JP2591956B2 - β−1,4−マンノトリオースの製造方法 - Google Patents

β−1,4−マンノトリオースの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はβ−1,4−マンノトリオースの製造方法、更
に詳細には糖鎖の合成原料あるいは医薬として有用なβ
−1,4−マンノトリオース(以下単にマンノトリオース
ということがある)の製造方法に関する。
(従来の技術及びその問題点) マンノトリオースはD−マンノースがβ−1,4−グリ
コシド結合で3個結合した3糖類であり、例えばマンナ
ンを酵素または酸で部分的に加水分解し、加水分解液か
ら精製・単離することによって得られる。
従来、このβ−1,4−グリコシド結合を切断する酵素
としては例えばバチルス属、アスペルギルス属、トリコ
デルマ属、ストレプトミセス属、ペニシリウム属などに
属する微生物が産生するβ−マンナナーゼ(以下単にマ
ンナナーゼということがある)が知られている。
しかしながら、従来知られているマンナナーゼは通常
の酵素反応条件下ではマンノトリオースの生成量が少な
く、この酵素をマンナン等に作用させた場合、加水分解
または部分加水分解の結果いずれもマンノトリオース以
外にD−マンノースやβ−1,4−マンノビオース(以下
単にマンノビオースということがある)あるいはβ−1,
4−マンノテトラオース(以下単にマンノテトラオース
ということがある)以上のオリゴ糖を大量に生成し、特
にマンノトリオースを生産する目的には有利なものとは
言えなかった。
また、近年、放線菌の一種であるストレプトミセス・
エスピーNo.17が産生するマンナナーゼで比較的多量の
マンノトリオースを生成することが報告されたが〔Japa
nese Journal of Tropical Agriculture.,29(3),167
−172(1985)〕この酵素をマンナン及びマンナン含有
天然物に作用させた場合、マンノトリオースのほかにマ
ンノビオースを主成分として生成し、結晶化してもマン
ノトリオースとマンノビオースの共晶を生じるためマン
ノトリオースの高い効率での生産には成功していない。
一方このようにして得られたマンノトリオース含有液
からマンノトリオースを分離する方法としては活性炭カ
ラムによる分離と結晶化が行われてきたが、回収率が低
く満足な方法とは言いがたい。
従って、マンノトリオース生成量の多い、且つ分離の
容易なマンノトリオースの製造方法の開発が望まれてい
た。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意研究
を重ねた結果、マンナンまたはマンナン含有天然物をマ
ンナナーゼを用いて加水分解する際に条件を限定するこ
とによりマンノトリオースの生成率を極めて高くするこ
とに成功し、更に、マンノトリオースと同時に生成する
マンノース及びマンノビオースを高い効率で資化する酵
母菌を見出して、これをマンノトリオース製造工程中に
応用することにより簡便な操作で、且つ高い収率でマン
ノトリオースを製造することに成功し、本発明を完成す
るに至った。
以下に本発明の内容を更に詳細に説明する。
本発明に使用可能な原料マンナンは例えばココヤシ、
ゾウゲヤシ、パパスヤシ、などのヤシ由来のマンナンま
たはマンナン含有物、あるいはコーヒー豆の抽出残さ、
針葉樹由来のマンナンまたはマンナン含有物など種々の
ものが挙げられるが、なかでも大量に生産され、容易に
集荷・入手できるものとしてココヤシ由来のコプラミー
ルが特に好適である。
マンナンを加水分解するβ−マンナナーゼまたはその
含有物は色々な菌により生産されるが、それぞれの酵素
の性質が微妙に異なり、マンノースを多く生成する酵
素、マンノビオースを多く生成する酵素、種々のオリゴ
糖を同時に生成する酵素などがある。
それらの酵素の中でも、上記の原料を加水分解するた
めのβ−マンナナーゼはマンノトリオースとその他の糖
との生成比率及び加水分解活性からペニシリウム属のβ
−マンナナーゼ生産菌由来の酵素、例えばペニシリウム
・ハープロゲナムNo.618由来の酵素又はペニシリウム・
ルブルム由来の酵素が好適である。ペニシリウム・パー
プロゲナムNo.618は本発明者が見出した新菌株であっ
て、次の菌学的性質を有する。
(1) 培地における生育状態 麦芽寒天培地 麦芽寒天培地での成育は5℃では全く起こらず、25℃
では7日間でコロニーの直径が3〜4cmに達する。性状
はビロード状である。14日間でコロニーの直径は7〜8c
mに達し、中心部より順次分生子形成し、それに従って
くすんだ黄緑色、かんらん緑色、灰緑色等を生ずる。集
落裏面に一部赤色部があり、りんご様の芳香がする。37
℃の生育では7日間ではコロニーの直径が5〜6cmに達
する。14日間ではコロニー直径が8〜9cmに達し、良く
