JP2594726B2 - 耐熱性不織布およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性不織布およびその製造方法

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JP2594726B2 JP3514225A JP51422591A JP2594726B2 JP 2594726 B2 JP2594726 B2 JP 2594726B2 JP 3514225 A JP3514225 A JP 3514225A JP 51422591 A JP51422591 A JP 51422591A JP 2594726 B2 JP2594726 B2 JP 2594726B2
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吉田  誠
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、耐熱性不繊布およびその製造方法に関す
る。更に詳しくは述べるならば本発明は耐熱性エアーフ
イルターあるいは耐熱性成型被覆材、および凹凸のある
機器部品や耐熱性断熱材などの表面を成型被覆するため
の表面被覆材として有用な耐熱性不繊布およびその製造
方法に関するものである。
背景技術 従来、耐熱性不繊布としては、全芳香族ポリアミド繊
維と全芳香族ポリアミド系パルプとからなる湿式不繊布
が一般に知られている。また未延伸の全芳香族ポリアミ
ド繊維を融着繊維成分として使用し、これによって他の
繊維成分を熱圧着して作成された耐熱性不繊布も知られ
ている(特公昭59−1818号公報)。
また、熱可塑性繊維としてのポリフエニレンサルフア
イド繊維(以下PPS繊維という)については、特公昭58
−31112号公報に記載されている。
PPS繊維を用いた耐熱性フエルト、スパンボンド不繊
布、あるいは未延伸のPPS繊維を融着繊維成分として利
用し、これによって他の繊維成分を熱圧着して作成され
た耐熱性乾式不繊布については、特開昭57−16954号公
報、特開昭61−289162号公報等に示されている。
しかし、これら従来の耐熱性不繊布は、耐熱性繊維が
相互に密着したものであって比較的高密度を有してお
り、このため耐熱性エアーフイルター、あるいは耐熱性
成型被覆材として利用するには不適当なものである。密
度勾配を有する不繊布を製造する方法としては、密度の
異なる不繊布を積層する方法、熱可塑性繊維を混合した
不繊布を、温度差のある上下2本のロール間を通す方
法、ニードリングを用いる方法等が知られている。
しかしながら、従来の湿式不繊布や熱圧着不繊布の場
合、不繊布に密度が高く、このため、これをエアーフイ
ルターに用いると、塵埃の表面蓄積が著しく、通気の圧
力損失が著しく増大しやすくなるなどの欠点がある。ま
た、従来の耐熱性フエルトの場合も、上記と同様に密度
が高く、圧力損失が大きいという欠点があり、更に従来
のスパンポンド不繊布、ニードリングにより製造された
不繊布についても上記と同様の欠点が認められる。
一方、密度の異なる不繊布を積層する従来方法では、
2工程を組み合わせることが必要であり、それだけ工程
が煩雑になる。しかも積層した層間の接合部に集中的な
目づまりが発生するため、これをエアーフイルターとし
て用いた場合、圧力損失の増加が著しいという欠点があ
る。また、従来の積層不繊布は、厚み方向に連続的な密
度勾配を有していないので、それぞれの層で分別集中濾
過の傾向があるので好ましくない。
温度差のある上下2本のロール間で不繊布を圧着して
密度勾配のある不繊布を製造する方法では、高温ロール
間に接する側のごく表面層のみが極端に高密度化し、こ
のため、この方法により製造された不繊布の高密度化部
分において集中的な目詰まりが発生する。
ニードリングを用いる不繊布製造方法の場合は、ニー
ドリングによって厚み方向に連続的な密度勾配を付与す
ることは困難である。通常、適当な繊維量の押し込みと
交絡度を得るにはニードリング密度を高くする必要があ
り、いずれにしても低密度において、これに密度勾配を
付与することは困難である。
一方、従来の耐熱性成型被覆用不繊布としては、顔料
やカーボン粒子を混合した耐熱性樹脂(例えばフエノー
ル樹脂やポリイミド樹脂)により全芳香族ポリアミド短
繊維のウエッブを樹脂加工したものあるいは耐熱性短繊
維と未延伸繊維との混合ウエッブを水流の作用により交
絡せしめたのちこれを熱圧着により融着せしめたものな
ど知られている(特開昭63−28962号公報)。
これら従来の耐熱性不繊布を、耐熱性成型被覆布とし
て使用するとき、被覆される耐熱性断熱材の隠蔽性を高
めるため、従来は、有機や無機の顔料を混合した樹脂を
用いて耐熱性不繊布に樹脂加工を施していた。しかしこ
の樹脂加工の結果、耐熱性繊維の交差点のほとんどが固
定され、このため耐熱性成型被覆用不繊布の伸度が低下
するという問題がある。
すなわち、不繊布の伸度が低下すると成型被覆加工の
際、皺が発生し、また引っ張りにより不繊布中に繊維密
度の低い部分が形成され、この部分により隠蔽ムラを生
ずる。また樹脂加工により製品コストが上昇する。更に
樹脂加工された不繊布は、手触りが固く柔軟性が低く、
平面が平滑で、反射も強く深色性が低いなどの欠点があ
る。
特に水流の作用により繊維を互に交絡せしめて製造さ
れた不繊布では、水流加工の際し、水流の衝突作用と、
それを受けるネットの作用により繊維相互の絡みの程度
に不均一を生じ、特に絡みの弱い部分が他の部分よりも
薄くなり、このため隠蔽性を低下させる。また絡みの強
