JP2596200B2 - 車両用エアバッグ装置 - Google Patents

車両用エアバッグ装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は車両用エアバッグ装置に関するものであ
る。
従来の技術 車両用エアバッグ装置としては、例えば第8,9図に示
すものがある。
同図において、ステアリングコラム1に支持されたス
テアリングホイール2内にはエアバッグ本体3が固定さ
れている。
エアバッグ本体3は車両前面衝突時の衝撃力を検知し
て展開し、シート4に着座しシートベルト5で拘束さ
れ、あるいはシートベルト5を締めていない乗員6の胸
部7や頭部8を保護するものである。
エアバッグ本体3には、排気孔9が形成され、乗員6
がエアバッグ本体3に干渉した後、乗員6の車両前方方
向への移動によりエアバッグ本体3の内圧が過渡に高ま
り乗員6に対する反力が大きくなりすぎることを防止し
ており、エアバッグ本体3の特性は無拘束乗員をエアバ
ッグ本体3のみで拘束するに必要なエアバッグ本体3の
内圧を発生するように、バッグインフレータ仕様が決定
され、排気孔9の寸法が定められている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記従来のエアバッグ装置にあって
は、車両の衝突速度、乗員の体重などにより変化するシ
ートベルト拘束性能に対応したバッグ反力調整機構を有
する構造になっていないため、第10図に示すように、シ
ートベルト5で拘束された乗員6がエアバッグ本体3と
干渉する際に受ける衝撃力(減速度)が、エアバッグ本
体3を設けないでシートベルト5単体で乗員6を拘束す
る場合に比較して高くなる傾向がある。
このために、エアバッグ本体3の排気孔9に圧力調整
弁を設けるようにした構造のものがあるが、この種の構
造では、エアバッグ本体3の重量増加を招き、しかもエ
アバッグ本体3内の圧力調整を瞬時に行なうことが困難
であるという問題もある。
そこで、この発明は、乗員がシートバッグ本体に干渉
する際の衝撃力を小さくできる車両用エアバッグ装置を
提供するものである。
課題を解決するための手段 シートベルトを備えた車両のステアリングホイールに
エアバッグ本体が設けられ、ステアリングコラムがエン
ジンルーム側に移動可能に構成された車両用エアバッグ
装置であって、車両前面衝突時にエアバッグ本体に衝突
する乗員の負荷条件に基づいてステアリングコラムの前
方移動開始時間を計算し、前方移動開始を指示する制御
手段と、前記制御手段からの指示に基づきステアリング
コラムを強制的に前方移動させるアクチュエータとが設
けられている。
作用 車両前面衝突時にエアバッグ本体が展開して乗員の胸
部あるいは頭部がエアバッグ本体に衝突すると、この乗
員の体重や車速等によって制御手段がステアリングコラ
ムの前方移動時間を計算し、この時間が経過したときス
テアリングコラムを前方移動させる指示をアクチュエー
タに出してステアリングコラムを前方移動させ、これに
よって乗員のエアバッグ本体への衝撃を緩和する。
実施例 以下、この発明の実施例を図面と共に説明する。
第1図は、全体説明図、第2図は要部拡大図である。
同図において、車体のカウルボックス部10にはステア
リングコラム支持部材11が取付けられ、このステアリン
グコラム支持部材11の上側部にアッパ取付ブラケット12
を介して、またステアリングコラム支持部材11の下側部
にロア取付ブラケット13を介してステアリングコラム14
が支持されている。尚、15はアッパ取付ブラケット12と
ロア取付ブラケット13を固定するボルトを示す。
上記ステアリングコラム14は上半部14aが下半部14bに
対して引っ込むことで縮退(前方移動)自在に構成され
たもので、アッパ取付ブラケット12が上記ステアリング
コラム支持部材11の上側部にボルト15締めされたスライ
ドブロック16に摺動自在に構成されている。
上記ロア取付ブラケット13には火薬ライプのローダー
17が取付けられ、このローダー17には滑車18に一端が固
