JPH022938Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は燃料タンク内の燃料を噴射ポンプに
導く燃料供給路を備えたデイーゼルエンジンの燃
料供給装置の改良に関する。

（従来の技術） 一搬に、デイーゼルエンジンには燃料タンク内
の燃料をフイードポンプにより燃料フイルタを介
して噴射ポンプに供給する燃料供給路が設けられ
ている。また、噴射ポンプの内部にはプランジヤ
室が設けられており、燃料流入口から噴射ポンプ
内に導入された燃料は燃料ギヤラリを経由してプ
ランジヤ室内に送られ、このプランジヤ室内でプ
ランジヤによつて圧縮されたのち、噴射管を介し
て導出され、噴射ノズルからデイーゼルエンジン
のシリンダ室内に噴射されるようになつている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、デイーゼルエンジンでは噴射ポンプ
のプランジヤ室内で圧縮された高圧燃料の一部が
燃料圧送終了時にプランジヤ室内と燃料ギヤラリ
との間に介在するプランジヤバレルのスピルポー
トを介して燃料ギヤラリに戻されることにより、
燃料ギヤラリの内圧が大きく変動するとともに、
この圧力変動が燃料フイードパイプまで伝播され
ることにより騒音が発生する問題があつた。この
種の騒音はデイーゼルエンジンの回転数が高くな
るとエンジン音に陰れて聞こえなくなるが、例え
ばアイドリング運転時等のような低速回転時には
耳ざわりなものとなる問題があつた。

この考案は上記事情を考慮してなされたもの
で、その目的は、デイーゼルエンジンの低速回転
時に生じる耳ざわりな騒音を防止することができ
るとともに、エンジンの高速回転時の能力低下を
防止することができるデイーゼルエンジンの燃料
供給装置を提供することにある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） この考案は燃料供給路における噴射ポンプ及び
フイルタの間に設けられ、内部にガイド孔及び大
径部を形成した本体と、前記大径部に内装される
と共に前記ガイド孔に摺動可能に内嵌された弁体
と、前記大径部及び前記弁体の間に介装され、噴
射ポンプの燃料ギヤラリ及び前記大径部の連通を
開にするように付勢された圧縮ばねとから成るリ
リーフ弁を形成し、一端を前記大径部に連通さ
せ、他端を前記フイードポンプより上流側の前記
燃料供給路に連通させたバイパス管を設け、前記
燃料ギヤラリと前記大径部との間の燃料の圧力が
所定圧以上になると前記圧縮ばねの付勢力に抗し
ながら前記弁体を摺動させ、前記燃料ギヤラリと
前記大径部との間の連通を閉にするように構成し
たものである。

（作用） エンジンの低速回転時には圧縮ばねのばね力に
よつてリリー弁の弁体を開位置で保持させ、噴射
ポンプの燃料ギヤラリとリリーフ弁本体内の大径
部との間を連通状態で保持させることにより、噴
射ポンプのプランジヤ室内で圧縮された高圧燃料
の一部が燃料圧送終了時に燃料ギヤラリに戻され
て燃料ギヤラリの内圧が大きく変動しようとして
も、この圧力変動をリリーフ弁の大径部を介して
燃料タンク側へ逃すため、圧力変動による伝播音
が減少し、エンジンの低速回転時に生じる騒音の
発生を低下させるとともに、エンジンの高速回転
時には燃料供給路を流れる燃料の圧力の増加にと
もない圧力を受けて圧縮ばねの付勢力に抗しなが
ら弁体を摺動させ、噴射ポンプの燃料ギヤラリと
リリーフ弁本体内の大径部との間を閉にすること
により、エンジンの高速回転時の能力低下を防止
するようにしたものである。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面を参照して説
明する。第１図はデイーゼルエンジンの燃料供給
装置全体の概略構成を示すもので、１は燃料タン
ク、２はフイードポンプ、３は燃料フイルタ、４
は噴射ポンプである。燃料タンク１とフイードポ
ンプ２との間は第１の連結管５、フイードポンプ
２と燃料フイルタ３との間は第２の連結管６、燃
料フイルタ３と噴射ポンプ４との間は第３の連結
管７によつてそれぞれ連結されており、燃料タン
ク１内の燃料をフイードポンプ２によつて燃料フ
イルタ３を介して噴射ポンプ４に供給する燃料供
給路８が形成されている。また、噴射ポンプ４の
内部には第２図に示すようにプランジヤ室９が形
成されている。そして、第３の連結管７から送り
込まれる燃料は燃料入口アイボルト１０から燃料
ギヤラリ１１を介してプランジヤ室９内に導か
れ、このプランジヤ室９内でプランジヤ１２によ
つて圧縮され、噴射管１３を経て噴射ノズル１４
からエンジンのシリンダ室内に噴射されるように
なつている。

一方、燃料フイルタ３の下流側の第３の連結管
７にはリリーフ弁１５を介してバイパス管１６の
一端が連結されている。このバイパス管１６の他
端は第１の連結管５に連結されている。またリリ
ーフ弁１５は第３図に示すように第３の連結管７
内に突没可能に設けられた弁体１７、この弁体１
７を進退可能にガイドするガイド孔１８を備えた
本体１９および圧縮ばね（付勢部材）２０から形
成されている。この本体１９の一端部にはリング
状のガスケツト２１を介して有底円筒状のキヤツ
プ２２が水密に被冠されているとともに、他端部
には弁座部２３が形成されている。また、この本
体１９内のガイド孔１８と弁座部２３との間には
ガイド孔１８より大径な大径部２４が形成されて
おり、この大径部２４内に圧縮ばね２０が配設さ
れている。さらに、この大径部２４のガイド孔１
８側の端部にはバイパス管１６の一端部が連結さ
れる連通孔２５が形成されている。そして、第３
の連結管７内を流れる燃料の圧力が小さい場合に
は圧縮ばね２０によつて弁体１７が第３図に示す
ように第３の連結管７内に突出してバイパス管１
６を第３の連結管７内と連通させた状態に保持さ
れ、第３の連結管７内を流れる燃料の圧力の増加
にともないこの第３の連結管７内を流れる燃料に
よつて弁体１７が第４図に示すように圧縮ばね２
０の付勢力に抗する方向に移動され、バイパス管
１６と第３の連結管７との間が閉塞状態に切換え
られるようになつている。

そこで、上記構成のものにあつてはデイーゼル
エンジンのアイドリング運転時等のように低速回
転時には燃料供給路８内を流れる燃料の圧力が小
さいので、リリーフ弁１５の弁体１７は第３図に
示すように圧縮ばね２０の付勢力によつて弁座部
２３から離間された状態で保持され、第３の連結
管７内を流れる燃料の一部がバイパス管１６を介
して第１の連結管５側に逃がされるようになつて
いる。そのため、噴射ポンプ４のプランジヤ室９
内で圧縮された高圧燃料の一部が燃料圧送終了時
に燃料ギヤラリ１１に戻されて燃料ギヤラリ１１
の内圧が大きく変動しようとしても、この圧力変
動をリリーフ弁１５の大径部２４を介して燃料タ
ンク１側へ逃すため、圧力変動による伝播音が減
少し、エンジンの低速回転時に生じる騒音の発生
を低下させることができる。また、エンジンの回
転数が高くなると、燃料供給路８内を流れる燃料
の圧力が高くなるので、リリーフ弁１５の弁体１
７は第４図に示すように弁座部２３に押し付けら
れ、バイパス管１６と第３の連結管７との間が閉
塞状態に切換えられる。そのため、エンジンの高
速回転時には燃料供給路８内を流れる燃料の圧力
が従来と同じ状態に戻されるもので、能力の低下
等が生じるおそれはない。

なお、この考案は上記実施例に限定されるもの
ではない。例えば、リリーフ弁１５を介して逃が
される燃料を燃料タンク１内に戻す構成にしても
よい。さらに、その他この考案の要旨を逸脱しな
い範囲で種々変形実施できることは勿論である。

［考案の効果］ この考案によれば、燃料供給路における噴射ポ
ンプ及びフイルタの間に設けられ、内部にガイド
孔及び大径部を形成した本体と、前記大径部に内
装されると共に前記ガイド孔に摺動可能に内嵌さ
れた弁体と、前記大径部及び前記弁体の間に介装
され、噴射ポンプの燃料ギヤラリ及び前記大径部
の連通を開にするように付勢された圧縮ばねとか
ら成るリリーフ弁を形成し、一端を前記大径部に
連通させ、他端を前記フイードポンプより上流側
の前記燃料供給路に連通させたバイパス管を設
け、前記燃料ギヤラリと前記大径部との間の燃料
の圧力が所定圧以上になると前記圧縮ばねの付勢
力に抗しながら前記弁体を摺動させ、前記燃料ギ
ヤラリと前記大径部との間の連通を閉にするよう
に構成したので、エンジンの低速回転時には燃料
供給路内を流れる圧力を全体的に低下させ、燃料
圧送終了時にプランジヤ室内で圧縮された高圧燃
料の一部が燃料ギヤラリに戻されることにより、
燃料ギヤラリの内圧が大きく変動しようとする
が、該燃料ギヤラリと該リリーフ弁の大径部とが
連通していることから、変動圧力を燃料タンク側
へ逃すことになり、圧力変動による伝播音が減少
し、エンジンの低速回転時に生じる騒音の発生を
低下させるとともに、エンジンの高速回転時には
燃料供給路内を流れる燃料の圧力低下を防止して
能力低下を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の一実施例を示すもので、第１図
は全体の概略構成図、第２図は噴射ポンプを示す
縦断面図、第３図はリリーフ弁の開状態を示す縦
断面図、第４図はリリーフ弁の閉状態を示す縦断
面図である。 １…燃料タンク、２…フイードポンプ、３…燃
料フイルタ、４…噴射ポンプ、８…燃料供給路、
１５…リリーフ弁、１６…バイパス管、１７…弁
体、１８…ガイド孔、１９…本体、２０…圧縮ば
ね（付勢部材）、２４…大径部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンク内の燃料をフイードポンプにより燃
   料フイルタを介して噴射ポンプの燃料ギヤラリに
   供給する燃料供給路を備えたデイーゼルエンジン
   の燃料供給装置において、前記燃料供給路におけ
   る前記噴射ポンプ及び前記フイルタの間に設けら
   れ、内部にガイド孔及び大径部を形成した本体
   と、前記大径部に内装されると共に前記ガイド孔
   に摺動可能に内嵌された弁体と、前記大径部及び
   前記弁体の間に介装され、前記燃料ギヤラリ及び
   前記大径部の連通を開にするように付勢された圧
   縮ばねとから成るリリーフ弁を形成し、一端を前
   記大径部に連通させ、他端を前記フイードポンプ
   より上流側の前記燃料供給路に連通させたバイパ
   ス管を設け、前記燃料ギヤラリと前記大径部との
   間の燃料の圧力が所定圧以上になると前記圧縮ば
   ねの付勢力に抗しながら前記弁体を摺動させ、前
   記燃料ギヤラリと前記大径部との間の連通を閉に
   するように構成したことを特徴とするデイーゼル
   エンジンの燃料供給装置。