JP2938159B2 - 高光沢耐衝撃性ゴム変性樹脂の連続的製造方法 - Google Patents

高光沢耐衝撃性ゴム変性樹脂の連続的製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、粒径分布のある小粒子及び大粒子のゴム粒
子を分散相として有する高光沢耐衝撃性ゴム変性樹脂を
連続的に製造する方法に関する。
〔従来の技術〕
ゴム状重合体存在下にスチレンを重合させて得られる
ハイインパクトポリスチレン樹脂(以下HIPS樹脂と略称
する)は、耐衝撃性を改良した樹脂で、幅広い分野に使
用されている.また、ゴム状重合体存在下にスチレン及
びアクリロニトリルを重合させて得られるABS樹脂は、
優れた耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、剛性、表面光沢の
良さ等の理由で多くの用途を得ている。
これらHIPS樹脂およびABS樹脂を製造するに際し、製
品中のゴム粒子の大きさは衝撃強度、光沢等の製品性能
に重要な影響を及ぼす。つまり、ゴム粒子の粒径が小さ
い程、成形品の光沢が上昇するが、ある粒径以下になる
と衝撃強度が著しく低下する。このような中で、成形品
の光沢を保ちながら、衝撃強度を向上させる研究が行わ
れてきている。
例えば、HIPS樹脂においては、1.0μm以下のゴム粒
子をもつHIPS樹脂と1.0μm以上の粒子をもつHIPS樹脂
をブレンドする方法が特公昭46−41467、特開昭59−151
9、特開昭63−241053、米国特許4146589等で提案されて
いる。しかし、光沢が充分ではなく、衝撃強度と光沢の
バランスが不充分である等の問題があった。
一方、ゴム状重合体としてスチレン含量の多いスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体を用いて重合を行う
と、単一オクルージョン構造を有する0.5μm以下のゴ
ム粒子が形成されることは、よく知られており(例Ange
w.Makromol.Chem.,58/59 P175〜198(1977))これらを
利用して光沢に優れたHIPS樹脂を製造する方法が、特公
昭48−18594、特開昭61−500497、特開昭63−48317、特
開昭64−74209等で提案されている。
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを用
いて得られた光沢の優れたHIPS樹脂と少量のサラミ構造
のゴム粒子を有する通常のHIPS樹脂をブレンドすること
で、光沢を保ちつつ耐衝撃性を改良しようという試み
が、米国特許4493922、特開昭63−112646等でなされて
いる。これらの方法を用いることにより、衝撃強度と光
沢のバランスが改善された。しかしながら、別々に製造
した樹脂を押出機でブレンドするか、小粒子ゴムと大粒
子ゴムの重合液を重合反応槽にて、混合しなければなら
ず、コストアップにつながっている。また、ABS樹脂に
おいても、同様に市場からの高性能製品の要求及び効率
的製造方法による低コスト生産志向が高まり、その対応
が迫られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、重合工程でにおいて、粒子分散機に
簡単な時間的操作を加えることにより、ゴム粒子の粒径
をコントロールして、小粒子及び大粒子のゴムを形成さ
せ、光沢と衝撃強度のバランスに優れた高光沢耐衝撃性
ゴム変性樹脂に製造する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明は芳香族ビニル単量体にまたは芳香
族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との混合物にゴ
