JP2589108Y2

JP2589108Y2 - エンジンの燃料噴射装置

Info

Publication number: JP2589108Y2
Application number: JP1992076679U
Authority: JP
Inventors: 幸博熊谷
Original assignee: Isuzu Motors Ltd
Current assignee: Isuzu Motors Ltd
Priority date: 1992-11-06
Filing date: 1992-11-06
Publication date: 1999-01-20
Anticipated expiration: 2007-11-06
Also published as: JPH0640362U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、エンジンのオイルギャ
ラリ圧を利用して燃料噴射ポンプのギャラリ圧を上昇さ
せることにより、燃料噴射圧の高圧化をはかりうるエン
ジンの燃料噴射装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のエンジンの燃料噴射系において
は、図６に示すごとく、オーバーフローバルブ３と３’
とが、燃焼噴射ポンプ１側と燃料フィルタ２側との両方
にそれぞれ装着されている。このオーバーフローバルブ
３、３’は、燃料噴射ポンプ１のギャラリ圧の保持と、
燃料フィルタ２の内圧上昇防止と、エア抜き性の向上を
目的として設けらえたものである。

【０００３】なお、図６において、燃料は燃料タンク４
から燃料フィードポンプ５で加圧され、燃料フィルタ２
で濾過された後、燃料噴射ポンプ１にて高圧化されて、
燃料噴射ノズル６からエンジンの燃焼室に噴射される
が、この燃料噴射ポンプ１の燃料噴射終りにポンプ内の
プランジャから出る噴流であるスピルや、各オーバーフ
ローバルブ３, ４からのオーバーフロー燃料は、燃料タ
ンク４に戻されるようになっている。

【０００４】一方、近年エンジンの排ガス規制対策とし
て、燃料噴射ポンプの高圧化が進んできており、このた
め燃料噴射ポンプのギャラリ内スピル圧の増大に伴って
キャビテーションエロージョンが顕著になる傾向があ
る。この対策として燃料フィルタ側のオーバーフローバ
ルブを廃止し、燃料フィードポンプの圧送量の全量を燃
料噴射ポンプに流すことにより、燃料噴射ポンプのギャ
ラリ圧を高めることによって圧力変動に伴って気泡の発
生を防止することによってキャビテーションを防止する
と共に、燃料の循環を良くし、温度の上昇防止を行な
い、エンジンの出力低下を防止する技術が開発されてい
る。

【０００５】しかしながら、上記のごとく、燃料フィル
タ側のオーバーフローバルブを廃止することにより、燃
料噴射系の配管系統のエア抜け性が大幅に悪化するとい
う問題がある。また、燃料フィルタ側のオーバーフロー
バルブを廃止すると、燃料タンクの泡立ちにより泡を吸
い込んだ場合、その泡は全量が燃料噴射ポンプのギャラ
リを通過することになり、かえってエロージョンに不利
になるという恐れもある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、前記従来の
燃料噴射装置の有する問題点を解決するためになされた
ものであり、燃料噴射ポンプのギャラリ圧の確保と、エ
ア抜き性の確保との両方を満足させうるエンジンの燃料
噴射装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本考案の燃料噴射装置は、エンジンの燃料タンクの
燃料を燃料フィードポンプでオーバーフローバルブを
装着した燃料フィルタに供給した後に燃料噴射ポンプで
加圧して燃料噴射ノズルより燃焼室に噴射するエンジン
の燃料噴射装置において、前記オーバーフローバルブ
を、下部にボールバルブの弁座を有するシリンダと、該
シリンダ内をオイルギャラリの圧力によって摺動する可
動ピストンと、該可動ピストンと前記ボールバルブとの
間に配設された圧縮スプリングとを有して形成し、前記
シリンダを前記弁座を経由して前記燃料フィルターに、
リターン通路を経由して前記燃料タンクにそれぞれ連通
させて構成し、エンジンが回転Ｎ_１以上の時のオイルギ
ャラリ圧では、該オイルギャラリ圧で前記可動ピストン
を前記スプリングの付勢力に抗して移動して、前記ボー
ルバルブを前記弁座に押圧して閉弁することにより、オ
ーバーフローバルブとしての機能を停止させることを特
徴とするものである。

【０００８】

【作用】このオーバーフローバルブによりスピル圧の
もともと低いエンジンの回転Ｎ₁以下の低速域ではエア
抜け性を確保し、そして回転Ｎ₁以上の高速域ではオー
バフーフローバルブを完全に閉めてギャラリ圧を保持し
ている。

