JP2597184B2 - 外用化粧料組成物 - Google Patents

外用化粧料組成物

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俊雄 堀内
博史 堀内
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は外用化粧料組成物に係り、その目的はモロ
ヘイヤ自身、乾燥末又はその溶媒抽出物を含有させるこ
とにより保湿性を改善できる外用化粧料組成物(医薬部
外品たる薬用化粧料を含む。以下同じ)の提供にある。
(従来の技術及び発明が解決しようとする問題点) 化粧料は近年、皮膚、毛髪等の健康維持または損傷改
善といった有用性が重要視されてきており、各種の有効
成分を配合することが提案されている。
とりわけ、皮膚、毛髪等の水分は、皮膚、毛髪の健康
維持又は健康改善に対して極めて重要な役割を演じてい
る。
健康な皮膚や毛髪は、適度の保湿性を有するため、普
通は保湿性に関し特別な手当てを必要としないが、老化
その他の原因で保湿性が低下すると、乾燥肌、乾燥髪と
なり、柔軟性とか弾力性が失われ、ひいては肌あれ、鮫
はだ、ヒビ、アカギレ、フケ、カユミ、枝毛等の皮膚及
び毛髪のトラブルが発生する。
更には、それらがシミ、コジワ、抜け毛等に進展する
と言われている。
従って、従来より皮膚化粧料、毛髪化粧料に、保湿を
目的としてグリセリン、プロピレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、多価アルコール、ピロリドンカル
ボン酸、糖類、アミノ酸、コラーゲン等の保湿剤が多用
されている。
これらの使用に当たっては、自然保湿因子(N.M.F.)
に近づけるべく種々の工夫がなされているが、未だ満足
すべきものはない。
近年、ヒアルロン酸をはじめムコ多糖類等が優れた保
湿剤として提案されているが、ヒアルロン酸等は天然物
特にニワトリのトサカからの抽出物であるから価格が高
いとともに供給量が少なく一般的な化粧料には必要量を
配合し得ないのが現状である。
この発明は、以上のような従来技術に照らし優れた保
湿効果を有する外用化粧料組成物を製造するにさいし、
望ましく且つ物理化学的に安定で、安全で新規な保湿性
原料を含有する外用化粧料組成物創出せんとすることを
目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) この発明者等は、化粧料原料となりうる保湿性物質を
広く自然界に求め、鋭意研究した結果、モロヘイヤ(Co
rchorus capsularis L.)又は(Corchorus Olitorius
L.)自身又はその溶媒抽出物が優れた保湿効果を持つこ
とを発見し、この発明を完成するに至ったもので、即ち
モロヘイヤ(Corchorus capsularis L.)の水、アルコ
ール又はそれらの混液である溶媒の溶媒抽出物および/
又はモロヘイヤ(Corchorus capsularis L.)又は(Cor
chorus Olitorius L.)そのまま又は乾燥末を含有する
ことを特徴とする外用化粧料組成物に係るものである。
(発明の構成) この発明で使用するモロヘイヤ(Corchorus capsular
is L.)又は(Corchorus Olitorius L.)とは、シナノ
キ科のコルコルス属の1年草で、日本名は黄麻(コウ
マ)(ジュート)と呼ばれ、エジプトを中心とするアラ
ブの熱帯地方で栽培される緑黄色の野菜で食用植物であ
る。
この食用植物は古代エジプト以来アラブ人の食卓に欠
かせない野菜として愛用されている。
モロヘイヤ(Corchorus capsularis L.)又は(Corch
orus Olitorius L.)は従来から専ら栄養豊富な食品と
して経口的に使用されるのみで、皮膚とか毛髪の化粧料
として使用された例はない。
この発明に係る外用化粧料組成物はこのモロヘイヤ
(Corchorus capsularis L.)又は(Corchorus Olitori
us L.)自身又はそれらの溶媒抽出物を、化粧料組成物
必須成分として配合するもので、その調製法の具体例と
しては、採取したモロヘイヤ(Corchorus capsularis
L.)又は(Corchorus Olitorius L.)を生のまま摺漬し
て、或いは乾燥させた後粉末としてこれをパックとかリ
ンス等の任意形態の外用化粧料組成物に配合して使用す
ることも可能である。
より好ましくは溶媒抽出物が使用される。
この発明において使用する溶媒としては、モロヘイヤ
