JP2594343B2 - ゴム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はゴム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法に
関する。さらに詳しくはゴム変性スチレン系樹脂を塊状
もしくは溶液重合法で連続的に製造する方法においてゴ
ム状重合体を分散粒子化する方法に関する。
[従来の技術] 従来0.1〜10μの平均径を有するゴム状重合体粒子を
分散したゴム変性スチレン系樹脂を連続的に製造するこ
とは広く行なわれている。製品中のゴム状重合体粒子の
大きさは衝撃強度、光沢等の性能に大きな影響を与える
ので、粒子径の調節操作はゴム変性スチレン径樹脂製造
技術の中でも極めて重要な位置を占めている。ゴム状重
合体を含む相(ゴム相)を分散粒子に転換する操作とし
て、単量体の重合体への転化率の比較的低い段階で強い
撹拌を施こす方法は公知である。また、かかる工程にお
いて、撹拌槽型反応器を用いることも特公昭62−9245号
により知られている。
しかしながら、近年ゴム変性スチレン系樹脂の用途の
拡大に伴う市場からの高性能製品の要求およびより効率
的製法による低コスト生産志向の高まりに対応するため
に、連続的製造法におけるゴム状重合体の分散粒子化に
関して、次のような課題の解決が要請されている。
(1)単一の製造装置で衝撃物性及び成形物の表面光沢
等の市場の要求性能のバランスに応じた平均粒子径、ゴ
ム含有量及び/またはゴムの種類の異なる銘柄を自在に
製造できること。例えば特公昭62−9245の方法は簡便な
方法ではあるが、粒子径を1.0μ以下にするのに多大な
撹拌動力を要する点の改善。
(2)衝撃物性、光沢性能及びその他の成形物の外観性
能をより良くするために粒子化操作の段階での巨大粒子
(フィッシュアイとしてあるいは成形物の外観不良とし
て観察される)の発生を防止。
一般に、ゴム変性スチレン系樹脂の中に分散されたゴ
ム状重合体の粒子形状及び大きさは、ゴム状重合体を含
むゴム相が連続相をなす状態から不連続相をなす状態に
転換する際の条件、即ち、分散粒子に転換する操作(本
発明ではこの操作を粒子化操作という)を行う際の条件
によって決定される。ゴム変性スチレン系樹脂の連続的
製造方法においては、この粒子化操作が反応液体の移動
操作及び重合操作と並行して実施されるので、通常のス
チレン系樹脂の連続的製造方法やゴム変性スチレン系樹
脂の回分的製造方法に比して難度が高く、そのためにこ
れまでに複雑な操作を要する幾つかの解決方法が提案さ
れている。例えば特公昭52−29793では粒子化に先だち
予備グラフト化と称する予備的重合を行う方法、特開昭
53−7794では反応転化率が30〜80%の重合液を原料と混
合する方法、また特公昭59−17725では重合液の一部を
原料系に循環する方法が提案されている。
又、生成したゴム粒子に分散機を用いて剪断処理を施
し、所望の粒子径のゴム粒子をもつゴム変性スチレン−
アクリロニトリル樹脂を得る方法も特公昭49−18477に
提案されている。この方法においては、ラインミキサー
を用いてゴム粒子に剪断処理を施した後に、架橋剤を添
加して150〜200℃でゴムの架橋と重合の完結を同時に行
なっている。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は粒子径をコントロールするのに多大の
撹拌動力を要せず、又複雑な操作を要せずに、極めて効
率的に、所望の粒子径のゴム粒子をもつ外観良好なゴム
変性スチレン系樹脂を製造する方法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は、スチレン系単量体にゴム状重合
体を溶解した原料溶液を第1反応槽へ連続的に供給し
て、該単量体がゴム状重合体が分散粒子に転換するのに
必要な単量体転化率以上になるよう重合を行ない、該第
1反応槽より原料溶液供給量に相当する量の反応液を連
続的に取り出し、該反応液を、第1反応槽と第2反応槽
の間に設けられたポンプで強制的に循環させるライン及
びそのラインの途中のゴム状重合体の分散粒子に剪断を
かけるためのラインミキサーよりなる循環ラインに送っ
て処理し、該循環ラインで処理された反応液をつづいて
第2反応槽に連続的に供給して重合を継続するか、ある
いはさらに必要に応じて第3反応槽以降の反応槽に供給
