JP2589638B2 - 蛍光x線分析方法および装置 - Google Patents

蛍光x線分析方法および装置

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JP2589638B2
JP2589638B2 JP34112092A JP34112092A JP2589638B2 JP 2589638 B2 JP2589638 B2 JP 2589638B2 JP 34112092 A JP34112092 A JP 34112092A JP 34112092 A JP34112092 A JP 34112092A JP 2589638 B2 JP2589638 B2 JP 2589638B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主として、シリコン
基板上に薄膜を有する試料の分析を行う蛍光X線分析方
法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体を製造する過程において、シリコ
ン基板からなるウエハの表面に、B(ボロン),P(リ
ン)およびSi(シリコン)を主成分とするBPSG膜
の層を形成する場合がある。このBPSG膜は、半導体
の小型化を図るために、可能な範囲で薄くしたいという
要望がある。
【0003】他方、かかる薄膜については、半導体の品
質管理の観点から、その組成と膜厚を測定する必要があ
る。この測定には、従来より、蛍光X線分析装置が用い
られている。上記シリコン基板上に 4,000Å〜 9,000Å
のBPSG膜を有する試料の分析装置の一例を図10に
示す。
【0004】図10において、試料2はシリコン基板2
aの表面にBPSG膜2bを有する。X線管1から出射
された一次X線B1は試料2の原子を励起して、試料2
を構成する元素固有の蛍光X線B2を発生させる。発生
した蛍光X線B2は、以下のように、第1、第2および
第3測定器30,40,50により測定される。
【0005】蛍光X線B2は、試料2から出射されて、
第1ソーラスリットまたはスリット3を通り、B,Pお
よびSi用の分光素子4B,4P,4Sに入射して、各
々、ブラッグの式を満足する所定の波長を有する蛍光X
線(B−Kα,P−KαおよびSi−Kα線)B3,B
4,B5が回折される。この回折された各蛍光X線B3
〜B5は、それぞれ、第2ソーラスリットまたはスリッ
ト5を通過してX線検出器6B,6P,6Sに入射す
る。各X線検出器6B,6P,6Sは、それぞれ、各蛍
光X線B3,B4,B5を検出し、検出出力eをアンプ
9を介して各波高分析器7B,7P,7Sに出力する。
各検出出力eは、波高分析器7B,7P,7Sで波高分
析されてノイズなどが除去された後、パルス信号pとし
て計数回路8B,8P,8Sに入力される。各計数回路
8B…8Sはパルス信号pをカウントして、X線の強度
信号x1…x3を演算器10に出力する。演算器10
は、各X線強度から、公知のファンダメンタルパラメー
タ法により試料2の組成と膜厚を分析する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、前述のよう
に、BPSG膜2bを薄くしたいという要望から、膜厚
が3,000Å以下、特に膜厚が 1,500Å〜 3,000Å程度の
試料2の分析を行う必要が生じた。そこで、この発明者
は上記装置により、その分析を行った。この場合、膜厚
が薄くなったのであるから、B(ボロン)のX線強度が
小さくなるべきところ、逆に、B−Kα線の測定強度が
大きくなるという現象を呈し、上記分析方法では、分析
を行えないことが判明した。
【0007】この発明は上記従来の問題に鑑みてなされ
たもので、その目的の1つは、シリコン基板の上に、膜
厚が 3,000Å以下で、かつ、ボロンを含有する薄膜を持
つ試料の分析を行うことができる蛍光X線分析方法を提
供することである。
【0008】ところで、この発明者は、膜厚が薄くなる
