る。
不純物の量が多い場合、これら有機溶媒の組合わせを
変え、クロマトグラフィーを繰り返すことにより、精製
された化合物FA-4283を得ることができる。
かくして製造される生理活性物質FA-4283の物理化学
的性状は次に示す通りである。
1)形状:淡黄色結晶性固体 2)融点:75℃〜95℃ 3)元素分析値%: C,74.09,H,8.27,N,5.44 4)分子量:259(質量分析による) 5)推定分子式:C16H21NO2 6)比旋光度:▲[α]22 D▼0°〜+40°(c=1,エ
タノール) 7)紫外線吸収スペクトル: エタノール中で測定した紫外線吸収スペクトルは第1図
に示す通りで、 に極大吸収を有する。
8)赤外線吸収スペクトル: 臭化カリウム錠剤として測定した赤外線吸収スペクトル
は第2図に示す通りである。
9)13C‐NMRスペクトル: CDCl3中で測定した13C NMRスペクトルの化学シフト値
(δppm)は次に示す通りである。
13.4,19.2,22.4,27.5,32.6,34.4,79.0,100.3,107.8,11
3.1,128.6,129.3,131.0,133.2,160.5,162.6 10)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸,ヨード反応 凝陽性;ニンヒドリン反応 陰性;坂口反応 11)溶解性: 不溶;水 難溶;石油エーテル,n−ヘキサン 可溶;酢酸エチル,ジエチルエーテル 易溶;クロロホルム,メタノール,エタノール,ジメチ
ルホルムアミド,ジメチルスルホキシド 12)薄層クロマトグラフィー: シリカゲルプレート(メルク社製 キーゼルゲル60
F254) 溶媒系 Rf クロロホルム−メタノール(9:1); 0.29 n−プロパノール−水 (4:1); 0.70 以上のような物理化学的性状から、化合物FA-4283
は、2H−ピラノ[3,2-C]ピリジン骨格を有する新規化
合物(II)である。
また、化合物FA-4283はその構造上例えば式 など複数の互変異性体の存在が示唆され、上記物理化学
的性状の融点、比旋光度などにおいて見られるとおり、
その数値は一定せず、製造,精製方法等により変動す
る。
生理活性物質FA-4283は、アルキル化反応,還元反応
(水素化反応)など化学的変換により対応するその誘導
体に導くことができる。
これらの反応は、通常アルコール類(メタノール,エ
タノールなど),ケトン類(アセトン,メチルエチルケ
トンなど)などの有機溶媒または有機溶媒と水との混合
溶媒中で行う。
アルキル化反応においては、ハロゲン化アルキル(ヨ
ウ化メチル,ヨウ化エチルなど)などのアルキル化剤と
共に、ナトリウム塩(炭酸ナトリウムなど),カリウム
塩(炭酸カリウムなど)などの無機塩基を触媒として用
いることができる。アルキル化反応は通常加熱下(50〜
100℃)で行う。
接触還元などの水素化反応は、パラジウム黒,酸化白
金などの触媒の存在下水素気流中で行う。水素化反応は
通常室温で行う。
FA-4283はアルキル化反応により対応するアルキル誘
導体(R=低級アルキル)に、還元反応により対応する
3,4−および3′,4′−テトラヒドロ誘導体に導くこと
ができる。
得られたFA-4283誘導体は、上記同様抽出,カラムク
ロマトグラフィー,再結晶など通常の方法で精製するこ
とができる。
本発明の化合物(I)は、脂肪酸合成阻害作用等を有
し、低毒性でたとえば哺乳動物(例、マウス,ラット,
ヒト)の糖・脂質代謝異常の予防・改善剤などとして有
用である。
FA-4283を、たとえば肥満,肥満を伴うII型糖尿病,
高脂血症などの糖・脂質代謝異常改善剤として用いる場
合、成人についてFA-4283の約2ないし400mg/kgを1日
投与量として投与する。また、FA-4283を投与するにあ
たっては、常套手段によって、たとえば錠剤,顆粒剤,
カプセル剤,液剤などの剤型として経口的に、またはた
とえば注射剤として非経口的に投与することができる。
本発明の化合物(I)は哺乳動物,かびおよび酵母に
おける脂肪酸代謝を解明する上での生化学的試薬として
使用することができる。
作用および実施例 以下に実験例および実施例を挙げて本発明をさらに具
体的に説明する。なお以下の実施例において、培地の組
成物のパーセントは重量/容量パーセントを示す。
実験例1(脂肪酸合成阻害活性) 脂肪酸合成阻害活性の測定は、ラット肝臓ホモジネー
トを用いて行なった。ラット肝臓ホモジネートの調製法
および阻害活性測定用反応液組成並びに測定方法は、J.