して重合を継続させることよりなるゴム変性スチレン系
樹脂の連続的塊状または溶液重合法において、 (A)第1反応槽中で反応液のしめる容積をV1,ライン
ミキサーの容積をV2とした時 V2/V1<0.2 をみたしており、 (B)循環ラインでの単位時間当りの循環量F2を原料溶
液の単位時間当りの供給量F1に対し、 1.5<F2/F1<30 になるように循環し、 (C)第2反応槽が完全混合撹拌槽型反応槽で、該反応
槽での単量体転化率が25重量%以上に保たれている ことを特徴とする外観良好なゴム変性スチレン系樹脂の
連続的製造方法である。
本発明における原料のスチレン系単量体としては、例
えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソ
プロピルスチレン、ブチルスチレン等のアルキルスチレ
ン、クロルスチレン、ブロムスチレン等のビニル基置換
または核置換のハロゲン化スチレン、ハロゲン化アルキ
ルスチレン等のスチレン系単量体が少なくとも1種用い
られ、特にスチレン、アルファメチルスチレン、パラメ
チルスチレンが好ましく用いられる。
本発明において、スチレン系単量体は共重合可能な他
の単量体と併用してもよく、例えばアクリロニトリル、
メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリ
ル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステル等の
一種以上を併用することができる。
本発明でいうゴム状重合体とは室温においてゴム状を
呈している物質であればよく、例えばポリブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブロックスチ
レン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン
系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ターポリマー
系共重合体ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン−アクリ
ロニトリル共重合体ゴムなどがあげられ、これらは1種
あるいは2種以上の組み合せで用いられる。
本発明の方法において、原料溶液とは、スチレン系単
量体にゴム状重合体を溶解したものおよび必要に応じて
溶剤を加えたものをいう。
溶剤として例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレ
ン、エチルトルエン、エチルキシレン、ジエチルベンゼ
ン等を用いることができる。このような溶剤の使用量は
特に制限はないが、重合反応槽に供給する単量体100重
量部当り50重量部を越えないことが好ましい。その理由
は50重量部を越えると溶剤により反応槽の有効反応容積
が減少すること及び溶剤の回収に過剰のエネルギーを要
するためである。
本発明における第1反応槽は、完全混合槽タイプの撹
拌槽型反応槽、あるいはプログフロータイプの塔式反応
槽等いずれのタイプの反応槽を用いてもよい。第1反応
槽として撹拌槽型反応槽を用いた場合は、該第1反応槽
内では単量体はゴム状重合体が分散粒子に転換するのに
必要な単量体転化率以上の単量体転化率に保たれていな
ければならない。又、第1反応槽として塔式反応槽を用
いた場合は、該第1反応槽の出口における反応液中の単
量体が、ゴム状重合体が分散粒子に転換するのに必要な
単量体転化率以上の単量体転化率に保たれていなければ
ならない。
本発明における第1反応槽出口の反応溶液中のゴム状
重合体の割合をx1重量%、重合した単量体の重合物の割
合をx2重量%とする時、x1及びx2の値は、 1<x1≦20かつ 1.5x1−0.05x1 2<x2<4.5x1−0.05x1 2 を満足することが好ましい。x1≦1においては通常の操
作条件では製品中のゴム含量が低く、得られたゴム変性
樹脂は耐衝撃性樹脂として実用に供せない。一方、x1
20においては、反応液の粘度が非常に高くなり、反応槽
の所要撹拌動力が大きくなるとともに、ゴム状重合体が
分散粒子に転換しないか、粒子化できた場合において
も、巨大粒子が発生する。x1は好ましくは2<x1<15の
範囲で選ばれる。x2の値についてx2≦1.5x1−0.05x1 2