ム状重合体を溶解した溶液を、第一反応槽に連続的に供
給し、ゴム状重合体が分散粒子に転換するのに必要な重
合体濃度になるまで該単量体の重合を行わせ、反応液を
原料溶液供給量に相当する量だけ第一反応槽から連続的
に取出し、高速あるいは低速で回転する翼あるいはロー
ターを持つ粒子分散機に送って、一定のインターバルで
該分散機を高速、低速で交互に運転して、該第一反応槽
の反応液を剪断処理し、完全混合槽型の第二反応槽に連
続的に供給して重合を行い、さらに必要に応じて第三反
応槽以降の反応槽で重合を行い、ゴム粒子の粒径分布を
もつ高光沢耐衝撃性ゴム変性樹脂製造方法であって、 (A)第一反応槽出口の反応液中のゴム状重合体の割合
をX1(重量%)、単量体が重合して生成した重合体の割
合をX2(重量%)とした時、X1及びX2の値を 1<X1<20かつ 1.5X1−0.05X1 2<X2<4.5X1−0.05X1 2 を満足するように維持し、 (B)第一反応槽中で反応液の占める容積をV1、粒子分
散機の容積をV2とした時、 0<V2/V1<0.2 を満たし、 (C)粒子分散機のインターバルt(hr)としては、第
二反応槽での反応液の平均滞溜時間をθ(hr)とした
時、 t<0.9θ を満たし、 (D)該粒子分散機のインターバルのうち60〜95%を高
速回転、40〜5%を低速回転で間欠的に交互に運転し、
粒子分散機で樹脂製品中のゴム粒子の粒径をコントロー
ルし、 (E)得られた樹脂中のゴム粒子の粒径が0.5μm未満
の小粒子の平均粒径をR1(μm)、粒径が0.5μm以上
の大粒子の平均粒径をR2(μm)とすると、その比率R2
/R1が 2<R2/R1<10 を満たすことを特徴とする製造方法である。
本発明で用いられる芳香族ビニル単量体としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、ベンゼン環がアルキル置
換されたスチレン、ベンゼン環がハロゲン化されたスチ
レン等の一種以上を用いることができる。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等の一種以上を用いることができ
る。
また、これらの単量体にメチルメタクリレートのよう
なアルリル酸エステル、無水マイレン酸、マレイミド等
の共重合可能な単量体を必要に応じて加えてもよい。
本発明で用いられるゴム状重合体とは、室温において
ゴム状を呈している物質であればよく、ポリブタジエン
ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブロックス
チレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレ
ン系共重合体ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体ゴムなどがあげられ、これらのう
ち一種あるいは二種以上の組合せで用いられる。
本発明における原料溶液とは、芳香族ビニル系単量体
に、あるいは芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量
体の混合物に、ゴム状重合体を溶解したもの及び必要に
応じて溶剤を加えたものを言う。溶剤としては、例えば
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、エチルトルエ
ン、エチルキシレン、ジエチルベンゼン等を用いること
ができる。このような溶剤の使用量は、特に制限はない
が、重合反応槽に供給する単量体100重量部当り50重量
部を越えないことが好ましい。その理由は、反応槽の有
効反応容積が減少すること及び溶剤の回収に多大のエネ
ルギーを要するためである。
