JP2589453B2 - 光磁気記録方法 - Google Patents

光磁気記録方法

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JP2589453B2 JP11738594A JP11738594A JP2589453B2 JP 2589453 B2 JP2589453 B2 JP 2589453B2 JP 11738594 A JP11738594 A JP 11738594A JP 11738594 A JP11738594 A JP 11738594A JP 2589453 B2 JP2589453 B2 JP 2589453B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体を使用
した重ね書き可能な光磁気記録方法、特に交換結合多層
膜を用いた光磁気記録媒体を使用した光磁気記録方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】消去可能な光ディスクメモリとして光磁
気ディスクが知られている。光磁気ディスクは、従来の
磁気ヘッドを使った磁気記録媒体と比べて高密度記録、
非接触での記録再生などが可能であるという長所がある
反面、記録前に一度記録部分を消去しなければならない
(一方向に着磁しなければならない)という欠点があっ
た。この欠点を補う為に、記録再生用ヘッドを消去用ヘ
ッドを別々に設ける方式、あるいは、レーザーの連続ビ
ームを照射しながら、同時に印加する磁場を変調しなが
ら記録する方式などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は、装置が大がかりとなり、コスト高になる欠点あるい
は高速の変調が出来ないなどの欠点を有していた。
【0004】これらの欠点を除去し、重ね書き(オーバ
ーライト)を可能とする光磁気記録方式を本出願人は昭
和61年8月11日付け特願昭61−158787号で
提案した。この光磁気記録方式は、低いキュリー点(T
L )と高い保磁力(HH )を有する第1磁性層と、この
磁性層に比べて相対的に高いキュリー点(TH )と低い
保磁力(HL )を有する第2磁性層からなる二層構造の
垂直磁化膜を基板上に有して成る光磁気記録媒体を使用
して、特定の2値の記録を行なうことを特徴とする記録
方式である。
【0005】上述の記録方式における第1種の記録及び
第2種の記録を安定に行なうため、該方式を使用する光
磁気記録媒体が、次の式を満たす特性を、もつことが必
要であることはわかっていた。(詳細は特願昭61−1
58787号参照)
【0006】
【数2】 (HH は第1磁性層の保磁力、HL は第2磁性層の保磁
力、σwは第1磁性層と第2磁性層間の磁壁エネルギ
ー、Msは第2磁性層の飽和磁化、hは第2磁性層の膜
厚を示す。)そして、本発明者等が引き続き研究した結
果によれば、特に第1磁性層と第2磁性層の間の磁壁エ
ネルギーを制御して、上式を満たすようにしなければな
らないことがわかった。磁壁エネルギーを調整する一つ
の方法として、第1磁性層を形成した後、第2磁性層を
形成する前、高真空中に数時間〜数日放置する方法があ
る。この方法において、適正な放置時間は成膜装置によ
り異なるが、最も大きな問題は媒体の製作に時間がかか
りすぎるという点である。
【0007】また更に、その様な方法にて磁壁エネルギ
ーを調整した媒体においては、熱の影響によって調整さ
れた磁壁エネルギーが変化し易いという問題もある。そ
の結果、その様な媒体を使用した記録方法では、長時間
安定な記録を行なえないという問題があった。
【0008】本発明は上述の欠点を除去し、重ね書き可
能で且つ短時間に容易に作成できる光磁気記録媒体を使
用し、長時間安定な記録を行なえる光磁気記録方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく様々な層構成及び媒体作製法について研究を重
ねた結果、第1の磁性層と第2の磁性層の間に調整層を
設けることが、磁壁エネルギーの調整と媒体の作製効率
の向上とに極めて有効であり、かつ長時間安定な記録が
可能になることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、基板上に希土類と遷移
金属合金からなる第1磁性層と第2磁性層とが少なくと
も積層されており、該両磁性層が交換結合して、かつ前
記第1磁性層の磁化を反転させることなく前記第2磁性
層の磁化のみを一方向に磁化可能な光磁気記録媒体であ
って、該両磁性層間の磁壁エネルギーを調整するための
調整層が、該両磁性層の間に設けられており、これによ
って下式
【0011】
【数3】 (HH は第1磁性層の保磁力、HL は第2磁性層の保磁
力、σwは第1磁性層と第2磁性層間の磁壁エネルギ
ー、Msは第2磁性層の飽和磁化、hは第2磁性層の膜
厚を示す)を満たしている光磁気記録媒体を使用して、
次の二値の記録を行なうことを特徴とする記録方法であ
る。
【0012】(a) 保磁力HH の第1磁性層の磁化の