場合は、単量体転化率が低く、ゴム状重合体が粒子化で
きない。第1反応槽出口での反応液の単量体転化率が低
くゴム状重合体が粒子化していない場合は、後で述べる
循環ライン及びその途中のラインミキサーで処理して
も、ゴム粒子は、所望の値にコントロールできず本発明
の目的が達成できない。
又、x2≧4.5x1−0.05x1 2の場合は、第1反応槽出口で
の反応液の粘度か非常に高くなり、第1反応槽の後に続
く循環ライン及びラインミキサーでの処理がむつかしく
なるとともに該循環ライン及びラインミキサーでのゴム
粒子の処理の効果が顕著でない。
ここで単量体のポリマーへの転化率、したがって、x2
(重量%)は、重合温度、第1反応槽への供給原料組
成、原料供給速度及び/または重合開始剤の供給量等の
操作条件によって調節可能である。
第1反応槽は、通常撹拌翼によって重合液を撹拌しな
がら重合を行なう。ゴム状重合体が粒子化する時は、一
般に撹拌強度によってその粒子径は変化するが、本発明
においては、ゴム粒子径は第1反応槽に続く循環ライン
及びラインミキサーで最終的に決められるので、第1反
応槽の撹拌は、第1反応槽内でほぼ均一な混合状態を維
持しうるか、あるいは滞留部分が生じない状態を維持で
きるものであればよい。
第1反応槽では、ゴム状重合体をスチレン系単量体に
溶解し、必要に応じて溶剤を加えた原料溶液を連続的に
供給してスチレン単量体がゴム状重合体が分散粒子に転
換するのに必要な重合率以上になるように重合を行なう
が、有機過酸化物等の重合開始剤、メルカプタン類等の
分子量調節剤等を原料溶液供給と同時に反応槽に供給し
てもよい。第1反応槽での重合は通常50〜150℃の温度
で実施される。
本発明においては、原料溶液を第1反応槽へ流量F
1(/時)で供給して、ゴム状重合体が分散粒子に転
換するのに必要な重合率以上にスチレン系単量体が重合
するように反応を行ない、該第1反応槽より原料溶液の
供給量に相当する量の反応液を連続的に取り出し、該反
応液を第1反応槽と第2反応槽の間に設けられたポンプ
で強制的に流量F2(/時)で循環させるライン及びそ
のラインの途中のゴム状重合体の分散粒子に剪断をかけ
るためのラインミキサーよりなる循環ラインに送って、
第1反応槽で生成したゴム粒子が所望の粒子径になるよ
うに処理される。
本発明でいう循環ライン途中のゴム状重合体の分散粒
子に剪断をかけるためのラインミキサーとは、流体の滞
留時間が短く、又反応液に高い剪断速度を与えることが
できる内部に高速で回転する翼あるいはローターをもっ
たコンパクトな一種の撹拌混合機である。ラインミキサ
ーは上記のような高い剪断速度を与えるものであればど
のようなものでもよいが、例えばプロペラ翼、パドル
翼、傾斜パドル翼、タービン翼、イカリ翼、らせん翼な
どの撹拌翼を有する高速回転が可能な撹拌混合機が使用
される。
例えば化学工業社発行による「撹拌装置」に例示され
ているバッフル付き食違いバース型(Mixing Equipment
社製)、バッフル付アングル型(Chemineer社製)、バ
ッフル付偏芯アングル型(佐竹化学工業社製)、オリフ
ィス板付直管型(佐竹化学工業社製)等のラインミキサ
ーを使用することができる。あるいはまた、特殊の構造
をもつローターとステーターよりなる、例えばIKAULTRA
TURRAX(IKA社)、TKホモミクサー(特殊機化工業)、
ボックボルトホモジナイザー(太平洋機工)、エバラマ
イルダー(荏原製作所)等を使用することもできる。
その際撹拌翼あるいはローターの外径d(m)、撹拌
翼の回転数をn(rps)とするとv=π・d・n(m/
秒)であらわされる撹拌翼あるいはローターの外周の線
速度vが0.5m/秒以上であることが好ましい。
線速度vが0.5m/秒未満の場合、ラインミキサー内の
剪断速度が充分でなく、第1反応槽で生成したゴム粒子
を該循環ラインで所望の粒子径にするのがむづかしくな
る。本発明の方法において、ゴム状重合体の分散粒子
は、ラインミキサーを含む循環ラインで所望の粒子径に
調節することができる。例えばラインミキサーの撹拌翼
あるいはローターの回転数nを適当な条件に選ぶことに
よって、ゴム粒子径を調節することができる。
本発明において、第1反応槽における反応液のしめる
容積をV1、ラインミキサーを容積をV2とした時、 V2/V1<0.2好ましくはV2/V1<0.10である。V2/V1が0.
