JP2590612Y2 - 伸縮式ステアリングコラム装置 - Google Patents

伸縮式ステアリングコラム装置

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JP2590612Y2
JP2590612Y2 JP1991024312U JP2431291U JP2590612Y2 JP 2590612 Y2 JP2590612 Y2 JP 2590612Y2 JP 1991024312 U JP1991024312 U JP 1991024312U JP 2431291 U JP2431291 U JP 2431291U JP 2590612 Y2 JP2590612 Y2 JP 2590612Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案に係る伸縮式ステアリン
グコラム装置は、ステアリングシャフトを挿通したステ
アリングコラムの全長を伸縮し、このステアリングシャ
フトの端部に設けたステアリングホイールの位置を、運
転者の体格や運転姿勢に合わせて調節する場合に利用す
る。
【0002】
【従来の技術】運転者の体格や運転姿勢に合わせてステ
アリングホイールの位置を調節する為の装置として、チ
ルトステアリング装置と、伸縮式ステアリングコラム装
置(所謂テレスコピックステアリング装置)とが知られ
ている。図10は、この様なチルトステアリング装置と
伸縮式ステアリングコラム装置との両方を組み込んだス
テアリング装置を示している。この図10に示した構造
では、チルトステアリング装置の調節レバー1を操作す
る事により、ステアリングコラム2内を挿通されたステ
アリングシャフト3の一端部(図10の右端部)を、同
図の矢印a方向に変位させ、このステアリングシャフト
3の一端部に固定されたステアリングホイール(図示せ
ず)の高さ位置を調節する。又、伸縮式ステアリングコ
ラム装置の調節レバー4を操作する事により、アウター
コラム5とインナーコラム6とをテレスコープ状に組み
合わせた、ステアリングコラム2の全長を伸縮させ、や
はり伸縮自在に構成された前記ステアリングシャフト3
の一端部を、図10の矢印b方向に変位させて、このス
テアリングシャフト3の一端部に固定されたステアリン
グホイールの前後位置を調節する。
【0003】尚、このうちのチルトステアリング装置の
構造及び作用に就いては、実開昭60−144569号
公報等に詳しく記載されており、本考案の要旨とする所
でもない為、詳しい説明は省略する。一方、伸縮式ステ
アリングコラム装置は、従来から例えば、図11〜12
に示す様に構成していた。ステアリングコラム2は、そ
れぞれが円筒状に形成され、互いにテレスコープ状に組
み合わされたアウターコラム5とインナーコラム6とか
ら構成している。このうちのインナーコラム6の内側に
は、深溝型(或はアンギュラ型)の玉軸受7、7を介し
て、ステアリングシャフト3の中間部を支承している。
そして、このステアリングシャフト3の中間部には、ス
プライン係合部8を設け、前記ステアリングコラム2の
伸縮に伴なって、前記ステアリングシャフト3も伸縮す
る様にしている。
【0004】又、前記アウターコラム5の中間部には、
一部を前記アウターコラム5の側方(図11の下方、図
12の左方)に突出させた状態で、ロックハウジング9
を固設している。このロックハウジング9の一部で、前
記アウターコラム5の側方に突出した部分には、後述す
るロック部材10を嵌装する為の、シリンダ空間11を
設けている。直方体形状を有するこのシリンダ空間11
の両側(図12の上下両側)は、前記アウターコラム5
の中心軸と平行で、互いに間隔をあけて設けられた1対
の平面17、17で区画している。そして、前記アウタ
ーコラム5の側面の一部で前記シリンダ空間11に整合
する位置には、このシリンダ空間11とアウターコラム
5の内部とを連通させる連通開口12を形成して、前記
シリンダ空間11内に嵌装したロック部材10の内側面