Iliffeらの方法[バイオケミカル・ジャーナル(Bioche
mical Journal),91,369(1964)]及びT.Kariyaらの
方法[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リ
サーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.
Comm.),80,1022(1978)]に準じて、以下に記載の方
法で行なった。すなわち、SD系ラット(6週令,雄)を
2日間絶食後、再び24時間餌を与えて飼育後、放血によ
って屠殺し、直ちに肝臓を取り出し、肝臓湿重量1gあた
り最終4mlになるように2mM EDTA,5mMニコチンアミド,1m
M 2−メルカプトエタノールを含む0.25M蔗糖溶液を加
え、テフロン棒付ホモジナイザーでホモジナイズした。
700×g,10分間の遠心上澄液を酵素標品として、その0.5
mlを反応に用いた。
トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)45mM,KHCO3 10mM,MgCl2
4mM,KCl45mM,K2HPO4 5mM,コハク酸カリウム15mM,NADP
1mM,ATP 2mM,クルコ−ス−6リン酸5mM,補酵素A 0.4mM,
ジチオスレイトール5mM,酵素溶液0.5mlからなる反応混
液1.85mlを含有する10ml容コルベンに(95% O2:5%
CO2)混合ガスを吹き込んだ後密栓し37℃,60分間ゆるや
かに振盪しつつ保持した。その後、1-14C−酢酸(0.2μ
Ci)0.5mMおよびメタノール又は対象化合物を含有する
メタノール溶液50μlを添加し、さらに37℃60分間ゆる
やかに振盪しつつ反応を行なった。反応液1mlを採取しK
OH−エタノール中でアルカリ加水分解し、加水分解液に
塩酸を添加し、酸性にした後、石油エーテルで抽出を行
ない、さらに水洗後石油エーテル層に抽出された放射活
性を測定した。化合物FA-4283の阻害活性は、阻害剤無
添加の場合に比較して、5×10-4Mで97%,10-3Mで98%
の阻害であった。
また同様に実験した、阻害剤無添加対象群の活性を50
%阻害するに必要な化合物の濃度は、テトラヒドロFA-4
283(実施例6)では85μg/ml、N−メチルFA-4283(実
施例7)では88μg/mlであった。
実験例2 生理活性物質FA-4283の抗菌スペクトルは表1に示す
とおりである。
これらの実験結果は、酵母、かびに抗菌活性を示し、
抗かび抗酵母剤としての利用可能をも示すものである。
さらに、有利な脂肪酸合成阻害作用を示す化合物、又は
より強力な抗かび抗酵母作用を示す化合物並びにその他
の生理活性物質などの合成中間体としても有用な物質で
ある。
なお、FA-4283の急性毒性LD50値は、マウス腹腔内単
回投与で400mg/kg以上であった。
実施例1 ポテト・シュークローズ寒天からなる斜面培地上に予
め十分に生育し胞子を形成したPenicillium funiculosu
m No.4283の一白金耳を、グルコース2.0%,マルトーズ
3.0%,生大豆粉1.5%,コーンスチープリカー1.0%,
ポリペプトン0.5%,酵母エキス0.3%及び食塩0.3%,pH
6.0からなる種培養培地500mlを分注滅菌した2l容坂口フ
ラスコに接種して、往復振盪機上で28℃で2日間培養し
た。この培養液500mlを、上記種培養培地30lを注入、滅
菌した50l容醗酵槽に移植し、28℃で2日間通気攪拌培
養を行なった。得られた培養液の5lを、グルコース1
%,デキストリン4%,生大豆粉0.5%,麦芽エキス0.5
%,ポリペプトン0.5%,酵母エキス0.2%,FeSO4・7H2
O 0.05%,MnSO4・nH2O 0.05%,MgSO4・7H2O 0.05%及
びKH2PO4 0.1%,pH4.5からなる主培養培地100lを注入,
滅菌した200l容醗酵槽に移植し、温度28℃,内圧1.0kg/
cm2,通気100l/min,攪拌200rpmの条件下で4日間培養を
行なった。
実施例2 実施例1で得られた培養液85lに170lのメタノールを
加えて1時間かきまぜた。ろ過して菌体を除去し、ろ液
を22lまで減圧濃縮した。濃縮液を11の酢酸エチルで
2回抽出し、酢酸エチル抽出液を合して、2%炭酸水素
ナトリウム10l,水10lの順に洗い、減圧濃縮して油状物