と上記B−Kα線の測定強度が逆に大きくなるという現
象について、研究を重ねた。その結果、Si−Lα線の
一部が分光素子4Bで全反射され、これがノイズとなっ
て表れていることを発見し、この発明を完成した。
【0009】以下、上記現象の生じる原因について説明
する。Si−Lα線はL殻の電子がたたき出されて発生
するもので、組成(元素の成分率)だけでなく、分子構
造の影響を大きく受けることから、薄膜2b中のSiの
酸化物からは殆ど発生せず、基板2aから発生する。一
方、Si−Lα線は、エネルギが極めて小さいことか
ら、薄膜2bが 4,000Å以上の場合には、Si−Lα線
の大部分が薄膜2bに吸収されるので試料2から出射さ
れない。しかし、薄膜2bが 3,000Å以下になると、通
常の蛍光X線分析では予期し得ないことであるが、薄膜
2bにおけるSi−Lα線の吸収が小さくなり、そのた
め、Si−Lα線の強度が大きくなる。
【0010】一方、分光素子は、素子の格子面間隙と波
長で定まる一定の角度でX線が入射したときだけ回折を
生じて、X線が効率良く反射されることを利用して、所
定の波長のX線を分光するものである。しかし、B−K
α線のような軟X線を検出する場合に用いる分光素子4
Bは、2種以上の物質を真空蒸着などで積層して形成し
た人工累積膜で構成されているので、表面が鏡面状態に
なっている。そのため、分光素子4Bの表面でエネルギ
の小さいSi−Lα線が全反射して、蛍光X線B3の一
部としてX線検出器6Bに入射する。つまり、B−Kα
線を回折する分光角度において、Si−Lα線の一部が
全反射され、上記B−Kα線およびSi−Lα線がX線
検出器6Bに入射する。
【0011】ここで、上記のように測定対象(B−Kα
線)以外の蛍光X線B3がX線検出器6Bに入射して
も、通常は波高分析器7Bにおいて次のように波高分析
を行うことにより選別される。つまり、波高分析器7B
は、図11(a)のように、比例増幅器70、上限選別
器71、下限選別器72および逆同時回路73を備えて
おり、図11(b)のように、電気ノイズnなどを含む
信号の中から、図11(c)のように、上限値と下限値
の間の所定の波高値を持つ信号のみを選別して、これを
図10の計数回路8Bに出力する。
【0012】しかし、B−Kα線とSi−Lα線の波高
値が近似しているうえ、これらの波高値にばらつきがあ
ることから、波高分析器7Bにおいて、B−Kα線のみ
を選別することができず、そのため、計数回路8BがS
i−Lα線の信号をも計数する。その結果、膜厚が極め
て薄い場合には、B−Kα線の見かけの測定強度が大き
くなるという現象を呈する。
【0013】ところで、全反射した蛍光X線がX線検出
器に入射する度合を小さくする方法としては、分光素子
よりも密度の小さい物質の層を、分光素子の表面上に形
成する方法が知られている(たとえば、特開昭61−8
9547号公報参照)。しかし、この先行技術は、全反
射する蛍光X線の分光角度に対する位相をずらすもの
で、そのため、全反射した蛍光X線の強度を十分に小さ
くすることができない。その結果、上記先行技術の分光
素子を用いても、今一つ分析精度が向上しない。
【0014】したがって、この発明の他の目的は、分光
素子の表面で全反射した測定対象以外の元素の蛍光X線
の強度を弱め、分析精度を向上させる蛍光X線分析方法
および装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、請求項1の発明方法は、シリコン基板の
上に、膜厚が 3,000Å以下で、かつ、ボロンを含有する
薄膜を持つ試料に一次X線を照射し、この試料からの蛍
光X線を分光素子に入射させ、この分光素子で全反射さ
れたSi−Lα線による測定誤差を減少させることによ
り、上記分光素子で回折されたB−Kα線のX線強度を
求める。この発明方法によれば、分光素子で全反射され
たSi−Lα線による測定誤差を減少させることができ
るから、ノイズの少ないB−Kα線のX線強度を求める
ことができる。
【0016】請求項2の発明方法は、第1および第2の