い部分の伸度が低いため、不繊布全体の伸度が低下し、
このため不繊布の成型性が悪化する。これに樹脂加工が
施されると、その成型性は更に悪化する。また水流で繊
維を互に交絡せしめた後、熱圧着して製造された不繊布
においては更に伸度が低下し、成型性が更に悪化する。
一方、湿式不繊布の場合も、密度が高く、伸度が低い
ので、その成型性が不良であってしわが発生しやすい。
ニードルパンチ不繊布やスパンボンド不繊布も上記湿式
不繊布と同様の欠点を有し、その表面の手触りは粗硬で
柔軟性が低い。
発明の開示 本発明は比較的低い密度を有し、しかもその厚さ方向
に連続的な密度勾配を有する耐熱性不繊布およびその製
造方法を提供しようとするものである。
また、本発明は、耐熱性エアーフイルターとして使用
されたとき、圧力損失の増加が少なく、かつ濾過効率の
高い耐熱性不繊布およびその製造方法を提供しようとす
るものである。
更に本発明は成型性、および隠蔽性が良好で、表面の
手触りが柔かく、深色性にすぐれ、かつ難燃性が高く、
品質の均一な被覆用製品を容易に製造することの可能な
耐熱性不繊布およびその製造方法を提供しようとするも
のである。
本発明の耐熱性不繊布は、耐熱性繊維95〜50重量%
と、これらの耐熱性繊維の少なくとも一部に溶融接着
し、これらを互に接合している熱可塑性樹脂融着体5〜
50重量%とを含み、前記耐熱性繊維間を接合している前
記熱可塑性樹脂融着体が柱状をなしており、下記関係式
(1)を満足する厚さ方向密度勾配: 0.0125n2−0.2000n+1.1875≧Wn/W1≧0.0738n2 −0.6800n+1.6062 …(1) 〔但し、W1:不繊布の面と平行に5等分したときの最下
層の重量、 Wn:不繊布の面と平行に5等分したときの最下層よりn
番目の層の重量、 n:不繊布の面と平行に5等分したときの最下層からの順
番〕 を有することを特徴とするものである。
また、本発明の耐熱性不繊布製造方法は耐熱性繊維95
〜50重量%と熱可塑性繊維5〜50重量%とを混繊し、こ
れに、加圧することなく、熱可塑性繊維の融点よりも高
温の熱風による熱処理を施して、前記記載の特徴を有す
る耐熱性不繊布を得る方法である。
図面の簡単な説明 第1図は、熱可塑性樹脂柱状融着体を含む本発明に係
る耐熱性不繊布の一実施態様を示す電子顕微鏡写真であ
り、 第2図は、熱可塑性樹脂柱状融着体を含む、本発明の
耐熱性不繊布の他の実施態様の断面を示す電子顕微鏡写
真であり、 第3図は本発明の耐熱性不繊布(実施例1,4)、およ
び他の不繊布(比較例4,8)を密度勾配を示すグラフで
ある。
発明を実施するための最良の形態 本発明の耐熱性不繊布は、50〜95重量%の耐熱性繊維
と、これらを互に接合している5〜50重量%の熱可塑性
樹脂融着体とを含むものである。
本発明に用いられる耐熱性繊維は、耐熱性不繊布の骨
格を形成するものであり、長繊維でも短繊維でもよい
が、具体的には全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリ
エステル繊維、ノボロイド繊維、あるいは酸化アクリル
繊維のような酸化処理された繊維、ガラス繊維、セラミ
ックス繊維、金属繊維等から選ぶことができる。これら
の繊維の中では、耐熱性にすぐれ、かつ生産性の高い芳
香族ポリアミド繊維を用いることが好ましい。
芳香族ポリアミド繊維とは、ポリ−m−フエニレンイ
ソフタルアミド繊維及びその変成品、ポリ−p−フエニ
レンテレフタルアミド繊維及びその変成品などを包含
し、これらの中では特にポリ−m−フエニレンイソフタ
ルアミド繊維が好ましい。これらの繊維は、ウエッブに
形成することが容易であり、350℃以上の温度でも溶融
しないので、不繊布の強固な骨格を形成することができ
る。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹
脂繊維とは、210〜360℃程度の融点を持つものである。
熱可塑性樹脂繊維は、長繊維でも短繊維でもよいが、ポ
リフエニレンサルフアイド繊維、ポリエーテルケトン繊
維、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレートのようなポリエステル繊維、ナイロン6やナイ
ロン66のようなポリアミド繊維などから選ぶことができ
る。これらの中では、耐熱性、耐薬品性、および難燃性
等にすぐれているポリフエニレンサルフアイド繊維が最
も好ましい。
ポリフエニレンサルフアイド樹脂としては、ASTM−12
38(E)の方法で測定されたMelt Flow Ratio(MFR)が
280g/10分以下のものを用いることが好ましい。このMFR
が280g/10分を越えると、溶融紡糸の際に糸切れが多発
し、繊維形成が困難となる。
一方、高温熱風の熱処理により耐熱性繊維の間に、充
分な柱状融着体を形成し、不繊布の強度を向上させ及び
形態安定性を強化するためには、高温におけるポリフエ
ニレンサルフアイド樹脂の粘度が低く、耐熱性繊維をよ
く濡らし得ることが必要であり、そのためには、ポリフ
エニレンサルフアイド樹脂のMFRが70g/10分以上である
ことが好ましく、150〜250g/10分であることが好まし
い。
本発明に用いられるポリフエニレンサルフアイド繊維
は、未延伸繊維であってもよく、或は延伸繊維でもよい
が、250℃における熱収縮率(以下S250という)が15%
以下、切断強度が4.5g/d以上のものを用いることが好ま
しく、それによって不繊布の厚み方向に連続的な密度勾
配を得ることができる。
前記S250が15%を越えると、耐熱性繊維間結合が発生
する前に、融着体が急激に熱収縮するために不繊布の厚
み方向に連続的な密度勾配を形成することが難しく、ま
た接着点の数が不足するため得られる不繊布の強力が不
十分となる。
また前記切断強度が4.5g/d未満のときは、耐熱繊維間
の接着強度が低くなり、またポリフエニレンサルフアイ
ド繊維のカーディングの際、カード通過性が低くなり生
産性が低下する。
なお、高温熱風熱処理により不繊布中のポリフエニレ
ンサルフアイド繊維のほとんどは繊維形状をとどめない
程度に溶融し、これらの少なくとも一部分は柱状融着体
を形成して耐熱性繊維を接合している。
本発明において、耐熱性繊維の混率は95〜50%、好ま
しくは、90〜60%である。
この混率が95%を越えると熱可塑性樹脂融着体による
耐熱性繊維の接合が不充分となり得られる不繊布の物性
的強度が低く、成型する際に破損することがある。また
不繊布の厚さ方向に密度勾配を形成することも困難にな
り、このためフィルター性能が低下する。
また、耐熱性繊維の混率が50%未満では不繊布の骨格
を形成する耐熱性繊維の本数が少なくなり過ぎ、一方、
熱可塑性樹脂融着体が多くなり過ぎるため、得られる不
繊布の光透過性が過度に大きくなるとともに、その触感
が硬くザラツキの多いものとなり、またその破断伸度も
30%以下に低下し、成型が困難となり、不繊布の厚さ方
向に密度勾配を形成することも困難になる。このような
不繊布をフィルターとして使用した場合、目開きが大き
く、濾過性能が低い。
本発明の耐熱性不繊布において、熱可塑性樹脂融着体
が耐熱性繊維の繊維間の少なくとも一部において柱状を
なしてこれらを接合している。
柱状融着体とは、耐熱性不繊布の断面を電子顕微鏡で
撮影した電子顕微鏡写真(図1,図2)に示されているよ
うに、熱可塑性樹脂の溶融塊が耐熱性繊維の繊維間にお
いて柱状をなし、これらを立体交差的に接合しているも
のであり、柱状部の長さは通常10〜数10ミクロンであ
る。
前述のごとく熱圧着により融着せしめた従来の耐熱性
不繊布では、耐熱性繊維の繊維間は密着されており、従
って繊維密度が高いことであった。このため熱圧着法に
よって低密度の耐熱性不繊布を得ることは困難であっ
た。
これに対し本発明の耐熱性不繊布は、耐熱性繊維の繊
維間を柱状融着体によって接合したことによって、従来
の耐熱性不繊布では得られなかった低密度を得ることに
成功したものである。
すなわち、本発明の耐熱性不繊布の密度は、0.005〜
0.10g/cm3である。耐熱性不繊布の密度は、繊維の捲縮
度、繊維の単糸繊度、熱処理前の予備加熱、ニードルパ
ンチング等により調節することができる。
前記密度が0.005g/cm3未満のときでは、得られる不繊
布内の繊維と繊維との接触結合点が少なくなり充分な機
械的強度が得られずまた不繊布が嵩張りすぎて取扱性が
低下し、成型の際、不繊布中に薄い部分が発生しやす
く、製品が不均一なものとなる。また不繊布中に連続し
た好ましい厚土方向密度勾配を形成することが困難であ
って、この不繊布をエアーフイルターとして用いる場合
は、塵埃捕集効率が著しく低くなる。
また、前記密度が0.10g/cm3を越えて大きくなると、
得られる不繊布が固くなり、成型後の手触りが粗剛にな
り、繊維と繊維との接合結合点が増えすぎて不繊布の変
形に対する自由度が小さくなり、このため変形しにくく
なるので成型性が不良となる。また上記高密度において
は、連続した好ましい厚土方向密度勾配が得られにく
い。更に、このような高密度不繊布をエアーフイルター
として用いる場合、空気抵抗が高くなりすぎ、かつ塵埃
捕集による圧力損失の上昇が著しくなる。
一般に不繊布は、それをエアーフイルターとして用い
る場合、0.005〜0.05g/cm3の密度を有することが好まし
い。
本発明の不繊布を耐熱性成型被覆用不繊布として用い
る場合、その密度は0.010〜0.10g/cm3であることが好ま
しく、0.010〜0.06g/cm3であることがより好ましい。
また、この場合、不繊布中の耐熱性繊維は、顔料を含
むものを用いることが好ましく、また不繊布の破断伸度
は、30〜80%であることが好ましく、35〜70%であるこ
とがより好ましい。
上記のように顔料を含む耐熱性繊維を用いるのは、得
られる不繊布の隠蔽効果を高めるためである。
不繊布の破断伸度が30%未満では、成型時に変形しに
くくしわが発生しやすくなり、時には破損を伴うことも
ある。
不繊布の破断伸度が80%を越えると、成型時に部分的
な伸び過ぎを生じ、このため薄い部分が発生し、その厚
さが不均一になる。
また本発明の耐熱性不繊布は、下記関係式(1)を満
足する厚さ方向密度勾配を有するものである。
0.0125n2−0.2000n+1.1875≧Wn/ W1≧0.0738n2−0.6800n+1.6062 …(1) 〔但し、上式中、W1:不繊布の面と平行に5等分したと
きの最下層の重量、 Wn:不繊布の面と平行に5等分したときの最下層よりn
番目の層の重量、 n:不繊布の面と平行に5等分したときの最下層からの順
番〕 不繊布において、その厚さ方向の連続的な密度勾配が
上記関係式を満足しないとき、この不繊布をエアーフイ
ルターとして用いると、この耐熱性不繊布エアーフイル
ターは、その全層内において均一に塵埃を捕集すること
が困難になり、その厚さ方向の一部において集中的な塵
埃捕集が起りこのため圧力損失の上昇が著しくなる。
第3図には、Wn/W1の上限値曲線および下限値曲線が
示されており、これら両曲線の間のWn/W1を示す不繊布
がすぐれた濾過性能を示すことができる。
本発明の耐熱性不繊布を、耐熱性成型被覆用不繊布と
して用いる場合、耐熱性繊維はカーボン粒子などの耐熱
性顔料で濃く着色されていることが好ましく、この耐熱