を得た。この油状物をシリカゲル(キーゼルゲル60,メ
ルク社)600gのカラムに吸着させた。カラムをジクロメ
タン3l,メタノール−ジクロルメタン(2:98)4.5lの順
で展開し、活性区分を濃縮して得られた油状物を再びシ
リカゲル600g(キーゼルゲル60,メルク社)のカラムに
吸着させクロロホルム6l,メタノール−クロロホルム
(1:99)3l,メタノール−クロロホルム(2:98)2.5lの
順で展開した。活性区分をあつめて減圧濃縮して31gの
油状物を得た。更にこの油状物を500gのシリカゲルのカ
ラムに吸着させ、ジクロルメタン14l,メタノール−ジク
ロルメタン(1:99)3l,メタノール−ジクロルメタン
(3:197)10lの順で展開した。活性区分をあつめて減圧
濃縮して得た油状物を石油ベンジンによって結晶化して
6.2gの粗結晶を得た。石油ベンジンより再結晶を行い、
4.6gのFA-4283物質を得た。
融点:79-80℃。1H‐NMR 90MHz(CDCl3+D2O中,δpp
m):0.86(3H,t),1.35(2H,sext.),1.6〜2.3(6H,
m),1.81(3H,s),4.77(1H,dd),5.44(2H,m),5.95
(1H,d),6.40(1H,s),7.17(1H,d) 比旋光度▲[α]22 D▼+38.3°(c=1,エタノール) 元素分析(%)実測値C 74.23,H 8.23,N 5.36 赤外線吸収スペクトルおよび紫外線吸収スペクトルは
第1図および第2図に示した。
実施例3 実施例1と同様の方法で得たPenicillium funiculosu
m No.4283の培養液80lに160lのメタノールを加えて1時
間かきまぜた。ろ過して菌体を除去し、ろ液を23lまで
減圧濃縮した。濃縮液を14lの酢酸エチルで2回抽出
し、酢酸エチル抽出液を合して、2%炭酸水素ナトリウ
ム14l,水13lの順に洗い、減圧濃縮して油状物を得た。
この油状物をシリカゲル(キーゼルゲル60,メルク社)1
kgのカラムに吸着させた。カラムをジクロルメタン15l,
メタノール−ジクロルメタン(1:99)10l,メタノール−
ジクロルメタン(3:197)5lの順で展開し、活性区分を
濃縮して得られた油状物を再びシリカゲル500g(キーゼ
ルゲル60,メルク社)のカラムに吸着させジクロルメタ
ン8l,メタノール−ジクロルメタン(1:99)5l,メタノー
ル−ジクロルメタン(3:197)10lの順で展開し、活性区
分を濃縮して油状物を得た。更にこの油状物を250gのシ
リカゲルのカラムに吸着させ、ジクロルメタン7l,メタ
ノール−ジクロルメタン(1:99)3l,メタノール−ジク
ロルメタン(3:197)4lの順で展開して、活性区分を濃
縮して、得られた油状物を石油ベンジンで結晶化し2.9g
の粗結晶を得た。酢酸エチル−石油ベンジンより再結晶
して1.0gの淡黄色結晶を得た。
融点83-85℃,▲[α]24 D▼+21.6°(c=1,エタノー
ル) 元素分析(%):実測値:C 74.01,H 8.04,N 5.44 実施例4 実施例1と同様の方法で得たPenicillium funiculosu
m No.4283の培養液80lにメタノール160lを加えて1時間
かきまぜた。ろ過して菌体を除去し、ろ液を25lまで減
圧濃縮した。濃縮液を13lの酢酸エチルで2回抽出し、
酢酸エチル抽出液を合して、2%炭酸水素ナトリウム13
l,水12lの順に洗い、減圧濃縮して油状物を得た。この
油状物をシリカゲル(キーゼルゲル60,メルク社)1kgの
カラムに吸着させた。カラムをジクロルメタン16l,メタ
ノール−ジクロルメタン(1:199)16l,メタノール−ジ
クロルメタン(1:99)6l,メタノール−ジクロルメタン
(3:197)8lの順で展開し、活性区分を濃縮して得られ
た油状物を石油ベンシンより結晶化して4.5gの粗結晶を
得た。この結晶を再びシリカゲル60gのカラムに吸着さ
せ、ジクロルメタン200ml,メタノール−ジクロルメタン
(1:199)800ml,メタノール−ジクロルメタン(1:99)5
00mlの順に展開し、活性区分を濃縮して得た結晶を石油
ベンジンより再結晶して2.2gの淡黄色結晶を得た。融点
85-87℃,▲[α]24 D▼+17.3°(c=0.9,エタノー
ル) 元素分析(%):実測値C 73.51,H 8.06,N 5.73 実施例5 実施例3,4の石油ベンジンによる結晶化の際母液より