本発明における第一反応槽は、芳香族ビニル単量体等
にゴム状重合体を溶解した溶液を連続的に供給し、ゴム
状重合体が分散粒子に転換するのに必要な重合体濃度に
なるまで該単量体の重合を行わせるための反応槽で、完
全混合槽型の撹拌槽型反応槽、あるいはプラグフロータ
イプの塔式反応槽等のいずれの型の反応槽を用いてもよ
い。
本発明において、第一反応槽出口の反応溶液中のゴム
状重合体の割合をX1(重量%)、単量体が重合して生成
した重合体の割合(単量体転化率)をX2(重量%)とす
る時、下式を満たすことが好ましい。
1<X1<20かつ 1.5X1−0.05X1 2<X2<4.5X1−0.05X1 2 X1としては、2<X1<15が更に好ましい。X1≦1の場
合は、通常の操作条件では製品中のゴム含量が低く、耐
衝撃性樹脂として実用的ではない。一方X1≧20において
は、反応液の粘度が非常に高くなり、所要撹拌動力が大
きくなるとともに、ゴム状重合体が分散粒子に転換しな
いか、粒子化できた場合においても巨大粒子が発生す
る。
単量体転化率X2は、重合温度、第一反応槽への供給原
料組成、原料供給速度及び重合開始剤の供給量等の操作
条件によって調節可能である。X2としては、X2≦1.5X1
−0.05X1 2の場合は、単量体転化率が低くゴム状重合体
が粒子化できない。この場合第一反応槽の後に続く粒子
分散機で処理しても、ゴム粒子をコントロールできず本
発明の目的が達成できない。一方、X2≧4.5X1−0.05X1 2
においては、反応液の粘度が非常に高くなり、粒子分散
機での処理が難しくなるとともに、処理効果が顕著でな
い。
本発明で用いられる粒子分散機とは、流体の滞溜時間
が短く、又反応液に高い剪断速度を与えることのできる
内部に翼あるいはローターをもったコンパクトな一種の
撹拌混合機である。粒子分散機内の翼あるいはローター
の数としては、所望のゴム粒径により選定されるが、少
なくとも3つ以上、より好ましくは4つ以上あることが
必要である。その際処理される反応液は、これらの翼あ
るいはローターの部分を順次通過する必要があり、ショ
ートパスするのは好ましくない。反応液のショートパス
を防ぐためにそれぞれの翼あるいはローターの間にバッ
フルあるいはステーターを設ける、あるいは分散室を複
数個直列に並べて設けることが好ましい。翼あるいはロ
ーターの数が2つ以下の場合は、第一反応槽で生成した
ゴム粒子が剪断処理される回数が不充分で、粒子分散機
で所望の粒径にするのが難しくなる。粒子分散機は、上
記のような条件を満たしており、高い剪断速度を与える
ものであればどのようなものでもよいが、例えば撹拌翼
としてプロペラ翼、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン
翼等を用い、それらの翼を同一軸上に3つ以上とりつ
け、各翼と翼との間にバッフルを設けた撹拌混合機が使
用される。又、例えばくし歯状に歯切りされた同心リン
グ状のローター及びステーターの組み合わせで構成さ
れ、それらの組み合わせが2組以上同心リング状で多層
となっているか、あるいは別室にて同一軸状に直列に2
段以上の多段に並んで設けられているか、さらに、同心
リング状で多層の組み合わせのものが別室で直列に多段
に並んで設けられている撹拌混合機が使用されている。
その際多層あるいは多段あるいは多層多段の組み合わせ
のなかでローターとステーターの組み合わせの数が少な
くとも3つ以上あることが好ましい。これらの例として
IKA ULTRA−TURRAX−INLINE、IKA DISPAX−REACTOR(IK
A社)、TKハイラインミル、TKパイプラインホモミクサ
ー(特殊機化工業)、エバラマイルダー(荏原製作所)
等を用いることもできる。
本発明において、第一反応槽における反応液の占める