(Corchorus capsularis L.)又は(Corchorus Olitori
us L.)から保湿効果を有する成分が効果的に抽出され
得る溶媒であれば、特に限定されず、その具体例として
は水、エタノール、多価アルコール又はそれらの混液が
例示できる。
こうして得られたモロヘイヤの溶媒抽出物は、化粧料
組成物の配合原料として、通常の化粧水、乳液、クリー
ム、シャンプー、リンス等に配合して使用することがで
きる。
モロヘイヤ抽出物は、優れた保湿効果を有しており、
乾燥肌、乾燥髪に柔軟性と弾力性を与え、肌あれ、ヒ
ビ、アカギレ、フケ、カユミ、枝毛の予防又は治療に対
して極めて効果的に作用し、生き生きとした皮膚とか毛
髪に蘇生させることが実験的に判明した。
モロヘイヤ(Corchorus capsularis L.)又は(Corch
orus Olitorius L.)は単独の強力な粘性を生み出す多
糖類を含有しており、この多糖類はグルクロン酸又はガ
ラクロン酸を含む酸性多糖類と考えられており、この発
明者らの実験的知得によれば極めて強力な保水効果を有
しており、これがヒアルロン酸と同様に保湿効果に関与
するものと考えられる。
しかし、多糖類を殆ど含まないアルコール抽出物で
も、肌あれ、ヒビ、アカギレ、フカ、ケユミ等の予防又
は治療に有効性を有することから、この多糖類の保湿効
果のみではこれらの効果の全てを説明することは困難
で、モロヘイヤ中の豊富なミネラル、鉄、カリウム、カ
ルシウム、またカロチン等のビタミンA効力物質、ビタ
ミンB6等、その他に多数の未知化合物が含有されてお
り、それらが相対的又は相乗的に作用して効果を発揮す
るものと考えている。
従って、酸性多糖類のみを単離して取り出して使用す
る必要はなく、むしろ化粧料科学的に許容される範囲で
他の成分を含有しているほうがより好ましい。
この発明に係る外用化粧料組成物の具体的形態として
は、ヘアクリーム、ヘアトリートメント、クレンジング
クリーム、コールドクリーム、日焼けクリーム、ファン
デーション等が挙げられるがこれらに限定されない。
(実施例) 次にこの発明の効果について実施例をもとにより詳し
く説明する。
実施例1 (モロヘイヤの水性抽出液の調製) モロヘイヤの乾燥葉100gをとり、60℃の温水中に約5
時間浸して濾過し、これを数回繰り返した。
得られた温水抽出液を合わせて減圧濃縮し、再度濾過
して粗抽出液1000ccを得た。
モロヘイヤから製造した水溶性抽出物(実施例1)の
成分組成を例示すれば次のとおりである。
実施例1で得たモロヘイヤ抽出物の成分組成 粗蛋白 1.1% 粗脂質 0.01%以下 全糖 6.4% カルシウム 143mg% リン 22mg% 鉄 3.8mg% ナトリウム 4.1mg% カリウム 325mg% 総カロチン 1.3mg% リボフラビン 0.2mg% チアミン 0.03mg% ナイアシン 0.5mg% 実験例1 (上記実施例1で得られたモロヘイヤ抽出液皮膚感作試
験) 体重315〜345gの雌のモルモット20匹をとり、10匹は
感作処置用、他の10匹は誘発時の対照として使用し、Ma
ximization testを実施した。
試験群10匹に対して、上記実施例1で得られたモロヘ
イヤ抽出液及びadjuvandを皮内注射して感作した後、塗
布による感作を行った。
次にこれ等を対照群10匹とともに誘発試験を実施し
た。両群とも肉眼的になんら変化は認められなかった。
このことから、実施例1で得られたモロヘイヤ抽出液
は、皮膚アレルギーの原因となり得るような物質は含有
していないことが解る。
実施例2 (実施例1で得られたモロヘイヤ抽出液を含有する化粧
水の調製) 処方 重量% 実施例1のモロヘイヤ抽出液 20.0 エタノール 7.0 1,3−ブチレングリコール 6.0 グリセリン 0.5 クエン酸 0.2 クエン酸ナトリウム 0.8 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 パラオキシ安息香酸エチル 0.02 香料 適量 精製水 残部 上記処方で常法により化粧水を調製した。
実施例3(実施例1で得られたモロヘイヤ抽出液を含有
するクリームの調製) 処方 重量% ステアリン酸 2.0 ステアリルアルコール 6.0 スクワラン 6.0 還元ラノリン 2.0 オクチルドデカノール 6.0 ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 4.0 親油型モノステアリン酸グリセリン 1.5 防腐剤 0.3 実施例1のモロヘイヤ抽出液 15.0 香料 微量 精製水 残部 上記処方で常法によりクリームを調製した。
