JPH0122939Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関、特にデイーゼル機関の燃
料噴射ポンプと燃料噴射ノズルとを結ぶ噴射管内
の燃料噴射圧力が常に安定されるようにした燃料
噴射装置における管内圧制御装置に関するもので
ある。

〔従来の技術と解決すべき課題〕

従来より、デイーゼル機関の燃料噴射装置に
は、機関高回転時の燃料噴射ノズルからの噴射量
を抑えてNOxの発生を低減させたり燃費の向上
を図るため、燃料噴射管の途中に管内圧制御装置
を設けて噴射管内の圧力を制御しているものがあ
る。

この技術としては例えば、特開昭57−129250号
公報あるいは特開昭57−153959号公報等が提案さ
れている。

特開昭57−129250号公報で提案された技術は、
噴射管の途中に、弁体の背後をバネで押圧して構
成した逃がし弁を設けたものであつて、このバネ
圧が一定のものであるために、設定されたバネ圧
のみにしか作動しない構造のものであり、前記バ
ネ圧を越える燃料の圧力を得ることはできない。

従来の管内圧制御装置においては、特に高圧の
管内圧をリークさせる際に、弁体が開くとこの弁
体の開度が急激に変化して通路の面積が増大する
構造を有しており、通常は第１図のように、縦軸
に管内圧をまた、横軸に時間を取つて描くと実線
で示す様に管内圧力が急激に低下し、その結果、
弁体が逆に閉鎖方向に移動するような弁体の動き
が連続的に発生し、これが弁体の振動となつて非
常に不安定な状態を引き起こし、それに伴う燃料
供給がスムーズになされないという欠点があつ
た。

一方、特開昭57−153959号公報で提案された技
術は、燃料噴射管の途中に電磁弁を介在させたも
のであつて、燃料噴射の終了時にこの電磁弁を開
弁して燃料をバイパスさせることによつて燃焼室
の中への燃料の後噴射を防止するようにしたもの
である。

しかし、この装置においては、弁本体を燃料噴
射ノズルへの燃料の通路の一部を構成し、この弁
本体を経由して燃料噴射ノズルに燃料が供給され
るために電磁弁が大型化するという問題がある。

一方、最近の内燃機関においては燃料噴射ノズ
ルへの配管部分はかなり狭隘な場所に設けられる
ものであつて、このように大型の電磁弁を設ける
ことは実質的に困難となる場合がある。また、燃
料の噴射が終了すると同時に燃料噴射管内の圧力
を急激に低下させる場合には、燃料噴射ノズル部
分の燃料の圧力が急激に低下することとなり、次
の噴射に支障を来す場合があり、特に高速運転に
おいてはこの傾向が大きく、機関の運転を不安定
になるという欠点がある。

本考案は、前記従来の燃料噴射装置における管
内圧制御装置の有する問題点に着目して得られた
ものであつて、その目的とするところは、燃料噴
射管内の圧力を安定させ、特に、高回転域におい
ては、急激に圧力を低下させず、かつ一定の圧力
を維持するようにさせて、安定した燃料の供給が
なされるようにした管内圧制御装置を有する燃料
噴射装置を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、前記目的を達成するために、内燃機
関の燃料噴射ポンプとノズルとの間を結ぶ噴射管
の途中に管内圧制御弁が設けられており、該弁は
本体の内部に開閉弁部とシリンダ装置とを有し、
前記開閉弁部は噴射管より分岐したシリンダ部
と、これに嵌合するピストン部を有する開閉弁
と、該開閉弁の背後を押圧するスプリングと、前
記本体に開口された燃料リーク通路とを有し、前
記シリンダ装置は前記開閉弁をロツク可能に構成
してなる燃料噴射装置における管内圧制御装置で
ある。

〔作用〕

燃料噴射管の経路に設けた管内圧制御弁は、開
閉弁部とシリンダ装置とを有しており、開閉弁部
によつて燃料噴射管内の圧力変動を吸収する動作
と、前記シリンダ装置を作動させて開閉弁をロツ
クした状態では燃料噴射管内の圧力をそのまま燃
料噴射ノズルに作用させることができるようにし
たので、開閉弁のロツク状態において燃料噴射管
内の圧力を増加する動作と、燃料噴射管内の圧力
をスプリングによつて決定される圧力に制御する
動作の二段階に制御することができる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第２図は本考案を実施したデイーゼルエンジン
１の燃料供給経路の概略図を示し、各気筒に付属
する燃料噴射ポンプ２と燃料噴射ノズル３とを結
ぶ燃料噴射管４の燃料供給ポンプ２側に本考案に
おいて採用した管内圧制御弁５を介在させてい
る。

前記管内圧制御弁５は第３図に示すように、本
体６の内部に開閉弁Ｖとシリンダ装置Ｃとが設け
られている。

そして前記本体６には前記噴射管４に連通する
燃料噴射通路７と、この通路７より分岐して形成
されたシリンダ１２と、空間部１１と、この空間
部１１に開口されたリーク通路１０と、更にこの
空間部１１に隣接してシリンダ装置Ｃが設けられ
ている。

前記シリンダ１２にはピストン部２１ａを嵌合
した開閉弁２１がスプリング２２によつて弾圧さ
れている。この開閉弁２１は燃料噴射通路７内の
圧力変動に応じてシリンダ１２内を僅かに往復運
動し、その結果、燃料噴射通路７に対して僅かに
容積の変化を与えることができるようになつてい
る。