【０００９】

【実施例】以下図面を参照して本考案の実施例を説
明するが、図１は本考案の一実施例によるエンジンの燃
料噴射系のオーバーフローバルブを適用した燃料噴射装
置の配管系統図、図２は図１の燃料噴射装置に適用した
オーバーフローバルブの拡大断面図、図３は図２のオー
バーフローバルブの可動ピストン特性を示す線図、そし
て図４は図１の本考案を適用した燃料フィルタの内圧を
示す線図である。

【００１０】まず、この実施例においては、燃料タンク
４から、燃料フィードポンプ５で加圧した燃料を燃料フ
ィルタ２で濾過の上、燃料噴射ポンプ１で高圧化して燃
料噴射ノズル６からこのエンジン９のシリンダヘッド１
０内の燃焼室に噴射するようになっている。次に、上記
燃料フィードポンプ５と燃料噴射ポンプ１との間に設け
られる燃料フィルタ２の上部には、本考案で特に適用し
たオーバーフローバルブ１１が装着されており、このオ
ーバーフローバルブ１１でオーバフローした燃料は、リ
ターン通路１２を介して燃料タンク４に戻される。

【００１１】オーバーフローバルブ１１は図２に示すよ
うに、蓋体２０で一方が閉止され、他方に弁座部２１を
設けた本体２２のシリンダ２３の内部に可動ピストン２
４を摺動自在に設け、このピストン２４の中央部に延長
して形成した軸部２４ａの外周にスプリング２５を設け
ている。このスプリング２５の一端はピストン２４の頭
部の下面に当接し、他端は前記弁座部２１に設けたボー
ルバルブ２６を押圧している。

【００１２】このオーバフローバルブ１１の上部に、こ
のエンジン９のオイルギャラリ１３内のオイルギャラリ
圧を導入し、このエンジン９の所定の回転Ｎ₁までのオ
イルギャラリ圧では、可動ピストン２４が移動せず、ボ
ールバルブ２６と軸部２４ａの下端との距離、即ちリフ
トＬとなるように設定している。このオーバーフローバ
ルブ１１は、燃料フイルタ２内の圧力がスプリング２５
のセット圧より高い場合にはボールバルブ２６が開弁し
て通常のオーバーフローバルブとして作動するようにし
ている。

【００１３】なお、オーバーフローバルブ１１の本体２
２の上端部には燃料配管１３ａの連結部が、中央部には
リターン通路１２の連結部がそれぞれ連結されており、
更に下端部は燃料フィルタ２の上部に固定されている。
図３にこのオーバーフローバルブ１１の可動ピストン２
４のリフトＬの特性を示しており、エンジン９の回転が
所定のＮ_１までピストン２４はスプリング２５の弾性力
によって上昇してリフトＬが形成されている。なお、図
中に示した符号は図４の符号に対応させたものである。

【００１４】次に、エンジン９が上記の回転Ｎ_１以上の
時のオイルギャラリ圧では、可動ピストン２４をスプリ
ング２５のセット圧に抗してリフトＬがゼロになるまで
下降させ、軸部２４ａの下端でボールバルブ２６が押圧
されて弁座部２１を完全に閉じた状態となり、オーバー
フローバルブとしての機能が停止する。その結果、燃料
噴射ポンプ１のギャラリ圧が上昇することになる。

【００１５】図４は前記構成のオーバーフローバルブ１
１を設けた場合の燃料フィルタ２のフィルタ内圧Ｐ
_Ｅと、エンジン回転Ｎとの関係の線図であり、回転Ｎ_１
以下では破線の一部であるＢ_１のごとくボールバルブ２
６のみが働いてエア抜きを行うようにしている。次に回
転Ｎ_１以上になるとスプリング２５のセット圧に抗して
ピストン２４が下降して軸部２４ａによってボールバル
ブ２６が固定することになり、線Ｂ_２を経由して実線で
示す線_３の如くオーバーフローバルブ１１は機能しなく
なり、このオーバーフローバルブを廃止した仕様のもの
と同等になる。