元素を含有する試料に放射線を照射し、この試料からの
蛍光X線を分光素子に入射させ第1の元素に関する蛍光
X線を回折させて、上記分光素子から出射された蛍光X
線を検出するとともに、上記分光素子で全反射された第
2の元素の蛍光X線に対応する蛍光X線のX線強度を測
定し、このX線強度に基づいて、上記全反射された蛍光
X線の成分を減算することで補正演算を行い、上記第1
の元素による蛍光X線の強度を求める。この発明方法に
よれば、第2の元素に関する全反射された蛍光X線の成
分を減算することで補正演算を行って、第1の元素によ
る蛍光X線の強度を求めるから、上記全反射の成分を十
分除去できるとともに、第1の元素に関する強いX線強
度を弱めることなく測定することができる。
【0017】請求項3の発明装置は、第1および第2の
元素を含有する試料の分析において、試料の第1元素に
関する蛍光X線を回折する分光素子からX線検出器まで
の光路に、上記分光素子で全反射された第2の元素に関
する蛍光X線を吸収するとともに第1の元素に関する蛍
光X線の透過性が良い吸収部材を設けている。この発明
装置によれば、第2元素に関する蛍光X線を吸収する吸
収部材を設けたので、全反射された蛍光X線の位相をず
らす従来の装置よりも、この全反射された蛍光X線の強
度を小さくすることができる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面にしたがって
説明する。以下の各実施例において、図10の従来例と
同一部分または相当部分には同一符号を付して、その詳
しい説明および図示を省略し、異なる点について主に説
明する。
【0019】図1はこの発明の第1実施例を示す。図1
において、試料2は、膜厚 3,000Å以下のBPSG膜2
bをシリコン基板2a上に有する。この実施例におい
て、上記図10の従来例と異なる点は、図1の試料2か
らのSi(第2の元素)に関するSi−Lα線B6の強
度を測定する第4測定器60と、補正手段20を設けた
ことである。
【0020】上記第4測定器60は、試料2からのSi−
Lα線B6を回折する分光素子64と、この分光素子64
からの蛍光X線B6を検出するX線検出器66と、波高
分析器67と、計数回路68とを備えている。上記波高
分析器67は、X線検出器66からの検出出力eを入力
とし、ノイズなどを除去したパルス信号pを計数回路6
8に出力する。この計数回路68は、パルス信号pをカ
ウントしてSi−Lα線(分光素子4Bで全反射された
Si−Lα線に対応する蛍光X線)B6のX線強度を測
定し、その強度信号x4を補正手段20に出力する。一
方、第1測定器30は、計数回路8Bから、Si−Lα
線の全反射の成分を含んだB−Kα線の強度信号x1を
補正手段20に出力する。
【0021】上記補正手段20は、第1および第4測定
器30,60からの強度信号x1,x4に基づき、B−
Kα線(B3)を回折する分光素子4Bにおいて全反射
されたSi−Lα線の成分を減算することで補正演算し
て、真の(ノイズの少ない)B−Kα線のX線強度を求
めるものである。なお、補正手段20は演算器10と共
にマイクロコンピュータ11で構成されている。
【0022】つぎに、上記構成によりB−Kα線(B
3)の強度を補正演算する方法について説明する。第4
測定器60は、図2の破線で示すSi−Lα線のスペク
トル(但し、図はシリコン基板2aの単独の場合のスペ
クトルを示す)の分光角度θS におけるX線強度IS
測定する。一方、第1測定器30は、実線で示すSi−
Lα線の全反射成分を含んだB−Kα線の分光角度θB
におけるX線強度IBSを測定する。このX線強度I
BSは、Si−Lα線の全反射の成分を含んでいるので、
一点鎖線で示す厚膜(膜厚が 4,000Å以上) の場合のス
ペクトルに比べ、大きくなっている。
【0023】そこで、膜厚および組成が既知の薄い(
3,000Å以下)BPSG膜2bを有する標準試料を用意
し、上記Si−Lα線のX線強度IS と、分光角度θB