性顔料の含有量は繊維重量に対し0.1〜5%であること
が好ましく、0.3〜3%であることがより好ましい。
耐熱性顔料の含有量が0.1%未満では、得られる不繊
布の光透過性が高く、隠蔽性が不十分となることがあ
る。
また耐熱性顔料の含有量が5%を越えると、得られる
耐熱性繊維の機械的強度が低下し、その結果、不織布強
度が低下し、実用的でなくなることがある。
一方、耐熱性成型被覆用不織布を製造するときに用い
られる熱可塑性樹脂繊維は、250〜360℃の融点を有する
ことが好ましく、更に好ましい融点は260〜340℃であ
る。
熱可塑性樹脂繊維の融点が250℃未満の場合、得られ
る不織布の使用中に熱による変形を発生することがあ
る。
また、その融点が360℃を越えると、得られる不織布
の成型加工が困難となるだけでなく、成型加工に高温を
要するため、不織布の骨格を形成する耐熱性繊維の物性
が低下することがある。
本発明の不織布に用いられる熱可塑性樹脂繊維の単糸
繊度は、0.5〜15デニールであることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維の単繊維繊度が0.5デニール未満で
は、不織布製造におけるカード工程等のウエッブ生産性
が低く、また品質の均一性が悪化するとともに、耐熱性
繊維間に形成される熱可塑性樹脂融着体が小さすぎて、
耐熱性繊維を柱状融着体によって接合する効率が悪くな
ることがある。また柱状融着体が小さすぎると、得られ
る不織布の色相が不鮮明になることがある。
熱可塑性樹脂繊維の単繊維繊度が15デニールを越えて
大きくなると、耐熱繊維相互の接合が不均一になり、感
触が粗鋼になり、また柱状融着体が大きくなり過ぎ、全
体に不均一になるため、色の均一性も低下することがあ
る。
熱可塑性樹脂繊維の融解による作用は、耐熱性繊維を
柱状融着体により熱接合するとともに、この融着体によ
り光を乱反射して、不織布の隠蔽効果を向上させ、かつ
着色された繊維の表面を、溶融したポリマーで覆うこと
により不織布の色の鮮明さを向上させる点にある。
耐熱性成型被覆用不織布を製造するときの好ましい熱
可塑性繊維は、ポリフエニレンサルフアイド繊維であ
る。
本発明の不織布は、耐熱性繊維と熱可塑性繊維とを混
繊し、これからウエッブを形成し、このウエッブに高温
熱風熱処理を施して、熱可塑性樹脂繊維のみを溶融して
耐熱性繊維を熱接合することによって製造される。
上記ウエッブの形成には、通常のカーデイング法やエ
アレイ法などを用いることができる。ウエッブの取扱性
向上のために、このウエッブに軽いプレス、又はニード
ルパンチ処理を付け加えてもよい。
上記高温熱風熱処理は、ネットコンベア式の乾燥機
や、オーブンなどを用いて行うことができる。
また、高温熱風熱処理の温度は、熱可塑性樹脂繊維の
融点よりある程度高い温度であり、かつ当該繊維が適度
な熱収縮を起しながら融解し得る温度にあって、具体的
には、用いられている熱可塑性樹脂繊維の融点よりも20
〜60℃だけ高い温度であることが好ましい。更に好まし
い前記処理温度は熱可塑性繊維の融点より30〜50℃高い
温度である。20〜60℃の温度範囲内では、熱可塑性繊維
のほとんどは、繊維形状をとどめずに塊状に溶融して耐
熱性繊維間を接合するが、下方向に流れ落ちることが少
なく、耐熱性繊維相互の接近部分も離隔部分もともに柱
状融着体によって結合し、それによって理想的な耐熱性
繊維接合が得られる。
高温熱風熱処理温度が上記下限温度よりも低いと熱可
塑性樹脂繊維が繊維状のまゝ残存することになり、耐熱
性繊維に対して充分な結合力を発現しないことがある。
また高温熱風熱処理温度が上記上限値よりも高すぎ
る、熱可塑性樹脂繊維が溶けて流れ落ちるため、得られ
る不織布の下面層部分に接合点が集中し、上面層部分に
は接合点が不足し、従って接合点分布が不均一なものと
なり実用性を失うことがある。
本発明方法において、高温熱風熱処理における風速
は、0.2〜2.0m/secの範囲内にあることが好ましく、0.3
〜1.0m/secであることが更に好ましい。
本発明方法の高温熱風熱処理工程において耐熱性繊維
が熱により柔軟化し、熱可塑性樹脂繊維が収縮を起しな
がら融解し、これらの過程において不織布柱に密度勾配
と接合点が発生するのであるが、風速が過度に高いと得
られる不織布の密度が高くなり、あるいは、密度勾配の
連続性が不良となることがある。
一方、風速が低いと、処理時間が長くなるとともに、
不織布の上表層部分のみにおいて耐熱性繊維の接合が行
われ、このため耐熱性繊維間の柱状融着体の形成も達成
されにくくなる。
本発明に用いられる耐熱性繊維の繊維径は、熱可塑性
樹脂繊維の繊維径より大きいことが好ましい。
耐熱性繊維の繊維径が熱可塑性樹脂繊維の繊維径より
小さい場合には、高温熱風熱処理時における熱可塑性樹
脂繊維の熱収縮および溶融と、耐熱性繊維の柔軟化のバ
ランスが崩れ、不織布の厚さ方向に連続的な密度勾配を
形成することが困難になる。
本発明の不織布は、他の不織布と積層して用いても有
用であり、あるいは本発明の不織布を2層以上積層して
用いてもよい。
本発明の不織布を、成型被覆用不織布として用いる場
合、その成型性、隠蔽性、および深色性を更に高めるた
めに、カーボン等を含む樹脂、例えばレゾルシン−ホル
ムアルデヒド樹脂等を塗布、又は含浸してもよい。
実施例 以下、実施例により本発明の耐熱性不織布およびその
製造方法の具体例を示す。実施例における下記特性の測
定および評価は以下の方法で行った。
(1)不織布密度: 供試不織布を10cm×10cmの寸法にカットし、その重量
Wgを測定した。また試料の厚さH(cm)は、試料上に0.