定されたワイヤ19が取付けられている。また、この滑車
18はステアリングコラム支持部材11の上側部とアッパ取
付ブラケット12とに渡って配設されたワイヤ20に掛渡し
てある。尚、21はピンを示す。
そして、上記ステアリングコラム14にはその先端にエ
アバッグ本体22が収納されたステアリングホイール23が
取付けられている。
上記エアバッグ本体22には、排気孔24が設けられ、シ
ートベルト25に拘束された乗員26が車両前面衝突時に前
方方向に移動してエアバッグ本体22に衝突した際にバッ
グ内圧が過度に高くなりすぎないようにするためのもの
である。そして、エアバッグ本体22の特性は通常無拘束
乗員をエアバッグ本体22のみで拘束するに必要なバッグ
内圧を発生するようにバッグインフレータ仕様が定めら
れ、排気孔24寸法が定められている。尚、27はバッグ内
圧センサを示す。
上記ローダー17には点火回路28が接続され、制御手段
としての判断回路29の指示に基づき点火回路28を介して
ローダー17に点火指示が与えられステアリングコラム14
の上半部14aがワイヤ19,20により引張されて縮退するよ
うになっている。
上記ステアリングコラム14の上端部にはステアリング
ホイール23からステアリングコラム14に作用する荷重を
計測するコラム荷重センサ30が、シートベルトインナバ
ックル31にはベルトセンサ32が、シートベルト25のDリ
ング33にはベルト張力センサ34が、シートクッション35
には体重センサ36が各々設けられている。尚、37は速度
計を示す。
そして、上記コラム荷重センサ30、ベルトセンサ32、
ベルト張力センサ34、体重センサ36、速度計37及びバッ
グ内圧センサ27が判断回路29に接続されている。
次に、作用について第3図の流れ図に沿って説明す
る。
車両が前面衝突してこれが検知されると(ステップ1,
2)、エアバッグ本体22の展開開始時間t0が衝突検知時
を基準として計算される(ステップ3)。
次いで、シートベルト25の着用の有無がベルトセンサ
32によって判断され(ステップ4)、着用していないと
きには、エアバッグ本体22を展開して(ステップ5)終
了する(ステップ13)。
シートベルト25を着用しているときには、ステアリン
グコラム14の前方移動開始時間としての引込開始時間t1
の計算がなされる(ステップ6)。
このステアリングコラム14の引込開始時間t1は基準時
間(エアバッグ本体22の展開開始時間)t0に車両速度に
対応する補正値Δt1と乗員体重に対応する補正値Δt2
加算したものである。
第4図に示すように上記引込開始時間t1と基準時間
(エアバッグ本体22の展開開始時間)t0との差t1−t0
大きくなれば(図中C部)、乗員が完全に拘束された後
にステアリングコラム14が引込まれることになるので、
シートベルト25とエアバッグ本体22が通常にセットされ
た場合と同じ減速度になり、t1−t0が小さくなれば(図
中A部)エアバッグ本体22の拘束が小さく、乗員に発生
する減速度は高くなると予想される。したがって、図中
B部に相当する時間にステアリングコラム14の引込開始
時間t1を設定することになる。
一方、衝撃速度が基準に対して高い場合、及び、乗員
体重が重い場合は、乗員の移動ストローク量を増加させ
ることが乗員の減速度を下げる上で効果的なため表1
(下記) に示すように引込開始時間t1を基準に対して小さくする
ことが有効となる。
具体的には、速度計37と体重センサ36との信号を判断
回路29に入力してΔt1とΔt2を計算し、t0に加算してt1
を求めるのである。
このようにして、引込開始時間t1の計算がなされた
後、衝突からt0時間後にエアバッグ本体22が展開し(ス
テップ7)、その後、t≧t1となったときに(ステップ
8)判断回路29から点火回路28に信号が送られ、ローダ
ー17が作動して滑車18がワイヤ19により引張される。す
るとワイヤ20を介してピン21,21が引張され、ステアリ
ングコラム14の上半部14aはエンジンルーム側に引込む
(ステップ12)。これによって、乗員の減速度は車両速