におけるSi−Lα線の全反射によるX線強度IS1との
関係を予め求めることで、BPSG膜の薄い試料2にお
ける真のB−Kα線のX線強度IB と、上記X線強度I
BS,IS との関係を求める。この関係式は、たとえば、
下記の(1)式のようになる。 IB =IBS−(A1 ・IS +A2 ) …(1) IB :真のB−Kα線のX線強度 IBS:Si−Lα線の全反射成分を含んだB−Kα線の
分光角度θB におけるX線強度 IS :分光角度θS におけるSi−Lα線のX線強度 但し、An :定数
【0024】図1の補正手段20は、この(1)式に従
って、上記両計数回路68、8Bからの強度信号x4,
x1に基づいて、B−Kα線の真のX線強度IB を求め
る。つまり、補正手段20は、第1測定器30の分光素
子4Bで全反射されたSi−Lα線による測定誤差を減
少させることで、上記B−Kα線の真のX線強度IB
求める。上記補正手段20で求めた真のX線強度I
B は、強度信号x5として演算器10に入力される。演算
器10は、B−Kα線、P−Kα線およびSi−Kα線の
強度信号x5,x2,x3に基づいて、公知のファンダ
メンタルパラメータ法により回帰計算を行うことで、試
料2の膜厚と組成を演算する。
【0025】このように、この蛍光X線分析方法は、B
−Kα線用の分光素子4Bで全反射されたSi−Lα線
による測定誤差を減少させることにより、B−Kα線の
X線強度を求めるので、B−Kα線の真のX線強度IB
を計測できるから、膜厚が 3,000Å以下であっても、試
料2の分析を行うことができる。
【0026】また、この蛍光X線分析方法は、分光素子
4Bで全反射されたSi−Lα線(蛍光X線B3の一
部)に対応する蛍光X線B6のX線強度を測定し、さら
に、補正手段20によって、B−Kα線用の第1測定器
30で測定された蛍光X線B3の強度からSi−Lα線
の全反射の成分を減算するので、従来(前述の先行技
術:特開昭61−89547号)と異なり、全反射の成
分を正確に除去することができるとともに、測定元素の
X線強度が減衰しない。したがって、上記試料2に限ら
ず、他の試料を分析した場合にも、前述の先行技術に比
べ、分析精度が向上するという効果が得られる。
【0027】ところで、Si−Kα線は、分光素子4B
に入射した際に分光素子4Bの成分元素であるMoの原
子を励起して、Mo−Mx線を発生させる。したがっ
て、上記分光素子4Bで発生したMo−Mx線のX線強
度を第3測定器50で測定したSi−Kα線のX線強度
から演算して求め、第1測定器30で測定したX線強度
BSを上記Mo−Mx線の強度で補正すれば、分析精度
がより一層向上する。
【0028】なお、上記実施例では、第1、第2、第3
および第4測定器30…60をそれぞれ別の測定器で構
成したが、走査型とすることで、1つの測定器とするこ
とができる。つまり、分光素子およびX線検出器をゴニ
オメータで連動して回転させるとともに、波高分析器に
より分析する波高値の領域を可変にした多重波高分析器
を用いれば、第1、第2、第3および第4測定器のうち
の2つ〜4つを1つの測定器で構成することができる。
また、この場合において、各分光結晶64,4B,4
P,4Sを共用できないときは、分光結晶64,4B,
4P,4Sのみを自動的に交換する周知の構造としても
よい。
【0029】つぎに、図3に示す第2実施例について説
明する。図3の実施例において、上記図10の従来例と
異なる点は、一対の波高分析器37S,37Bおよび計
数回路38S,38Bを第1測定器30に設け、かつ、
補正手段20Aを設けたことである。
【0030】分光素子4Bは、従来と同じもので、試料
2からの蛍光X線B2を受けてB−Kα線(第1の元素
Bに関する蛍光X線)を回折するとともに、Si−Lα
線(第2の元素Siに関する蛍光X線)の一部を全反射
する。これらのB−Kα線およびSi−Lα線は、蛍光
X線B3としてX線検出器6Bで検出され、その検出出
力eが波高分析器37S,37Bに入力される。
【0031】上記2つの波高分析器37Sおよび37B