回収された油状物を合して(18.0g)シリカゲル150gに
吸着させ、クロロホルム2l,メタノール−クロロホルム
(1:199)1.5lの順で展開した。活性区分を濃縮して石
油ベンジンより結晶化し3.5gの粗結晶を得た。石油ベン
ジンより再結晶し行い2.7gの淡黄色結晶を得た。
融点89-91℃,▲[α]23 D▼+6.6°(c=0.8,エタノ
ール) 元素分析(%):実測値:C 74.11,H 8.24,N 5.41 実施例6 FA-4283 500mgをメタノール(80ml)と水(20ml)の
混合溶媒に溶かし、1gのPd−ブラックの存在下水素添加
を行った。触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮して残渣に水
(30ml)と酢酸エチル(50ml)を加えた。酢酸エチル層
を無水Na2SO4で乾燥後、減圧濃縮した。残渣を石油ベン
ジンで結晶化し、石油ベンジンで再結晶を行い、250mg
のテトラヒドロFA-4283を無色の結晶として得た。融点1
00-101℃。
▲[α]25 D▼+3.8°(c=0.5,エタノール中),SI-
MS:m/z:264(M+1) 元素分析C16H25NO2として 計算値C 72.97,H 9.57,N 5.32% 実測値C 72.96,H 9.63,N 5.33% PMR(400MHz,CDCl3)δ:0.89(t,3H),0.94(d,3H),1.
3(m,10H),1.49(m,1H),1.65(m,1H),2.15(m,1H),
2.35(dd,1H),2.64(dd,1H),4.05(m,1H),5.97(d,1
H),7.23(d,1H),12.49(bs,1H) 実施例7 FA-4283 500mgをアセトン50mlにとかし、無水炭酸カ
リウム2.0gとヨードメチル0.3mlを加え10時間加熱還流
した。不溶物をろ別してろ液を減圧濃縮し残渣に酢酸エ
チル50mlと5%NaCO3 50mlを加え、酢酸エチル層を5%
クエン酸,次に水で洗い無水Na2SO4で乾燥した。酢酸エ
チルを減圧留去して油状物600mgを得た。この油状物を1
1gのシリカゲルを用い、クロロホルムを展開溶媒として
カラムクロマトグラフィーを行い精製した。TLCで単一
なスポットを示す画分をあつめて減圧濃縮を行いN−メ
チルFA-4283を油状物として410mg得た。
▲[α]25 D▼+4°(c=0.69,エタノール中),EI-M
S:m/z:273(M+) 元素分析C17H23NO2・0.2H2Oとして 計算値C 73.72,H 8.51,N 5.06% 実測値C 73.86,H 8.41,N 4.77% PMR(100MHz,CDCl3):主たるシグナルのδ値を示す。
0.88(t,3H),1.36(sext,2H),1.80(bs,3H),3.47
(s,3H),4.72(dd,1H),5.43(m,2H),5.85(d,1H),
6.45(bs,1H)7.03(d,1H) 発明の効果 本発明の化合物(I)は脂肪酸合成阻害作用を有し、
糖・脂質代謝異常の予防・改善剤などとして有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、FA-4283の紫外線吸収スペクト
ルおよび赤外線吸収スペクトルをそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:80)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)一般式 [式中、Rは水素または低級アルキルを示し、3,4−お
    よび3′,4′−二重結合は飽和されていてもよい]で表
    わされる化合物、
  2. 【請求項2】ペニシリウム属に属する生理活性物質FA-4
    283生理能を有する微生物を培地に培養し、培養液中に
    生理活性物質FA-4283を生成蓄積せしめ、これを採取
    し、所望により得られたFA-4283をアルキル化反応また
    は(および)還元反応に付すことを特徴とする一般式 [式中、Rは水素または低級アルキルを示し、3,4−お
    よび3′,4′−二重結合は飽和されていてもよい]で表
    わされる化合物の製造法。
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