容積をV1、粒子分散機の容積をV2とした時V2/V1<0.2、
好ましくはV2/V1<0.15である。V2/V1が0.2より小さく
ない場合は、反応液流量に対して粒子分散機の容積が大
きくなり、粒子分散機内での平均滞溜時間が増大して、
その間に単量体の転化率が高くなり、また反応液の粘度
も上昇して粒子分散機の撹拌翼あるいはローターの高速
回転に過大の動力を要することになるので好ましくな
い。
本発明における粒子分散機の回転数変更のインターバ
ルt(hr)としては、第二反応槽での反応液の平均滞溜
時間をθ(hr)とした時、t<0.9θであり、より好ま
しくはt<0.7θである。t≧0.9θの場合製品中の大粒
子及び小粒子の比率が経時的に異なって不均一となり所
望とする比率とならず、本発明の目的が達成できないの
で好ましくない。
本発明におけるインターバルのうち、60〜95%を高速
回転、40〜5%を低速回転、より好ましくはそれぞれ70
〜90%、30〜10%で間欠的に交互に運転する必要があ
る。粒子分散機を高速回転で運転させることにより、第
一反応槽で形成したゴム分散粒子に強い剪断を与えて小
粒子を形成させ、低速回転あるいは停止状態で運転する
ことにより弱い剪断を与えて大粒子を形成させ、製品中
のゴム粒子に粒径分布を与えることができる。そこでイ
ンターバルのうち、高速回転で運転する時間が60%未満
の場合、製品中の小粒径の占める割合が60%未満とな
り、所望とする光沢が得られない。一方、95%以上の場
合、製品中の大粒子の占める割合が5%未満となり、所
望とする衝撃強度が得られない。したがって、それぞれ
の場合も光沢および衝撃強度のバランスの優れた製品を
与えることができず好ましくない。
本発明で用いられる粒子分散機は、撹拌翼あるいはロ
ーターの外径d(m)、撹拌翼あるいはローターの回転
数をn(rps)とすると撹拌翼あるいはローターの外周
の線速度Uは、U=πdn(m/sec)であらわされる。粒
子分散機を低速回転で運転する時の線速度をU1(m/se
c)、高速回転で運転する時の線速度をU2(m/sec)とす
る時、0≦U1<1、1≦U2<20を満たし、好ましくは0
≦U1<1、2<U2<8であることが必要である。U2≧20
の場合は、粒子分散機の線速度が速いため過大のエネル
ギーを消費するとともに、剪断速度が大きくなるため
に、ゴム分散粒子の凝集を引き起す場合もあり、所望と
する最小粒径値を得られず好ましくない。U1≧1の場合
は、後に述べる平均粒径の範囲において、大粒子を与え
る剪断速度としては速く、大粒子として所望とする範囲
に収まらず好ましくない。U2<1の場合も、小粒子を与
える剪断速度としては遅く、小粒子として所望とする範
囲に収まらず好ましくない。
本発明において、第二反応槽としては、反応槽内の反
応液の組成及び温度がほぼ均一になるような反応槽であ
り、完全混合槽型の反応槽を用いなければならない。そ
の理由としては、粒子分散機を高速及び低速回転で交互
に間欠的に運転することにより、瞬時に所望とする小粒
子及び大粒子のゴム粒子を得ることができるが、小粒子
及び大粒子のゴム分散粒子がその運転時間に相当するだ
け、別々に第二反応槽に送られるため製品中の小粒子及
び大粒子の比率を均一にかつ所望の値とするために均一
にする必要があり、ピストンフロータイプの反応槽は好
ましくない。完全混合槽型の反応槽としては、例えばド
ラフト付スクリュー型撹拌翼あるいはダブルヘリカル型
撹拌翼を有する反応槽である。
本発明において、小粒子とは、粒径が0.5μm未満の
ゴム粒子を、大粒子とは、粒径が0.5μm以上のゴム粒
子をいう。得られた樹脂中のゴム粒子で小粒子の平均粒
径をR1(μm)、大粒子の平均粒径をR2(μm)とした
時、大粒子と小粒子の平均粒径の値の比R2/R1は、2<R