を、アウターコラム5の内側に挿通されたインナーコラ
ム6の外周面に突き当て自在としている。
【0005】前記ロック部材10の内側面は、前記イン
ナーコラム6の外周面の曲率とほぼ同じ曲率を有する、
円弧状凹面13としている。そして、この円弧状凹面1
3を前記インナーコラム6の外周面に強く押し付ける事
により、このインナーコラム6と前記アウターコラム5
との相対的変位を阻止する様にしている。一方、前記シ
リンダ空間11の外側を区画する隔壁14の中央部に
は、螺子孔15を形成し、この螺子孔15に螺合したロ
ック螺子16の内端を、前記ロック部材10の外面中央
部に突き当てている。又、前記ロック螺子16の外端部
には、前記調節レバー4の基端部を固定し、この調節レ
バー4の操作に基づき、前記ロック部材10の円弧状凹
面13を、インナーコラム6の外周面に押圧自在として
いる。又、前記ロックハウジング9の底部に固定し、前
記アウターコラム5の下面を貫通したガイドピン18
を、インナーコラム6の下面に軸方向に亙って形成した
長孔19に係合させている。そして、このインナーコラ
ム6の(回転を防止して)軸方向に亙る変位のみを許容
している。
【0006】上述の様に構成される伸縮式ステアリング
コラム装置に於いて、ステアリングコラム2の全長を調
節する場合には、先ず調節レバー4を操作する事によ
り、ロック螺子16を図12の左方に後退させる。そし
て、このロック螺子16により、ロック部材10をイン
ナーコラム6の外周面に押圧していた力を解除し、イン
ナーコラム6がアウターコラム5の内側で変位自在な状
態とする。この状態で、ステアリングシャフト3の端部
に固定した、図示しないステアリングホイールを押し引
きし、このステアリングホイールの前後位置を調節す
る。ステアリングホイールを押し引きする事に伴なっ
て、ステアリングシャフト3の途中に設けたスプライン
係合部8が変位すると共に、このステアリングシャフト
3の外側に、玉軸受7、7を介して設けられたインナー
コラム6が前後方向に変位する。
【0007】この様な前後方向に亙る変位の結果、ステ
アリングホイールの前後位置が調節されたならば、前記
調節レバー4を操作する事により、前記ロック螺子16
を(図12の右方に)前進させる。そして、このロック
螺子16により、前記ロック部材10をインナーコラム
6の外周面に押圧する。この結果、前記ロック部材10
の内面に形成した円弧状凹面13とインナーコラム6の
外面との間に強い摩擦力が働く様になり、前記インナー
コラム6がアウターコラム5の内側に変位不能に支持さ
れて、前記ステアリングホイールが、調節後の位置に支
持されたままの状態となる。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】ところが、上述の様に
構成され作用する、従来の伸縮式ステアリングコラム装
置の場合、螺子部の摩擦等により、インナーコラム6を
固定する際に調節レバー4を回動させる為に要する操作
力が大きくなったり、或は操作力を小さくすると操作量
(回動角度)が多くなったりした。又、操作する際に節
度感を得られない為、操作をする者にとっての感じがあ
まり良くない。又、ロック螺子16と調節レバー4とを
結合する作業は、前記ロック螺子16を所定トルクで締
め付けた後に行なう。ところが、両部材4、16同士の
回り止めを、一般的に用いられるセレーション係合によ
り行なった場合には、前記両部材4、16同士の位置関
係を、セレーション溝の1ピッチ分ずつしか調節出来
ず、位置関係の微調節は困難である。
【0009】伸縮式ステアリングコラム装置の構造とし
てはこの他にも、例えば実開昭60−34954号公
報、同61−145070号公報、同63−11477
0号公報、同63−152771号公報、実公平2−2
0140号公報に記載されたものが知られているが、や
はり同様の問題を持っている。
【0010】一方、特開昭61−220965号公報に
は、ブラケットに対してコラムを固定する為に、トグル