【００１６】一方、図５の線図はオーバーフローバルブ
（ＯＦＶ）のない場合の従来の燃料フィルタ２の内圧Ｐ
_Fと回転Ｎとの関係を実線で示し、通常のオーバーフロ
ーバルブの場合の内圧Ｐ_Fの回転Ｎとの関係を破線で示
しており、これにより通常のオーバフローバルブを設け
た場合には、中・高速にかけてはオーバーフローバルブ
を廃止した仕様のものに比べてバルブが作動している分
だけ圧力が低くなることが理解できる。その結果、燃料
の圧力が飽和蒸気圧より低下して燃料中に気泡が発生し
易く、エロージョンが発生し易いことが判る。なお、こ
こでオーバーフローバルブ廃止の仕様でも、高速で圧力
がサーチュレートするのは燃料フィードポンプ５の特性
である。

【００１７】前記のように、所定のエンジン回転Ｎ₁で
可動ピストン２４が作動してボールバルブ２６の動きを
停止するようにしているために、通常のオーバーフロー
バルブを設けた場合の燃料圧力特性と、このバルブを廃
止した場合の燃料圧力特性とを兼ね備えることになる。

【００１８】

【考案の効果】以上に説明した本考案の燃料噴射装置
は、エンジンの燃料タンクの燃料を燃料フィードポンプ
でオーバーフローバルブを装着した燃料フィルタに供
給した後に燃料噴射ポンプで加圧して燃料噴射ノズルよ
り燃焼室に噴射するエンジンの燃料噴射装置において、
前記オーバーフローバルブを、下部にボールバルブの弁
座を有するシリンダと、該シリンダ内をオイルギャラリ
の圧力によって摺動する可動ピストンと、該可動ピスト
ンと前記ボールバルブとの間に配設された圧縮スプリン
グとを有して形成し、前記シリンダを前記弁座を経由し
て前記燃料フィルターに、リターン通路を経由して前記
燃料タンクにそれぞれ連通させて構成し、エンジンが回
転Ｎ_１以上の時のオイルギャラリ圧では、該オイルギャ
ラリ圧で前記可動ピストンを前記スプリングの付勢力に
抗して移動して、前記ボールバルブを前記弁座に押圧し
て閉弁することにより、オーバーフローバルブとしての
機能を停止させるように構成している。

【００１９】従って、所定のエンジン回転Ｎ _１までのオ
イルギャラリ圧では、通常のオーバーフローバルブとし
て作動させることにより、エア抜け性を確保しつつ、ま
た、回転Ｎ _１以上の時のオイルギャラリ圧では、オーバ
ーフローバルブとしての機能を停止させることにより、
燃料噴射圧の高圧化に必要な燃料噴射ポンプのギャラリ
圧を確保することができ、排ガス規制対策としての燃料
噴射ポンプの高圧化に対応できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例によるエンジンの燃料噴射装
置の燃料配管系統図である。

【図２】図１のオーバーフローバルブの拡大断面図であ
る。

【図３】図２のオーバーフローバルブの可動ピストンの
特性を示す線図である。

【図４】図１の本考案を適用した燃料フィルタの内圧を
示す線図である。

【図５】燃料フィルタにオーバーフローバルブ無しと、
通常のオーバーフローバルブを設けた各従来例の燃料フ
ィルタ内圧とエンジン回転との関係線図である。

【図６】従来例の燃料噴射系の燃料配管系統図である。

【符号の説明】

１燃料噴射ポンプ２燃料フィル
タ５燃料フィードポンプ１１オーバーフ
ローバルブ２０蓋体２１弁座部２２本体２３シリンダ２４可動ピストン２５スプリン
グ２６ボールバルブＮ₁ 所定のエ
ンジン回転

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】エンジンの燃料タンクの燃料を燃料フィ
ードポンプでオーバーフローバルブを装着した燃料フ
ィルタに供給した後に燃料噴射ポンプで加圧して燃料噴
射ノズルより燃焼室に噴射するエンジンの燃料噴射装置
において、前記オーバーフローバルブを、下部にボール
バルブの弁座を有するシリンダと、該シリンダ内をオイ
ルギャラリの圧力によって摺動する可動ピストンと、該
可動ピストンと前記ボールバルブとの間に配設された圧
縮スプリングとを有して形成し、前記シリンダを前記弁
座を経由して前記燃料フィルターに、リターン通路を経
由して前記燃料タンクにそれぞれ連通させて構成し、エ
ンジンが回転Ｎ_１以上の時のオイルギャラリ圧では、該
オイルギャラリ圧で前記可動ピストンを前記スプリング
の付勢力に抗して移動して、前記ボールバルブを前記弁
座に押圧して閉弁することにより、オーバーフローバル
ブとしての機能を停止させるエンジンの燃料噴射装置。