度、乗員体重を考慮した最適な値となるのである。
ここで、ステアリングコラム14の引込開始時間t1とな
る以前にDリング33に設けられたベルト張力センサ34に
よりシートベルト25のベルト張力が一定値(第5図中
B)以上(同図中A)となったときには(ステップ
9)、t=t1となるのを待たずにステアリングコラム14
を引込み作動させる(ステップ12)。
また、第6図に示すようにエアバッグ本体22の展開時
の内圧(図中A)に対して、乗員がエアバッグ本体22に
干渉する場合には、内圧が高くなるため(図中B)乗員
の減速度が高くなる。
したがって、ベルト張力が一定値以下である場合で
も、バッグ内圧センサ27が一定以上の荷重を検出した場
合には(ステップ10)、ステアリングコラム14の引込開
始時間tがt1となるのを待たずにステアリングコラム14
を引込作動させる(ステップ12)。
そして、第7図に示すようにステアリングコラム14に
作用する荷重は、エアバッグ本体22単体が展開する時に
発生する荷重Aに対して乗員がエアバッグ本体22に干渉
する場合の荷重Bの方が大きくなるため、荷重Bの方が
減速度が高くなる。
したがって、ベルト張力が一定値以下であり、エアバ
ッグ本体22の内圧が一定値以下であってもコラム荷重セ
ンサ30が一定値以上の荷重を検出した場合には(ステッ
プ11)、ステアリングコラム14の引込開始時間tがt1
なるのを待たずにステアリングコラム14を引込作動させ
る(ステップ12)。
このようにして、シートベルト25を着用している場合
に、車両速度、乗員体重に応じてステアリングコラム14
の引込開始時間t1を計算し、この時間経過後にステアリ
ングコラム14を引込作動させ、あるいは、上記引込開始
時間t1の経過前であっても、シートベルト25の張力、エ
アバッグ本体22の内圧、ステアリングコラム14の荷重の
いづれか一つが一定値以上であったときにステアリング
コラム14を引込作動させて乗員の減速度を、低くして、
乗員の安全を確保するのである。尚、前述の実施例では
ステアリングの引込みタイミングを制御したがこれに加
えてステアリングの最大引込み位置や引込み継続時間を
制御することもできる。
発明の効果 以上説明してきたようにこの発明によれば、車両前面
衝突時にエアバッグ本体に衝突する乗員の負荷条件に基
づいてステアリングコラムの前方移動開始時間を計算
し、前方移動開始を指示する制御手段と、この制御手段
からの指示に基づきステアリングコラムを強制的に前方
移動させるアクチュエータとが設けられていることによ
り、車両前面衝突時に乗員が受ける衝撃力を緩和するこ
とができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1〜7図はこの発明の一実施例を示し、第1図は全体
説明図、第2図は要部拡大図、第3図は流れ図、第4〜
7図は各々グラフ図、第8,9図は各々従来技術の衝突状
況説明図、第10図は従来技術のグラフ図を示す。 14……ステアリングコラム、17……ローダー(アクチュ
エータ)、22……エアバッグ本体、23……ステアリング
ホイール、25……シートベルト、29……判断回路(制御
手段)、t1……引込開始時間(前方移動開始時間)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シートベルトを備えた車両のステアリング
    ホイールにエアバッグ本体が設けられ、ステアリングコ
    ラムがエンジンルーム側に移動可能に構成された車両用
    エアバッグ装置であって、 車両前面衝突時にエアバッグ本体に衝突する乗員の負荷
    条件に基づいてステアリングコラムの前方移動開始時間
    を計算し、前方移動開始を指示する制御手段と、 前記制御手段からの指示に基づきステアリングコラムを
    強制的に前方移動させるアクチュエータと、 が設けられていることを特徴とする車両用エアバッグ装
    置。
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