JP2590130B2 - 被覆切削工具の製造方法 - Google Patents
被覆切削工具の製造方法Info
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- JP2590130B2 JP2590130B2 JP62208848A JP20884887A JP2590130B2 JP 2590130 B2 JP2590130 B2 JP 2590130B2 JP 62208848 A JP62208848 A JP 62208848A JP 20884887 A JP20884887 A JP 20884887A JP 2590130 B2 JP2590130 B2 JP 2590130B2
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- cutting tool
- coated cutting
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐摩耗性と共に靭性を必要とされるフライ
ス切削用被覆切削工具の製造方法を関するものである。
ス切削用被覆切削工具の製造方法を関するものである。
(従来の技術) 従来、フライス切削用の被覆工具はPVD法やCVD法によ
るものが用いられてきたが、前者は膜の密着強度の低さ
のため剥離、摩耗が目立ち、また後者は被膜直下の脆弱
な層の生成などの理由で欠損が目立ち、十分な性能を発
揮するに至っていない。そこで、これらの問題をクリア
すべく低温で被覆が可能なMT−CVD法が注目され始めて
おり、例えば特開昭62−44572号が知られている。
るものが用いられてきたが、前者は膜の密着強度の低さ
のため剥離、摩耗が目立ち、また後者は被膜直下の脆弱
な層の生成などの理由で欠損が目立ち、十分な性能を発
揮するに至っていない。そこで、これらの問題をクリア
すべく低温で被覆が可能なMT−CVD法が注目され始めて
おり、例えば特開昭62−44572号が知られている。
該特開ではTi(CN)膜の生成プロセスは次の(I)式
に従うとしている。
に従うとしている。
2TiCl4+2CH3CN+3H2→2Ti(CN)+6HCl+2CH3Cl …
(I) (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、該特開による被覆方法では、実際は被
覆温度が800℃以下になると、膜の密着強度が低下し、
十分な切削性能を発揮することができないのが現状であ
る。我々は該現象が次の2つの原因に寄因することをつ
きつめた。
(I) (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、該特開による被覆方法では、実際は被
覆温度が800℃以下になると、膜の密着強度が低下し、
十分な切削性能を発揮することができないのが現状であ
る。我々は該現象が次の2つの原因に寄因することをつ
きつめた。
原因1)被覆温度が低くなるに従って母材と皮膜間の物
質の相互拡散が著しく減少する。
質の相互拡散が著しく減少する。
原因2)炭窒素源として分解しやすい有機化合物を用い
ているため、反応式(I)に従う化学量論比での反応で
は系内のC濃度が高すぎ、実際は副生成物としてCH3Cl
が生成されず遊離炭素(F.C.)が被覆時に母材皮膜境界
に析出する。
ているため、反応式(I)に従う化学量論比での反応で
は系内のC濃度が高すぎ、実際は副生成物としてCH3Cl
が生成されず遊離炭素(F.C.)が被覆時に母材皮膜境界
に析出する。
この現象は被覆温度が低くなるほど顕著であり、被覆
温度の低下と共にF.C.析出量は増大する。
温度の低下と共にF.C.析出量は増大する。
上記に鑑み本発明はこのような問題点を解消するため
開発されたものである。
開発されたものである。
(問題点を解決するための手段) 即ち本発明の被覆切削工具の製造方法は、超硬合金ま
たはサーメット母材に周期律表のIV a族金属のハロゲン
化物と有機窒素化合物を化学蒸着法で反応させ、IV a族
金属の炭窒化物を被覆する際、被覆温度が550〜950℃あ
り、かつ母材中に遊離炭素(F.C.)が存在する母材を用
い、母材皮膜界面にF.C.の析出がないことを特徴とする
ものである。
たはサーメット母材に周期律表のIV a族金属のハロゲン
化物と有機窒素化合物を化学蒸着法で反応させ、IV a族
金属の炭窒化物を被覆する際、被覆温度が550〜950℃あ
り、かつ母材中に遊離炭素(F.C.)が存在する母材を用
い、母材皮膜界面にF.C.の析出がないことを特徴とする
ものである。
以下に詳細に本発明を詳述する。
前記した2つの原因による密着強度の低下を解決する
ための手段として発明者は鋭意考究の結果次のような結
論に達した。
ための手段として発明者は鋭意考究の結果次のような結
論に達した。
すなわち、最初よりF.C.を含有する母材を用いること
により、気相中のC成分固相F.C.の反応の平衡を左に
ずらすことにより気相中からのF.C.の析出量を低下させ
ることができる。
により、気相中のC成分固相F.C.の反応の平衡を左に
ずらすことにより気相中からのF.C.の析出量を低下させ
ることができる。
また、従来かような低温では母材表面での金属原子と
母材から拡散供給されるCとの反応によるTi(CN)皮膜
の形成は起こりにくく、これは母材中のC原子はすべて
他の元素との結合格子中に組み込まれており、この結合