3g/cm2の荷重板を乗せて測定した。下記式により不織布
の密度を算出した。
不織布密度(g/cm3)=W/10×10×H (2)密度勾配: 供試不織布の厚さ0.5g/cm2の荷重下において測定し
た。供試不織布にパラフインを含浸し、不織布を、その
厚さを維持するように固め、寸法がタテ1cm、ヨコ1cmの
試料を20ケ作成した。そして鋭利な刃物を用い試料を、
不織布の表面に平行に5等分にスライスし、各スライス
片をn−ヘキサン中に浸漬して、そのパラフインを溶か
して除去し、各スライス片の重量を計測した。
(3)成型性: 直径3cm、高さ3cmの円錐形凸部と、それを収容し、中
間に間隙を形成する凹部とを有する1対の金型の間に供
試、合わせたときに不織布を挟み、これを加熱加圧して
不織布を成型し、目視によって成型効果を判定した。
(4)フイルター性能: 供試不織布のフイルター性能はJIS Z−8901に従
い、ダスト15種を100mg/m3のダスト濃度になるように分
散含有する空気を、1m/secの風速で供試不織布を通して
これを濾過し、濾過された空気を、更にダスト15種の塵
埃含有空気を、風速1m/secで濾過したとき、その捕集効
率が99.5%以上である高密度フエルトで濾過し、未捕集
の塵埃を捕集した。
こゝで供試不織布の、前記塵埃含有空気濾過の前の静
圧差(初期圧損)をΔP(mmH2O)としたとき、その静
圧差が、上記初期圧損、ΔPの2倍の値を示すまで蒸気
塵埃含有空気濾過テストを継続実施し、この濾過テスト
により捕集された塵埃の量をW1(g)とし、この濾過さ
れた空気から前記高密度フエルトによって捕集された塵
埃量をW2(g)として、当該不織布の捕集効率を下記式
によって算定した。
捕集効率=〔W1/(W1+W2)〕×100(%) また、フイルター寿命の尺度となる塵埃保持容量(DH
C)は、下記式によって算定した。
DHC=W1(g)/フイルターの面積(m2) (5)隠蔽性: 供試不織布を20cm×20cmの寸法にカットし、これを白
紙上に置き、不織布の隠蔽性を目視によって判定した。
(6)破断伸度: 供試不織布を5cm巾にカットして、試験片を作成し、
その両端を把持し、このニップ間の長さを10cmとして、
10cm/分の引張速度で試験片を破断するまで引っ張っ
た。応力が最大になる点を破断伸度とした。このテスト
を不織布のタテおよびヨコ方向についてそれぞれ、10回
繰り返し、その平均値をもって当該不織布のタテ、又は
ヨコ方向の破断伸度とした。
実施例1 単繊維繊度:13デニール、繊維長:76mmの全芳香族ポリ
アミド繊維(コーネックス、帝人株式会社製)からなる
耐熱性繊維成分80%と、ASTM1238(E)の方法で測定さ
れたMFRが、100のPPS繊維(単繊維繊度:2デニール、繊
維長:76mm、S250:12%、破断強度:5.7g/d)からなる熱
可塑性繊維成分20%とを開繊機により混綿し、この繊維
混合物からローラーカードによりウエッブを形成し、ク
ロスレイヤーを用いて前記ウエッブを積層して、目付
(重量)110g/m2の積層ウエッブを作成した。
このウエッブに、コンベアー式の乾熱風乾燥機中にお
いて、温度:320℃、風速:1m/sec、加熱時間:5分間の熱
処理を施し、目付:120g/m2、厚さ:5.5mm、密度:0.022g/
cm3の不織布を作成した。
得られた不織布中のPPS繊維は完全に溶融して繊維形
状をとどめず、耐熱性繊維間を、第1図および第2図に
示されているような柱状融着体として、あるいは水滴状
融着体として接合していた。
また、得られた不織布を、その表面に平行に5等分に
スライスし、各スライス片の重量比を測定した。その結
果を第3図に示す。更に得られた不織布のフイルター性
能を表1、表2に示す。
この不織布の濾過性能は、圧力損失が3.1mmH2Oであっ
たが、その塵埃捕集効率は68%であり、かつその塵埃保
持容量は280g/m2であって、すぐれた濾過性能を示し、
またそのフイルター寿命も長く有用なものであった。UL
−478法による難燃性評価結果は94V−Oに合格するもの
であって、その難燃性はハイレベルであった。
また、この不織布を180℃の熱風に2ケ月間曝露した
が、変化はほとんどなく、極めて高い耐熱性を示した。
比較例1 実施例1と同一の繊維構成のウエッブを作成し、これ
に軽くニードルパンチ処理を施したのち、これをプレス
しながら290℃の熱風で加熱して、目付:119g/m2、厚さ:
5.4mm、密度:0.022g/cm3の不織布を作成した。
得られた不織布の断面はほぼ均一であり、密度勾配は
ほとんど認められなかった。
得られた不織布中にPPS繊維は一部が繊維状で残存
し、一部は耐熱性繊維を接合していたが、その接合力は
弱く剥離しやすいものであった。
この不織布の濾過性能を測定したところ、圧力損失が
3.0mmH2Oであって、実施例1のものとほぼ同レベルにあ
ったが、その塵埃捕集効率は59%であり、かつその塵埃
保持容量は、180g/m2であって実施例1の不織布のそれ
らよりも低く、フイルター寿命の短いものであった。
実施例2 耐熱性繊維として、単糸繊度:6デニール、繊維長:76m
mのポリパラフエニレンテレフタルアミド繊維60%を用
い、熱可塑性樹脂繊維としてPPS繊維40%を用いたこと
を除き、実施例1と同一の操作を行った不織布を作成し
た。
この不織布の目付は100g/m2、厚さは5.2mm、密度は0.