機構を使用したチルト式ステアリングコラム装置が記載
されている。但し、この公報に記載された考案の場合に
は、ブラケットに対してコラムを固定する際に、このコ
ラムを1点でのみ押圧する。従って、この様な構造を伸
縮式ステアリングコラム装置に適用しても、インナーコ
ラムの固定が不確実になったり、或は固定作業に伴なっ
てインナーコラムが変形するのを防止する為、このイン
ナーコラムを厚肉に構成する必要がある等の問題があ
る。即ち、インナーコラムをアウターコラムの内側に固
定する場合、インナーコラムの外周面にロック部材を強
く押圧するが、押圧点が1点のみの場合、インナーコラ
ムの固定を確実に行なう為には、このロック部材をイン
ナーコラムの外周面に向けて、強く押圧しなければなら
ない。この様な強い押圧力によってインナーコラムが変
形しない様にする為には、このインナーコラムを厚肉に
する等により、十分な剛性を確保しなければならず、製
作費の高騰や重量の増大を招く為、好ましくない。本考
案の伸縮式ステアリングコラム装置は、上述の様な不都
合を何れも解消するものである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本考案の伸縮式ステアリン
グコラム装置は何れも、それぞれが円筒状に形成され、
互いにテレスコープ状に組み合わされたアウターコラム
及びインナーコラムと、前記アウターコラムの一部で軸
方向に離隔した2個所位置に、周方向に亙る位相を互い
に一致させて形成された1対の透孔と、これら各透孔の
内側に嵌装されて、前記インナーコラムの外周面に突き
合わされた1対のロック部材と、前記1対の透孔の間位
置に前記アウターコラムの外周面から突出する状態で設
けられた門型の支持部と、この支持部の内面と前記1対
のロック部材の外面との間に、これら1対のロック部材
同士の間に掛け渡された状態で設けられた1組のトグル
機構と、このトグル機構を伸縮させる調節レバーとから
成る。
【0012】そして、請求項1に記載した伸縮式ステア
リングコラム装置の場合、前記トグル機構は、互いに独
立して設けられた前記1対のロック部材と、前記調節レ
バーの基端部に前記軸方向に亙り設けられ、その中間部
外側縁を前記支持部に揺動自在に支持した状態で、前記
調節レバーにより揺動変位させられる1枚の揺動板部
と、この揺動板部の両端部内側縁と前記各ロック部材と
の間に設けられ、それぞれの内端部をこれら各ロック部
材に、それぞれの外端部を前記揺動板部の両端部内側縁
に、それぞれ揺動変位自在に係合させた1対の揺動駒と
から成る。
【0013】又、請求項2に記載した伸縮式ステアリン
グコラム装置の場合、前記トグル機構は、互いに独立し
て設けられた前記1対のロック部材と、前記調節レバー
の基端部に前記軸方向に亙り設けられ、その両端部内側
縁を前記各ロック部材に揺動自在に係合させた状態で、
前記調節レバーにより揺動変位させられる1枚の揺動板
部と、この揺動板部の中間部外側縁と前記支持部との間
に設けられ、その内端部をこの揺動板部に、その外端部
を前記支持部に、それぞれ揺動変位自在に係合させた1
個の揺動駒とから成る。
【0014】更に、請求項3に記載した伸縮式ステアリ
ングコラム装置の場合、前記トグル機構は、連結板部に
より互いに一体的に結合固定された前記1対のロック部
材と、前記調節レバーの基端部に前記軸方向に亙り設け
られ、その外側縁を前記支持部に揺動自在に係合させた
状態で、前記調節レバーにより揺動変位させられる1枚
の揺動板部と、この揺動板部の内側縁と前記連結板部と
の間に設けられ、その内端部をこの連結板部に、その外
端部を前記揺動板部に、それぞれ揺動変位自在に係合さ
せた1個の揺動駒とから成る。
【0015】
【作用】上述の様に構成する本考案の伸縮式ステアリン
グコラム装置により、ステアリングコラムの長さ調節を
行なう場合、請求項1〜3の何れに記載した考案の場合
でも、先ず、調節レバーを操作する事により、揺動板部
と揺動駒との折れ曲がり角度を大きくして(直線状態か