向きを反転させることなく、保磁力HL の第2磁性層を
一方向に磁化させ、(b) 次に、記録ヘッドにより、
バイアス磁界を印加すると同時に第1磁性層のキュリー
点付近まで該媒体が昇温するだけのレーザーパワーを照
射することにより、第2磁性層の磁化の向きを変えない
まま第1磁性層の磁化の向きを第2磁性層に対して安定
な向きにそろえる第1種の予備記録か、バイアス磁界を
印加すると同時に第2磁性層のキュリー点付近まで該媒
体が昇温するだけのレーザーパワーを照射することによ
り、第2磁性層の磁化の向きを反転させて、同時に第1
磁性層を第2磁性層に対して安定な向きに磁化する第2
種の予備記録かを、信号に応じて実施する二値の記録。
【0013】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明
する。まず、図5に特願昭61−158787号で提案
した光磁気記録媒体の一例を示す。
【0014】この光磁気記録媒体は、プリグルーブが設
けられた透光性の基板1上に、第1の磁性層2と第2の
磁性層3が積層されたものである。第1磁性層2は低い
キュリー点(TL )と高い保磁力(HH )を有し、第2
磁性層3は、高いキュリー点(TH )と低い保磁力(H
L )を有する。ここで「高い」、「低い」とは両磁性層
を比較した場合の相対的な関係を表わす(保磁力は室温
における比較)。ただし、通常は第1磁性層2のTL
70〜180℃、HH は、3〜10KOe、第2磁性層
3のTH は150〜400℃、HL は0.5〜50KO
e程度の範囲内である。この媒体は下記式を満たすよう
に形成されていた。
【0015】
【数4】 各磁性層の材料には、GdCo,GdFe,TbFe,
DyFe,GdTbFe,TbDyFe,GdFeC
o,TbFeCo,GdTbCo等の希土類元素と遷移
金属元素との非晶質磁性合金が好ましい。
【0016】また、MnBi,CoCrの多結晶系、ガ
ーネット系等も利用できる。
【0017】本発明は上述したような光磁気記録媒体の
第1磁性層と第2磁性層の間に調整層を設け、この層に
よって磁壁エネルギーを調整し、媒体が上式を満たすよ
うにしたものを使用する方法である。
【0018】調整層の材料としては、磁性層を劣化させ
ない材料の中から選べばよく、例えば、Ti,Cr,A
l,Ni,Fe,Co,希土類、希土類フッ化物が好適
である。
【0019】この短時間に形成できる調整層によって、
光磁気記録媒体は、前記の式を満たすような特性を容易
に備えることができる。ただし、第1,第2磁性層の材
料や膜厚により、この調整層をどの程度の膜厚にすれば
よいかは変わってくるので、調整層の膜厚は適宜選べば
よい。普通は5〜50Åの範囲内から選べばよい。
【0020】かかる本発明の光磁気記録媒体の実施態様
は図1,図2に示す。これらの図において、4が調整層
を示す。
【0021】両媒体のうち、図2に示すものは、実用性
を向上するためトラッキング溝のある透光性基板1を用
い、更に保護層5,6を設けた構造を示している。(番
号1〜3の示すものは既出)次に、この様な光磁気記録
媒体を使用した本発明の方法による二値の記録を、図4
を参照しつつ説明する。
【0022】(イ)まず、例えば図4(a)のような磁
化状態にある上記媒体(図3の35)に対して、記録用
ヘッド31と異なる場所で磁性発生手段34により、保
磁力HL の第2磁性層を一方向に磁化させるのに充分で
保磁力HH の第1磁性層の磁化の向きを反転させること
のない大きさの磁界Bを加える(こうすると図4(b)
の状態になる)。
【0023】(ロ)次に、この媒体35を回転させ図4
(b)の状態になった地点に、記録ヘッド31により、
バイアス磁界を印加すると同時に、低いキュリー点(T
L )付近まで該媒体35が昇温するだけのレザーパワー
を、照射することにより、第2磁性層の磁化の向きを変
えないまま第1磁性層の磁化の向きを第2磁性層に対し
て安定な向きにそろえる第1種の予備記録か、バイアス
磁界を印加すると同時に高いキュリー点(TH )付近ま
で該媒体35が昇温するだけのレザーパワーを照射する
ことにより、第2磁性層の磁化の向きを反転させて同時
に第1磁性層も第2磁性層に対して安定な向きに磁化す
る第2種の予備記録かを、信号に応じて実施する(第1
種の予備記録により図4(b)のいずれの状態からも図
4(c)の状態になり、第2種の予備記録により図4
(b)のいずれの状態からも図4(d)の状態にな
る)。
【0024】(ハ)次に、該媒体35を回転させて、予
備記録されたビットを、磁界発生手段34による前記磁
界Bを通過させることにより、第1種の予備記録により
形成されたビット(c)については磁化の向きをそのま
ま変化させず(第1種の記録の完了、即ち第4図(e)
の状態にすること)、第2種の予備記録により形成され
たビット(d)については第2磁性層の磁化の向きだけ
を前記磁界Bと同方向に反転させる(第2種の記録完
了、即ち図4(f)の状態にすること)。この様な二値
の記録により、重ね書き(オーバーライト)が可能とな