は、それぞれ、図4に示すように、近接した波高値の領
域A1,A2、つまり、ベースラインBL1〜BL2と
BL2〜BL3において波高分析を行い、図3のパルス
信号pを計数回路38Sおよび38Bに出力する。計数
回路38Sおよび38Bは、それぞれ、このパルス信号
pを計数して、補正手段20AにX線強度の強度信号x
7,x6を出力する。
【0032】ここで、補正手段20Aにおける補正の原
理について説明する。図4においてプロットで示すの
は、Si−Lα線の全反射の成分を含むB−Kα線の波
高値ごとのX線強度である。これらのX線強度は、ベー
スラインBL2の付近においては、一点鎖線で示すB−
Kα線と破線で示すSi−Lα線(全反射成分)の強度
を合成したものであり、したがって、B−Kα線および
Si−Lα線の各々の強度は未知である。しかし、領域
A1またはA2において得られるX線強度IA1,I
A2は、それぞれ、Si−Lα線またはB−Kα線のX線
強度を多く含んでおり、かつ、試料2の組成および膜厚
によって決定されるから、上記両X線強度IA1,IA2
ついて組成および膜厚との関係式が得られる。つまり、
2つの未知数であるSi−Lα線およびB−Kα線のX
線強度IS1, B について、連立方程式が得られる。し
たがって、これらの連立方程式とP−Kα線およびSi
−Kα線についての連立方程式に基づいて、ファンダメ
ンタルパラメータ法を用いて回帰計算を行うことによ
り、真のB−Kα線のX線強度IB を得る。
【0033】上記図3の補正手段20Aは、上記原理か
ら、つまり、両波高分析器37S,37Bの出力に基づい
て、B−Kα線用の分光素子4Bにおいて全反射されたS
i−Lα線の成分(第2元素Siに関する成分)を、見
かけのB−Kα線のX線強度から減算して、真のB−K
α線(第1の元素Bによる蛍光X線)の強度を求める。
【0034】この蛍光X線分析方法では、図4の全反射
されたSi−Lα線に対応する蛍光X線強度IA1(斜線
部)を測定し、このX線強度に基づいて、見かけのB−
Kα線の強度から、Si−Lα線の全反射の成分I
2S(斜線部)を減算することで補正演算を行い、ノイズ
の少ない(真の)B−Kα線の強度を求めるので、十分
に精度の高い分析を行うことができる。
【0035】なお、この実施例においても、図3の波高
分析器37S,38Bを多重波高分析器にしてもよい。
また、図4の波高値の領域A1,A2をベースラインB
L1,BL2およびBL3で区画したが、ベースライン
を4つ設けて、領域A1,A2を若干離してもよい。そ
の他の構成などは、上記第1実施例と同様であり、その
説明を省略する。
【0036】ところで、上記第1および第2実施例で
は、Si−Lα線のX線強度を測定して求めたが、この
発明では、Si−Lα線の強度を必ずしも測定する必要
はない。その方法の一例を図5の第3実施例に示す。
【0037】図5の第3実施例の機械的な構成は、図1
0の従来例と同様で、演算器10Aが補正手段20Bを
備えている点のみが異なっている。この第3実施例で
は、図5の第1、第2および第3測定器30,40,5
0により、それぞれ、Si−Kα線、P−Kα線、B−
Kα線の強度ISK(m) ,IP(m) ,IBs(m) を測定す
る。上記演算器10Aの補正手段20Bは、上記B−K
α線の見かけの測定強度IBs(m) からSi−Lα線によ
る測定誤差を減算するものである。以下、この演算器1
0Aの演算方法について説明する。
【0038】まず、演算器10Aは、Si02 ,P2
5 ,B2 3 の成分率について、各々、適当な濃度
S ,WP ,WB を与える(仮定する)とともに、膜厚
Tを与え(仮定し)て、これらの濃度、膜厚から、理論
X線強度式に基づいて、蛍光X線Si−Kα線、P−K
α線、B−Kα線およびSi−Lα線の理論強度I
SK(th),IP (th),IB (th)およびISL(th)を求め
る。ついで、たとえば下記の(2)式にしたがって、S
i−Lα線を含んでいる上記B−Kα線の測定強度IBS
(m) を上記Si−Lα線の理論強度ISL(th)に基づいて
補正し、補正したB−Kα線の強度IB 1を求める。 IB 1=IBS(m) −{A3 ・ISL(th)+A4 } …(2) 但し、An :定数(膜厚および組織が既知の標準資料を
用いて予め求める) この後、この強度IB 1および上記測定強度ISK(m) ,
P (m) が、それぞれ、上記理論強度IB (th), I
SK(th)およびIP (th)に一致するか否かを判断し、上
記測定強度と理論強度との差に基づいて新たに濃度
S ,WP ,WB および膜厚Tを与える。こうして、上
記計算を繰り返す周知のファンダメンタルパラメータ法
により、濃度WS ,WP ,WB および膜厚Tを算出す
る。
【0039】なお、この第3実施例によれば、従来と同
一の3つの測定器30,40,50を用い、演算器10
Aのプログラムなどを従来と変えるのみでよいという利
点がある。
【0040】図6、図7および図8は、それぞれ、第
4、第5および第6実施例を示す。これらの実施例で
は、以下に説明するように、B−Kα線用の分光素子4
B(図10)からX線検出器6Bまでの光路に、上記分
光素子4Bにおいて全反射されたSi−Lα線(第2の
元素Siに関する蛍光X線)を吸収するがB−Kα線の
透過性の良い吸収部材81…83を備えている点におい
て従来例と相違する。
【0041】図6の実施例では、第2のソーラスリット
5の前方に、たとえばポリプロピレンからなる吸収部材
81を設けて、全反射されたSi−Lα線の一部を吸収
させて、測定誤差を減少させている。
【0042】図7の実施例では、B−Kα線用のX線検
出器6Bにおける検出器窓材61のマイラ62の外表面
に、カーボンまたはボロンを蒸着させた吸収部材82を
設けて、全反射されたSi−Lα線の一部を吸収させ
て、測定誤差を減少させている。なお、検出器窓材61
は、ポリプロピレンからなるマイラ62と、このマイラ
の内側に蒸着された導電用Al薄63を有する。
【0043】図8の実施例では、B−Kα線用の分光素
子4Bの反射面4aに、分光素子4B自体を構成する元素
よりも密度が小さい元素からなる吸収部材83を設けて
いる。この吸収部材83としては、たとえば、分光素子
4BがMoの分光結晶で構成されている場合、 500Åの
厚さのカーボンを蒸着して形成する。
【0044】上記第4ないし第6実施例では、Si−L
α線を吸収するがB−Kα線の透過性に優れた吸収部材
81…83を設けたので、全反射される蛍光X線の位相
をずらす従来(前述の先行技術:特開昭61−8954
7号)の場合よりも、Si−Lα線のX線強度を小さく
することができる。したがって、これらの実施例は、試
料2(図1)に限らず他の試料にも適用できる。なお、
上記第4ないし第6実施例において、Si−Lα線の吸
収は、B−Kα線のX線強度に対し、Si−Lα線のX
線強度が10%以下になるように設定する。
【0045】図9は第7実施例を示す。この実施例で
は、分光結晶からなる分光素子4Bの表面4aを、アル
ゴンイオンによるスパッタリングで 500Å程度の粗度を
持つ粗面にしてある。この実施例は、蛍光X線B2を乱
反射させることで、Si−Lα線の全反射の成分を減少
させて、これによる測定誤差を減少させることにより、
B−Kα線のX線強度を求める。なお、この第7実施例
は、請求項1の発明に含まれるが、他の発明には含まれ
ない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明方
法によれば、シリコン基板上に、薄膜が 3,000Å以下
で、かつ、ボロンを含有する薄膜を持つ試料に一次X線
を照射し、分光素子で全反射されたSi−Lα線による
測定誤差を減少させることにより、B−Kα線のX線強
度を求めるので、ノイズの少ないB−Kα線のX線強度
を求めることができるから、薄膜が薄くても蛍光X線分
析を行うことができる。
【0047】また、請求項2の発明方法によれば、分光
素子で全反射された第2元素の蛍光X線に対応する蛍光