ら大きく変位させて)トグル機構を縮める。そして、こ
のトグル機構により、1対のロック部材をインナーコラ
ムの外周面に押圧していた力を解除し、インナーコラム
がアウターコラムの内側で変位自在な状態とする。この
状態で、ステアリングシャフトの端部に固定したステア
リングホイールを押し引きし、インナーコラムを前後方
向に変位させつつ、ステアリングホイールの前後位置を
調節する。
【0016】ステアリングホイールの前後位置を、所望
位置に調節したならば、前記調節レバーを前述の場合と
逆方向に操作する事により、前記揺動板部と揺動駒との
折れ曲がり角度を小さく若しくは零にして(直線状態若
しくは直線状態に近くして)前記トグル機構を伸長さ
せ、前記1対のロック部材を前記インナーコラムの外周
面に強く押し付ける。この結果、前記1対のロック部材
の内側面とインナーコラムの外周面との間に強い摩擦力
が働き、前記インナーコラムがアウターコラムの内側
に、変位不能に支持され、前記ステアリングホイール
が、調節後の位置に支持されたままの状態となる。
【0017】この状態で前記1対のロック部材は、前記
インナーコラムを、軸方向に離隔した2個所位置で押圧
する。この為、比較的軽い押圧力により、このインナー
コラムの固定を確実に行なう事が出来て、前記インナー
コラムの剛性を特に高くしなくても、このインナーコラ
ムが変形する事がなくなる。又、本考案の場合、請求項
1〜3の何れに記載した考案の場合も、1組のトグル機
構により1対のロック部材を、インナーコラムの外周面
に向け均一に押し付ける事ができる。この為、トグル機
構により1対のロック部材を操作する構造に拘らず、操
作が面倒になる事がない。
【0018】
【実施例】図1〜2は、請求項1に対応する、本考案の
第一実施例を示している。それぞれが円筒状に形成さ
れ、互いにテレスコープ状に組み合わされたアウターコ
ラム5及びインナーコラム6のうち、アウターコラム5
の一部で、軸方向に離隔した2個所位置には、1対の透
孔20、20を、周方向に亙る位相を互いに一致させて
形成している。これら各透孔20、20の内側にはそれ
ぞれロック部材21、21を、前記アウターコラム5の
内外方向(図1〜2の上下方向)に亙る変位のみ自在と
して、嵌装している。各ロック部材21、21の内側面
21a、21aは、前記インナーコラム6の外周面に合
致する様な、断面円弧状の凹面としており、各内側面2
1a、21aを前記インナーコラム6の外周面に突き合
わせている。又、前記各ロック部材21、21の外側面
21b、21bは平坦面とすると共に、各外側面21
b、21bの円周方向中間位置に、軸方向に亙る断面円
弧形の凹溝27、27を形成している。
【0019】前記アウターコラム5の中間部で、前記1
対の透孔20、20の中間位置には、支持ハウジング2
2を固定している。この支持ハウジング22は、金属の
ダイキャスト成形等により一体に造られたもので、前記
アウターコラム5の中間部にがたつきなく外嵌固定され
る固定部22aと、前記1対のロック部材21、21の
間位置で、前記アウターコラム5の外周面から突出する
状態で設けられた門型の支持部22bとから成る。
【0020】このうち、支持部22bの中間部には、前
記アウターコラム5と直交する方向の螺子孔23を形成
しており、この螺子孔23に調整螺子24を螺合させて
いる。この調整螺子24の内面中心部には円形の突起2
5を形成しており、この突起25に、円板状の座板26
の外側面に形成した凹孔26aを外嵌している。この座
板26の内側面には、前記ロック部材21、21の外側
面に形成した凹溝27、27と同様、軸方向に亙る断面
円弧形の凹溝28を形成している。そして、前記各ロッ
ク部材21、21の外側面21b、21bに形成した凹
溝27、27と、座板26の内側面に形成した凹溝28
との間に、調節レバー29の操作によって伸縮するトグ
ル機構30を、前記各ロック部材21、21同士の間に
掛け渡した状態で設けている。そして、このトグル機構