2より小さくない場合は、反応液流量に対してラインミ
キサーの容積が大きくなり、ラインミキサー内での平均
滞留時間が増大して、その間に単量体の転化率が高くな
り、また反応液の粒度も上昇して、ラインミキサーの撹
拌翼あるいはローターの高速回転に過大な動力を要する
ことになるので好ましくない。
さらに、本発明においては、第1反応槽から連続的に
抜き出した反応液を循環ラインで強制的にポンプによっ
て循環させるが、その循環量F2(/時)は原料溶液の
供給量F1(/時)に対し、 1.5<F2/F1<30 より好ましくは 2.0<F2/F1<30 にする必要がある。F2/F1は反応液のラインミキサーで
の平均的処理回数を示すもので、F2/F1が1.5より大きく
ない場合、循環量が原料のフィード量に比べて少なすぎ
るので、ラインミキサーにおける処理回数が減り、ゴム
粒子を充分小さくすることができず、所望の粒子径にす
るのがむつかしい。又F2/F1が30以上の場合、もうそれ
以上循環処理回数が多くてもゴム粒子径は、それ以上小
さくならず、又工業的規模の装置を考えると反応液を循
環させるのに過大容量のポンプが必要となり、又ライン
のサイズも大きくする必要があり好ましくない。
本発明においては、第1反応槽から連続的に抜き出さ
れた反応液を循環ライン及びその途中のラインミキサー
で処理し、該処理された反応液をつづいて第2反応槽に
連続的に供給して重合を継続するが、該第2反応槽は撹
拌槽型反応槽であって、該第2反応槽内での反応液の単
量体転化率は25重量%以上に保たれていることが必要で
ある。この時、第2反応槽が撹拌槽型反応槽以外の反応
槽例えば反応槽入口と出口での反応液の単量体転化率が
異なる塔式反応槽である場合、あるいは第2反応槽が撹
拌槽型反応槽でも、該反応槽内の反応液の単量体転化率
が25重量%未満の場合、得られる樹脂中のゴム粒子径の
分布が広いものとなり、好ましくない。循環ラインで生
成されたゴム粒子は、重合率の高い反応液中に供給して
ゴム粒子を安定化させることが必要である。第2反応槽
として用いられる撹拌槽型反応槽とは、反応槽内の反応
液の組成及び温度がほぼ均一になるように撹拌翼で混合
されている反応槽であればよく、同業者は周知であり、
例えばドラフト付スクリュー型撹拌翼あるいはダブルヘ
リカル型撹拌翼を有する反応槽等がある。
第2反応槽で重合を行なった反応液は、該反応槽より
連続的に抜き出し、そのままあるいは必要に応じて1つ
以上の撹拌槽型反応槽又は塔型反応槽で重合を継続させ
た後、例えば180〜260℃の温度範囲で真空下に未反応単
量体及び溶剤を蒸発させ、ゴム変性耐衝撃性樹脂を得
る。
[実施例] 実施例1 6.0重量部のポリブタジエン(旭化成製、商品名ジエ
ン55)を79.0部のスチレン、15.0部の溶剤としてのエチ
ルベンゼンに溶解して原料溶液とした。この原料溶液に
酸化防止剤として2,6−ジターリャリブチルフェノール
を0.1重量部添加後、満液型のドラフト付スクリュー型
撹拌翼を備えた容積(V1)24.9の第1反応槽に連続的
に13.0/時(F1)の速さで供給した。第1反応槽では
反応温度130℃、撹拌翼の回転数1.5rpsで重合を行なっ
て、ゴム状重合体を相転移させ、ゴム粒子を生成させ
た。第1反応槽出口の反応液は、ゴム状重合体x1=6.0
重量%、単量体より生成したポリスチレンx2=20.5重量
%(単量体転化率25.9重量%)であった。
第1反応槽よりの反応液を連続的に取り出し、循環用
のギヤポンプ及びラインミキサーよりなる循環ラインに
送って該反応液を処理した。ラインミキサーは、内容積
(V2)0.96、撹拌翼として外径(d)0.08mの4枚傾