X線のX線強度を測定し、この第2の元素に関するX線
強度に基づいて、上記全反射された蛍光X線の成分を減
算することで補正演算を行って、第1の元素による蛍光
X線の強度を求めるから、上記全反射成分を十分に除去
することができるとともに、第1の元素に関する強いX
線強度を弱めることなく測定することができるので、分
析精度が高くなる。
【0048】また、請求項3の発明装置によれば、分光
素子からX線検出器までの光路に、上記分光素子で全反
射された第2元素に関する蛍光X線を吸収する吸収部材
を設けたので、全反射された蛍光X線の位相をずらす従
来の装置よりも、この全反射された蛍光X線の強度を小
さくすることができる。したがって、分析精度が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す蛍光X線分析装置
の概略構成図である。
【図2】分光角度に対するX線強度を示す特性図であ
る。
【図3】この発明の第2実施例を示す蛍光X線分析装置
の概略構成図である。
【図4】波高分析器で分析する波高値とX線強度との関
係を示す特性図である。
【図5】この発明の第3実施例を示す蛍光X線分析装置
の概略構成図である。
【図6】この発明の第4実施例を示す要部の概略構成図
である。
【図7】この発明の第5実施例の要部を示すX線検出器
の窓材を示す断面図である。
【図8】この発明の第6実施例の要部を示す分光素子お
よび吸収部材の側面図である。
【図9】この発明の第7実施例の要部を示す分光素子の
側面図である。
【図10】従来の蛍光X線分析装置の一例を示す概略構
成図である。
【図11】(a)は波高分析器の概略構成図、(b),
(c)は波高分析器の機能を示す特性図である。
【符号の説明】
1…X線管(放射線源)、2…試料、2a…シリコン基
板、2b…薄膜、4B…分光素子、6B…X線検出器、
81,82,83…吸収部材、B1…一次X線(放射
線)、B2…蛍光X線、B3…分光素子から出射された
蛍光X線。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板の上に、膜厚が 3,000Å以
    下で、かつ、ボロンを含有する薄膜を持つ試料に一次X
    線を照射し、この試料からの蛍光X線を分光素子に入射
    させ、この分光素子で回折されたB−Kα線の強度を測
    定することで、試料の分析を行う蛍光X線分析方法にお
    いて、 上記分光素子で全反射されたSi−Lα線による測定誤
    差を減少させることにより上記B−Kα線のX線強度を
    求めることを特徴とする蛍光X線分析方法。
  2. 【請求項2】 第1および第2の元素を含有する試料に
    放射線を照射し、この試料からの蛍光X線を分光素子に
    入射させて、第1の元素に関する蛍光X線を回折させ、
    上記分光素子から出射された蛍光X線をX線検出器で検
    出して試料の分析を行う蛍光X線分析方法において、 上記分光素子で全反射された第2の元素の蛍光X線に対
    応する蛍光X線のX線強度を測定し、このX線強度に基
    づいて、上記全反射された蛍光X線の成分を減算するこ
    とで補正演算を行って、上記第1の元素による蛍光X線
    の強度を求めることを特徴とする蛍光X線分析方法。
  3. 【請求項3】 第1および第2の元素を含有する試料に
    放射線を照射する放射線源と、上記試料からの第1元素
    に関する蛍光X線を回折する分光素子と、この分光素子
    からの蛍光X線を検出するX線検出器とを備え、上記試
    料の分析を行う蛍光X線分析装置において、 上記分光素子からX線検出器までの光路に、上記分光素
    子で全反射された第2の元素に関する蛍光X線を吸収す
    るとともに、第1の元素に関する蛍光X線の透過性が良
    い吸収部材を設けたことを特徴とする蛍光X線分析装
    置。
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