2/R1<10であり、好ましくは2<R2/R1<6である。R2/
R1が2以下及び10以上の場合、製品中のゴム分散粒子の
小粒子と大粒子の比率が好ましくなく、所望とする光沢
と衝撃強度が得られず、本発明の目的を達成し得ない。
本発明の製品中の平均粒径は、次の方法で測定する。
樹脂の超薄切片法による電子顕微鏡写真を撮影し、写真
中の大粒子あるいは小粒子500〜700個を別々に測定し、
nは粒径Dμmのゴム粒子の個数とした時、時式により
大粒子及び小粒子のそれぞれの平均粒径R(μm)を求
める。
平均粒径R=ΣnD4/ΣnD3 又、小粒子及び大粒子の平均粒径R1及びR2は、それぞ
れ次の範囲を満たすことが好ましい。
0.1<R1<0.4 0.5<R2<2.0 R1≦0.1、R2≦0.5の場合はそれぞれ衝撃強度不足とな
り、またR1≦0.4、R2≦2.0の場合はそれぞれ光沢不足と
なり本発明において所望とする衝撃強度と光沢の優れた
製品を得られず好ましくない。
本発明は、第二反応槽の反応液をさらに必要に応じて
第三反応槽以降の反応槽に供給し、重合を継続させた後
180〜260℃の温度範囲で真空下で未反応単量体及び溶剤
を蒸発させ、ゴム分散粒子の粒径分布をもつ高光沢耐衝
撃性ゴム変性樹脂を得ることができる。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を示す。
尚、成形物の物性の評価は、次の方法によった。
(1)アイゾット衝撃強度:JIS K−6871に準じて測定。
(2)光沢:JIS Z−8741に準じて測定。
実施例1 5.0重量部のポリブタジエン(旭化成社製、商品名
ジエン55)を80.0重量部のスチレン、15.0重量部の溶剤
としてのエチルベンゼンに溶解して原料溶液とした。こ
の原料溶液に、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル
フェノールを0.1重量部、重合開始剤としてベンゾイル
パーオキサイド(BP0)を0.01重量部添加後、満液型の
ドラフト付スクリュー型撹拌翼を備えた容積V124.9の
第一反応槽に連続的に13.0/hrの速さで供給した。第
一反応槽では、130℃、撹拌翼の回転数1.5rpsで重合を
行ってゴム状重合体を相転移させ、ゴム粒子を生成させ
た。
第一反応槽出口の反応液中のゴム状重合体の割合X1
5.0(重量%)、単量体より生成したポリスチレンの割
合X2は20.6(重量%)、単量体転化率25.1%であった。
第一反応槽より反応液を連続的に取り出し、粒子分散
機に送って該反応液を処理した.粒子分散機は、内容積
0.48、撹拌翼として外径d0.05mの4枚パドル翼が6組
1本のシャフトとして取り付けられており、又各パドル
翼とパドル翼の間には、シャフトと同時に回転する円板
がバッフルとして取り付けられているものを用いた。さ
らに、粒子分散機で処理された反応液は、満液型のドラ
フト付スクリュー型撹拌翼を備えた容積10.2の第二反
応槽に連続的に供給して重合を継続した。第二反応槽で
は、反応温度130℃、撹拌翼の回転数1.0rpsで重合を行
った。単量体転化率は、31.4%であった。さらに、第二
反応槽で重合した反応液は連続的に取り出して、第一及
び第二反応槽と同じドラフト付スクリュー型撹拌翼を備
えた第三、第四及び第五の反応槽に供給して、各槽の出
口温度がそれぞれ140、150、160℃で重合を継続した。
第五反応槽から連続的に取り出された反応液は、従来か
ら知られている脱揮発分装置を用いて、高温真空下で未
反応モノマー及び溶剤を除去した後、押出機を用いてペ
レット化し、HIPS樹脂の製品を得た.粒子分散機の条件
としては、インターバルtを0.5hrとし、そのうちの10
%を低速回転(5rps、0.8/sec)、90%を高速回転(33.