斜パドル翼をもつものを用いた。該循環ラインでは第1
反応槽より抜き出した液を流量(F2)100/時で循環
し、ラインミキサー内撹拌翼の回転数(n)は16.7rps
(1000rpm)で運転した。第1反応槽とラインミキサー
の容積の比V2/V1は0.039、該循環ラインでの循環量と原
料溶液の供給量の比F2/F1は7.7、ラインミキサー内撹拌
翼外周の線速度は4.2m/secとなる。
循環ラインで処理された反応液は、つづいて満液型の
ドラフト付スクリュー型撹拌翼を備えた容積10.2の第
2反応槽に連続的に供給して重合を継続した。第2反応
槽では反応温度130℃、撹拌翼の回転数1.0rpsで重合を
行なった。
第2反応槽内の反応液は、単量体転化率が34.2重量%
に保たれていた。さらに第2反応槽が重合した反応液は
連続的に取り出して塔式反応槽よりなる出口温度がそれ
ぞれ140℃、150℃および160℃の第3、第4、第5反応
槽に供給して重合を継続した。第5反応槽から連続的に
取り出された反応液は、従来から知られている脱揮発分
装置を用いて、高温高真空下で未反応モノマー及び溶剤
を除去した後、押出機を用いてペレット化し、HIPS樹脂
の製品を得た。
得られた製品中のゴム粒子の平均粒子径を電子顕微鏡
写真に基づき、その体積平均径を測定した。また製品を
0.1mmの厚さに押し出して0.2mm2以上の面積を有するフ
ィッシュアイの個数を測定した。以下の実施例、比較例
においても同様の評価を行ない、それぞれ表1および表
2に示した。
実施例2,3 循環ラインの循環量F2を変更した他は、実施例1と全
く同じにして運転を行なった。
実施例4,5 循環ライン途中のラインミキサー内撹拌翼の回転数を
変更した他は、実施例1と全く同じにして運転した。
実施例6 第1反応槽の反応温度を127℃に変更した他は実施例
1と全く同じにして運転した。
実施例7 実施例6において原料溶液中のポリブタジエンの量を
9.0重量部、エチルベンゼンの量を12.0重量部に変え、
第1反応槽およびラインミキサー内撹拌条件も表−1に
な示すように変えて運転した。
比較例1 第1反応槽と第2反応槽の間の循環ライン及びその途
中のラインミキサーがない他は、実施例1と同じにして
運転した。ゴム粒子の平均粒径は大きく、巨大粒子もみ
られた。
比較例2 比較例1において第1反応槽撹拌翼回転数を4.5rps
(270rpm)にして運転した。巨大粒子はみられなかった
が、実施例1に比べると平均粒子径は大きくなった。
比較例3 実施例1において、循環ラインの循環をやめ、反応液
をラインミキサー内を1パスで処理した。
比較例4 実施例1において循環ライン途中のラインミキサー内
の撹拌翼の回転数を1.67rps(100rps)にして運転し
た。
比較例5 循環ライン途中のラインミキサーとして、内容積9.7
、撹拌翼として外径(d)0.4mの4枚傾斜パドルをも
つものを用い、撹拌翼の回転数を3.3rps(200rps)で運
転した。
比較例6 実施例1において第1反応槽および第2反応槽を反応
温度を変えて第2反応槽の単量体転化率が25重量%以下
になるような条件で運転した。
比較例7 実施例1において第1反応槽を110℃で運転したとこ
ろ、第1反応槽ではゴム状重合体は相転移をおこさず、
連続相のままだった。循環ライン及びその途中のライン
ミキサーで処理してもゴム粒子は生成せず、第2反応槽
で反応温度を上げてはじめてゴム粒子が生成した。
比較例8 実施例1において第1反応槽の温度を138℃で運転し
たところ、第1反応槽で生成したゴム粒子は大きく、一
部に巨大粒子がみられた。この反応液を循環ライン及び
その途中のラインミキサーで処理したが、実施例1に比