実施例4(実施例1で得られたモロヘイヤ抽出液を含有
する乳液の調製) 処方 重量% スクワラン 5.0 ワセリン 2.0 セスキオレイン酸ソルビタン 0.8 ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.2 プロピシングリコール 5.0 エタノール 3.0 カルボキシビニルポリマー(1%水溶液) 18.0 水酸化カリウム 0.1 実施例1のモロヘイヤ抽出液 15.0 防腐剤 0.3 香料 微量 精製水 残部 上記処方で常法により乳液を調製した。
実施例5 (実施例1で得られたモロヘイヤ抽出液を含有するシャ
ンプーの調製) 処方 重量% 実施例1のモロヘイヤ抽出液 10.0 ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(2E.O.) 8.5 ラウリルジメチルアミノ硫酸ベタイン 5.0 1,3−ブチレングリコール 4.0 ラウリン酸ジエタノールアミド 2.0 エデト酸二ナトリウム 0.1 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部 上記処方で常法によりシャンプーを調製した。
実験例2 (実施例2で得た化粧水の効果) 乾燥肌を有する被験者30名について、冬季乾燥してい
る時期に、実施例2と比較例の化粧水を左手及び右手の
甲に朝夕2回、約1gずづ、3週間にわたって塗布し改善
効果を試験した。但し、比較例は実施例2で使用したモ
ロヘイヤ抽出液のかわりに精製水を使用した。
評価方法は、左手と右手を比較して、改善の程度によ
り、有効、やや有効、変化なし、悪化の4段階に分けて
評価した。
実施例2の化粧水 有効 21/30 やや有効 3/30 変化無し 5/30 悪化 1/30 比較例 有効 3/30 やや有効 7/30 変化無し 19/30 悪化 1/30 実験例3 (実施例3で得られたクリーム使用試験) 肌あれを有する被験者10名(女子24〜57才)に実施例
3のクリームを、他の10名(女子18〜52才)には比較例
のクリームを毎日朝夕2回顔面に塗布し、肌あれ改善効
果、しっとり感、なめらかさについて試験した。
但し、比較例のクリームは実施例3で使用したモロヘ
イヤ抽出液の代わりに精製水を使用した。
実施例3のクリーム 比較例のクリーム 肌あれ改善効果 肌あれ改善効果 有効 7/10 有効 3/10 無効 3/10 無効 7/10 しっとり感 しっとり感 有効 9/10 有効 4/10 無効 1/10 無効 6/10 なめらかさ なめらかさ 有効 8/10 有効 4/10 無効 2/10 無効 6/10 実験例4 (実施例5で得られたシャンプー使用試験) ドライヘアーでフケ、カユミの多い被験者10名(男子
17〜48才)に実施例5のシャンプーを、他の10名(男子
22〜51才)に比較例のシャンプーを週3回、1箇月にわ
たって使用し、髪のしっとり感とフケ、カユミの改善に
ついて試験した。
但し、比較例のシャンプーは実施例5のシャンプー
の、モロヘイヤ抽出液の代わりに精製水を使用した。
実施例5のシャンプー 比較例のシャンプー しっとり感 しっとり感 有効 6/10 有効 2/10 無効 4/10 無効 8/10 フケ・カユミ フケ・カユミ 有効 5/7 有効 3/8 無効 2/7 無効 5/8 (発明の効果) 以上詳述した如くこの発明に係る外用化粧料組成物
は、以上の実験例で示した如く優れた保湿効果を有して
おり、乾燥肌、乾燥髪にしっとりとした柔軟性、弾力性
を与え、皮膚とか毛髪に潤いを与え健やかに保つことが
でき、安全で、保湿能を付与する有効成分を安定して供
給し得る優れた効果を奏する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モロヘイヤ(Corchorus capsularis L.)
    又は(Corchorus Olitorius L.)の水、アルコール又は
    それらの混液である溶媒の溶媒抽出物および/又はモロ
    ヘイヤ(Corchorus capsularis L.)又は(Corchorus O
    litorius L.)そのまま又は乾燥末を含有することを特
    徴とする外用化粧料組成物。
  2. 【請求項2】前記溶媒抽出物がモロヘイヤに含有される
    酸性の多糖類であることを特徴とする請求項第1項記載
    の外用化粧料組成物。
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