る。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0026】<実施例1>3元のターゲット源を備えた
スパッタ装置内に、プリグルーブ、プリフォーマット信
号の刻まれたポリカーボネート製のディスク状基板を、
ターゲットとの間の距離10cmの間隔にセットし、回
転させた。
【0027】アルゴン中で、第1のターゲットより、ス
パッタ速度100Å/min、スパッタ圧5×10-3
orrでZnSを保護層として1000Åの厚さに設け
た。次にアルゴン中で、第2のターゲットよりスパッタ
速度100Å/min、スパッタ圧5×10-3Torr
でTbFe合金をスパッタし、膜厚500 、TL =約
140℃、HH =約5KOeのTb18Fe82の第1磁性
層を形成した。
【0028】次にアルゴン中でスパッタ圧5×10-3
orrでCoを調整層として10の厚さに成膜した。そ
の後アルゴン中でスパッタ圧5×10-3Torrで第2
と第3のターゲットによりTbFeとCoとを同時スパ
ッタし、膜厚約200Å、TH 約250℃、HL 約2K
OeのTb15Fe68Co17の第2磁性層を形成した。
【0029】次にアルゴン中で第1のターゲットよりス
パッタ速度100Å/min、スパッタ圧5×10-3
orrで、ZnSを保護層として3000Åの厚さに設
けた。
【0030】次に上記の膜形成を終えた基板を、ホット
メルト接着剤を用いて、ポリカーボネートの貼り合わせ
用基板を貼り合わせ光磁気ディスクを作成した。この光
磁気ディスクを記録再生装置にセットし、2.5KOe
の磁界発生部を、線速度約8m/secで通過させつ
つ、約1.5μに集光した830mmの波長のレーザー
ビームを50%のデューティで2MHzで変調させなが
ら、4mWと8mWの2値のレーザーパワーで記録を行
なった。バイアス磁界は100 Oeであった。その後
1.5mWのレーザーパワーを照射して再生を行なった
ところ、2値の信号の再生ができた。
【0031】次に上記の記録を行なった後の光磁気ディ
スクに記録周波数を1.5MHzに変えて上記と同様の
方法で記録を行なった。この結果、前に記録された信号
成分を検出されず、オーバーライトが可能であった。
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、前記の要件
を満たす交換結合している第1磁性層と第2磁性層とを
有する光磁気記録媒体において、該両磁性層間に調整層
を設けることにより、オーバーライト可能な光磁気記録
媒体を短時間で容易に作成することが可能になり、同時
に長時間安定な記録を行なえる光磁気記録方法の提供が
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する光磁気記録媒体の一実施態様
を示す図である。
【図2】本発明で使用する光磁気記録媒体の一実施態様
を示す図である。
【図3】本発明の記録方法を説明するための図である。
【図4】本発明の記録方法を説明するための図である。
【図5】本出願人が以前特開昭61−158787号で
提案した記録媒体の一例を示す図である。
【符号の説明】
2,3 磁性層 4 調整層 5,6 保護層 31 記録再生用ヘッド 32 記録信号発生器 35 光磁気ディスク

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に希土類と遷移金属合金からなる
    第1磁性層と第2磁性層とが少なくとも積層されてお
    り、該両磁性層が交換結合して、かつ前記第1磁性層の
    磁化を反転させることなく前記第2磁性層の磁化のみを
    一方向に磁化可能な光磁気記録媒体であって、 該両磁性層間の磁壁エネルギーを調整するための調整層
    が、該両磁性層の間に設けられており、これによって下
    式 【数1】 (HH は第1磁性層の保磁力、HL は第2磁性層の保磁
    力、σwは第1磁性層と第2磁性層間の磁壁エネルギ
    ー、Msは第2磁性層の飽和磁化、hは第2磁性層の膜
    厚を示す)を満たしている光磁気記録媒体を使用して、
    次の二値の記録を行なうことを特徴とする記録方法。 (a) 保磁力HH の第1磁性層の磁化の向きを反転さ
    せることなく、保磁力HL の第2磁性層を一方向に磁化
    させ、 (b) 次に、記録ヘッドにより、バイアス磁界を印加
    すると同時に第1磁性層のキュリー点付近まで該媒体が
    昇温するだけのレーザーパワーを照射することにより、
    第2磁性層の磁化の向きを変えないまま第1磁性層の磁
    化の向きを第2磁性層に対して安定な向きにそろえる第
    1種の予備記録か、バイアス磁界を印加すると同時に第
    2磁性層のキュリー点付近まで該媒体が昇温するだけの
    レーザーパワーを照射することにより、第2磁性層の磁
    化の向きを反転させて、同時に第1磁性層を第2磁性層
    に対して安定な向きに磁化する第2種の予備記録かを、
    信号に応じて実施する二値の記録。
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