JP2555272B2 - 光磁気記録再生方法 - Google Patents

光磁気記録再生方法

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JP2555272B2 JP6117383A JP11738394A JP2555272B2 JP 2555272 B2 JP2555272 B2 JP 2555272B2 JP 6117383 A JP6117383 A JP 6117383A JP 11738394 A JP11738394 A JP 11738394A JP 2555272 B2 JP2555272 B2 JP 2555272B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気カー効果を利用し
て読出しすることのできるキュリー点書込みタイプの光
磁気記録媒体を使用した、重ね書き記録可能な光磁気記
録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】消去可能な光ディスクメモリとして光磁
気ディスクが知られている。光磁気ディスクは、従来の
磁気ヘッドを使った磁気記録媒体と比べて高密度記録、
非接触での記録再生などが可能であるという長所がある
反面、記録前に一度記録部分を消去しなければならない
(一方向に着磁しなければならない)という欠点があっ
た。この欠点を補う為に、記録再生用ヘッドと消去用ヘ
ッドを別々に設ける方法、あるいは、レーザーの連続ビ
ームを照射しながら、同時に印加する磁場を変調しなが
ら記録する方法などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は、装置が大がかりとなり、コスト高になる欠点あるい
は高速の変調が出来ないなどの欠点を有する。
【0004】本発明は、上述従来例の欠点を除去し、従
来の装置構成に簡易な構造の磁界発生手段を付設するだ
けで磁気記録媒体と同様な重ね書き(オーバーライト)
を可能とした、光磁気記録再生方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の光磁気記録再生
方法は、キュリー点T1と保磁力H1を有する第1磁性層
と、キュリー点T2と保磁力H2を有する第2磁性層とか
らなる交換結合している二層構造の垂直磁化膜を基板上
に有し、前記第1磁性層の磁化を反転させることなく前
記第2磁性層のみを一方向に磁化可能で、かつ、次の条
件、 (A) 第2磁性層の飽和磁化をMs2、その膜厚をh2、二
つの磁性層間の磁壁エネルギーをσwとすると、
【0006】
【数2】 (B) 第1磁性層の補償温度をT1COMP、第2磁性層の補
償温度をT2COMPとすると、 T1COMP < 室温 < T2COMP < T1 <T2 、 を満たす光磁気記録媒体を使用し、次の二値の記録過程
および再生過程、(a) 保磁力H1の第1磁性層の磁化の
向きを反転させることなく、保磁力H2の第2磁性層を
一方向に磁化させ、(b) 次に、記録ヘッドにより、バイ
アス磁界を印加すると同時に第2磁性層の補償温度(T
2COMP)付近までの前記媒体が昇温するだけの第1のレ
ーザーパワーを照射し、前記補償温度付近で第2磁性層
の磁化の向きを変えないまま第1磁性層の磁化の向きを
第2磁性層に対して安定な向きに揃える第1種の記録
か、バイアス磁界を印加すると同時に第1のレーザーパ
ワーよりも強い第2のレーザーパワーを照射することに
より、第2磁性層の磁化の向きを反転させて、同時に第
1磁性層を第2磁性層に対して安定な向きに磁化する第
2種の記録を、信号に応じて実施し、前記第1磁性層に
前記信号に応じた記録ビットを形成する記録過程と、
(c) 前記第1のレーザーパワーより弱く、前記媒体を第
2の磁性層の補償温度T2COMP以下の温度までしか昇温
