JP2595998Y2 - ロールコネクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、相対回転する二部材を
電気的に接続するために用いられるロールコネクタに係
り、特に、ロータとステータからなるケーシングの中の
環状スペースに渦巻き状に巻いて収納したフラットケー
ブルがケーシング内で振動して音が発生するのを防止す
るための構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のロールコネクタの概略構造を図１
の中央断面図に示している。図において、１はステー
タ、２はロータであり、これらによりケーシングが構成
されている。ステータ１は、ステータ本体３と、このス
テータ本体３に固定されるサブステータ４とから構成さ
れている。ステータ本体３は、円形の板状で中心に貫通
穴５aが形成された基板５と、その内周縁に一体形成さ
れた円筒状の内壁部６とから構成され、サブステータ４
は、ステータ本体３の基板５の外周縁に固定される円筒
状の外壁部７と、外壁部７の先端から径方向内方へ向か
ってのびるフランジ部８とから構成されている。また、
ロータ２は、ステータ１の内壁部６の外面に嵌合する筒
状部９と、この筒状部９の先端から径方向外方へ向かっ
てのびる上板１０とから構成されている。そして、これ
らの部材を組み合わせたときに、ロータ１とステータ２
の間に環状のスペースＳが形成されるようになってい
る。

【０００３】この環状スペースＳには、渦巻き状に巻か
れたフラットケーブル１１が収納され、このフラットケ
ーブル１１の一端がロータ２側の外部配線用コネクタ
(不図示)に、他端がステータ１側の外部配線用コネクタ
(不図示)に接続される。ロールコネクタは、例えば自動
車のステアリング装置でステアリングホイールを車体側
と電気的に接続するために用いられるが、その場合、ス
テータ１がステアリングコラムに固定され、ロータ２が
ステアリングホイールと一体回転するように連結され
る。したがって、ロールコネクタは、取付状態におい
て、ステータ１側を下にして配置されることになり、フ
ラットケーブル１１はステータ１の基板５の上面と接触
する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】一方、ステアリングホ
イールを回したときにフラットケーブル１１の渦巻き状
態を滑らかに変化させてロータ２が軽く回転するように
するため、フラットケーブル１１の上側のエッジとロー
タ２の上板１０との間には隙間が設けられる。しかし、
このような隙間を設けると、自動車の走行時にフラット
ケーブル１１が振動しやすく、その結果、音が発生する
ことになる。

【０００５】そこで、従来より、基板５の上面と上板１
０の下面にそれぞれ接着剤などでシート状の防音材１
２,１３を貼り付けて音の発生を防止するようにしてい
るが、時間とともに上側の防音材１３を貼り付けている
接着剤が劣化して、上側防音材１３が剥がれて垂れ下が
る場合があった。そうすると、この防音材１３がフラッ
トケーブル１１と接触して異音が発生したり、さらには
ロータ２が回転しにくくなったり、フラットケーブル１
１が損傷したりすることがあった。

【０００６】したがって、本考案の解決すべき技術的課
題は、上側の防音材がケーシングの上板から剥がれて垂
れ下がらないようにすることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の技術的課題を解決
するため、本考案に係るロールコネクタは以下のように
構成されている。すなわち、このロールコネクタは、相
対回転可能なロータ及びステータの間に環状スペースを
有してなるケーシングと、環状スペースに渦巻き状に巻
かれて収納されたフラットケーブルとを備え、フラット
ケーブルの下側エッジを受けるケーシング基板の上面に
下側防音材が固着され、基板に対向するケーシング上板
に上側防音材が固着されたロールコネクタであって、ケ
ーシング上板に、ロータの回転中心を中心とする径線方
向に沿ってのび、かつ、この上板を貫通する複数のスリ
ットが形成され、上側防音材が、ケーシング上板の上面
に固定される固定部と、スリットを貫通してケーシング
内に突出する吸音性の凸部を有することを特徴としてい
る。

【０００８】

【作用・効果】上記構成においては、ケーシングの上板
に取り付けられる上側防音材が固定部でケーシング上板
の上面側に固着され、吸音性の凸部がスリットを通して
ケーシング内に突出する構造となっているため、この防
音材自体がケーシング上板から剥がれて垂れ下がるとい
う問題は生じない。したがって、この防音材によりロー
タが回転しにくくなったり、フラットケーブルが損傷し
たりするという問題を起こすことなく、振動時のフラッ
トケーブルの音の発生を確実に防止することができる。

【０００９】

【実施例】以下に、図２及び図３に示した本考案の一実
施例に係るロールコネクタについて説明する。なお、こ
のロールコネクタのステータ１及び下側防音材１２は、
図１に示したロールコネクタと同一の構成であるため、
以下の実施例においてはロータ及び上側防音材について
のみ説明を行なう。なお、以下の説明においても、ステ
ータ１に関する部分は図１の符号を用いるものとする。