分生子形成し、色は黄緑から灰緑色になる。コロニーの
裏面は中心部が赤色である。
ツァペック寒天培地 ツァペック寒天培地での生育は5℃では全く起こらな
い。25℃では7日間でコロニーは直径1〜2cmに達し、
性状はビロード状である。14日間ではコロニーの直径が
3〜4cmに達するが分生子は形成しない。37℃の生育で
は7日間でコロニーの直径が1〜2cmである。14日間で
コロニーは4〜5cmに達し中心部が灰緑色となる。
ワックスマン氏寒天培地 ワックスマン氏寒天培地での成育は5℃では起こらな
い。25℃では7日間でコロニーの直径が4〜5cmに達
し、コロニーの性状は白いビロード状である。14日間で
はコロニーの直径は7〜8cmに達し、分生子部分の色は
灰緑色で、コロニーの裏側は赤色である。37℃の生育で
は7日間でコロニーの直径が4〜5cmに達し、性状はビ
ロード状である。14日間でコロニーの直径は7〜8cmに
達し、コロニーの分生子部分は灰緑色となる。
ポテト・デキストロース寒天培地 ポテト・デキストロース寒天培地での生育は5℃では
起こらない。25℃では7日間でコロニーの直径は5〜6c
mに達し、性状は白いうすいビロード状である。14日間
ではコロニーの直径は8〜9cmに達する。37℃の生育で
は7日間でコロニーの直径が5〜6cmに達し、性状は白
いビロード状である。14日間でコロニーの直径は8〜9c
mに達する。分生子の形成は少ない。
(2) 生理的、生態的性質 最適生育条件 pH5〜7 温度32〜37℃ 生育の範囲 pH4〜8 温度18〜45℃ その他、顕著な特徴 マンナン含有培地での培養によりβ−マンナナーゼを
菌体外に生産する。
(3) 顕微鏡的所見 分生子柄 滑面で直径は100〜150×2.5〜3μである。
ペニシリ 対称の複輪生体である。
メトレ 4〜6本の束生を持ち、直径は10〜15×3μである。
フィアライド 4〜6本の輪生を持ち直径は10〜12×2〜2.5μであ
る。
分生子 形状は亜球形で直径は2.5〜3×2.5〜3μである。
以上の菌学的性質を「ア・マニュアル・オブ・ザ・ベ
ニシリア(A MANUAL OF The PENICILLIA)」(1949)
〔ケネス ビー.レーパー及びチャールズトム(KENNET
H B.RAPER and CHARLES THOM)〕、「ザ・ジーナス・ペ
ニシリウム・アンド・イッツ・テレオモルフィック・ス
テーツ・ユーペニシリウム・アンド・タラロミセス(Th
e genus PENICILLIUM and it's teleomorfhic states e
upenicillium and talaromyces)」(1979)〔ジョン
アイ.ピット(JHON I.PITT)〕及び「菌類図鑑
(下)」(1978)(椿啓介他)に照合し、その菌種を検
索したところ、本菌株は、ペニシリウム・パープロゲナ
ムに属する。
更に、本菌株は、近似するペニシリウム・パープロゲ
ナム・ストール(Penicillium purpurogenum stall)と
比較すると、ペニシリウム・パープロゲニナム・ストー
ルは、37℃での培養では25℃での培養に比べ生育が悪
く、また、麦芽寒天培地で集落裏面は無色でツァペック
培地で裏面が赤くなると上記文献に記載されているが、
本菌株では、逆に37℃で生育状態が良く、また麦芽寒天
培地で集落裏面に赤い色素を生産する点で相異する。
従って、本発明者は、本菌株をペニシリウム・パープ
ロゲナムNo.618と命名し、工業技術院微生物工業技術研
究所に微工研菌寄第9189号(FERMP−9189)として寄託
した。
本発明で使用できるβ−マンナナーゼは以下のように
調製することができる。
栄養源としてコプラミール、ヤシ殻など由来のマンナ
ンを含む培地にペニシリウム・パープロゲナムNo.618又
はペニシリウム・ルブルムを接種し、培養温度25〜50
℃、特に好ましくは32〜40℃、pH3.5〜8.0、培養時間2
日〜10日の範囲で好気的に培養する。
培養後、生成したβ−マンナナーゼはそのまま加水分
解反応に使用することもできるが、常法にしたがい精製
酵素としたのち使用することもできる。
ペニシリウム・パープロゲナムNo.618由来の酵素の至
適pHは5.0、安定なpH領域は3.8〜8.2であった。
このようにして得られたβ−マンナナーゼであっても
従来のような酵素加水分解条件ではマンノビオースを多
く生成してしまいマンノトリオースの製造が困難であ
る。
マンノトリオースの収率を高めるためにはマンノビオ
ースの生成を適度に抑制する必要がある。反応条件を研
究した結果、マンノトリオースの生成量に最も大きな影
響を与えるのは酵素加水分解反応系内の酵素濃度であっ
て、酵素濃度を5U/ml以下0.01U/ml以上にした場合にマ
ンノビオースの生成量が減少し、マンノトリオースの生