また、開閉弁Ｖに隣合つて設けたシリンダ装置
Ｃは、シリンダ２０内にピストン２３を嵌合さ
せ、このピストン２３の前部にリターンスプリン
グ２４を設けると共に、前方にロツド２５を突出
させている。このロツド２５はピストン２３がリ
ターンスプリング２４によつて後退されている時
にはその先端２５ａと開閉弁２１の背面との間に
は空間部Ｓが形成されている。

前記シリンダ２０内には制御流体供給口２６よ
り流体（例えば圧縮空気）を導入してピストン２
３を前進させた際に開閉弁２１の背後にロツド２
５の先端２５ａが接当してこの開閉弁２１をロツ
クするようになついる。なお、２７はピストン２
３の周囲に形成された環状溝内に嵌入されたＯリ
ングである。

次に、前記本考案に係る装置の作用について説
明する。

〔非制御状態〕

先ず、第２図において、通常作動時で最高油圧
制御をしない時には、エアタンク１９から圧縮空
気を制御流体供給口２６へ供給してピストン２３
を前進させ、このピストン２３に固定されている
ロツド２５の先端２５ａを前記開閉弁２１の後端
面に当接してこの開閉弁２１をロツク状態として
燃料噴射通路７の容積が変化しないようにしてお
く。

これによつて燃料噴射ポンプ２から吐出された
燃料は、燃料噴射管４を経由して燃料噴射ノズル
３に供給されることになる。

なお、この場合は、燃料噴射ポンプ２の吐出圧
力の変化に応じて燃料噴射ノズル３に供給される
燃料の圧力も変動することになるが、この変動は
内燃機関にとつて許容される程度のものである。

〔制御状態〕

次に、最高油圧を制御する際には、先ず、電磁
弁１７を作動してエアタンク１９から管内圧制御
弁５への圧縮空気を遮断してリターンスプリング
２４によつてピストン２３を後退させ、ロツド２
５の先端２５ａと開閉弁２１との間に間隙Ｓを形
成しておく。

前記状態で燃料噴射通路７内の圧力が開閉弁２
１の背後を押圧しているスプリング２２の押圧力
を超えると、開閉弁２１、即ちこの開閉弁２１を
構成しているピストン部２１ａが後退し、これに
よつて燃料噴射通路７内の燃料の若干量がシリン
ダ１２内に供給され、この燃料噴射通路７内の圧
力が低下することになる。

なお、開閉弁２１のピストン部２１ａとシリン
ダ１２との間より漏洩した若干の燃料は燃料リー
ク通路１０、戻り管９を経由して燃料タンク９に
戻されることになる。

〔考案の効果〕

本考案にかかる燃料噴射装置における管内圧制
御装置は、内燃機関の燃料噴射ポンプとノズルと
の間を結ぶ噴射管の途中に管内圧制御弁が設けら
れており、該弁は本体の内部に開閉弁部とシリン
ダ装置とを有し、前記開閉弁部は噴射管より分岐
したシリンダ部と、これに嵌合するピストン部を
有する開閉弁と、該開閉弁の背後を押圧するスプ
リングと、前記本体に開口された燃料リーク通路
とを有し、前記シリンダ装置は前記開閉弁をロツ
ク可能に構成しており、従つて次のような効果を
奏することができる。

(1) 燃料噴射管４の一部を構成するように燃料噴
射通路７を形成し、この燃料噴射通路７より分
岐してシリンダ１２を形成し、このシリンダ１
２内に開閉弁２１を構成するピストン部２１ａ
を嵌合しているので、燃料噴射通路７内の圧力
を大幅に変動させることがない。

(2) 燃料噴射通路７より分岐してピストン部２１
ａを嵌入するシリンダ１２を形成しているため
に、高圧の燃料が通過する通路に大きな容積部
分を形成することがなく、また、燃料を大量に
漏洩する弁を設けてもいないので、燃料噴射ノ
ズルの部分の燃料の圧力に不要な変動を与える
ことがない。

(3) 開閉弁２１を固定する手段としてシリンダ装
置Ｃを使用しているので、装置は全体として小
型化され、配管部分を簡略化することができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであつて、第
１図は燃料噴射管内の圧力と時間との関係を示す
グラフ図である。第２図は本考案の装置を装備し
た内燃機関の要部の概略系統図、第３図は管内圧
制御弁の断面図である。 １……内燃機関、２……燃料噴射ポンプ、３…
…燃料噴射ノズル、４……燃料噴射管、５……管
内圧制御弁、６……弁本体、７……燃料噴射通
路、１０……リーク通路、２０……シリンダ、２
１……開閉弁、２１ａ……ピストン部、２２……
スプリング、２３……ピストン、２４……リター
ンスプリング、２５……ロツド、２６……制御流
体供給口、Ｖ……開閉弁部、Ｃ……シリンダ装
置、Ｓ……間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関の燃料噴射ポンプとノズルとの間を結
   ぶ噴射管の途中に管内圧制御弁を設け、該弁は本
   体の内部に開閉弁部とシリンダ装置とを有し、前
   記開閉弁部は噴射管より分岐したシリンダ部と、
   これに嵌合するピストン部を有する開閉弁と、該
   開閉弁の背後を押圧するスプリングと、前記本体
   に開口された燃料リーク通路とを有し、前記シリ
   ンダ装置により前記開閉弁をロツク可能に構成し
   てなる燃料噴射装置における管内圧制御装置。