手を断ち切って拡散するだけのエネルギーが、かような
低温では得られにくいからである。
母材から拡散供給されるCとの反応によるTi(CN)皮膜
の形成は起こりにくく、これは母材中のC原子はすべて
他の元素との結合格子中に組み込まれており、この結合
手を断ち切って拡散するだけのエネルギーが、かような
低温では得られにくいからである。
しかしながら、母材中にF.C.が存在する場合、このC
−C結合エネルギーは比較的小さく、C原子の移動度は
大であり、かような低温においても十分拡散し、気相中
のTi原子と皮膜を作り得るのである。
−C結合エネルギーは比較的小さく、C原子の移動度は
大であり、かような低温においても十分拡散し、気相中
のTi原子と皮膜を作り得るのである。
(作用) 以上述べた理由によりF.C.含有母材を用いることによ
り気相からのF.C.析出を押さえ、かつ母材−皮膜間の物
質拡散を促進させるという理由で、皮膜−母材間の密着
強度が著しく上昇し、従来のMT−CVD法では強い密着強
度が得られなかったような低温でも本法によれば十分な
密着強度の皮膜を得ることができる。
り気相からのF.C.析出を押さえ、かつ母材−皮膜間の物
質拡散を促進させるという理由で、皮膜−母材間の密着
強度が著しく上昇し、従来のMT−CVD法では強い密着強
度が得られなかったような低温でも本法によれば十分な
密着強度の皮膜を得ることができる。
このような低温化で被覆された被覆は超微粒化されて
おり、耐摩耗性特に靭性のすぐれた被覆切削工具とな
る。
おり、耐摩耗性特に靭性のすぐれた被覆切削工具とな
る。
なお、母材中のF.C.含有量xがx<0.01(wt%)の場
合、F.C.含有の効果が表われないことが経験的に分って
いる。なお、被覆温度は550℃未満では切削工具として
実用に耐える被覆膜と母材との接着強度が得られず、95
0℃を超えると通常のCVD法との差が認められないため好
ましくない。
合、F.C.含有の効果が表われないことが経験的に分って
いる。なお、被覆温度は550℃未満では切削工具として
実用に耐える被覆膜と母材との接着強度が得られず、95
0℃を超えると通常のCVD法との差が認められないため好
ましくない。
(実施例) 以下に本発明の実施例を述べる。
実施例1 各濃度のF.C.を含有したWC−Co基超硬合金を作製し、
これらを母材として、原料ガスとしてTiCl4,HfCl4,CH3C
N,H2を用い、CVD法にて650〜800℃にて反応させ2〜3
μmのTi(CN)被覆合金を得た。
これらを母材として、原料ガスとしてTiCl4,HfCl4,CH3C
N,H2を用い、CVD法にて650〜800℃にて反応させ2〜3
μmのTi(CN)被覆合金を得た。
これを以下の条件でフライス切削した。結果を第1表
に示す。
に示す。
被削材(JIS分類):SCM435,フライス用カッタボディ:
DPG4160R(住友電工型番),切削工具チップ型:SPMN422
(住友電工型番),切削速度V=406m/min,送りf=0.1
18mm/刃,切り込みd=2.0mm 実施例2 各濃度F.C.含有した(Ti,Ta,W)(CN)基サーメット
母材を作製し原料ガスとしてZrCl4,CH3(NH)2CH3,H2を
用い、CVD法にて750℃で反応させ、Zr(CN)を2〜3μ
m被覆した。これをV=150m/min,f=0.18mm/rev,d=2m
m,被削材SCM35,チップ型SNG432の条件で4溝靭性テスト
を行なった。結果を第2表に示す。
DPG4160R(住友電工型番),切削工具チップ型:SPMN422
(住友電工型番),切削速度V=406m/min,送りf=0.1
18mm/刃,切り込みd=2.0mm 実施例2 各濃度F.C.含有した(Ti,Ta,W)(CN)基サーメット
母材を作製し原料ガスとしてZrCl4,CH3(NH)2CH3,H2を
用い、CVD法にて750℃で反応させ、Zr(CN)を2〜3μ
m被覆した。これをV=150m/min,f=0.18mm/rev,d=2m
m,被削材SCM35,チップ型SNG432の条件で4溝靭性テスト
を行なった。結果を第2表に示す。
実施例3 WC−10%(Ti,Ta,Nb)CN−6%Coの組成でF.C.を0.04
wt%含有し、表面付近に脱β層(WCとCoのみからなる強
靭層)を20μm有する超硬合金チップ(型番SNMG432)
を母材として用い、この上に被覆層を生成したサンプル
A(TiCN(8μm)/母材)、サンプルB(Al2O3(1
μm)/TiCN(7μm)/母材)、サンプルC(TiCN
(7.5μm)/TiN(0.5μm)/母材)を作成した。この
ときのTi(CN)被覆層の生成は、原料ガスとしてTiC
l4、CH3CN、H2、N2を用い、950℃で行った。
wt%含有し、表面付近に脱β層(WCとCoのみからなる強
靭層)を20μm有する超硬合金チップ(型番SNMG432)
を母材として用い、この上に被覆層を生成したサンプル
A(TiCN(8μm)/母材)、サンプルB(Al2O3(1
μm)/TiCN(7μm)/母材)、サンプルC(TiCN
(7.5μm)/TiN(0.5μm)/母材)を作成した。この
ときのTi(CN)被覆層の生成は、原料ガスとしてTiC
l4、CH3CN、H2、N2を用い、950℃で行った。
また、比較の為に、上述と同組成ではあるが、F.C.を
含まない(F.C.=0.00wt%)超硬合金を母材とし、その
上にサンプルAと同条件で被覆層を生成させた比較サン
プルD(TiCN(8μm)/母材)を作成した。