019g/cm3であった。また、この不織布の厚さ方向の密度
勾配は(1)式を満足するものであり、その濾過性能を
測定したところ、圧力損失が4.0mmH2Oであり塵埃捕集効
率は66%であり、塵埃保持容量も270g/m2であってすぐ
れた濾過性能を示した。この不織布中には、PPS樹脂に
よる柱状融着体が実施例1より多く形成されていた。
比較例2 耐熱性繊維として、単糸繊度:13デニール、繊維長:76
mmの全芳香族ポリアミド繊維(コーネックス、帝人株式
会社製)100%からなる目付90g/m2のウエッブを作成
し、このウエッブを乾燥後、ウエッブの両面にアクリル
酸エステル樹脂溶液をスプレーし、再び乾燥して目付12
0g/m2の不織布を作成した。
得られた不織布は、厚さ:12.0mm、密度:0.010g/cm3
有し、その両面に樹脂が多量に分布し、中央部の樹脂分
布量が少なく、不相一な不織布であった。
この不織布の濾過性能を測定したところ、圧力損失が
30.1mmH2O、塵埃捕集効率が64%であったが、塵埃保持
容量は100g/m2であって著しく低かった。
耐熱性繊維の接合形状を観察したところ、繊維の密度
交差部のみが接合され、遠隔交差部ではアクリル酸エス
テル樹脂は紡錘状に耐熱性繊維に固着しており、柱状融
着体は存在しなかった。
実施例3 実施例1と同じ操作を行った。但し、耐熱性繊維の単
糸繊度を3デニールとし、PPS繊維の単糸繊度を1.5デニ
ールとし、ニードルパンチ処理されたウエッブの高温熱
風熱処理を320℃の熱風により風速2m/secで行った。
得られた不織布において、PPS繊維は実施例1と同様
に、完全に溶融して繊維形状をとどめず、耐熱性繊維間
に第1図および2図に示されているような柱状融着体を
形成して耐熱性繊維を接合していた。この不織布の厚さ
方向における密度勾配は(1)式を満足するものであ
り、またその塵埃捕集効率は65%と高く、塵埃保持容量
も270g/m2と高い値を示した。
比較例3〜4 比較例3において、実施例1と同じ操作を行った。但
し、PPS繊維の混率を55%とし、全芳香族ポリアミド繊
維(コーネックス、帝人株式会社製)の混率を45%とし
た。
得られた不織布において、厚さ方向の密度勾配が小さ
く、塵埃保持容量も小さく、空隙が大きすぎ塵埃捕集効
率も低いものであった。
比較例3の不織布の密度勾配を第3図に示す。
また、比較例4においても、実施例1と同じ操作を行
った。但し、PPS繊維の混率を2%とし、全芳香族ポリ
アミド繊維(コーネックス、帝人株式会社製)の混率を
98%とした。
得られた不織布において、PPS繊維による耐熱性繊維
の溶融固着が充分でなく、この不織布には密度がほとん
ど無く、フイルターとしての形態保持性の低いものであ
り実用上不満足なものであった。
実施例1〜2および比較例1〜4の不織布の性能を第
1〜2表に示す。
実施例4 耐熱性繊維として、単繊維繊度:13デニール、繊維長:
76mmの全芳香族ポリアミド繊維(コーネックス、帝人株
式会社製)80%を用い、これとポリエチレンテレフタレ
ート繊維(融点:255℃、単繊維繊度:6デニール、繊維
長:64mm)20%とを開繊機により混綿し、この繊維混合
物からローラーカードによりウエッブを形成し、クロス
レイヤーにてこのウエッブを積層して、目付:110g/m2
ウエッブを作成した。
このウエッブに、コンベアー式の乾熱風乾燥機中にお
いて、温度:285℃、厚さ方向の風速:0.5m/sec、加熱時
間:3分間の熱処理を施して、目付:118g/m2、厚さ:14.5m
m、密度:0.008g/cm3の不織布を得た。
得られた不織布の結合状態は実施例1と同様であっ
て、ポリエチレンテレフタレート樹脂が溶融して形成さ
れた多数の柱状融着体が存在するものであった。
また、この不織布を、その表面に平行に5等分にスラ
イスし、各スライス片の重量比を測定した。その結果を
第3図に示す。
この不織布の濾過性能を測定したところ、その圧力損
失は2.5mmH2Oであったが、塵埃捕集効率は62%と高く、
塵埃保持容量も300g/m2でフイルター寿命も長く、物性
的にみて、この不織布はフイルターとして充分有用なも
のであった。
この不織布の厚さ方向の密度勾配は連続的かつ均一で
あって、(1)式を満足するものであった。この密度勾
配を第3図に示す。
また、この不織布を130℃の熱風に1ケ月曝露して
も、その物性に変化はほとんど無く、従って極めて高い
耐熱性を有するものであった。
実施例5 実施例4と同一の操作を行った。但し、全芳香族ポリ
アミド繊維として単繊維繊度:8デニール、繊維長:76mm
のポリパラフエニレンテレフタルアミド繊維を用いた。
得られた不織布の目付は115g/m2、厚みは15.0mm、密
度は0.0077g/cm3であった。
この不織布の厚さ方向の密度は、実施例4と同様に連
続的で均一な勾配を有しており、この密度勾配は(1)
式を満足するものであった。
この不織布の濾過性能を測定したところ、圧力損失が
2.4mmH2Oであり、塵埃捕集効率は65%と高く、塵埃保持
容量も320g/m2と高かった。
また、PPS樹脂による多数の柱状融着体が耐熱性繊維