30により、前記1対のロック部材21、21の内側面
21a、21aを前記インナーコラム6の外周面に押圧
する力を強くしたり、或は押圧力を解除したり出来る様
にしている。
【0021】即ち、十分な剛性を有する金属板をプレス
成形する事により造られた調節レバー29の基端部に揺
動板部31を、前記1対のロック部材21、21の間に
掛け渡した状態で、上記インナーコラム6の軸方向に亙
り設けている。そして、この揺動板部31の中間部外側
縁(前記アウターコラム5及びインナーコラム6の直径
方向に関し外側の縁で、図1〜2の下縁)を前記座板2
6の内側面に形成した凹溝28に、それぞれ断面略三角
形に形成した1対の揺動駒32、32の内側縁を各ロッ
ク部材21、21の外側面21b、21bに形成した凹
溝27、27に、それぞれ揺動変位自在に係合させてい
る。これと共に、前記揺動板部31の内側縁と各揺動駒
32、32の外側縁に形成した凹溝とを、揺動変位自在
に係合させている。この様に各部材を揺動変位自在に組
み合わせる事により、前記揺動板部31及び1対の揺動
駒32、32を、前記ロック部材21、21の外側面2
1b、21bの凹溝27、27と前記座板26内側面の
凹溝28との間に揺動自在に支持し、前記トグル機構3
0を構成している。
【0022】又、前記支持ハウジング22の支持部22
bの端縁部には、切り欠き34を形成し、この切り欠き
34内に、前記調節レバー29の基部を係合させてい
る。そして、調節レバー29を図2の実線で示す様に、
切り欠き34の一端に迄揺動させた状態で、前記揺動板
部31と揺動駒32、32とから成るトグル機構30が
伸長し、同図に鎖線で示す様に、切り欠き34の他端に
迄揺動させた状態で、前記トグル機構30が折れ曲が
り、全長が縮まる様にしている。
【0023】上述の様に構成する本考案の伸縮式ステア
リングコラム装置により、ステアリングコラムの長さ調
節を行なう場合、次の様にして行なう。調節作業を行な
うに就いては、先ず調節レバー29を操作する事によ
り、前記揺動板部31と前記各揺動駒32、32との折
れ曲がり角度を大きくして、これら揺動板部31と揺動
駒32、32とから成るトグル機構30を縮める。そし
て、このトグル機構30により、ロック部材21をイン
ナーコラム6の外周面に押圧していた力を解除する。即
ち、前記調節レバー29を、図2に鎖線で示す様に、そ
の基部が切り欠き34の他端に当接する迄、同図で反時
計方向に揺動させる。この結果、前記座板26内側面の
凹溝28(揺動板部31の外側縁)と前記揺動駒32、
32外側縁の凹溝(揺動板部31の内側縁)とを結ぶ直
線と、前記ロック部材21の外側面21bの凹溝27
(揺動駒32、32の内側縁)と前記揺動駒32、32
外側縁の凹溝(揺動板部31の内側縁)とを結ぶ直線と
が、図2でく字形に折れ曲がって、前記凹溝27と凹溝
28との距離が縮まる。この結果、各ロック部材21、
21をインナーコラム6の外周面に押圧していた力が解
除されて、インナーコラム6がアウターコラム5の内側
で変位自在な状態となる。
【0024】そこで、この状態のまま、前記インナーコ
ラム6の内側に回転のみ自在として挿通された、ステア
リングシャフト3(図10)の端部に固定したステアリ
ングホイール(図示せず)を押し引きし、インナーコラ
ム6を前後方向に変位させつつ、ステアリングホイール
の前後位置を調節する。ステアリングホイールの前後位
置を、所望位置に調節したならば、前記調節レバー29
を前述の場合とは逆方向に揺動させる事により、前記揺
動板部31と前記各揺動駒32、32との折れ曲がり角
度を小さくして、前記トグル機構30を伸長させる。即
ち、前記調節レバー29を、図2に実線で示す様に、そ
の基部が切り欠き34の一端に当接する迄、同図で時計
方向に揺動させる。この結果、前記揺動板部31の内側
縁並びに揺動駒32の外側縁が、ほぼ前記座板26内側
面の凹溝28と前記ロック部材21の外側面21bの凹
溝27とを結ぶ直線上に位置する様になり、前記凹溝2