較し平均粒子径も大きく、巨大粒子もわずかにみられ
た。
比較例9 実施例1において原料溶液の組成を表2に示すように
変えポリブタジエンを1.0重量%として運転した。巨大
粒子もみられず、平均粒子も小さいゴム粒子が生成した
が、製品中のゴム含有率が低く、ゴム変性耐衝撃性樹脂
としては、衝撃強度等が低すぎた。
比較例10 実施例1において原料溶液の組成を表−2に示すよう
に変え、ポリブタジエンを21.0重量%として運転した。
ゴム濃度が高すぎ、相転移をおこさなかった。
[発明の効果] 本発明によれば、特定の条件下で、第1反応槽で粒子
化したゴム成分を含む反応液を、ラインの途中にライン
ミキサーをもつ循環ラインで循環処理して所望の粒子径
のゴム粒子を得、さらに第2反応槽で重合を行なってゴ
ム粒子を安定化させるという方法で、巨大粒子がほとん
どなく所望の平均粒子径のゴム粒子をもつ外観良好なゴ
ム変性スチレン系樹脂を極めて効率的に製造することが
できる。
本発明は、このようにゴム変性スチレン系樹脂の用途
の拡大に伴う高品質製品の製造の要求と、より効率的製
法による低コスト生産の要求に答える方法を提供し、そ
の工業的利用価値は極めて大きいものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小笹 均 東京都大田区北嶺町25―20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系単量体にゴム状重合体を溶解し
    た原料溶液を第1反応槽へ連続的に供給し、ゴム状重合
    体が分散粒子に転換するのに必要な単量体転化率以上に
    該単量体の重合を行わせながら該反応槽より原料溶液供
    給量と同量の反応液を連続的に取り出し、ついで該反応
    液をラインミキサーを含む循環ラインに送ってポンプで
    強制的に反応液を循環させゴム状重合体の分散粒子を剪
    断処理し、ついで該循環ラインで処理された反応液を第
    2反応槽に連続的に供給して重合を継続するか、あるい
    はさらに必要に応じて第3反応槽以降の反応槽に供給し
    て重合を継続させることよりなるゴム変性スチレン系樹
    脂の連続的塊状または溶液重合法において、 (A)第1反応槽中で反応液の占める容積をV1,循環ラ
    イン中のラインミキサーの容積をV2とした時 V2/V1<0.2 であり、 (B)原料溶液の単位時間当りの供給量F1と、循環ライ
    ンの単位時間当りの循環液量F2の間には 1.5<F2/F1<30 の関係があり、 (C)第2反応槽が撹拌槽型反応槽で、該反応槽におけ
    る単量体転化率が25重量%以上に保たれている ことを特徴とする外観良好なゴム変性スチレン系樹脂の
    連続的製造方法。
  2. 【請求項2】前記循環ライン中のラインミキサーが内部
    に高速で回転する翼あるいはローターをもち、該翼ある
    いはローターの外周の線速度が0.5m/sec以上である請求
    項1記載のゴム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法。
  3. 【請求項3】第1反応槽出口の反応液中のゴム状重合体
    の割合をx1重量%、単量体が重合して生成した重合体の
    割合をx2重量%とした時、x1及びx2の値を 1<x1≦20かつ 1.5x1−0.05x1 2<x2<4.5x1−0.05x1 2 を満足するように維持する請求項1または2に記載のゴ
    ム変性スチレン系樹脂の連続的製造方法。
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