させることのない第3のレーザーパワーを照射すること
により、前記第1の磁性層に形成された前記記録ビット
を再生する再生過程、を行なうことを特徴とする。
【0007】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明
する。
【0008】図1(a),(b)は各々本発明の光磁気記録再
生方法に使用される光磁気記録媒体の一実施例を示す模
式断面図である。図1(a)の光磁気記録媒体は、プリグ
ルーブが設けられた透光性基板1上に、第1磁性層2と
第2磁性層3が積層されたものである。第1磁性層2は
キュリー点T1と保磁力H1を有し、第2磁性層3はキュ
リー点T2と保磁力H2を有する。ここで、T1<T2であ
り、H1>H2である(H1,H2は常温での値である)。
【0009】ただし、通常は、第1磁性層2のT1は7
0〜400℃、H1は3〜10kOe、第2磁性層3の
2は150〜400℃、H2は0.5〜2kOe程度の
範囲内から選択するとよい。
【0010】本発明の光磁気記録再生方法では、光磁気
記録媒体の第1磁性層2が主に再生に関与する。すなわ
ち、第1磁性層2が呈する磁気光学効果が主に再生に利
用され、第2磁性層3は記録に重要な役割りを果たす。
【0011】一方、従来の光磁気記録方法においては、
交換結合二層膜では、逆に、低いキュリー点と高い保磁
力H1とを有する磁性層は主に記録に関与し、高いキュ
リー点と低い保磁力H2とを有する磁性層が主に再生に
関与した。かかる従来の交換結合二層膜では、後者の磁
性層の飽和磁化Msと、膜厚hと、二層間の磁壁エネル
ギーσwの間に、次の様な関係があるのが望ましかっ
た。
【0012】
【数3】 しかし、本発明に使用する記録媒体の交換結合二層膜で
は、第2磁性層3の飽和磁化Ms2と膜厚h2と、二層間
の磁壁エネルギーσwの間に、次の関係が必要である。
【0013】
【数4】 この理由については後に詳述するが、簡単に言えば、記
録によって最終的に完成されるビットの磁化状態(図2
(f)に示す)を安定にするためである。したがって、両
磁性層2,3は上記の関係式を満たすように各層の実効
的バイアス磁界、膜厚、保磁力、飽和磁化の大きさ、磁
壁エネルギーなどを設定すればよい。
【0014】また、本発明に使用される光磁気記録媒体
では、第1磁性層の補償温度T1COM P、第2磁性層の補
償温度T2COMP、T1、T2の間に、 T1COMP < 室温 < T2COMP < T1 <T2 の関係がある。この際、T2COMPは通常50〜180℃
程度の範囲内とするとよい(このような関係に設定した
理由についても後に述べる)。
【0015】なお、両磁性層2,3は、記録時の実効的
バイアス磁界の大きさ、あるいは二値の記録ビットの安
定性などを考えると、交換結合をしていることが望まし
い。
【0016】各磁性層の材料には、垂直磁気異方性を示
しかつ磁気光学効果を呈するものが利用できるが、Gd
Co,GdFe,TbFe,DyFe,GdTbFe,Tb
DyFe,GdFeCo,TbFeCo,GdTbCo,G
dTbFeCo等の希土類元素と遷移金属元素との非晶
質磁性合金が好ましい。
【0017】図1(b)において、4,5は両磁性層2,3
の耐久性を向上させるためのあるいは光磁気効果を向上
させるための保護膜である。
【0018】6は、貼り合わせ用基板7を貼り合わすた
めの接着層である。貼り合わせ用基板7にも、2から6
までの層を積層し、これを接着すれば表裏で記録・再生
が可能となる。
【0019】以下、図2〜図4を用いて記録の過程を示
すが、記録前、両磁性層2と3の磁化の安定な向きは平
行(同じ向き)でも反平行(逆方向)でも良い。図2で
は磁化の安定な向きが平行な場合について説明する。
【0020】図3の35は、上述したような構成を有す
る光磁気ディスクである。例えば、この磁性層のある一
部の磁化状態が初め図2(a)のようになっているとす
る。光磁気ディスク35はスピンドルモータにより回転
して、磁界発生部34を通過する。このとき、磁界発生
部34の磁界の大きさを両磁性層2と3の保磁力の間の
値に設定すると(磁界の向きは本実施例では上向き)、
図2(b)に示す様に第2磁性層3は一様な方向に磁化さ
れ、一方、第1磁性層2の磁化は初めのままである。次
に光磁気ディスク35が回転して記録・再生ヘッド31
を通過するときに、記録信号発生器32からの信号に従
って、2種類(第1種と第2種)のレーザーパワー値を
持つレーザービームのうち、どちらかをディスク面に照
射する。
【0021】第1種のレーザーパワーは該ディスクを第
2磁性層3の補償温度付近(T2COM Pに近い温度で第1
磁性層2の磁化の向きを均一に第2磁性層の磁化の向き
に対して安定な方向に配列可能な温度)まで昇温するだ
けのパワーであり、第2種のレーザーパワーは該ディス
クを第2磁性層のキュリー点温度付近(T2に近い温度
で第2磁性層3の磁化の向きを均一に反転可能な温度)
まで昇温可能なパワーである。すなわち、両磁性層2,
3の保磁力と温度との関係の概略を示した図4におい
て、第1種のレーザーパワーはT2COMP付近、第2種の
レーザーパワーはT2付近までディスクの温度を上昇で
きる。
【0022】第1種のレーザーパワーにより第1磁性層
2は、第2磁性層の補償温度付近まで昇温するが第2磁
性層3はこの温度でビットが安定に存在する大きな保磁
力を有しているので記録時のバイアス磁界を適正に設定
しておくことにより、図2(b)のいずれからも図2(c)の
様な記録ビットが形成される(第1種の予備記録)。
【0023】バイアス磁界を適正に設定するとは、次の
ような意味である。すなわち、第1種の予備記録では、
第2磁性層3の磁化の向きに対して安定な向き(ここで
は同じ方向)に第1磁性層2の磁化が配列する力(交換
力)を受けるので、本来はバイアス磁界は必要でない。
しかし、バイアス磁界は、後述する第2種のレーザーパ
ワーを用いた予備記録では、第2磁性層3の磁化反転を
補助する向き(すなわち、第1種の予備記録を妨げる向
き)に設定される。そして、このバイアス磁界は、第1
種、第2種どちらのレーザーパワーの予備記録でも、大
きさ、方向を同じ状態に設定しておくことが便宜上好ま
しい。
【0024】かかる観点から、バイアス磁界は、次記に
示す原理による第2種のレーザーパワーの予備記録に必
要最小限の大きさに、設定しておくことが好ましく、こ
れを考慮した設定が前でいう適正な設定である。
【0025】このビット(c)を形成する第1種の予備記
録について、磁性層の最適化には次のことが必要にな
る。
【0026】第1磁性層の飽和磁化の大きさをMs1、膜
厚をh1とすると(前述したように、第2磁性層3の飽
和磁化はMs2、膜厚はh2、二磁性層間の磁壁エネルギ
ーはσw)、第1、第2磁性層に働く交換力の大きさ
(順にH1eff、H2eff)はそれぞれ、 H1eff = σw/2Ms12 , H2eff = σw/2Ms22 と表わせる。
【0027】図2において、第1種の予備記録の前の状
態(b)のうち、第1、第2磁性層の磁化が平行の状態で
は、それぞれの磁性層の状態が交換力によって安定化さ
れ、第1磁性層の磁化を反転させるためには、H1'+H
1eff'(ただし、H1'とH1eff'は、ある温度tにおける
第1磁性層の保磁力と第1磁性層に働く交換力を示す。
両者ともに温度tの関数になる。)の磁界が必要であ
り、第2磁性層の磁化を反転させるためには、H2'+H
2eff'(ただし、H2'とH2eff'は、ある温度tにおける
第2磁性層の保磁力と第2磁性層に働く交換力を示す。
両者ともに温度tの関数になる。)の磁界が必要であ
る。このため多少のバイアス磁界がどちらの方向にかか