7と凹溝28との距離が広がって、前記ロック部材21
が前記インナーコラム6の外周面に強く押し付けられ
る。この結果、前記ロック部材21の内側面21aとイ
ンナーコラム6の外周面との間に強い摩擦力が働き、前
記インナーコラム6がアウターコラム5の内側に、変位
不能に支持され、前記ステアリングホイールが、調節後
の位置に保持されたままの状態となる。
【0025】尚、この状態に於いて、前記揺動駒32の
外側縁と前記揺動板部31の内側縁との接点は、前記凹
溝27、28同士を結ぶ直線よりも、図2に於いて僅か
に右側に位置させておく。これは、前記調節レバー29
に図2で時計方向に回動しようとする力を付与して、こ
の調節レバー29が、不用意に回動する事を防止する為
である。又、調節レバー29の揺動に伴なって、ロック
部材21をインナーコラム6の外周面に十分に強い力で
押圧する為には、前記調整螺子24を回動させる事によ
り、前記凹溝27、28の距離を調節し、調節後はロッ
クナット33により、前記調整螺子24が不用意に回動
するのを防止しておく。
【0026】次に、図3〜4は、請求項2に対応する、
本考案の第二実施例を示している。前述の第一実施例
は、調節レバー29に付属の揺動板部31を座板26の
側(外側)に、2個の揺動駒32、32をロック部材2
1、21の側(内側)に、それぞれ設けていた。これに
対して本実施例の場合は、調節レバー29に付属の揺動
板部31をロック部材21、21の側(内側)に、1個
の揺動駒32を座板26の側(外側)に、それぞれ設け
ている。その他の構成及び作用は、前述の第一実施例と
同様である為、同等部分には同一符号を付して、重複す
る説明を省略する。
【0027】次に、図5〜6は、請求項2に対応する、
本考案の第三実施例を示している。前述の第一〜第二実
施例は、支持ハウジング22の支持部22bに形成した
切り欠き34と調節レバー29の基部との係合により、
この調節レバー29の揺動量を制限していた。これに対
して、本実施例の場合は、揺動板部31に形成した突片
35と調節レバー29の中間部に形成した折り曲げ部3
6とにより、前記調節レバー29の揺動量を制限してい
る。その他の構成及び作用は、上述の第二実施例と同様
である為、同等部分には同一符号を付して、重複する説
明を省略する。尚、本実施例の様に、調節レバー29に
突片35を設ける構造は、前述した第一実施例に適用す
る事もできる。
【0028】次に、図7〜9は、請求項3に対応する、
本考案の第四実施例を示している。前述の第一〜第三実
施例は、各透孔20、20に嵌装するロック部材21、
21を互いに別体としていた。これに対して、本実施例
の場合は、連結板部37により、1対のロック部材2
1、21同士を互いに一体的に結合固定している。そし
て、調節レバー29により揺動させられる揺動板部31
の内側縁と前記連結板部37の中間部外側縁との間に、
図9に示す様な、断面が略H字形の揺動駒38を設けて
いる。本実施例の場合、前記揺動板部31と揺動駒38
とにより構成されるトグル機構30の伸縮により、前記
連結板部37により互いに連結されたロック部材21、
21によるインナーコラム6の押圧力が調節される。そ
の他の構成及び作用は、前述の第一実施例と同様である
為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省
略する。
【0029】
【考案の効果】本考案の伸縮式ステアリングコラム装置
は、以上に述べた通り構成され作用するが、調節レバー
の操作に伴なって摩擦し合う部分が少ない為、インナー
コラムを固定する際に、調節レバーを回動させる為に要
する操作力が大きくなったり、或は操作量が多くなった
り、更には操作を面倒にする事がなく、しかも操作する
際に節度感を得られる為、操作をする者にとっての感じ
が良くなる。
【0030】更に、軸方向に離隔した2個所位置に設け
られたロック部材によりインナーコラムを押圧するの
で、比較的軽い押圧力によってインナーコラムの固定を