成量が増加することが判明した。
酵素加水分解反応の温度は25〜55℃で実施可能である
が、更に好適な反応温度は30〜50℃である。
又、その反応の好適なpH領域はpH3〜8であり、好適
な反応時間は20分〜10時間である。
酵素濃度が5U/mlを超えるばあいにはマンノビオース
の生成量が多くなり、好ましくないが、極端に酵素濃度
が薄いばあいにも反応時間が長くなり工業的な意味がな
い。
反応温度が55℃を超えると酵素が失活し、25℃未満で
は反応速度が遅くいずれもマンノトリオースの生成量を
減少させるため好ましくない。また、そのpH領域も3未
満または8を超えた場合にも酵素が失活するので好まし
くない。
一方、その反応時間が20分未満の場合には反応不十分
であって未反応のマンナンが残るかまたはマンノトリオ
ースの生成量が少なく、10時間以上反応させた場合には
マンノトリオースの量が減少しマンノビオースの生成量
が増加するため好ましくない。
以上のように限定された反応条件で得られたマンナン
の酵素加水分解反応液中には液中の糖を100とした場合
に30〜50%のマンノトリオースが含有される。
この液からクロマト法、晶析法などの常法によってマ
ンノトリオースを単離することも可能であるが、以下の
ように酵母でマンノトリオース以外の糖を資化させるこ
とによって更に高い収率で高い純度のマンノトリオース
含有物を得ることができる。
すなわち上記加水分解液中にマンノトリオース以外の
糖を酵母菌により資化させて液中のマンノトリオースの
純度を高めるには液中に存在するマンノース及びマンノ
ビオースを主に資化する菌を選定することが必要であ
る。
これらの一部を資化する菌は従来から知られており、
例えばカンディダ・ケストニー(Candida Kestonii)、
カンディダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)
などがあった。これらの菌は白色あるいはクリーム色の
コロニーを形成し、多辺から出芽し、1〜4個の帽子型
子嚢胞子を含む一過性らせん状胞をもつといった特徴を
持っている。しかしこれらの菌はいずれもマンノースは
資化するがマンノビオースは殆ど資化しないという致命
的な欠点があった。
詳細な各種菌の性質研究の結果、カンディダ・グィリ
エルモンディーはマンノースを資化するとともにマンノ
ビオースをも効率的に資化することを見出し、上記反応
液中のマンノトリオースの純度を高めることに成功し
た。
本発明に使用する種酵母またはその含有液は以下のよ
うにして調製することができる。
種菌を入手し、ペプトン、酵母エキスなどの通常の栄
養の存在下、通常のジャーファーメンターにて好気的に
温度25〜35℃、10〜80時間の条件で培養する。培養の際
に消泡剤としてシリコーン等を添加することも好まし
い。この培養液はそのままで資化反応に供することも出
来るが遠心分離などにより菌体を濃縮して使用する事も
出来る。
以下に酵母資化の方法を詳細に述べる。
マンナンを本発明の条件でβ−マンナナーゼにより加
水分解して得られた糖液を加熱殺菌したのち、カンディ
ダ・グィリエルモンディ−IFO 0566を植菌し、空気を供
給しながら培養することにより液中の糖を100%とした
場合に70%以上のマンノトリオースを含有した液を得る
ことができる。
この酵母資化に好適な条件は溶液2リットルあたり空
気供給量0.3〜3.5リットル/分、培養温度25〜35℃、好
適な培養時間は10〜80時間であり、この条件を外れた場
合にはいずれもマンノトリオースの収率が低下するため
に好ましくない。
更に、この培養にあたり、菌の栄養源として少量のペ
プトン、酵母エキス、リン酸塩、マグネシウム塩を加え
ることも資化反応を促進させるうえで有効である。
このようにして得られた酵母資化反応後の液からマン
ノトリオースを単離する方法は通常の精製法と結晶化ま
たは濃縮固化または凍結乾燥法などが採用可能であり、
例えばイオン交換樹脂による脱塩の後、濃度75%程度ま
で濃縮して冷却・晶析することにより純度95%以上のマ
ンノトリオース結晶を得ることができる。
以下に参考例及び実施例をあげて更に詳細に本発明の
方法を説明する。
なお、本発明に係るβ−マンナナーゼ含有組成物の活
性は次に示す方法で測定した。
pH5.8のマックルベインバッファー水溶液4ml、蒸溜水
5mlと粉砕した脱脂コプラミル150mgを15分間50℃でイン
キュベートし、被検液1mlを加え50℃で30分間反応させ
た。反応液に生じた還元糖をソモギー法により定量す
る。被検液1mlが1分間に還元糖1mgを遊離する時の値を
1単位(u)と定義する。
参考例−1 β−マンナナーゼ生産菌、ペニシリウム・パープロゲ
ナムNo.618は、次の方法により分離した。
フィリピンの土壌0.5gを減菌水10mlで懸濁し、その0.