っていても、安定に予備記録によりビット(c)が形成さ
れる。
【0028】ところが、図2における状態(b)のうち、
第1、第2磁性層の磁化が反平行の状態では、それぞれ
の磁性層は、交換力によってその磁化が反転するように
しむけられている。これに起因して次の(イ)、(ロ)
のようなことになる。
【0029】(イ)第1種の予備記録時に、磁性層の温
度がT2COMP 付近まで上昇したとき、もしも、 H1'−H1eff' = H1'−σw/2Ms11 < 0 となれば、第1磁性層の磁化が反転し、第2磁性層の磁
化に対して安定な向きに配列し、第1種の予備記録が完
了する。ところが、 (ロ)もし第1磁性層の磁化が反転する前に、 H2'−H2eff' = H2'−σw/2Ms22 < 0 となれば、第2磁性層の磁化が第1磁性層の磁化に対し
て安定な向きに配列し、第1磁性層の磁化を反転させる
必要のある第1種の予備記録は不能になってしまう。
【0030】よって、できるだけH2'、ひいてはH2
大きいことが好ましいが、第2磁性層は磁界発生部34
で一様な方向に磁化する必要があるので、室温において
せいぜい2kOe程度までしか大きくできない。
【0031】そこで、第2磁性層は室温以上に補償温度
2COMPをもち、このT2COMPの温度付近で第2磁性層の
保磁力H2'が充分大きくなったときに第1磁性層の磁化
が反転するように、つまり、 H1'−H1eff' = H1'−σw/2Ms11 が負になるように、H1、σw、Ms1、h1の条件を調整
すればよい。なお、H1ef f'=σw/2Ms11は、第1
磁性層のキュリー点T1以上ではゼロなので、第1種の
記録を行なう温度T2COMPは、第1磁性層のキュリー点
1よりも低いことが望ましい。
【0032】一方、第1種の記録の条件はH1'−
1eff'<0であり、H1'は温度上昇したときにすみや
かに減少した方が良い。そこで、第1磁性層の補償温度
1COMPは、室温以下であることが望ましい。
【0033】一方、第2種のレーザーパワーにより、第
2磁性層3のキュリー点温度近くまで昇温させる(第2
種の予備記録)と、上述のように設定されたバイアス磁
界により第2磁性層3の磁化の向きが反転する。続い
て、室温まで冷却される過程において、第1磁性層2の
磁化も第2磁性層3に対して安定な向き(ここでは同じ
方向)に配列する。すなわち、図2(b)のいずれからも
図2(d)のような記録ビットが形成される。
【0034】このように、バイアス磁界と、信号に応じ
て変わる第1種及び第2種のレーザーパワーとによっ
て、光磁気ディスクの各箇所は図2(c)か(d)の状態に予
備記録されることになる。
【0035】次に光磁気ディスク35を回転させ、記録
ビット(c),(d)が磁界発生部34を再び通過すると、磁
界発生部34の磁界の大きさは前述したように第1およ
び第2磁性層2,3の磁化反転磁界の間に設定されてい
るので、記録ビット(c)は、変化が起こらずに(e)の状態
である(最終的な記録状態)。一方、記録ビット(d)
は、第2磁性層3が磁化反転を起して(f)の状態になる
(もう一つの最終的な記録状態)。
【0036】(f)の記録ビットの状態が安定に存在する
為には、第2磁性層3の飽和磁化の大きさをMs2、膜厚
をh2、両磁性層2,3間の磁壁エネルギーをσwとする
と、前述したように次の様な関係があれば良い。
【0037】
【数5】 σw/2Ms22は第2磁性層に働く交換力の強さを示
す。つまり、σw/2Ms 22の大きさの磁界で第2磁性
層3の磁化の向きを、第1磁性層2の磁化の向きに対し
て安定な方向(この場合は同じ方向)へ向けようとす
る。そこで第2磁性層3がこの磁界に抗して磁化が反転
しないためには、第2磁性層3の保磁力をH2としてH2
>σw/2Ms22であればよい。
【0038】記録ビットの状態(e)と(f)は、記録時のレ