確実に行なう事が出来、インナーコラムの剛性を特に高
くする必要がなくなる。この為、製作費の低廉化と軽量
化とを図れるだけでなく、ステアリングコラムの曲げ剛
性を高めて、ステアリングホイールが振動しにくくする
事も出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一実施例を示す要部断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本考案の第二実施例を示す要部断面図。
【図4】図3のB−B断面図。
【図5】本考案の第三実施例に使用する調節レバーの側
面図。
【図6】図5の右方から見た図。
【図7】本考案の第四実施例を示す要部断面図。
【図8】第四実施例に使用する、連結板部で連結された
1対のロック部材の斜視図。
【図9】同じく揺動駒の斜視図。
【図10】伸縮式ステアリングコラム装置とチルトステ
アリング装置とを組み込んだ、ステアリング装置の側面
図。
【図11】図10のC矢視図。
【図12】従来の伸縮式ステアリングコラム装置を示
す、図10のD−D断面に相当する図。
【符号の説明】
1 調節レバー 2 ステアリングコラム 3 ステアリングシャフト 4 調節レバー 5 アウターコラム 6 インナーコラム 7 玉軸受 8 スプライン係合部 9 ロックハウジング 10 ロック部材 11 シリンダ空間 12 連通開口 13 円弧状凹面 14 隔壁 15 螺子孔 16 ロック螺子 17 平面 18 ガイドピン 19 長孔 20 透孔 21 ロック部材 21a 内側面 21b 外側面 22 支持ハウジング 22a 固定部 22b 支持部 23 螺子孔 24 調整螺子 25 突起 26 座板 26a 凹孔 27 凹溝 28 凹溝 29 調節レバー 30 トグル機構 31 揺動板部 32 揺動駒 33 ロックナット 34 切り欠き 35 突片 36 折り曲げ部 37 連結板部 38 揺動駒

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが円筒状に形成され、互いにテ
    レスコープ状に組み合わされたアウターコラム及びイン
    ナーコラムと、前記アウターコラムの一部で軸方向に離
    隔した2個所位置に、周方向に亙る位相を互いに一致さ
    せて形成された1対の透孔と、これら各透孔の内側に嵌
    装されて、前記インナーコラムの外周面に突き合わされ
    た1対のロック部材と、前記1対の透孔の間位置に前記
    アウターコラムの外周面から突出する状態で設けられた
    門型の支持部と、この支持部の内面と前記1対のロック
    部材の外面との間に、これら1対のロック部材同士の間
    に掛け渡された状態で設けられた1組のトグル機構と、
    このトグル機構を伸縮させる調節レバーとから成り、こ
    のトグル機構は、互いに独立して設けられた前記1対の
    ロック部材と、前記調節レバーの基端部に前記軸方向に
    亙り設けられ、その中間部外側縁を前記支持部に揺動自
    在に支持した状態で、前記調節レバーにより揺動変位さ
    せられる1枚の揺動板部と、この揺動板部の両端部内側
    縁と前記各ロック部材との間に設けられ、それぞれの内
    端部をこれら各ロック部材に、それぞれの外端部を前記
    揺動板部の両端部内側縁に、それぞれ揺動変位自在に係
    合させた1対の揺動駒とから成るものである伸縮式ステ
    アリングコラム装置。
  2. 【請求項2】 それぞれが円筒状に形成され、互いにテ
    レスコープ状に組み合わされたアウターコラム及びイン
    ナーコラムと、前記アウターコラムの一部で軸方向に離
    隔した2個所位置に、周方向に亙る位相を互いに一致さ
    せて形成された1対の透孔と、これら各透孔の内側に嵌
    装されて、前記インナーコラムの外周面に突き合わされ
    た1対のロック部材と、前記1対の透孔の間位置に前記