5mlを減菌水10mlに懸濁し、更にその0.5mlを減菌水10ml
に懸濁し、その一滴をシャーレ中のマンナン寒天倍地に
滴下し、表面に広げる。生えてきたコロニー中周囲に透
明帯(マンナン溶解部分)のあるものを分離、採取し、
約500検体をスラント化した。この各スラントを100ml坂
口フラスコで振盪培養を行ないβ−マンナナーゼ活性を
測定し、活性のあるものを50検体選択した。更に100ml
坂口フラスコで振盪培養を行ないβ−マンナナーゼ活性
を測定し、最も活性のある本菌を得た。
参考例−2 コプラミール4%、KH2PO41%、MgSO4・7H2O0.05%、
ペプトン0.9%、からなる液体倍地(pH5.4)100mlを50m
l坂口フラスコに採取し、常法により加熱殺菌した。
これにペニシリウム・パープロゲナムNo.618を1白金
耳接種し、35℃で5日間振盪培養した。
次に、5リットルのジャーファーメンターにコプラミ
ール4%、KH2PO41%、MgSO4・7H2O0.05%、ペプトン0.
9%、酵母エキス0.2%、コーンスティープリカー0.5%
からなる液体培地(pH5.4)3リットルを入れ、常法に
より加熱殺菌した。これに前記培養液300mlを種菌とし
て接種したのち、35℃で4日間培養した。この培養液の
酸素活性を測定したところ8.0U/培養液mlであった。
この培養液をろ過したもの、2.8リットルを酵素液−
1とした。
参考例−3 コプラミール4%、KH2PO41%、MgSO4・7H2O0.05%、
ペプトン0.9%、からなる液体培地(pH5.4)100mlを500
ml坂口フラスコに採取し、常法により加熱殺菌した。
これにペニシリウム・ルブルムを1白金耳接種し、35
℃で5日間振盪培養した。
次に、5リットルのジャーファーメンターにコプラミ
ール4%、KH2PO41%、MgSO4・7H2O0.05%、ペプトン0.
9%、酵母エキス0.2%、コーンスティープリカー0.5%
からなる液体培地(pH5.4)3リットルを入れ、常法に
より加熱殺菌した。これに前記培養液300mlを種菌とし
て接種したのち、35℃で4日間培養した。この培養液の
酸素活性を測定したところ6.1U/培養液mlであった。
この培養液をろ過したもの2.8リットルを酵素液−2
とした。
参考例−4 ペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、KH2PO40.1%、MgS
O4・7H2O0.05%、を含有する培養液3.5リットルに種菌
カンディダ・グィリエルモンディー〔(財)醗酵研究所
より購入〕1gを加え、5リットルのジャーファーメンタ
ー中で30℃、48時間、撹拌速度450rpm.,空気吹き込み量
1.2リットル/分の条件で培養し、培養液をそのまま種
酵母として以下の実施例に使用した。
実施例−1 参考例−2で得た酵素液0.094リットルに水4.97リッ
トルを加え酵素濃度を0.15U/mlとしコプラミール450gを
加え、pH5.0、温度40℃で、3時間撹拌したのちろ過し
た。
このろ液を常法に従い300mlのH型陽イオン交換樹脂
(三菱化成工業製SK−1B)と500mlの陰イオン交換樹脂
(三菱化成工業製WA−30)にて脱イオンした。
その一部を固形分濃度60重量%迄濃縮して糖組成を高
速液体クロマトグラフィーにて分析した結果 マンノトリオース 46.3% マンノビオース 38.2 ガラクトース 4.2 グルコース 5.6 その他 5.7 であった。
次にこの液を8リットルのジャーファーメンターに入
れ、120℃で15分間加熱殺菌した。冷却後、参考例−4
で得たカンディダ・グィリエルモンディーの種酵母200m
lを植菌し、空気を毎分1.2リットル供給しながら30℃で
48時間培養した。この培養液を遠心分離して、3.8リッ
トルの上清を得た。
この上清を常法に従い500mlのH型陽イオン交換樹脂
(三菱化成工業製SK−1B)と1リットルの陰イオン交換
樹脂(三菱化成工業製WA−30)にて脱イオンしたのち固
形分濃度60%迄濃縮し、72gの無色透明な糖液を得た。
このものを高速液体クロマトグラフィーにより分析し