ーザーのパワーで制御され、記録前の状態には依存しな
いので、重ね書き(オーバーライト)が可能である。記
録ビット(e)と(f)は、第1種のレーザーパワーより弱
く、T2COMP以下の温度までしかディスクの温度を上昇
させることのない第3種のレーザーパワーを持つ再生用
のレーザービームを照射し、再生光を記録信号再生器3
3で処理することにより、再生できる。
【0039】図2の説明では第1磁性層2と第2磁性層
3の磁化の向きが同じときに安定な例を示したが、磁化
の向きが反平行のときに安定な磁性層についても同様に
考えられる。図5に、この場合の記録過程の磁化状態を
図2に対応させて示しておく。
【0040】
【実施例】
《実施例1》3元のターゲット源を備えたスパッタ装置
内に、プリグルーブ、プリフォーマット信号の刻まれた
ポリカーボネート製のディスク状基板を、ターゲットと
の間の距離10cmの間隔にセットし、回転させた。
【0041】アルゴン中で、第1のターゲットより、ス
パッタ速度100Å/min、スパッタ圧5×10-3To
rrでZnSを保護層として1000Åの厚さに設けた。
次にアルゴン中で、第2のターゲットよりスパッタ速度
100Å/min、スパッタ圧5×10-3TorrでTbF
e合金をスパッタし、膜厚300Å、T1=約130
℃、補償温度は室温以下、H1=約10kOeのTb18
Fe82の第1磁性層を形成した。
【0042】次にアルゴン中で、スパッタ圧5×10-3
TorrでTbFeCo合金をスパッタし、膜厚500Å、
2=約210℃、H2=約1kOe、補償温度100℃
のTb27Fe51Co9Cu13の第2磁性層を形成した。
【0043】次にアルゴン中で、第1のターゲットより
スパッタ速度100Å/min、スパッタ圧5×10-3
Torrで、ZnSを保護層として3000Åの厚さに設け
た。
【0044】次に、膜形成を終えた上記の基板を、ホッ
トメルト接着剤を用いて、ポリカーボネートの貼り合わ
せ用基板と貼り合わせ、光磁気ディスクのサンプルを作
成した。
【0045】このサンプルを記録再生装置にセットし、
2.5kOeの磁界発生部を、線速度〜8m/secで
通過させつつ、約1μmに集光した830nmの波長の
レーザービームを50%のデューテイ比で2MHzで変
調させながら、4mWと8mWの2値のレーザーパワー
で記録を行なった。バイアス磁界は第2磁性層を反転さ
せる方向に100 Oeであった。その後、1.5mWの
レーザービームを照射して再生を行なったところ、2値
の信号の再生ができた。
【0046】次に、上記と同様の実験を、全面記録され
た後のサンプルについて行なった。この結果、前に記録
された信号成分は検出されず、オーバーライトが可能で
あることが確認された。
【0047】《実施例2》第1磁性層の組成をTb18
72Co10とした以外は、実施例1と同様にして、光磁
気ディスクのサンプルを作製した。Tb18Fe72Co10
層はキュリー温度が約220℃、補償温度が室温以下、
保磁力は約10kOeであった。
【0048】《比較例1》第2磁性層の組成をTb15
77Co8とした以外は、実施例1と同様にして、光磁
気ディスクのサンプルを作製した。Tb15Fe77Co8
層はキュリー温度が約210℃、補償温度が室温以下、
保磁力は約1kOeであった。
【0049】次に実施例1,2、比較例1の各サンプル
を実施例1の方法に従って、記録のレーザーパワーを変
化させながら、記録再生の実験を行なった。第1種と第
2種の記録のしきい値(C/N値が飽和する値)とその
ときのC/N値を表1に示す。
【0050】
【表1】 表1の結果から、実施例1,2では比較例1に比べて、
第1種の記録感度が高く、C/N値も大きい。これは第
2磁性層の補償温度が室温以上にあり、記録中に第2磁
性層の保磁力H2が増加して、第2磁性層が磁界に対し
て安定になり、第1磁性層の磁化の反転が低い温度から
安定に起こることを示している。
【0051】また、実施例1と2を比べると、実施例2
は第1磁性層のキュリー温度T1を高くしたため、記録
感度はやや低下しているが、再生のC/N値が大きくな
っていることがわかる。
【0052】
【発明の効果】以上詳細に説明したように光磁気記録媒
体として、キュリー点T1と高い保磁力H1を有する第1
の磁性層及びキュリー点T2と相対的に低い保磁力H2
室温よりも高くキュリー点よりも低い補償温度T2COMP
を有する第2の磁性層からなる二層構造の磁性層を有す
るものを用い、記録時に、記録ヘッドと別位置に磁界発
生部を設け、2値レーザーパワーで記録することによ
り、良好な重ね書き(オーバーライト)特性が得られ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)はそれぞれ本発明で使用する光磁気記
録媒体の一例構成を示す図である。
【図2】本発明の記録再生方法を実施中の、両磁性層
2,3の磁化の向きを示す図である。
【図3】記録・再生装置の概念図である。
【図4】両磁性層2,3の保磁力と温度との関係を示す
概略図である。
【図5】本発明の別の実施例における磁性層の磁化状態
を示す図である。
【符号の説明】
1 透光性基板 2,3 磁性層 4,5 保護層 6 接着層 7 貼り合わせ用基板 31 記録・再生用ヘッド 32 記録信号発生器 33 記録信号再生器 34 磁界発生部 35 光磁気ディスク

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キュリー点T1と保磁力H1を有する第1
    磁性層と、キュリー点T2と保磁力H2を有する第2磁性
    層とからなる交換結合している二層構造の垂直磁化膜を
    基板上に有し、前記第1磁性層の磁化を反転させること
    なく前記第2磁性層のみを一方向に磁化可能で、かつ、
    次の条件、 (A) 第2磁性層の飽和磁化をMs2、その膜厚をh2、二
    つの磁性層間の磁壁エネルギーをσwとすると、 【数1】 (B) 第1磁性層の補償温度をT1COMP、第2磁性層の補
    償温度をT2COMPとすると、 T1COMP < 室温 < T2COMP < T1 <T2 、 を満たす光磁気記録媒体を使用して、次の二値の記録過
    程および再生過程を行なうことを特徴とする光磁気記録
    再生方法。 (a) 保磁力H1の第1磁性層の磁化の向きを反転させる
    ことなく、保磁力H2の第2磁性層を一方向に磁化さ
    せ、 (b) 次に、記録ヘッドにより、バイアス磁界を印加する
    と同時に第2磁性層の補償温度(T2COMP)付近までの
    前記媒体が昇温するだけの第1のレーザーパワーを照射
    し、前記補償温度付近で第2磁性層の磁化の向きを変え
    ないまま第1磁性層の磁化の向きを第2磁性層に対して
    安定な向きに揃える第1種の記録か、バイアス磁界を印
    加すると同時に第1のレーザーパワーよりも強い第2の
    レーザーパワーを照射することにより、第2磁性層の磁
    化の向きを反転させて、同時に第1磁性層を第2磁性層
    に対して安定な向きに磁化する第2種の記録を、信号に
    応じて実施し、前記第1磁性層に前記信号に応じた記録
    ビットを形成する記録過程と、 (c) 前記第1のレーザーパワーより弱く、前記媒体を第
    2の磁性層の補償温度T2COMP以下の温度までしか昇温
    させることのない第3のレーザーパワーを照射すること
    により、前記第1の磁性層に形成された前記記録ビット
    を再生する再生過程。
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