3rps、5.2m/sec)で運転した。
実施例1および実施例2〜8の運転条件及び評価結果
を第1表にまとめて示した。
実施例2 粒子分散機の運転割合を、低速回転20%、高速回転80
%に変更したほかは、実施例1と同じ条件にして運転し
た。
実施例3 粒子分散機の運転割合を、低速回転30%、高速回転70
%に変更したほかは、実施例1と同じ条件にして運転し
た。
実施例4 インターバルtを、0.30hrに変更したほかは、実施例
1と同じ条件にして運転した。
実施例5 インターバルtを、0.20hrに変更したほかは、実施例
1と同じ条件にして運転した。
実施例6 粒子分散機の高速回転時の回転数及び線速度をそれぞ
れ50rps、7.8m/秒に変更したほかは、実施例1と同じ条
件にして運転した。
実施例7 粒子分散機の高速回転時の回転数及び線速度をそれぞ
れを16.7rps、2.6m/秒に変更したほかは、実施例1と同
じ条件にして運転した。
実施例8 粒子分散機の低速側運転時、回転を停止させたほか
は、実施例1と同じ条件にして運転した。
比較例1 粒子分散機の高速回転(33.3rps、5.2m/sec)の運転
割合を100%としたほかは、実施例1と同じ条件にして
運転した。その結果平均粒径0.39μmの小粒子のみ生成
し、アイゾット衝撃強度が3.4kg・cm/cmとなり、目標と
する衝撃強度が得られなかった。
比較例1および実施例2〜8の運転条件及び評価結果
を第2表にまとめて示した。
比較例2 粒子分散機の低速回転(5.0rps、0.8m/sec)の運転割
合を100%としたほかは、実施例1と同じ条件にして運
転した。その結果平均粒径1.21μmの大粒子のみ生成
し、光沢が47.5%となり、目標とする光沢が得られなか
った。
比較例3 原料溶液をゴム状重合体1.0重量部、スチレン84.0重
量部、エチルベンゼン15.0重量部に変更したほかは、実
施例1と同じ条件にして運転した。その結果樹脂中のゴ
ム成分の割合が2.1重量%と少なく、目標とする衝撃強
度が得られなかった。
比較例4 原料溶液をゴム状重合体21.0重量部、スチレン64.0重
量部、エチルベンゼン15.0重量部に変更したほかは、実
施例1と同じ条件にして運転した。その結果、第一反応
槽でゴム粒子が生成しなかった。
比較例5 インターバルtを1.0hrに変更したほかは、実施例1
と同じ条件にして運転した。その結果、経時的に粒径が
変化した。
比較例6 粒子分散機の運転割合を、低速回転45%、高速回転55
%に変更したほかは、実施例1と同じ条件にして運転し
た。その結果、樹脂中の大粒子の割合が45%になり、光
沢が79.0%となり、目標とする光沢が得られなかった。
比較例7 粒子分散機の低速回転時の回転数及び線速度をそれぞ
れ10.0rps、1.6m/secに変更したほかは、実施例1と同
じ条件にして運転した。その結果、大粒子の平均粒径が
0.72μmとなりアイゾット衝撃強度が7.6kg・cm/cmとな
り、目標とする衝撃強度が得られなかった。
比較例8 粒子分散機の高速回転時の回転数及び線速度をそれぞ
れ133.3rps、20.8m/secに変更したほかは、実施例1と
同じ条件にして運転した。その結果、小粒子の平均粒径
が0.62μmとなり、光沢が81.1%となり、目標とする光
沢が得られなかった。
実施例9 5.0重量部のスチレン−ブタジエンブロック共重合体
(旭化成社製、商品名 タフデン 2000A)を55.5重量
部のスチレン、18.5重量部のアクリロニトリル(スチレ
ン/アクリロニトリル重量比75/25)、21.0重量部のエ
チルベンゼンに溶解して原料溶液とした。この原料溶液
に分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタンを0.2
重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド
(BPO)を0.02重量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−
ブチルフェノールを0.2重量部添加後満液型のドラフト
付スクリュー型撹拌翼を備えた容積(V1)18.0の第一
反応槽に連続的に15.0/hrの速さで供給した。第一反