た結果 マンノトリオース 96.6% マンノビオース 0.3 その他 3.1 であった。
更にその液20gを濃度75%まで濃縮し冷却晶析し、マ
ンノトリオースの結晶6gを得た。その結晶を同様に高速
液体クロマトグラフィーにより分析した結果、マンノト
リオースの純度は98.7%であり、融点は214℃比旋光度
は▲〔α〕25 D▼=−21゜であった。
実施例−2 参考例−2で得た酵素液1.0リットルに水3.0リットル
を加えて酵素濃度2.0U/mlとしたものにコプラミール340
gを加え、pH5.8、温度50℃で、3分撹拌したのちろ過
し、3.8リットルのろ液を得た。
このろ液の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにて
分析した結果 マンノトリオース 36.7% マンノビオース 44.8 ガラクトース 3.1 グルコース 5.3 その他 10.1 であった。
次にこの液を5リットルのジャーファーメンターに入
れ、120℃で15分間加熱殺菌した。冷却後、参考例−4
で得たカンディダ・グィリエルモンディーの種酵母200m
lを植菌し、空気を毎分0.9リットル供給しながら35℃で
40時間培養した。この培養液を遠心分離し、3.0リット
ルの上清を得た。
この上清を常法に従い500mlのH型陽イオン交換樹脂
(三菱化成工業製SK−1B)と1リットルの陰イオン交換
樹脂(三菱化成工業製WA−30)にて脱イオンしたのち固
形分濃度60%迄濃縮し、31gの無色透明な糖液を得た。
このものを高速液体クロマトグラフィーにより分析し
た結果 マンノトリオース 93.4% マンノビオース 0.3 その他 6.3 であった。
実施例−3 参考例−3で得た酵素液1.5リットルに水1.5リットル
を加えて酵素濃度3.1U/mlとしたものにコプラミール300
gを加え、pH6.5、温度35℃で、6時間撹拌したのちろ過
し、2.8リットルのろ液を得た。
このろ液の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにて
分析した結果 マンノトリオース 33.6% マンノビオース 48.2 ガラクトース 3.4 グルコース 6.0 その他 8.8 であった。
次にこの液を5リットルのジャーファーメンターに入
れ、120℃で15分間加熱殺菌した。冷却後、参考例−4
で得たカンディダ・グィリエルモルディーの種酵母200m
lを植菌し、空気を毎分1.4リットル供給しながら34℃で
53時間培養した。この培養液を遠心分離し、2.1リット
ルの上清を得た。
このろ液を常法に従い500mlのH型陽イオン交換樹脂
(三菱化成工業製SK−1B)と1リットルの陰イオン交換
樹脂(三菱化成工業製WA−30)にて脱イオンしたのち固
形分濃度60%迄濃縮し、31gの無色透明な糖液を得た。
このものを高速液体クロマトグラフィーにより分析し
た結果 マンノトリオース 90.1% マンノビオース 0.5 その他 9.4 であった。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マンナンまたはマンナン含有天然物をβ−
    1,4−マンナナーゼにて酵素濃度0.01U/ml以上、5U/ml以
    下の条件で酵素加水分解したのち、酵母カンディダ・グ
    ィリエルモンディー(Candida guilliermondii)を用い
    てβ−1,4−マンノトリオース以外の酵素加水分解液中
    に残存する糖を資化させることを特微とするβ−1,4−
    マンノトリオースの製造方法。
  2. 【請求項2】β−1,4−マンナナーゼがペニシリウム・
    パープロゲナムNo.618〔penicillium purpurogenum No.
    618(微工研菌寄第9189号)〕由来の酵素含有液または
    それらを精製して得られたものである特許請求の範囲第
    1項記載のβ−1,4−マンノトリオースの製造方法。
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