間に形成されこれらを接合していた。
実施例6 実施例4と同じ操作を行った。但し、ポリエチレンテ
レフタレート繊維の代りにポリブチレンテレフタレート
繊維(融点:225℃、単繊維繊度:8デニール、繊維長:76m
m)を使い、熱処理温度を260℃とした。
得られた不織布の目付は110g/m2、厚さは15.3mm、密
度は0.0070g/cm3であった。
この不織布の厚さ方向の密度は、実施例4と同様に連
続的で均一な密度勾配を有しており、この密度勾配は
(1)式を満足するものであった。
この不織布の濾過性能を測定したところ、その圧力損
失が2.3mmH2Oであり塵埃捕集効率は6.4%であり、塵埃
保持容量は305g/m2であって、この不織布の濾過性能は
すぐれたものであった。
この不織布中には、PBT樹脂による多数の柱状融着体
が耐熱性繊維間に形成されこれらを接合していた。
比較例5〜9 比較例5,6において、実施例4と同じ操作を行った。
但し、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維の混率
をそれぞれ3%,55%とした。
比較例5において、PET繊維の混率を3%としたた
め、得られた不織布の強力が低く、厚さ方向の密度勾配
も小さく、この密度勾配は(1)式における上限値を越
えていた。
また、比較例6において、PET繊維の混率を55%とし
たため、得られた不織布の目付は同じ目付の実施例4の
不織布と比較すると大きく、密度勾配が小さく、この密
度勾配は(1)式の上限値を越えており、また、この不
織布の塵埃捕集効率、および塵埃保持容量は低いもので
あった。
比較例7,8において、実施例4と同一の操作を行っ
た。但し、処理温度をそれぞれ265℃,325℃とした。
比較例7において、処理温度が265℃であるため、得
られた不織布の引張強度が低く、実用上不充分なもので
あった。
一方、比較例8において処理温度が325℃であるた
め、得られた不織布中の、熱可塑性樹脂繊維による柱状
融着体の分布が不織布の下面層部分に集中し、不織布の
上面部から毛羽抜けが起こりやすく、実用上問題がある
ものであった。
比較例9において、風速を2.5m/secとしたことを除
き、実施例4と同様の操作を行った。
得られた不織布において、その厚さは2.3mm、密度は
0.06g/cm3であり、その密度勾配が小さく、この密度勾
配は(1)式を満足しないものであった。またこの不織
布の濾過性能を測定したところ、圧力損失は10mmH2Oで
あり、塵埃捕集効率は45%であり、塵埃保持容量は70g/
m2であって、この不織布の濾過性能は不満足なものであ
った。
比較例5の不織布の密度勾配を第3図に示す。
実施例7 1.5%(重量)の顔料を含む3デニール、繊維長:51mm
のポリメタフエニレンイソフタルアミド短繊維(コーネ
ックス、帝人株式会社製)80%と、2デニール、繊維
長:51mmのPPS短繊維(融点280℃、帝人株式会社製)20
%とを混綿し、この繊維混合物からローラーカードによ
りウエッブを形成し、これにニードルパンチ処理を100
ベネトレイト/cm2、針深度10mmで施した。
得られた不織布(目付:46.7g/m2、厚さ:2.97mm、密
度:0.015g/cm3)をネット上に置き、これに無加圧で320
℃の熱風(風速2m/sec)を5分間吹き当てて熱処理を施
し、PPS短繊維を溶融して、それによって耐熱性繊維を
接合した。得られた吹織布は目付:45g/m2、厚さ:2.5m
m、密度:0.018g/cm3、破断伸度:51%、および式(I)
を満足する密度勾配を有するものであった。
該不織布を240℃で100時間放置してもほとんど形態の
変化も少なく耐熱性も良好であった。
またこの不織布によって、耐熱性断熱材を被覆し、こ
れを190℃で加圧成型したが、不織布に破損はなく、シ
ワも発生せず、その成型性は良好であった。また成型後
の不織布の隠蔽性、および深色性も良好であった。
この不織布に難燃性テストを行なったが、LOI値は30
%以上であって良好であった。
この不織布の手触り感も良く、その色も鮮明で好まし
いものであった。
実施例8 実施例7と同じ操作を行った。但しPPS繊維に代え
て、2デニール、繊維長:51mmのポリエーテルエーテル
ケトン短繊維(融点:334℃、帝人株式会社製)を用い、
熱風熱処理温度を370℃とした。得られた不織布は目付:
47g/m2、厚さ:2.1mm、密度:0.022g/cm3、破断伸度:45
%、および式(I)を満足する密度勾配を有するもので
あった。
この不織布も、実施例7と同様に第1および2図に示
されているような柱状融着体を多数有するものであっ
た。
この不織布に対する耐熱テストの結果も良好で、成型
後の隠蔽性、深色性も良好であった。
この不織布に対する成型は250℃で加圧成型により施
されたが、その成型性は良好であった。
この不織布の難燃性テストにおいて、LOI値は30%以
上であって、良好なものであった。
比較例10 実施例7で得たニードルパンチ後の不織布(熱処理
前)を、クリアランスを設けたプレス機により280℃で
5分間プレスして、目付:50g/m2、厚さ:0.4mm、密度:0.
125g/cm3、破断伸度:15%の不織布を作成した。
この不織布は断熱性繊維が相互に密着し、柱状融着体
が認められないものであり、その空隙をPPS樹脂が充填
して、実質的に厚さ方向密度勾配を有していないもので
あった。
得られた不織布の隠蔽性はやや不十分であり、これに
実施例7と同様の条件で加圧成型テストを実施したとこ
ろ破損部分とシワとが多数発生した。
比較例11、比較例12 実施例7記載のポリメタフエニレンイソフタルアミド
短繊維(コーネックス、帝人株式会社製)100%を、ロ
ーラーカードによりウエッブに形成したのち、これにウ
オーターニードリング処理をウエッブの両面に施して、
目付:52g/m2、厚さ:0.5mm、密度:0.104g/cm3の不織布を
作成した(比較例11)。
しかし、得られた不織布中に、前記水流の作用によ
り、畝状に薄い部分が形成されており、このためにこの
不織布の隠蔽性は不良であった。
そこで、このウオーターニードリング条件を変更して
目付:55g/m2、厚さ:1.0mm、密度:0.055g/cm3の不織布を
作成した(比較例12)。得られた不織布には薄い部分が
形成されており、このためこの不織布の隠蔽性は不良で
あった。また比較例11および12の不織布は熱可塑性樹脂
成分を含まないので柱状融着体は存在せず、繊維同士が
相互に上下方向に強く交絡し、その厚さ方向密度勾配は
式(I)を満たしていなかった。
比較例13、比較例14 実施例7のポリメタフエニレンイソフタルアミド短繊
維100%からローラーカードによりウエッブを形成し、
これにニードルパンチングを施し、アクリル酸エステル
樹脂溶液に含浸し、樹脂付着量が10%になるように樹脂
加工した。
得られた不織布の破断伸度は25%てあって不十分であ
った。この不織布に加温なしで成型テストを施したとこ
ろ、薄い部分が多く形成された(比較例13)。
また樹脂加工しないニードルパンチング後の不織布の
破断伸度は85%であったが、成型の際、薄い部分が発生
した(比較例14)。比較例13および14の不織布には熱可
塑性樹脂による柱状融着体は認められなかった。
産業上の利用可能性 本発明の耐熱性繊維不織布は、下記の効果を有する。
(1)低密度である。
(2)成型性が優れている。
(3)生産が容易である。
(4)耐熱性、難燃性が良好である。
(5)さらに、耐熱性エアーフイルターとして用いた場
合、圧力損失に対する塵埃の捕集効率に優れ、塵埃捕集
による圧力損失の上昇も小さく、かつ耐熱性に優れ、し
かも製造に対する制約が少なく容易に製造することがで
きる。
(6)また、耐熱性成型被覆用不織布として用いた場
合、隠蔽性が高く、深色性、に優れている。
従って、本発明の耐熱性不織布は、耐熱性エアーフイ
ルター、耐熱性成型物の被覆シートなどとして有用なも
のである。また、本発明方法は上記のようなすぐれた性
能を有する耐熱性不織布を容易に製造し得るものであ
る。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50〜95重量%の耐熱性繊維と、これらの耐
    熱性繊維の少なくとも一部に溶融接着し、これらを互い
    に接合している5〜50重量%の熱可塑性樹脂融着体とを
    含み、前記耐熱性繊維間を接合している前記熱可塑性樹
    脂融着体が柱状をなしており、かつ下記関係式(1)を
    満足する厚さ方向の密度勾配: 0.0125n2−0.2000n+1.1875≧Wn/W1≧0.0738n2 −0.6800n+1.6062 …(1) 〔但し、W1:不繊布の面と平行に5等分したときの最下
    層の重量、 Wn:不繊布の面と平行に5等分したときの最下層よりn
    番目の層の重量、 n:不繊布の面と平行に5等分したときの最下層からの順
    番〕 を有することを特徴とする耐熱性不繊布。
  2. 【請求項2】前記耐熱性繊維が、全芳香族ポリアミド繊
    維である、請求の範囲第1項に記載の耐熱性不繊布。
  3. 【請求項3】前記全芳香族ポリアミド繊維が、ポリ−m
    −フエニレンイソフタルアミド繊維である、請求の範囲
    第2項に記載の耐熱性不繊布。
  4. 【請求項4】前記熱可塑性樹脂が、ポリフエニレンサル
    フアイド樹脂である、請求の範囲第1項に記載の耐熱性
    不繊布。
  5. 【請求項5】前記不繊布の密度が0.005〜0.10g/cm3であ
    る、請求の範囲第1項に記載の耐熱性不繊布。
  6. 【請求項6】前記不繊布の密度が0.005〜0.05g/cm3であ
    る、請求の範囲第5項に記載の耐熱性不繊布。
  7. 【請求項7】前記耐熱性繊維が顔料を含み、前記不繊布
    が0.010〜0.10g/cm3の平均密度と、30〜80%の破断伸度
    とを有るる、請求の範囲第1項に記載の耐熱性不繊布。
  8. 【請求項8】耐熱性繊維95%〜50重量%と熱可塑性樹脂
    繊維5〜50重量%とを混繊し、これに加圧することな
    く、熱可塑性繊維の融点よりも高温の熱風による熱処理
    を施して、請求項1に記載の耐熱性不繊布を製造する方
    法。
  9. 【請求項9】前記熱処理温度が、前記熱可塑性樹脂繊維
    の融点より30〜50℃高い温度であり、かつ熱風の風速が
    0.3〜1.0m/secである、請求の範囲第8項に記載の耐熱
    性不繊布の製造方法。
  10. 【請求項10】前記耐熱性繊維の繊維径が、前記熱可塑
    性樹脂繊維の繊維径より大きい、請求の範囲第8項に記
    載の耐熱性不繊布の製造方法。
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