応槽では、反応温度110℃、撹拌翼の回転数1.5rpsで重
合を行って、ゴム状重合体を相転移させ、ゴム粒子を生
成させた。第一反応槽出口の反応液は、ゴム状重合体の
割合X15.0重量%、単量体より生成した重量体の割合X11
6.4重量%、単量体転換率21.5重量%であった。
第一反応槽より反応液を連続的に取り出し、粒子分散
機に送って該反応液を処理した。粒子分散機は、内容積
0.48、撹拌翼として外径(d)0.05mの4枚パドル翼
が6組1本のシャフトとして取り付けられており、又各
パドル翼とパドル翼の間には、シャフトと同時に回転す
る円板がバッフルとして取り付けられているものを用い
た。さらに、粒子分散機で処理された反応液は、満液型
のドラフト付スクリュー型撹拌翼を備えた容積10.2の
第二反応槽に連続的に供給して重合を継続した。第二反
応槽では、反応温度110℃、撹拌翼の回転数1.0rpsで重
合を行った。単量体転化率は、31.4%であった。さら
に、第二反応槽で重合した反応液は連続的に取り出し
て、第一及び第二反応槽と同じドラフト付スクリュー型
撹拌翼を備えた第三、第四及び第五の反応槽に供給して
各槽の出口温度がそれぞれ110、120、130℃で重合を継
続した。第五反応槽から連続的に取り出された反応液
は、従来から知られている脱揮発分装置を用いて、高温
真空下で未反応モノマー及び溶剤を除去した後、押出機
を用いてペレット化し、ABS樹脂の製品を得た。粒子分
散機の条件としては、インターバルtを0.5hrとし、そ
のうちの10%を低速回転(5rps、0.8m/sec)、90%を高
速回転(33.3rps、5.2m/sec)で運転した。
実施例9および実施例10〜15の運転条件及び評価結果
を第3表にまとめて示した。
実施例10 粒子分散機の運転割合を、低速回転20%、高速回転80
%に変更したほかは、実施例9と同じ条件にして運転し
た。
実施例11 粒子分散機の運転割合を、低速回転30%、高速回転70
%に変更したほかは、実施例9と同じ条件にして運転し
た。
実施例12 インターバルtを、0.30hrに変更したほかは、実施例
9と同じ条件にして運転した。
実施例13 インターバルtを、0.20hrに変更したほかは、実施例
9と同じ条件にして運転した。
実施例14 粒子分散機の低速側運転時、回転を停止させたほか
は、実施例9と同じ条件にして運転した。
実施例15 粒子分散機の回転数及び線速度(高速)を16.7rps、
2.6m/secに変更したほかは、実施例9と同じ条件にして
運転した。
比較例9 粒子分散機の高速回転(33.3rps、5.2m/sec)の運転
割合を100%としたほかは、実施例9と同じ条件にして
運転した。その結果平均粒径0.27μmの小粒子のみ生成
し、アイゾット衝撃強度が5.8となり、目標とする衝撃
強度が得られなかった。
比較例9および比較例10〜14の運転条件及び評価結果
を第4表にまとめて示した。
比較例10 粒子分散機の低速回転(5.0rps、0.8m/sec)の運転割
合を100%としたほかは、実施例9と同じ条件にして運
転した。その結果1.04μmの大粒子のみ生成し、光沢が
43.0%となり、目標とする光沢が得られなかった。
比較例11 インターバルtを1.0hrに変更したほかは、実施例9
と同じ条件にして運転した。その結果、経時的に粒径が
変化した。
比較例12 粒子分散機の運転割合を、低速回転45%、高速回転55
%に変更したほかは、実施例9と同じ条件にして運転し
た。その結果、樹脂中の大粒子の割合が45%になり、光
沢が63.2%となり、目標とする光沢が得られなかった。
比較例13 粒子分散機の低速回転時の回転数及び線速度をそれぞ
れ10.0rps、1.6m/secに変更したほかは、実施例9と同
じ条件にして運転した。その結果、大粒子の平均粒子径
が0.72μmとなりアイゾット衝撃強度が8.2kg・cm/cmと
なり、目標とする衝撃強度が得られなかった。
比較例14 粒子分散機の高速回転時の回転数及び線速度をそれぞ
れ133・3rps、20.8m/secに変更したほかは、実施例9と
同じ条件にして運転した。その結果、小粒子の平均粒径
が0.55μmとなり光沢が81.3%となり、目標とする光沢
が得られなかった。
〔発明の効果〕 本発明によれば特定の条件下で、第一反応槽で粒子化