    アウターコラムの外周面から突出する状態で設けられた
    門型の支持部と、この支持部の内面と前記1対のロック
    部材の外面との間に、これら1対のロック部材同士の間
    に掛け渡された状態で設けられた1組のトグル機構と、
    このトグル機構を伸縮させる調節レバーとから成り、こ
    のトグル機構は、互いに独立して設けられた前記1対の
    ロック部材と、前記調節レバーの基端部に前記軸方向に
    亙り設けられ、その両端部内側縁を前記各ロック部材に
    揺動自在に係合させた状態で、前記調節レバーにより揺
    動変位させられる1枚の揺動板部と、この揺動板部の中
    間部外側縁と前記支持部との間に設けられ、その内端部
    をこの揺動板部に、その外端部を前記支持部に、それぞ
    れ揺動変位自在に係合させた1個の揺動駒とから成るも
    のである伸縮式ステアリングコラム装置。
  3. 【請求項3】 それぞれが円筒状に形成され、互いにテ
    レスコープ状に組み合わされたアウターコラム及びイン
    ナーコラムと、前記アウターコラムの一部で軸方向に離
    隔した2個所位置に、周方向に亙る位相を互いに一致さ
    せて形成された1対の透孔と、これら各透孔の内側に嵌
    装されて、前記インナーコラムの外周面に突き合わされ
    た1対のロック部材と、前記1対の透孔の間位置に前記
    アウターコラムの外周面から突出する状態で設けられた
    門型の支持部と、この支持部の内面と前記1対のロック
    部材の外面との間に、これら1対のロック部材同士の間
    に掛け渡された状態で設けられた1組のトグル機構と、
    このトグル機構を伸縮させる調節レバーとから成り、こ
    のトグル機構は、連結板部により互いに一体的に結合固
    定された前記1対のロック部材と、前記調節レバーの基
    端部に前記軸方向に亙り設けられ、その外側縁を前記支
    持部に揺動自在に係合させた状態で、前記調節レバーに
    より揺動変位させられる1枚の揺動板部と、この揺動板
    部の内側縁と前記連結板部との間に設けられ、その内端
    部をこの連結板部に、その外端部を前記揺動板部に、そ
    れぞれ揺動変位自在に係合させた1個の揺動駒とから成
    るものである伸縮式ステアリングコラム装置。
JP1991024312U 1990-08-23 1991-03-20 伸縮式ステアリングコラム装置 Expired - Lifetime JP2590612Y2 (ja)

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JP1991024312U JP2590612Y2 (ja) 1991-03-20 1991-03-20 伸縮式ステアリングコラム装置
US07/749,300 US5148717A (en) 1990-08-23 1991-08-23 Telescopic steering column apparatus

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JPH04112168U JPH04112168U (ja) 1992-09-29
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2579159B1 (fr) * 1985-03-25 1987-06-26 Nacam Dispositif de reglage d'une colonne de direction d'un vehicule automobile pourvu de moyens de blocage a genouillere
JPS625495A (ja) * 1985-06-29 1987-01-12 日本信号株式会社 群管理自動券売機

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