【００１０】図２は、ロータと上側防音材との取付構造
を示す斜視図であり、図３はその取付構造を示す要部断
面図である。このロータ２０は、図１のロータ２と同
様、ステータ１の内壁６の外面に嵌合する筒状部２１
と、筒状部２１の先端から径方向外方へ向かってのびる
上板２２とから構成されている。上板２２の上面には、
ほぼＣ字形の第１凹部２３が形成され、この第１凹部２
３の中には、ロータ２０の回転中心を中心とする径線に
沿った方向へのびて、上板２２を貫通する複数のスリッ
ト２４が形成されている。また、このスリット２４の回
りの部分は、Ｃ字形の第１凹部２３に対してさらにもう
一段下がった第２凹部２５として形成されている。

【００１１】上側防音材３０は、第１凹部２３のＣ字形
とほぼ一致する形状にプラスチック成形された固定部３
１と、第２凹部２５にはまり込むようにゴムや布などの
吸音性材料で形成された防音シート３２とから構成され
ている。また、固定部３１は、その裏面における、ロー
タ２０の上板２２のスリット２４と対応した位置に、ス
リット２４の幅よりも僅かに細く、かつスリット２４か
ら僅かに突出するように形成された突起３３を有してい
る。さらに、固定部３１は内径側の４箇所に爪３４を有
し、ロータ２０の上板２２には、この爪３４が係止する
係止凹部２６が形成されている。

【００１２】以上の構成により、第２凹部２５内に防音
シート３２をはめ込んだ状態で固定部３１をロータ２０
の上板２２の第１凹部２３内に取り付けると、図３に示
すように、防音シート３２が固定部３１の突起３３に押
されてロータ２０の上壁２２から下へ、つまりケーシン
グの環状スペース内へ突出し、その部分に吸音性の凸部
が形成されることになる。

【００１３】本実施例においては、上側防音材３０をロ
ータ２０の上板２２の上面側で固定して、その一部分
(防音シート３２)のみがケーシング内に突出するように
しているので、この防音材３０自体が上板２２から剥が
れてフラットケーブル１１と接触し、ロータ２０の回転
が妨げられたりフラットケーブル１１が損傷したりする
ことはない。このため、防音材３０の本来の機能である
フラットケーブル１１の振動音の発生防止を、確実に行
なうことができる。

【００１４】なお、本考案は上記実施例に限定されるも
のではなく、その他種々の態様で実施することが可能で
ある。例えば、上記実施例では固定部３１と防音シート
３２とを別部材として形成し、防音シート３２を固定部
３１とロータ２０の上板２２との間にサンドイッチする
構造としているが、固定部３１に吸音性の凸部３２を一
体形成した構造として、凸部３２がケーシング内に突出
するように固定部３１をロータ２０の上板２２の上面に
固定してもよい。また、スリット２５及び凸部３２は、
フラットケーブル１１の内周側から外周側にかけてのび
ていれば、ロータ２０の回転中心を中心とする径線沿い
方向以外の方向へも任意の形状や角度で形成することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来のロールコネクタの概略構造を示す中央
断面図である。

【図２】 本考案の一実施例に係るロールコネクタのロ
ータと上側防音材の取付構造を示す分解斜視図である。

【図３】 ロータと上側防音材の取付部の要部断面図で
ある。

【符号の説明】

１ ステータ ２ ロータ ３ ステータ本体 ４ サブステータ ５ 基板 ５a 貫通穴 ６ 内壁部 ７ 外壁部 ８ フランジ部 ９ 筒状部 １０ 上板 １１ フラットケーブ
ル １２ 上側防音材 １３ 下側防音材 ２０ ロータ ２１ 筒状部 ２２ 上板 ２３ 第１凹部 ２４ スリット ２５ 第２凹部 ２６ 係止凹部 ３０ 上側防音材 ３１ 固定部 ３２ 防音シート(凸
部) ３３ 突起 ３４ 爪

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対回転可能なロータ(20)及びステータ
   (1)の間に環状スペース(S)を有してなるケーシング(1,
   2)と、該環状スペース(S)に渦巻き状に巻かれて収納さ
   れたフラットケーブル(11)とを備え、該フラットケーブ
   ル(11)の下側エッジを受けるケーシング基板(5)の上面
   に下側防音材(12)が固定され、該基板(5)に対向するケ
   ーシング上板(22)に上側防音材(30)が固定されたロール
   コネクタにおいて、 上記ケーシング上板(22)に、ロータ(20)の回転中心を中
   心とする径線方向に沿ってのび、かつ、該上板(22)を貫
   通する複数のスリット(24)が形成され、 上記上側防音材(30)は、上記ケーシング上板(22)の上面
   に固定される固定部(31)と、上記スリット(24)を貫通し
   てケーシング(1,2)内に突出する吸音性の凸部(32)とを
   有することを特徴とするロールコネクタ。