したゴム成分を含む反応液を粒子分散機の簡単な操作条
件により瞬時に所望とする大、小の粒子径のゴム粒子を
得、さらに完全混合槽型の第二反応槽で重合を継続さ
せ、ゴム粒子を安定化させるとともに、大小の粒子の製
品中の組成を均一に混合させるという方法で、光沢と衝
撃のバランスに優れたゴム変性樹脂を極めて効率的に製
造することができる。
本発明は、このような高光沢耐衝撃製ゴム変性樹脂の
用途拡大に伴う高品質製品の製造の要求に答える方法を
提供し、その工業的利用価値は極めて大きいものであ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭63−4850(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 2/00 - 2/44 C08F 279/00 - 279/04 C08F 291/00 - 291/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ビニル単量体にまたは芳香族ビニル
    単量体とシアン化ビニル単量体との混合物にゴム状重合
    体を溶解した溶液を、第一反応槽に連続的に供給し、ゴ
    ム状重合体が分散粒子に転換するのに必要な重合体濃度
    になるまで該単量体の重合を行わせ、反応液を原料溶液
    供給量に相当する量だけ第一反応槽から連続的に取出
    し、高速あるいは低速で回転する翼あるいはローターを
    持つ粒子分散機に送って、一定のインターバルで該分散
    機を高速、低速で交互に運転して、該第一反応槽からの
    反応液を剪断処理し、完全混合槽型の第二反応槽に連続
    的に供給して重合を行い、さらに必要に応じて第三反応
    槽以降の反応槽で重合を行い、ゴム粒子の粒径分布をも
    つ高光沢耐衝撃性ゴム変性樹脂製造方法であって、 (A)第一反応槽出口の反応液中のゴム状重合体の割合
    をX1(重量%)、単量体が重合して生成した重合体の割
    合をX2(重量%)とした時、X1及びX2の値を 1<X1<20かつ 1.5X1−0.05X1 2<X2<4.5X1−0.05X1 2 を満足するように維持し、 (B)第一反応槽中で反応液の占める容積をV1、粒子分
    散機の容積をV2とした時、 0<V2/V1<0.2 を満たし、 (C)粒子分散機のインターバルt(hr)としては、第
    二反応槽での反応液の平均滞溜時間をθ(hr)とした
    時、 t<0.9θ を満たし、 (D)該粒子分散機のインターバルのうち60〜95%を高
    速回転、40〜5%を低速回転で間欠的に交互に運転し、
    粒子分散機で樹脂製品中のゴム粒子の粒径をコントロー
    ルし、 (E)得られた樹脂中のゴム粒子の粒径が0.5μm未満
    の小粒子の平均粒径をR1(μm)、粒径が0.5μm以上
    の大粒子の平均粒径をR2(μm)とすると、その比率R2
    /R1が 2<R2/R1<10 を満たすことを特徴とする高光沢耐衝撃性ゴム変性樹脂
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記粒子分散機内のそれぞれの翼あるいは
    ローターの低速回転時の外周の線速度をU1(m/sec)、
    高速回転時の外周の線速度をU2(m/sec)とすると 0≦U1<1 1≦U2<20 を満たす請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】前記粒子分散機が内部に回転する翼あるい
    はローターの数を3つ以上もち、それぞれの翼あるいは
    ローターの間に、バッフルあるいはステーターを設け
    る、あるいは分散室を複数個直列に並べる請求項1又は
    2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】得られた樹脂中の小粒子及び大粒子のゴム
    粒子の平均粒径R1、R2(μm)が、それぞれ 0.1<R1<0.4 0.5<R2<2.0 を満たす請求項1、2又は3記載の製造方法。
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