含まない(F.C.=0.00wt%)超硬合金を母材とし、その
上にサンプルAと同条件で被覆層を生成させた比較サン
プルD(TiCN(8μm)/母材)を作成した。
これらのサンプルを用い、下に示す切削条件1、2で
旋削加工し、評価を行った。
旋削加工し、評価を行った。
切削条件1(耐欠損性評価) 被削材:SCM435(HB230)4溝材 切削速度:100m/min 送り:0.3mm/rev 切込み:2mm 切削油:なし (各8コーナーずつ加工し、各コーナーの欠損までの平
均時間で評価) 切削条件2(耐摩耗性評価) 被削材(JIS分類):SCr420(ブリネル硬度HB180)シャ
フト外径加工形 切削速度:170m/min 送り:0.35mm/rev 切込み:1.0mm 切削油:水溶性 加工数:100個(実切削時間25分) これらの結果を第3表に示す。この様に、本発明品で
は断続が厳しい旋削加工でもフライス加工の場合と同様
に優れた結果が得られている。
均時間で評価) 切削条件2(耐摩耗性評価) 被削材(JIS分類):SCr420(ブリネル硬度HB180)シャ
フト外径加工形 切削速度:170m/min 送り:0.35mm/rev 切込み:1.0mm 切削油:水溶性 加工数:100個(実切削時間25分) これらの結果を第3表に示す。この様に、本発明品で
は断続が厳しい旋削加工でもフライス加工の場合と同様
に優れた結果が得られている。
また、耐摩耗性についても、本発明品では、膜の剥離
がなく、これに起因する摩耗の進行が無いため、優れた
結果がえられている。
がなく、これに起因する摩耗の進行が無いため、優れた
結果がえられている。
(発明の効果) 以上述べた様に本発明によれば耐摩耗性と共に靭性の
優れた被覆切削工具が得られる。
優れた被覆切削工具が得られる。
Claims (1)
- 【請求項1】超硬合金またはサーメット母材に周期律表
のIV a族金属のハロゲン化物の有機窒素化合物を化学蒸
着法で反応させ、IV a族金属の炭窒化物を被覆する際、
被覆温度が550〜950℃でありかつ母材中に遊離炭素(F.
C.)が存在する母材を用い、母材−皮膜界面にF.C.の析
出がないことを特徴とする被覆切削工具の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62208848A JP2590130B2 (ja) | 1987-08-22 | 1987-08-22 | 被覆切削工具の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62208848A JP2590130B2 (ja) | 1987-08-22 | 1987-08-22 | 被覆切削工具の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6451231A JPS6451231A (en) | 1989-02-27 |
JP2590130B2 true JP2590130B2 (ja) | 1997-03-12 |
Family
ID=16563105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62208848A Expired - Fee Related JP2590130B2 (ja) | 1987-08-22 | 1987-08-22 | 被覆切削工具の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2590130B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2775955B2 (ja) * | 1990-01-31 | 1998-07-16 | 三菱マテリアル株式会社 | 耐摩耗性に優れたコーティングサーメットの製造法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS531112A (en) * | 1976-06-18 | 1978-01-07 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Multiple coated super hard alloy and its production |
JPS597349B2 (ja) * | 1977-03-18 | 1984-02-17 | 三菱マテリアル株式会社 | 被覆超硬合金工具 |
DE3431892C2 (de) * | 1984-08-30 | 1996-08-08 | Corning Glass Works | Matrize aus einem kohlenstoffarmen Stahl, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung |
JPS6244572A (ja) * | 1985-08-21 | 1987-02-26 | Hitachi Carbide Tools Ltd | 表面被覆工具 |
-
1987
- 1987-08-22 JP JP62208848A patent/JP2590130B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6451231A (en) | 1989-02-27 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |